(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記初期治療計画は、前記計画画像に基づいて決定される前記少なくとも1つの構造の第1の描写に基づいて生成され、前記計画ユニットは、前記さらなる画像に基づいて決定される前記少なくとも1つの構造の第2の描写に基づいて前記変換を生成するように構成される、請求項1に記載のシステム。
前記計画ユニットは、変換される第2の画像によって表される患者の解剖学的構造及び前記初期治療計画からもたらされる線量分布について、及び前記少なくとも1つの構造の変換される第2の描写について評価される前記線量目標に基づいて生成される目的関数を最適化することによって前記変換を決定するように構成され、前記目的関数は、前記変換される第2の画像と前記変換される第2の描写とを生成するための前記変換に関して最適化される、請求項3に記載のシステム。
前記計画ユニットは、前記変換Tが前記決定される変換に対応する場合、形態O(T)=F(d(p1、T*I2)、T*s2)の変換Tの目的関数O(T)は少なくとも近似的に最適化され、Fは前記線量目標に基づいて生成される関数であり、dは前記患者の体の前記領域における線量分布であり、p1は初期治療計画であり、I2は前記第二の画像であり、T*I2は前記変換Tを使用して生成される前記第二の画像の変換であり、s2は前記標的構造の前記第二の描写であり、T * s2は前記変換Tに基づいて生成される前記第二の描写の変換であるように前記変換を決定するように構成される、請求項3に記載のシステム。
前記計画ユニットは、前記比較に基づいて前記初期治療計画の1つを選択し、前記選択される治療計画に対して前記目的関数を最適化することによって決定される前記変換に基づいて前記治療を適応させる、請求項6に記載のシステム。
前記計画ユニットは、画像変換を使用して前記第1の描写から前記第2の描写を生成するように構成され、前記画像変換は、前記さらなる画像と前記計画画像との間の画像レジストレーションプロシージャに基づいて決定される、請求項3に記載のシステム。
前記患者の体の前記領域の前記さらなる画像を取得するための撮像ユニットをさらに有し、前記計画ユニットは、前記撮像ユニットから前記さらなる画像を受信するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【背景技術】
【0002】
外部ビーム放射線療法では、がん細胞の成長を制御し、又は殺すために、患者の体内の腫瘍などの標的構造に電離放射線が適用される。より高度な種類の放射線療法では、正確な線量の放射線が患者の体の領域に照射される。この点で、通常は、標的構造に十分に高い放射線量を照射し、標的構造の近くで、通常はリスクのある器官(OAR)とも呼ばれる感受性の高い構造に危害を与えないでおくことが目標となる。
【0003】
患者の照射を制御するための治療パラメータは、治療計画で定義され、特に治療中に患者に照射するための放射線ビームの強度及び形状を特定する。治療計画は、患者の体の関連領域の計画画像に基づいて逆計画プロシージャで決定されてもよい。このプロシージャでは、治療中に標的構造とOARに照射される放射線量の条件を含む治療目標を特定できる。それから、最適化プロセスを実行して、患者に送達される累積線量の分布をもたらす治療計画を見つけ、計画画像に示すように、患者の体の関連領域の解剖学的構造に関する治療目標が満たされる。通常、最適化プロセスは、オペレータがガイドする反復プロシージャを有し、このプロシージャでは、許容可能な線量分布に対応する治療計画が見つかり、承認されるまで、プランナはパラメータを繰り返し変更する。
【0004】
この計画プロシージャは非常に複雑で時間がかかるため、通常は治療の前に、ある程度の時間(数日まで)実行される。しかしながら、これは、計画画像の取得と治療の実施との間で、体の関連領域の解剖学的構造が変化することを意味する。結果として、生成される治療計画はもはや正確ではなく、シフトされ、及び/又は変形した標的構造はより少ない放射線を受ける可能性があり、シフトされ、及び/又は変形したOARは、治療が初期治療計画に基づいて行われる場合、意図した量よりも多くの放射線を受ける可能性がある。
【0005】
