(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記コントローラは、2回目以降の上記駆動処理で上記モータが回転していないと判断し、且つ上記リトライ上限値が上記第1値であることに応じて、上記決定処理を再び実行する請求項1に記載のシート搬送装置。
上記支持部は、上記支持部に当接して回転する上記ローラの回転抵抗を、上記支持部に支持されたシートに当接して回転する場合より増大させる請求項1から4のいずれかに記載のシート搬送装置。
上記コントローラは、上記第1センサが検出した上記ローラの回転量が閾値時間継続して0であることに応じて、上記モータが回転していないと判断する請求項1から7のいずれかに記載のシート搬送装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
給紙ミス或いはジャムが生じた場合における給紙処理のリトライは、エラー状態を解消するのに有効である。一方、紙無しの場合における給紙処理のリトライは、無駄であるばかりでなく、モータ或いは駆動伝達手段(例えば、軸、ギヤ)等を破損させる可能性がある。すなわち、給紙処理のリトライの有効性は、エラー状態に応じて変動する。また、特許文献1に記載の手法では、エラー状態を推定できるに留まり、エラー状態を正確に検出することは困難である。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、装置の破損を抑制しつつ、シートの搬送エラーを解消できる可能性を向上させたシート搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明に係るシート搬送装置は、シートを支持する支持部を有するトレイと、上記支持部に当接し得る位置に配置されており、上記支持部に支持されたシートを搬送路に沿って搬送向きに搬送する正回転が可能なローラと、上記ローラを正回転させる駆動力を発生させるモータと、上記ローラの回転量を検出する第1センサと、上記搬送路上の所定位置にシートが到達したことを検出する第2センサと、コントローラとを備える。上記コントローラは、上記ローラを正回転させる向きの電流を上記モータに供給する駆動処理と、上記駆動処理中において、上記第2センサがシートを検出するまでに上記モータが回転していないと判断したことに応じて、上記モータへの電流の供給を停止する停止処理と、1回目の上記駆動処理で上記第1センサが検出した上記ローラの累積回転量が、閾値未満である場合にリトライ上限値を1以上の第1値に決定し、上記閾値以上である場合に上記リトライ上限値を上記第1値より大きい第2値に決定する決定処理とを実行する。上記コントローラは、上記駆動処理のリトライ回数が上記リトライ上限値に達するか、上記第2センサがシートを検出するまで、上記駆動処理及び上記停止処理を繰り返し実行する。
【0007】
ローラが回転していないと判断した時点において、ローラの累積回転量が閾値未満であれば、トレイ上にシートが存在しない(以下、「シート無し」と表記する。)可能性が高い。一方、ローラの累積回転量が閾値以上であれば、搬送路の途中でシートの搬送が阻害されている(以下、「ジャム」と表記する。)可能性が高い。
【0008】
そこで上記構成のように、シート無しの可能性が高い場合にリトライ回数を少なくすることによって、装置の破損を抑制することができる。また、シート無しの可能性が高い場合でも1回はリトライするので、ジャムをシート無しであると誤検出した場合でも、当該ジャムを解消できる可能性が向上する。さらに、ジャムの可能性が高い場合にリトライ回数を多くすることによって、シートを所定位置まで搬送できる可能性が高まる。
【0009】
(2) 好ましくは、上記コントローラは、2回目以降の上記駆動処理で上記モータが回転していないと判断し、且つ上記リトライ上限値が上記第1値であることに応じて、上記決定処理を再び実行する。
【0010】
1回目の駆動処理における累積回転量が閾値未満の場合とは、例えば、シート無しの場合と、トレイに支持されたシートがほとんど移動しなかった場合とが考えられる。一方、累積回転量が閾値以上になれば、シート無しの可能性が極めて低いと考えられる。そこで上記構成のように、シート無し及びジャムの両方の可能性がある段階(すなわち、リトライ上限値=第1値)では、モータが回転していないと判断する度に決定処理を実行するのが望ましい。
【0011】
(3) 例えば、該シート搬送装置は、上記搬送向きに沿って湾曲する上記搬送路の湾曲外側の少なくとも一部を画定する経路部材を備える。
【0012】
(4) 例えば、上記搬送路は、上記トレイの上記搬送向きの下流端から、上記トレイのシートを支持する面と交差する方向に延びている。該シート搬送装置は、上記トレイのシートを支持する面の上記搬送向きの下流端と上記搬送路との間に設けられており、上記ローラが搬送したシートの先端と当接して、当該シートを上記搬送路に案内するガイド部をさらに備える。
【0013】
(5) 例えば、上記支持部は、上記支持部に当接して回転する上記ローラの回転抵抗を、上記支持部に支持されたシートに当接して回転する場合より増大させる。
【0014】
(6) 例えば、上記コントローラは、搬送指示を取得したことに応じて、1回目の上記駆動処理を実行し、光沢紙及び普通紙のうちの光沢紙の搬送が上記搬送指示で指示された場合にのみ、上記決定処理を実行する。
