(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フレームの内周面に対向する前記押しボタンの全周に、弾性変形しながら前記フレームの内周面に接触する環状のパッキンを配置したことを特徴とする請求項7に記載の照光用押しボタンスイッチ。
前記フレーム貫通穴は、前記フレームの内周側の開口部から前記フレームの外周側の開口部に向かうに従って穴形状が徐々に大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の照光用押しボタンスイッチ。
【背景技術】
【0002】
操作盤、制御盤などの配電設備等で使用される押しボタンスイッチは、配電盤内に搭載した接点ユニットに、操作部を介してスイッチ本体を連結した構造であり、配電盤の前面を覆っている操作パネルの外側にスイッチ本体を配置し、スイッチ本体の押しボタンの押し操作を行うことで接点ユニットの開閉制御を行う装置である。
このような押しボタンスイッチの動作状態を視認し易くするために、スイッチ本体の内部に光源を配置し、透光性を有する材料で押しボタンを構成することで、押しボタンを照光させるようにした照光押しボタンスイッチが開発されている。
【0003】
ところで、照光押しボタンスイッチは、操作パネルを前面から見たときに押しボタンが照光しているのが確認できるが、操作パネルを側方から見ると、押しボタンの照光を容易に確認できず、スイッチ本体の動作状態の視認性が低下するおそれがある。
そこで、例えば特許文献1のように、スイッチ本体の周囲の操作パネルの外側に、スイッチ本体の動作状態が確認できる照光装置を設けた照光押しボタンスイッチがある。
この特許文献1の照光押しボタンスイッチは、操作パネルを側方から見ても、操作パネルの外側に設けた照光装置でスイッチ本体の動作状態を確認できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面を参照して、本発明の第1から第5実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
また、以下に示す第1から第5実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0011】
[第1実施形態の照光押しボタンスイッチ]
図1で示す第1実施形態の照光押しボタンスイッチ1は、操作盤、制御盤などの配電設備等で使用される装置である。
第1実施形態の照光押しボタンスイッチ1は、
図1に示すように、スイッチ本体2と、スイッチ本体2に連結した操作部3と、を備えた装置であり、操作部3が爪及び突起(不図示)との係合により接点ユニット4に着脱自在に連結される。
スイッチ本体2は、
図2、
図3に示すように、操作部3に連結した接点ユニット4を操作する部材である円筒形状の押棒5と、押棒5を軸方向に移動自在に支持する円筒形状のフレーム6と、押棒の上端に固定された押しボタン7と、押しボタン7の裏面に設けた記名板8と、を備えている。
【0012】
フレーム6は、非透光性の合成樹脂材料で形成され、大径部6aと、小径部6bとを備えた段付き円筒形状であり、小径部6bの外周には雄ネジ部6cが形成されている。
フレーム6の大径部6aには、外周面から内周面まで径方向に貫通するフレーム貫通穴9が、同一軸方向位置であって周方向に90°の間隔をあけた位置に4個形成されている。これらフレーム貫通穴9の外周面側の開口部及び内周面側の開口部は、同一形状の四角形状で形成されている。
押棒5は、非透光性の合成樹脂材料で形成した部材であり、フレーム6の小径部6bの内周面に接触しながら軸方向に移動し、上端に固定した押しボタン7の大径部6a側の上端が開口部から突出する自由位置(
図2参照)、或いは押しボタン7が大径部6aの内部に入り込む位置(
図4参照)まで移動させる。
【0013】
押しボタン7の連結位置に近い押棒5の上端側には、外周面から内周面まで径方向に貫通する押棒貫通穴10が、同一軸方向位置であって周方向に90°の間隔をあけた位置に4個形成されている。これら押棒貫通穴10の外周面側の開口部及び内周面側の開口部は同一形状の四角形状で形成されている。
これら4個の押棒貫通穴10の周方向位置は、フレーム6の大径部6aに形成した4個のフレーム貫通穴9の周方向位置と一致している。
そして、フレーム6の内部には、押棒5に係合する復帰バネ(不図示)が配置されており、この復帰バネは、押しボタン7が元の自由位置に戻るように、押棒5に対して上向きの力を作用している。
押しボタン7は、赤や緑などの色が着いた透光性を有する合成樹脂材料で形成した部材である。押しボタン7の裏面に設けた記名板8は、透光性を有する合成樹脂材料に文字が表示された部材であり、下方から光を照射すると、押しボタン7から文字を浮き出させる。
【0014】
操作部3には、オルタネイト動作機構(不図示)と、
図3に示す電球13と、を備えている。
