特許第6783938号(P6783938)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6783938
(24)【登録日】2020年10月26日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】生体音取得装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 7/04 20060101AFI20201102BHJP
【FI】
   A61B7/04 B
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-530562(P2019-530562)
(86)(22)【出願日】2018年7月18日
(86)【国際出願番号】JP2018026884
(87)【国際公開番号】WO2019017378
(87)【国際公開日】20190124
【審査請求日】2020年1月7日
(31)【優先権主張番号】特願2017-140660(P2017-140660)
(32)【優先日】2017年7月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】水野 智啓
(72)【発明者】
【氏名】小林 透
【審査官】 門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−49111(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/002191(WO,A1)
【文献】 特開2008−142112(JP,A)
【文献】 特開2014−166241(JP,A)
【文献】 特開2012−90909(JP,A)
【文献】 特開2003−287550(JP,A)
【文献】 特開2017−23595(JP,A)
【文献】 特開2000−60847(JP,A)
【文献】 実開昭52−155397(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 7/00
G01H
G01P
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と、
生体音を取得する振動センサと、
前記第1部材に直接的又は間接的に接続され、且つ、前記第1部材と共に内部に形成する内部空間内に前記振動センサを保持する第2部材と
を備え、
前記第1及び第2部材の夫々は、前記第1及び第2部材の外部空間と前記内部空間とを連絡させる連絡部を有する
ことを特徴とする生体音取得装置。
【請求項2】
前記振動センサは、生体音に起因して発生する前記第2部材の少なくとも一部の振動を検出することで、前記生体音を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の生体音取得装置。
【請求項3】
前記連絡部は、前記第1及び第2部材の少なくとも一方に形成された孔を含む
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の生体音取得装置。
【請求項4】
前記連絡部は、前記第1及び第2部材の少なくとも一方の他の部分よりも薄い隔壁部を含む
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の生体音取得装置。
【請求項5】
前記第2部材は、前記振動センサを保持する保持部と、前記保持部を支持する梁状の支持部と、前記保持部及び前記支持部によって外縁が規定される前記連絡部とを有する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の生体音取得装置。
【請求項6】
前記第2部材は、固有振動数が異なる複数の前記支持部を有する
ことを特徴とする請求項5に記載の生体音取得装置。
【請求項7】
前記第2部材は、長さ、幅、厚さ及び弾性係数の少なくとも一つが異なる複数の前記支持部を有する
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の生体音取得装置。
【請求項8】
前記第2部材は、曲線状に延びる、幅が変化しながら延びる又は分岐しながら延びる前記支持部を有する
ことを特徴とする請求項5から7のいずれか一項に記載の生体音取得装置。
【請求項9】
前記第2部材は、異なる配置間隔で配置される少なくとも3つの前記支持部を有する
ことを特徴とする請求項5から8のいずれか一項に記載の生体音取得装置。
【請求項10】
前記第2部材は、所定平面に沿った第1方向に沿って延びる前記支持部と、前記所定平面に交差する第2方向に沿って延びる前記支持部を有する
