特許第6784139号(P6784139)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6784139ひずみ計測方法、及びひずみ計測システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6784139
(24)【登録日】2020年10月27日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】ひずみ計測方法、及びひずみ計測システム
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/16 20060101AFI20201102BHJP
   G01B 21/32 20060101ALI20201102BHJP
【FI】
   G01B11/16 Z
   G01B21/32
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-208804(P2016-208804)
(22)【出願日】2016年10月25日
(65)【公開番号】特開2018-72028(P2018-72028A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2019年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】松村 栄郎
(72)【発明者】
【氏名】西田 秀高
(72)【発明者】
【氏名】片岡 敏明
(72)【発明者】
【氏名】森下 啓司
【審査官】 山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/115315(WO,A1)
【文献】 特開平02−108916(JP,A)
【文献】 特開2004−216440(JP,A)
【文献】 特開2008−175675(JP,A)
【文献】 特表平11−513806(JP,A)
【文献】 特開平06−106430(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/004307(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00−11/30
21/00−21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接線をまたぎ、互いに方向が異なる複数の距離の変化を測定することにより、溶接部の伸びひずみ変形量とねじりひずみ変形量とを計測するひずみ計測方法。
【請求項2】
レーザ距離計と反射板とを用いて、前記複数の距離の変化を測定する、請求項1に記載のひずみ計測方法。
【請求項3】
溶接線をまたぎ、互いに方向が異なる2つの距離の変化を測定することにより、溶接部の伸びひずみ変形量とねじりひずみ変形量とを計測する、請求項1または2に記載のひずみ計測方法。
【請求項4】
前記溶接線を挟む第1地点と、2つの第2地点との間の2つの距離の変化を測定することにより、前記溶接部の伸びひずみ変形量とねじりひずみ変形量とを計測する、請求項1から3のいずれか1項に記載のひずみ計測方法。
【請求項5】
前記第1地点と2つの前記第2地点とを経由する2本の直線は、前記第1地点において90度で交わり、各々の直線は、前記溶接線と45度をなす、請求項4に記載のひずみ計測方法。
【請求項6】
溶接線をまたぎ、互いに方向が異なる複数の距離の変化を測定することにより、溶接部の伸びひずみ変形量とねじりひずみ変形量とを計測するひずみ計測システム。
【請求項7】
前記複数の距離の変化を測定するレーザ距離計と反射板とを備える、請求項6に記載のひずみ計測システム。
【請求項8】
溶接線をまたぎ、互いに方向が異なる2つの距離の変化を測定することにより、溶接部の伸びひずみ変形量とねじりひずみ変形量とを計測する、請求項6または7に記載のひずみ計測システム。
【請求項9】
前記溶接線を挟む第1地点と、2つの第2地点との間の2つの距離の変化を測定することにより、前記溶接部の伸びひずみ変形量とねじりひずみ変形量とを計測する、請求項6から8のいずれか1項に記載のひずみ計測システム。
【請求項10】
前記第1地点と2つの前記第2地点とを経由する2本の直線は、前記第1地点において90度で交わり、各々の直線は、前記溶接線と45度をなす、請求項9に記載のひずみ計測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ひずみ計測方法、及びひずみ計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
