特許第6783985号(P6783985)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6783985
(24)【登録日】2020年10月27日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/50 20100101AFI20201102BHJP
   F21V 9/00 20180101ALI20201102BHJP
   F21Y 105/16 20160101ALN20201102BHJP
   F21Y 113/17 20160101ALN20201102BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20201102BHJP
【FI】
   H01L33/50
   F21V9/00
   F21Y105:16
   F21Y113:17
   F21Y115:10
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-191473(P2016-191473)
(22)【出願日】2016年9月29日
(65)【公開番号】特開2018-56359(P2018-56359A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2018年10月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】特許業務法人平田国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100071526
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100145171
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩行
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大典
(72)【発明者】
【氏名】三輪 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】武田 重郎
(72)【発明者】
【氏名】下西 正太
(72)【発明者】
【氏名】関 聡美
【審査官】 大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−126160(JP,A)
【文献】 特開2013−232588(JP,A)
【文献】 特開2015−115241(JP,A)
【文献】 特開2008−300350(JP,A)
【文献】 特開2005−005482(JP,A)
【文献】 特開2007−287385(JP,A)
【文献】 特開2013−214735(JP,A)
【文献】 特表2015−515133(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0162505(US,A1)
【文献】 国際公開第2016/159141(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 − 33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のピーク波長を有する第1の出射光を出射する第1の所定数の第1の発光素子と、
前記第1のピーク波長より長波長側の第2のピーク波長を有する第2の出射光を出射する第2の所定数の第2の発光素子と、
前記第1の所定数の第1の発光素子上と前記第2の所定数の第2の発光素子上に共通して設けられた、前記第2のピーク波長より長波長側に分布している異なった波長スペクトルを有した波長変換光を出射する複数の蛍光体を含む蛍光体層と、
を有し、
前記第1の発光素子と前記第2の発光素子は、市松模様を有する格子パターンを形成するように配置され、
前記第2の発光素子は、前記第2の所定数の間で異なった前記第2のピーク波長を有し、かつ、前記第1の発光素子と前記蛍光体層の合成発光スペクトルにおける、少なくとも1つのディップのうち最も深いディップの深さを低減する発光スペクトルを有し、
前記蛍光体層の前記複数の蛍光体は、前記第2の発光素子上の含有濃度が、前記第1の発光素子上の含有濃度より低くなるように調整された、
発光装置。
【請求項2】
前記第2の発光素子の前記発光スペクトルは、前記第2のピーク波長が前記合成発光スペクトルにおいて、前記少なくとも1つのディップのうち最も深いディップを形成する、その両側のピーク波長の間に位置する、
請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記第2の発光素子の前記第2のピーク波長は、前記少なくとも1つのディップのうち最も深いディップの底の波長からのずれが5nm以内の波長である、
請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項4】
第1のピーク波長を有する第1の出射光を出射する第1の所定数の第1の発光素子と、
前記第1のピーク波長より長波長側の第2のピーク波長を有する第2の出射光を出射する第2の所定数の第2の発光素子と、
