【課題を解決するための手段】
【0011】
上記に基づき、本発明の目的は、従来技術に関して説明した諸問題を少なくとも部分的に解決することである。特に、ケージの製作方法であって、ケージのボール案内面の領域において構造を規定可能な再成形を行える方法を提供することを目的とする。作動中の等速スリップボールジョイントの稼働能力は保証されるものとし、等速スリップボールジョイントの寿命は増大されるものとする。更に、特に本方法によって製作され且つ適切に再成形されたケージ案内面を有する、ケージが提案されるものとする。
【0012】
これは、請求項1に記載の特徴による方法と、請求項6の特徴によるケージとによって、実現される。有利な実施形態は、従属請求項の主題である。特許請求の範囲に個々に提示されている特徴は、技術的に有意な方法で互いに組み合わせ可能であり、本発明の各実施形態の更なる変形例を示している各図の詳細及び説明からの本質的な説明内容によって補足され得る。
【0013】
等速ボールジョイント用のケージの製作方法が提案される。前記ケージは環状であり、周方向に互いに距離を置いて配置された複数のケージ窓を有する。前記複数のケージ窓は、等速ボールジョイントの複数のボールを案内するためのものである。前記複数のケージ窓はそれぞれ、少なくとも1つの側面に、軸線方向に向いたボール案内面を有する。本方法は、少なくとも以下のステップを含む。
(a)複数のケージ窓を有するケージを設けるステップ
(b)半径方向に向いたケージの外周面を介して、少なくとも1つのケージ窓の少なくとも1つのボール案内面の第1領域に、少なくとも1つの圧縮力を加えるステップ
(c)前記少なくとも1つのボール案内面の前記第1領域において前記ケージを変形させ、前記少なくとも1つのボール案内面が、前記ケージの隣接する第2領域に対して前記半径方向の内方に変位するステップ
【0014】
特に、ケージは、(ステップ(a)において)(少なくとも部分的に又は大部分が)球状に(例えばボール状に)形成された外周面を有する。少なくとも1つの側周領域において、外周面は円錐状に形成され得る。
【0015】
好ましくは、ケージは、(ステップ(a)において)(少なくとも部分的に又は大部分が)球状に形成された内周面を有する。少なくとも1つの側周領域において、内周面は円錐状に形成され得る。
【0016】
ステップ(a)において、例えば腎臓形状の、特に打ち抜かれた、ケージ窓を有するケージが設けられる。ステップ(b)において、半径方向に向いたケージ外周面は、(好ましくは全ての)1つ又は複数のボール案内面の特に第1領域(のみ)において、圧縮力を受ける。ステップ(c)において、この圧縮力の結果として、ケージは、この第1領域において(塑性的に)変形する。このプロセスにおいて、第1領域は、周方向に隣接配置されている第2領域に対して半径方向内方に変位する。
【0017】
ステップc)の後、ケージは、再成形された第1領域は別として、全ての領域に、特に、(この方法によって実質的に変化しなかった)一様に球状に形成されている外周面、又は、(この方法によって実質的に変化しなかった)一様に球状に形成されている内周面を有する。
【0018】
これら他の領域に対して、再成形された第1領域は、何れの場合も、半径方向内方に変位又はオフセットするように配置される。
【0019】
圧縮力は、外周面上では、特に半径方向に作用する。特に、圧縮力は、外周面上においては、軸線方向にも作用する。特に、圧縮力は、ケージの両端面には一切(または、ほんの僅かしか)作用しない。
【0020】
特に、保持力がさらにケージに対して作用するが、これら保持力がケージに加わる箇所において、(塑性)変形は(事実上)生じない。
【0021】
特に、ケージの(塑性)変形は、ボール案内面の第1領域にのみ発生する。
【0022】
特に、ステップ(a)とステップ(b)との間、又は、ステップ(c)の後、更なるステップ(i)において、調整用マンドレルが、少なくとも1つのケージ窓内に、特に各ケージ窓内に、配置される。少なくともステップ(c)の最中(おそらくステップ(b)の最中又はステップ(i)に続くアプセット加工においても)、少なくとも1つのボール案内面は、(それぞれの)調整用マンドレルに接するようになる。
【0023】
このアプセット加工は、ケージの両端面を介して軸線方向に作用する圧縮力を加えることを含む。
【0024】
このアプセット加工においては、ケージ窓の互いに対向するボール案内面の間の距離が縮まるように、少なくとも1つのボール案内面が軸線方向に変位し得る。
【0025】
少なくとも1つのボール案内面が調整用マンドレルに接するようになれば、アプセット加工が続行可能となる。それにより、各ボール案内面が(第1領域において)調整用マンドレルによって固定されつつ、各ボール案内面に隣接して位置する(第2)領域が軸線方向に更に変位する。
【0026】
