特許第6784088号(P6784088)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6784088
(24)【登録日】2020年10月27日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 48/88 20190101AFI20201102BHJP
   B29C 48/07 20190101ALI20201102BHJP
   B29C 48/92 20190101ALI20201102BHJP
   B29D 30/52 20060101ALI20201102BHJP
   B29K 21/00 20060101ALN20201102BHJP
   B29L 30/00 20060101ALN20201102BHJP
【FI】
   B29C48/88
   B29C48/07
   B29C48/92
   B29D30/52
   B29K21:00
   B29L30:00
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-149857(P2016-149857)
(22)【出願日】2016年7月29日
(65)【公開番号】特開2018-16023(P2018-16023A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2019年5月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100107940
【弁理士】
【氏名又は名称】岡 憲吾
(74)【代理人】
【識別番号】100120938
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 教郎
(74)【代理人】
【識別番号】100122806
【弁理士】
【氏名又は名称】室橋 克義
(74)【代理人】
【識別番号】100168192
【弁理士】
【氏名又は名称】笠川 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100174311
【弁理士】
【氏名又は名称】染矢 啓
(74)【代理人】
【識別番号】100182523
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 由賀里
(74)【代理人】
【識別番号】100195590
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 博臣
(72)【発明者】
【氏名】田中 智大
(72)【発明者】
【氏名】田部 芳孝
(72)【発明者】
【氏名】大窪 栄
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宏和
【審査官】 瀧口 博史
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−081111(JP,U)
【文献】 特表2013−526431(JP,A)
【文献】 特開2012−179833(JP,A)
【文献】 特開平8−244090(JP,A)
【文献】 特開平4−46797(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 48/00
B29D 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
未架橋ゴムからなるカットシートが準備される工程と、このカットシートと他の部材とが組み合わせられてローカバーが得られる工程とを含み、
上記カットシートが準備される工程が、
未架橋ゴムからなるベースシートが押出機により押し出される工程と、押し出された直後にこのベースシートが冷却される工程とを含み、
上記ベースシートが冷却される工程では、上記ベースシートがその中を通過する温度が30℃以下の水が溜められた水槽と、この水槽の中に位置しこのベースシート上に載せられたダンサーロールと、コントローラとが使用され、
上記コントローラが、上記ダンサーロールの上記水槽中での高さが一定となるように上記水槽から上記ベースシートが引き出される速度を調整するタイヤの製造方法。
【請求項2】
上記押出機と上記水槽との間で上記ベースシートが搬送される距離が50m以下である請求項1に記載のタイヤの製造方法。
【請求項3】
未架橋ゴムからなるカットシートを準備する装置と、このカットシートを他の部材と組み合わせてローカバーを製造する装置とを備え、
上記カットシートを準備する装置が、未架橋ゴムからなるベースシートを押し出す押出機と、この押出機の直後に位置しこのベースシートを冷却する冷却部とを備え、
上記冷却部が、このベースシートがその中を通過する温度が30℃以下の水が溜められた水槽と、この水槽の中に位置しこのベースシート上に載せられたダンサーロールと、コントローラとを備え、
上記コントローラが、上記ダンサーロールの上記水槽中での高さが一定となるように上記水槽から上記ベースシートが引き出される速度を調整するタイヤの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤの製造方法は、ローカバーが得られる成形工程と、このローカバーが加圧及び加熱される加硫工程とを含む。成形工程では、タイヤを構成する部材が、成形ドラム又は剛体コアの上に積層される。成形工程において、トレッド等のゴムからなる部材の積層には、適切な大きさに成形された未加硫ゴムからなるシート(ここではカットシートと称される)が用いられる。カットシートを例えば成形ドラム上に巻くことで、これらの部材が積層される。
【0003】
