(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6784055
(24)【登録日】2020年10月27日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】備忘機能を備えた収納家具
(51)【国際特許分類】
A47B 61/00 20060101AFI20201102BHJP
A47B 55/00 20060101ALI20201102BHJP
【FI】
A47B61/00 503E
A47B55/00
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-84515(P2016-84515)
(22)【出願日】2016年4月20日
(65)【公開番号】特開2017-192552(P2017-192552A)
(43)【公開日】2017年10月26日
【審査請求日】2019年3月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100163577
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 正人
(72)【発明者】
【氏名】藤本 有希
(72)【発明者】
【氏名】上田 俊也
【審査官】
七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭52−028516(JP,U)
【文献】
実開昭49−085334(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3193071(JP,U)
【文献】
実開昭63−071735(JP,U)
【文献】
意匠登録第1537385(JP,S)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 55/00
A47B 61/00
A47B 61/04
A47B 96/02
A47B 81/00
A47B 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面及び上面が開放した収納空間を少なくとも一部に有する収納家具において、前記収納空間の直視可能な最上位であって該収納空間を構成する両側の垂直板間の前部のみに載置板を架設して、通学、通勤等の外出時に必要な小物類を載置可能な小物置き部を設け、前記載置板の後方は前記収納空間と上下に連続している空間部となっていて、該載置板の奥行寸法は、前記空間部の奥行寸法よりも小さく設定したことを特徴とする備忘機能を備えた収納家具。
【請求項2】
前記載置板は、前後縁に小物類の落下防止用の突縁を形成したトレー形状である請求項1記載の備忘機能を備えた収納家具。
【請求項3】
前記小物置き部の下方は開放されており、該小物置き部の直下に衣服ハンガーを吊るすための吊り棒を横設してなる請求項1又は2記載の備忘機能を備えた収納家具。
【請求項4】
底板上に、両側板と仕切板及び背板を垂直に設け、一方の側板と仕切板及び背板とで前記収納空間を構成し、他方の側板と仕切板及び背板とで構成した第2収納空間に単数又は複数の棚板を上下に設けて奥行寸法の広い収納部とし、前記底板の下面に複数のキャスターを設けて移動可能となした請求項1〜3何れか1項に記載の備忘機能を備えた収納家具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、備忘機能を備えた収納家具に係わり、更に詳しくは外出時に必要な小物類を忘れずに携帯できる備忘機能を備えた収納家具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種物品を収納し、また衣服ハンガーを吊るすことが可能な多目的に使用可能な収納家具は各種提供されている。例えば、特許文献1には、箱型ボックスタイプ家具で、最上段の棚板の下方に衣服ハンガーを掛ける吊り棒を横設し、外側面には小棚を多段に設けるとともに、ネクタイ等の小物掛けやフックを設けた移動可能な簡易外出用具入れ収納家具が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、前側面ならびに天井を連通させて開放したスキー収納箱と、該箱前側に開閉可能に設けたトレー形扉とを具備し、扉の奥行寸法の小さいトレーにスキー靴を収納できるロッカーが開示されている。
【0004】
