【実施例】
【0027】
図1(a)に示す実施例は、自動車のトランク開口部周縁11に設けられている被取付部としてのフランジ12に取り付けられるウエザストリップ1である。
図1(b)に示す実施例は、自動車のルーフの被取付部としてのチャンネル部15に取り付けられるウエザストリップ31である。
【0028】
まず、これらの実施例に用いるために作製した実施例のEPDMゴム組成物と、比較例のEPDMゴム組成物の配合組成を表1、表2及び表3に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
表1、表2及び表3中の各材料には、次の商品を用いた。
・EPDMはダウケミカル日本株式会社の商品名「NORDEL IP 4570」
・カーボンブラックは朝日カーボン株式会社の商品名「旭#60」
・可塑剤は出光興産株式会社の商品名「ダイアナプロセスオイルPS−380」
・炭酸カルシウムは備北粉化工業株式会社の商品名「ホワイトンB」(比重2.7)
・白色系機能フィラーとしてのカオリン質クレーとしてはアクティブミネラルズ株式会社の商品名「CROWNCRAY」
・重合体aはJSR株式会社のエチレンプロピレンゴム:商品名「JSR EP11」 エチレン含量:52wt% 比重:0.86
・重合体bはダウケミカル日本株式会社のポリオレフィンエラストマー:商品名「エンゲージ 8480」 エチレン含量:77wt% 比重:0.904
・酸化亜鉛は井上石灰工業株式会社の商品名「META−Z 102」
・ステアリン酸は花王株式会社の商品名「ルナックS−50V」
・成形性向上剤は三洋化成工業株式会社の商品名「PEG 4000S」
・脱泡剤は近江化学工業の商品名「CML#31」
・加硫剤としての粉末硫黄は細井化学工業株式会社の商品名「微粉硫黄325Mesh」
・加硫促進剤はラインケミージャパン株式会社の商品名「レノキュアNPV/C」、大内新興化学工業株式会社の商品名「ノクセラーBZ」、「ノクセラーM」、及び「ノクセラーTT」の混合
【0033】
実施例1〜3は、重合体aと重合体bの配合比を変えたものである。
実施例4〜6は、実施例1〜3に対して、亜鉛華と脱泡材の配合を増やしたものである。
実施例7、8は、実施例6に対して、重合体aと重合体bの配合比を変えたものである。
実施例9は、実施例2に対して、可塑剤(オイル)の配合を減らし、炭酸カルシウムとカオリン質クレーの配合を増やしたものである。
実施例10〜12は、実施例9に対して、重合体aと重合体bの配合量を変えたものである。
【0034】
実施例及び比較例の各EPDMゴム組成物は、混練機により混練した後、170℃で10分間加硫処理して試験片を作製した。そして、この試験片を用いて、JIS K6911に準拠して体積固有抵抗を、JIS K6268に準拠して比重をそれぞれ測定した。また、ゴムの混錬工程における分出し(オープンロール)・冷却(バッチオフ)作業でのテープ状に加工したゴム組成物の切れの有無を調べた。分出し・冷却作業の両方でテープ切れがないものを良(○)、分出し・冷却作業のどちらかでテープ切れが起きたものを可(△)、分出し・冷却作業の両方でテープ切れが起きたものを不可(×)と評価した。その結果を上記の表1、表2及び表3に記す。
【0035】
実施例1〜12のゴム組成物は、体積固有抵抗値が1.0E+6Ωcm以上であり、比重1.30未満、テープ切れの評価がいずれも良であった。
【0036】
比較例1−1、1−2、2−1、2−2、5、6、8、9のゴム組成は、ゴム組成物中に配合されている重合体が1種類のためにテープ切れが起こった。
【0037】
比較例3のゴム組成部の体積固有抵抗が3.2E+4Ωcmとなっているのは、カオリン質クレーや重合体aと重合体bが配合されていないためと考えられる。
【0038】
比較例4の比重が1.30、比較例7の比重が1.32となっているのはカオリン質クレーを多く配合しているために比重が高くなっていると考えられる。
【0039】
実施例1〜12のゴム組成物を用いて、
図1(a)(b)に示すウエザストリップが製造された。
【0040】
図1(a)に示すトランク開口部用のウエザストリップ1は、鋼板製又はアルミニウム合金板製のフランジ12に取り付けられる断面略コ字形の取付基部であるトリム部2と、トランクリッド13に当接してその間をシールする中空状の中空シール部3と、トランク開口部周縁面11に当接してその間をシールするシールリップ部4とを有している。トリム部2は、車外側側壁と車内側側壁と底壁で断面略コ字形をなし、車外側側壁と車内側側壁の各内面からフランジ保持リップ21が突設されている。トリム部2の内部には補強用の板金製又は樹脂製のインサート22が埋設されている。また、前記シールリップ4は、車外側側壁と車内側側壁の各外面から突設されている。
【0041】
トリム部2とそのフランジ保持リップ21(ハッチング領域)は、実施例1〜12のEPDMゴム組成物により、また、中空シール部3とシールリップ部4はスポンジゴム組成物により、共押出成形されて、ウエザストリップ1が製造されている。
【0042】
断面略コ字形の内部にフランジ12を挿入させるようにして、上方からトリム部2をフランジ12に押し込むと、フランジ保持リップ21がフランジ12を保持するため、ウエザストリップ1をフランジ12に取り付けることが出来る。フランジ12に接触するトリム部2とそのフランジ保持リップ21が高電気抵抗のEPDMゴム組成物で形成されているため、フランジ12の電食を防止することができるとともに、ウエザストリップ1を軽量化することが出来る。
【0043】
図1(b)に示すルーフ部用のウエザストリップ31は、鋼板製又はアルミニウム合金板製のチャンネル部15に挿入されて挟持される略板状の取付基部32と、サンルーフガラス16の周縁保護材17側に当接してその間をシールする中空シール部33とを有している。
【0044】
取付基部32と中空シール部33の一部(ハッチング領域)は、実施例1〜12のEPDMゴム組成物により、また、中空シール部33の残部はスポンジゴム組成物により共押出成形されてウエザストリップ31が製造されている。
【0045】
この実施例によっても、チャンネル部15に接触する取付基部32と中空シール部33の一部が高電気抵抗のEPDMゴム組成物で形成されているため、チャンネル部15の電食を防止することが出来るとともに、ウエザストリップ31を軽量化することが出来る。
【0046】
なお、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することも出来る。