(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態に係る収容装置、及び発光基板の製造装置の一例を
図1〜
図18に従って説明する。先ず、発光基板の製造装置によって製造される発光基板について説明し、次に、発光基板の製造装置について説明し、次に、発光素子を凹部に収容する収容装置について説明する。なお、収容装置によって収容される発光素子については、発光基板と共に説明する。
【0017】
また、後述の説明で用いるX方向、−X方向、Y方向、−Y方向、Z方向(上方)及び−Z方向(下方)は、図中に示す矢印方向である。また、X(−X)方向、Y(−Y)方向、Z(−Z)方向は、互いに交差する方向(具体的には、直交する方向)である。
【0018】
また、図中の「○」の中に「×」が記載された記号は、紙面の手前から奥へ向かう矢印を意味する。また、図中の「○」の中に「・」が記載された記号は、紙面の奥から手前へ向かう矢印を意味する。さらに、各図に示す各部材における各部分同士のX方向、Y方向、Z方向の寸法比や、各部材同士のX方向、Y方向、Z方向の寸法比は、実際の寸法比と異なる場合がある。
【0019】
(発光基板)
まず、基板装置の一例としての発光基板100の構成を説明する。
図6及び
図7には、発光基板100の構成が示されている。
【0020】
発光基板100は、
図6及び
図7に示されるように、基板の一例としてのプリント基板102と、プリント基板102に置かれた(搭載された)半導体素子(部品)の一例としての発光素子200と、を有している。プリント基板102は、
図6に示されるように、例えば、X方向に長くされた板状に形成されている。なお、本実施形態では、プリント基板102に発光素子200を置くことを「搭載」という場合がある。
【0021】
発光素子200としては、
図6に示されるように、例えば、X方向に長く形成された発光素子(例えば、LEDチップ)が用いられる。この発光素子200は、
図7に示されるように、長手方向(X方向)とは交差する断面における形状(断面形状)がT字状にされている。この発光素子200は、T字の横棒部分を構成する頭部210と、T字の縦棒部分を構成する脚部250と、を有している。
【0022】
頭部210は、側断面視(−X方向視)にて、脚部250から左右方向(Y、−Y方向)に張り出す張出部213、214を有している。したがって、側断面視にて、脚部250の左右方向の幅(Y方向長さ)は、頭部210の左右方向の幅よりも狭くなっている。これにより、脚部250の下面259の面積は、頭部210の表面(上面)219の面積よりも小さくされている。
【0023】
頭部210の表面219には、発光点218、及び回路パターンが設けられている。発光点218は、頭部210の表面219の一端部(具体的には、張出部213の表面)にX方向(長手方向)に沿って複数配置されている。なお、各図では、複数の発光点218を線状に図示する場合がある。
【0024】
発光素子200は、長手方向(X方向)とは交差する断面における高さ(Z方向長さ)が幅方向の長さ(Y方向長さ)よりも大きくなっている。具体的には、発光素子200の寸法は、一例として、長さ(X方向長さ)12mm、高さ(Z方向長さ)300μm、頭部210の幅(Y方向長さ)135μm、脚部250の幅(Y方向長さ)100μmとされている。なお、発光素子200の寸法は、上記の寸法に限られるものではない。
【0025】
そして、発光素子200は、
図7に示されるように、側断面視にて、複数の発光点218が形成された張出部213側が対向するように、プリント基板102の長手方向(X方向)に沿って、
図6に示されるように、千鳥状に複数配置(搭載)されている。
【0026】
具体的には、複数の発光素子200によって、X方向に沿って間隔をおいて配置された2つの列を形成している。2つの列のそれぞれは、プリント基板102の長手方向端部(X方向端部)から−X方向に数えて、奇数番目の発光素子200と、偶数番目の発光素子200と、で構成されている。そして、プリント基板102の長手方向端部(X方向端部)から−X方向に数えて、n番目(最終番目を除く)の発光素子200の長手方向端部(−X方向端部)と、n+1番目の発光素子200の長手方向端部(X方向端部)とが、Y方向に重なって配置されている。
【0027】
(発光基板の製造装置)
次に、発光基板100を製造する発光基板の製造装置10(以下「製造装置10」
という)の構成を説明する。
図8及び
図9には、それぞれ、製造装置10の構成の一部が示されている。
【0028】
製造装置10は、
図8に示されるように、発光素子200を製造する素子製造装置300を備えている。また、製造装置10は、
図9に示されるように、発光素子200を供給する供給部13と、発光素子200を位置決めする素子位置決め装置20と、プリント基板102を位置決めする基板位置決め装置40と、を備えている。
