特許第6784144号(P6784144)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6784144
(24)【登録日】2020年10月27日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】光モジュール
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/32 20060101AFI20201102BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20201102BHJP
   G02B 6/12 20060101ALI20201102BHJP
【FI】
   G02B6/32
   G02B6/42
   G02B6/12
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-211847(P2016-211847)
(22)【出願日】2016年10月28日
(65)【公開番号】特開2018-72557(P2018-72557A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2019年7月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】309015134
【氏名又は名称】富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大織
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 誠美
【審査官】 井部 紗代子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−169795(JP,A)
【文献】 特開2004−361952(JP,A)
【文献】 特開2011−075739(JP,A)
【文献】 特開2010−156842(JP,A)
【文献】 特開2013−207276(JP,A)
【文献】 特開2010−008542(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0094123(US,A1)
【文献】 特開2015−035553(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/12 − 6/14
G02B 6/26 − 6/27
G02B 6/30 − 6/34
G02B 6/42 − 6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光を導波する第1の光導波路及び前記第1の光の監視用の第2の光を導波する第2の光導波路の複数の対が幅方向に沿って並列に形成された基板と、
各々の入射面が少なくとも1つの前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の対に対向し、当該対から出射されて前記入射面において異なる入射位置及び異なる入射方向の少なくともいずれか一方から入射される前記第1の光及び前記第2の光をコリメートし、コリメートされた前記第1の光及び前記第2の光を前記入射位置又は前記入射方向に応じて異なる方向に出射する、少なくとも一つのレンズと
を有することを特徴とする光モジュール。
【請求項2】
前記第1の光導波路と前記第2の光導波路との間隔は、前記基板の幅方向に沿った前記少なくとも一つのレンズの各々のサイズよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路は、前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の少なくともいずれか一方の光軸が前記少なくとも一つのレンズの光軸に対して傾斜した状態で、前記基板上に形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の光モジュール。
【請求項4】
複数の前記レンズの各々から出射される前記第1の光を偏波合成する偏波合成素子と、
複数の前記レンズの各々から前記第1の光とは異なる方向に出射される前記第2の光をそれぞれ受光する複数の受光素子と、
前記基板の幅方向に沿った前記偏波合成素子の一側面側の位置に前記複数の受光素子を固定する固定部材と
をさらに有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の光モジュール。
【請求項5】
複数の前記レンズの各々の入射面が少なくとも1つの前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の対に対向するように、複数の前記レンズを前記基板の幅方向に沿ってアレイ状に保持する保持部材をさらに有することを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載の光モジュール。
