(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記開閉扉が前記開位置から前記閉位置へ移動する際に、前記リンク部材は前記第1の弾性部材が張架された先端側が上死点を越えて前記回転モーメントの向きが反転し、前記ガイド部材を前記開閉扉の移動方向に引き込む、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の開閉機構。
前記ガイド部材は、前記開閉扉が前記開位置から前記閉位置へ移動する際に、前記回転モーメントの向きが反転した前記リンク部材と接触した際に前記支持軸を中心に回転して前記リンク部材と係合する、
ことを特徴とする請求項4に記載の開閉機構。
前記第2の案内面は、前記開閉扉の移動方向と交差する方向に傾斜した傾斜面を有し、前記開閉扉が前記閉位置から前記開位置へ移動する際に、前記支持軸の軸線に沿って移動して前記回転モーメントの向きが反転した前記リンク部材と接触して前記リンク部材を回転させて前記回転モーメントの向きを再度反転させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の開閉機構。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、誤操作による開閉扉の閉じ不良を抑制するとともに開閉操作する際の操作力の軽減を図ることができる開閉機構及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、請求項1記載の開閉機構は、
装置本体の開口を覆う閉位置と前記開口を開放する開位置の間で移動可能に回転支持された開閉扉と、
前記開閉扉に回転可能に支持され前記装置本体に設けられた被係合部に係合する係合部材と、
前記装置本体に設けられた回転軸で回転可能に支持されたリンク部材と、
前記リンク部材に張架されて前記リンク部材に回転モーメントを与えて前記回転軸を中心として回転させる第1の弾性部材と、
前記開閉扉に支持軸で回転可能
に支持され前記開閉扉が前記閉位置に移動する際に前記リンク部材
を案内するとともに、前記リンク部材の前記回転モーメントを受けて前記開閉扉を前記装置本体に引き込む力を作用する第1の案内面と、前記開閉扉が前記開位置に移動する際に前記リンク部材
を案内するとともに、前記リンク部材の前記回転モーメントの向きとは逆方向の力を作用し前記リンク部材を回転させる第2の案内面を有するガイド部材と、を備えた、
ことを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の開閉機構において、
前記リンク部材は、先端側に
前記第1の弾性部材が張架されて
前記回転モーメントを受けながら前記回転軸を中心として回転する、
ことを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の開閉機構において、
前記開閉扉が前記開位置から前記閉位置へ移動する際に、前記リンク部材は前記第1の弾性部材が張架された先端側が上死点を越えて前記回転モーメントの向きが反転し、前記ガイド部材を前記開閉扉の移動方向に引き込む、
ことを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項1に記載の開閉機構において、
前記ガイド部材は、一端側に第2の弾性部材が張架されて前記支持軸を中心として回転する、
ことを特徴とする
【0009】
請求項5記載の発明は、請求項4に記載の開閉機構において、
前記ガイド部材は、前記開閉扉が前記開位置から前記閉位置へ移動する際に、前記回転モーメントの向きが反転した前記リンク部材と接触した際に前記支持軸を中心に回転して前記リンク部材と係合する、
ことを特徴とする。
【0010】
請求項6記載の発明は、請求項1に記載の開閉機構において、
前記第2の案内面は、前記開閉扉の移動方向と交差する方向に傾斜した傾斜面を有し、前記開閉扉が前記閉位置から前記開位置へ移動する際に、前記支持軸の軸線に沿って移動して前記回転モーメントの向きが反転した前記リンク部材と接触して前記リンク部材を回転させて前記回転モーメントの向きを再度反転させる、