したがって、患者の体の関連領域の新しい画像に基づいて、治療の実施前に初期治療計画を適応させることができる。この画像は治療室で効果的に取得できるため、以下では室内画像とも呼ばれる。治療計画を適応させるプロセスでは、変化した患者の解剖学的構造に従って適応線量分布を決定し、治療計画を修正して適応線量分布を送達することができる。適応線量分布は、元の治療計画に対応する線量分布の変換に基づいて決定される。計画適応の複雑さを制限するため、剛体変換が、変更される解剖学的構造に計画をほぼ適応させるために使用されてもよい。
【0006】
変換は、計画画像及び室内画像に示される患者の体の関連領域の解剖学的構造の比較に基づいて決定されてもよい。しかしながら、このアプローチは、治療目標を十分に正確に満たすことができない修正治療計画をもたらす可能性があることがわかっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、室内画像に基づいて初期治療計画の改善される適応を可能にし、適応治療計画を使用して治療目標がより確実に満たされるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様によれば、本発明は、患者の体の領域において、治療の標的構造であり得る少なくとも1つの構造の放射線療法治療を計画するためのシステムを提案する。このシステムは、(i)患者の体の領域の計画画像に基づいて、及び患者の体の領域に関する線量目標に基づいて生成される初期治療計画を取得し、(ii)患者の体の領域のさらなる画像を受信し、(iii)適応治療計画を生成するため、及び/又はさらなる画像に基づいて、初期線量分布から適応線量分布を生成するための変換を決定し、(iv)変換及び/又は適応線量分布に基づいて放射線療法治療を制御するための適応治療計画を決定するように構成される計画ユニットを有する。さらに、計画ユニットは、線量目標に基づいて変換を決定するように構成されている。
【0009】
変換は、計画画像と追加画像に示される解剖学的特徴の比較に基づいてではなく、線量目標に基づいて決定されるため、治療計画の適応が改善されることができ、治療目標は、適応治療計画に基づいてより高い信頼性で満たされることができる。変換は、特に剛体変換、すなわち回転及び/又は並進からなる変換であり得る。これにより、適応プロシージャの複雑さを制限できる。
【0010】
生成される変換を使用して、初期治療計画から適応治療計画を直接決定することができる。特に、初期治療計画で特定される放射線ビームの方向は、変換に基づいて回転されてもよく、及び/又は初期治療計画で特定される放射線源の位置は、適応治療計画を決定するために、変換に基づいた変位であってもよい。
【0011】
可能なさらなるアプローチでは、変換を使用して初期線量分布から適応線量分布を決定することができ、適応線量分布に基づいて適応治療計画が生成される。特に、適応治療計画は、放射線治療治療が適応治療計画に基づいて提供されるとき、適応線量分布が達成されるように生成されてもよい。
【0012】
本発明の一実施形態では、初期治療計画は、計画画像に基づいて決定される少なくとも1つの構造の第1の描写に基づいて生成され、計画ユニットは、さらなる画像に基づいて決定される少なくとも1つの構造の第2の描写に基づいて変換を生成するように構成される。第2の描写を生成するため、少なくとも1つの構造がさらなる画像において新たに描写されてもよい。好ましい代替実施形態では、計画ユニットは、画像変換を使用して第1の描写から第2の描写を生成するように構成され、画像変換は、さらなる画像と計画画像との間の画像レジストレーションプロシージャに基づいて決定される。第2の描写を正確に決定できるようにするために、変換は特に非剛体変換であってもよい。
【0013】
治療計画の適応に使用される変換に関して、本発明の一実施形態は、初期治療計画からもたらされる線量分布及び変換される第2の画像及び少なくとも1つの構造の変換される第2の描写によって表される患者の解剖学的構造について評価される線量目標に基づいて生成される目的関数を最適化することにより、計画ユニットが変換を決定するように構成されることを含む。このようにして、線量目標に基づいて変換を決定することが可能である。これらの線量目標は、線量目標に基づいて決定される目的関数の形による変換の決定において特に考慮される。
【0014】