【0029】
さらに、製造装置10は、供給部13から素子位置決め装置20へ発光素子200を移送する移送装置50と、素子位置決め装置20で位置決めされた発光素子200を基板位置決め装置40で位置決めされたプリント基板102へ移送する移送装置60(実装装置の一例)と、を備えている。なお、発光素子200は、前述のように、断面T字状に形成されているが、
図8及び
図9では、発光素子200の形状を簡略化して示している。
【0030】
〔素子製造装置〕
素子製造装置300は、
図8に示されるように、発光素子200をトレイ401、402の凹部406に収容する収容装置302と、トレイ401、402が載せられる台304と、台304をX方向及びY方向へ移動させる移動機構306と、を備えている。
【0031】
部材の一例としてのトレイ401、402は、上下方向の厚みを有する板状であって、平面視にて略四角形状をしている。このトレイ401、402には、ウエハ14(
図13参照)から切り出された複数の発光素子200を収容する凹部406が複数形成されている。
【0032】
移動機構306は、台304をX方向及びY方向へ移動させることで、トレイ401、402の複数の凹部406のうち、発光素子200を収容する対象となる凹部406を、予め定められたピックオフ位置に配置させる。
【0033】
収容装置302は、
図8に示されるように、ウエハ14から切り出された複数の発光素子200を保持して、トレイ401、402におけるピックオフ位置に配置されている凹部406に搬送し、発光素子200を凹部406に収容する。
【0034】
具体的には、収容装置302は、保持機構310と、発光素子200を突き上げる突上機構320と、ウエハ14を保持する保持部材342と、保持部材342をX方向及びY方向へ移動させる移動機構344と、を備えている。さらに、収容装置302は、各部を制御する制御部380(
図5参照)を有している。
【0035】
移動機構344は、保持部材342をX方向及びY方向へ移動させることで、保持対象の発光素子200を予め定められたピックアップ位置に配置させる。
【0036】
突上機構320は、
図10(B)に示されるように、円筒部330と、ニードル322と、吸引部324と、稼動部326(
図8参照)と、を備えている。
【0037】
円筒部330の上壁には、ニードル322が突き出される貫通孔332が形成されている。円筒部330の上壁の上面には、
図10(A)(B)に示されるように、ウエハ14が貼り付けられた粘着シート290を吸着するための吸着溝334が形成されている。円筒部330の内部には、貫通孔332と通じる空洞部336が形成されている。空洞部336及び吸着溝334は、円筒部330の側壁に形成された通路338を介して吸引部324と接続されている。
【0038】
ニードル322は、保持機構310の保持部370が発光素子200を保持する際に、ピックアップ位置に配置されている発光素子200及び粘着シート290を突き上げる突上部の一例である。ニードル322は、上端部が先細りとなる円柱状に形成されている。また、ニードル322の直径Dは、例えば、数十μmとされている。
【0039】
稼動部326(
図8参照)は、ニードル322が円筒部330の空洞部336に収納される収納位置(
図1(B)参照)と、ニードル322が貫通孔332を通じて円筒部330から上方へ突出する突出位置(
図1(C)参照)との間で、ニードル322を移動させる。
【0040】
保持機構310は、
図8に示されるように、筐体311と、移動部384と、保持部370と、吸引部318と、吸引部318の吸引力を計測する計測部382と、を備えている。また、移動部384は、駆動源である駆動部360と、アーム312と、伸縮部315とを備えている。
【0041】
筐体311は、上部に開口313を有する箱状に形成されている。アーム312は、筐体311の開口313から突出している。
【0042】
アーム312の基端部は、駆動部360に水平方向(X方向)に移動可能に支持されている。アーム312の先端部には、上下方向に伸縮する伸縮部315を介して、保持部370が取り付けられている。
【0043】
保持部370は、
図11に示されるように、発光素子200の長手方向(X方向)に沿って長さを有する本体372と、本体372の長手方向の両端部に設けられ発光素子200のX方向側の稜線である稜線部285に突き当たる突起374と、を有している。換言すれば、保持された発光素子200の上面の互いに対向する稜線部285は、突起374に突き当たる。
【0044】
保持機構310では、保持部370が発光素子200を保持した状態で、伸縮部315を縮めることで発光素子200が粘着シート290から剥がされる。そして、アーム312をX方向に移動させると共に、伸縮部315を伸長させて発光素子200を落下させることで、発光素子200がトレイ401、402におけるピックオフ位置に配置されている凹部406に収容される。