ことを特徴とする。
【0011】
請求項7記載の発明は、請求項6項に記載の開閉機構において、
前記ガイド部材は、前記係合部材の係合を解除する回転操作に連動して、前記
支持軸の軸線に沿って移動する、
ことを特徴とする。
【0012】
前記課題を解決するために、請求項8記載の画像形成装置は、
用紙に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部に向けて前記用紙を搬送する用紙搬送部と、
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の開閉機構と、を備えた、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1、8に記載の発明によれば、開閉扉の開閉操作の操作力を軽減するともに、確実に開閉扉を閉じることができる。
請求項2に記載の発明によれば、リンク部材の回転方向を切り替えることができる。
請求項3に記載の発明によれば、開閉扉の閉操作の操作力を軽減することができる。
請求項4に記載の発明によれば、リンク部材から開閉扉の引き込み力を受けることができる。
請求項5に記載の発明によれば、リンク部材と開閉扉の干渉を抑制することができる。
請求項6に記載の発明によれば、リンク部材と開閉扉の干渉を抑制して確実に開閉扉を閉じることができる。
請求項7に記載の発明によれば、リンク部材と接触するガイド部材の第1の案内面と第2の案内面を開閉扉の開操作に連動して切り替えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に図面を参照しながら、以下に実施形態及び具体例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態及び具体例に限定されるものではない。
また、以下の図面を使用した説明において、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
尚、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とする。
【0016】
(1)画像形成装置の全体構成及び動作
図1は本実施形態に係る画像形成装置1の内部構成を示す縦断面模式図である。
以下、図面を参照しながら、画像形成装置1の全体構成及び動作を説明する。
【0017】
画像形成装置1は、筐体100内に、制御装置10、給紙装置20、感光体ユニット30、現像ユニット40、転写ユニット50、用紙搬送ユニット60、定着ユニット70等を備えて構成されている。画像形成装置1の上面(Z方向)には、画像が記録された用紙が排出・収容される排出トレイ部Tが形成されている。さらに、画像形成装置1の側面(−X方向)には、用紙Pが紙詰まりした際の除去や点検等をする場合に、画像形成装置1の内部を開放する開閉扉210が回転可能に支持されている。
【0018】
制御装置10は、画像形成装置1の動作を制御する画像形成装置制御部11と、印刷処理要求に応じた画像データを準備するコントローラ部12、露光ヘッドLHの点灯を制御する露光制御部13、電源装置14等を有する。電源装置14は、後述する帯電ローラ32、現像ローラ42、一次転写ローラ52、二次転写ローラ62等に高圧電圧を印加するとともに、露光ヘッドLH、給紙装置20、定着ユニット70及び備えられた各センサ等に電力を供給する。
【0019】
コントローラ部12は、外部の情報送信装置(例えばパーソナルコンピュータ等)から入力された印刷情報を潜像形成用の画像情報に変換して予め設定されたタイミングで、駆動信号を露光ヘッドLHに出力する。本実施形態の露光ヘッドLHは、複数の発光素子(LED:Light Emitting Diode)が主走査方向に沿って線状に配列されたLEDヘッドにより構成されている。
【0020】
画像形成装置1の底部には、給紙装置20が設けられている。給紙装置20は、用紙積載板21を備え、用紙積載板21の上面には多数の記録媒体としての用紙Pが積載される。用紙積載板21に積載された用紙Pは、上側から1枚ずつ用紙引き出し部22により前方(−X方向)に引き出された後、用紙案内ガイド23を経由して駆動ローラ25aと従動ローラ25bとからなるレジストローラ対25のニップ部まで搬送される。