カットシートは、押出機によって成形された未加硫ゴムのシート(ここではベースシートと称される)を、適切な大きさに切断することで得られる。押出機から押し出されたベースシートは、歪みを有しかつ熱を帯びている。ベースシート及びこのベースシートから得られたカットシートは、時間の経過とともに放熱が進み、徐々に収縮する。このため、カットシートを成形工程で使用するタイミングにより、カットシートの寸法がばらつくことが起こりうる。カットシートの寸法精度を改善するための検討が、特開平9−187858号公報で報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−187858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
成形工程での手直しの低減、成形工程の自動化の促進及びタイヤのユニフォミティの向上のために、カットシートの寸法のばらつきをさらに低減させることが求められている。
【0006】
本発明の目的は、カットシートの寸法のばらつきを低減し、カートシートの寸法精度が向上されたタイヤの製造方法の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るタイヤの製造方法は、未架橋ゴムからなるカットシートが準備される工程と、このカットシートと他の部材とが組み合わせられてローカバーが得られる工程とを含む。上記カットシートが準備される工程は、未架橋ゴムからなるベースシートが押出機により押し出される工程と、押し出された直後にこのベースシートが冷却される工程とを含む。上記ベースシートが冷却される工程では、上記ベースシートがその中を通過する水槽と、この水槽の中に位置しこのベースシート上に載せられたダンサーロールと、コントローラとが使用される。上記コントローラは、上記ダンサーロールの上記水槽中での高さが一定となるように上記水槽から上記ベースシートが引き出される速度を調整する。
【0008】
好ましくは、上記押出機と上記水槽との間で上記ベースシートが搬送される距離は50m以下である。
【0009】
本発明に係るタイヤの製造装置は、未架橋ゴムからなるカットシートを準備する装置と、このカットシートを他の部材と組み合わせてローカバーを製造する装置とを備える。上記カットシートを準備する装置は、未架橋ゴムからなるベースシートを押し出す押出機と、この押出機の直後に位置しこのベースシートを冷却する冷却部とを備える。上記冷却部は、このベースシートがその中を通過する水槽と、この水槽の中に位置しこのベースシート上に載せられたダンサーロールと、コントローラとを備える。上記コントローラは、上記ダンサーロールの上記水槽中での高さが一定となるように上記水槽から上記ベースシートが引き出される速度を調整する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るタイヤの製造方法では、ベースシートを冷却する工程において、ベースシートは水槽を通過することで冷却される。水槽の中で、ダンサーロールはベースシートの上に載せられている。コントローラは、ダンサーロールの水槽中での高さが一定となるように、水槽からベースシートが引き出される速度を調整する。これにより、ベースシートの張力が大きくなることが防止される。すなわち、ベースシートは、大きな張力がかからない状態で冷却される。これにより、このベースシートでは、短い時間で収縮が収まるとともに、収縮する時間やその度合いのばらつきが抑えられる。これは、カットシートの寸法のばらつきの低減に効果的に寄与する。この製造方法では、カットシートの寸法精度が向上されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明に係る製造方法で使用される、カットシートを準備するための装置が示された模式図である。
図2図2は、図1の装置でカットシートが準備される途中の段階で得られるベースシートの断面図である。
図3図3は、図1の装置の一部が示された模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0013】
このタイヤの製造方法は、適切な大きさに成形された未加硫ゴムからなるシート(カットシートと称される)が準備される工程、ローカバーが得られる工程(成形工程)及びローカバーが加圧及び加熱される工程(加硫工程)を含む。
【0014】
図1には、カットシートが準備される工程で使用される装置2が示されている。この装置2は、押出機4と、冷却部6と、搬送部8と、切断部10とを備えている。以下に述べるとおり、この装置2では、押出機4から連続的に押し出されたシート12(ベースシート12と称される)が、切断部10まで搬送される。図1において、矢印Aは、このベースシート12が搬送されていく方向を表している。
【0015】
押出機4は、ゴム組成物からなる材料をシート状に成形しながら押し出す。この材料からなるベースシート12が、押出機4から連続して押し出される。押し出されたベースシート12は熱を帯びている。例えばトレッドを構成するためのゴム組成物からなる材料が用意される。トレッドが、キャップ層、ベース層及びウイングからなるときは、キャップ層用のゴム組成物、ベース層用のゴム組成物及びウイング用のゴム組成物が用意される。押出機4からこれらの材料が張り合わされたベースシート12が押し出される。図2には、押し出されたベースシート12をその長手方向と垂直な方向に切った断面の例が示されている。このベースシート12は、キャップ層用のゴム組成物からなる部分14、ベース層用のゴム組成物からなる部分16、及び一対のウイング用のゴム組成物からなる部分18から構成されている。
【0016】
