特許第6783994号(P6783994)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6783994電圧測定装置、電圧検出回路、及び電圧検出方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6783994
(24)【登録日】2020年10月27日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】電圧測定装置、電圧検出回路、及び電圧検出方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/48 20060101AFI20201102BHJP
   B60L 58/20 20190101ALI20201102BHJP
   G01R 31/396 20190101ALI20201102BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20201102BHJP
   H04L 12/423 20060101ALI20201102BHJP
【FI】
   H01M10/48 P
   B60L58/20
   G01R31/396
   H02J7/02 H
   H04L12/423
【請求項の数】17
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2020-501036(P2020-501036)
(86)(22)【出願日】2019年2月21日
(86)【国際出願番号】JP2019006585
(87)【国際公開番号】WO2019163898
(87)【国際公開日】20190829
【審査請求日】2020年6月25日
(31)【優先権主張番号】特願2018-30767(P2018-30767)
(32)【優先日】2018年2月23日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520133916
【氏名又は名称】ヌヴォトンテクノロジージャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】羽谷 尚久
(72)【発明者】
【氏名】三宅 二郎
【審査官】 杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−50176(JP,A)
【文献】 特開2013−236372(JP,A)
【文献】 特開2014−103785(JP,A)
【文献】 特表2017−500837(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0264881(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0346308(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 58/20
G01R 31/396
H01M 10/48
H02J 7/02
H04L 12/423
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列に接続された複数のセルを対象としてセル電圧を測定する複数の電圧検出回路を備える電圧測定装置であって、
前記電圧検出回路は、
前記複数の電圧検出回路のうちの何れかの電圧検出回路を通信終端位置として指定する通信終端情報を保持する通信終端情報保持回路と、
前記通信終端情報に応じて、前段の電圧検出回路から受信した通信コマンドを次段の電圧検出回路に送信する転送を制御する通信制御回路と、を備える
電圧測定装置。
【請求項2】
前記通信制御回路は、
前記通信終端情報が自身の電圧検出回路を指定していない場合は前記転送を許容し、
前記通信終端情報が自身の電圧検出回路を指定している場合は前記転送を禁止する
請求項1に記載の電圧測定装置。
【請求項3】
前記複数の電圧検出回路は、互いに逆向きとなる第1方向および第2方向からなる双方向に通信可能にデイジーチェーン接続され、
前記通信制御回路は、前記第1方向における前記転送、および、前記第2方向における前記転送のそれぞれについて、前記通信終端情報に応じて許容するか禁止するかを制御する
請求項1または2に記載の電圧測定装置。
【請求項4】
前記通信制御回路は、前段の電圧検出回路から通信コマンドを受信したとき、当該前段の電圧検出装置へのリプライの送信を制御する
請求項1から3の何れか1項に記載の電圧測定装置。
【請求項5】
前記電圧測定装置は、前記複数の電圧検出回路のうちの最下段の前記電圧検出回路に接続され、かつ、最上段の前記電圧検出回路に接続され、前記通信コマンドの送信と前記リプライの受信を行うコントローラを備える
請求項4に記載の電圧測定装置。
【請求項6】
前記通信終端情報は、前記通信終端位置として第1通信終端位置を指定する上側通信終端情報と、前記通信終端位置として第2通信終端位置を指定する下側通信終端情報とを含み、
前記通信制御回路は、前記第1方向に流れる前記通信コマンドの前記転送について前記上側通信終端情報に応じて許容するか禁止するかを制御し、前記第2方向に流れる前記通信コマンドの前記転送について前記下側通信終端情報に応じて許容するか禁止するかを制御する
請求項3に記載の電圧測定装置。
【請求項7】
前記第1方向は、前記複数のセルのうちマイナス側の最終端のセルに対応する電圧検出回路を最下段とし、前記複数のセルのうちプラス側の最終端のセルに対応する電圧検出回路を最上段としたとき、最上段から最下段に向って前記通信コマンドが流れる方向である
請求項6に記載の電圧測定装置。
【請求項8】
前記第1方向は、前記複数のセルのうちマイナス側の最終端のセルに対応する電圧検出回路を最下段とし、前記複数のセルのうちプラス側の最終端のセルに対応する電圧検出回路を最上段としたとき、最下段から最上段に向って前記通信コマンドが流れる方向である
請求項6に記載の電圧測定装置。
【請求項9】
前記通信制御回路は、
(1)前記第1方向に流れる前記通信コマンドの前記転送について前記上側通信終端情報に応じて許容するか禁止するかを制御し、前記第2方向に流れる前記通信コマンドの前記転送について前記下側通信終端情報に応じて許容するか禁止するかを制御する第1動作モードと、
(2)前記第1方向に流れる前記通信コマンドの前記転送について前記下側通信終端情報に応じて許容するか禁止するかを制御し、前記第2方向に流れる前記通信コマンドの前記転送について前記上側通信終端情報に応じて許容するか禁止するかを制御する第2動作モードと、を選択的に切り替える
請求項6から8の何れか1項に記載の電圧測定装置。
【請求項10】
前記通信制御回路は、
前段の電圧検出回路から受信した通信コマンドが同報通信コマンドである場合、前記通信終端情報に応じて、前記同報通信コマンドに対するリプライを前段の電圧検出回路に送信することを許容するか禁止するかを制御する
請求項4に記載の電圧測定装置。
【請求項11】
前記通信制御回路は、
前記通信終端情報が自身の電圧検出回路を指定していない場合は、前記同報通信コマンドに対する前記リプライの送信を禁止し、
前記通信終端情報が自身の電圧検出回路を指定している場合は、前記同報通信コマンドに対する前記リプライの送信を許容する
請求項10に記載の電圧測定装置。
【請求項12】