【0015】
シート無し或いはジャムが発生した場合にモータの回転が阻害されるのは、例えば、シート搬送装置が上記の構成を採用している場合に多いと考えられる。すなわち本発明は、上記構成のシート搬送装置に適用されることによって、特に有利な効果を奏する。
【0016】
(7) 好ましくは、該シート搬送装置は、上記モータが発生させた駆動力を、上記ローラに伝達する伝達状態と、上記ローラに伝達しない非伝達状態とに切替可能な切替部を備える。上記コントローラは、上記切替部を上記伝達状態から上記非伝達状態に切り替える切替処理を、上記停止処理の後で且つ上記駆動処理の前に実行する。
【0017】
ジャムによってモータの回転が阻害されている場合のローラには、正回転と逆向きに回転させようとする力がシートから付与される。そこで上記構成のように、停止処理及び駆動処理の間に切替部を非伝達状態に切り替えることによって、シートが搬送向きと逆向きに移動するので、次の駆動処理でシートを適切に搬送できる可能性が高まる。
【0018】
(8) 一例として、上記コントローラは、上記第1センサが検出した上記ローラの回転量が閾値時間継続して0であることに応じて、上記モータが回転していないと判断する。
【0019】
(9) 他の例として、上記コントローラは、上記駆動処理において、上記モータの回転速度が、目標速度を下回る場合に供給する電流を増加させ、上記目標速度を上回る場合に供給する電流を減少させ、予め定められた最大電流を閾値時間継続して上記モータに供給していることに応じて、上記モータが回転していないと判断する。
【0020】
(10) 好ましくは、該シート搬送装置は、報知部を備える。上記コントローラは、上記リトライ回数が上記リトライ上限値に達したことに応じて、シートが上記所定位置に到達していないことを上記報知部に報知させる報知処理を実行する。
【0021】
上記構成によれば、リトライしてもシートが所定位置に到達しなかったことを、ユーザに認識させることができる。
【0022】
(11) 本発明に係る画像記録装置は、上記記載のシート搬送装置と、上記所定位置より上記搬送向きの下流に配置されており、シートを上記搬送向きに搬送する搬送ローラと、上記搬送ローラより上記搬送向きの下流に配置されており、シートに画像を記録する記録部とを備える。上記コントローラは、前記第2センサがシートを検出したことに応じて、上記記録部に対面する位置まで上記搬送ローラに当該シートを搬送させる搬送処理と、上記搬送ローラによって対面されたシートに対して、上記記録部に画像を記録させる記録処理とを実行する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、矢印の起点から終点に向かう進みが「向き」と表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が「方向」と表現される。さらに、複合機10が使用可能に設置された状態(
図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、開口13が設けられている側を手前側(正面)として前後方向8が定義され、複合機10を手前側(正面)から見て左右方向9が定義される。
【0025】
[複合機10の全体構成]
複合機10は、
図1に示されるように、概ね直方体に形成されている。複合機10は、プリンタ11を備える。また、複合機10は、原稿を読み取って画像データを生成するスキャナ等をさらに備えていてもよい。複合機10は、画像記録装置及びシート搬送装置の一例である。
【0026】
[プリンタ11]
プリンタ11は、インクを吐出することによって、画像データで示される画像をシート12(
図2参照)に記録する。すなわち、プリンタ11は、所謂インクジェット記録方式を採用している。但し、プリンタ11の記録方式は、インクジェット記録方式に限定されず、例えば、電子写真方式等であってもよい。プリンタ11は、
図2に示されるように、給紙部15と、給紙トレイ20と、排紙トレイ21と、搬送ローラ部54と、記録部24と、排出ローラ部55と、プラテン42とを備える。
【0027】
[給紙トレイ20、排紙トレイ21]
プリンタ11の正面には、
図1に示されるように、開口13が形成されている。給紙トレイ20は、開口13を通じて前後方向8に挿抜される。給紙トレイ20は、
図2に示されるように、積層された複数のシート12を支持する。排紙トレイ21は、給紙トレイ20の上方に配置されている。排紙トレイ21は、排出ローラ部55によって排紙されたシート12を支持する。給紙トレイ20は、トレイの一例である。
【0028】
給紙トレイ20は、
図3に示されるように、上面が開放された箱形状である。給紙トレイ20は、底壁71と、左右方向9における底壁71の両端から起立して前後方向8へ延びる一対の側壁72と、前後方向8における底壁71の前端から起立して左右方向9へ延びる前壁73と、前後方向8における底壁71の後端から起立して左右方向9に延びる傾斜壁74とを備える。底壁71、側壁72、前壁73、及び傾斜壁74は、それぞれが単一の部材で構成されていてもよいし、複数の部材で構成されていてもよい。
【0029】