前記第1の所定数の第1の発光素子上と前記第2の所定数の第2の発光素子上に共通して設けられた、前記第2のピーク波長より長波長側に分布している異なった波長スペクトルを有した波長変換光を出射する複数の蛍光体を含む蛍光体層と、
を有し、
前記第1の発光素子と前記第2の発光素子は、市松模様を有する格子パターンを形成するように配置され、
前記第2の発光素子は、前記第2の所定数の間で異なった前記第2のピーク波長を有し、かつ、前記第1の発光素子と前記蛍光体層の合成発光スペクトルにおける、少なくとも1つのディップのうち最も深いディップの深さを低減する発光スペクトルを有し、
前記蛍光体層の前記複数の蛍光体は、前記第2の発光素子上に、前記複数の蛍光体のうち長波長の出射光を出射する長波長蛍光体が位置し、前記第1の発光素子上に、前記複数の蛍光体のうち短波長の出射光を出射する短波長蛍光体が位置するように調整された、
発光装置。
【請求項5】
前記第2の発光素子の前記発光スペクトルは、前記第2のピーク波長が前記合成発光スペクトルにおいて、前記少なくとも1つのディップのうち最も深いディップを形成する、その両側のピーク波長の間に位置する、
請求項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記第2の発光素子の前記第2のピーク波長は、前記少なくとも1つのディップのうち最も深いディップの底の波長からのずれが5nm以内の波長である、
請求項又はに記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LED(Light Emitting Diode)と蛍光体を備え、白色光を発する発光装置が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。このような発光装置においては、LEDと蛍光体の合成発光スペクトルが白色光のスペクトルを形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2012/108065号
【特許文献2】国際公開第2012/144087号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、蛍光体はその特性上、吸収スペクトルと発光スペクトルの波長域が離れている。このため、励起光の吸収効率を高くするためには、蛍光体の発光スペクトルから離れた発光波長を有する発光素子を励起光源として用いざるを得ない。
【0005】
このため、発光素子と蛍光体の合成発光スペクトルであって、昼光色等の特に色温度の高い青白い白色のスペクトルにおいては、発光素子の発光波長と蛍光体の発光波長との間に深い窪み(ディップ)が存在する。このような深いディップの存在は、発光装置の発光スペクトルを太陽光(自然光)のスペクトルに近づけることの障害になる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、発光素子及び蛍光体層から出射される光の合成によって形成される発光スペクトルのディップを浅くして、太陽光に近い発光スペクトルが得られる発光装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、下記[1]〜[7]の発光装置を提供する。
【0008】
[1] 第1のピーク波長を有する第1の出射光を出射する第1の発光素子と、第2のピーク波長を有する第2の出射光を出射する第2の発光素子と、前記第1及び第2の発光素子上に設けられた複数の蛍光体を含む蛍光体層と、を有し、前記蛍光体層は、前記第1及び第2の出射光を受光して、前記第1の出射光の前記第1のピーク波長よりも長波長側に分布し、前記第1及び第2の出射光により形成される発光スペクトルを含む第1の合成発光スペクトルを形成する、前記複数の蛍光体に基づく複数の出射光を出射し、前記第2の発光素子は、前記第1の合成発光スペクトルから前記第2の出射光の発光スペクトルを除去して形成された第2の合成発光スペクトルにおける、少なくも1つのディップのうち最も深いディップの深さを低減する発光スペクトルを有する、発光装置。
【0009】
[2] 前記第2の発光素子の前記発光スペクトルは、前記第2の合成発光スペクトルにおいて、前記少なくとも1つのディップのうち最も深いディップを形成する、その両側のピーク波長の間に前記第2のピーク波長を位置させる、上記[1]に記載の発光装置。
【0010】
[3]前記第2の発光素子の前記第2のピーク波長は、前記少なくとも1つのディップのうち最も深いディップの底の波長からのずれが5nm以内の波長である、上記[1]又は[2]に記載の発光装置。
【0011】
[4]前記第1及び第2の発光素子は、それぞれ複数の第1及び第2の発光素子で構成され、前記複数の第1及び第2の発光素子は、格子状に配置されている、上記[1]〜[3]のいずれか1つに記載の発光装置。
【0012】
[5]前記複数の第2の発光素子は、前記第2のピーク波長が異なる発光素子で構成される、上記[1]〜[4]のいずれか1つに記載の発光装置。
【0013】
[6]前記蛍光体層は、前記第1の発光素子上に設けられ、前記複数の蛍光体を所定の濃度で含有する第1の蛍光体層と、前記第2の発光素子上に設けられ、前記複数の蛍光体を前記所定の濃度より低い濃度で含有する第2の蛍光体層を含んで構成される、上記[1]〜[5]のいずれか1つに記載の発光装置。