前記通信制御回路は、前段の電圧検出回路から受信した通信コマンドが自身の電圧検出回路を対象とするとき、次段の電圧検出装置へのダミーリプライを送信するよう制御する
請求項4に記載の電圧測定装置。
【請求項13】
前記通信制御回路は、前段の電圧検出回路からダミーリプライを受信したとき、前記通信終端情報が自身の電圧検出回路を指定している場合は、次段の電圧検出装置へのダミーリプライの送信を禁止し、前記通信終端情報が自身の電圧検出回路を指定していない場合は、次段の電圧検出装置へのダミーリプライの送信を許容する
請求項12に記載の電圧測定装置。
【請求項14】
前記通信制御回路は、前段の電圧検出回路から受信した通信コマンドの対象となる電圧検出回路よりも自身の電圧検出回路が後方にある場合、ダミーリプライを前段または次段の電圧検出回路に送信するよう制御する
請求項4に記載の電圧測定装置。
【請求項15】
前記電圧測定装置は、直列に接続された前記複数のセルを有する組電池を備える
請求項1から14の何れか1項に記載の電圧測定装置。
【請求項16】
直列に接続された複数のセルを対象としてセル電圧を測定する電圧測定装置に備えられる複数の電圧検出回路に含まれる1つの電圧検出回路であって、
前記複数の電圧検出回路のうちの何れかの電圧検出回路を通信終端位置として指定する通信終端情報を保持する通信終端情報保持回路と、
前記通信終端情報に応じて、前段の電圧検出回路から受信した通信コマンドを次段の電圧検出回路に送信する転送を制御する通信制御回路と、を備える
電圧検出回路。
【請求項17】
直列に接続された複数のセルを対象としてセル電圧を測定する電圧測定装置に備えられる複数の電圧検出回路における電圧検出方法であって、
前記電圧検出回路は、
少なくとも1つの前記セルからセル電圧を電池情報として取得し、
前記複数の電圧検出回路のうちの何れかの電圧検出回路を通信終端位置として指定する通信終端情報に応じて、前段の電圧検出回路から受信した通信コマンドを次段の電圧検出回路に送信する転送を制御する
電圧検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電圧測定装置、電圧検出回路、及び電圧検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図13は、従来技術の電圧測定装置であり、コントローラ(MCU)に接続されたマスターノードと電圧検出回路であるスレーブノードがリング状にデイジーチェーン接続される。
【0003】
また、図14は、従来技術のネットワークの通信動作であり、マスターからのコマンドはスレーブの最初のノードから最後のノードを通ってマスターへ転送され、指定されたスレーブからのリプライは最終のノードを通ってマスターへ転送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2017/0346308号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術では、リング状のネットワークの途中に故障がある場合、コマンドやリプライが故障箇所へ到達し、過剰な電流など電気的な異常が発生するという課題を有している。
【0006】
従来技術では、リング状のネットワークの途中に故障がある場合、コマンドやリプライが故障箇所へ到達し、過剰な電流など電気的な異常が発生するという課題を有している。
【0007】
本開示は、ネットワークの途中に故障があっても、コマンドやリプライによる過剰な電流など電気的な異常を抑制する電圧測定装置、電圧検出回路、及び電圧検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る電圧測定装置は、直列に接続された複数のセルを対象としてセル電圧を測定する複数の電圧検出回路を備える電圧測定装置であって、前記電圧検出回路は、前記複数の電圧検出回路のうちの何れかの電圧検出回路を通信終端位置として指定する通信終端情報を保持する通信終端情報保持回路と、前記通信終端情報に応じて、前段の電圧検出回路から受信した通信コマンドを次段の電圧検出回路に送信する転送を制御する通信制御回路とを備える。
【0009】
本開示の一態様に係る電圧検出回路は、直列に接続された複数のセルを対象としてセル電圧を測定する電圧測定装置に備えられる複数の電圧検出回路に含まれる1つの電圧検出回路であって、前記複数の電圧検出回路のうちの何れかの電圧検出回路を通信終端位置として指定する通信終端情報を保持する通信終端情報保持回路と、前記通信終端情報に応じて、前段の電圧検出回路から受信した通信コマンドを次段の電圧検出回路に送信する転送を制御する通信制御回路とを備える。
【0010】
本開示の一態様に係る電圧検出方法は、直列に接続された複数のセルを対象としてセル電圧を測定する電圧測定装置に備えられる複数の電圧検出回路における電圧検出方法であって、前記電圧検出回路は、前記複数の電圧検出回路のうちの何れかの電圧検出回路を通信終端位置として指定する通信終端情報に応じて、前段の電圧検出回路から受信した通信コマンドを次段の電圧検出回路に送信する転送を制御する。
【0011】
本開示の一態様は、複数のセルを直列に接続して構成される組電池を対象としてセル電圧を測定する複数の電圧検出回路とコントローラと第1の通信回路と第2の通信回路を備えた電圧測定装置であって、上記複数の電圧検出回路はデイジーチェーン接続され、上記電圧検出回路は、上側リプライ要求信号または下側リプライ要求信号が与えられるとリプライを出力するリプライ出力回路と、下側からの通信コマンドを転送する下側通信転送回路と、上側からの通信コマンドを解読して上記上側リプライ要求信号を出力する上側通信制御回路と、下側通信終端情報を保持する下側通信終端情報保持回路と、上記上側リプライ要求信号に応じて上記リプライを選択し、上記下側通信終端情報に応じて上記下側通信転送回路が転送する通信コマンドを選択し、上側へ出力する上側選択回路と、上側からの通信コマンドを転送する上側通信転送回路と、下側からの通信コマンドを解読して上記下側リプライ要求信号を出力する下側通信制御回路と、上側通信終端情報を保持する上側通信終端情報保持回路と、上記下側リプライ要求信号に応じて上記リプライを選択し、上記上側通信終端情報に応じて上記上側通信転送回路が転送する通信コマンドを選択し、下側へ出力する下側選択回路を備え、上記コントローラは上記第1の通信回路を介して最下段の上記電圧検出回路の下側に接続され、上記第2の通信回路を介して最上段の上記電圧検出回路の上側に接続され、上記通信コマンドの送信と上記リプライの受信を行う電圧測定装置である。
【0012】
本開示の一態様は、上記電圧測定装置に用いられる電圧検出回路である。
【0013】
本開示の一態様は、上記電圧測定装置と、複数のセルを直列に接続して構成される組電池によって構成される組電池システムである。
【0014】