底壁71には、摩擦パッド75が設けられている。摩擦パッド75は、底壁71の上面より若干上方に突出した状態で底壁71に固定されている。給紙トレイ20は、底壁71及び摩擦パッド75の上面において、積層された複数のシート12を支持する。また、摩擦パッド75は、給紙ローラ25と当接可能な位置に配置されている。すなわち、給紙ローラ25は、給紙トレイ20にシート12が支持されている時に当該シート12に当接し、給紙トレイ20にシート12が支持されていない時に摩擦パッド75に当接する。
【0030】
摩擦パッド75は、例えば、コルク等の摩擦係数の高い素材で形成されている。すなわち、摩擦パッド75は、摩擦パッド75に当接して回転する給紙ローラ25の回転抵抗を、摩擦パッド75に支持されたシート12に当接して回転する給紙ローラ25の回転抵抗より増大させる。これにより、特に積層されたシート12の枚数が少ない場合に、重送が抑制される。摩擦パッド75は、支持部の一例である。但し、摩擦パッド75は、給紙ローラ25に当接しない位置に配置されてもよいし、省略されてもよい。この場合、合成樹脂等で形成された底壁71は、底壁71に当接して回転する給紙ローラ25の回転抵抗を、底壁71に支持されたシート12に当接して回転する給紙ローラ25の回転抵抗より増大させる。この場合の底壁71は、支持部の一例である。
【0031】
傾斜壁74には、搬送路65へ向けて給紙されるシート12の先端が当接し得る傾斜面76が形成されている。傾斜面76は、底壁71の前後方向8における後端から後方斜め上へ向かって延びている。すなわち、傾斜面76は、給紙トレイ20のシート12を支持する面(すなわち、底壁71の上面)の後端と搬送路65との間に設けられている。そして、傾斜面76は、底壁71から給紙部15によって給紙されたシート12の先端と当接して、当該シート12を搬送路65へ案内する。傾斜壁74は、ガイド部の一例である。なお、ガイド部は、給紙トレイ20と搬送路65との間において、プリンタ11のフレーム(不図示)に支持されていてもよい。
【0032】
また、傾斜壁74には、傾斜面76から前方斜め上向きに突出する複数の分離突片77が設けられている。複数の分離突片77は、後方斜め上向きに沿って1列に並んでいる。分離突片77は、底壁71に積層された複数のシート12のうちの下層のシート12に当接し、下層のシート12を最上層のシート12から分離する。これにより、シート12の重送が抑制される。
【0033】
[給紙部15]
給紙部15は、
図2に示されるように、給紙ローラ25と、給紙アーム26と、軸27とを備える。給紙ローラ25は、給紙アーム26の先端部に回転可能に支持されている。給紙アーム26は、プリンタ11のフレームに支持された軸27に回動可能に支持されている。給紙アーム26は、自重或いはバネ等による弾性力によって、給紙トレイ20へ向けて回動付勢されている。給紙部15は、搬送モータ102(
図5参照)の逆転駆動力が伝達されて正回転する給紙ローラ25によって、給紙トレイ20に支持されたシート12を搬送路65へ給紙する。給紙ローラ25はローラの一例であり、搬送モータ102はモータの一例である。
【0034】
[搬送路65]
搬送路65は、ガイド部材18、19、30、31、記録部24、プラテン42等によって形成される空間を指す。ガイド部材18、19と、ガイド部材30、31と、記録部24及びプラテン42とは、それぞれがプリンタ11の内部において所定間隔で対向する。搬送路65は、給紙トレイ20の後端部から底壁71の上面と交差する方向に延び、プリンタ11の後方側において下方から上方に延びつつUターンし、記録部24に対面する位置を経由して排紙トレイ21に至る経路である。
【0035】
より詳細には、搬送路65は、ガイド部材18、19で画定される領域において、搬送向き16に沿って湾曲している(以下、この部分を「湾曲搬送路」と表記する。)。ガイド部材18は、湾曲する搬送路65の湾曲外側の少なくとも一部を画定する経路部材の一例である。一方、搬送路65は、記録部24及びプラテン42で画定される領域、及びガイド部材30、31で画定される領域において、前後方向8に直線的に延びている(以下、この部分を「直線搬送路」と表記する。)。
【0036】
搬送向き16は、給紙トレイ20から搬送路65を経由して排紙トレイ21に至るシート12の移動向きを指す。すなわち、搬送向き16は、底壁71の上面に沿って給紙トレイ20の前端から後端に向かい、給紙トレイ20の後端から湾曲搬送路に沿って上方且つ前方にUターンし、且つ湾曲搬送路の終端から直線搬送路に沿って前方に向かう向きである。搬送向き16は、
図2において一点鎖線の矢印で示されている。
【0037】
[搬送ローラ部54]
搬送ローラ部54は、記録部24より搬送向き16の上流に配置されている。搬送ローラ部54は、互いに対向する搬送ローラ60及びピンチローラ61を備える。搬送ローラ60は、搬送モータ102(
図5参照)によって駆動される。ピンチローラ61は、搬送ローラ60の回転に伴って連れ回る。シート12は、搬送モータ102の正転駆動力が伝達されて正回転する搬送ローラ60及びピンチローラ61に挟持されて、搬送向き16に沿って搬送される。また、搬送ローラ60は、搬送モータ102の逆転駆動力が伝達されることによって、正回転と逆向きの逆回転する。
【0038】
[排出ローラ部55]