【0021】
感光体ユニット30は、給紙装置20の上方(Z方向)に、それぞれが並列して設けられ、感光体ドラム31を備えている。感光体ドラム31の周囲には、回転方向に沿って、帯電ローラ32、露光ヘッドLH、現像ユニット40、一次転写ローラ52、クリーニングブレード33が配置されている。
【0022】
現像ユニット40は、内部に現像剤が収容される現像ハウジング41を有する。現像ハウジング41内には、感光体ドラム31に対向して配置された現像ローラ42と、この現像ローラ42の背面側斜め下方には現像剤を現像ローラ42側へ撹拌搬送する一対のオーガ44、45が配設されている。現像ローラ42には、現像剤の層厚を規制する層規制部材46が近接配置されている。
現像ユニット40各々は、現像ハウジング41に収容される現像剤を除いて略同様に構成され、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。
【0023】
回転する感光体ドラム31の表面は、帯電ローラ32により帯電され、露光ヘッドLHから出射する潜像形成光により静電潜像が形成される。感光体ドラム31上に形成された静電潜像は現像ローラ42によりトナー像として現像される。
【0024】
転写ユニット50は、各感光体ユニット30の感光体ドラム31にて形成された各色トナー像が多重転写される中間転写ベルト51、各感光体ユニット30にて形成された各色トナー像を中間転写ベルト51に順次転写(一次転写)する一次転写ローラ52を備えている。さらに、中間転写ベルト51上に付着している残留トナーを除去する中間転写ベルトクリーナ54を備えて構成されている。
【0025】
用紙搬送ユニット60は、給紙装置20から繰り出された用紙Pの姿勢を補正して二次転写のタイミングに合わせて用紙Pを二次転写部TRへ送り込むレジストローラ対25の従動ローラ25bと、中間転写ベルト51上に重畳して転写された各色トナー像を記録媒体である用紙Pに一括転写(二次転写)する二次転写ローラ62とを備えている。また、転写されたトナー像が保持された用紙Pは搬送ガイド65を介して定着ユニット70の定着ニップ部Nへ案内される。
【0026】
各感光体ユニット30の感光体ドラム31に形成された各色トナー像は、画像形成装置制御部11により制御される電源装置14等から所定の転写電圧が印加された一次転写ローラ52により中間転写ベルト51上に順次静電転写(一次転写)され、各色トナーが重畳された重畳トナー像が形成される。
【0027】
中間転写ベルト51上の重畳トナー像は、中間転写ベルト51の移動に伴って二次転写部TRに搬送される。重畳トナー像が二次転写部TRに搬送されると、そのタイミングに合わせてレジストローラ対25から用紙Pが二次転写部TRに供給される。
そして、二次転写ローラ62には、画像形成装置制御部11により制御される電源装置14等から所定の転写電圧が印加され、レジストローラ対25から送り出された用紙Pに中間転写ベルト51上の多重トナー像が一括転写される。
【0028】
感光体ドラム31表面の残留トナーは、クリーニングブレード33により除去され、廃トナー回収容器(不図示)に回収される。感光体ドラム31の表面は、帯電ローラ32により再帯電される。
【0029】
定着ユニット70は、加熱モジュール71と加圧モジュール72を有し、加熱モジュール71と加圧モジュール72の圧接領域によって定着ニップ部N(定着領域)が形成される。二次転写部TRにおいてトナー像が転写された用紙Pは、トナー像が未定着の状態で搬送ガイド65を経由して定着ユニット70に搬送される。定着ユニット70に搬送された用紙Pは、一対の加熱モジュール71と加圧モジュール72により、加熱と圧着の作用でトナー像が定着される。
【0030】
定着トナー像が形成された用紙Pは、搬送ローラ対78を介して排出ローラ対79から画像形成装置1上面の排出トレイ部Tに排出される。また、両面印刷される場合は、表面が定着された用紙Pの後端が搬送ローラ対78を通過した時点で、排出ローラ対79が反転駆動されて、開閉扉210内に形成された反転搬送路から、レジストローラ対25へ搬送されて裏面に画像形成が行われる。