【請求項6】
前記基板の幅方向に沿った前記第2の光導波路の幅は、前記第2の光導波路の出射端に向かって、広くなる若しくは狭くなることを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載の光モジュール。
【請求項7】
前記少なくとも一つのレンズは、各々の入射面が少なくとも1つの前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の対と、当該対に隣接する他の対に属する前記第2の光導波路である隣接光導波路とに対向し、当該対及び当該隣接光導波路から出射されて前記入射面において異なる入射位置及び異なる入射方向の少なくともいずれか一方から入射される前記第1の光及び2つの前記第2の光をコリメートし、コリメートされた前記第1の光及び2つの前記第2の光を前記入射位置又は前記入射方向に応じて異なる方向に出射することを特徴とする請求項1に記載の光モジュール。
【請求項8】
前記少なくとも一つのレンズの各々の入射面が少なくとも1つの前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の対と、前記隣接光導波路とに対向し、かつ、前記レンズとは異なる他のレンズの入射面が前記他の対に属する前記第1の光導波路に対向するように、前記レンズ及び前記他のレンズを前記基板の幅方向に沿ってアレイ状に保持する保持部材をさらに有することを特徴とする請求項に記載の光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光通信システムでは、例えばインジウムリン(InP)等の半導体を用いる光変調器の開発が進められている。半導体を用いる光変調器は、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)等の強誘電体結晶を用いる光変調器と比較して、小型化が容易である一方で、光の閉じ込めが強いため、光導波路から空間中に出射される変調光の拡がり角が比較的に大きくなる。ここで、光導波路から空間中に出射される変調光には、信号光と、信号光を監視するためのモニタ光とが含まれる。変調光の拡がり角の増大は、信号光どうしの干渉やモニタ光どうしの干渉を発生させる恐れがあり、好ましくない。
【0003】
これに対して、拡がり角の増大を抑えるために、光導波路の形成された基板の後段側に、コリメートレンズが配置されることがある。コリメートレンズは、一般に、信号光を導波する光導波路及びモニタ光を導波する光導波路のそれぞれに対応して配置され、各光導波路から出射される信号光又はモニタ光をコリメートする。コリメートされた信号光及びモニタ光は、対応するコリメートレンズから同一の出射方向に出射される。
【0004】
しかしながら、信号光及びモニタ光が、対応するコリメートレンズから同一の出射方向に出射されると、コリメートレンズよりも後段側における光学部品の配置が制限されることがある。例えば、信号光を偏波合成する偏波合成素子と、モニタ光を受光する受光素子とをコリメートレンズよりも後段側に配置する場合、偏波合成素子と受光素子との位置関係が制限される。このため、信号光及びモニタ光は、対応するコリメートレンズから互いに異なる方向に出射されることが好ましい。具体的には、信号光又はモニタ光をコリメートする各コリメートレンズの光軸と、対応する各光導波路の光軸とをずらすことにより、信号光及びモニタ光を互いに異なる方向に出射させることなどが検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−169795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、信号光又はモニタ光をコリメートする各コリメートレンズの光軸と、対応する各光導波路の光軸とをずらす構成では、1つの光導波路に対して1つのコリメートレンズが配置されることを前提とする。このため、上記の構成を例えば光変調器に適用する場合、光導波路の数が多いほど、コリメートレンズの数も多くなり、結果として光変調器を十分に小型化することが困難となる。このことは、光変調器以外の装置においても同様であり、光導波路の形成された基板の後段側にコリメートレンズを配置する装置では、1つの光導波路に対して1つのコリメートレンズが配置されるので、小型化に限界があるという問題がある。