ことを特徴とする請求項5から9のいずれか一項に記載の生体音取得装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電子聴診器等の生体音取得装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、物体中の振動を収集して電気信号として出力する振動収集部と、振動収集部を覆う振動減衰容器とを備える生体音取得装置が記載されている。特許文献1に記載された生体音取得装置では、振動減衰容器により、振動収集部に到達する目的外振動(いわゆる、雑音)が低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−166241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に記載された生体音取得装置は、振動減衰容器で雑音を遮断することで、振動収集部に到達する雑音の低減を図っている。しかしながら、本願発明者等の研究によれば、生体音を取得するための取得部を容器で覆うことで取得部が取得する雑音を低減する方法では、雑音を十二分に低減することが困難であることが判明した。そこで、本発明は、生体音を取得するための取得部が取得する雑音をより適切に低減することが可能な生体音取得装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
生体音取得装置の第1の態様は、第1部材と、生体音を取得する取得部と、前記第1部材に直接的又は間接的に接続され、且つ、前記第1部材と共に内部に形成する内部空間内に前記取得部を保持する第2部材とを備え、前記第1及び第2部材の夫々は、前記第1及び第2部材の外部空間と前記内部空間とを連絡させる連絡部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本実施例の電子聴診器の全体構成を示すブロック図である。
図2図2は、斜め上方から観察したチェストピースの外観を示す斜視図である。
図3図3は、斜め下方から観察したチェストピースの外観を示す斜視図である。
図4図4は、チェストピースの断面を示す断面図である。
図5図5は、筐体を示す平面図である。
図6図6は、連絡孔を介して外部空間から内部空間に伝達される雑音が相殺される様子を示す概念図である。
図7図7は、連絡孔の有無による雑音の強度の違いを示すグラフである。
図8図8(a)は、斜め上方から観察した、連絡孔が形成されていないチェストピースの外観を示す斜視図であり、図8(b)は、斜め下方から観察した、連絡孔が形成されていないチェストピースの外観を示す斜視図である。
図9図9(a)及び図9(b)の夫々は、保持部の共振を防止するための第1の対策が施された筐体を示す平面図である。
図10図10(a)から図10(d)の夫々は、保持部の共振を防止するための第2の対策が施された筐体を示す平面図である。
図11図11は、保持部の共振を防止するための第3の対策が施された筐体を示す平面図である。
図12図12(a)及び図12(b)の夫々は、第2変形例の筐体を示す斜視図及び断面図である。
図13図13は、チェストピースの断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の生体音取得装置に係る実施形態について説明する。
【0008】
<1>
生体音取得装置の実施形態は、第1部材と、生体音を取得する取得部と、前記第1部材に直接的又は間接的に接続され、且つ、前記第1部材と共に内部に形成する内部空間内に前記取得部を保持する第2部材とを備え、前記第1及び第2部材の夫々は、前記第1及び第2部材の外部空間と前記内部空間とを連絡させる連絡部を有する。
【0009】
生体音取得装置の実施形態によれば、外部空間で発生する雑音が、第1部材の連絡部を介して、内部空間や第2部材に伝達される。更に、外部空間で発生する雑音は、第2部材の連絡部を介して、内部空間や第2部材に伝達される。このため、第1部材の連絡部を介して伝達される雑音と、第2部材の連絡部を介して伝達される雑音とは、内部空間や第2部材において相殺し合う。その結果、内部空間を介して第2部材及び取得部に伝達される雑音や、第2部材を介して取得部に伝達される雑音が低減される。このため、取得部が取得する雑音を効果的に低減できる。つまり、生体音取得装置の実施形態は、雑音を低減しつつ、好適に生体音を取得することができる。
【0010】
<2>
上述した生体音取得装置の実施形態の他の態様では、前記取得部は、振動センサを含み、前記取得部は、生体音に起因して発生する前記第2部材の少なくとも一部の振動を前記振動センサで検出することで、前記生体音を取得する。
【0011】
この態様によれば、このような振動センサを用いて生体音を取得する生体音取得装置において、上述した効果が適切に享受できる。
【0012】
<3>
上述した生体音取得装置の実施形態の他の態様では、前記連絡部は、前記第1及び第2部材の少なくとも一方に形成された孔を含む。
【0013】