排出ローラ部55は、記録部24より搬送向き16の下流に配置されている。排出ローラ部55は、互いに対向する排出ローラ62及び拍車63を備える。排出ローラ62は、搬送モータ102によって駆動される。拍車63は、排出ローラ62の回転に伴って連れ回る。シート12は、搬送モータ102の正転駆動力が伝達されて正回転する排出ローラ62及び拍車63に挟持されて、搬送向き16に沿って搬送される。
【0039】
[レジストセンサ120]
プリンタ11は、
図2に示されるように、レジストセンサ120を備える。レジストセンサ120は、搬送ローラ部54より搬送向き16の上流に設置されている。レジストセンサ120は、センサアーム120Aと、光学センサ120Bとを備える。センサアーム120Aは、搬送路65を通過するシート12と当接可能な位置まで突出した第1状態(
図2参照)と、シート12に当接されてガイド部材19内に没入する第2状態との間を状態変化(回動)可能に構成されている。また、センサアーム120Aは、バネ等によって第1状態へ向けて付勢されている。光学センサ120Bは、光を出力する発光部と、発光部が出力した光を受光する受光部とで構成されている。
【0040】
搬送路65内における第1状態のセンサアーム120Aの位置(以下、「アーム位置」と表記する。)は、所定位置の一例である。レジストセンサ120は、給紙部15によって給紙されたシート12がアーム位置に到達したことを検出する第2センサの一例である。レジストセンサ120は、アーム位置にシート12が存在するか否かに応じて、異なる検出信号を出力する。
【0041】
より詳細には、第1状態のセンサアーム120Aは発光部と受光部との間の光路上に位置するので、発光部が出力した光は受光部で受光されない。そして、レジストセンサ120は、センサアーム120Aが第1状態の時(すなわち、シート12がアーム位置に存在しない時)に、検出信号としてローレベル信号をコントローラ130(
図5参照)に出力する。一方、第2状態のセンサアーム120Aは発光部と受光部との間の光路から外れるので、発光部が出力した光が受光部で受光される。そして、レジストセンサ120は、センサアーム120Aが第2状態の時(すなわち、シート12がアーム位置に存在する時)に、検出信号としてハイレベル信号をコントローラ130に出力する。
【0042】
[ロータリエンコーダ121]
プリンタ11は、
図5に示されるように、給紙ローラ25及び搬送ローラ60(換言すれば、搬送モータ102)の回転に応じてパルス信号を発生させるロータリエンコーダ121を備える。ロータリエンコーダ121は、給紙ローラ25及び搬送ローラ60(換言すれば、搬送モータ102)の回転量を検出する第1センサの一例である。より詳細には、ロータリエンコーダ121は、
図4に示されるように、エンコーダディスク121Aと、光学センサ121Bとを備える。エンコーダディスク121Aは、搬送ローラ60の回転と共に回転する。光学センサ121Bは、回転するエンコーダディスク121Aを読み取ってパルス信号を生成し、生成したパルス信号をコントローラ130に出力する。
【0043】
[記録部24、プラテン42]
記録部24及びプラテン42は、
図2に示されるように、搬送向き16における搬送ローラ部54及び排出ローラ部55の間に配置されている。より詳細には、記録部24及びプラテン42は、搬送ローラ部54より搬送向き16の下流で、且つ排出ローラ部55より搬送向き16の上流に配置されている。また、記録部24及びプラテン42は、上下方向7において互いに対向して配置されている。
【0044】
記録部24は、キャリッジ23と、キャリッジ23に搭載された記録ヘッド39とを備える。キャリッジ23は、キャリッジモータ103(
図5参照)の駆動力が伝達されて左右方向9に往復移動する。記録ヘッド39の下面には、複数のノズル40が形成されている。記録ヘッド39は、ピエゾ素子等の振動素子を振動させることによって、ノズル40からインク滴を吐出する。キャリッジ23が移動する過程において、プラテン42に支持されたシート12に対して記録ヘッド39がインク滴を選択的に吐出することによって、シート12に画像が記録される。以下、左右方向9の一方から他方にキャリッジ23が移動する過程で画像が記録されるシート12上の領域を、「パス」と表記する。
【0045】
[駆動力伝達機構80]
プリンタ11は、
図4及び
図5に示されるように、駆動力伝達機構80を備える。駆動力伝達機構80は、搬送モータ102の回転駆動力を、給紙ローラ25、搬送ローラ60、及び排出ローラ62に伝達する。但し、駆動力伝達機構80の具体的な構成は、
図4の例に限定されない。
【0046】
駆動力伝達機構80は、
図4に示されるように、搬送モータ102のモータ軸と一体回転するプーリ81と、搬送ローラ60と一体回転するプーリ82と、両プーリ81、82に架け渡された無端環状のベルト83とを備える。また、駆動力伝達機構80は、搬送ローラ60と一体回転するギヤ84と、ギヤ84と噛み合うギヤ85と、ギヤ85と一体回転するプーリ86と、排出ローラ62の軸62Aと一体回転するプーリ87と、両プーリ86、87に架け渡された無端環状のベルト88とを備える。これにより、駆動力伝達機構80は、搬送モータ102の正転駆動力によって搬送ローラ60及び排出ローラ62を正回転させ、搬送モータ102の逆転駆動力によって搬送ローラ60及び排出ローラ62を逆回転させる。