本開示の一態様は、複数のセルを直列に接続して構成される組電池を対象としてセル電圧を測定する複数の電圧検出回路とコントローラと第1の通信回路と第2の通信回路を備え、上記複数の電圧検出回路はデイジーチェーン接続され、上記コントローラは上記第1の通信回路を介して最下段の上記電圧検出回路に接続され、上記第2の通信回路を介して最上段の上記電圧検出回路に接続され、通信コマンドの送信を行う電圧測定装置における電圧測定方法であって、上記電圧検出回路は、上側通信終端情報を保持する上側通信終端情報保持回路、および、下側通信終端情報を保持する下側通信終端情報保持回路を備え、上記コントローラが上記第1の通信回路を介して、最下段の上記電圧検出回路へ通信コマンドを送信するステップと、最下段の上記電圧検出回路が受信した通信コマンドを上記下側通信終端情報で指定される上記電圧検出回路まで転送するステップと、最下段の上記電圧検出回路が受信した通信コマンドの対象である上記電圧検出回路がリプライを下側へ送信するステップと、下側へ送信された上記リプライを上記第1の通信回路を介して上記コントローラが受信するステップと、上記コントローラが上記第2の通信回路を介して、最上段の上記電圧検出回路へ通信コマンドを送信するステップと、最上段の上記電圧検出回路が受信した通信コマンドを上記上側通信終端情報で指定される上記電圧検出回路まで転送するステップと、最上段の上記電圧検出回路が受信した通信コマンドの対象である上記電圧検出回路がリプライを上側へ送信するステップと、上側へ送信された上記リプライを上記第2の通信回路を介して上記コントローラが受信するステップからなる電圧測定検出方法である。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、ネットワークの途中に故障があっても、コマンドやリプライによる過剰な電流など電気的な異常を抑制することができる。
【0016】
例えば、本開示によると、複数のセルを直列に接続して構成される組電池システムにおいて、デイジーチェーン接続した電圧検出回路が、あらかじめ指定した電圧検出回路より先へ通信コマンドの転送行わないことにより、デイジーチェーンの両端から並列に通信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A図1Aは、実施の形態1に係る電圧測定装置および電圧検出回路を含む組電池システムの構成例を示す図である。
図1B図1Bは、実施の形態1に係る電圧検出回路および電圧測定装置を含む組電池システムの変形例を示す図である。
図2A図2Aは、実施の形態1に係る電圧検出回路構成例を示す図である。
図2B図2Bは、実施の形態1に係る電圧検出回路の第1変形例を示す図である。
図2C図2Cは、実施の形態1に係る電圧検出回路の第2変形例を示す図である。
図2D図2Dは、実施の形態1に係る電圧検出回路の第2変形例の動作例を示す図である。
図2E図2Eは、実施の形態1に係る電圧検出回路の第2変形例の動作例を示す図である。
図2F図2Fは、実施の形態1に係る電圧検出回路の他の変形例を示す図である。
図3A図3Aは、実施の形態1に係る電圧測定方法を説明する図である。
図3B図3Bは、実施の形態1に係る電圧測定方法を説明する図である。
図4図4は、実施の形態1に係る電圧検出回路、電圧測定装置、組電池システムの構成図である。
図5図5は、実施の形態1に係る電圧検出回路、電圧測定装置、組電池システムの構成図である。
図6図6は、実施の形態1に係る電圧検出回路、電圧測定装置、組電池システムの構成図である。
図7図7は、実施の形態2に係る電圧検出回路、電圧測定装置、組電池システムの構成図である。
図8図8は、実施の形態2に係る電圧検出回路、電圧測定装置、組電池システムの構成図である。
図9図9は、実施の形態3に係る電圧検出回路、電圧測定装置、組電池システムの構成図である。
図10図10は、実施の形態3に係る電圧検出回路、電圧測定装置、組電池システムの構成図である。
図11図11は、実施の形態4に係る電圧検出回路、電圧測定装置、組電池システムの構成図である。
図12図12は、実施の形態4に係る電圧検出回路、電圧測定装置、組電池システムの構成図である。
図13図13は、従来技術を説明する図である。
図14図14は、従来技術を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施の形態1)
図1A図6に示すように、実施の形態1に係る電圧検出回路、電圧測定装置100、組電池システム10、及び電圧測定方法は、複数のセル20を直列に接続して構成される組電池200を対象としてセル電圧を測定する複数の電圧検出回路とコントローラ13と、第1通信回路11と、第2通信回路12を備えた電圧測定装置100であって、上述の複数の電圧検出回路はデイジーチェーン接続され、上述の電圧検出回路は、上側リプライ要求信号または下側リプライ要求信号が与えられるとリプライを出力するリプライ出力回路22と、下側からの通信コマンドを転送する下側通信転送回路74と、上側からの通信コマンドを解読して上述の上側リプライ要求信号を出力する上側通信制御回路52と、下側通信終端情報を保持する下側通信終端情報保持回路71と、上述の上側リプライ要求信号に応じて上述のリプライを選択し、上述の下側通信終端情報に応じて上述の下側通信転送回路74が転送する通信コマンドを選択し、上側へ出力する上側選択回路53と、上側からの通信コマンドを転送する上側通信転送回路54と、下側からの通信コマンドを解読して上述の下側リプライ要求信号を出力する下側通信制御回路72と、上側通信終端情報を保持する上側通信終端情報保持回路51と、上述の下側リプライ要求信号に応じて上述のリプライを選択し、上述の上側通信終端情報に応じて上述の上側通信転送回路54が転送する通信コマンドを選択し、下側へ出力する下側選択回路73を備え、上述のコントローラ13は上述の第1通信回路11を介して最下段の上述の電圧検出回路の下側に接続され、上述の第2通信回路12を介して最上段の上述の電圧検出回路の上側に接続され、上述の通信コマンドの送信と上述のリプライの受信を行う。
【0019】
また、上述の上側選択回路53は、上述の下側通信終端情報の代わりに上述の上側通信終端情報に応じて上述の下側通信転送回路74が転送する通信コマンドを選択して、上側へ出力し、上述の下側選択回路73は、上述の上側通信終端情報の代わりに上述の下側通信終端情報に応じて上述の上側通信転送回路54が転送する通信コマンドを選択して、下側へ出力する。
【0020】
また、上述のリプライは、上述の電圧検出回路に接続されたセル20の電池情報である。
【0021】
更に、図面を参照にして詳細を説明する。
【0022】
図1Aは、実施の形態1に係る電圧測定装置100であって、特に、通信経路上に障害がある場合であり、電圧検出回路2と電圧検出回路3の間の通信経路に障害がある場合の通信コマンドとリプライを示す。また、電圧検出回路1〜5のデバイスアドレス保持回路21にはデバイスアドレスとしてそれぞれ1〜5が設定されている。
【0023】
図2Aは、実施の形態1に係る電圧検出回路の詳細図である。
【0024】
図2Aより、下側からの通信コマンドの最終適用先を示す下側通信終端情報に3を、上側からの通信コマンドの最終適用先を示す上側通信終端情報に2を設定する。
【0025】
また、MCUが第1通信回路11を介して電圧検出回路5の下側に、電圧検出回路4から電池情報を読み出す通信コマンドを送信すると、下側通信終端情報で指定されていない電圧検出回路5と電圧検出回路4は、下側通信転送回路74と上側選択回路53を介して通信コマンドを上側へ転送する。電圧検出回路3は下側通信終端情報で指定されているので、通信コマンドの転送を行わない。
【0026】
また、電圧検出回路4の下側通信制御回路72は通信コマンドを解読し、通信コマンドの対象であることを検出すると、下側リプライ要求信号を出力し、リプライ出力回路22が電池情報をリプライとして出力し、下側選択回路73がリプライを選択して下側へ出力する。出力されたリプライは、電圧検出回路5の上側通信転送回路54と下側選択回路73によって下側へ転送され、第1通信回路11を介してMCUに受信される。