【0007】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、装置の小型化を促進することができる光モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の開示する光モジュールは、一つの態様において、第1の光を導波する第1の光導波路と、前記第1の光の監視用の第2の光を導波する第2の光導波路との複数の対が幅方向に沿って並列に形成された基板と、入射面が少なくとも1つの前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の対に対向し、当該対から出射されて前記入射面において異なる入射位置及び異なる入射方向の少なくともいずれか一方から入射される前記第1の光及び前記第2の光をコリメートし、コリメートされた前記第1の光及び前記第2の光を前記入射位置又は前記入射方向に応じて異なる方向に出射するレンズとを有する。
【発明の効果】
【0009】
本願の開示する光モジュールの一つの態様によれば、装置の小型化を促進することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施例1に係る光変調器の構成例を示す図である。
図2図2は、実施例1におけるレンズと光導波路との位置関係、及び位置関係に基づく光の出射態様を説明するための図である。
図3図3は、実施例2におけるレンズと光導波路との位置関係、及び位置関係に基づく光の出射態様を説明するための図である。
図4図4は、実施例3に係る光変調器の構成例を示す図である。
図5図5は、実施例3におけるレンズと光導波路との位置関係、及び位置関係に基づく光の出射態様を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本願の開示する光モジュールの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例により開示技術が限定されるものではない。
【0012】
(実施例1)
図1は、実施例1に係る光変調器10の構成例を示す図である。図1に示す光変調器10は、光ファイバ11a、11bに接続される。光変調器10では、光ファイバ11aから光が入力され、光ファイバ11bから光が出力される。そして、光変調器10は、レンズ12、光変調チップ13、レンズ17−1、17−2、保持部材18、波長板19、PBC(Polarization Beam Combiner)20、レンズ21、PD(Photodetector)22−1、22−2及び固定部材23を有する。
【0013】
なお、図1において、光変調チップ13の長手方向に沿ってx軸が定義され、光変調チップ13の幅方向に沿ってy軸が定義されるものとする。また、光変調チップ13の長手方向に沿ってレンズ17−1、17−2とは反対側がx軸の正方向であるものとする。また、光変調チップ13の幅方向に沿ってレンズ17−1側がy軸の正方向であるものとする。
【0014】
レンズ12は、光ファイバ11aから出射される光を集光して光変調チップ13へ入力する。
【0015】
光変調チップ13は、例えば半導体材料により形成される基板であり、レンズ12から入力される光を変調して複数の変調光を生成する。具体的には、光変調チップ13には、光分岐路14、光変調部15−1、15−2及び光導波路16−1〜16−4が設けられる。
【0016】
光分岐路14は、レンズ12から入力される光を2つの光に分岐し、一方の光を光変調部15−1へ出力し、他方の光を光変調部15−2へ出力する。
【0017】
光変調部15−1、15−2は、光変調チップ13の幅方向、すなわち、y軸方向に沿って並列に設けられる。光変調部15−1、15−2は、例えば、マッハツェンダ型光導波路である。光変調部15−1は、光分岐路14から入力される光を2つの光に分岐し、分岐により得られる2つの光の各々に電気信号を重畳することによって、2つの変調光を生成する。光変調部15−1によって生成される2つの変調光のうち一方の変調光が信号光であり、他方の変調光が信号光の監視用のモニタ光である。光変調部15−1は、信号光を光導波路16−1へ出力し、モニタ光を光導波路16−2へ出力する。
【0018】
光変調部15−2は、光分岐路14から入力される光を2つに光に分岐し、分岐により得られる2つの光の各々に電気信号を重畳することによって、2つの変調光を生成する。光変調部15−2によって生成される2つの変調光のうち一方の変調光が信号光であり、他方の変調光が信号光の監視用のモニタ光である。光変調部15−2は、信号光を光導波路16−3へ出力し、モニタ光を光導波路16−4へ出力する。
【0019】
光導波路16−1〜16−4は、光変調チップ13の幅方向、すなわち、y軸方向に沿って並列に形成される。光導波路16−1及び光導波路16−2は、対を成し、光導波路16−1は、光変調部15−1から出力される信号光をx軸の負方向へ導波し、光導波路16−2は、光変調部15−1から出力されるモニタ光をx軸の負方向へ導波する。また、光導波路16−3及び光導波路16−4は、対を成し、光導波路16−3は、光変調部15−2から出力される信号光をx軸の負方向へ導波し、光導波路16−4は、光変調部15−2から出力されるモニタ光をx軸の負方向へ導波する。
【0020】