【0047】
また、駆動力伝達機構80は、搬送ローラ60の回転を回転軸92に伝達するギヤ列91と、回転軸92の回転に伴って回転する振子ギヤ機構93と、振子ギヤ93Cに接離されるギヤ94と、ギヤ94と一体回転するプーリ95と、給紙ローラ25と一体回転するプーリ96と、両プーリ95、96に架け渡された無端環状のベルト97とを備える。振子ギヤ機構93は、回転軸92と一体回転する太陽ギヤ93Aと、回転軸92に回動可能に取り付けられた支持アーム93Bと、支持アーム93Bの先端に回転可能に支持され且つ太陽ギヤ93Aと噛み合う振子ギヤ93Cとを有する。振子ギヤ93Cは、搬送モータ102の回転駆動力が太陽ギヤ93Aに伝達されることによって、太陽ギヤ93Aの周りを公転しつつ自転する。振子ギヤ機構93は、切替部の一例である。
【0048】
より詳細には、振子ギヤ93Cは、搬送モータ102の正転駆動力が太陽ギヤ93Aに伝達されることによって、
図4(A)に示されるように、ギヤ94から離間する向きに公転する。これにより、搬送モータ102の正転駆動力が給紙ローラ25に伝達されない。
図4(A)に示される振子ギヤ機構93の状態は、非伝達状態の一例である。一方、振子ギヤ93Cは、搬送モータ102の逆転駆動力が太陽ギヤ93Aに伝達されることによって、
図4(B)に示されるように、ギヤ94に近接する向きに公転してギヤ94に噛み合う。これにより、駆動力伝達機構80は、搬送モータ102の逆転駆動力によって、給紙ローラ25を正回転させる。
図4(B)に示される振子ギヤ機構93の状態は、伝達状態の一例である。
【0049】
[コントローラ130]
コントローラ130は、
図5に示されるように、CPU131、ROM132、RAM133、EEPROM134、及びASIC135を備えており、これらは内部バス137によって接続されている。ROM132には、CPU131が各種動作を制御するためのプログラムなどが格納されている。RAM133は、CPU131が上記プログラムを実行する際に用いるデータや信号等を一時的に記録する記憶領域、或いはデータ処理の作業領域として使用される。EEPROM134には、電源オフ後も保持すべき設定情報が格納される。
【0050】
ASIC135には、搬送モータ102及びキャリッジモータ103が接続されている。ASIC135は、駆動回路(不図示)を通じて各モータ102、103に駆動電流を供給する。各モータ102、103は、供給される駆動電流が大きいほど回転速度が速くなり、供給される駆動電流が小さいほど回転速度が遅くなるDCモータである。コントローラ130は、例えば、所謂PWM(Pulse Width Modulationの略)制御によって、各モータ102、103の回転を制御してもよい。
【0051】
より詳細には、コントローラ130は、後述する各処理において、予め設定された目標回転速度に近づくように、各モータ102、103の回転を制御する。すなわち、コントローラ130は、各モータ102、103の回転速度が、目標速度を下回る場合に駆動電流を増加させ、目標速度を上回る場合に駆動電流を減少させる。但し、コントローラ130は、予め定められた最大電流を超える大きさの駆動電流を、各モータ102、103に供給しない。
【0052】
また、コントローラ130は、記録ヘッド39の振動素子に駆動電圧を印加することによって、ノズル40からインク滴を吐出させる。また、ASIC135には、レジストセンサ120及びロータリエンコーダ121が接続されている。そして、コントローラ130は、レジストセンサ120及びロータリエンコーダ121から出力される信号に基づいて、プリンタ11の状態を検知する。
【0053】
より詳細には、コントローラ130は、レジストセンサ120から出力される検出信号に基づいて、シート12がアーム位置に到達したことを検知する。また、コントローラ130は、ロータリエンコーダ121から出力されるパルス信号に基づいて、各ローラ25、60、62の回転量(換言すれば、搬送モータ102の回転量)を検知する。さらに、コントローラ130は、レジストセンサ120からハイレベル信号が出力された後にロータリエンコーダ121から出力されるパルス信号に基づいて、搬送路65内におけるシート12の位置を検知する。
【0054】
また、ASIC135には、操作パネル14が接続されている。操作パネル14は、例えば、複合機10の外面に設けられたディスプレイ、LEDランプ、押ボタン、タッチセンサの一部又は全部を備える。コントローラ130は、ディスプレイ及びLEDランプを通じて種々の情報を報知し、押ボタン及びタッチセンサを通じてユーザからの指示を受け付ける。ディスプレイ及びLEDランプは、報知部の一例である。
【0055】
さらに、ASIC135には、通信部17が接続されている。通信部17は、情報処理装置(不図示)と通信可能な通信インタフェースである。すなわち、コントローラ130は、通信部17を通じて情報処理装置に各種情報を送信し、通信部17を通じて情報処理装置から各種情報を受信する。通信部17は、例えば、Wi−Fi(Wi−Fi Allianceの登録商標)に従った通信手順で無線信号を送受信するものであってもよいし、LANケーブル或いはUSBケーブルが接続されるインタフェースであってもよい。