【0031】
(2)用紙搬送部の構成と動作
図2は用紙搬送部の内部構成と用紙搬送を示す断面模式図、
図3は用紙搬送ユニット60の断面模式図、
図4(a)は用紙搬送部を開放したときの開閉扉210と用紙搬送ユニット60の位置関係を示す模式図、(b)は開閉扉210の閉動作による用紙搬送ユニット60の移動を示す用紙搬送部の模式図、
図5(a)はガイド部材220の第1の案内面221がリンク部材240に係合した状態を第2の案内面222を不図示にして示す模式図、(b)はガイド部材220の第2の案内面222がリンク部材240に接触した状態を第1の案内面221を不図示にして示す模式図、
図6(a)はガイド部材220の第1の案内面221とリンク部材240のスタッド242の係合を示す平面模式図、(b)はガイド部材220の第2の案内面222とリンク部材240のスタッド242の係合を示す平面模式図である。
以下、図面を参照しながら、画像形成装置1の用紙搬送部の構成と動作について説明する。
【0032】
用紙搬送部は、筐体100、開閉扉210を含む開閉機構200、用紙搬送ユニット60から構成されている。
【0033】
(2.1)筐体
筐体100は、側方(−X方向)に開口部を有し、内部には感光体ユニット30、現像ユニット40、転写ユニット50等が収容されている。
筐体100の開口部側下端には、開閉扉210の回転中心となる軸受部101が形成され、後述する開閉扉210の回転軸211を回転可能に支持している。
【0034】
筐体100の開口部側上部には、ロックピン103がそれぞれ開閉扉210の開閉方向と交差する方向に突出して設けられている。
そして、開閉扉210の上方に回転可能に設けられたラッチレバー215の凹部215aが嵌り込んで開閉扉210が筐体100に開口部を閉塞した状態で固定される。
【0035】
(2.2)開閉扉
開閉扉210は、内部に、用紙搬送ユニット60を回転支持するとともに、筐体100の軸受部101に回転軸211を支持されて、筐体100の開口部を塞ぐ閉位置と開口部を開放する開位置との間で回転移動する。
開閉扉210の筐体100と対向する内面には、表面が定着されたのち搬送方向を反転させられた用紙Pがレジストローラ対25に再度合流するまでに通過する反転搬送路の一方となる外側搬送ガイド213が形成されている。
【0036】
外側搬送ガイド213は、用紙搬送ユニット60に形成された内側搬送ガイド631と所定の間隙を保持して、反転搬送路を形成している。
反転搬送路内には、複数の搬送ローラ対120、130、140が配置され、外側搬送ガイド213には搬送ローラ対120、130、140を構成する駆動側搬送ローラ120a、130a、140aが配置されている。
【0037】
(2.3)用紙搬送ユニット
用紙搬送ユニット60は、レジユニット部610、二次転写ユニット部620、両面ユニット部630から構成されている。
【0038】
レジユニット部610は、第1用紙案内ガイド611、レジストローラ対25の従動ローラ25b、第2用紙案内ガイド612を有している。レジストローラ対25の駆動ローラ25aは装置本体側に配設されている。
第1用紙案内ガイド611は給紙装置20から繰り出された用紙P及び両面ユニット部630を介して搬送される用紙Pをレジストローラ対25のニップ部へ案内する。第2用紙案内ガイド612は、レジストローラ対25から姿勢を補正して送り出される用紙Pを二次転写部TRへ案内する。
【0039】
二次転写ユニット部620は、二次転写ローラ62、搬送ガイド65を有し、二次転写のタイミングに合わせて送り込まれた用紙Pに、中間転写ベルト51側へ付勢された二次転写ローラ62で中間転写ベルト51上に保持されたトナー像を一括転写(二次転写)する。トナー像が転写された用紙Pは、搬送ガイド65を介して定着ユニット70の定着ニップ部Nへ案内される。
【0040】
両面ユニット部630は、開閉扉210の内面側に形成された外側搬送ガイド213と対向して、反転搬送路の他面側を構成する内側搬送ガイド631を有し、両面印刷される用紙Pをレジストローラ対25へ搬送する。