レンズ17−1、17−2は、ガラスよりも屈折率が高い材料(例えば、シリコン)により形成されたコリメートレンズであり、光導波路16−1〜16−4の後段側に配置されて光導波路16−1〜16−4から出射される信号光及びモニタ光をコリメートする。そして、レンズ17−1、17−2は、コリメートされた信号光及びモニタ光を互いに異なる方向に出射する。すなわち、レンズ17−1、17−2は、コリメートされた信号光をPBC20に向けて出射し、コリメートされたモニタ光をPD22−1、22−2に向けて出射する。なお、レンズ17−1、17−2と光導波路16−1〜16−4との位置関係、及び位置関係に基づく光の出射態様については、後述する。
【0021】
保持部材18は、レンズ17−1、17−2の各々の入射面が光導波路16−1及び光導波路16−2の対、又は光導波路16−3及び光導波路16−4の対に対向するように、レンズ17−1、17−2をy軸方向に沿ってアレイ状に保持する。保持部材18は、透光性を有する材料により形成される。
【0022】
ここで、レンズ17−1、17−2と光導波路16−1〜16−4との位置関係、及び位置関係に基づく光の出射態様について説明する。図2は、実施例1におけるレンズ17−1、17−2と光導波路16−1〜16−4との位置関係、及び位置関係に基づく光の出射態様を説明するための図である。
【0023】
図2に示すように、レンズ17−1は、入射面17−1aが光導波路16−1と光導波路16−2との対に対向する。そして、レンズ17−1は、光導波路16−1と光導波路16−2との対から出射されて入射面17−1aにおいて異なる入射位置から入射される信号光及びモニタ光をコリメートし、コリメートされた信号光及びモニタ光を入射位置に応じて異なる方向に出射する。本実施例においては、レンズ17−1は、コリメートされた信号光をPBC20に向けて出射し、コリメートされたモニタ光をPD22−1に向けて出射する。
【0024】
また、レンズ17−2は、入射面17−2aが光導波路16−3と光導波路16−4との対に対向する。そして、レンズ17−2は、光導波路16−3と光導波路16−4との対から出射されて入射面17−2aにおいて異なる入射位置から入射される信号光及びモニタ光をコリメートし、コリメートされた信号光及びモニタ光を入射位置に応じて異なる方向に出射する。本実施例においては、レンズ17−2は、コリメートされた信号光をPBC20に向けて出射し、コリメートされたモニタ光をPD22−2に向けて出射する。
【0025】
このように、光導波路16−1及び光導波路16−2の対、並びに光導波路16−3及び光導波路16−4の対の各々に対して1つのコリメートレンズ(つまり、レンズ17−1又はレンズ17−2)が配置されることにより、コリメートレンズの数が削減される。
【0026】
図1の説明に戻る。波長板19は、レンズ17−2から出射される信号光の偏波に対して、レンズ17−1から出射される信号光の偏波を回転する。PBC20は、偏波合成素子であり、波長板19により偏波が回転された信号光と、レンズ17−2から出射される信号光とを偏波合成し、得られた一つの信号光を出力する。レンズ21は、PBC20から出力される信号光を集光して光ファイバ11bに照射する。
【0027】
PD22−1、22−2は、受光素子であり、レンズ17−1、17−2の各々から信号光とは異なる方向に出射されるモニタ光をそれぞれ受光する。固定部材23は、y軸方向に沿ったPBC20の一側面側の位置にPD22−1、22−2を固定する。
【0028】
以上のように、本実施例によれば、1つのコリメートレンズの入射面を信号光用光導波路及びモニタ光用光導波路の対に対向させ、入射面において異なる入射位置から入射される信号光及びモニタ光をコリメートし、入射位置に応じて異なる方向に出射する。このため、1つの光導波路に対して1つのコリメートレンズが配置される構造と比較して、コリメートレンズの数が削減される。結果として、装置の小型化を促進することができる。特に、信号光用光導波路とモニタ光用光導波路との間隔を1つのコリメートレンズのサイズよりも小さくしても、信号光及びモニタ光を異なる方向に出射することができ、光変調チップの幅方向(つまり、y軸方向)のサイズを縮減することができる。
【0029】
(実施例2)
実施例2の特徴は、光導波路の光軸がコリメートレンズの光軸に対して傾斜するように、光導波路を光変調チップ上に形成することで、光導波路の後段側の部品において反射される光が光導波路へ入射する事態を回避する点である。
【0030】
実施例2に係る光変調器の構成は、実施例1に係る光変調器10の構成と同様であるため、その説明を省略する。実施例2においては、レンズ17−1、17−2と光導波路16−1〜16−4との位置関係、及び位置関係に基づく光の出射態様が実施例1とは異なる。
【0031】