しかし、特許文献1,2に記載の収納家具は、それぞれ収納物品に応じて最適な態様で収納できるものの、外出時に必要な小物類をまとめて一箇所に収納するようになっていない。通学、通勤等の外出時に必要な鍵、定期券やID等のカード類、ハンカチ等の小物類を忘れずに携帯するには、習慣もあるがその収納方法に工夫をする必要がある。
【0005】
特許文献3に記載されたワゴンタイプの収納家具には、最上段のオープン棚に外出に必要な小物類をまとめて収納しておくことも考慮されるが、該棚の奥行寸法が広いため、棚の奥に収納した場合、あるいは他の小物類の収納時に奥へ押し込まれた場合には、小物類を直視することができなくなり、備忘の点では不十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3197725号公報
【特許文献2】実公昭52−46571号公報
【特許文献3】特開2010−279619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、通学、通勤等の外出時に必要な鍵、定期券やID等のカード類、ハンカチ等の小物類を忘れずに携帯することが可能な備忘機能を備えた収納家具を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前述の課題解決のために、下記の構成の収納家具を提供する。
【0009】
(1)前面及び上面が開放した収納空間を少なくとも一部に有する収納家具において、前記収納空間の直視可能な最上位であって
該収納空間を構成する両側の垂直板間の前部のみに
載置板を架設して、通学、通勤等の外出時に必要な小物類を載置可能な小物置き部を設け
、前記載置板の後方は前記収納空間と上下に連続している空間部となっていて、該載置板の奥行寸法は、前記空間部の奥行寸法よりも小さく設定したことを特徴とする備忘機能を備えた収納家具。
【0010】
(
2)前記載置板は、前後縁に小物類の落下防止用の突縁を形成したトレー形状である
(1)記載の備忘機能を備えた収納家具。
【0011】
(
3)前記小物置き部の下方は開放されており、該小物置き部の直下に衣服ハンガーを吊るすための吊り棒を横設してなる(1)
又は(2)記載の備忘機能を備えた収納家具。
【0012】
(
4)底板上に、両側板と仕切板及び背板を垂直に設け、一方の側板と仕切板及び背板とで前記収納空間を構成し、他方の側板と仕切板及び背板とで構成した第2収納空間に単数又は複数の棚板を上下に設けて奥行寸法の広い収納部とし、前記底板の下面に複数のキャスターを設けて移動可能となした(1)〜(
3)何れか1に記載の備忘機能を備えた収納家具。
【発明の効果】
【0013】
以上にしてなる本発明の備忘機能を備えた収納家具は、前面及び上面が開放した収納空間を少なくとも一部に有する収納家具において、前記収納空間の直視可能な最上位であって
該収納空間を構成する両側の垂直板間の前部のみに
載置板を架設して、通学、通勤等の外出時に必要な小物類を載置可能な小物置き部を設け
、前記載置板の後方は前記収納空間と上下に連続している空間部となっていて、該載置板の奥行寸法は、前記空間部の奥行寸法よりも小さく設定したので、目に付き易い位置にある小物置き部に、通勤等の外出時に必要な鍵、定期券やID等のカード類、ハンカチ等の小物類を載置しておけば、それらの小物類を忘れずに携帯することができる。特に、忘れ物が多い人には、常に小物置き部に外出に必要な小物類を置くように習慣付けることにより、外出時に忘れ物を少なくでき、小学校の低学年の児童には忘れ物によるストレスを軽減できる。
【0014】
前記小物置き部は、前記収納空間を構成する両側の垂直板間に架設した載置板であり、該載置板の後方は空間部となっている場合には、小物類を載置する位置が載置板に物理的に制限されるので、常に目に付き易い位置に置いておくことができる。尚、前記収納空間の後部は空間部で上下に連続していることから、この空間部に竹刀や筒型図面ケース等の長尺物を立てて収容することもできる。
【0015】
そして、前記載置板の奥行寸法は、前記空間部の奥行寸法よりも小さく設定してなることにより、収容空間の半分よりも前側にある載置板にのみ小物類を載置することができ、特に目に付き易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る備忘機能を備えた収納家具の全体斜視図である。
【
図2】同じく備忘機能を備えた収納家具の縦断面図である。
【
図4】ベッドとデスクと組み合わせた家具においての使用例を示す斜視図である。
【
