(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の空調機それぞれが、熱源側ファンにより屋内の共通空間から空気を取り入れて自己の熱源側熱交換器に流し前記共通空間へと吹き出し、且つ、空調対象空間から空気を取り入れて自己の利用側熱交換器に流し前記空調対象空間へと空調空気を吹き出すように設置される空調システムであって、
第1圧縮機(12A)、第1熱源側熱交換器(13A)、及び前記第1熱源側熱交換器に送風する第1熱源側ファン(16A)を含む第1空調機(10A)と、
第2圧縮機(12B)、第2熱源側熱交換器(13B)、及び前記第2熱源側熱交換器に送風する第2熱源側ファン(16B)を含む第2空調機(10B)と、
前記第1空調機(10A)の前記第1圧縮機(12A)が運転しているときに、前記第2空調機(10B)の前記第2熱源側ファン(16B)を回転させつつ前記第2圧縮機(12B)に運転を行わせない第1送風運転を行う、第1協調モードを実行する制御部(40)と、
を備える、
空調システム。
前記制御部(40)は、前記第1空調機(10A)の前記第1圧縮機(12A)及び前記第2空調機(10B)の前記第2圧縮機(12B)に運転を行わせているとき、前記第2空調機(10B)に、前記第2熱源側ファン(16B)の回転数が通常の空調運転時よりも高くなる第2送風運転を行わせる第2協調モードを実行する、
請求項1又は請求項2に記載の空調システム。
前記制御部(40)は、前記第1協調モードにおいて、複数の前記空調機のうち前記第1空調機(10A)から視て前記共通空間の空気流れと交差する方向に配置され、且つ前記第1空調機(10A)よりも前記空気流れの上流側に位置する前記空調機(10C)に、前記空調機(10C)の熱源側ファン(16C)を回転させつつ前記空調機(10C)の圧縮機(12C)に運転を行わせない送風運転を行わせる、
請求項1に記載の空調システム。
前記制御部(40)は、前記第2協調モードにおいて、複数の前記空調機のうち前記第1空調機(10A)から視て前記共通空間の空気流れと交差する方向に配置され、且つ前記第1空調機(10A)よりも前記空気流れの上流側に位置する前記空調機(10C)に、その熱源側ファン(16C)の回転数が通常の空調運転時よりも高くなる送風運転を行わせる、
請求項6に記載の空調システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記空調システムでは、例えば、天井裏の排熱処理が熱源機からの排熱に追いつかない場合、天井裏の雰囲気温度が上昇する場合など、効率的な空調運転をすることができなくなる虞がある。
【0004】
本発明の課題は、複数の熱源機が配置される共通空間を、空調機が効率的な空調運転を行うことができる環境に維持する空調システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る空調システムは、複数の空調機それぞれが、熱源側ファンにより屋内の共通空間から空気を取り入れて自己の熱源側熱交換器に流し前記共通空間へと吹き出し、且つ、空調対象空間から空気を取り入れて自己の利用側熱交換器に流し前記空調対象空間へと空調空気を吹き出すように設置される空調システムであって、第1空調機と、第2空調機と、制御部とを備えている。第1空調機は、第1圧縮機、第1熱源側熱交換器、及び第1熱源側熱交換器に送風する第1熱源側ファンを含む。第2空調機は、第2圧縮機、第2熱源側熱交換器、及び第2熱源側熱交換器に送風する第2熱源側ファンを含む。制御部は、第1協調モードを実行する。第1協調モードは、第1送風運転を行うモードである。第1送風運転は、第1空調機の第1圧縮機が運転しているときに、第2空調機の第2熱源側ファンを回転させつつ第2圧縮機に運転を行わせない送風運転である。
【0006】
この空調システムでは、制御部は、第1空調機が空調運転を行っているとき、第2空調機に第1送風運転を行う第1協調モードを実行させて熱源側ファンを稼働するので、共通空間の熱撹拌を行うことができる。