【0045】
制御部380は、
図5に示されるように、収容装置302の各部を制御するようになっている。
【0046】
なお、保持機構310の保持部370、及び移動部384を制御して保持部370を移動させる制御部380の制御等については、詳細を後述する。
【0047】
〔供給部〕
供給部13は、
図9に示されるように、トレイ401、402が載せられる台15と、台15をX方向及びY方向へ移動させる移動機構17と、を備えている。供給部13では、移動機構17が台15をX方向及びY方向へ移動させることで、トレイ401、402上の搭載対象である発光素子200を、移送装置50による予め定められたピックアップ位置に配置させるようになっている。
【0048】
〔移送装置〕
移送装置50は、
図9に示されるように、発光素子200を保持する保持具としてのコレット57と、コレット57が装着されコレット57が発光素子200を保持するための吸引力を発生させる吸引器52と、吸引器52を移動させる移動機構53と、を備えている。
【0049】
具体的には、吸引器52の吸引ノズル54にコレット57が装着されている。コレット57には、吸引ノズル54と通じる吸引孔(図示省略)が形成されている。
【0050】
移送装置50では、吸引器52が、供給部13におけるピックアップ位置に配置されている発光素子200の上面をコレット57に突き当てた状態で、吸引器52により発光素子200を吸引することで、コレット57に発光素子200を保持する。
【0051】
そして、移送装置50では、発光素子200をコレット57に保持した状態で、移動機構53によって吸引器52がY方向に移動することで(一点鎖線の矢印参照)、後述の位置決め台30のプレート34上に発光素子200を移送するようになっている。なお、移送装置50の移動機構53としては、例えば、X方向、Y方向及びZ方向に移動する機構を備えた三軸ロボットが用いられる。
【0052】
〔素子位置決め装置〕
素子位置決め装置20は、
図9に示されるように、発光素子200が置かれる(載せられる)位置決め台30と、位置決め台30に置かれた発光素子200を予め定められた位置決め位置に位置決めする位置決め部材22と、位置決め部材22をX方向及びY方向へ移動させる移動機構29と、を備えている。
【0053】
位置決め台30は、上部に開口部33を有する円筒部32と、円筒部32の開口部33に設けられたプレート34と、円筒部32の内部空間の空気を吸引して該内部空間を負圧にする吸引装置36と、を備えている。プレート34には、複数の吸引孔38が形成されている。この複数の吸引孔38は、プレート34を貫通しており、円筒部32の内部空間と通じている。
【0054】
位置決め部材22は、
図9に示されるように、板状をしており、本体22Aと、本体22AからX方向に延び出た一対の爪部22Bと、を有している。一対の爪部22Bは、その間に発光素子200を配置可能にY方向に離れて設けられている。なお、位置決め部材22は、プレート34に吸着されて移動抵抗を受けないように、プレート34に対して非接触な状態を保って移動するようになっている。
【0055】
位置決め部材22では、発光素子200の脚部250の側面252(
図7参照)の一方に対して、爪部22Bを突き当てて、発光素子200を移動させ、予め定められた位置に発光素子200を位置決め(位置出し)するようになっている。
【0056】
また、本実施形態では、一対の爪部22Bのいずれか一方を選択して発光素子200の位置決めを行うようになっている。従って、位置決め部材22としては、一対の爪部22Bの一方を有さない構成であってもよい。
【0057】
〔基板位置決め装置〕
基板位置決め装置40は、
図9に示されるように、プリント基板102をX方向に搬送する一対の搬送部材(例えば、コンベア)42を備えている。一対の搬送部材42は、その間にプリント基板102が導入可能にY方向に離れて配置されている。
【0058】
基板位置決め装置40では、一対の搬送部材42の間に導入されたプリント基板102が、一対の搬送部材42に対してX方向、Y方向、Z方向に位置決めされるようになっている。そして、一対の搬送部材42がプリント基板102をX方向に搬送することで、プリント基板102は、後述のコレット70に対してY方向に位置決めされた状態で、X方向へ相対移動するようになっている。
【0059】
なお、基板位置決め装置40は、プリント基板102上において発光素子200を搭載する搭載位置に、銀(Ag)を含むエポキシ系等の接着剤を塗布するためのディスペンサー等の塗布装置(図示省略)を有している。
【0060】
〔移送装置〕
移送装置60は、
図9に示されるように、発光素子200を保持する保持具としてのコレット70と、コレット70が装着されコレット70が発光素子200を保持するための吸引力を発生させる吸引器62と、吸引器62を移動させる移動機構63と、を備えている。