図3は、実施例2におけるレンズ17−1、17−2と光導波路16−1〜16−4との位置関係、及び位置関係に基づく光の出射態様を説明するための図である。図3において図2と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。図3において、一点鎖線は、光導波路16−1〜16−4の各々の光軸及びレンズ17−1、17−2の各々の光軸を示し、実線の矢印は、信号光の光路を示し、破線の矢印は、モニタ光の光路を示す。
【0032】
図3に示すように、光導波路16−1〜16−4は、光導波路16−1〜16−4の各々の光軸がレンズ17−1、17−2の各々の光軸に対して傾斜した状態で、光変調チップ13上に形成される。すなわち、信号光を導波する光導波路16−1及びモニタ光を導波する光導波路16−2は、光導波路16−1及び光導波路16−2の両方の光軸がレンズ17−1の光軸に対して傾斜した状態で、光変調チップ13上に形成される。また、信号光を導波する光導波路16−3及びモニタ光を導波する光導波路16−4は、光導波路16−3及び光導波路16−4の両方の光軸がレンズ17−2の光軸に対して傾斜した状態で、光変調チップ13上に形成される。
【0033】
レンズ17−1は、光導波路16−1及び光導波路16−2の対から出射されて入射面17−1aにおいて異なる入射位置及び異なる入射方向から入射される信号光及びモニタ光をコリメートする。そして、レンズ17−1は、コリメートされた信号光及びモニタ光を入射位置又は入射方向に応じて異なる方向に出射する。本実施例においては、レンズ17−1は、コリメートされた信号光をPBC20に向けて出射し、コリメートされたモニタ光をPD22−1に向けて出射する。
【0034】
レンズ17−2は、光導波路16−3及び光導波路16−4の対から出射されて入射面17−2aにおいて異なる入射位置及び異なる入射方向から入射される信号光及びモニタ光をコリメートする。そして、レンズ17−2は、コリメートされた信号光及びモニタ光を入射位置又は入射方向に応じて異なる方向に出射する。本実施例においては、レンズ17−2は、コリメートされた信号光をPBC20に向けて出射し、コリメートされたモニタ光をPD22−2に向けて出射する。
【0035】
以上のように、本実施例によれば、信号光用光導波路及びモニタ光用光導波路の両方の光軸が、対応する一つのコリメートレンズの光軸に対して傾斜するように、信号光用光導波路及びモニタ光用光導波路を光変調チップ上に形成する。このため、信号光用光導波路及びモニタ光用光導波路の後段側の部品(例えば、レンズ17−1、17−2及び保持部材18など)において反射される光が信号光用光導波路及びモニタ光用光導波路へ入射される事態が回避される。結果として、光変調器10に入力された光の一部が反射されて発生し、光ファイバ11aへと戻る反射光を抑制することができる。
【0036】
なお、本実施例においては、光導波路16−1及び光導波路16−2の両方の光軸がレンズ17−1の光軸に対して傾斜するものとした。しかし、光導波路16−1及び光導波路16−2の少なくともいずれか一方の光軸がレンズ17−1の光軸に対して傾斜しても良い。
【0037】
また、本実施例においては、光導波路16−3及び光導波路16−4の両方の光軸がレンズ17−2の光軸に対して傾斜するものとした。しかし、光導波路16−3及び光導波路16−4の少なくともいずれか一方の光軸がレンズ17−2の光軸に対して傾斜しても良い。
【0038】
(実施例3)
実施例3の特徴は、1つのコリメートレンズの入射面を信号光用光導波路とモニタ光用光導波路との対と、他のモニタ光用導波路とに対向させ、信号光及び2つのモニタ光を入射面における入射位置に応じて異なる方向に出射する点である。
【0039】
図4は、実施例3に係る光変調器10の構成例を示す図である。図4において図1と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0040】
図4に示す光変調器10は、図1に示した光変調チップ13、レンズ17−1、17−2及び保持部材18に代えて、光変調チップ33、レンズ37−1、37−2及び保持部材38を有する。
【0041】
光変調チップ33は、例えば半導体材料により形成される基板であり、レンズ12から入力される光を変調して複数の変調光を生成する。具体的には、光変調チップ33には、光分岐路14、光変調部15−1、15−2及び光導波路36−1〜36−4が設けられる。
【0042】
光導波路36−1〜36−4は、基本的には図1に示した光導波路16−1〜16−4に相当する。光導波路36−1及び光導波路36−2は、対を成し、光導波路36−1は、光変調部15−1から出力される信号光をx軸の負方向へ導波し、光導波路36−2は、光変調部15−1から出力されるモニタ光をx軸の負方向へ導波する。また、光導波路36−3及び光導波路36−4は、対を成し、光導波路36−3は、光変調部15−2から出力される信号光をx軸の負方向へ導波し、光導波路36−4は、光変調部15−2から出力されるモニタ光をx軸の負方向へ導波する。さらに、本実施例では、モニタ光を導波する光導波路36−2、36−4が、信号光を導波する光導波路36−1、36−3によりy軸方向に沿って挟まれている。