【0014】
[7] 前記第1の発光素子の前記第1のピーク波長は、前記第2の発光素子の前記第2のピーク波長より短波長であり、前記蛍光体層は、前記第1の発光素子上に設けられ、前記複数の蛍光体のうち短波長の出射光を出射する第3の蛍光体層と、前記第2の発光素子上に設けられ、前記複数の蛍光体うち長波長の出射光を出射する第4の蛍光体層を含んで構成される、上記[1]〜[6]のいずれか1つに記載の発光装置。
【0015】
上記目的を達成するために本発明は、下記[8]及び[9]の発光装置の製造方法を提供する。
【0016】
[8]上記[1]〜[7]のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法であって、前記蛍光体層、及び前記第1より第4の蛍光体層は、前記第1及び第2の発光素子上、及び前記複数の第1及び第2の発光素子上に塗布により形成される、発光装置の製造方法。
【0017】
[9]前記塗布は、プリント印刷によって実行される、上記[8]に記載の発光装置の製造方法。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、発光素子及び蛍光体層から出射される光の合成によって形成される発光スペクトルのディップを浅くして、太陽光に近い発光スペクトルが得られるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、第1の実施の形態に係る発光装置の斜視図である。
図2図2(a)は、第1の実施の形態に係る発光装置の上面図であり、図2(b)は図2(a)の線分A−Aにおいて切断された発光装置の垂直断面図である。
図3図3(a)は、実施例1に係る発光装置の第1の発光素子と蛍光体層の合成発光スペクトルの例を示し、図3(b)は、実施例1に係る発光装置の第2の発光素子の発光スペクトルの例を示し、図3(c)は、実施例1に係る発光装置の発光スペクトルの例を示す。
図4図4(a)は、実施例2の第1の発光素子と蛍光体層の合成発光スペクトルの例を示し、図4(b)は、実施例2に係る変形例の発光装置の第2の発光素子の発光スペクトルの例を示し、図4(c)は、実施例2に係る発光装置の変形例の発光スペクトルの例を示す。
図5図5は、第2の実施の形態に係る発光装置の平面図である。
図6図6は、第3の実施の形態に係る発光装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
〔第1の実施の形態〕
図1は、第1の実施の形態に係る発光装置1の斜視図である。図2(a)は、蛍光体層14を省略して図示した発光装置1の平面図であり、図2(b)は、図2(a)の線分A−Aにおいて切断された発光装置1の垂直断面図である。
【0021】
発光装置1は、基板10と、基板10上に設置された複数の第1の発光素子11及び複数の第2の発光素子12と、複数の第1及び第2の発光素子11、12上に設けられた複数の蛍光体を含む蛍光体層14と、を有する。
【0022】
複数の第1の発光素子11と複数の第2の発光素子12は、格子状に、かつ、第1の発光素子11と第2の発光素子12で部分的に市松模様を構成するように配置されている。第1及び第2の発光素子11、12は、それぞれ少なくとも1つの発光素子から構成されていればよく、配置や配列の形態は製品設計に応じて適宜変更される。
【0023】
第1の発光素子11は、ピーク波長が青色から紫色に対応する波長帯にある出射光を出射し、第2の発光素子12は、ピーク波長が青色から紫色に対応する波長帯にあり、第1の発光素子11から出射される出射光のピーク波長より長波長の出射光を出射する。ここで、第1及び第2の発光素子11、12は、出射光のピーク波長の差が30nm以内となっていることにより、発光色が近似していることが好ましく、更にはピーク波長の差が15nm〜20nmとなっていることが最も好ましい。
【0024】
蛍光体層14は、第1及び第2の発光素子11、12から出射される出射光を受光して、第1の発光素子11から出射される出射光のピーク波長よりも長波長側に分布し、第1及び第2の発光素子11、12から出射される出射光により形成される発光スペクトルを含んだ発光装置1の発光スペクトルを形成する、複数の蛍光体に基づく複数の波長変換光を出射する。
【0025】
第2の発光素子12は、発光装置1の発光スペクトルから第2の発光素子12から出射される出射光によって形成される発光スペクトルを除去して形成される、第1の発光素子11から出射される出射光と蛍光体層14から出射される複数の波長変換光により形成される発光スペクトルにおける、少なくも1つのディップのうち最も深いディップの深さを低減して、発光装置1の発光スペクトルを太陽光の発光スペクトルに近づけるために用いられる。
【0026】
このため、第2の発光素子12は、第1の発光素子11から出射される出射光と蛍光体層14から出射される複数の波長変換光による合成発光スペクトルにおいて、最も深いディップを形成する、2つのピーク波長(ピークの頂点の波長)の間のピーク波長を有する。この範囲のピーク波長の中でも、第1の発光素子11から出射される出射光と蛍光体層14から出射される複数の波長変換光による合成発光スペクトルにおいて最も深いディップの底の波長からのずれが、5nm以下であるものが好ましい。