【0061】
具体的には、吸引器62の吸引ノズル64にコレット70が装着されている。コレット70には、吸引ノズル64と通じる吸引孔(図示省略)が形成されている。
【0062】
移送装置60では、コレット70に発光素子200の例えば稜線271(
図7参照)を突き当てた状態で、吸引器62により発光素子200を吸引することで、コレット70に発光素子200を保持する。また、移送装置60では、吸引器62による吸引を停止することにより、コレット70による発光素子200の保持状態が解除される。
【0063】
移動機構63は、吸引器62をY方向に移動させることにより、コレット70をプリント基板102に対してY方向へ相対移動させるようになっている。すなわち、本実施形態では、移動機構63によってコレット70がY方向に移動し、基板位置決め装置40の搬送部材42によってプリント基板102がX方向に移動することで、コレット70をプリント基板102に対してX方向、Y方向に相対移動させるようになっている。
【0064】
また、移動機構63は、吸引器62を上下方向(Z方向)に移動させることにより、コレット70をプリント基板102に対して上下方向(Z方向)へ相対移動させるようになっている。本実施形態では、発光素子200をコレット70に保持した状態で、コレット70をプリント基板102に対して、X方向、Y方向に相対移動させた後、コレット70を下方(−Z方向)に降下させることで、発光素子200をプリント基板102に搭載するようになっている。
【0065】
なお、移動機構63としては、例えば、Y方向及びZ方向に移動可能な二軸ロボットが用いられる。
【0066】
(発光基板の製造方法)
発光基板の製造方法は、発光素子200を製造する素子製造工程と、製造された発光素子200をプリント基板102に搭載する搭載工程と、を有している。
【0067】
〔素子製造工程〕
素子製造工程は、ウエハ14(半導体基板)から発光素子200を切り出して形成する形成工程と、ウエハ14から切り出された発光素子200を凹部406に収容する収容工程と、を有している。
【0068】
[形成工程]
形成工程では、
図12に示されるように、まず、GaAs等で形成されたウエハ14の表面に複数の発光点218を形成する。次に、ウエハ14における発光素子200として形成される部分で通電させて、発光点218の光量を検出し、当該部分が良品であるか否かを判別する。
【0069】
次に、例えばエッチングによって、ウエハ14の表面に第一溝14Aを形成する。次に、ウエハ14の表面にダイシング用粘着シート295を貼り付けてから、例えば、ダイシングブレード等の切削部材11による切削によって、ウエハ14の裏面に第二溝14Bを形成する。
【0070】
次に、
図13に示されるように、ウエハ14の裏面に粘着シート290を貼り付けてから、ウエハ14の表面からダイシング用粘着シート295を剥離する。
【0071】
以上により、断面T字状の発光素子200が切り出される。なお、発光素子200は、その幅方向(Y方向)及び長手方向(X方向)に沿って粘着シート290に複数貼り付けられた状態となっている。また、各発光素子200におけるY方向側端部(一端部の一例)、具体的には張出部213(
図12参照)に発光点218が形成されている。
【0072】
[収容工程]
収容工程では、ウエハ14(粘着シート290)の一端から他端に向けて発光素子200の幅方向(−Y、Y方向)に順番に並んでいる発光素子200を、この順番で凹部406に収容する。順番としては、
図14の矢印で示されるように、ウエハ14におけるX方向端部側かつ−Y方向側端部側からジグザグに進む順番とされる。すなわち、ウエハ14のX方向側から数えて奇数列(以下、単に「奇数列」という)では、ウエハ14の−Y方向端部からY方向への順番で収容され、ウエハ14のX方向側から数えて偶数列(以下、単に「偶数列」という)では、ウエハ14のY方向端部から−Y方向への順番で収容される。なお、ウエハ14の外周部分で不完全な形状で形成された素子199は、発光素子200として使用されないため、収容対象とならない。
【0073】
具体的には、収容工程では、先ず、
図8に示す移動機構344が、ウエハ14を保持した保持部材342をX方向及びY方向へ移動させることで、収容対象の発光素子200を予め定められたピックアップ位置に順番に配置させる(
図10参照)。また、ウエハ14の一端から他端に向けて順番に収容するため、突上げ対象の発光素子200に隣接する発光素子200は、突上対象の発光素子200の片側のみ(Y方向又は−Y方向)に存在する。
【0074】
次に、保持部370によって保持された発光素子200を、ウエハ14における発光点218の向き(
図14参照)のまま、
図15に示されるように、トレイ401、402の凹部406に収容する。
【0075】