この態様によれば、雑音は、外部空間から、連絡部としての孔を介して内部空間や第2部材に相対的に効率的に伝達される。このため、第1部材の連絡部を介して伝達される雑音と、第2部材の連絡部を介して伝達される雑音とは、内部空間や第2部材において相対的に効率的に相殺し合う。従って、上述した効果が適切に享受できる。
【0014】
<4>
上述した生体音取得装置の実施形態の他の態様では、前記連絡部は、前記第1及び第2部材の少なくとも一方の他の部分よりも薄い隔壁部を含む。
【0015】
この態様によれば、雑音は、外部空間から、連絡部としての隔壁部を介して内部空間や第2部材に相対的に効率的に伝達される。このため、第1部材の連絡部を介して伝達される雑音と、第2部材の連絡部を介して伝達される雑音とは、内部空間や第2部材において相対的に効率的に相殺し合う。従って、上述した効果が適切に享受できる。
【0016】
<5>
上述した生体音取得装置の実施形態の他の態様では、前記第2部材は、前記取得部を保持する保持部と、前記保持部を支持する梁状の支持部と、前記保持部及び前記支持部によって外縁が規定される前記連絡部とを有する。
【0017】
この態様によれば、保持部によって、取得部が適切に保持される。
【0018】
更に、梁状の支持部で保持部を支持することで、相対的に大きな連絡部が確保可能となる。その結果、雑音は、外部空間から、相対的に大きな連絡部を介して内部空間や第2部材に相対的に効率的に伝達される。このため、第1部材の連絡部を介して伝達される雑音と、第2部材の連絡部を介して伝達される雑音とは、内部空間や第2部材において相対的に効率的に相殺し合う。
【0019】
更に、支持部が梁状であるがゆえに、生体音を取得するために第2部材が生体に押し当てられた際に、第2部材と接触する生体の体表の凹凸や傾き等に応じて、支持部が柔軟に変形し得る。その結果、このような支持部によって支持される保持部(更には、保持部が保持する取得部)は、生体の体表の凹凸や傾き等に応じた適切な姿勢を維持することができる。
【0020】
<6>
上述した第2部材が支持部を有する生体音取得装置の他の態様では、前記第2部材は、固有振動数が異なる複数の前記支持部を有する。
【0021】
この態様によれば、複数の支持部によって支持される保持部(更には、保持部が保持する取得部)の共振が適切に防止される。このため、取得部が取得する雑音(特に、保持部の共振に起因した雑音)が適切に低減される。
【0022】
<7>
上述した第2部材が支持部を有する生体音取得装置の他の態様では、前記第2部材は、長さ、幅、厚さ及び弾性係数の少なくとも一つが異なる複数の前記支持部を有する。
【0023】
この態様によれば、複数の支持部の固有振動数が異なる。従って、複数の支持部によって支持される保持部(更には、保持部が保持する取得部)の共振が適切に防止される。このため、取得部が取得する雑音(特に、保持部の共振に起因した雑音)が適切に低減される。
【0024】
<8>
上述した第2部材が支持部を有する生体音取得装置の他の態様では、前記第2部材は、曲線状に延びる、幅が変化しながら延びる又は分岐しながら延びる前記支持部を有する。
【0025】
この態様によれば、均一幅で直線状に延びる支持部が保持部を支持する場合と比較して、保持部(更には、保持部が保持する取得部)の共振が適切に防止される。このため、取得部が取得する雑音(特に、保持部の共振に起因した雑音)が適切に低減される。
【0026】
<9>
上述した第2部材が支持部を有する生体音取得装置の他の態様では、前記第2部材は、前記第2部材は、異なる配置間隔で配置される少なくとも3つの前記支持部を有する。
【0027】
この態様によれば、同一の配置間隔で配置される複数の支持部が保持部を支持する場合と比較して、保持部(更には、保持部が保持する取得部)の共振が適切に防止される。このため、取得部が取得する雑音(特に、保持部の共振に起因した雑音)が適切に低減される。
【0028】
<10>
上述した第2部材が支持部を有する生体音取得装置の他の態様では、前記第2部材は、所定平面に沿った第1方向に沿って延びる前記支持部と、前記所定平面に交差する第2方向に沿って延びる前記支持部を有する。
【0029】
この態様によれば、保持部(更には、保持部が保持する取得部)は、第1方向に沿って延びる支持部のみならず、第2方向に沿って延びる支持部によっても支持される。このため、保持部の姿勢の安定性が向上する。
【0030】
以上説明したように、生体音取得装置の実施形態は、第1部材と、取得部と、第2部材とを備え、第1及び第2部材は連絡部を有する。従って、生体音取得装置の実施形態は、取得部が取得する雑音を適切に低減することができる。
【実施例】
【0031】
続いて、本発明の生体音取得装置の実施例について説明する。以下では、本発明の生体音取得装置の実施例が適用された電子聴診器1を用いて説明を進める。
【0032】
(1)電子聴診器1の全体構成
はじめに、図1を参照しながら、本実施例の電子聴診器1の全体構成について説明する。図1は、本実施例の電子聴診器1の全体構成を示すブロック図である。
