特許第6783993号(P6783993)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6783993-ウエザストリップ 図000005
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6783993
(24)【登録日】2020年10月27日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】ウエザストリップ
(51)【国際特許分類】
   B60J 10/15 20160101AFI20201102BHJP
   B60J 10/24 20160101ALI20201102BHJP
   B60J 10/33 20160101ALI20201102BHJP
   B60J 10/84 20160101ALI20201102BHJP
   B60J 10/82 20160101ALI20201102BHJP
   C08L 23/16 20060101ALI20201102BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20201102BHJP
【FI】
   B60J10/15
   B60J10/24
   B60J10/33
   B60J10/84
   B60J10/82
   C08L23/16
   C08K3/04
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-508604(P2018-508604)
(86)(22)【出願日】2017年2月23日
(86)【国際出願番号】JP2017006804
(87)【国際公開番号】WO2017169359
(87)【国際公開日】20171005
【審査請求日】2018年3月7日
(31)【優先権主張番号】特願2016-69923(P2016-69923)
(32)【優先日】2016年3月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096116
【弁理士】
【氏名又は名称】松原 等
(72)【発明者】
【氏名】田中 光恵
(72)【発明者】
【氏名】栗本 英一
【審査官】 久保 道弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−155386(JP,A)
【文献】 特開2003−147133(JP,A)
【文献】 特開2011−016978(JP,A)
【文献】 特開2012−219119(JP,A)
【文献】 特開2014−181266(JP,A)
【文献】 特開2007−169527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 23/00−23/36
C08K 3/00−3/40
B60J 10/00−10/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
未加硫状態で、エチレン−αオレフィン非共役ジエン共重合体ポリマー100質量部に対して、カーボンブラック40〜140質量部と、比重1.8以下でエチレン含有量70wt%以下の重合体と比重1.8以下でエチレン含有量70wt%以上の重合体を少なくとも各1種類以上合計5〜50質量部が配合され、熱可塑性樹脂は配合されていないゴム組成物であって、
前記比重1.8以下でエチレン含有量70wt%以下の重合体が、架橋反応点となる非共役ジエン由来の二重結合を有しないエチレンプロピレンゴムであって、該エチレンプロピレンゴムの配合量がエチレン−αオレフィン非共役ジエン共重合体ポリマー100質量部に対して0.5質量部以上であり、
前記比重1.8以下でエチレン含有量70wt%以上の重合体が、架橋反応点となる非共役ジエン由来の二重結合を有しないエチレン・α−オレフィン・コポリマー(但し、前記比重1.8以下でエチレン含有量70wt%以下の重合体である、架橋反応点となる非共役ジエン由来の二重結合を有しないエチレンプロピレンゴムを除く。)であって、該エチレン・α−オレフィン・コポリマーの配合量がエチレン−αオレフィン非共役ジエン共重合体ポリマー100質量部に対して0.5質量部以上であり、
加硫状態で、体積固有抵抗値1.0E+6Ωcm以上、比重1.30未満である前記ゴム組成物の加硫物により、少なくともウエザストリップの車体への取付基部が形成されていることを特徴とするウエザストリップ。