高温域で長時間使用され、かつ、起動停止が頻繁に繰り返される発電所のボイラや蒸気タービン等のプラント機器の材料は、熱疲労及びクリープ疲労により損傷し、劣化する。とりわけ、ボイラやプラント機器等では、配管が長いため溶接で接合されていることが多いが、配管の母材と溶接金属との境界に存在する溶接熱影響部において、熱損傷やクリープ損傷が発生しやすい。溶接熱影響部が損傷を受けると、主として溶接線と直行する方向に伸びひずみが生じ,ひずみがある程度以上の量になると、き裂が発生する。
【0003】
例えば、ひずみ量を用いてプラント機器等の余寿命を診断する際は、伸びひずみ量のみをパラメータとして用いることがあった。溶接熱影響部が損傷を受けた場合、主として、溶接線と直行する方向に伸びひずみを生じることから、従来、溶接部の損傷を見積もるためには、特許文献1に記載のように、溶接部の伸びひずみのみを計測することが通例であった。具体的には、図7(a)及び(b)に記載のように、レーザ距離計51と、レーザ距離計51から発信されるレーザを反射する反射板52とを、両者が溶接部53をまたぐと共に、レーザの発信方向が溶接線に直交するように設置し、これらを用いて、溶接部の伸びひずみを計測することが一般的であった。また、特許文献2に記載のように、溶接部などの異なる材質の部分を含む試験体のひずみを計測する際には、複数箇所のひずみを計測するにせよ、伸びひずみを計測することが一般的であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5563169号
【特許文献2】特開平05−264264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、溶接部においては、溶接線に直交する伸び方向のひずみだけではなく、溶接線に平行なねじり方向の力が働くことによるねじりひずみが発生するが、溶接部の伸び方向の変位を測定するだけでは、ねじりひずみを測定することはできなかった。とりわけ、溶接部にせん断力が加わることにより、ねじりひずみが発生しても、伸び方向の変位にはほとんど変化がない。このため、溶接部において、実際にはねじりひずみによる亀裂が発生しているにもかかわらず、伸びひずみ変形量を計測するだけでは、ひずみの発生を検知することはできなかった。
【0006】
そこで本発明は、溶接部の伸びひずみ変形量とねじりひずみ変形量の双方を簡便に計測するひずみ計測方法、及びひずみ計測システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
具体的には、以下のような解決手段を提供する。
【0008】
(1) 溶接線をまたぎ、互いに方向が異なる複数の距離の変化を測定することにより、溶接部の伸びひずみ変形量とねじりひずみ変形量とを計測するひずみ計測方法。
【0009】
(1)によれば、溶接部の伸びひずみ変形量だけではなく、ねじりひずみ変形量を計測することが可能となる。延いては、伸びひずみ変形量だけではなく、ねじりひずみ変形量も加味することにより、溶接部が存在するプラント等の余寿命をより正確に判定することが可能となる。
【0010】
(2) (1)において、レーザ距離計と反射板とを用いて、前記複数の距離の変化を測定する、ひずみ計測方法。
【0011】
(2)によれば、レーザ距離計を用いることにより、ひずみゲージ等の変位計を用いた場合に比較して、より正確にひずみ変形量を計測することが可能となる。
【0012】
(3) (1)、(2)において、溶接線をまたぎ、互いに方向が異なる2つの距離の変化を測定することにより、溶接部の伸びひずみ変形量とねじりひずみ変形量とを計測する、ひずみ計測方法。
【0013】
(3)によれば、2つの距離の変化のみを測定することにより、より簡便に、溶接部の伸びひずみ変形量とねじりひずみ変形量とを計測することが可能となる。
【0014】
(4) (1)、(2)、(3)において、前記溶接線を挟む第1地点と、2つの第2地点との間の2つの距離の変化を測定することにより、前記溶接部の伸びひずみ変形量とねじりひずみ変形量とを計測する、ひずみ計測方法。
【0015】
(4)によれば、レーザ距離計または反射板を、第1地点にまとめて設置できるため、より簡便に、溶接部の伸びひずみ変形量とねじりひずみ変形量とを計測することが可能となる。
【0016】
(5) (4)において、前記第1地点と2つの前記第2地点とを経由する2本の直線は、前記第1地点において略90度で交わり、各々の直線は、前記溶接線と略45度をなす、ひずみ計測方法。
【0017】
(5)によれば、上記の伸びひずみ変形量、及びねじりひずみ変形量を、より簡単な数式を用いて算出することが可能となる。