関連する実施形態では、計画ユニットは、変換を決定するように構成されるので、変換Tが決定される変換に対応する場合、O(T)=F(d[p
1、T*I
2]、T*s
2)の形の変換Tの目的関数O(T)が少なくとも近似的に最適化される。ここで、Fは線量目標に基づいて生成される関数であり、dは患者の体の領域の線量分布であり、p
1は第一の治療計画であり、I
2は第二の画像であり、T*I
2は変換Tを使用して生成される第二の画像の変換であり、s
2は標的構造の第二の描写であり、T * s
2は変換Tに基づいて生成される第二の描写の変換である。
【0015】
さらに、放射線療法治療を計画するための初期計画プロシージャで複数の初期治療計画を作成することが可能である。これらの初期治療計画は、特に、異なる安全マージンを使用して、又は治療されるべき少なくとも1つの構造を含む患者の体の関連領域の異なる解剖学的構造に対して生成され得る。これらの異なる解剖学的構造は、関連する体領域の典型的な変形を予測することにより生成され得る。
【0016】
これに関して、本発明の一実施形態は、計画ユニットが、(i)線量目標に基づいて生成される複数の初期治療計画を取得し、(ii)初期治療計画の各々の目的関数を少なくとも近似的に最適化し、治療計画に対して決定された目的関数の最適性を比較し、(iii)比較の結果に基づいて放射線療法治療を制御するための適応治療を決定するように構成される。
【0017】
この実施形態において、目的関数の最適値は、さらなる画像に示されるように、変更される患者の解剖学的構造に放射線療法治療を送達するための異なる初期治療計画の適合性を評価する尺度として役立つ。異なる初期治療計画は、同様の線量分布をもたらす放射線を送達する放射線源の異なる設定に基づいて、標的構造を含む患者の体の領域の異なる解剖学的構造に基づいて、及び/又は治療計画が作成されるOAR及び/又は標的構造に対する異なる安全マージンに基づいて生成され得る。
【0018】
関連する実施形態では、計画ユニットは、比較に基づいて初期治療計画の1つを選択し、選択される治療計画の目的関数を最適化することによって決定される変換に基づいて治療を適応させるように構成される。
【0019】
さらに関連する実施形態では、計画ユニットは、比較に基づいて初期治療計画に基づく結合治療計画を決定し、治療計画に対して目的関数を最適化することにより決定される変換に基づいて結合治療計画を適応させるように構成される。
【0020】
さらなる実施形態では、本発明によって提案されるシステムは、患者の体の領域のさらなる画像を取得するための撮像ユニットをさらに備え、計画ユニットは、撮像ユニットからさらなる画像を受信するように構成される。
【0021】
さらなる態様によれば、本発明は、患者の体の領域内の少なくとも1つの構造の放射線療法治療を計画する方法を提案する。この方法は、(i)患者の体の領域の計画画像に基づいて、及び患者の体の領域に関する線量目標に基づいて生成される初期治療計画を取得するステップであって、初期治療計画は患者の体の領域における第一の線量分布に対応する、ステップと、(ii)患者の体の領域のさらなる画像を受信するステップと、(iii)さらなる画像及び計画画像に基づいて第一の線量分布から適応線量分布を生成するための変換を決定するステップと、(iv)変換及び/又は適応線量分布に基づいて放射線療法治療を制御するための適応治療計画を決定するステップとを有する。変換は、線量目標に基づいて決定される。
【0022】
さらなる態様では、本発明は、プログラムがコンピュータによって実行されるとき、コンピュータ、特に上記システムのコンピュータに、方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラムを提案する。
【0023】
請求項1のシステム、請求項12の方法、及び請求項13のコンピュータプログラムは、特に従属請求項で定義されているように、類似及び/又は同一の好ましい実施形態を有することを理解される。
【0024】
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項又は上記の実施形態とそれぞれの独立請求項との任意の組み合わせでもあり得ることを理解される。
【0025】