【0033】
図1に示すように、上述した実施形態における「生体音取得装置」の一具体例である電子聴診器1は、上述した実施形態における「取得部」の一具体例である振動センサ11と、バンドパスフィルタ12と、遮断周波数調整部13と、パワーアンプ14と、音量調整部15と、イヤフォン16とを備えている。
【0034】
振動センサ11は、生体3から発せられる生体音(例えば、呼吸音等)を取得可能なセンサである。本実施例では、振動センサ11は、生体音に起因して発生する後述する保持板223の振動(言い換えれば、変位)を検出することで、生体音を取得する。このような振動センサ11の一例として、加速度センサがあげられる。振動センサ11で取得された生体音を示す生体音信号は、バンドパスフィルタ12に出力される。バンドパスフィルタ12は、振動センサ11から入力される生体音信号のうち、所望の周波数帯域の信号成分のみを通過させるフィルタである。バンドパスフィルタ12で遮断される遮断周波数は、遮断周波数調整部13によって調整される。バンドパスフィルタ12を通過した生体音信号は、パワーアンプ14に出力される。パワーアンプ14は、生体音信号の強度を、設定されたゲインに応じて変化させる。パワーアンプ14のゲインは、音量調整部15によって調整される。パワーアンプ14を通過した生体音信号は、イヤフォン16に出力される。イヤフォン16は、生体音信号が示す生体音を音として出力する。
【0035】
振動センサ11は、電子聴診器1のチェストピース2に収容される。チェストピース2は、聴診のために生体3に押し当てられる部品である。本実施例では、チェストピース2は、振動センサ11が取得する雑音(つまり、取得対象である生体音とは異なる音であり、例えば環境音等)を低減することが可能な構造を有している。以下、チェストピース2の構造について更に説明を進める。尚、振動センサ11に加えて、バンドバスフィルタ12、遮断周波数調整部13、パワーアンプ14及び音量調整部15の少なくとも一つが、チェストピース2に収容されていてもよい。
【0036】
(2)電子聴診器1のチェストピース2の構造
続いて、図2から図4を参照しながら、電子聴診器1のチェストピース2の構造について説明する。図2は、斜め上方から観察したチェストピース2の外観を示す斜視図である。図3は、斜め下方から観察したチェストピース2の外観を示す斜視図である。図4は、チェストピース2の断面を示す断面図である。
【0037】
図2から図4に示すように、チェストピース2は、上述した実施形態における「第1部材」の一具体例である筐体21と、上述した実施形態における「第2部材」の一具体例である筐体22と、グリップ23とを備える。
【0038】
筐体21は、フレーム211と、複数の梁212と、フレーム213とを備える。フレーム211及び213の夫々は、円筒状又はリング状の部材である。複数の梁212の夫々は、フレーム211からフレーム213に向かって延びる梁状の(言いかえれば、棒状の)部材である。複数の梁212の夫々の一端は、フレーム211に連結され、複数の梁212の夫々の他端は、フレーム213に連結される。複数の梁212は、フレーム211及び213の周方向において同一間隔で並ぶが、異なる間隔で並んでいてもよい。フレーム213は、生体音が取得される際にユーザが掴むグリップ23に連結される。
【0039】
筐体22は、フレーム221と、複数の梁222と、保持板223とを備える。尚、図5に、筐体22の平面図を示す。フレーム221は、円筒状又はリング状の部材である。フレーム221は、筐体21のフレーム211に直接的に接続される。但し、フレーム221は、フレーム211との間に中間部材を介して間接的に接続されてもよい。筐体21と筐体22とが接続される結果、筐体21及び22は、筐体21及び22の内部に位置する内部空間24を規定する。
【0040】
複数の梁222の夫々は、フレーム221からフレーム221の中心(つまり、フレーム221が規定する円形の開口の中心)に向かって延びる梁状の(言いかえれば、棒状の)部材である。言い換えれば、複数の梁222は、フレーム221の中心から放射状に広がる。複数の梁222は、弾性を有する部材(例えば、樹脂や金属等)であることが好ましい。複数の梁222は、柔軟性を有する部材(例えば、樹脂や金属等)であることが好ましい。複数の梁222は、フレーム221及び223の周方向において同一間隔で並ぶが、異なる間隔で並んでいてもよい。複数の梁222の夫々の一端は、フレーム221に連結され、複数の梁222の夫々の他端は、保持板223に連結される。従って、複数の梁212は、保持板223を支持する。保持板223は、板状(図2から図3に示す例では、円板状)の部材である。保持板223の+Z側の面(つまり、内部空間24に面する面であり、以降、“裏面”と称する)には、振動センサ11が設置される。このため、振動センサ11は、内部空間24内において保持板223によって保持される。