【0018】
(6) 溶接線をまたぎ、互いに方向が異なる複数の距離の変化を測定することにより、溶接部の伸びひずみ変形量とねじりひずみ変形量とを計測するひずみ計測システム。
【0019】
(6)によれば、溶接部の伸びひずみ変形量だけではなく、ねじりひずみ変形量を計測することが可能となる。延いては、伸びひずみ変形量だけではなく、ねじりひずみ変形量も加味することにより、溶接部が存在するプラント等の余寿命をより正確に判定することが可能となる。
【0020】
(7) (6)において、前記複数の距離の変化を測定するレーザ距離計と反射板とを備える、ひずみ計測システム。
【0021】
(7)によれば、レーザ距離計を用いることにより、ひずみゲージ等の変位計を用いた場合に比較して、より正確にひずみ変形量を計測することが可能となる。
【0022】
(8) (6)、(7)において、溶接線をまたぎ、互いに方向が異なる2つの距離の変化を測定することにより、溶接部の伸びひずみ変形量とねじりひずみ変形量とを計測する、ひずみ計測システム。
【0023】
(8)によれば、2つの距離の変化のみを測定することにより、より簡便に、溶接部の伸びひずみ変形量とねじりひずみ変形量とを計測することが可能となる。
【0024】
(9) (6)、(7)、(8)において、前記溶接線を挟む第1地点と、2つの第2地点との間の2つの距離を測定することにより、前記溶接部の伸びひずみ変形量とねじりひずみ変形量とを計測する、ひずみ計測システム。
【0025】
(9)によれば、レーザ距離計または反射板を、第1地点にまとめて設置できるため、より簡便に、溶接部の伸びひずみ変形量とねじりひずみ変形量とを計測することが可能となる。
【0026】
(10) (9)において、前記第1地点と2つの前記第2地点とを経由する2本の直線は、前記第1地点において略90度で交わり、各々の直線は、前記溶接線と略45度をなす、ひずみ計測システム。
【0027】
(10)によれば、上記の伸びひずみ変形量、及びねじりひずみ変形量を、より簡単な数式を用いて算出することが可能となる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、溶接部の伸びひずみ変形量とねじりひずみ変形量の双方を簡便に計測するひずみ計測方法、及びひずみ計測システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施形態におけるひずみ計測システムの全体構成を示す図である。
図2】本発明の一実施形態におけるひずみ計測システムの各構成要素の配置箇所を示す図である。
図3】本発明の一実施形態におけるひずみ計測システムにおいて、伸びひずみ変形のみが生じた際の測定距離の変化を示す図である。
図4】本発明の一実施形態におけるひずみ計測システムにおいて、ねじりひずみ変形のみが生じた際の測定距離の変化を示す図である。
図5】本発明の一実施形態におけるひずみ計測システムにおいて、伸びひずみ変形とねじりひずみ変形が生じた際の測定距離の変化を示す図である。
図6】本発明の他の実施形態におけるひずみ計測システムの全体構成を示す図である。
図7】従来のひずみ計測システムの全体構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0031】
図1に本発明の実施形態におけるひずみ計測システム100の構成を示す。ひずみ計測システム100は、2つのレーザ距離計11A及び11Bと、2枚の反射板12A及び12Bとを備える。図1においては、溶接部21を挟んで、2つの異なる地点P及び地点Qと、地点Rとが存在する。地点Pにはレーザ距離計11Aが、地点Qにはレーザ距離計11Bが存在する。地点Rには、地点Rを囲うように2枚の反射板12A及び12Bが存在する。すなわち、地点Rに複数の反射板が設置され、地点P及び地点Qの各々にレーザ距離計が設置されている。また、レーザ距離計11Aのレーザ発信方向と、反射板12Aの正面とは直交する位置関係にあり、レーザ距離計11Bのレーザ発信方向と、反射板12Bの正面とも直交する位置関係にある。
【0032】
レーザ距離計11Aは、反射板12Aに対してレーザを発信し、反射板12Aで反射されたレーザを受信することにより、レーザ距離計11Aと反射板12Aとの間の距離を測定する。同様に、レーザ距離計11Bは、反射板12Bに対してレーザを発信し、反射板12Bで反射されたレーザを受信することにより、レーザ距離計11Bと反射板12Bとの間の距離を測定する。
【0033】