本発明のこれらの態様及び他の態様は、以下に記載される実施形態を参照して明らかになり、解明されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、患者の体の領域に含まれる標的構造の放射線療法治療を実施するための治療システムの実施形態を概略的かつ例示的に示している。標的構造は特に腫瘍であり得る。治療は、計画画像に基づいた治療の実施に先立って、数日などのより長い時間に準備される1つ以上の初期治療計画に基づいて生成される治療計画に従って実施される。初期治療計画から開始して、適応治療計画は、患者の体の関連領域の現在の画像に基づいて、治療の実施の少し前に決定される。一実施形態では、この画像は治療室で取得される。したがって、この画像は、本明細書では室内画像と呼ばれる。しかしながら、他の実施形態では、画像は治療において必ずしも取得されないことが理解されるであろう。
【0028】
図1に示す実施形態では、放射線治療システムは、放射線源1を備え、放射線源1は、治療ゾーン2に電離放射線を放出するように動作することができる。治療ゾーン2では、患者の体は適切な支持体、例えば患者テーブル(図には示されていない)上に位置決めされる。関連する体の領域に対する放射線源1の相対的な位置及び向きは、特定の範囲の位置及び向きにわたって変えることができる。この目的のために、放射線源1は、放射線ビームの異なる角度で放射線を送達するために、360°以下である特定の角度範囲内で治療ゾーン2の周りを回転できるように、回転ガントリ3に取り付けられてもよい。更に、ガントリ3及び/又は患者支持体は、ガントリ3の回転軸に平行及び/又は垂直方向に移動可能であってもよい。これにより、標的構造が放射アイソセンター内に配置されるように患者と放射線アイソセンターとの間に特定の相対位置を設定することが可能である。さらに、ガントリ3の回転軸に垂直な軸の周りに支持体を回転させることが可能であり得る。
【0029】
放射線源1は、線形粒子加速器、サイクロトロン、シンクロトロン、又は電離放射線ビームを生成するための別の放射線源を含んでもよい。したがって、電子と陽子の両方の放射線源が考えられる。別の放射線源の一例は、コバルト源などの放射線源である。さらに、放射線源1には、放射線ビームを形成するためのコリメータ4が設けられてもよい。コリメータ4は、特定の方法で放射線ビーム全体の放射線強度を変化させることを特に可能にし得る。この目的のために、コリメータ4はマルチリーフコリメータとして構成されてもよい。
【0030】
放射線療法治療の送達中、放射線は、変化するビーム方向の下で標的構造に送達され、放射線源1によって放出される放射線の強度は、治療計画に従って変化してもよい。さらに、放射線ビームが時間的に変化する形態で送達されるように、コリメータ4の構成は治療計画に基づいて変更することができる。一実施形態では、放射線療法治療は、連続するセグメントに従って送達され、各セグメントは、ビーム方向、放出される放射線強度、コリメータ構成又はビーム形状を含む治療パラメータの1つの構成に対応する。 2つのセグメント間で、構成は第一のセグメントの構成から第二のセグメントの構成に変更される。この期間中、放射ビームをオフにすることができる(これは通常、ステップアンドシュートアプローチとも呼ばれる)。同様に、放射ビームを中断することなく、セグメントに従って構成を連続的に変更させることができる。このアプローチは、たとえば、いわゆる体積変調アーク療法(VMAT)に適用される。
【0031】
放射線源1、コリメータ4、ガントリ3及び患者支持体を含む放射線治療システムの構成要素を治療中に制御するために、治療システムは制御ユニット5を含む。好ましくは、制御ユニット5は、制御ユニットによって実行される制御ルーチンを含み、放射線療法治療システムのさらなるコンポーネントに結合されるコンピュータ装置で実行されるソフトウェアプログラムとして実装される。これらのコンポーネントの制御は、放射線ビーム強度、コリメータ構成、ガントリ位置を時間の関数として定義するパラメータなど、対応する制御パラメータを特定する治療計画に従って実行される。これらのパラメータは、本明細書ではマシンパラメータとも呼ばれる。
【0032】