オルタネイト動作機構は、スイッチ本体2の自由位置に位置している押しボタン7を押し込むと、押しボタン7を押し込んだ位置で保持するとともに(以下、スイッチ本体2の押し込みロック状態と称する)、さらに、もう一度押しボタン7を押すと元の自由位置に押しボタン7が戻るようにしたロック型の位置保持方式(プッシュオン・プッシュオフ方式)とする機構である。
電球13は、操作部3に設けた接点部(不図示)に接続され、
図3に示すように、その発光部13aが、フレーム6の大径部6aと同一の軸方向位置とされて押棒5の内部に位置している。
【0015】
図3に示すように、配電設備の操作パネル11には、フレーム6の小径部6bが通過可能な貫通穴11aが形成されている。そして、配電盤内部の接点ユニット4に連結されている操作部3に、操作パネル11の外側からスイッチ本体2の小径部6bを、貫通穴11aを通過させてから連結する。そして、小径部6bの雄ネジ部6cに螺合している締付けナット12を、フレーム6の大径部6a側に移動することで、操作パネル11の外側にスイッチ本体2が配置される。
操作部3の電球13は、スイッチ本体2の押しボタン7が押し込みロック状態になると、接点ユニット4から電球用接点部を介して電流が供給されて点灯する。また、もう一度押しボタン7を押して押しボタン7が自由位置に移動すると、電流の供給が停止されて電球13が消灯する。
押しボタン7が押し込みロック状態になると、接点ユニット4は常閉接点(ON)に切り替わり、押しボタン7が自由位置に移動すると、接点ユニット4は常開接点(OFF)に切り替わる。
【0016】
ここで、
図4及び
図5は、スイッチ本体2の押しボタン7が押し込みロック状態となり、操作部3の電球13の発光部13aが点灯し、接点ユニット4が常閉接点(ON)に切替った状態を示している。
このスイッチ本体2の押しボタン7の押し込みロック状態では、押しボタン7とともに軸方向に移動した押棒5に形成されている4個の押棒貫通穴10と、フレーム6の大径部6aに形成した4個のフレーム貫通穴9との軸方向位置が一致し、これらフレーム貫通穴9及び押棒貫通穴10と略同一の軸方向位置に電球13の発光部13aが位置している。
【0017】
これら4組の押棒貫通穴10及びフレーム貫通穴9は、発光部13aに対して略同一の軸方向位置であり、各組の押棒貫通穴10及びフレーム貫通穴9は、周方向位置も一致しているので、電球13の発光部13aで発生した光の一部が、各組の押棒貫通穴10及びフレーム貫通穴9を通過してフレーム6の外周から外部に放射される。
また、発光部13aで発生した光の一部は、透光性を有する記名板8及び押しボタン7を通過して外部に放射される。
なお、本発明の光源が、電球13の発光部13aに対応している。
【0018】
次に、第1実施形態の照光押しボタンスイッチ1の作用効果について説明する。
スイッチ本体2の押しボタン7が押し込みロック状態となり、電球13の発光部13aが点灯すると、発光部13aで発生した光が4組の押棒貫通穴10及びフレーム貫通穴9を通過してフレーム6の外周から放射され、スイッチ本体2の外周部が照光される。
また、発光部13aで発生した光は、透光性を有する押しボタン7を通過して外部に放射され、押しボタン7が照光される。
一方、スイッチ本体2の押しボタン7が自由位置に移動すると、電球13の発光部13aが消灯し、スイッチ本体2の外周部は照光されない。また、押しボタン7も、発光部13aが消灯することで照光されない。
【0019】
したがって、操作パネル11の側方からスイッチ本体2を見ると、スイッチ本体2の外周部が照光されているので、押しボタン7が押し込みロック状態となって接点ユニット4が常閉接点(ON)であることを確認することができ、スイッチ本体2の外周部が照光されていないときには、押しボタン7が自由位置に移動して接点ユニット4が常開接点(OFF)であることを確認することができるので、スイッチ本体2の動作状態の視認性を高めることができる。
また、操作パネル11を前面側から見て、押しボタン7が照光されているか、照光されていないかを確認するだけで、接点ユニット4の常閉接点(ON)、常開接点(OFF)を確認できるので、さらに、スイッチ本体2の動作状態の視認性を高めることができる。
【0020】
また、フレーム6は、大径部6aの同一軸方向に一列(周方向に90°の間隔をあけた位置に4個)のフレーム貫通穴9を形成しており、例えば異なる軸方向位置に2列以上のフレーム貫通穴を形成していないので、フレーム6の部品強度は低下しない。
また、押棒5も、同一軸方向に一列(周方向に90°の間隔をあけた位置に4個)の押棒貫通穴10を形成しており、異なる軸方向位置に2列以上の押棒貫通穴を形成していないので、押棒5の部品強度も低下しない。
さらに、フレーム6の大径部6aに形成した4個のフレーム貫通穴9と、押棒5に形成した4個の押棒貫通穴10とに、電球13の発光部13aの光を通過させるという簡便な構造で、スイッチ本体2の外周部を照光させる構造としているので、製造コストの大幅な削減を図ることができる。
なお、第1実施形態では、電球13を使用したが、LEDなどの光源を使用しても同様の効果を奏することができる。
【0021】