【0027】
同様に、MCUが第2通信回路12を介して電圧検出回路1の上側に、電圧検出回路1から電池情報を読み出す通信コマンドを送信すると、通信コマンドは上側通信終端情報で指定される電圧検出回路2まで転送され、通信コマンドの対象である電圧検出回路1は、電池情報をリプライとして上側は出力し、第2通信回路12を介して、MCUがリプライを受信する。
【0028】
また、実施の形態1に係る電圧測定装置100は、電圧検出回路1と電圧検出回路4を通信コマンドの対象としているが、通信コマンドは上側と下側の両方からの通信により、全ての電圧検出回路へ転送されるので、任意の電圧検出回路を対象とすることができる。
【0029】
また、実施の形態1に係る電圧測定装置100は、上側通信終端情報と下側通信終端情報によって通信コマンドの転送を止めることができ、デイジーチェーン接続された電圧検出回路の途中に故障が発生した場合でも、上側と下側からの通信により、MCUから全ての電圧検出回路へ通信ができ、さらに、故障箇所への通信コマンドの到達を回避して電流増などの電気的異常の発生を防ぐことができる。
【0030】
また、上側からの通信と下側からの通信の衝突を防ぐことができるので、上側からと下側からの通信を並列して実行し、処理時間の短縮が可能である。
【0031】
通信コマンドの転送の有無を、通信コマンドの解読結果でなく、あらかじめ設定された下側通信終端情報と上側通信終端情報によって判断できるので、通信コマンドの転送を高速に行うことができる。
【0032】
次に、図3A図3Bは、実施の形態1に係る電圧測定方法を示す。図3Aは、コントローラ13が下側から通信コマンドを送信する場合であり、図3Bは、コントローラ13が上側から通信コマンドを送信する場合である。また、図4は、電圧測定装置100における動作例を示す説明図である。図中、上側通信終端情報、下側通信終端情報は、UCTI、LCTIとそれぞれ略記している。
【0033】
本実施の形態1に係る電圧測定装置は、複数のセル20を直列に接続して構成される組電池200を対象としてセル電圧を測定する複数の電圧検出回路とコントローラ13と第1通信回路11と第2通信回路12を備え、上述の複数の電圧検出回路はデイジーチェーン接続され、上述のコントローラ13は上述の第1通信回路11を介して最下段の上述の電圧検出回路に接続され、上述の第2通信回路12を介して最上段の上述の電圧検出回路に接続され、通信コマンドの送信を行う電圧測定装置であって、上述の電圧検出回路は、上側通信終端情報を保持する上側通信終端情報保持回路51、および、下側通信終端情報を保持する下側通信終端情報保持回路71を備える。
【0034】
図3A図3Bより、電圧検出方法は、上述のコントローラ13が上述の第1通信回路11を介して、最下段の上述の電圧検出回路へ通信コマンドを送信するステップ(S71)と、最下段の上述の電圧検出回路が受信した通信コマンドを上述の下側通信終端情報で指定される上述の電圧検出回路まで転送するステップ(S72)と、最下段の上述の電圧検出回路が受信した通信コマンドの対象である上述の電圧検出回路がリプライを下側へ送信するステップ(S73)と、下側へ送信された上述のリプライを上述の第1通信回路11を介して上述のコントローラ13が受信するステップ(S74)とを有する。また、電圧検出方法は、上述のコントローラ13が上述の第2通信回路12を介して、最上段の上述の電圧検出回路へ通信コマンドを送信するステップ(S51)と、最上段の上述の電圧検出回路が受信した通信コマンドを上述の上側通信終端情報で指定される上述の電圧検出回路まで転送するステップ(S52)と、最上段の上述の電圧検出回路が受信した通信コマンドの対象である上述の電圧検出回路がリプライを上側へ送信するステップ(S53)と、上側へ送信された上述のリプライを上述の第2通信回路12を介して上述のコントローラ13が受信するステップ(S54)とを有する。
【0035】
また、実施の形態1に係る組電池システム10は、上述した電圧測定装置100と、複数のセル20を直列に接続して構成される組電池200によって構成される。
【0036】
(実施の形態1の変形例)
図5に、本変形例に係る電圧検出回路のブロック図を示す。
【0037】
図2Aで示される電圧検出回路との違いは、上側選択回路53に下側通信終端情報の代わりに上側通信終端情報が入力され、下側選択回路73に上側通信終端情報の代わりに下側通信終端情報が入力されている点である。
【0038】
本変形例において、下側の電圧検出回路からの通信コマンドは、下側通信転送回路74から上側選択回路53へ転送され、上側通信終端情報で指定される電圧検出回路でない場合は、上側選択回路53で選択されて、上側の電圧検出回路へ出力される。
【0039】
また、上側の電圧検出回路からの通信コマンドは、上側通信転送回路54から下側選択回路73へ転送され、下側通信終端情報で指定される電圧検出回路でない場合は、下側選択回路73で選択されて、下側の電圧検出回路へ出力される。
【0040】
他の動作は、図2Aの電圧検出回路と同じである。
【0041】
次に、図6は、通信経路上に障害がない場合の動作例であり、図5の電圧検出回路を用いた場合の通信コマンドとリプライを示す。
【0042】
図6より、下側からの通信コマンドの最終適用先を示す下側通信終端情報に3を、上側からの通信コマンドの最終適用先を示す上側通信終端情報に2を設定する。
【0043】
また、MCUが第1通信回路11を介して電圧検出回路5の下側に、電圧検出回路4から電池情報を読み出す通信コマンドを送信すると、上側通信終端情報で指定されていない電圧検出回路5と電圧検出回路4と電圧検出回路3は、下側通信転送回路74と上側選択回路53を介して通信コマンドを上側へ転送する。電圧検出回路2は上側通信終端情報で指定されているので、通信コマンドの転送を行わない。
【0044】
また、電圧検出回路4の下側通信制御回路72は通信コマンドを解読し、通信コマンドの対象であることを検出すると、下側リプライ要求信号を出力し、リプライ出力回路22は電池情報をリプライとして出力し、下側選択回路73はリプライを選択して下側へ出力する。出力されたリプライは、電圧検出回路5の上側通信転送回路54と下側選択回路73によって下側へ転送され、第1通信回路11を介してMCUに受信される。
【0045】
同様に、MCUが第2通信回路12を介して電圧検出回路1の上側に、電圧検出回路1から電池情報を読み出す通信コマンドを送信すると、通信コマンドは下側通信終端情報で指定される電圧検出回路3まで転送され、通信コマンドの対象である電圧検出回路1は、電池情報をリプライとして上側に出力し、第2通信回路12を介して、MCUがリプライを受信する。
【0046】
本変形例では、通信経路上に異常がない場合に、デイジーチェーン接続の上側と下側から送信した通信コマンドをより先のほうへ転送することにより、各電圧検出回路の消費電流の均一化を図ることができる。
【0047】
(第1変形例)
さらに、実施の形態1における第1変形例について説明する。
【0048】
図1Bは、実施の形態1に係る電圧検出回路および電圧測定装置を含む組電池システムの変形例を示す図である。同図は、図1Aと比べて、上側通信終端情報および下側通信終端情報の代わりにそれらを共通にした通信終端情報(図中、CTI略記)を保持する点が異なっている。
【0049】