冷却部6は、押出機4の下流側に位置する。冷却部6は、押出機4の直後に配置されている。冷却部6は、ベースシート12を冷却する。図3に、冷却部6の構成が示されている。冷却部6は、水槽20、ダンサーロール22、コントローラ24、前ローラー26及び後ろローラー28を備えている。
【0017】
水槽20には水が溜められている。図で示されているように、ベースシート12はこの水の中を通される。これにより、ベースシート12が冷却される。
【0018】
ダンサーロール22は、水槽20中にて、ベースシート12の上に載せられている。ダンサーロール22の重みにより、ベースシート12は下側に湾曲する。これにより、ダンサーロール22とベースシート12とが水に浸る。
【0019】
前ローラー26は、回転することで、ベースシート12を水槽20に送る。前ローラー26は、所定の速度で回転している。
【0020】
後ろローラー28は、回転することで、冷却されたベースシート12を水槽20から引き出す。後ろローラー28は、ベースシート12を次の工程に送り出す。後ろローラー28の回転速度は、可変である。後ろローラー28の回転速度は、ベースシート12の搬送中にも変更されうる。
【0021】
コントローラ24は、後ろローラー28の回転速度を調節する。すなわち、コントローラ24は、水槽20からベースシート12が引き出される速度を調整する。コントローラ24は、ダンサーロール22の水槽20中での高さを検知する。ダンサーロール22の高さが所定の高さより低くなると、コントローラ24は後ろローラー28の回転速度を上げる。水槽20からベースシート12が引き出される速度が早くなる。これにより、ダンサーロール22の位置は上がる。ダンサーロール22の高さが所定の高さより高くなると、コントローラ24は後ろローラー28の回転速度を下げる。水槽20からベースシート12が引き出される速度が遅くなる。これにより、ダンサーロール22の位置は下がる。コントローラ24は、後ろローラー28の回転速度を調整することで、ダンサーロール22の高さを調整する。図2では、ダンサーロール22の高さが低くなった状態が点線で示されている。
【0022】
搬送部8は、ベースシート12を切断部10まで搬送する。ベースシート12は、搬送部8の経路を通過するうちに、さらに冷却される。これにより、ベースシート12の形状は安定する。搬送部8の経路の長さは、典型的には100m以上である。
【0023】
切断部10は、スカイバー30と切断台32とを備える。スカイバー30は、切断台32上でベースシート12を切断する。スカイバー30は、連続的に送られてきたベースシート12を、所定の長さに切り分ける。これにより、カットシート34が得られる。
【0024】
カットシート34が準備される工程では、上述の装置2が使用される。この工程は、ベースシート12が押し出される工程、ベースシート12が冷却される工程、ベースシート12が搬送される工程及びベースシート12が切断される工程を含む。
【0025】
ベースシート12が押し出される工程では、上記の押出機4が使用される。この工程では、ベースシート12が、押出機4から連続して押し出される。ベースシート12が冷却される工程では、上記の冷却部6が使用される。この工程では、押し出されたベースシート12が、その直後に冷却部6で冷却される。この工程では、コントローラ24が、ダンサーロール22の水槽20中での高さが一定となるように後ろローラー28の回転速度を調整する。ベースシート12が搬送される工程では、ベースシート12が搬送部8により切断部10に送られる。ベースシート12が切断される工程では、切断部10によりベースシート12が所定の長さに切り分けられる。これにより、カットシート34が得られる。これにより、カットシート34が準備される工程が終了する。
【0026】
成形工程では、カットシート34を用いて、タイヤを構成する部材が成形ドラム上に積層される。例えば、トレッド用のカットシート34を成形ドラム上で巻くことでトレッドが積層される。成形ドラム上では、他の部材も積層される。成形ドラム上でこれらの部材が組み合わされる。これにより、ローカバーが得られる。
【0027】
加硫工程では、ローカバーがモールドに入れられる。ローカバーはモールド内で加圧および加熱される。加圧と加熱とにより、ローカバーのゴム組成物がキャビティ内を流動する。加熱によりゴムが架橋反応を起こし、タイヤが得られる。
【0028】
以下、本発明の作用効果が説明される。
【0029】
本発明に係るタイヤの製造方法では、カットシート34が準備される工程は、未架橋ゴムからなるベースシート12を押し出す工程と、押し出された直後にこのベースシート12を冷却する工程とを含む。前述したとおり、ベースシート12を冷却する工程では、ベースシート12は水槽20を通過することで冷却される。この冷却により、ベースシート12の収縮が加速される。コントローラ24は、ダンサーロール22の水槽20中での高さが一定となるように、水槽20からベースシート12が引き出される速度を調整する。コントローラ24により、ダンサーロール22の水槽20中での高さが一定に保たれる。これにより、ベースシート12の張力が大きくなることが防止される。すなわち、ベースシート12は、大きな張力がかからない状態で冷却される。これにより、このベースシート12では、短い時間で収縮が収まるとともに、収縮する時間やその度合いのばらつきが抑えられる。これは、カットシート34の寸法のばらつきの低減に効果的に寄与する。この製造方法では、カットシート34の寸法精度が向上されている。
【0030】