具体的には、保持部370がウエハ14の一端から他端に向けて順番にニードル322で突き上げられた発光素子200を保持する(
図8参照)。すなわち、保持部370は、ウエハ14の奇数列では粘着シート290の−Y方向端部からY方向へ発光素子200を順に個別に保持し、ウエハ14の偶数列では粘着シート290のY方向端部から−Y方向へ発光素子200を順に個別に保持する。
【0076】
また、移動機構306は、台304をX方向及びY方向へ移動させることで、トレイ401、402の複数の凹部406のうち、発光素子200を収容する対象となる凹部406を、予め定められたピックオフ位置に配置させる。
【0077】
そして、アーム312をX方向に移動させると共に、伸縮部315を伸長させることで、収容装置302は、保持部370に保持された発光素子200を、トレイ401、402におけるピックオフ位置に配置されている凹部406に収容する。
【0078】
具体的には、ウエハ14(粘着シート290)の一端から他端に向けて発光素子200の幅方向(−Y、Y方向)に順番に並んでいる発光素子200を、この順番かつ交互にトレイ401、402の凹部406に収容する。順番としては、
図14の矢印で示されるように、ウエハ14におけるX方向端部側かつ−Y方向側端部側からジグザグに進む順番とされる。すなわち、ウエハ14の奇数列では、ウエハ14の−Y方向端部からY方向への順番で収容され、ウエハ14の偶数列では、ウエハ14のY方向端部から−Y方向への順番で収容される。
【0079】
例えば、
図14に示されるように、複数の発光素子200のうち、奇数列のY方向に並んだ発光素子200A、200B、200C、200Dでは、発光素子200Aをトレイ401の凹部406に収容し、次に、発光素子200Bをトレイ402の凹部406に収容する。次に、発光素子200Cをトレイ401の凹部406に収容し、次に、発光素子200Dをトレイ402に収容する。このように、複数の発光素子200を順番且つ交互に収容する。
【0080】
なお、収容工程について、ピックアップ位置に配置されている発光素子200を、保持部370によって保持させ、保持した発光素子200を凹部406に収容する動作については、詳細を後述する。
【0081】
〔搭載工程〕
搭載工程では、トレイ402の凹部406に収容された発光素子200の発光点218が、トレイ401の凹部406に収容された発光素子200の発光点218と異なる向きになるようにする。具体的には、
図16に示されるように、トレイ401上の発光素子200の発光点218がY方向を向いているのに対して、トレイ402上の発光素子200の発光点218が−Y方向を向くように、相対回転させる。すなわち、トレイ402をトレイ401に対して、180度相対回転させる。
【0082】
本実施形態では、
図9に示されるように、トレイ401上の発光素子200の発光点218と、トレイ402上の発光素子200の発光点218と、が異なる向きを向いた状態で、トレイ401、402を供給部13の台15に収容する。なお、本実施形態では、トレイ401、402は、X方向に沿って並んで配置されている。
【0083】
そして、トレイ401、402における発光点218の向きのままトレイ401及びトレイ402の発光点218をプリント基板102に置く。具体的には、以下のようにトレイ401、402の発光素子200がプリント基板102に置かれる。
【0084】
すなわち、
図9に示されるように、まず、供給部13において、移動機構17が台15をX方向及びY方向へ移動させることで、搭載対象の発光素子200を予め定められたピックアップ位置に配置させる。
【0085】
次に、供給部13のピックアップ位置に配置されている発光素子200を、移送装置50が位置決め台30のプレート34上に移送して、プレート34上に発光素子200を置く。
【0086】
次に、プレート34上に置かれた発光素子200を、位置決め部材22によって、プレート34上の予め定められた位置決め位置に移動させて位置決め(位置出し)する。
【0087】
次に、基板位置決め装置40において、一対の搬送部材42がプリント基板102を位置決めする。
【0088】
次に、塗布装置(図示省略)によって、プリント基板102の発光素子200の搭載位置に接着剤を塗布する。
【0089】
素子位置決め工程で位置決めされた発光素子200を移送装置60によってプリント基板102の発光素子200の搭載位置に移送する。
【0090】
なお、複数の発光素子200が、プリント配線基板44に対して千鳥状に配置される。すなわち、上記搭載工程が、発光素子200の数に応じて行われる。また、本実施形態では、例えば、トレイ401の複数の発光素子200をプリント基板102のY方向一方側(
図16の下側)に間隔をおいて一列に配置した後、トレイ402の複数の発光素子200をプリント基板102のY方向他方側(