【0007】
本発明の第2観点に係る空調システムは、第1観点に係る空調システムであって、第1空調機と第2空調機とは互いに隣接している。
【0008】
この空調システムでは、空調運転をしている隣接空調機の熱源側へ送風することができるので、空調運転をしている隣接空調機の熱源側周辺の熱こもりを解消することができる。
【0009】
本発明の第3観点に係る空調システムは、第1観点又は第2観点に係る空調システムであって、制御部が、共通空間の温度分布に基づき第1協調モードを実行する。
【0010】
この空調システムでは、制御部が、温度分布に基づいて「熱こもり」の位置を把握することができるので、熱こもりを効率的に解消するために適した位置にある空調機を選定し、その空調機に第1協調モードを実行させることができる。
【0011】
本発明の第4観点に係る空調システムは、第3観点に係る空調システムであって、温度センサをさらに備えている。温度センサは、共通空間に予め設定された複数の箇所それぞれに配置されている。制御部は、複数の温度センサの検出値から共通空間の温度分布を把握する。
【0012】
本発明の第5観点に係る空調システムは、第1観点に係る空調システムであって、共通排気ファンをさらに備えている。共通排気ファンは、共通空間の換気を行う。制御部は、第2空調機が空調運転を停止しているとき、共通排気ファンの稼働に連動して第2空調機の第2熱源側ファンを回転させる。
【0013】
この空調システムでは、熱源側ファンの稼働によって共通排気ファンによる排熱処理をサポートするので、共通空間の排熱処理が追いつかない場合に有益である。
【0014】
本発明の第6観点に係る空調システムは、第1観点又は第2観点に係る空調システムであって、制御部が、第1空調機の第1圧縮機及び第2空調機の第2圧縮機に運転を行わせているとき、第2協調モードを実行する。第2協調モードは、第2空調機に第2送風運転を行わせるモードである。第2送風運転は、第2熱源側ファンの回転数が通常の空調運転時よりも高くなる送風運転である。
【0015】
この空調システムでは、第1空調機及び第2空調機が共に運転中であっても、第2協調モードの実行により、第2空調機の第2熱源側ファンの回転数が通常の空調運転時よりも高くなるので、隣接する第1空調機の熱源側周辺の熱こもり解消に貢献する。
【0016】
本発明の第7観点に係る空調システムは、第1観点に係る空調システムであって、制御部が、第1協調モードにおいて、複数の空調機のうち第1空調機から視て共通空間の空気流れと交差する方向に配置され且つ第1空調機よりも空気流れの上流側に位置する空調機に、その熱源側ファンを回転させつつ圧縮機に運転を行わせない送風運転を行わせる。
【0017】
この空調システムでは、複数の空調機のうち第1空調機よりも空気流れの上流側に位置する空調機からの送風によって第1空調機周辺の空気が撹拌される。
【0018】
本発明の第8観点に係る空調システムは、第1観点に係る空調システムであって、共通空間の換気を行う共通排気ファンをさらに備えている。制御部は、第1協調モードにおいて、複数の空調機のうち第1空調機から視て共通空間の空気流れと交差する方向に配置され且つ共通排気ファンに近い空調機に、空調機の熱源側ファンを回転させつつ圧縮機に運転を行わせない送風運転を行わせる。
【0019】
この空調システムでは、複数の空調機のうち共通排気ファンに近い空調機の送風によって、共通排気ファンをサポートすることができる。
【0020】
本発明の第9観点に係る空調システムは、第6観点に係る空調システムであって、制御部が、第2協調モードにおいて、複数の空調機のうち第1空調機から視て共通空間の空気流れと交差する方向に配置され且つ第1空調機よりも空気流れの上流側に位置する空調機に、その熱源側ファンの回転数が通常の空調運転時よりも高くなる送風運転を行わせる。
【0021】