また、図2Bは、実施の形態1に係る電圧検出回路の第1変形例を示す図である。同図は、図2Aと比べて、上側通信終端情報保持回路51および下側通信終端情報保持回路71の代わりに通信終端情報保持回路31を備える点が異なっている。以下異なる点を中心に説明する。
【0050】
通信終端情報保持回路31は、上側通信終端情報および下側通信終端情報を共通の1つにした通信終端情報を保持する。
【0051】
まず、図1B図2Bにおいて下側からの通信コマンドの受信動作例について説明する。
【0052】
下側の電圧検出回路からの通信コマンドは、下側通信転送回路から上側選択回路へ転送され、通信終端情報によって指定される電圧検出回路でない場合は、上側選択回路で選択されて、上側の電圧検出回路へ出力される。例えば、通信終端情報が3の場合、最上段から3つ目の電圧検出回路は通信コマンドの転送を行わず、それより下側の電圧検出回路は上側へ通信コマンドの転送を行う。
【0053】
下側の電圧検出回路からの通信コマンドを下側通信制御回路が解読し、電圧検出回路が通信コマンドの対象である場合(通信コマンドが示すデバイスアドレスとデバイスアドレス保持回路の値が一致)、下側リプライ要求信号を出力する。リプライ出力回路は、下側リプライ要求信号により、電池情報取得回路で取得された電池情報など、通信コマンドに対応したリプライを出力し、下側選択回路は、下側リプライ要求信号により、リプライを選択して、下側の電圧検出回路へ出力する。
【0054】
次に、図1B図2Bにおいて上側からの通信コマンドの受信動作例について説明する。
【0055】
上側の電圧検出回路からの通信コマンドは、上側通信転送回路から下側選択回路へ転送され、通信終端情報によって指定される電圧検出回路でない場合は、下側選択回路で選択されて、下側の電圧検出回路へ出力される。
【0056】
上からの通信コマンドに対しては、通信終端情報から1を減じた値で電圧検出回路が指定される。
【0057】
例えば、通信終端情報が3の場合、最上段から2つ目の電圧検出回路は通信コマンドの転送を行わず、それより上側の電圧検出回路は下側へ通信コマンドの転送を行う。
【0058】
上側の電圧検出回路からの通信コマンドを上側通信制御回路が解読し、電圧検出回路が通信コマンドの対象である場合、上側リプライ要求信号を出力する。リプライ出力回路は、上側リプライ要求信号により、電池情報取得回路で取得された電池情報など、通信コマンドに対応したリプライを出力し、上側選択回路は、上側リプライ要求信号により、リプライを選択して、上側の電圧検出回路へ出力する。
【0059】
このような、通信終端情報が1つの場合の動作で、例えば、電圧検出回路2と電圧検出回路3の間の通信経路が故障した場合、通信終端情報保持回路に通信終端情報として3を格納する。
【0060】
通信終端情報が3の場合、下からの通信コマンドに対しては、電圧検出回路3が指定され、電圧検出回路3の通信制御回路は電圧検出回路2への通信コマンドの転送を禁止する。
【0061】
上側からの通信コマンドに対しては、通信終端情報3から1を減じた値により電圧検出回路2が指定され、電圧検出回路2の通信制御回路は電圧検出回路3への通信コマンドの転送を禁止する。
【0062】
このように、通信終端情報によって、故障した通信経路への通信コマンドの転送を禁止し、異常な電流の発生、破壊、誤動作などを抑制することができる。
【0063】
この効果は、下側または上側の片方からのみ通信を行う場合でも、双方向からの通信を行う場合でも得ることができる。
【0064】
(第2変形例)
次に、実施の形態1における第2の変形例について説明する。
【0065】
図2Cから図2Eは、実施の形態1に係る電圧検出回路の第2変形例を示す図である。
【0066】
図2Cでは、通信終端情報保持回路31は、上側通信終端情報保持回路51と下側通信終端情報保持回路71とを含み、上側通信終端情報保持回路51と下側通信終端情報保持回路71とを交換可能な構成例を示している。
【0067】
詳しく説明すると、通信制御回路は、第1動作モードと第2動作モードとを選択的に切り替える。
【0068】
ここで、図2Dに示すように、第1動作モードは、第1方向(例えば上側から下側)に流れる通信コマンドの転送について上側通信終端情報に応じて許容するか禁止するかを制御し、第2方向に流れる通信コマンドの転送について下側通信終端情報に応じて許容するか禁止するかを制御する。
【0069】
図2Eに示すように、第2動作モードは、第1方向に流れる通信コマンドの転送について下側通信終端情報に応じて許容するか禁止するかを制御し、第2方向に流れる通信コマンドの転送について上側通信終端情報に応じて許容するか禁止するかを制御する第2動作モードと、を選択的に切り替える。
【0070】
(さらに他の変形例)
図2Fは、実施の形態1に係る電圧検出回路の他の変形例を示す図である。
【0071】
電池情報取得回路23は、少なくとも1つのセルの電圧を電池情報として取得する。例えば、図1Aのように、電池情報取得回路23は、複数のセル20のそれぞれの電圧を取得してもよい。あるいは、図2Fのように、電池情報取得回路23は、1つのセル20の電圧を取得してもよい。
【0072】
以上説明してきたように、実施の形態1に係る電圧測定装置100は、直列に接続された複数のセルを対象としてセル電圧を測定する複数の電圧検出回路を備える電圧測定装置であって、前記電圧検出回路は、前記複数の電圧検出回路のうちの何れかの電圧検出回路を通信終端位置として指定する通信終端情報を保持する通信終端情報保持回路と、前記通信終端情報に応じて、前段の電圧検出回路から受信した通信コマンドを次段の電圧検出回路に送信する転送を制御する通信制御回路とを備える。
【0073】
ここで、前記通信制御回路は、前記通信終端情報が自身の電圧検出回路を指定していない場合は前記転送を許容し、前記通信終端情報が自身の電圧検出回路を指定している場合は前記転送を禁止してもよい。
【0074】
ここで、前記複数の電圧検出回路は、互いに逆向きとなる第1方向および第2方向からなる双方向に通信可能にデイジーチェーン接続され、前記通信制御回路は、前記第1方向における前記転送、および、前記第2方向における前記転送のそれぞれについて、前記通信終端情報に応じて許容するか禁止するかを制御してもよい。
【0075】
ここで、前記通信制御回路は、前段の電圧検出回路から通信コマンドを受信したとき、当該前段の電圧検出装置へのリプライの送信を制御してもよい。
【0076】
ここで、前記電圧測定装置は、前記複数の電圧検出回路のうちの最下段の前記電圧検出回路に接続され、かつ、最上段の前記電圧検出回路に接続され、前記通信コマンドの送信と前記リプライの受信を行うコントローラを備えてもよい。
【0077】
ここで、前記通信終端情報は、前記通信終端位置として第1通信終端位置を指定する上側通信終端情報と、前記通信終端位置として第2通信終端位置を指定する下側通信終端情報とを含み、前記通信制御回路は、前記第1方向に流れる前記通信コマンドの前記転送について前記上側通信終端情報に応じて許容するか禁止するかを制御し、前記第2方向に流れる前記通信コマンドの前記転送について前記下側通信終端情報に応じて許容するか禁止するかを制御してもよい。
【0078】
ここで、前記第1方向は、前記複数のセルのうちマイナス側の最終端のセルに対応する電圧検出回路を最下段とし、前記複数のセルのうちプラス側の最終端のセルに対応する電圧検出回路を最上段としたとき、最上段から最下段に向って前記通信コマンドが流れる方向であってもよい。