図16の上側)に間隔をおいて一列に配置する。すなわち、本実施形態では、例えば、プリント基板102の長手方向一端102Aから数えて奇数番目にあたる搭載位置T1、T3、T5・・・に配置した後、当該一端102Aから数えて偶数番目にあたる搭載位置T2、T4・・・に配置することで、千鳥状に配置する。具体的には、
図14における発光素子200A、200Cが搭載位置T1、T3に配置され、
図14における発光素子200B、200Dが搭載位置T2、T4に配置される。
【0091】
以上の工程を経て発光基板100が製造される。
【0092】
(要部構成)
次に、保持機構310の保持部370等について説明する。
【0093】
〔保持部〕
保持部370は、
図11に示されるように、発光素子200の長手方向(X方向)に沿って長さを有する本体372を有している。さらに、保持部370は、本体372から下方(−Z方向)に突出し、発光素子200のX方向の両側の稜線部285に突き当り、X方向において発光素子200の両側に位置する一対の突起374を有している。
【0094】
本体372は、X方向に延びる直方体状とされ、本体372の内部には空洞377が形成され、本体372の下面373には、空洞377と通じる複数の吸引孔378が形成されている。本体372の上部は、ホース399を介して吸引部318(
図8参照)と接続されている。
【0095】
一対の突起374は、本体372の下面373において、X方向の両端から下方へ突出し、下方に向かうに従って、X方向の離間距離が広くなるように、先細り形状とされている。
【0096】
一対の突起374において互いに向き合った突当面375に、発光素子200の稜線部285を突き当てた状態で、本体372の下面373と発光素子200の上面との間に隙間が生じるようになっている。この状態で、複数の吸引孔378を通じて吸引部318により空気(気体の一例)を吸引することで、保持部370が発光素子200を保持するようになっている。なお、制御部380が、駆動部360及び伸縮部315を制御して、保持部370を移動させる構成等については、後述する作用と共に説明する。
【0097】
(要部構成の作用)
次に、前述した収容工程の中で、制御部380が各部を制御し、ピックアップ位置に配置されている発光素子200を、ピックオフ位置に配置されている凹部406に収容させる動作について説明する。なお、保持部370に発光素子200を保持させる前の状態では、保持部370は、ウエハ14の上方とは異なる位置に配置され、伸縮部315は、縮められ、ニードル322は、収納位置に配置されている。
【0098】
また、制御部380の制御による各部の動作については、比較形態に係る収容装置1302の制御部1380の制御による各部の動作と比較しつつ説明する。制御部1380の制御による各部の動作については、制御部380の制御による各部の動作と異なる部分を主に説明する。この制御部1380は、制御部380と異なり、
図5、
図18に示されるように、計測部382によって計測された吸引部318の吸引力(吸引力の値)を入手しないようになっている。
【0099】
先ず、制御部380は、駆動部360(
図8参照)を制御し、アーム312(
図8参照)を移動させることで、
図1(A)、
図2(A)に示されるように、ピックアップ位置に配置されている発光素子200の上方へ、保持部370を移動させる。
【0100】
次に、制御部380は、伸縮部315を制御し、
図1(B)、
図2(B)に示されるように、伸縮部315を伸ばすことで、保持部370を下降させて、突起374の突当面375に、発光素子200の稜線部285を夫々突き当てる。この状態では、本体372の下面373と発光素子200の上面との間に、X方向に亘って同様量の隙間が生じている。
【0101】
次に、制御部380は、吸引部318(
図8参照)を制御し、
図1(B)、
図2(B)に示されるように、複数の吸引孔378から空気を吸引することで、保持部370に発光素子200を保持させる。
【0102】
次に、制御部380は、伸縮部315、及び稼動部326(
図8参照)を制御し、
図1(C)、
図2(C)に示されるように、伸縮部315を縮めると共に、ニードル322を収納位置から突出位置に移動させる。これにより、発光素子200は、ニードル322によって突き上げられ、発光素子200の大部分が、粘着シート290から剥がれる。
【0103】
ここで、発光素子200が保持部370に正常に保持される場合は、
図1(C)に示されるように、本体372の下面373と発光素子200の上面との間に、X方向に亘って同様量の隙間が生じている状態が維持される。そして、発光素子200は、保持部370に対して傾くこと無く保持される。
【0104】
これに対して、発光素子200が保持部370に正常に保持されない場合は、