この空調システムでは、複数の空調機のうち第1空調機よりも空気流れの上流側に位置する空調機からの送風によって第1空調機周辺の空気が撹拌される。
【0022】
本発明の第10観点に係る空調システムは、第6観点に係る空調システムであって、共通空間の換気を行う共通排気ファンをさらに備えている。制御部は、第2協調モードにおいて、複数の空調機のうち第1空調機から視て共通空間の空気流れと交差する方向に配置され且つ共通排気ファンに近い空調機に、その熱源側ファンの回転数が通常の空調運転時よりも高く、且つ、第2送風運転中の第2熱源側ファンの回転数よりも低くなる送風運転を行わせる。
【0023】
この空調システムでは、複数の空調機のうち共通排気ファンに近い空調機の送風量が強まることによって、共通排気ファンをサポートすることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の第1観点に係る空調システムでは、制御部は、第1空調機が空調運転を行っているとき、第2空調機に第1送風運転を行う第1協調モードを実行させて熱源側ファンを稼働するので、共通空間の熱撹拌を行うことができる。
【0025】
本発明の第2観点に係る空調システムでは、空調運転をしている隣接空調機の熱源側へ送風することができるので、空調運転をしている隣接空調機の熱源側周辺の熱こもりを解消することができる。
【0026】
本発明の第3観点及び第4観点に係る空調システムでは、制御部が、温度分布に基づいて「熱こもり」の位置を把握することができるので、熱こもりを効率的に解消するために適した位置にある空調機を選定し、その空調機に第1協調モードを実行させることができる。
【0027】
本発明の第5観点に係る空調システムでは、熱源側ファンの稼働によって共通排気ファンによる排熱処理をサポートするので、共通空間の排熱処理が追いつかない場合に有益である。
【0028】
本発明の第6観点に係る空調システムでは、第1空調機及び第2空調機が共に運転中であっても、第2協調モードの実行により、第2空調機の第2熱源側ファンの回転数が通常の空調運転時よりも高くなるので、隣接する第1空調機の熱源側周辺の熱こもり解消に貢献する。
【0029】
本発明の第7観点に係る空調システムでは、複数の空調機のうち第1空調機よりも空気流れの上流側に位置する空調機からの送風によって第1空調機周辺の空気が撹拌される。
【0030】
本発明の第8観点に係る空調システムでは、複数の空調機のうち共通排気ファンに近い空調機の送風によって、共通排気ファンをサポートすることができる。
【0031】
本発明の第9観点に係る空調システムでは、複数の空調機のうち第1空調機よりも空気流れの上流側に位置する空調機からの送風によって第1空調機周辺の空気が撹拌される。
【0032】
本発明の第10観点に係る空調システムでは、複数の空調機のうち共通排気ファンに近い空調機の送風量が強まることによって、共通排気ファンをサポートすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0035】
(1)空調システムの概要
図1Aは、空調システムを構成する複数の空調機10A〜10Eが据え付けられている建屋の平面図である。また、
図1Bは、
図1Aに記載の建屋のX−X線における断面図である。
【0036】
図1A及び
図1Bにおいて、複数の空調機10A〜10Eそれぞれは、天井に設置される利用側ユニットである室内ユニットと、天井裏に配置される熱源側ユニットとが一体化された空調機である。このような一体型空調機の具体的構造については、例えば、公開特許公報の特開平9−324928等に開示されているので、ここでは具体的構造の説明は省略する。
【0037】
複数の室内ユニット21A〜21Eは、建屋の天井に設置され、各室内ユニットに対応する熱源側ユニット11A〜11Eは天井裏空間CSに配置されている。
【0038】
なお、室内ユニット21A〜21Eをまとめて指す場合は「室内ユニット21」と表現し、熱源側ユニット11A〜11Eをまとめて指す場合は「熱源側ユニット11」と表現する。