【請求項2】
前記エチレン・α−オレフィン・コポリマーが、エチレン−1−ブテン・コポリマー、エチレン−1−ヘキセン・コポリマー、エチレン−4−メチル−1−ペンテン・コポリマー、エチレン−1−オクテン・コポリマー、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン・コポリマー、エチレン−1−ブテン−4−メチル−1−ペンテン・コポリマー、及び、エチレン−1−ブテン−1−オクテン・コポリマーから選ばれることを特徴とする請求項1に記載のウエザストリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はウエザストリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の車体において、ウエザストリップを取り付けた鋼板の被取付部位が電食による腐食が発生し、錆びたりすることが知られている。すなわちウエザストリップに用いられているゴム材料はカーボンブラックを多く含むため通電しやすい。このウエザストリップが鋼板の被取付部位と接触し、ゴム材料が貴の電位体として働き、鋼が卑の電位体として働くため、その接触の周辺に雨水や洗浄水等の通電性の液体が付着すると、局部電池が形成されて電流が流れ、卑である鋼がイオン化して酸化したり溶出したりするのである。
【0003】
また、近年の燃費向上を目的とした車体の軽量化のニーズの高まりから、車体に従来の鋼鉄からより軽いアルミニウム合金等の軽金属を採用することが次第に増えてきている。しかし、アルミニウムは鋼よりも卑であるため、鋼よりも電食を発生させやすく、ウエザストリップが接触する被取付部の電食に対する懸念の高まりは必至である。
【0004】
そこで、この電食を発生させないウエザストリップが必要とされている。特許文献1には、エチレン・プロピレンゴム製のウエザストリップにおいて、通常ではカーボンブラックの添加により表面電気抵抗率1.0E+4〜1.0E+5Ωcmのものが汎用されているのに対し、カーボンブラックの配合量を少なくして表面電気抵抗率を1.0E+6Ωcm以上にすると、アルミニウム合金製部材の錆びをほぼ防げることが記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、カーボンブラックを含有するエチレン−αオレフィン−非共役ジエン共重合体ゴム組成物の表面電気抵抗値が1.0E+4〜1.0E+6Ωcmと比較的低くても、未加硫ゴム組成物の粘弾性特性の指標である複素弾性率の変化率が所定地値以上となるようなゴム練り状態とすることにより、アルミニウム合金を長期にわたって腐食させないウエザストリップが得られることが記載されている。
【0006】
なお、特許文献3には、エチレンプロピレンゴム製のウエザストリップにおいて補強材としてカーボンブラックと白色フィラーを配合したものが記載されている。白色フィラーは、上記電食の観点からではなくカーボンブラックの配合による黒色艶を消すために配合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第2610165号公報
【特許文献2】特開2005−41986号公報
【特許文献3】特開平8−143784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1のように、補強材としてカーボンブラックの配合量を少なくすると、補強作用が弱くなりウエザストリップの押出し肌が悪化したり押出し後の収縮が顕著となる等の問題がある。
【0009】
そこで本発明者らは、艶消しのための特許文献3の手法が結果的にウエザストリップの導電性に影響することに着目して、カーボンブラックの配合量を少なくし、絶縁物の白色フィラーを配合することにより高電気抵抗化することを検討した。
【0010】
しかし、白色フィラーとして一般的な酸化ケイ素、炭酸カルシウム、タルク、クレー等の白色フィラーを配合することにより高電気抵抗化することは確認できたが、これらの白色フィラーはゴムに配合される他の材料よりも比重が高いため(たとえば、カーボンブラックは比重1.8〜2.1であるのに対して、炭酸カルシウムは比重2.7〜2.9)、ゴム組成物の比重が高まり、ウエザストリップが重くなってしまい、結果として自動車の軽量化の要請にマッチしない。
【0011】