上記のように、治療中にシステムを制御するための治療計画は、少なくとも1つの初期治療計画を適応させることによって生成される。評価ユニット6は、適応を実行するためのルーチンを含み、システムは計画ユニット6を含む。適応を実行し、治療計画の適応を実行し、治療システムに含まれるコンピュータ装置で実行されるためのルーチンを含むソフトウェアプログラムとして実装できる。この点で、同じコンピュータ装置が上記で説明したように制御ユニット5を実装してもよい。しかしながら、評価ユニット6及び制御ユニット5は、同様に異なるコンピュータ装置で実施されてもよい。
【0033】
治療計画の適応は、放射線治療の実施直前に取得される室内画像に基づいて実行される。室内画像を取得するために、治療システムは、例えば、コンピュータ断層撮影(CT)イメージング、コーンビームCTイメージング、又は磁気共鳴イメージング(MRI)などの適切なイメージングモダリティに従って構成されるイメージングユニット7を含み得る。好ましくは、撮像ユニット7の撮像モダリティは、計画画像を取得するために使用される撮像モダリティに対応する。これにより、計画画像と室内画像との間のレジストレーションがより簡単で信頼性の高いものになり得る。
【0034】
一実施形態では、単一の初期治療計画が患者に対して生成される。これは、患者の臨床処方に基づいて行われ、治療中に標的構造に照射されるべき放射線量を特に特定する場合があり得る。さらに、OARに照射されるべき最大放射線量を特定できる。これは、患者の処方箋で、及び/又は治療に関する一般的な規則で行われる。
【0035】
さらに、初期治療計画は、特定のサイズのボクセルからなる標的構造を含む患者の体の関連領域の3次元計画画像I
1に基づいて準備される。この画像では、標的構造と関連するOARが、当業者に知られている技術を使用して描かれている。標的構造及びOARの描写は、計画画像I
1と同じ座標フレームを参照するバイナリマスクs
iの形で提供されてもよい。さらに、治療計画が計算される、標的構造とOARの効果的な描写を生成するために、描写に安全マージンを追加することができる。これらの安全マージンは、治療中の標的構造及び/又はOARの位置及び/又は形状の変化を説明する。
【0036】
治療目標に基づいて、描写される構造物に照射されるべき放射線量に関して、一連の目標及び/又は制約が決定される。目標は可能な限り満たされる必要があるが、制約は、必要性が満たされなければならない条件に対応する。そのような制約は、治療目標から導き出すことができる。さらに、制約は、治療システムの機械的制限に起因する実現可能性の制約であり得る。
【0037】
標的構造とOARに関連する可能性のある目的と制約は、特に、関連する構造への最大及び最小の放射線量の送達を含む。通常、最小線量条件は標的構造に関連している。したがって、標的構造の1つ又は複数の場所又は領域に照射される最小放射線量を特に特定することができる。通常、最大線量条件はリスクのある器官に関連している。これに関して、リスクのある器官の1つ又は複数の位置又は領域に照射される最大放射線量を特に特定することができる。加えて、例えば、治療体積の特定の領域(通常は標的構造の領域になる)への均一な線量分布の送達など、さらなる目的を定義することができる。
【0038】
計画プロシージャでは、それから目標を少なくともほぼ満たし、制約を満たす治療計画が生成される。この目的のために、目的と制約に基づいて最適化問題が定式化され、この最適化問題は関連する最適化パラメータpに関して少なくとも近似的に解かれる。
【0039】
最適化の問題を解決するために、特にユーザーがガイドする反復最適化プロシージャを適用できる。このようなプロシージャの各ステップで、計画システムは最適化問題の解を近似することにより、事前に最適化されるパラメータpを自動的に計算する。それから、計画システムはこれらのパラメータpに対応する線量分布を決定し、計画システムを操作するプランナに線量分布を視覚化する。プランナは線量分布をレビューして、彼又は彼女が線量分布に満足しているかを判断する。プランナが1つのステップで満足した場合、最終的な治療計画は現在の最適化されるパラメータpに基づいて決定される。ユーザーが満足していない場合、最適化問題は、彼又は彼女のレビューの結果としてユーザーが特定した変更に従って修正される。それから、計画システムは、次のステップで、新たに事前に最適化されるパラメータpを計算する。