【0056】
[画像記録処理]
次に
図6〜
図8を参照して、本実施形態の画像記録処理を説明する。以下の各処理は、ROM132に記憶されているプログラムをCPU131が読み出して実行してもよいし、コントローラ130に搭載されたハードウェア回路によって実現されてもよい。また、各処理の実行順序は、本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜変更することができる。
【0057】
一例として、コントローラ130は、通信部17を通じて情報処理装置からプリント指示コマンドを受信したことに応じて、プリント指示コマンドに含まれる画像をシート12に記録するために、画像記録処理を開始する。他の例として、コントローラ130は、操作パネル14を通じてユーザからコピー指示コマンドを受け付けたことに応じて、スキャナが生成した画像データで示される画像をシート12に記録するために、画像記録処理を開始する。プリント指示コマンド及びコピー指示コマンドは、搬送指示の一例である。
【0058】
まず、コントローラ130は、給紙処理を実行する(S11)。給紙処理は、給紙トレイ20に支持されたシート12を、搬送路65を経由して搬送ローラ部54に到達させる処理である。
図7を参照して、給紙処理の詳細を説明する。
【0059】
コントローラ130は、RAM133に記憶されたリトライ回数N及びシートフラグを初期化する(S21)。リトライ回数Nは、後述するS22の処理をリトライした回数を示す変数である。リトライ回数Nの初期値は、0である。シートフラグは、給紙トレイ20にシート12が支持されているかを推定した結果を示す情報である。シートフラグには、シート12が支持されていないことに対応するOFF、或いはシート12が支持されていることに対応するONが設定される。シートフラグの初期値は、OFFである。
【0060】
次に、コントローラ130は、給紙ローラ25を正回転させるための駆動電流、すなわち、搬送モータ102を逆転駆動させる向きの駆動電流を、搬送モータ102に供給する(S22)。S22の処理は、駆動処理の一例である。そして、コントローラ130は、レジストセンサ120からハイレベル信号が出力されるか(S23:Yes)、直近T時間にロータリエンコーダ121から出力されたパルス信号の数(以下、「enc値」と表記する。)が0になるまで(S24:Yes)、搬送モータ102の回転速度が目標速度に近づくように駆動電流を供給し続ける。T時間は、閾値時間の一例である。
【0061】
コントローラ130は、レジストセンサ120からハイレベル信号が出力される前に、直近T時間のenc値が0になったことに応じて(S23:No&S24:Yes)、搬送モータ102への駆動電流の供給を停止する(S25)。但し、コントローラ130は、搬送モータ102に現在位置を保持させるための保持電流を供給し続けてもよい。直近T時間のenc値=0とは、直近T時間の間継続して搬送モータ102(換言すれば、給紙ローラ25)が回転していないことを指す。S25の処理は、停止処理の一例である。そして、コントローラ130は、リトライ上限値決定処理を実行する(S26)。リトライ上限値決定処理は、S22のリトライ回数Nの上限値を決定する処理である。
図8を参照して、リトライ上限値決定処理の詳細を説明する。
【0062】
まず、コントローラ130は、シートフラグの設定値を判断する(S41)。なお、1回目のリトライ上限値決定処理において、シートフラグにはOFFが設定されている。すなわち、1回目のリトライ上限値決定処理では、S42〜S45の処理が必ず実行される。次に、コントローラ130は、シートフラグにOFFが設定されていることに応じて(S41:OFF)、直近のS22〜S25間にロータリエンコーダ121から出力されたパルス信号の数(以下、「enc累積値」と表記する。)が予め定められた閾値未満か否かを判断する(S42)。enc累積値は、累積回転量の一例である。閾値は、例えば、35000(enc)である。
【0063】
そして、コントローラ130は、enc累積値が閾値未満であることに応じて(S42:Yes)、リトライ上限値を1回に決定する(S43)。enc累積値が閾値未満とは、S22の開始直後から給紙ローラ25が回転していない場合である。一例として、給紙トレイ20にシート12が支持されておらず、給紙ローラ25が摩擦パッド75に当接した状態でS22を実行した場合(すなわち、シート無し)に、enc累積値が閾値未満となる場合がある。他の例として、S22で給紙ローラ25が送り出したシート12の先端が分離突片77に当接して、それ以上先に進めなくなった場合(すなわち、ジャム)に、enc累積値が閾値未満となる場合がある。
【0064】
一方、コントローラ130は、enc累積値が閾値以上であることに応じて(S42:No)、リトライ上限値を3回に決定する(S44)。enc累積値が閾値以上とは、S22で給紙ローラ25がしばらく回転した後に、給紙ローラ25が回転できなくなった場合である。例えば、給紙ローラ25によって搬送路65に給紙されたシート12が、ガイド部材18の湾曲内面に張り付いて、それ以上先に進めなくなった場合(すなわち、ジャム)に、enc累積値が閾値以上となる場合がある。また、この場合は給紙トレイ20或いは搬送路65内にシート12が存在すると推定できるので、コントローラ130は、シートフラグにONを設定する(S45)。