【0039】
この空調システムでは、空調対象空間である部屋Roの天井に、空調機10A〜10Eの室内ユニット21A〜21Eが配置されている。
【0040】
もちろん、空調機10A〜10Eの各室内ユニット21A〜21Eが別々の部屋に配置されてもよい。
【0041】
但し、空調機10A〜10Eの熱源側ユニット11A〜11Eは、共通空間である天井裏空間CSに配置されている。
【0042】
また、天井裏空間CSの換気を行うため、共通排気ファン60が側壁に設けられている。共通排気ファン60は、
図1Aにおいて、平面視で右側壁および左側壁に一台ずつ据え付けられている。説明の便宜上、右側の共通排気ファン60を第1ファン60A、左側の共通排気ファン60を第2ファン60Bという。
【0043】
天井裏空間CSでは、外気を第2ファン60Bによって取り込み、内部空気を第1ファン60Aによって排出すれば、
図1Aの平面視で左から右への空気の流れが生じる。また、外気を第1ファン60Aによって取り込み、内部空気を第2ファン60Bによって排出すれば、
図1Aの平面視で右から左への空気の流れが生じる。それゆえ、朝夕の日差しの影響を考慮して、時間帯に応じて、空気流れの方向が切り替えられてもよい。
【0044】
本実施形態では、全ての熱源側ユニット11A〜11Eの空気の吹出方向を、
図1Aの平面視で左から右への方向に統一しており、天井裏空間CSの換気方向も熱源側ユニットの吹出方向に合わせて、
図1Aの平面視で左から右への空気の流れが生じるように構成されている。
【0045】
図1Aにおいて、熱源側ユニット11Aから視て、空気の流れの上流側に熱源側ユニット11Bが配置されている。そして、熱源側ユニット11Aから視て、空気の流れ方向と交差する方向に熱源側ユニット11C及び11Dが配置されている。また、熱源側ユニット11Dから視て、空気の流れの上流側に熱源側ユニット11Eが配置されている。
【0046】
本願明細書において、「隣接」という文言が複数回登場するが、いずれも空気の流れ方向と並行に隣り合う関係に限って「隣接」と表現している。したがって、熱源側ユニット11Aと熱源側ユニット11Bは互いに隣接する位置関係である。
【0047】
図2は、空調システムの制御系の構成を示すブロック図である。
図2において、空調システムでは、集中制御部40が通信ネットワーク6を介して、複数の空調機10A〜10Eそれぞれに搭載された通信制御部50(
図4参照)との間で通信を行うことができる。
【0048】
通信ネットワーク6は、インターネット、イントラネット、LAN(Local・Area・Network)、VPN(Virtual・Private・Network)等の情報通信技術を利用した通信回線により構成されている。
【0049】
集中制御部40は、遠隔制御により空調機10A〜10Eに各種の運転を行わせることができる。
【0050】
以下、空調機10A〜10E、及び集中制御部40について詳細を説明する。なお、空調機10A〜10Eをまとめて指す場合は、「空調機10」と表現する。
【0051】
(2)空調機10の構成
図3は、空調機10の構成図である。
図3において、空調機10は、冷房運転および暖房運転が可能な冷凍装置であり、熱源側ユニット11と、室内ユニット21と、熱源側ユニット11と室内ユニット21とを接続するための液冷媒連絡配管2、及びガス冷媒連絡配管3とを備えている。空調機10の冷媒回路Cには、例えば、単一冷媒であるR32が封入されている。
【0052】
(2−1)熱源側ユニット11の構成
図3において、熱源側ユニット11は、主に、圧縮機12、四方切換弁15、熱源側熱交換器13、及び膨張弁14を有している。さらに、熱源側ユニット11は熱源側ファン16も有している。
【0053】
(2−1−1)圧縮機12