好適な一実施形態によると、ステップ(c)において又はステップ(i)に続くアプセット加工において、少なくとも1つのボール案内面が、ケージの隣接する第2領域に対して軸線方向に(更に)変位するように、この少なくとも1つのボール案内面の第1領域においてケージが変形される。この理由は、特に、このアプセット加工中、第1領域は調整用マンドレルに突き当たり、第2領域は軸線方向内方に更に変位するからである。軸線方向へのこの変形は、ボール窓の、軸線方向に互いに対向するボール案内面同士が、互いから所定の距離に位置することを特に保証する。
【0027】
別の実施形態によると、ステップ(c)の後、又は、ステップ(i)の後、又は、ステップ(i)に続くアプセット加工の後、ケージ案内面の機械加工が(フライス加工等により)行われる。この機械加工によって必要な距離が厳密に設定される。
【0028】
好適な一実施形態によると、少なくとも1つのケージ窓は、互いに対向する両側面のそれぞれに、ボール案内面を有する。また、ステップ(c)において、両ボール案内面は、ケージの、(周方向において第1領域に)隣接する第2領域に対して、少なくとも半径方向内方に変位する。
【0029】
特に、ケージ案内面の第1領域における(特に半径方向に測定された)ケージの壁厚は、ステップ(c)の最中において、且つ、特にステップ(i)に続くアプセット加工中において、一定のままである。したがって、好ましくは、ケージ案内面の第1領域内への材料流動が一切発生せず、代わりに、第1領域に存在する材料は、隣接する第2領域に対して少なくとも半径方向に変位する。
【0030】
特に本明細書に新規記載の方法によって製作される等速ボールジョイント用のケージを更に提案する。
【0031】
このケージは環状であり、等速ボールジョイントの複数のボールを案内するための、周方向に互いに距離を置いて配置された複数のケージ窓を有する。前記複数のケージ窓はそれぞれ、少なくとも1つの側面に、軸線方向に向いたボール案内面を有する。前記ケージは、ボール案内面の第1領域において、ケージの回転軸線を横切る断面内で、最小内径及び最小外径を有する。
【0032】
特に、ケージは、ボール案内面の第1領域に、隣接配置されている第2領域に対して半径方向内方に変位した壁領域を有する。
【0033】
特に、(未成形の第1領域における)最小内径と、ケージの(直接)隣接配置されている第2領域の内径との差は、大きくとも3.0%であり、特に大きくとも1.0%である。特に、(未成形の第1領域における)最小内径と、ケージの(直接)隣接配置されている第2領域の内径との差は、少なくとも0.3%であり、特に少なくとも0.5%である。
【0034】
特に、(未成形の第1領域における)最小外径と、ケージの(直接)隣接配置されている第2領域の内径との差は、大きくとも3.0%であり、特に大きくとも1.0%である。特に、(未成形の第1領域における)最小外径と、ケージの(直接)隣接配置されている第2領域の内径との差は、少なくとも0.3%であり、特に少なくとも0.5%である。
【0035】
特に、ケージは、第1端面と第2端面との間において、軸線方向に延在する。ここで、ケージは、軸線方向において、ボール案内面と各端面との間に、周方向に延在するランドを有する。少なくとも1つのランドの少なくとも1つの軸線方向に延在する部分が、第1領域において、ケージの(周方向に、又は、軸線方向に端面側に向かって、又は、その両方において)隣接する(第2)領域に対して、半径方向内方に変位する。特に、ランド全体(すなわち、軸線方向において、ボール案内面と少なくとも1つの端面との間)は、第1領域において、ケージの(周方向に)隣接する第2領域に対して、半径方向内方に変位する。
【0036】
新たに提案された本方法によって製作される、又は、前述のように構成される、又は、その両方に該当するケージを有する等速ボールジョイントを更に提案する。当該等速ボールジョイントは、好ましくは等速スリップボールジョイントであり、ケージは、外側ジョイント部分、又は、内側ジョイント部分、又は、その両方に対して、軸線方向に沿って変位可能に配置される。
【0037】
この新たな方法に関する記述は、新たなケージ及び新たなジョイントにも等しく適用され、逆の場合も同様に適用される。
【0038】
したがって、更に、上記のシャフトアセンブリを少なくとも1つ備えた自動車も提案する。
【0039】
ケージ窓を押圧すること、又は、ケージ窓の内方にオフセットした部分を形成することによる、本願明細書に説明されているケージの半径方向の調整は、以下の利点のうちの少なくとも1つを特にもたらし得る。
− 従来技術に比べて一層大きな窓面積。これにより、ボールは窓内の中心を走行する。これは、耐用寿命の延長を可能にする。
− 確実且つ管理可能な再成形工程。
− 動作中のボールの下により多くの材料があること。これにより、強度が向上し得る。
【0040】
以下においては、本発明及び本技術分野について、図面に基づきより詳細に説明する。図示されている例示的実施形態によって本発明は制約されないことに注意されたい。特に、明示的に特段の記載がなされていない限り、図面に説明されている本質的内容の部分的側面を抽出し、本願明細書、図面、その両方からの知見及び他の構成部分と組み合わせることも可能である。同じ参照符号は同一の物体を示す。したがって、場合によっては、他の図からの説明が補足的に使用され得る。以下の図は、何れの場合も模式的に示されている。