本発明は、高電気抵抗化による車体の電食防止と低比重化による軽量化の両効果を奏するウエザストリップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のウエザストリップは、未加硫状態で、エチレン−αオレフィン非共役ジエン共重合体ポリマー100質量部に対して、カーボンブラック40〜140質量部と、比重1.8以下でエチレン含有量70wt%以下の重合体と比重1.8以下でエチレン含有量70wt%以上の重合体を少なくとも各1種類以上合計5〜50質量部が配合され、熱可塑性樹脂は配合されていないゴム組成物であって、
前記比重1.8以下でエチレン含有量70wt%以下の重合体が、架橋反応点となる非共役ジエン由来の二重結合を有しないエチレンプロピレンゴムであって、該エチレンプロピレンゴムの配合量がエチレン−αオレフィン非共役ジエン共重合体ポリマー100質量部に対して0.5質量部以上であり、
前記比重1.8以下でエチレン含有量70wt%以上の重合体が、架橋反応点となる非共役ジエン由来の二重結合を有しないエチレン・α−オレフィン・コポリマー(但し、前記比重1.8以下でエチレン含有量70wt%以下の重合体である、架橋反応点となる非共役ジエン由来の二重結合を有しないエチレンプロピレンゴムを除く。)であって、該エチレン・α−オレフィン・コポリマーの配合量がエチレン−αオレフィン非共役ジエン共重合体ポリマー100質量部に対して0.5質量部以上であり、
加硫状態で、体積固有抵抗値1.0E+6Ωcm以上、比重1.30未満である前記ゴム組成物の加硫物により、少なくともウエザストリップの車体への取付基部が形成されていることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、エチレンーαオレフィンー非共役ジエン共重合体ゴム組成物の体積固有抵抗が1.0E+6Ωcm以上であることにより、車体の電食を防止することが出来るとともに、該ゴム組成物の比重が1.30未満であることにより、ウエザストリップの軽量化を果たすことが出来る。当該体積固有抵抗の上限は、特に限定されないが、あえていえば1.0E+15Ωcmである。また、当該比重の下限は、特に限定されないが、あえて言えば0.80である。
【0018】
比重1.8以下のエチレン含有量70wt%以下の重合体と比重1.8以下のエチレン含有量70wt%以上の重合体を少なくとも各1種類以上それぞれ0.5質量部以上、合計で5〜50質量部になるように配合されているが、エチレン含有量70wt%以下の重合体のみを配合したゴム組成物の場合には、ゴム組成物の未加硫状態での強度が不足する。未加硫状態での強度が不足すると、未加硫状態のゴム組成物を押出機に入れやすいように、練り上がったゴム生地をテープ状に切る分出し工程や、分出し工程後にテープ状のゴム生地を冷ます冷却工程でテープ状のゴム生地が切れてしまう。また、エチレン含有量70wt%以上の重合体のみを配合したゴム組成物の場合には、未加硫状態での伸びが十分でなくなってしまう。
そのため、比重1.8以下のエチレン含有量70wt%以下の重合体と比重1.8以下のエチレン含有量70wt%以上の重合体を少なくとも各1種類以上合計5〜50質量部を配合することによって、未加硫状態でも伸びと強度が十分なゴム組成物となる。また、エチレン含有量70wt%以下の重合体とエチレン含有量70wt%以上の重合体の比重がともに1.8以下のため、ゴム組成物から成形したウエザストリップの低比重化による軽量化を達成することができる。
【0019】
本発明における各要素の詳細などを以下に説明する。
【0020】
1.エチレン−αオレフィン−非共役ジエン共重合体(以下「EPDM」と記す。)ポリマー
αオレフィンとしては、特に限定されないが、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンなどを例示することができる。この中ではプロピレンが好ましい。
非共役ジエンとしては、特に限定されないが、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネンなどを例示することができる。
【0021】
2.カーボンブラック
カーボンブラックとしては、特に限定されないが、一般的に知られているもの(市販品など)を適宜使用することができ、SRF、GPF、FEF、MAF、HAF、ISAF、SAF、FT、MTなどを例示することができる。
【0022】
3.重合体