【0043】
レンズ37−1、37−2は、ガラスよりも屈折率が高い材料(例えば、シリコン)により形成されたコリメートレンズであり、光導波路36−1〜36−4の後段側に配置されて光導波路36−1〜36−4から出射される信号光及びモニタ光をコリメートする。そして、レンズ37−2は、コリメートされた信号光及び2つのモニタ光を互いに異なる方向に出射する。すなわち、レンズ37−2は、コリメートされた信号光をPBC20に向けて出射し、コリメートされた2つのモニタ光をPD22−1、22−2に向けて出射する。なお、レンズ37−1、37−2と光導波路36−1〜36−4との位置関係、及び位置関係に基づく光の出射態様については、後述する。
【0044】
保持部材38は、レンズ37−2の入射面が光導波路36−3及び光導波路36−4の対と、光導波路36−2とに対向し、レンズ37−1の入射面が光導波路36−1に対向するように、レンズ37−1、37−2をy軸方向に沿ってアレイ状に保持する。
【0045】
ここで、レンズ37−1、37−2と光導波路36−1〜36−4との位置関係、及び位置関係に基づく光の出射態様について説明する。図5は、実施例3におけるレンズ37−1、37−2と光導波路36−1〜36−4との位置関係、及び位置関係に基づく光の出射態様を説明するための図である。
【0046】
図5に示すように、レンズ37−1は、入射面37−1aが光導波路36−1に対向する。そして、レンズ37−1は、光導波路36−1から出射されて入射面37−1aから入射される信号光をコリメートし、コリメートされた信号光を所定の方向に出射する。本実施例においては、レンズ37−1は、コリメートされた信号光をPBC20に向けて出射する。
【0047】
また、レンズ37−2は、入射面37−2aが光導波路36−3及び光導波路36−4の対と、光導波路36−2とに対向する。そして、レンズ37−2は、光導波路36−3及び光導波路36−4の対及び光導波路36−2から出射されて入射面37−2aにおいて異なる入射位置から入射される信号光及び2つのモニタ光をコリメートし、コリメートされた信号光及び2つのモニタ光を入射位置に応じて異なる方向に出射する。本実施例においては、レンズ37−2は、コリメートされた信号光をPBC20に向けて出射し、コリメートされた2つのモニタ光をPD22−1、22−2に向けて出射する。
【0048】
このように、光導波路36−3及び光導波路36−4の対、並びに光導波路36−2に対して1つのコリメートレンズ(つまり、レンズ37−2)が配置されることにより、コリメートレンズの数が削減される。
【0049】
以上のように、本実施例によれば、1つのコリメートレンズの入射面を信号光用光導波路及びモニタ光用光導波路の対と、他のモニタ光用光導波路に対向させ、信号光及び2つのモニタ光を入射面における入射位置に応じて異なる方向に出射する。このため、1つの光導波路に対して1つのコリメートレンズが配置される構造と比較して、コリメートレンズの数が削減される。結果として、装置の小型化を促進することができる。さらに、1つのコリメートレンズから信号光及び2つのモニタ光を異なる方向に出射するので、コリメートレンズの曲率半径の個体差によらず、信号光及び2つのモニタ光の出射方向を自由に設定可能である。
【0050】
なお、上記実施例1、2においては、コリメートレンズが信号光用光導波路及びモニタ光用光導波路の対から出射されて入射面において異なる入射位置(及び異なる入射方向)から入射される信号光及びモニタ光をコリメートするものとしたが、これに限定されない。コリメートレンズが、信号光用光導波路及びモニタ光用光導波路の対から出射されて入射面において異なる入射位置及び異なる入射方向の少なくともいずれか一方から入射される信号光及びモニタ光をコリメートする構成としても良い。
【0051】
また、上記各実施例においては、光変調チップの幅方向に沿ったモニタ光用光導波路(例えば、光導波路16−1、16−4)の幅が一定であるものとしたが、これに限定されない。光変調チップの幅方向に沿ったモニタ光用光導波路が、モニタ光用光導波路の出射端に向かって、広くなる若しくは狭くなる構成としても良い。これにより、モニタ光のモードフィールドを適切に調整することが可能となる。
【符号の説明】
【0052】
10 光変調器
11a、11b 光ファイバ
12、17−1、17−2、21、37−1、37−2 レンズ
13、33 光変調チップ
14 光分岐路
15−1、15−2 光変調部
16−1〜16−4、36−1〜36−4 光導波路
17−1a、17−2a、37−1a、37−2a 入射面
18、38 保持部材
19 波長板
20 PBC
22−1、22−2 PD
23 固定部材
図1
図2
図3
図4
図5