【0041】
保持板223の−Z側の面(つまり、内部空間24に面しない面であり、以降、“表面”と称する)は、生体音が取得される際に生体の体表に押し当てられる面である。保持板223が生体の体表に押し当てられると、生体音に応じた振動が保持板223に生ずる。振動センサ11は、この保持板223の振動を検出することで、生体音を取得する。振動センサ11が取得した生体音を示す生体音信号は、グリップ23の内部の空洞等に設定された信号線を介して、上述したバンドパスフィルタ12へと出力される。
【0042】
筐体21には更に、夫々が上述した実施形態における「連絡部」の一具体例である複数の連絡孔(つまり、開口ないしは貫通孔)214が形成されている。各連絡孔214は、フレーム211、2つの梁212及びフレーム213によって囲まれている。つまり、各連絡孔214の外縁は、フレーム211、2つの梁212及びフレーム213によって規定されている。逆に言えば、フレーム211、複数の梁212及びフレーム213の形状は、複数の連絡孔214が筐体21に形成されるように設計されている。
【0043】
筐体22には更に、夫々が上述した実施形態における「連絡部」の一具体例である複数の孔(つまり、開口ないしは貫通孔)224が形成されている。各孔224は、フレーム221、2つの梁222及び保持板223によって囲まれている。つまり、各孔224の外縁は、フレーム221、2つの梁222及び保持板223によって規定されている。逆に言えば、フレーム221、2つの梁222及び保持板223の形状は、複数の孔224が筐体22に形成されるように設計されている。
【0044】
連絡孔214は、筐体21及び22の外部に位置する外部空間(つまり、チェストピース2の外部に位置する外部空間)25と、筐体21及び22の内部に位置する内部空間24とを連絡している。連絡孔214が外部空間25と内部空間24とを連絡した結果、連絡孔214を介して、外部空間25から内部空間24に対して音が伝達可能となる。例えば、連絡孔214を介して、外部空間25で生じた音(例えば、雑音)が、内部空間24にも伝達可能となる。更には、内部空間24に保持板223(特に、その裏面)が面しているがゆえに、連絡孔214を介して、外部空間25で生じた音(例えば、雑音)が、保持板223(特に、その裏面)にも伝達可能となる。つまり、連絡孔214は、外部空間25から内部空間24(更には、内部空間24に面している部材)に対して音を伝達するために筐体21に形成される。従って、本実施例における「外部空間25と内部空間24とを連絡する」ことは、「外部空間25で生じた音(例えば、雑音)を内部空間24(更には、内部空間24に面している部材)に伝達させる」ことと実質的に等価である。
【0045】
連絡孔224もまた、連絡孔214と同様に、外部空間25と内部空間24とを連絡している。従って、連絡孔214のみならず、連絡孔224を介しても、外部空間25から内部空間24に対して音が伝達可能となる。
【0046】
(3)振動センサ11が取得する雑音の低減効果
次に、本実施例の電子聴診器1が享受可能な技術的効果(つまり、振動センサ11が取得する雑音の低減効果)について、図6を参照して説明する。図6は、連絡孔214を介して外部空間25から内部空間24に伝達される雑音と、連絡孔224を介して外部空間25から内部空間24に伝達される雑音とが相殺される様子を示す概念図である。
【0047】
図6に示すように、生体3からは、取得すべき生体音と共に雑音(例えば、環境音であり、特に、外部空間25で生じた雑音)が保持板223に伝達される。このため、仮に何らの対策も施さなければ(具体的には、連絡孔214及び224が形成されなければ)、保持板223は、生体音のみならず雑音によっても振動してしまう。その結果、生体音に混じって多くの雑音が振動センサ11によって取得されてしまる。このため、生体音に基づく診断等を正確に行えなくなってしまうおそれがある。
【0048】
しかるに本実施例では、既に説明したように、筐体21に連絡孔214が形成されており、且つ、筐体22に連絡孔224が形成されている。このため、図6に示すように、外部空間25で生じた雑音は、連絡孔214を介して(つまり、電子聴診器1を介して)保持板223に伝達される。更に、外部空間25で生じた雑音は、連絡孔224を介して(つまり、生体3を介して)保持板223に伝達される(或いは、一部の雑音は連絡孔224を介することなく保持板223に伝達される)。ここで、連絡孔224を介して保持板223に伝達される雑音は、連絡孔214を介して保持板223に伝達される雑音と比較して、生体3の内部を介して伝達されることに起因して、その位相が反転している。このため、保持板223上において、連絡孔214を介して伝達される雑音と、連絡孔224を介して伝達される雑音とが相殺し合う。その結果、雑音に起因する保持板223の振動が弱められる。従って、振動センサ11が取得する雑音は小さくなる。