内側搬送ガイド631には、搬送ローラ対130のピンチローラ130b、搬送ローラ対140のピンチローラ140bがそれぞれ回転自在に配設されている。
【0041】
また、内側搬送ガイド631の下方側には、回転軸部632が左右一対に形成されている。回転軸部632は開閉扉210の両側側板210aに形成された軸受部212に嵌挿され、用紙搬送ユニット60は開閉扉210に対して回転可能に支持される。
【0042】
図4に示すように、内側搬送ガイド631の両側には、圧縮コイルバネSの一端が固定され、他端は開閉扉210の内側搬送ガイド631に面した内面側に固定されている。これにより、開閉扉210が閉位置で固定されているときには、用紙搬送ユニット60と開閉扉210の間には互いに圧縮コイルばねSの付勢力が作用している。
【0043】
そのために、開閉扉210が開位置に移動する際に、用紙搬送ユニット60は、開閉扉210の移動とともに回転し、レジストローラ対25のニップが解除されるとともに、二次転写部TRにおける二次転写ローラ62と中間転写ベルト51とのニップも解除される。
そして、反転搬送路を形成している内側搬送ガイド631と外側搬送ガイド113が圧縮コイルバネSの付勢力によって互いに開放されて搬送ローラ対120、130、140のニップも解除される。
【0044】
開閉扉210を開位置から閉位置に戻す場合には、開閉扉210を筐体100側へ回転移動させる。
開閉扉210の筐体100側への回転移動に伴って、用紙搬送ユニット60も筐体100側へ回転移動し、レジストローラ対25のニップ及び二次転写部TRにおける二次転写ローラ62のニップによる反力を受けた状態でラッチレバー215の凹部215aがロックピン103に嵌り込んで固定される。
【0045】
(2.4)開閉機構
開閉機構200は、開閉扉210、開閉扉210に配置されたガイド部材220、筐体100に設けられた被係合部としてのロックピン103に係合する係合部材としてのラッチレバー215、筐体100に配置されたリンク部材240、リンク部材240に回転モーメントMを付与する第1の弾性部材の一例としての引張りコイルばね250、ガイド部材220に張架された第2の弾性部材の一例としての引張りコイルばね260、ガイド部材220を支持軸216の軸線方向に移動可能に付勢する圧縮コイルばね270、ラッチレバー215の回転操作に連動してガイド部材220を支持軸216の軸線方向に移動させる斜板カム280とから構成されている。
【0046】
ガイド部材220は、開閉扉210の上方でラッチレバー215の下方に支持軸216で回転可能に支持され、一端に引張りコイルばね260が張架された状態で開閉扉210に設けられた突き当て部217に当接して回転が規制されている。
【0047】
ガイド部材220は、
図5(a)に示すように、開閉扉210が閉位置に移動する際に後述するリンク部材240と接触しながら移動する第1の案内面221と、
図5(b)に示すように、開閉扉210が開位置に移動する際にリンク部材240と接触しながら移動する第2の案内面222とを有する。
【0048】
ガイド部材220は、
図6(a)に示すように、ラッチレバー215がロックピン103に係合して開閉扉210が閉位置でロックされている状態では、圧縮コイルばね270でリンク部材240側に付勢されて第1の案内面221がリンク部材240のスタッド242と係合している。そして、開閉扉210を開位置に移動させる際に、ラッチレバー215を回転操作すると、ガイド部材220は斜板カム280で支持軸216の軸線方向に押圧されて第2の案内面222がリンク部材240のスタッド242と接触する位置へ移動する(
図6(b)矢印参照)。
【0049】
第1の案内面221は、開閉扉210が閉位置に移動する際にリンク部材240のスタッド242を迎え入れる第1の傾斜部221Aと、リンク部材240のスタッド242が嵌まり込んでガイド部材220を引き込む鉤部221Bと鉤部221Bの先端部に形成され第1の傾斜部221Aとは逆の傾斜角度を有する第2の傾斜部221Cを有している。
【0050】
鉤部221Bは、第1の傾斜部221Aで案内されるリンク部材240のスタッド242が第1の傾斜部221Aの終端221Ab(