【0065】
なお、リトライ上限値=1回は第1値の一例であり、リトライ上限値=3回は第2値の一例である。第1値及び第2値の具体例はこれらに限定されない。但し、第1値は1以上の値であり、第2値は第1値より大きい。S42〜S45の処理は、決定処理の一例である。S41でシートフラグにONが設定されている場合については、後述する。
【0066】
次に
図7に戻って、コントローラ130は、リトライ回数Nとリトライ上限値とを比較する(S27)。そして、コントローラ130は、リトライ回数Nがリトライ上限値未満であることに応じて(S27:No)、振子ギヤ93Cをギヤ94に離間させる向きの駆動電流、すなわち、搬送モータ102を正転駆動させる向きの駆動電流を、搬送モータ102に供給する(S28)。すなわち、S22とS28とでは、搬送モータ102に逆向きの駆動電流が供給される。これにより、振子ギヤ機構93が伝達状態から非伝達状態に切り替えられる。S28の処理は、切替処理の一例である。
【0067】
次に、コントローラ130は、リトライ回数Nを1だけインクリメントする(S29)。次に、コントローラ130は、レジストセンサ120からハイレベル信号が出力されるか(S23:Yes)、リトライ回数Nがリトライ上限値に達するまで(S27:Yes)、S22〜S29の処理を繰り返し実行(すなわち、リトライ)する。なお、例えば2回目以降のS22において、搬送モータ102の逆転駆動によって、振子ギヤ93Cがギヤ94に噛み合う。すなわち、振子ギヤ機構93が非伝達状態から伝達状態に切り替えられる。そして、コントローラ130は、振子ギヤ機構93が伝達状態に切り替わってから、enc値及びenc累積値のカウントを開始してもよい。
【0068】
また、2回目以降のS26において、コントローラ130は、シートフラグにOFFが設定されていることに応じて(S41:OFF)、S42〜S45の処理を再び実行する。すなわち、以前のリトライ上限値決定処理でシート12の存在が推定されていない場合には、リトライ上限値が更新される可能性がある。リトライ上限値が第1値から第2値に更新される場合とは、例えば、分離突片77に当接して進めなくなったシート12が、直前のS22で搬送路65に進入したものの、ガイド部材18の湾曲内面に張り付いて進めなくなった場合が考えられる。
【0069】
一方、2回目以降のS26において、コントローラ130は、シートフラグにONが設定されていることに応じて(S41:ON)、S42〜S45の処理をスキップして、リトライ上限値決定処理を終了する。すなわち、以前のリトライ上限値決定処理でシート12の存在が推定された場合には、リトライ上限値は更新されない。
【0070】
そして、コントローラ130は、リトライ回数Nがリトライ上限値に達したことに応じて(S27:Yes)、RAM133に記憶された給紙フラグにFalseを設定して(S30)、給紙処理を終了する。給紙フラグ=Falseは、S22〜S29の処理を繰り返し実行したにも拘わらず、シート12がアーム位置に到達しなかったことを指す。
【0071】
一方、コントローラ130は、S22の実行中にレジストセンサ120からハイレベル信号が出力されたことに応じて(S23:Yes)、搬送モータ102を逆転駆動させて給紙ローラ25をさらにX回転だけ正回転させた後に、搬送モータ102への駆動電流の供給を停止する(S31)。X回転は、アーム位置に到達したシート12の先端を、逆回転する搬送ローラ部54に当接させるのに必要な給紙ローラ25の回転数に相当する。そして、コントローラ130は、給紙フラグにTrueを設定して(S32)、給紙処理を終了する。給紙フラグ=Trueは、少なくとも1回実行したS22において、シート12がアーム位置に到達し、さらに当該シート12の先端が搬送ローラ部54に当接したことを指す。
【0072】
次に
図6に戻って、コントローラ130は、給紙フラグの設定値を判断する(S12)。そして、コントローラ130は、給紙フラグにFalseが設定されていることに応じて(S12:False)、アーム位置にシート12が到達していないことを、操作パネル14を通じて報知する(S13)。より詳細には、コントローラ130は、メッセージ或いはアニメーションをディスプレイに表示させてもよいし、対応するLEDランプを点灯させてもよい。S13の処理は、報知処理の一例である。
【0073】
一方、コントローラ130は、給紙フラグにTrueが設定されていることに応じて(S12:True)、搬送モータ102を正転駆動させることによって、搬送ローラ部54に当接されたシート12の最初のパスが記録ヘッド39に対面する位置まで、搬送ローラ部54にシート12を搬送させる(S14)。次に、コントローラ130は、キャリッジモータ103を駆動させてキャリッジ23を移動させ、画像データで示されるタイミングで記録ヘッド39にノズル40からインク滴を吐出させることによって、記録ヘッド39に対面されたパスに画像を記録する(S16)。S15の処理は搬送処理の一例であり、S16の処理は記録処理の一例である。
【0074】