比重1.8以下でエチレン含有量70wt%以下の重合体としては、一般的に知られていもの(市販品など)、例えばEPM、EPDM、などの中でも好ましい、架橋反応点となる非共役ジエン由来の二重結合を有しないエチレンプロピレンゴムを用いる。
また、比重1.8以下でエチレン含有量70wt%以上の重合体としては、一般的に知られているもの(市販品など)の中でも望ましいポリオレフィンエラストマーとして、エチレン・α−オレフィン・コポリマー(例えばエチレン−1−ブテン・コポリマー、エチレン−1−ヘキセン・コポリマー、エチレン−4−メチル−1−ペンテン・コポリマー、エチレン−1−オクテン・コポリマー、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン・コポリマー、エチレン−1−ブテン−4−メチル−1−ペンテン・コポリマー、エチレン−1−ブテン−1−オクテン・コポリマー)を用いる。
【0023】
4.ウエザストリップ
ウエザストリップとしては、特に限定されないが、車体の開口部や窓枠に取り付けられるウエザストリップを例示できる。
ウエザストリップの車体への取付基部としては、特に限定されないが、断面略コ字形や略U字形の取付基部であるトリム部を例示できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明のウエザストリップは、高電気抵抗化による車体の電食防止と低比重化による軽量化を両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施例のウエザストリップの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
EPDMポリマー100質量部に対して、カーボンブラック40〜140質量部と、エチレン含有量70wt%以下の重合体とエチレン含有量70wt%以上の重合体を合計5〜50質量部が配合され(熱可塑性樹脂は配合されていない)、体積固有抵抗1.0E+6Ωcm以上、比重1.30未満であるエチレン−αオレフィン−非共役ジエン共重合体ゴム組成物で、少なくとも車体への取付基部が形成されているウエザストリップである。
【実施例】
【0027】
図1(a)に示す実施例は、自動車のトランク開口部周縁11に設けられている被取付部としてのフランジ12に取り付けられるウエザストリップ1である。図1(b)に示す実施例は、自動車のルーフの被取付部としてのチャンネル部15に取り付けられるウエザストリップ31である。
【0028】
まず、これらの実施例に用いるために作製した実施例のEPDMゴム組成物と、比較例のEPDMゴム組成物の配合組成を表1、表2及び表3に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
表1、表2及び表3中の各材料には、次の商品を用いた。
・EPDMはダウケミカル日本株式会社の商品名「NORDEL IP 4570」
・カーボンブラックは朝日カーボン株式会社の商品名「旭#60」
・可塑剤は出光興産株式会社の商品名「ダイアナプロセスオイルPS−380」
・炭酸カルシウムは備北粉化工業株式会社の商品名「ホワイトンB」(比重2.7)
・白色系機能フィラーとしてのカオリン質クレーとしてはアクティブミネラルズ株式会社の商品名「CROWNCRAY」
・重合体aはJSR株式会社のエチレンプロピレンゴム:商品名「JSR EP11」 エチレン含量:52wt% 比重:0.86
・重合体bはダウケミカル日本株式会社のポリオレフィンエラストマー:商品名「エンゲージ 8480」 エチレン含量:77wt% 比重:0.904
・酸化亜鉛は井上石灰工業株式会社の商品名「META−Z 102」
・ステアリン酸は花王株式会社の商品名「ルナックS−50V」
・成形性向上剤は三洋化成工業株式会社の商品名「PEG 4000S」
・脱泡剤は近江化学工業の商品名「CML#31」
・加硫剤としての粉末硫黄は細井化学工業株式会社の商品名「微粉硫黄325Mesh」
・加硫促進剤はラインケミージャパン株式会社の商品名「レノキュアNPV/C」、大内新興化学工業株式会社の商品名「ノクセラーBZ」、「ノクセラーM」、及び「ノクセラーTT」の混合
【0033】
実施例1〜3は、重合体aと重合体bの配合比を変えたものである。
実施例4〜6は、実施例1〜3に対して、亜鉛華と脱泡材の配合を増やしたものである。
実施例7、8は、実施例6に対して、重合体aと重合体bの配合比を変えたものである。