[第2実施形態の照光押しボタンスイッチ]
次に、
図6及び
図7は、第2実施形態の照光押しボタンスイッチ15を示すものである。なお、
図1から
図5で説明した構成と同一構成部分には、同一符号を付してその説明は省略する。
第2実施形態の照光押しボタンスイッチ15も、ロック型の位置保持方式(プッシュオン・プッシュオフ方式)のスイッチである。
そして、照光押しボタンスイッチ15は、
図6に示すように、押しボタン7が自由位置に位置しているときには、操作部3の電球13が接点ユニット4から電球用接点部を介して電流が供給されて点灯し、押しボタン7が押し込みロック状態になると、電流の供給が停止されて電球13が消灯するスイッチである。
【0022】
また、第2実施形態の照光押しボタンスイッチ15は、押しボタン7が自由位置に位置しているときに、押棒5に、フレーム6の大径部6aに形成した4個のフレーム貫通穴9に対応する4個の押棒貫通穴16が形成されている。
この第2実施形態の照光押しボタンスイッチ15は、
図6に示すように、スイッチ本体2の押しボタン7が自由位置に位置し、電球13の発光部13aが点灯すると、発光部13aで発生した光が4組の押棒貫通穴16及びフレーム貫通穴9を通過してフレーム6の外周から放射され、スイッチ本体2の外周部が照光される。
【0023】
また、
図7に示すように、スイッチ本体2の押しボタン7が押し込みロック状態となると、電球13の発光部13aが消灯し、スイッチ本体2の外周部は照光されない。
したがって、操作パネル11の側方からスイッチ本体2を見ると、スイッチ本体2の外周部が照光されているので、押しボタン7が自由位置に位置して接点ユニット4が常開接点(OFF)であることを確認することができ、スイッチ本体2の外周部が照光されていないときには、押し込みロック状態となって接点ユニット4が常閉接点(ON)であることを確認することができるので、スイッチ本体2の動作状態の視認性を高めることができる。
【0024】
[第3実施形態の照光押しボタンスイッチ]
次に、
図8は、第3実施形態の照光押しボタンスイッチ17を示すものである。
この第3実施形態の照光押しボタンスイッチ17は、第1実施形態の照光押しボタンスイッチ1の変形例である。
第3実施形態の照光押しボタンスイッチ17は、第1実施形態の透光性を有する合成樹脂材料で形成した押しボタン7に替えて、金属材料で形成した押しボタン18が押棒5の上端に固定されている。
この第3実施形態の照光押しボタンスイッチ17によると、押しボタン18に透過性材料を用いなくとも視認性をもたせることができ、且つ金属材料を用いるので、合成樹脂材料で形成した第1実施形態の押しボタン7と比較して機械的強度を向上させることができる。
【0025】
[第4実施形態の照光押しボタンスイッチ]
次に、
図9は、第4実施形態の照光押しボタンスイッチ19を示すものである。
この第4実施形態の照光押しボタンスイッチ19は、第1実施形態の照光押しボタンスイッチ1の変形例である。
第4実施形態の照光押しボタンスイッチ19は、フレーム6の大径部6aに周方向に90°の間隔をあけた形成した4個のフレーム貫通穴9の外周側の開口部が、透光性を有する防水シート20で閉塞されている。
【0026】
また、スイッチ本体2を構成している押しボタン7の全周に環状のパッキン溝21が形成されているとともに、パッキン溝21に環状の水密性パッキン22が装着されている。
水密性パッキン22は、弾性変形しながらフレーム6の内周面に接触している。
この第4実施形態の照光押しボタンスイッチ19によると、フレーム6に形成した4個のフレーム貫通穴9の外周側の開口部が透光性を有する防水シート20で閉塞されているとともに、押しボタン7の全周とフレーム6の内周面との間に水密性パッキン22が装着されているので、防水性、防塵性に優れたスイッチ本体2とすることができる。
【0027】
[第5実施形態の照光押しボタンスイッチ]
次に、
図10は、第5実施形態の照光押しボタンスイッチのスイッチ本体23の要部を軸方向から示したものである。
この第5実施形態のスイッチ本体23は、フレーム6の大径部6aに周方向に90°の間隔をあけた形成した4個のフレーム貫通穴24が、第1実施形態の照光押しボタンスイッチ1で示したフレーム貫通穴9と異なる形状としている。
第5実施形態の大径部6aに形成したフレーム貫通穴24は、フレーム6の内周面で開口しているフレーム内周側開口部25の形状に対してフレーム6の外周面で開口しているフレーム外周側開口部26の形状が大きく形成されているとともに、フレーム内周側開口部25からフレーム外周側開口部26まで開口形状が徐々に大きくされている。
【0028】
この第5実施形態のように、大径部6aにフレーム貫通穴24を形成すると、発光部13aから押棒貫通穴10を通過してフレーム貫通穴24に入った光は、フレーム内周側開口部25からフレーム外周側開口部26まで通過することで広い範囲で照射される。したがって、スイッチ本体23の外周の照光範囲が拡大するので、スイッチ本体23の動作状態の視認性をさらに高めることができる。