図5】小物置き部の他の実施形態を示し、(a)は載置板の後縁に規制板を立ち上げた形態の縦断面図、(b)は載置板の後方へ傾斜面を形成した形態の縦断面図、(c)は載置板の後方へ段状に閉塞板を設けた形態の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、添付図面に示した実施形態に基づき、本発明を更に詳細に説明する。
図1〜
図3は本発明に係る備忘機能を備えた収納家具を示し、図中符号1は収納家具、2は収納空間、3は小物置き部、4は載置板、5は空間部をそれぞれ示している。
【0018】
本発明の備忘機能を備えた収納家具1は、前面及び上面が開放した収納空間2を少なくとも一部に有する収納家具において、前記収納空間2の直視可能な最上位であって前部のみに、通学、通勤等の外出時に必要な小物類Gを載置可能な小物置き部3を設けたことを特徴としている。小物類Gとしては、鍵、定期券やID等のカード類、ハンカチ等が挙げられる。特に、小学校の低学年では、学校で忘れ物検査されるような物も対象となる。
【0019】
ここで、前記小物置き部2は、前記収納空間2を構成する両側の垂直板(後述の側板7と仕切板9)間に架設した載置板4であり、該載置板4の後方は空間部5となっている。そして、前記載置板4の奥行寸法は、前記空間部5の奥行寸法よりも小さく設定している。
【0020】
具体的には、前記収納家具1は、底板6上に、両側板7,8と仕切板9及び背板10を垂直に設け、一方の側板7と仕切板9及び背板10とで前記収納空間2を構成し、他方の側板8と仕切板9及び背板10とで構成した第2収納空間11に単数又は複数の棚板12,…を上下に設けて奥行寸法の広い収納部とし、前記底板6の下面に複数のキャスター13,…を設けて移動可能となした構造である。
【0021】
更に、前記載置板4は、前後縁に小物類の落下防止用の突縁14,14を形成したトレー形状であることが望ましい。また、前記小物置き部3の下方は開放されており、該小物置き部3の直下に衣服ハンガーHを吊るすための吊り棒15を横設することも望ましい。
【0022】
前記収納空間2は、ハンガーHに掛けた衣服を前記吊り棒15に横向きに吊るした際に、前記背板10に邪魔されずに正しい姿勢になるようにするとともに、前側へあまり突出しないようにする必要がある。そのため、前記収納空間2の奥行寸法は比較的大きく設定してあり、本実施形態では約352mmに設定した。尚、本発明の収納家具1の高さは、960mmであり、前記載置板4は上方から全体を直視できる高さにある。
【0023】
前記載置板4の後方は空間部5となっているので、小物類Gは収納空間2の前部に位置する載置板4の上面にのみに載置せざるを得なくなり、常に目に付き易い場所に保管するようになる。また、前記収納空間2の後部は空間部5で上下に連続していることから、この空間部5に竹刀Sや筒型図面ケース、あるいは杖等の長尺物を立てて収容することもできる。また、前記側板7,8の外面適所にフックFを適数設け、手提げ袋等を吊り下げることができるようにしても良い。
【0024】
図4は、本発明の収納家具1をベッド16の下方空間に収容した使用例を示している。このベッド16は、床部材17の高さが二段ベッドよりも低いミドルベットであり、床部材17の下方空間を利用してオープンラック18や収納タンス19、衣装ケース19Aを設置し、更に図示しないデスクと組み合わせて使用するタイプの家具である。本発明の収納家具1を前記ベッド16の床部材17の下方に押し込んで設置した状態でも、前記小物置き部3の上に置いた小物類を直視することができる。
【0025】
図5に前記小物置き部3の他の実施形態を示す。
図5(a)は、前記載置板4の後縁に規制板20を立ち上げた形態である。
図5(b)は、前記載置板4の後方へ傾斜面21を形成し、空間部5を塞いだ形態である。
図5(c)は、前記載置板4の後方へ段状に閉塞板22を設け、空間部5を塞いだ形態である。何れの場合も小物類Gを載置する場所は、載置板4の上面に制限される。その他の構成は、前記同様であるので、同一構成には同一符号を付して、その説明は省略する。
【符号の説明】
【0026】
1 収納家具、
2 収納空間、
3 小物置き部、
4 載置板、
5 空間部、
6 底板、
7 側板、
8 側板、
9 仕切板、
10 背板、
11 第2収納空間、
12 棚板、
13 キャスター、
14 突縁、
15 吊り棒、
16 ベッド、
17 床部材、
18 オープンラック、
19 収納タンス、
19A 衣装ケース、
20 規制板、
21 傾斜面、
22 閉塞板、
G 小物類、
H ハンガー、
S 竹刀、
F フック。