一実施形態では、最適化パラメータpは、ビームの断面を要素(ビームレットとも呼ばれる)に分割するグリッドに関して患者の体に入射する放出される放射ビームのフルエンスを特定する(時変)フルエンスに対応し、1つの要素のフルエンスは、時間の経過とともに積分される放射エネルギーに対応する。治療計画を決定するこのアプローチは、フルエンスマップ最適化(FMO)とも呼ばれる。最適化されるフルエンスマップから、計画システムは、放射線源1とコリメータ4のモデルを使用してフルエンスマップを達成するためのマシンパラメータを決定する。これらのマシンパラメータは治療計画を形成する。
【0040】
患者の体の関連領域の各ボクセルが吸収する放射線量を特定するフルエンスマップに対応する線量分布dは、患者の体の関連領域に含まれる組織と放射線との相互作用を記述するモデルを使用して決定できる。より具体的には、線量分布は影響マトリックスに基づいて決定することができ、影響マトリックスの各要素は、患者の体の関連領域のボクセルによって吸収される線量をビームレットの1つからの単位放出強度ごとに定量化する。影響マトリックスは、計画画像I
1、特に計画画像Iに示される患者の体の関連領域の解剖学的構造の関数であり、当業者に知られている技術を使用して決定することができる。
【0041】
さらなる実施形態では、最適化パラメータpは、治療システムの機械パラメータに対応する。このアプローチは、直接機械パラメータ最適化(DMPO)とも呼ばれる。この実施形態では、フルエンスマップを機械パラメータとリンクする放射線源1とコリメータのモデルが最適化問題に組み込まれるので、機械パラメータが直接最適化される。このモデルを使用して、線量分布dは、フルエンスの関数としてではなく、DMPOの機械パラメータの関数として、目的関数f
kに含まれる。
【0042】
最適化問題を解く際に、目的に基づいて生成される目的関数Fは特に最小化される。目的関数Fは、個々の目的関数f
kのコレクションを含むことができ、各々の個別の目的関数f
kは1つの目的を表す。目的関数f
kは、一般的に、線量分布d及び目的が関係する標的又はリスク構造iの描写s
iの関数である。線量分布dは、最適化パラメータpと、計画画像Iに示す患者の体の関連領域の解剖学的構造の関数である。したがって、明示的な形式で前述の依存関係を提供すると、目的関数f
kはf
k(d [p、I]、s
i)と述できる。
【0043】
目的関数Fは、特に、目的関数f
kの加重和、すなわち、
に対応する。
【0044】
ここで、パラメータw
kは目的関数f
kの重み付けを示す。重み付けのため、このような目的が互いに矛盾している場合、より高い重み付けを有する目的はより低い重みを有する目的よりも満たされる可能性が高い。したがって、重み付けは、治療の成功に関する目的の重要性に従って選択される。
【0045】
さらに、特定の例として、最大又は最小の放射線量Dを標的又はリスク構造に関係する特定の体積Vに照射する目的を表す目的関数f
kは、
による2次コスト関数の形式で与えられる。
【0046】
ここで、最大線量Dが特定されている場合、g = H(d
i−D)であり、最小線量Dが特定されている場合、g = H(D−d
i)であり、△v
iはボクセルiの体積を表し、Hは、
によって定義されるヘビサイドステップ関数である。
【0047】
ユーザーガイド最適化プロシージャの各ステップで、制約が満たされるように、目的関数Fの1つのバージョンを最適化パラメータpに対して最小化することができる。この目的のために、計画システムは、当業者に知られている任意の適切な数値アルゴリズムを適用することができる。それから、最適化されるパラメータpに対応する線量分布が、上で説明したようにプランナに提示される。プランナがこの線量分布に満足していない場合、プランナは目的関数Fを修正してその新しいバージョンを作成し、プロシージャの次のステップで再び最小化することができる。目的関数Fを修正するプロセスでは、プランナは1つ以上の重み付けw
kを特に適応させ、及び/又は例えば目的関数f
kを削除及び/又は追加することによって個々の目的関数f
kを変更することができる。プランナが線量分布に満足すると、説明したように、受け入れられた線量分布d
1に対応する最適化されるパラメータp
1に基づいて初期治療計画が生成される。
【0048】