図2(C)に示されるように、本体372の下面373と発光素子200の上面との間に、X方向に亘って同様量の隙間が生じていない。この隙間は、発光素子200のX方向の端部で広がり、−X方向の端部で狭くなっている。そして、発光素子200は、保持部370に対して傾いて保持される。具体的には、発光素子200のX方向の端部の稜線部285が、突起374の先端と当たり、発光素子200の−X方向の端部の稜線部285が、本体372の下面373と当たっている。このように、発光素子200が保持部370に正常に保持されない場合が生じるのは、粘着シート290と発光素子200との間で生じている粘着力が、X方向でばらついているため、と考えられる。
【0105】
次に、制御部380は、伸縮部315を制御し、
図1(D)、
図2(D)に示されるように、伸縮部315をさらに縮めて、保持部370をさらに上方へ移動させることで、発光素子200を、粘着シート290から剥離させる。これにより、保持部370が、発光素子200を保持する。なお、ニードル322については、発光素子200が粘着シート290から剥離すると、突出位置から収納位置に移動する。
【0106】
次に、制御部380は、駆動部360(
図8参照)を制御し、アーム312(
図8参照)を移動させることで、
図3(A)、
図4(A)に示されるように、ピックオフ位置に配置されている凹部406の上方へ、保持部370を移動させる。
【0107】
次に、制御部380は、計測部382(
図8参照)によって計測された吸引部318の吸引力を入手する。そして、制御部380は、伸縮部315(
図8参照)を制御し、
図3(B)、
図4(B)に示されるように、伸縮部315を伸ばすことで、保持部370を下方へ移動させる。
【0108】
以下、制御部380が、吸引部318の吸引力を入手する理由について説明する。発光素子200が、保持部370に正常に保持される場合(
図1(D)参照)は、前述したように、本体372の下面373と発光素子200の上面との間に、X方向に亘って同様量の隙間が生じている。一方、発光素子200が、保持部370に正常に保持されていない場合(
図2(D)参照)は、前述したように、本体372の下面373と発光素子200の上面との隙間は、発光素子200のX方向の端部で広がり、−X方向の端部で狭くなっている。
【0109】
このため、発光素子200が保持部370に正常に保持される場合の吸引部318の吸引力は、発光素子200が保持部370に正常に保持されていない場合の吸引部318の吸引力より、小さくなる。本実施形態では、発光素子200が保持部370に正常に保持される場合の吸引力は、30〔kPa〕程度で、発光素子200が保持部370に正常に保持されていない場合の吸引力は、40〔kPa〕程度である。なお、吸引力とは、吸引部318によって生じる吸引圧力であって、大気圧との差である。そして、吸引力は、大気圧との差を絶対値で現した値である。例えば、計測部382の計測結果が、−30〔kPa〕の場合は、吸引力は、30〔kPa〕である。換言すれば、計測部382によって計測される値は、単位面積当たりの吸引圧力である。よって、本実施形態で記載する吸引力については、吸引圧力と読み換えてもよい。
【0110】
そこで、吸引力が閾値(例えば、35〔kPa〕)以下の場合は、制御部380は、発光素子200が保持部370に正常に保持されていると判断する。これに対して、吸引力が閾値より大きい場合は、制御部380は、発光素子200が保持部370に正常に保持されていないと判断する。
【0111】
そして、吸引部318の吸引力が、閾値以下の場合は、制御部380は、
図3(B)に示されるように、下方へ移動する保持部370を所定の位置で停止させる。具体的には、トレイ401、402の上向き面401A、402Aと、突起374の先端との距離(図中D1)が、発光素子200の高さ(図中H1)以下となる位置で、制御部380は、保持部370を停止させる。
【0112】
一方、吸引部318の吸引力が、閾値より大きい場合は、制御部380は、
図4(B)に示されるように、下方へ移動する保持部370を所定の位置で停止させる。具体的には、トレイ401、402の上向き面401A、402Aと、突起374の先端との距離(図中D2)が、発光素子200の高さ(図中H1)より長くなる位置で、制御部380は、保持部370を停止させる。
【0113】
次に、制御部380は、吸引部318(
図8参照)を制御し、
図3(C)、
図4(C)に示されるように、吸引孔378からの空気の吸引を停止させることで、吸引力を解放し、保持部370に保持されている発光素子200を自由落下させる。これにより、落下した発光素子200が、凹部406に収容される。
【0114】
このように、吸引力が閾値より大きい場合は、吸引力が閾値以下の場合と比べて、凹部406に対する保持部370の高さを高くした状態で、吸引力を解放する。このため、吸引力が閾値より大きい場合は、凹部406に発光素子200が収容されないことが、稀に発生する。
【0115】