図7 参照)で上死点を越えた際に、リンク部材240の反転した回転モーメントMを受けるようになっている。これにより、開閉扉210には、筐体100側への引き込み力が作用し、開閉扉210の閉位置への操作力が軽減されている。
【0051】
第2の案内面222は、第1の案内面221の側方に第1の案内面221と一体に形成され、開閉扉210の移動方向と交差する方向に傾斜した傾斜面222Aを有する。
第2の案内面222は、開閉扉210が閉位置から開位置へ移動する際に、ラッチレバー215の回転操作に連動して支持軸216の軸線に沿って移動して回転モーメントMの向きが反転したリンク部材240のスタッド242と接触してリンク部材240を回転させて回転モーメントMの向きを再度反転させる。
【0052】
リンク部材240は、基端側240aが筐体100に設けられた回転軸104で回転可能に支持されている。先端側240bには、回転方向と交差する方向に突出するスタッド242を有し、スタッド242には引張りコイルばね250が張架されている。その結果、リンク部材240は、引張りコイルばね250の張架方向と回転軸104とスタッド242を結ぶ仮想線c1とが同一直線上に重なった位置を上死点として、時計回り又は反時計回りのいずれかに反転して第1の引張りコイルばね250による回転モーメントMが作用するようになっている(
図5(a)、(b)中 矢印M参照)。
【0053】
(3)開閉扉の開閉動作
図7は開閉扉210が閉位置に移動するときのリンク部材240による開閉扉210の引き込み動作を説明する模式図、
図8は開閉扉210が開位置に移動するときのリンク部材240の復帰動作を説明する模式図、
図9はリンク部材240が引き込み方向に位置した状態で開閉扉210を閉位置に移動するときのリンク部材240の復帰動作を説明する模式図である。以下、図面を参照しながら、開閉機構200の動作について説明する。
【0054】
(3.1)開閉扉の閉動作
開閉扉210を開位置から閉位置に戻す場合、開閉扉210を筐体100側へ回転移動させると、開閉扉210に配置されたガイド部材220も筐体100側へ回転移動し、筐体100に配置されたリンク部材240のスタッド242が第1の案内面221の第1の傾斜部221Aの始端221Aa側から接触する(
図7(a) 参照)。
そして、開閉扉210をさらに閉位置へ回転移動させると、リンク部材240のスタッド242は第1の案内面221の第1の傾斜部221Aの移動軌跡に沿いながら回転し第1の傾斜部221Aの終端221Abで上死点に位置し回転モーメントMが作用しない状態になる(
図7(b) 参照)。
【0055】
そして、スタッド242が上死点に達したリンク部材240は、回転モーメントMの向きが反転すると同時に第1の案内面221の鉤部221Bにスタッド242が嵌まり込む。
ガイド部材220は鉤部221Bにスタッド242が嵌まり込む状態で、向きが反転したリンク部材240による回転モーメントMを受けて、開閉扉210には閉位置方向にリンク部材240の反転した回転モーメントMに基づく引き込み力Fが作用する(
図7(c) 参照)。
これにより、レジストローラ対25のニップ及び二次転写ローラ62のニップによる反力を一部相殺して操作力を軽減することができる。
【0056】
さらに開閉扉210を閉位置へ回転移動させると、ガイド部材220はリンク部材240に閉位置に向かって引き込まれ、リンク部材240は閉位置に到達する。そして、ラッチレバー215の凹部215aが、筐体100に設けられたロックピン103に嵌り込んで開閉扉210が閉位置で固定される(
図5(a)参照)。
【0057】
(3.2)開閉扉の開動作
開閉扉210を閉位置から開位置に移動させる場合、開閉扉210の上方に設けられたラッチレバー215を引き上げて筐体100に設けられたロックピン103との係合を解除して開閉扉210を画像形成装置1本体の側方(
図1における−X方向)へ回転移動させる。
【0058】
図6(b)に示すように、開閉扉210が閉位置でロックされている状態では、ガイド部材220は、ラッチレバー215の回転操作に連動して斜板カム280で押圧されて支持軸216の軸線に沿う方向に移動して第2の案内面222がリンク部材240のスタッド242と接触する(