上述の方法で、初期治療計画は、治療システムに含まれるか、又は別個に操作される計画システムで放射線療法治療の実施に先立って準備される。標的構造を含む患者の体の領域の解剖学的構造は、初期治療計画の作成時と放射線治療の実施時との間で変化する可能性があるため、治療計画の適応は計画ユニットによって室内画像I
2に基づいて実行される。
【0049】
適応を準備するために、室内画像における標的構造と関連するOARの描写s
i 'が決定される。これは、室内の画像でこれらの構造を新たに描写することにより行うことができる。しかしながら、描写s
i 'は、画像レジストレーションプロシージャを使用して計画画像I
1に基づいて決定されることが好ましい。特に、計画画像I
1を室内画像I
2にマッピングするための変換を決定するために、計画画像I
1と室内画像I
2との間で変形可能画像レジストレーション(DIR)を実行することができる。この変換を使用して、室内画像I
2の関連構造の描写s
i 'は、計画画像I
1の構造の描写s
iから決定できる。
【0050】
治療計画の適応は、計画ユニット6によって決定される剛体変換Tに基づいて計画ユニット6で実行される。これは、画像空間におけるボクセルの共通の回転及び/又は並進のみを含む変換である。 。
【0051】
第1のアプローチによれば、変換は、適応治療の対応する治療パラメータを決定するために、初期治療計画で特定されるビーム構成を変換するために使用される。このプロセスでは、(たとえば、ガントリ3の回転を特定することによって)ビームの方向を特に変更することができ、及び/又はビームは(たとえば、コリメータ4の回転を特定することによって)回転に対応する変換の一部に基づいてビーム軸を中心に回転されることができ、及び放射線アイソセンターと患者との間の相対位置は、(たとえば、ガントリ3及び/又は患者支持体の変位を特定することによって)並進に対応する変換の一部に基づいて変更できる。後者の変更により、初期計画時の位置からの患者の解剖学的構造内の標的構造の変位を補償することが特に可能である。
【0052】
さらなるアプローチによれば、変換T又はその逆を使用して、初期治療計画に対応する線量分布dを適応線量分布d
2に変換することができる。この線量分布に基づいて、適応治療計画が決定される。これは、適応線量分布d
2をもたらすフルエンスマップを決定することで実行できる。この決定は、室内画像I
2に示されているように、関連する体の領域の解剖学的構造の(逆)影響マトリックスに基づいて行うことができる。さらに、計画ユニット6は、放射線源1及びコリメータ4のモデルを使用して、フルエンスマップに基づいて適応治療計画のための機械パラメータを決定することができる。
【0053】
剛体変換Tを決定するために、計画ユニット6は、治療目的に基づいて決定され、初期治療計画に対応する最適化パラメータp
1によって(近似的に)最小化される関数F 'を使用する。関数F'は、変換Tに基づいて作成される。より具体的には、関数F'は、室内画像I
2の変換T*I
2に基づいて、及び標的構造の描写の変換T*s
2iと室内画像I
2内のOARとに基づいて作成され、最適化パラメーp1について評価される。したがって、関数F'は、
【0054】
F'(T)=F'(d[p
1、T*I
2]、T*s
2i)
になる。
【0055】
室内画像I
2の変換T*I
2と、室内画像I
2内の標的構造及びOARの描写の変換T*s
2iは、
【0056】
T*I
2(x)=I
2(Rx+t)、及び
【0057】
T * s
2i(x)= s
2i(Rx + t)
になる。
【0058】
ここで、Rは回転行列、tは変位、xは画像空間のボクセル位置を表す。室内画像I
2の変換T * I
2に関する関数F '(T)の依存性に関して、関数F'(T)は特に、変換される画像T * I
2で表される関連する体の領域の解剖学的構造に従って決定される影響マトリックスに依存し得る。この依存性は、すでに説明した計画画像I
1に対する目的関数Fの依存性に対応する。
【0059】
特定の実施において、計画ユニット6は、初期治療計画を決定するための計画プロシージャで使用され、初期治療計画に対応する最適化パラメータp
1によって最小化される目的関数Fに基づいて、関数F(T)を作成し得る。特に、関数F '(T)は、オペレータがガイドする反復計画プロシージャの最後のステップで使用される目的関数Fのバージョンに対応し、その結果、許容される線量分布d