図2に、レーザ距離計11A及び11Bと、反射板12A及び12Bの、より詳細な位置関係、及び、各地点間距離の符号を示す。レーザ距離計11Aから反射板12Aにレーザを発信する方向は、溶接線と平行な方向及び溶接線に直交する方向の双方と略45度をなす。同様に、レーザ距離計11Bから反射板12Bにレーザを発信する方向は、溶接線と平行な方向及び溶接線に直交する方向の双方と略45度をなす。すなわち、地点Rと、2つの地点P及び地点Qとを経由する2本の直線は、地点Rにおいて略90度で交わり、各々の直線は、溶接線と略45度をなす。
【0034】
また、図2において、地点Rを通り、溶接線と平行な軸をX軸とすると共に、レーザ距離計11A側からレーザ距離計11B側に向かう方向を、X軸の正方向とする。地点Rを通り、X軸に直交する軸をZ軸とし、反射板12A側からレーザ距離計11A側に向かう方向をZ軸の正方向とする。
レーザ距離計11Aのレーザ発信点Sから、発信されたレーザが反射板12Aに衝突する点Tまでの距離をL10とする。レーザ距離計11Aから発信されたレーザが反射板12Aに衝突した点Tを通りX軸に平行な直線に、L10を投影した距離をX10とする。レーザ距離計11Aのレーザ発信点Sを通りZ軸に平行な直線に、L10を投影した距離をZ10とする。
同様に、レーザ距離計11Bのレーザ発信点Uから、発信されたレーザが反射板12Bに衝突する点Vまでの距離をL20とする。レーザ距離計11Bから発信されたレーザが反射板12Bに衝突する点Vを通りX軸に平行な直線に、L20を投影した距離をX20とする。レーザ距離計11Bのレーザ発信点Uを通りZ軸に平行な直線に、L20を投影した距離をZ20とする。
【0035】
ここで、図3を参照しながら、溶接部が、溶接線と平行方向にはねじれずに、溶接線と垂直方向に伸びたのみの場合について考察する。溶接部がZ方向にΔZだけ伸び、レーザ距離計11Aのレーザ発信点Sとレーザ距離計11Bのレーザ発信点Uの双方が、Z方向にΔZ移動したとする。これにより、図3に記載のように、L10がL11に、L20がL21に変化したとすると、以下の数式(1)及び(2)が成立する。
【数1】
【0036】
数式(1)及び数式(2)の各々は、ΔZを左辺とした場合、以下の数式(3)及び数式(4)に変形される。
【数2】
【0037】
ここで、溶接線と垂直方向の伸びひずみ変形量(平均)は、以下の数式(5)及び(6)で表わされることから、上記の数式(3)又は数式(4)のいずれかによって算出されるΔZを、数式(5)及び(6)に代入することにより、伸びひずみ変形量(平均)を算出することが可能である。
【数3】
【0038】
すなわち、レーザ距離計11Aと反射板12Aとの間の距離の変化、及び、レーザ距離計11Bと反射板12Bとの間の距離の変化を計測することのみにより、溶接部の伸びひずみ変形量を算出することが可能である。
【0039】
次に、図4を参照しながら、溶接部が、溶接線と垂直方向に伸びずに、溶接線と平行方向にねじれるのみの場合について考察する。溶接部がX方向にΔXだけずれ、レーザ距離計11Aのレーザ発信点Sとレーザ距離計11Bのレーザ発信点Uの双方が、X方向にΔXだけ移動したとする。これにより、図4に記載のように、L10がL11に、L20がL21に変化したとすると、以下の数式(7)及び(8)が成立する。
【数4】
【0040】
数式(7)及び数式(8)の各々は、ΔXを左辺とした場合、以下の数式(9)及び数式(10)に変形される。
【数5】
【0041】
ここで、溶接線と平行方向のねじりひずみ変形量(平均)は、以下の数式(11)及び(12)で表わされることから、上記の数式(9)又は数式(10)のいずれかによって算出されるΔXを、数式(11)及び(12)に代入することにより、ねじりひずみ変形量(平均)を算出することが可能である。
【数6】
【0042】
すなわち、レーザ距離計11Aと反射板12Aとの間の距離の変化、及び、レーザ距離計11Bと反射板12Bとの間の距離の変化を計測することのみにより、溶接金属のねじりひずみ変形量を算出することが可能である。
【0043】
次に、図5を参照しながら、溶接金属が、溶接線と垂直方向に伸びると共に、溶接線と平行方向にねじれる場合、すなわち、伸びとねじりが重畳する場合について考察する。溶接金属がZ方向にΔZだけ伸びると共に、X方向にΔXだけずれることにより、レーザ距離計11Aのレーザ発信点Sとレーザ距離計11Bのレーザ発信点Uの双方が、X方向にΔX、Z方向にΔZ移動したとする。これにより、図5に記載のように、L10がL11に、L20がL21に変化したとすると、以下の数式(13)及び(14)が成立する。
【数7】
【0044】
数式(13)及び数式(14)の各々は、以下の数式(15)及び数式(16)に変形される。
【数8】
【0045】