【0079】
ここで、前記第1方向は、前記複数のセルのうちマイナス側の最終端のセルに対応する電圧検出回路を最下段とし、前記複数のセルのうちプラス側の最終端のセルに対応する電圧検出回路を最上段としたとき、最下段から最上段に向って前記通信コマンドが流れる方向であってもよい。
【0080】
ここで、前記通信制御回路は、(1)前記第1方向に流れる前記通信コマンドの前記転送について前記上側通信終端情報に応じて許容するか禁止するかを制御し、前記第2方向に流れる前記通信コマンドの前記転送について前記下側通信終端情報に応じて許容するか禁止するかを制御する第1動作モードと、(2)前記第1方向に流れる前記通信コマンドの前記転送について前記下側通信終端情報に応じて許容するか禁止するかを制御し、前記第2方向に流れる前記通信コマンドの前記転送について前記上側通信終端情報に応じて許容するか禁止するかを制御する第2動作モードと、を選択的に切り替えてもよい。
【0081】
ここで、前記電圧測定装置は、直列に接続された前記複数のセルを有する組電池を備えてもよい。
【0082】
また、実施の形態1に係る電圧検出回路は、直列に接続された複数のセルを対象としてセル電圧を測定する電圧測定装置に備えられる複数の電圧検出回路に含まれる1つの電圧検出回路であって、前記複数の電圧検出回路のうちの何れかの電圧検出回路を通信終端位置として指定する通信終端情報を保持する通信終端情報保持回路と、前記通信終端情報に応じて、前段の電圧検出回路から受信した通信コマンドを次段の電圧検出回路に送信する転送を制御する通信制御回路とを備える。
【0083】
また、実施の形態1に係る電圧検出方法は、直列に接続された複数のセルを対象としてセル電圧を測定する電圧測定装置に備えられる複数の電圧検出回路における電圧検出方法であって、前記電圧検出回路は、前記複数の電圧検出回路のうちの何れかの電圧検出回路を通信終端位置として指定する通信終端情報に応じて、前段の電圧検出回路から受信した通信コマンドを次段の電圧検出回路に送信する転送を制御する。
【0084】
(実施の形態2)
実施の形態2に係る電圧検出回路、電圧測定装置100、組電池システム10、及び電圧測定方法について、図7図8を用いて、上述した実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0085】
実施の形態2に係る電圧測定装置100では、上述の上側通信制御回路52は、上側からの通信コマンドが同報通信コマンドであることを検出すると、上述の上側通信終端情報に応じて、上側同報リプライ要求信号を出力し、上述のリプライ出力回路22は、上述の上側同報リプライ要求信号に応じてリプライを出力し、上述の上側選択回路53は、上述の上側同報リプライ要求信号により上述のリプライを上側へ出力し、上述の下側通信制御回路72は、下側からの通信コマンドが同報通信コマンドであることを検出すると、上述の下側通信終端情報に応じて、下側同報リプライ要求信号を出力し、上述のリプライ出力回路22は、上述の下側同報リプライ要求信号に応じてリプライを出力し、上述の下側選択回路73は、上述の下側同報リプライ要求信号により上述のリプライを下側へ出力する。
【0086】
また、図7に示すように、実施の形態2に係る電圧検出回路では、下側通信制御回路72は、下側の電圧検出回路からの通信コマンドを解読して、複数の電圧検出回路を対象とする同報通信コマンドであることを検出すると、下側通信終端情報に応じて下側同報リプライ要求信号を出力する。
【0087】
また、リプライ出力回路22は、下側同報リプライ要求信号に応じたリプライを出力する。下側選択回路73は、下側同報リプライ要求信号に応じてリプライを選択して下側へ出力する。
【0088】
また、上側通信制御回路52は、上側の電圧検出回路からの通信コマンドを解読して、同報通信コマンドであることを検出すると、上側通信終端情報に応じて上側同報リプライ要求信号を出力する。
【0089】
また、リプライ出力回路22は、上側同報リプライ要求信号に応じたリプライを出力する。上側選択回路53は、上側同報リプライ要求信号に応じてリプライを選択して上側へ出力する。
【0090】
次に、図8は、同報通信コマンドに対する動作例であり、電圧検出回路2と電圧検出回路3の間の通信経路に障害がある場合の同報通信コマンドとリプライを示す。
【0091】
図8より、下側からの通信コマンドの最終適用先を示す下側通信終端情報に3を、上側からの通信コマンドの最終適用先を示す上側通信終端情報に2を設定する。
【0092】
また、MCUが第1通信回路11を介して電圧検出回路5の下側に同報通信コマンドを送信すると、同報通信コマンドは、下側通信終端情報に従って、電圧検出回路3まで転送される。電圧検出回路3の下側通信制御回路72は同報通信コマンドを解読すると、下側通信終端情報で指定される電圧検出回路であるので、下側同報リプライ要求信号を出力する。リプライ出力回路22は下側同報リプライ要求信号に応じて、同報通信コマンドに対応したリプライを出力する。下側選択回路73は下側同報リプライ要求信号によりリプライを選択して下側の電圧検出回路へ送信する。電圧検出回路3が下側に出力したリプライは、電圧検出回路4と電圧検出回路5の上側通信転送回路54と下側選択回路73により、順次下側へ転送され、第1通信回路11を介してMCUに受信される。
【0093】
同様に、MCUが第2通信回路12を介して電圧検出回路1の上側に同報通信コマンドを送信すると、同報通信コマンドは、上側通信終端情報に従って、電圧検出回路2まで転送される。電圧検出回路2の上側通信制御回路52は同報通信コマンドを解読すると、上側通信終端情報で指定される電圧検出回路であるので、上側同報リプライ要求信号を出力する。リプライ出力回路22は上側同報リプライ要求信号に応じて、同報通信コマンドに対応したリプライを出力する。上側選択回路53は上側同報リプライ要求信号によりリプライを選択して上側の電圧検出回路へ送信する。電圧検出回路2が上側に出力したリプライは、電圧検出回路1の下側通信転送回路74と上側選択回路53により、上側へ転送され、第2通信回路12を介してMCUに受信される。
【0094】
また、図7図8に示すように、実施の形態2に係る電圧検出回路は、MCUから送信された同報通信コマンドは、最下段の電圧検出回路から最上段の電圧検出回路まで転送され、各電圧検出回路で同報通信コマンドに対応した処理が行われ、最上段の電圧検出回路がリプライを送信し、各電圧検出回路を経由してMCUが受信した場合に、通信経路の途中に障害があると、障害箇所以降の電圧検出回路へは同報通信コマンドが到達しないという問題を解決することができる。
【0095】
また、上側と下側からの同報通信コマンドの送信により、全ての電圧検出回路へ同報通信コマンドを転送し、リプライを送信すべき電圧検出回路が不明のため、MCUへリプライを返すことができず、通信エラーとなることを防ぐことができる。つまり、同報通信コマンドに対して、下側通信終端情報および上側通信終端情報を用いてリプライを送信する電圧検出回路を指定し、通信障害の箇所の前でリプライをMCUへ送信することにより、リプライのないことによる通信エラーを防ぐことができる。
【0096】
また、実施の形態2に係る組電池システム10は、上述した電圧測定装置100と、複数のセル20を直列に接続して構成される組電池200によって構成される。
【0097】