1が得られる。しかしながら、計画画像Iに基づいて、及び計画プロシージャの計画画像I
1の関連OAR及び標的構造の描写s
1iに基づいて決定される目的関数のパラメータは、変換される室内画像T * I
2及び変換される描写s
2iに基づいて決定される対応するパラメータに置き換えられる。したがって、関数F '(T)は、
の形式をもち、重み付けw
kと関数f
kは、初期計画プロシージャで使用されるものに対応する場合がある。
【0060】
関数F '(T)を生成すると、計画ユニット6は、変換Tに関して関数F'(T)を最小化する。関数F(T)を少なくとも近似的に最小化することにより特定の変換Tを決定すると、計画ユニット6は、上で説明した方法で適応治療計画を決定する。したがって、計画ユニット6は、変換を使用して、適応治療パラメータ、特に患者に対する放射線アイソセンタの適応ビーム方向及び適応位置を直接決定する。又は計画ユニット6は、上述のように治療計画が生成される適応線量分布を生成するため、決定される変換Tの逆数を決定し、その逆数を使用してもよい。
【0061】
決定される変換Tは、室内画像I
2を計画画像I
1に変換するための変換の近似と考えることができる。しかしながら、変換は、画像の特性の比較又はそこに示される解剖学的構造に基づいて決定されるのではなく、線量目標に基づいて決定される。
【0062】
これまでに説明した実施形態の変形では、複数の初期治療計画が初期計画プロシージャで生成されてもよい。異なる初期治療計画は、標的構造とOARのための異なる安全マージンに基づいて、又は放射線源の異なる設定に基づいて生成され、すべての計画目標を満たす線量分布が得られる。追加又は代替として、初期治療計画は、患者の体の関連領域の異なる解剖学的構造に対して生成されてもよい。これらの解剖学的構造には、計画画像で表される解剖学的構造への予想される変更が含まれる場合がある。そのような変化は、多くの他の患者に対する患者の体の同じ領域の経験的観察に基づいて、及び/又は例えば、時間とともに標的構造の進行を記述するモデルに基づいて決定され得る。
【0063】
複数の初期治療計画が用意されている場合、上述のように、室内画像に基づいて、治療計画の各々に対して計画ユニット6により1つの変換S(又はT)が決定されてもよい。それから、計画ユニット6は、異なる治療計画に対して決定される関数F '(T)の最小値を比較することができる。比較すると、計画ユニット6は、最小値を有する治療計画を選択し、この治療計画に対して決定される変換Sに基づいてこの治療計画を適応させることができる。それから、適応治療計画を使用して、放射線療法治療を患者に提供することができる。
【0064】
さらなる実施例において、計画ユニット6は、これらの治療計画に対して決定される変換Sに基づいていくつかの初期治療計画を適応させ、適応治療計画を組み合わせて治療計画を生成し、放射線治療治療を実施するために使用される。組み合わせは、特に重み付き組み合わせであってもよく、その場合、重み付けは、異なる治療計画について評価される関数F '(T)の最小値に基づいて決定されてもよい。治療計画を組み合わせるプロセスにおいて、計画ユニットは、治療計画を決定することができ、セグメントが次々に送達されるように、組み合わされる治療計画のそれぞれからのセグメントを含む。
【0065】
開示される実施形態に対する他の変形は、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の検討から、請求される発明を実施する際に当業者によって理解及び達成され得る。
【0066】
請求項において、「含む」という語は他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外しない。
コンピュータプログラムは、他のハードウェアとともに、又は他のハードウェアの一部として提供される、光学記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体に格納/配布できるが、インターネットなどの他の形式で配布することもでき、又は他の有線又は無線の通信システムで配布することもできる。
【0067】
請求項中の参照符号は、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。