【0049】
更に、外部空間25で生じた雑音は、連絡孔214及び224の夫々を介して、内部空間24にも伝達される。このため、内部空間24においても、連絡孔214を介して伝達される雑音と、連絡孔224を介して伝達される雑音とが相殺し合う。このため、内部空間24内を伝搬する雑音自体も弱められる。このため、内部空間24を介して保持板223に到達する雑音に起因する保持板223の振動が弱められる。従って、振動センサ11が取得する雑音は小さくなる。
【0050】
一方で、生体音については、保持板223の表面に伝達される。このため、雑音とは異なって、生体音は、保持板223上で相殺されることはない。つまり、生体音は、振動センサ11で取得される。この結果、振動センサ11では、雑音が低減された状態で、好適に生体音を取得することが可能となる。
【0051】
このような雑音の低減効果を具体的に検証するために、本願発明者は、外部スピーカーからホワイトノイズを出力した状態で保持板223を生体3に押し当てた時に取得される雑音を測定する実験を行った。実験によって得られた雑音の強度(つまり、振動センサ11の振動の強度であり、実質的には、振動センサ11の加速度)が図7に示されている。具体的には、図7において、点線は、上述したチェスとピース2に代えて連絡孔214及び224が形成されていないチェストピース2a(図8(a)及び図8(b)参照)を備える第1比較例の電子聴診器によって取得された周辺雑音の強度を、周波数別に示す。更に、図7において、実線は、連絡孔214及び224の全てを有する本実施例の生体音取得装置1によって取得された周辺雑音の強度を、周波数別に示す。
【0052】
図7に示すように、第1比較例の電子聴診器によって取得された雑音の強度と比較して、本実施例の生体音取得装置によって取得された雑音の強度(つまり、振動の強度であり、加速度)が小さくなることが実証された。つまり、連絡孔214を筐体21に形成し且つ連絡孔224を筐体22に形成することで、振動センサ11が取得する雑音を効果的に低減可能であることが実証された。尚、第1比較例の電子聴診器によって取得された雑音の強度が大きくなる理由は、連絡孔214及び224が形成されていないがゆえに、外部空間25で生じた雑音が、内部空間24や保持板223において相殺されないからであると推定される。
【0053】
尚、振動センサ11に代えて生体音を音として直接的に検出するマイクロフォンを備える第2比較例の電子聴診器では、外部空間25で生じた雑音が連絡孔214を介して内部空間24に伝達されると、当該雑音は、連絡孔224を介して伝達される雑音と相殺される前に、マイクロフォンによって音として直接的に検出されてしまう可能性がある。同様に、外部空間25で生じた雑音が連絡孔224を介して内部空間24に伝達されると、当該雑音は、連絡孔214を介して伝達される雑音と相殺される前に、マイクロフォンによって音として直接的に検出されてしまう可能性がある。このため、第2比較例の電子聴診器では、筐体21及び22に夫々連絡孔214及び224が形成されると、マイクロフォンが取得する雑音の低減効果が薄れる可能性がある。しかるに、振動センサ11を備える本実施例の電子聴診器1では、雑音が振動センサ11によって音として直接的に検出されることはない。つまり、本実施例の電子聴診器1では、雑音が保持板223の振動に一旦変換された後に、保持板223の振動が雑音を示すパラメータとして振動センサ11によって検出されることになる。このため、雑音が保持板223の振動に変換される際に(或いは、前に)、連絡孔214を介して伝達される雑音(或いは、当該雑音に起因した振動)と、連絡孔224を介して伝達される雑音(或いは、当該雑音に起因した振動)とは、内部空間24や保持板223において適切に相殺し合う。従って、本実施例の電子聴診器1では、振動センサ11が取得する雑音の低減効果が相対的に高くなる。
【0054】
尚、外部空間25で生じた雑音を連絡孔214及び224を介して内部空間24に伝達することで雑音の低減効果が得られることを考慮すれば、連絡孔214及び224の夫々は、相対的に大きいことが好ましい。尚、本願発明者等の実験によって、連絡孔214及び224の夫々が大きくなればなるほど、雑音の低減効果が大きくなることが確認されている。従って、連絡孔214及び224の夫々は、雑音の低減効果が適切に得られるような適切な大きさを有することが好ましい。
【0055】
このような連絡孔214の大きさに関して、本実施例では、連絡孔214の外縁を規定する梁213は、梁状の部材である。このため、連絡孔214の外縁が面状の部材によって規定される場合と比較して、相対的に大きな連絡孔214が形成可能という点で有益である。連絡孔224の大きさについても同様である。但し、振動センサ11が取得する雑音の低減効果は、任意の大きさの連絡孔214及び224が任意の数だけ夫々筐体21及び22に形成されている限りは享受可能である。このため、筐体21は、少なくとも一つの孔214が形成されている限りはどのような構造を有していてもよい。同様に、筐体22は、少なくとも一つの孔224が形成されている限りはどのような構造を有していてもよい。