【0027】
第1及び第2の発光素子11、12は、例えば、チップ基板と、発光層及びそれを挟むクラッド層を含む結晶層とを有するLEDチップである。LEDチップとしては、結晶層が上方を向いたフェイスアップ型であってもよいし、結晶層が下方を向いたフェイスダウン型であってもよい。また、レーザーダイオード等のLEDチップ以外の発光素子であってもよい。
【0028】
図2(a)、(b)において、基板10は、例えば、配線基板やリードフレームインサート基板であり、素子搭載面には、第1の発光素子11の電極11a、11b及び第2の発光素子12の電極12a、12bが接続される配線パターン13が形成されている。
【0029】
蛍光体層14は、第1及び第2の発光素子11、12に共通であり、例えば、蛍光体粒子からなる複数の蛍光体を含み、当該複数の蛍光体粒子が分散している硬化性樹脂組成物を、第1及び第2の発光素子11、12の発光面上に、例えば、プリント印刷によって塗布して硬化させることによって形成されている。複数の蛍光体は、例えば、第1及び第2の発光素子11、12から出射される出射光の一部によって励起され青色光、青緑色光、緑色光及び赤色光の波長変換光をそれぞれ出射する青色蛍光体、青緑色蛍光体、緑色蛍光体及び赤色蛍光体である。なお、蛍光体は第1及び第2の発光素子11、12の出射光によって白色光を形成し得るものであれば、特に限定されない。
【0030】
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を説明する。
【0031】
(実施例1)
図2(a)、(b)に示すように、12個の第1の発光素子11と4個の第2の発光素子12を基板10として準備した配線基板上に格子状に、かつ、第1の発光素子11と第2の発光素子12で部分的に市松模様を構成するような配列パターンで搭載し、第1の発光素子11の電極11a、11b及び第2の発光素子12の電極12a、12bと基板10上の配線パターン13を接続した。
【0032】
次に、図2(b)に示すように、第1の発光素子11と第2の発光素子12上に、(Sr,Ca,Ba)10(PO4)Cl2:Euからなる青色蛍光体、(Sr,Ca,Ba)10(PO4)Cl2:Euからなる青緑色蛍光体、(Si,Al)(O,N):Eu2+からなる緑色蛍光体及びCuAlSiN:Eu2+からなる赤色蛍光体の蛍光体粒子がエポキシ樹脂等に分散している硬化性樹脂組成物を、例えば、プリント印刷により塗布して硬化させることによって蛍光体層14を形成し、発光装置1とした。
【0033】
ここで、第1の発光素子11として、ピーク波長が405nmの出射光を出射する紫色LEDを用い、第2の発光素子12として、ピーク波長が420nmの青紫色LEDを用いた。
【0034】
図3(a)は第1の発光素子11のみから出射光を出射させ、その出射光の一部によって青色蛍光体、青緑色蛍光体、緑色蛍光体及び赤色蛍光体を励起して、蛍光体層14から青色光、青緑色光、緑色光及び赤色光の波長変換光を出射させて、白色光を形成したときの合成発光スペクトルである。この図において、第1の発光素子11から出射される出射光と蛍光体層14から出射される青色光、青緑色光、緑色光及び赤色光の波長変換光による発光スペクトルにおける最も深いディップの底(矢印で示される)の波長はおよそ420nmである。また、最も深いディップを形成する2つのピークのうちの、短波長側のピーク(第1の発光素子11から出射される出射光の発光スペクトルのピーク)のピーク波長はおよそ398nmであり、長波長側のピーク(蛍光体層14から出射される複数の波長変換光の発光スペクトルのピーク)のピーク波長はおよそ453nmである。
【0035】
図3(b)は第2の発光素子12から出射される出射光の発光スペクトルである。この図から分かるように、第2の発光素子12は、ピーク波長が、図3(a)の発光スペクトルにおける、398nmより大きく、453nmよりも小さい範囲R内であり、また、最も深いディップの底の波長420nmからのずれが5nm以内、すなわち415nm以上425nm以下である発光素子となっている。
【0036】
図3(c)は第1及び第2の発光素子11、12から出射光を出射させ、これらの出射光の一部によって青色蛍光体、青緑色蛍光体、緑色蛍光体及び赤色蛍光体を励起して、蛍光体層14から青色光、青緑色光、緑色光及び赤色光の波長変換光を出射させて、白色光を形成したとき、すなわち発光装置1の発光スペクトルである。この図から分かるように発光装置1の発光スペクトルのうち、389nm〜440nmの波長帯域を第1及び第2の発光素子11、12から出射される出射光の発光スペクトルで形成し、440nm〜700nmの波長帯域を蛍光体層14から出射される青色光、青緑色光、緑色光及び赤色光の波長変換光の発光スペクトルで形成している。このため、図3(a)の発光スペクトルの最も深いディップの深さが大幅に浅くなり、発光スペクトルが出来るだけフラットな、太陽光に近い発光スペクトルが得られる。
【0037】
(実施例2)