これに対して、比較形態に係る収容装置1302の制御部1380は、吸引部318の吸引力に係わらず、トレイ401、402の上向き面401A、402Aと、突起374の先端との距離が、発光素子200の高さH1以下となる位置で、保持部370を停止させる。
【0116】
このため、発光素子200が保持部370に正常に保持されていない場合は、
図17(A)(B)に示されるように、発光素子200のX方向の端部が、トレイ401、402の上向き面401A、402Aと、突起374の先端とに挟まれる。これにより、発光素子200が損傷してしまう場合がある。
【0117】
次に、制御部1380は、吸引部318(
図8参照)を制御し、
図17(C)に示されるように、吸引孔378からの空気の吸引を停止させることで、吸引力を解放し、保持部370に保持されている発光素子200を自由落下させる。これにより、発光素子200のX方向の端部が凹部406の縁部に引っ掛かり、発光素子200が凹部406に収容されない場合がある。
【0118】
(まとめ)
以上説明したように、本実施形態の収容装置302の制御部380は、吸引力が閾値より大きい場合は、トレイ401、402の上向き面401A、402Aと、突起374の先端との距離が、発光素子200の高さより長くなる位置で、保持部370を停止させる。そして、制御部380は、吸引力を解放して発光素子200を凹部406に収容させる。さらに、制御部380は、吸引力が閾値以下の場合は、トレイ401、402の上向き面401A、402Aと、突起374の先端との距離が、発光素子200の高さ以下となる位置で、保持部370を停止させる。そして、制御部380は、吸引力を解放して発光素子200を凹部406に収容させる。
【0119】
このため、常に凹部406に近い位置で吸引力を解放して、発光素子200を凹部406に収容する場合と比して、発光素子200を凹部406に収容する収容率の低下を抑制した上で、凹部406に収容される発光素子200が損傷してしまうのが抑制される。
【0120】
また、吸引力が閾値より大きい場合は、トレイ401、402の上向き面401A、402Aと、突起374の先端との距離が、発光素子200の高さより長くなる位置で、保持部370を停止させる。これにより、傾いて保持されている発光素子200が、トレイ401、402の上向き面401A、402Aと、突起374の先端との間に挟まれることがない。
【0121】
また、発光基板100の製造方法においては、収容装置302を用いて、発光素子200を凹部406に収容する収容工程を備えていない場合と比して、製造される発光基板100の歩留まりが向上する。
【0122】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態をとることが可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、特に説明しなかったが、制御部380が、吸引部324による吸引力を解放した直後に、吸引孔378から空気を外部に排出させてもよい。これにより、保持部370に保持されている発光素子200の落下速度が速くなる。
【0123】
また、上記実施形態では、基板装置を、例えば、露光装置(LPH:Led Print Head)に用いられる発光基板100として説明したが、基板装置が、例えば、読取装置(CIS:Contact Image Sensor)に用いられる受光基板であってもよい。この場合は、半導体素子は、発光素子ではなく、受光素子となる。
【0124】
また、上記実施形態では、吸引力が閾値より大きい場合は、トレイ401、402の上向き面401A、402Aと、突起374の先端との距離が、発光素子200の高さより長くなる位置で、吸引力を解放し、吸引力が閾値以下の場合は、トレイ401、402の上向き面401A、402Aと、突起374の先端との距離が、発光素子200の高さ以下となる位置で、吸引力を解放した。しかし、トレイ401、402の上向き面401A、402Aと、突起374の先端との距離が、前述の条件を満たさない範囲であっても、吸引力が閾値よりも大きい場合に、吸引力が閾値以下の場合と比べて、凹部406に対する保持部370の高さを高くした状態で、吸引力を解放してもよい。これにより、収容率の低下を抑制した上で、凹部406に収容される発光素子200が損傷してしまうのが抑制される。
【0125】
また、上記実施形態では、特に説明しなかったが、保持部370に保持されている発光素子200の姿勢を検知するセンサを設け、発光素子200が保持部370に対して傾いて保持されている場合は、発光素子200が保持部370に対して傾かずに保持されている場合と比べて、凹部406に対する保持部370の高さを高くした状態で、吸引力を解放してもよい。これにより、収容率の低下を抑制した上で、凹部406に収容される発光素子200が損傷してしまうのが抑制される。