次に、コントローラ130は、直前のS15で画像を記録したパスが最終パスか否かを判断する(S16)。コントローラ130は、最終パスでないと判断したことに応じて(S16:No)、搬送モータ102を正転駆動させることによって、シート12の次のパスが記録ヘッド39に対面する位置まで、搬送ローラ部54及び排出ローラ部55にシート12を搬送させる(S17)。S17の処理は、搬送処理の一例である。
【0075】
コントローラ130は、最終パスに画像を記録するまで(S16:Yes)、S15〜S17の処理を繰り返し実行する。そして、コントローラ130は、最終パスに画像を記録したことに応じて(S16:Yes)、搬送モータ102を正転駆動させることによって、画像が記録されたシート12が排紙トレイ21に排出されるまで、排出ローラ部55にシート12を搬送させる(S18)。
【0076】
[実施形態の作用効果]
上記の実施形態によれば、シート無しの可能性が高い場合にリトライ回数を少なくすることによって、プリンタ11の破損を抑制することができる。また、シート無しの可能性が高い場合でもS22を1回はリトライするので、ジャムをシート無しであると誤検出した場合でも、当該ジャムを解消できる可能性が向上する。さらに、ジャムの可能性が高い場合にリトライ回数を多くすることによって、レジストセンサ120の位置までシート12を搬送できる可能性が高まる。
【0077】
また、1回目の駆動処理におけるenc累積値が閾値未満の場合とは、例えば、シート無しの場合と、給紙トレイ20に支持されたシート12がほとんど移動しなかった場合とが考えられる。一方、enc累積値が閾値以上になれば、シート無しの可能性が極めて低いと考えられる。そこで上記の実施形態のように、シート無し及びジャムの両方の可能性がある段階(すなわち、シートフラグ=OFF)では、搬送モータ102が回転していないと判断する度にS42〜S45の処理を実行するのが望ましい。
【0078】
また、ジャムによって搬送モータ102の回転が阻害されている場合の給紙ローラ25には、正回転と逆向きに回転させようとする力がシート12から付与される。そこで上記の実施形態のように、S25及びS22の間に振子ギヤ機構93を非伝達状態に切り替えることによって、シート12が搬送向き16と逆向きに移動するので、次のS22でシート12を適切に搬送できる可能性が高まる。なお、切替部の具体例は振子ギヤ機構93に限定されず、例えば、搬送モータ102の駆動力の伝達先がキャリッジ23によって切り替えられるものであってもよい。また、S28において、切替部を頻伝達状態にすることに代えて、搬送モータ102への保持電流の供給を停止してもよい。
【0079】
また、上記の実施形態によれば、リトライ回数Nがリトライ上限値に達したことに応じて、S13の処理が実行される。これにより、アーム位置にシート12が到達しなかったことを、ユーザに認識させることができる。なお、コントローラ130は、S13において、シートフラグの設定値に応じて、さらに詳細な情報を報知してもよい。すなわち、コントローラ130は、シートフラグにOFFが設定されていることに応じて、「シート無し」を報知してもよい。一方、コントローラ130は、シートフラグにONが設定されていることに応じて、「ジャム」を報知してもよい。
【0080】
また、シート無し或いはジャムが発生した場合に搬送モータ102の回転が阻害されるのは、例えば、底壁71に摩擦パッド75が設けられている場合、給紙トレイ20及び搬送路65の間に傾斜壁74が設けられている場合、或いは搬送路65が湾曲している場合に多いと考えられる。そこで、
図7及び
図8に示される処理は、上記構成のプリンタ11に適用されることによって、特に有利な効果を奏する。
【0081】
また、光沢紙は普通紙と比較して、湾曲搬送路に沿って湾曲された時に元に戻ろうとする力(復元力)が強いので、給紙処理中にガイド部材18に張り付いて先に進めなくなる可能性が高い。そこで、コントローラ130は、プリント指示コマンド或いはコピー指示コマンドで光沢紙の搬送が指示された場合に、S26の処理を実行してもよい。一方、コントローラ130は、プリント指示コマンド或いはコピー指示コマンドで普通紙の搬送が指示された場合に、S26の処理を実行しなくてもよい。
【0082】
また、S24で搬送モータ102が回転していないと判断する手法は、上記の実施形態の例に限定されない。他の例として、コントローラ130は、直近のT時間継続して搬送モータ102に最大電流を供給し続けたことに応じて、搬送モータ102が回転していないと判断してもよい。この場合において、摩擦パッド75或いはジャム状態のシート12に当接した給紙ローラ25が滑った時に、搬送モータ102が僅かに回転する可能性がある。すなわち、変形例に係る手法でコントローラ130が「搬送モータ102が回転していない(S24:Yes)」と判断する場合において、実際には搬送モータ102が僅かに回転していてもよい。
【0083】
さらに、上記の実施形態では、給紙ローラ25、搬送ローラ60、及び排出ローラ62を搬送モータ102の駆動力によって回転させる例を説明したが、給紙ローラ25を回転させる給紙モータを、搬送モータ102とは別に設けてもよい。この場合において、プリンタ11は、給紙モータ及び給紙ローラ25の回転量を検出する第1センサを、ロータリエンコーダ121とは別に備える必要がある。