【0056】
また、梁222が梁状の部材である(更には、弾性や柔軟性を有する部材である)ことに関連して、本実施例では、生体音を取得するために保持板223が生体に押し当てられた際に、保持板223と接触する生体の体表の凹凸や傾き等に応じて、複数の梁222が柔軟に変形する。その結果、このような複数の梁222によって支持される保持板223(更には、保持板223が保持する振動センサ11)は、生体の体表の凹凸や傾き等に応じた適切な姿勢を維持することができる。尚、保持板223を生体の体表に押し当てたときに当該体表への接触圧がある程度必要であることから、複数の梁222は、保持板223が生体の体表に押し当てられた場合に生体の体表に対して反力を付与することが可能な状態で保持板223を支持していることが好ましい。
【0057】
(4)変形例
(4−1)第1変形例
上述したように、振動センサ11を保持する保持板223は、複数の梁222によって支持されている。この場合、保持板223は、複数の梁222のバネ定数(或いは、弾性係数)と保持板223の質量とで定まる共振周波数で共振する可能性がある。保持板223が共振すると、共振に起因した振動が振動センサ11によって検出されるがゆえに、振動センサ11は、共振に起因した雑音を取得してしまう。
【0058】
そこで、第1変形例では、保持板223の共振を防止する(つまり、保持板223が共振する可能性を小さくする)ための対策が電子聴診器1(特に、チェストピース2)に施される。以下、保持板223の共振を防止するための第1の対策から第3の対策について順に説明する。
【0059】
(4−1−1)保持板223の共振を防止するための第1の対策
保持板223の共振を防止するための第1の対策として、複数の梁222のうちの少なくとも2つの梁222の固有振動数を異ならしめる対策が採用可能である。この場合、筐体22は、固有振動数が互いに異なる少なくとも2つの梁222を備える。その結果、複数の梁222の固有振動数が全て同一である場合と比較して、保持板223が共振する可能性が小さくなる。つまり、保持板223の共振が適切に防止される。
【0060】
第1の対策が施された筐体22の一例として、図9(a)に示すように、幅(つまり、延伸方向に直交する方向に沿ったサイズ)が互いに異なる少なくとも2つの梁222a−1及び222a−2を備える筐体22aがあげられる。第1の対策が施された筐体22の一例として、図9(b)に示すように、長さ(つまり、延伸方向に沿ったサイズ)が互いに異なる少なくとも2つの梁222b−1及び222b−2を備える筐体22aがあげられる。第1の対策が施された筐体22の一例として、図示しないものの、厚さが互いに異なる少なくとも2つの梁222c−1及び222c−2を備える筐体22cがあげられる。第1の対策が施された筐体22の一例として、図示しないものの、弾性係数が互いに異なる少なくとも2つの梁222d−1及び222d−2を備える筐体22dがあげられる。
【0061】
(4−1−2)保持板223の共振を防止するための第2の対策
本願発明者等の実験によれば、複数の梁222の全てが均一幅で直線状に延びる場合に保持板223が共振しやすくなることが判明している。そこで、保持板223の共振を防止するための第2の対策として、複数の梁222のうちの少なくとも一つの形状を、均一幅で直線状に延びる形状とは異なる形状にする対策が採用可能である。この場合、筐体22は、均一幅で直線状に延びる形状とは異なる形状を有する少なくとも一つの梁222を備える。その結果、複数の梁222の全てが均一幅で且つ直線状に延びる場合と比較して、保持板223が共振する可能性が小さくなる。つまり、保持板223の共振が適切に防止される。
【0062】
第2の対策が施された筐体22の一例として、図10(a)に示すように、曲線状に延びる少なくとも一つの梁222eを備える筐体22eがあげられる。第2の対策が施された筐体22の一例として、図10(b)に示すように、幅が変化しながら延びる少なくとも一つの梁222fを備える筐体22fがあげられる。第2の対策が施された筐体22の一例として、図10(c)に示すように、曲線状に延びながら分岐する少なくとも一つの梁222gを備える筐体22gがあげられる。第2の対策が施された筐体22の一例として、図10(d)に示すように、直線状に延びながら分岐する少なくとも一つの梁222hを備える筐体22hがあげられる。
【0063】
(4−1−3)保持板223の共振を防止するための第3の対策