図5(b)参照)。
【0059】
開閉扉210の回転移動が開始されると、リンク部材240のスタッド242は、ガイド部材220の第2の案内面222の傾斜面222Aに沿いながら回転する。傾斜面222Aは、開閉扉210の移動方向に沿う緩やかな傾斜角度を有しているために、回転モーメントMによる引き込み力Fの作用方向と同方向となり(
図8(a)参照)、開閉扉210の開放操作の操作力の増大が抑制される。
【0060】
開閉扉210をさらに回転移動させると、リンク部材240のスタッド242は、傾斜面222Aに沿いながら回転して上死点に位置し回転モーメントMが作用しない状態となる(
図8(b) 参照)。
そして、開閉扉210の回転移動とともにリンク部材240は、回転モーメントMの向きが反転して開閉扉210の閉位置への回転移動を受け入れる待機位置に復帰する(
図8(c) 参照)。
【0061】
このようにして、開閉扉210を開放された開位置から閉位置に戻す場合、筐体100に配置されたリンク部材240がガイド部材220の第1の案内面221の第1の傾斜部221Aに沿って回転しながら第1の傾斜部221Aの終端221Abで回転モーメントMの向きが反転し、開閉扉210にはリンク部材240に基づく引き込み力Fが作用して操作力を軽減することができる。
一方、開閉扉210を閉位置から開位置に移動させる場合には、開閉扉210の閉操作をアシストするリンク部材240は、閉操作時とは異なる第2の案内面222の緩やかな傾斜角度を有する傾斜面222Aに沿いながら回転することにより、開操作時の操作力の増大を抑制している。
【0062】
(3.3)開閉扉の閉動作
開閉扉210が開放された状態で、リンク部材240が、誤操作等によって通常の待機位置から引き込み方向に反転してしまう虞がある。本実施形態における開閉機構200は、リンク部材240が引き込み方向に反転した位置で開閉扉210の閉操作を行った場合には、ガイド部材220の第1の案内面221の第2の傾斜部221Cがリンク部材240のスタッド242と接触しながら回転してリンク部材240を閉操作時の通常位置に復帰させる。
【0063】
開閉扉210を開位置から閉位置に戻す場合、開閉扉210を筐体100側へ回転移動させると、開閉扉210に配置されたガイド部材220も筐体100側へ回転移動し、通常の待機位置から引き込み方向に反転したリンク部材240のスタッド242が第1の案内面221の第2の傾斜部221Cに接触する(
図9(a)参照)。
【0064】
そして、開閉扉210を閉位置へさらに回転移動させると、リンク部材240のスタッド242は第1の案内面221の第2の傾斜部221Cに沿いながら回転すると同時にガイド部材220はリンク部材240のスタッド242に押し下げられながら支持軸216を回転中心として回転する。
【0065】
開閉扉210を閉位置へさらに回転移動させると、リンク部材240のスタッド242は第1の案内面221の第2の傾斜部221Cに沿いながら回転し(
図9(b)中 矢印参照)、リンク部材240のスタッド242に作用する回転モーメントMは小さくなり、上死点に位置した状態では回転モーメントMが作用しない状態になる(
図9(b)参照)。
【0066】
一方、ガイド部材220には、ガイド部材220が回転して伸張した引張りコイルばね260による引張り力F1に基づく回転モーメントM1が作用してガイド部材220は回転方向が反転する。その結果、第2の傾斜部221Cに接触しているリンク部材240のスタッド242は、第1の案内面221の鉤部221Bにはまり込みリンク部材240は開閉扉210の通常の閉位置で停止して、ガイド部材220は突き当て部217に当接して停止する(
図9(c)参照)。
【0067】
このようにして、リンク部材240が、誤操作等によって通常の待機位置から引き込み方向に反転してしまった場合であっても、ガイド部材220の第1の案内面221の第2の傾斜部221Cがリンク部材240のスタッド242を受け入れながら回転してリンク部材240を閉操作時の通常位置に復帰させる。その結果、リンク部材240と開閉扉210の干渉を抑制して確実に開閉扉210を閉じることができる。