実施例1における発光装置1とは、第1及び第2の発光素子11、12のピーク波長と、蛍光体層14の蛍光体が異なる点を除き、略同一の構成を有する。したがって、実施例1との相違点を除き、詳細な説明は省略する。
【0038】
本実施例においては、第1の発光素子11として、ピーク波長が450nmの出射光を出射する青色LEDを用い、第2の発光素子12として、ピーク波長が475nmの青緑色LEDを用いた。
【0039】
また、蛍光体層14の含有される蛍光体として、LuAl12:Ce3+あるいはYAl12:Ce3+からなる緑色蛍光体及びCaAlSiN:Eu2+からなる赤色蛍光体の蛍光体粒子を用いた。
【0040】
図4(a)第1の発光素子11のみから出射光を出射させ、その出射光の一部によって緑色蛍光体及び赤色蛍光体を励起して、蛍光体層14から緑色光及び赤色光の波長変換光を出射させて、白色光を形成したときの合成発光スペクトルである。この図において、第1の発光素子11から出射される出射光と蛍光体層14から出射される緑色光及び赤色光の波長変換光による発光スペクトルにおける最も深いディップの底(矢印で示される)の波長はおよそ482nmである。また、最も深いディップを形成する2つのピークのうちの、短波長側のピーク(第1の発光素子11から出射される出射光の発光スペクトルのピーク)のピーク波長はおよそ452nmであり、長波長側のピーク(蛍光体層14から出射される複数の波長変換光の発光スペクトルのピーク)のピーク波長はおよそ547nmである。
【0041】
図4(b)は第2の発光素子12から出射される出射光の発光スペクトルである。この図から分かるように、第2の発光素子12は、ピーク波長が、図3(a)の発光スペクトルにおける、452nmより大きく、547nmよりも小さい範囲R内であり、また、最も深いディップの底の波長482nmからのずれが5nm以内、すなわち477nm以上487nm以下である発光素子となっている。
【0042】
図4(c)は第1及び第2の発光素子11、12から出射光を出射させ、これらの出射光の一部によって緑色蛍光体及び赤色蛍光体を励起して、蛍光体層14から緑色光及び赤色光の波長変換光を出射させて、白色光を形成したとき、すなわち発光装置1の発光スペクトルである。この図から分かるように、図4(a)の発光スペクトルの最も深いディップの深さが大幅に浅くなり、発光スペクトルが出来るだけフラットな、太陽光に近い発光スペクトルが得られる。
【0043】
〔第2の実施の形態〕
図5は、第2の実施の形態に係る発光装置1の平面図である。この発光装置1は、第1の実施の形態における発光装置1と蛍光体層14の構成が異なる点を除き、略同一の構成を有する。したがって、第1の実施の形態との相違点を除き、詳細な説明は省略する。
【0044】
第2の実施の形態に係る発光装置1の蛍光体層14は、第2の発光素子12上に設けられ、第1の発光素子11上に位置する領域の蛍光体の濃度より低い蛍光体の濃度の蛍光体低濃度部15を有して構成される。
【0045】
第2の実施の形態の構成によれば、第2の発光素子12から出射される出射光の蛍光体による吸収量が減り、上述の最も深いディップを浅くするための第2の発光素子12の発光波長や発光強度の設定を容易にできる。
【0046】
〔第3の実施の形態〕
図6は、第3の実施の形態に係る発光装置1の平面図である。この発光装置1は、第1の実施の形態における発光装置1と蛍光体層14の構成が異なる点を除き、略同一の構成を有する。したがって、第1の実施の形態との相違点を除き、詳細な説明は省略する。
【0047】
第3の実施の形態に係る発光装置1の蛍光体層14は、第1の発光素子11上に設けられた、青色蛍光体、青緑色蛍光体等の短波長蛍光体を含む短波長蛍光体部14Aと、第2の発光素子12上に設けられた、緑色蛍光体、赤色蛍光体等の長波長蛍光体を含む長波長蛍光体部14Bより構成されている。
【0048】
第3の実施の形態の構成によれば、第2の発光素子12から出射される出射光の短波長蛍光体による吸収量が減り、上述の最も深いディップを浅くするための第2の発光素子12の発光波長や発光強度の設定を容易にできる。
【0049】
〔実施の形態の効果〕
上記の実施の形態によれば、第1の発光素子11から出射される出射光と蛍光体層14から出射される複数の波長変換光の発光スペクトルにおける、最も深いディップを減らすための第2の発光素子12を用いることにより、太陽光に近い発光スペクトルが得られる。
【0050】
本発明は、上記の実施の形態に限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種
々変形実施が可能である。
【0051】
また、上記の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、
実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須
であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0052】
1 発光装置
10 基板
11 第1の発光素子
12 第2の発光素子
12a、12b 電極
13 配線パターン
14 蛍光体層
14A 短波長蛍光体部
14B 長波長蛍光体部
15 蛍光体低濃度部
図1
図2
図3
図4
図5
図6