この製造方法では、カットシート34の寸法精度が向上されているため、成形工程での手直しが低減できる。カットシート34の寸法精度が向上されているため、成形工程の自動化がより促進されうる。これらは、タイヤの生産性を向上させる。カットシート34の寸法精度が向上されているため、タイヤのユニフォミティが向上しうる。これは、走行時の振動を減らし、乗り心地を向上させる。さらに、この製造方法では、押出機4の直後に冷却部6が位置している。押出機4から押し出されたベースシート12は、すぐに冷却される。これは、搬送部8での冷却時間を少なくしうる。これにより、搬送部8の経路が短くされうる。これは製造装置2のコストの低減に寄与する。
【0031】
押出機4と水槽20との間でベースシート12が搬送される距離は、50m以下が好ましい。この距離を50m以下とすることで、この冷却部6はベースシート12の収縮の加速に効果的に寄与する。このベースシート12では、短い時間で収縮が収まるとともに、収縮する時間やその度合いのばらつきが抑えられる。これは、カットシート34の寸法のばらつきの低減に効果的に寄与する。この製造方法では、カットシート34の寸法精度が向上されている。
【0032】
押出機4から押し出されたベースシート12が水槽20に到達するまでの時間は、1分以内が好ましい。水槽20に到達するまでの時間を1分以内とすることで、この冷却部6はベースシート12の収縮の加速に効果的に寄与する。このベースシート12では、短い時間で収縮が収まるとともに、収縮する時間やその度合いのばらつきが抑えられる。これは、カットシート34の寸法のばらつきの低減に効果的に寄与する。この製造方法では、カットシート34の寸法精度が向上されている。
【0033】
水槽20の水の温度は、30℃以下が好ましい。水の温度を30℃以下とすることで、この冷却部6はベースシート12の収縮の加速に効果的に寄与する。このベースシート12では、短い時間で収縮が収まるとともに、収縮する時間やその度合いのばらつきが抑えられる。これは、カットシート34の寸法のばらつきの低減に効果的に寄与する。この製造方法では、カットシート34の寸法精度が向上されている。
【実施例】
【0034】
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
【0035】
[実験1]
[実施例1]
トレッド用のカットシートを、本製造方法の「カットシートを準備する工程」の通りの方法で作成した。カットシートの長さは2000mmとなるように、ベースシートは切断された。この工程では、押出機と水槽との間でベースシートが搬送される距離は、15mとされた。このカットシートは、キャップ層用のゴム組成物からなる部分、ベース層用のゴム組成物からなる部分、及び一対のウイング用のゴム組成物からなる部分から構成されている。このカットシートの基材ゴムの組成は表1の仕様1の通りである。なお、表1中で、「SBR」はスチレンブタジエンゴムを表す。「BR」はブタジエンゴムを表す。「NR」は天然ゴムを表す。
【0036】
【表1】
【0037】
[比較例1]
ベースシートが冷却される工程を実施しないことの他は実施例1と同様にして、トレッド用のカットシートを得た。
【0038】
[実施例2]
カットシートの組成が表1の仕様2とされたことの他は実施例1と同様にして、トレッド用のカットシートを得た。
【0039】
[比較例2]
ベースシートが冷却される工程を実施しないことの他は実施例2と同様にして、トレッド用のカットシートを得た。
【0040】
[ベースシート長変化]
カットシートが得られた直後、15分後、30分後、1時間後、3時間後、7時間後及び24時間後のそれぞれについて、カットシートの長さが計測された。この結果が表2に示されている。カットシートの長さが安定するまでの時間が短いほど好ましい。
【0041】
【表2】
【0042】
[実験2]
[実施例3]
表1の仕様1の組成を有するトレッド用のカットシートを、本製造方法の「カットシートを準備する工程」の通りの方法で作成した。このカットシートを用いて本発明に係る製造方法でタイヤを製造した。タイヤのサイズは、175/65R14とされた。
【0043】
[比較例3]
ベースシートが冷却される工程を実施しないことの他は実施例3と同様にして、タイヤを製造した。
【0044】
[実施例4]
トレッド用のカットシートの組成が表1の仕様2であることの他は実施例3と同様にして、タイヤを製造した。
【0045】
[比較例4]
ベースシートが冷却される工程を実施しないことの他は実施例4と同様にして、タイヤを製造した。
【0046】
[ユニフォミティ]
実施例3のタイヤ100本、比較例3のタイヤ100本、実施例4のタイヤ100本及び比較例4のタイヤ100本について、「JASO C607:2000」に規定されたユニフォミティ試験の条件に準拠して、ラジアル・フォース・バリエーション(RFV)を測定した。それぞれについて、RFVの平均値が計算された。その結果、実施例3のタイヤでは、比較例3のタイヤに比べて、RFVが4%改善した。実施例4のタイヤでは、比較例4のタイヤに比べて、RFVが2%改善した。
【0047】
実施例で示されるように、実施例の製造方法は、比較例の製造方法に比べて良い結果が得られている。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上説明された方法は、種々のタイヤの製造にも適用されうる。
【符号の説明】
【0049】
2・・・装置
4・・・押出機
6・・・冷却部
8・・・搬送部
10・・・切断部
12・・・ベースシート
14・・・キャップ層用のゴム組成物からなる部分
16・・・ベース層用のゴム組成物からなる部分
18・・・ウイング用のゴム組成物からなる部分
20・・・水槽
22・・・ダンサーロール
24・・・コントローラ
26・・・前ローラー
28・・・後ろローラー
30・・・スカイバー
32・・・切断台
34・・・カットシート
図1
図2
図3