実施例9は、実施例2に対して、可塑剤(オイル)の配合を減らし、炭酸カルシウムとカオリン質クレーの配合を増やしたものである。
実施例10〜12は、実施例9に対して、重合体aと重合体bの配合量を変えたものである。
【0034】
実施例及び比較例の各EPDMゴム組成物は、混練機により混練した後、170℃で10分間加硫処理して試験片を作製した。そして、この試験片を用いて、JIS K6911に準拠して体積固有抵抗を、JIS K6268に準拠して比重をそれぞれ測定した。また、ゴムの混錬工程における分出し(オープンロール)・冷却(バッチオフ)作業でのテープ状に加工したゴム組成物の切れの有無を調べた。分出し・冷却作業の両方でテープ切れがないものを良(○)、分出し・冷却作業のどちらかでテープ切れが起きたものを可(△)、分出し・冷却作業の両方でテープ切れが起きたものを不可(×)と評価した。その結果を上記の表1、表2及び表3に記す。
【0035】
実施例1〜12のゴム組成物は、体積固有抵抗値が1.0E+6Ωcm以上であり、比重1.30未満、テープ切れの評価がいずれも良であった。
【0036】
比較例1−1、1−2、2−1、2−2、5、6、8、9のゴム組成は、ゴム組成物中に配合されている重合体が1種類のためにテープ切れが起こった。
【0037】
比較例3のゴム組成部の体積固有抵抗が3.2E+4Ωcmとなっているのは、カオリン質クレーや重合体aと重合体bが配合されていないためと考えられる。
【0038】
比較例4の比重が1.30、比較例7の比重が1.32となっているのはカオリン質クレーを多く配合しているために比重が高くなっていると考えられる。
【0039】
実施例1〜12のゴム組成物を用いて、図1(a)(b)に示すウエザストリップが製造された。
【0040】
図1(a)に示すトランク開口部用のウエザストリップ1は、鋼板製又はアルミニウム合金板製のフランジ12に取り付けられる断面略コ字形の取付基部であるトリム部2と、トランクリッド13に当接してその間をシールする中空状の中空シール部3と、トランク開口部周縁面11に当接してその間をシールするシールリップ部4とを有している。トリム部2は、車外側側壁と車内側側壁と底壁で断面略コ字形をなし、車外側側壁と車内側側壁の各内面からフランジ保持リップ21が突設されている。トリム部2の内部には補強用の板金製又は樹脂製のインサート22が埋設されている。また、前記シールリップ4は、車外側側壁と車内側側壁の各外面から突設されている。
【0041】
トリム部2とそのフランジ保持リップ21(ハッチング領域)は、実施例1〜12のEPDMゴム組成物により、また、中空シール部3とシールリップ部4はスポンジゴム組成物により、共押出成形されて、ウエザストリップ1が製造されている。
【0042】
断面略コ字形の内部にフランジ12を挿入させるようにして、上方からトリム部2をフランジ12に押し込むと、フランジ保持リップ21がフランジ12を保持するため、ウエザストリップ1をフランジ12に取り付けることが出来る。フランジ12に接触するトリム部2とそのフランジ保持リップ21が高電気抵抗のEPDMゴム組成物で形成されているため、フランジ12の電食を防止することができるとともに、ウエザストリップ1を軽量化することが出来る。
【0043】
図1(b)に示すルーフ部用のウエザストリップ31は、鋼板製又はアルミニウム合金板製のチャンネル部15に挿入されて挟持される略板状の取付基部32と、サンルーフガラス16の周縁保護材17側に当接してその間をシールする中空シール部33とを有している。
【0044】
取付基部32と中空シール部33の一部(ハッチング領域)は、実施例1〜12のEPDMゴム組成物により、また、中空シール部33の残部はスポンジゴム組成物により共押出成形されてウエザストリップ31が製造されている。
【0045】
この実施例によっても、チャンネル部15に接触する取付基部32と中空シール部33の一部が高電気抵抗のEPDMゴム組成物で形成されているため、チャンネル部15の電食を防止することが出来るとともに、ウエザストリップ31を軽量化することが出来る。
【0046】
なお、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することも出来る。
【符号の説明】
【0047】
1 ウエザストリップ
2 トリム部
12 フランジ
15 チャンネル部
21 フランジ保持リップ
22 インサート
31 ウエザストリップ
32 取付基部
図1