以上説明してきたように、実施の形態2に係る電圧測定装置100において前記通信制御回路は、前段の電圧検出回路から受信した通信コマンドが同報通信コマンドである場合、前記通信終端情報に応じて、前記同報通信コマンドに対するリプライを前段の電圧検出回路に送信することを許容するか禁止するかを制御する。
【0098】
ここで、前記通信制御回路は、前記通信終端情報が自身の電圧検出回路を指定していない場合は、前記同報通信コマンドに対する前記リプライの送信を禁止し、前記通信終端情報が自身の電圧検出回路を指定している場合は、前記同報通信コマンドに対する前記リプライの送信を許容してもよい。
【0099】
(実施の形態3)
実施の形態3に係る電圧検出回路、電圧測定装置100、組電池システム10、及び電圧測定方法について、図9図10を用いて、上述した実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0100】
実施の形態3では、上述の電圧測定装置100は、さらに、ダミーリプライ出力回路24を備え、上述の下側通信制御回路72は、上述の電圧検出回路が下側からの通信コマンドの対象である場合、下側ダミーリプライ要求信号を出力し、上述のダミーリプライ出力回路24は、上述の下側ダミーリプライ要求信号に応じてダミーリプライを出力し、上述の上側選択回路53は、上述の下側ダミーリプライ要求信号に応じ、上述のダミーリプライを選択して上側へ出力し、上述の上側通信制御回路52は、上述の電圧検出回路が上側からの通信コマンドの対象である場合、上側ダミーリプライ要求信号を出力し、上述のダミーリプライ出力回路24は、上述の上側ダミーリプライ要求信号に応じてダミーリプライを出力し、上述の下側選択回路73は、上述の上側ダミーリプライ要求信号に応じ、上述のダミーリプライを選択して下側へ出力し、上述の上側通信転送回路54は、上側からの通信コマンドとダミーリプライを転送し、上述の下側選択回路73は、上述の上側通信終端情報に応じて、上述の上側通信転送回路54が転送する通信コマンドとダミーリプライを下側に転送し、上述の下側通信転送回路74は、下側からの通信コマンドとダミーリプライを転送し、上述の上側選択回路53は、上述の下側通信終端情報に応じて、上述の下側通信転送回路74が転送する通信コマンドとダミーリプライを上側に転送する。
【0101】
また、上述の電圧検出回路は、さらに、ダミーリプライ出力回路24を備え、上述の下側通信制御回路72は、上述の電圧検出回路が下側からの通信コマンドの対象である場合、下側ダミーリプライ要求信号を出力し、上述のダミーリプライ出力回路24は、上述の下側ダミーリプライ要求信号に応じてダミーリプライを出力し、上述の上側選択回路53は、上述の下側ダミーリプライ要求信号に応じ、上述のダミーリプライを選択して上側へ出力し、上述の上側通信制御回路52は、上述の電圧検出回路が上側からの通信コマンドの対象である場合、上側ダミーリプライ要求信号を出力し、上述のダミーリプライ出力回路24は、上述の上側ダミーリプライ要求信号に応じてダミーリプライを出力し、上述の下側選択回路73は、上述の上側ダミーリプライ要求信号に応じ、上述のダミーリプライを選択して下側へ出力し、上述の上側通信転送回路54は、上側からの通信コマンドとダミーリプライを転送し、上述の下側選択回路73は、上述の下側通信終端情報に応じて、上述の上側通信転送回路54が転送する通信コマンドとダミーリプライを下側に転送し、上述の下側通信転送回路74は、下側からの通信コマンドとダミーリプライを転送し、上述の上側選択回路53は、上述の上側通信終端情報に応じて、上述の下側通信転送回路74が転送する通信コマンドとダミーリプライを上側に転送する。
【0102】
以下、詳細を説明する。
【0103】
図9は、実施の形態3に係る電圧検出回路のブロック図である。
【0104】
図9より、ダミーリプライ出力回路24はダミーリプライを出力する。ダミーリプライは、リプライを送信する場合に消費する電流と同等の電流を消費させるために送信する信号で、MCUが受信しない信号である。
【0105】
また、下側通信制御回路72は下側からの通信コマンドを解読し、通信コマンドの対象である場合、下側リプライ要求信号と下側ダミーリプライ要求信号を出力する。下側ダミーリプライ要求信号が出力されると、ダミーリプライ出力回路24はダミーリプライを出力し、上側選択回路53はダミーリプライを選択して、上側へ出力する。
【0106】
同様に、上側通信制御回路52は上側からの通信コマンドを解読し、通信コマンドの対象である場合、上側リプライ要求信号と上側ダミーリプライ要求信号を出力する。上側ダミーリプライ要求信号が出力されると、ダミーリプライ出力回路24はダミーリプライを出力し、下側選択回路73はダミーリプライを選択して、下側へ出力する。
【0107】
また、次段以降の電圧検出回路は、通信コマンドの転送と同様に、下側から送信されたダミーリプライを下側通信終端情報に応じて、下側通信転送回路74と上側選択回路53により上側に転送し、上側から送信されたダミーリプライを上側通信終端情報に応じて、上側通信転送回路54と下側選択回路73により下側に転送する。
【0108】
なお、ダミーリプライの転送を、下側からのダミーリプライは上側通信終端情報に応じて、上側からのダミーリプライは下側通信終端情報に応じて転送するとしてもよい。
【0109】
次に、図10は、ダミーリプライ送信の動作例であり、電圧検出回路2と電圧検出回路3の間の通信経路に障害がある場合の通信コマンドとダミーリプライを示す。
【0110】
図10より、下側からの通信コマンドの対象は電圧検出回路5で上側からの通信コマンドの対象は電圧検出回路1である。下側通信終端情報で指定されるのは電圧検出回路3であり、上側通信終端情報で指定されるのは電圧検出回路2である。
【0111】
また、MCUが第1通信回路11を介して送信した通信コマンドは、電圧検出回路5、電圧検出回路4の下側通信転送回路74と上側選択回路53により、順次上側に転送され、電圧検出回路3まで転送される。
【0112】
また、電圧検出回路5の下側通信制御回路72が通信コマンドを解読すると、通信コマンドの対象なので、下側ダミーリプライ要求信号を出力し、ダミーリプライ出力回路24がダミーリプライを出力し、上側選択回路53がダミーリプライを選択して上側に出力する。ダミーリプライは通信コマンドと同様に下側通信終端情報で示される電圧検出回路3まで転送される。
【0113】
また、MCUが第2通信回路12を介して送信した通信コマンドは、電圧検出回路1の上側通信転送回路54と下側選択回路73により下側に転送され、電圧検出回路2まで転送される。
【0114】
また、電圧検出回路1の上側通信制御回路52が通信コマンドを解読すると、通信コマンドの対象なので、上側ダミーリプライ要求信号を出力し、ダミーリプライ出力回路24がダミーリプライを出力し、下側選択回路73がダミーリプライを選択して下側に出力する。ダミーリプライは通信コマンドと同様に上側通信終端情報で示される電圧検出回路2まで転送される。
【0115】
なお、ダミーリプライの転送を、請求項2での通信コマンドの転送と同様に、下側からのダミーリプライは上側通信終端情報に応じて、上側からのダミーリプライは下側通信終端情報に応じて転送するとしてもよい。
【0116】
これにより、実施の形態3に係る電圧測定装置100は、上側通信終端情報と下側通信終端情報で示される電圧検出回路までダミーリプライを転送することによって、リプライ送信の有無による電圧検出回路間の消費電流の差異を少なくすることができる。