上記の数式(15)及び数式(16)を、ΔZ及びΔXを変数とする連立方程式と考えると、ΔZ及びΔXのそれぞれは、以下の数式(17)及び数式(18)のように求められる。
【数9】
【0046】
溶接線と垂直方向の伸びひずみ変形量(平均)は、上記の数式(5)及び数式(6)、溶接線と平行方向のねじりひずみ変形量(平均)は、上記の数式(11)及び数式(12)により求められる。そこで、数式(19)によって求められるΔZ、及び数式(20)によって求められるΔXをこれら数式(5)、数式(6)、数式(11)、数式(12)に代入すると、上記の伸びひずみ変形量とねじりひずみ変形量は、以下のように算出される。
【数10】
【0047】
すなわち、レーザ距離計11Aと反射板12Aとの間の距離の変化、及び、レーザ距離計11Bと反射板12Bとの間の距離の変化を測定することのみにより、溶接部の伸びひずみ変形量とねじりひずみ変形量の双方を個別に算出することが可能である。より一般的には、溶接線を挟む第1地点と、2つの第2地点との間の複数の距離の変化を測定することにより、溶接部の伸びひずみ変形とねじりひずみ変形とを個別に計測することが可能である。
【0048】
〔実施形態の効果〕
以上、説明したように構成された本実施形態によれば、溶接線を挟み、互いに方向が異なる2つの距離の変化を測定することにより、溶接部の伸びひずみ変形とねじりひずみ変形とを計測することが可能である。これにより、溶接部の伸びひずみ変形量だけではなく、ねじりひずみ変形量を計測することが簡便となる。延いては、伸びひずみ変形量だけではなく、ねじりひずみ変形量も加味することにより、溶接部が存在するプラント等の余寿命をより正確に判定することが可能となる。
【0049】
また、本実施形態によれば、レーザ距離計と反射板とを用いて、上記の2つの距離の変化を測定する。これにより、ひずみゲージ等の変位計を用いた場合に比較して、より正確にひずみ変形量を計測することが可能となる。
【0050】
また、本実施形態によれば、溶接線を挟む第1地点と、2つの第2地点との間の2つの距離の変化を測定することにより、前記溶接部の伸びひずみ変形量とねじりひずみ変形量とを計測する。これにより、レーザ距離計または反射板を、第1地点にまとめて設置できるため、より簡便に、溶接部の伸びひずみ変形量とねじりひずみ変形量とを計測することが可能となる。
【0051】
また、本実施形態によれば、上記の第1地点と2つの第2地点とを経由する2本の直線は、上記の第1地点において略90度で交わり、各々の直線は、上記の溶接線と略45度をなす。これにより、上記の伸びひずみ変形量、及びねじりひずみ変形量を、より簡単な数式を用いて算出することが可能となる。
【0052】
〔変形例〕
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
【0053】
例えば、上記の実施形態では、図1に記載のように、溶接線を挟む第1地点と複数の第2地点とにおいて、第1地点に2枚の反射板を設置し、第2地点の各々にレーザ距離計を設置するとしたが、これには限定されない。例えば、図6に記載のように、溶接線を挟む第1地点と複数の第2地点のうち、第1地点に2つのレーザ距離計を設置し、第2地点の各々に反射板を設置してもよい。
【0054】
また、上記の実施形態では、上記の第1地点と上記の第2地点とを経由する2本の直線は、第1地点において略90度で交わり、各々の直線は、溶接線と略45度をなすとしたが、これには限定されない。2本の直線の方向が異なると共に、双方が溶接線をまたぎさえすれば、溶接部の伸びひずみ変形量とねじりひずみ変形量を、個別に計測することが可能である。例えば、第2地点の変位方向において、溶接線と平行方向と垂直方向のいずれが支配的かにより、レーザの発信方向が溶接線となす角度を適宜変更することが可能である。
【0055】
また、上記の実施形態では、上記の第1地点と2つの第2地点との間の2つの距離を計測したが、これには限定されない。溶接部をまたぐと同時に、互いに方向が異なる3つ以上の距離を測定することにより、より正確に、上記の伸びひずみ変形量とねじりひずみ変形量を計測することが可能となる。
【0056】
また、上記の実施形態に係るひずみ計測システムが設置されるプラント等において、平常時には、上記の第1地点及び第2地点に、レーザ距離計及び反射板を載置する台座のみを設置しておき、ひずみ変形量の計測時にのみ、台座にレーザ距離計及び反射板を載置してもよい。
【符号の説明】
【0057】
11A 11B 51 レーザ距離計
12A 12B 52反射板
21 53 溶接部
100 110 ひずみ計測システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7