本願発明者等の実験によれば、複数の梁222が等角度に(つまり、等間隔に)並ぶように分布する場合に保持板223が共振しやすくなることが判明している。そこで、保持板223の共振を防止するための第3の対策として、第1の梁222と当該第1の梁222に隣接する第2の梁222との間の間隔(つまり、第1の梁222と第2の梁222とがなす角度)と、第2の梁222と当該第2の梁222に隣接する第3の梁222との間の間隔(つまり、第2の梁222と第3の梁222とがなす角度)とを異ならしめる対策が採用可能である。例えば、図11に示す例で言えば、梁222i−1と梁222i−2との間の間隔D1(つまり、角度θ1)と、梁222i−2と梁222i−3との間の間隔D2(つまり、角度θ2)とが異なっている。その結果、複数の梁222が等角度に分布する場合と比較して、保持板223が共振する可能性が小さくなる。つまり、保持板223の共振が適切に防止される。
【0064】
(4−2)第2変形例
上述した説明では、筐体22には、外部空間25の雑音を内部空間24に伝達するための連絡孔224が形成されている。しかしながら、図12(a)及び図12(b)に示すように、第2変形例の筐体22jには、連絡孔224に代えて(或いは、加えて)、外部空間25の雑音を内部空間24に伝達するための隔壁部225が形成されている。隔壁部225の厚さは、筐体22jのうち隔壁部225以外の部分(例えば、梁222)の厚さよりも薄い。このため、連絡孔224に加えて又は代えて隔壁部225が形成されている場合であっても、隔壁部225が形成されていない場合と比較すれば、外部空間25の雑音は、隔壁部225を介して内部空間24に伝達されやすい。従って、上述した効果と同様の効果が享受可能である。尚、筐体21についても同様に、連絡孔214に代えて(或いは、加えて)、外部空間25の雑音を内部空間24に伝達するための相対的に薄い隔壁部が形成されていてもよい。
【0065】
尚、隔壁部225が形成される場合には、保持板223は、隔壁部225によって支持されていてもよい。この場合、図12(a)に示すように、筐体22jは、複数の梁222を備えていなくてもよい。もちろん、図12(b)に示すように、筐体22jは、複数の梁222を備えていてもよい。
【0066】
(4−3)第3変形例
上述した説明では、保持板223(更には、保持板223によって保持される振動センサ11)は、同一平面(例えば、XY平面)に沿って延びる梁222によって支持されている。しかしながら、図13に示すように、第3変形例のチェストピース2kでは、保持板223は、同一平面(例えば、XY平面)に沿って延びる梁222に加えて、当該平面に交差する所定方向(例えば、Z方向)に沿って伸縮可能なスプリング26kによって支持される。この場合、スプリング26kの一端が保持板223(或いは、振動センサ11)に連結され、スプリング26kの他端が筐体21のフレーム213(或いは、梁212ないしは筐体22が備えるその他の部材)に連結される。
【0067】
このような第3変形例のチェストピース2kでは、生体音を取得するために保持板223が生体に押し当てられた際に、保持板223(更には、保持223が保持する振動センサ11)は、生体の体表の凹凸や傾き等に応じた適切な姿勢をより効率的に維持することができる。
【0068】
尚、スプリング26kは、Z方向(つまり、梁222が保持板223を支持する平面であるXY平面に交差する方向)に沿って保持板223を支持することがその機能である。このため、チェストピース2kは、スプリング26kに加えて又は代えて、Z方向に沿って保持板223を支持する支持部を備えていてもよい。このような支持部の一例として、弾性及び柔軟性を有する部材(例えば、樹脂や金属等)があげられる。この場合、支持部は、梁222と同様の梁状の部材であってもよい。或いは、支持部は、保持板223に接触することなく保持板223を支持してもよい。例えば、支持部は、電磁力や静電力等を用いて保持板223を支持してもよい。
【0069】
逆に言えば、梁222についても同様に、チェストピース2k(或いは、上述したチェストピース2)は、梁222に加えて又は代えて、XY平面に沿って保持板223を支持する支持部を備えていてもよい。これは、第3変形例に限らず、上述した実施例全般に適用可能である。このような支持部の一例として、保持部223に接触して保持部223を支持する部材(例えば、スプリング)や、保持部223に接触することなく保持部223を支持する部材があげられる。
【0070】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う生体音取得装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0071】
1 電子聴診器
11 振動センサ
2 チェストピース
21 筐体
211、213 フレーム
212 梁
214 連絡孔
22 筐体
221 フレーム
222 梁
223 保持板
224 連結孔
3 生体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13