【0117】
また、実施の形態3に係る組電池システム10は、上述した電圧測定装置100と、複数のセル20を直列に接続して構成される組電池200によって構成される。
【0118】
以上説明してきたように、実施の形態3に係る電圧測定装置100において、前記通信制御回路は、前段の電圧検出回路から受信した通信コマンドが自身の電圧検出回路を対象とするとき、次段の電圧検出装置へのダミーリプライを送信するよう制御する。
【0119】
ここで、前記通信制御回路は、前段の電圧検出回路からダミーリプライを受信したとき、前記通信終端情報が自身の電圧検出回路を指定している場合は、次段の電圧検出装置へのダミーリプライの送信を禁止し、前記通信終端情報が自身の電圧検出回路を指定していない場合は、次段の電圧検出装置へのダミーリプライの送信を許容してもよい。
【0120】
ここで、前記通信制御回路は、前段の電圧検出回路から受信した通信コマンドの対象となる電圧検出回路よりも自身の電圧検出回路が後方にある場合、ダミーリプライを前段の電圧検出回路に送信するよう制御してもよい。
【0121】
(実施の形態4)
実施の形態4に係る電圧検出回路、電圧測定装置100、組電池システム10、及び電圧測定方法について、図11図12を用いて、上述した実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0122】
実施の形態4では、上述の電圧検出回路は、更に、ダミーリプライ出力回路24を備え、上述の下側通信制御回路72は、上述の電圧検出回路が下側からの通信コマンドの対象の後方にある場合、下側ダミーリプライ要求信号を出力し、上述のダミーリプライ出力回路24は、上述の下側ダミーリプライ要求信号に応じてダミーリプライを出力し、上述の下側選択回路73は、上述の下側ダミーリプライ要求信号に応じ、上述のダミーリプライを選択して下側へ出力し、上述の上側通信制御回路52は、上述の電圧検出回路が上側からの通信コマンドの対象の後方にある場合、上側ダミーリプライ要求信号を出力し、上述のダミーリプライ出力回路24は、上述の上側ダミーリプライ要求信号に応じてダミーリプライを出力し、上述の上側選択回路53は、上述の上側ダミーリプライ要求信号に応じ、上述のダミーリプライを選択して上側へ出力する。
【0123】
図11に、実施の形態4に係る電圧検出回路のブロック図を示す。
【0124】
図11より、下側通信制御回路72は下側からの通信コマンドを解読し、対象の後方にあるかどうかを判定する。
【0125】
また、通信コマンドが対象として指示するデバイスアドレスと、デバイスアドレス保持回路21に保持されているデバイスアドレスを比較することにより、通信コマンドの対象の後方にあるかどうかを判定することができる。デバイスアドレス保持回路21のデバイスアドレスが、通信コマンドにより指示するデバイスアドレスより小さい場合、対象の後方にあることがわかる。
【0126】
また、対象の後方にある場合、下側通信制御回路72は下側ダミーリプライ要求信号を出力する。下側ダミーリプライ要求信号が出力されると、ダミーリプライ出力回路24はダミーリプライを出力し、下側選択回路73はダミーリプライを選択して、下側へ出力する。
【0127】
同様に、上側通信制御回路52は上側からの通信コマンドを解読し、対象の後方にあるかどうかを判定する。
【0128】
デバイスアドレス保持回路21のデバイスアドレスが、通信コマンドにより指示するデバイスアドレスより大きい場合、対象の後方にあることがわかる。
【0129】
対象の後方にある場合、上側通信制御回路52は上側ダミーリプライ要求信号を出力する。上側ダミーリプライ要求信号が出力されると、ダミーリプライ出力回路24はダミーリプライを出力し、上側選択回路53はダミーリプライを選択して、上側へ出力する。
【0130】
なお、実施の形態4に係る電圧測定装置100では、図5(実施の形態1)のように、上側選択回路53は、上側通信終端情報に応じて下側通信転送回路74が転送する通信コマンドを選択して上側に出力し、下側選択回路73は、下側通信終端情報に応じて上側通信転送回路54が転送する通信コマンドを選択して下側に出力するとしてもよい。
【0131】
次に、図12は、ダミーリプライ送信の動作例であり、電圧検出回路2と電圧検出回路3の間の通信経路に障害がある場合の通信コマンドとダミーリプライのフローである。
【0132】
図12より、下側からの通信コマンドの対象は電圧検出回路5で上側からの通信コマンドの対象は電圧検出回路1である。下側通信終端情報で指定されるのは電圧検出回路3であり、上側通信終端情報で指定されるのは電圧検出回路2である。
【0133】
また、MCUが第1通信回路11を介して送信した通信コマンドは、電圧検出回路5、電圧検出回路4の下側通信転送回路74と上側選択回路53により、順次上側に転送され、電圧検出回路3まで転送される。
【0134】
また、電圧検出回路4および電圧検出回路3のデバイスアドレス保持回路21に保持されているデバイスアドレスはそれぞれ、4および3で、通信コマンドで指示するデバイスアドレスの値5より小さいので、電圧検出回路4および電圧検出回路3は通信コマンドの対象の後方にあることがわかる。電圧検出回路4および電圧検出回路3の下側通信制御回路72は、下側ダミーリプライ要求信号を出力し、下側選択回路73はダミーリプライ出力回路24が出力するダミーリプライを選択して、下側に出力する。
【0135】
また、MCUが第2通信回路12を介して送信した通信コマンドは、電圧検出回路1の上側通信転送回路54と下側選択回路73により下側に転送され、電圧検出回路2まで転送される。
【0136】
また、電圧検出回路2のデバイスアドレス保持回路21に保持されているデバイスアドレスは2で、通信コマンドで指示するデバイスアドレスの値1より大きいので、電圧検出回路2は通信コマンドの対象の後方にあることがわかる。電圧検出回路2の上側通信制御回路52は、上側ダミーリプライ要求信号を出力し、上側選択回路53はダミーリプライ出力回路24が出力するダミーリプライを選択して、上側に出力する。
【0137】
なお、ダミーリプライを下側へ出力する場合と上側へ出力する場合で消費電流は同じなので、下側からの通信コマンドに対して、上側選択回路53がダミーリプライを上側に出力し、上側からの通信コマンドに対して、下側選択回路73がダミーリプライを下側に出力するとしてもよい。
これにより、実施の形態4に係る電圧測定装置100は、通信対象の次段から上側通信終端情報と下側通信終端情報で示される電圧検出回路までの各電圧検出回路がダミーリプライを送信することによって、リプライ送信の有無による電圧検出回路間の消費電流の差異を少なくすることができる。
【0138】
また、実施の形態4に係る組電池システム10は、上述した電圧測定装置100と、複数のセル20を直列に接続して構成される組電池200によって構成される。
【産業上の利用可能性】
【0139】
本開示は、例えば車載用途の電圧検出回路、電圧測定装置100、組電池システム10、及び電圧測定方法として有用である。
【符号の説明】
【0140】
1〜5 電圧検出回路
10 組電池システム
11 第1通信回路
12 第2通信回路
13 コントローラ
14 通信回路
20 セル
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14