圧縮機12は、低圧の冷媒を圧縮し、圧縮後の高圧の冷媒を吐出する。圧縮機12では、スクロール式、ロータリ式等の圧縮機構が圧縮機モータ12aによって駆動される。圧縮機モータ12aの運転周波数は、インバータ装置によって変更される。
【0054】
(2−1−2)熱源側熱交換器13
熱源側熱交換器13は、フィン・アンド・チューブ式の熱交換器である。熱源側熱交換器13の近傍には、熱源側ファン16が設置される。熱源側熱交換器13では、熱源側ファン16が搬送する空気と冷媒とが熱交換する。
【0055】
(2−1−3)膨張弁14
膨張弁14は、開度可変の電子膨張弁である。膨張弁14は、冷房運転時の冷媒回路Cにおける冷媒の流れ方向において熱源側熱交換器13の下流側に配置されている。
【0056】
冷房運転時、膨張弁14の開度は、室内熱交換器32に流入する冷媒を室内熱交換器32において蒸発させることが可能な圧力(すなわち、蒸発圧力)まで減圧するように調節される。また、暖房運転時は、膨張弁14の開度は、熱源側熱交換器13に流入する冷媒を熱源側熱交換器13において蒸発させることが可能な圧力まで減圧するように調節される。
【0057】
(2−1−4)四方切換弁15
四方切換弁15は、第1から第4までのポートP1〜P4を有している。四方切換弁15では、第1ポートP1が圧縮機12の吐出側に接続され、第2ポートP2が圧縮機12の吸入側に接続され、第3ポートP3が熱源側熱交換器13のガス側端部に接続され、第4ポートP4がガス側閉鎖弁5に接続されている。
【0058】
四方切換弁15は、第1状態(
図1の実線で示す状態)と第2状態(
図1の破線で示す状態)とに切り換わる。第1状態の四方切換弁15では、第1ポートP1と第3ポートP3とが連通し且つ第2ポートP2と第4ポートP4とが連通する。第2状態の四方切換弁15では、第1ポートP1と第4ポートP4とが連通し且つ第2ポートP2と第3ポートP3とが連通する。
【0059】
(2−1−5)熱源側ファン16
熱源側ファン16は、プロペラファン16aと、プロペラファン16aを駆動するモータ16bとで構成されている。モータ16bは、インバータ装置によって、その回転数が可変である。
【0060】
(2−1−6)熱源側制御部41a
図3に示すように、熱源側ユニット11には熱源側制御部41aが搭載されている。また、
図4は、空調機10の制御部41を示すブロック図である。
図4において、熱源側制御部41aは、マイコン41aa、メモリ41abを内蔵している。マイコン41aaは、各種の演算を行い、制御対象機器への指令を行う。メモリ41abは、各種データを格納する。
【0061】
(2−1−7)天井裏温度センサ64
天井裏温度センサ64は、熱源側ユニット11の空気の吸入口側で、熱源側ユニット11内に流入する空気の温度を検出する。本実施形態において、天井裏温度センサ64は、サーミスタからなる。
【0062】
天井裏温度センサ64は、適切な空調運転を行うため、熱源側ユニット11の周囲の雰囲気温度を検出しており、検出値は冷凍サイクルに必要な演算に用いられる他、天井裏空間の温度分布の測定にも使用される。
【0063】
もちろん、熱源側ユニット11の周囲の雰囲気温度を検出する温度センサと、天井裏空間CSの温度分布の測定に使用する温度センサとを、別個に設けてもよい。
【0064】
(2−2)室内ユニット21の構成
室内ユニット21は、室内熱交換器32と、室内ファン27とを有している。また、室内ユニット21には、リモートコントロールユニット(以下、「リモコン42」という。)が付帯されている。ユーザーは、リモコン42を介して、空調機10の各種運転モード等を設定することができる。
【0065】
(2−2−1)室内熱交換器32
室内熱交換器32は、フィン・アンド・チューブ式の熱交換器である。室内熱交換器32の近傍には、室内ファン27が設置される。
【0066】
室内熱交換器32は、冷房運転時には冷媒の蒸発器として機能して室内空気を冷却し、暖房運転時には冷媒の凝縮器として機能して室内空気を加熱する。
【0067】
(2−2−2)室内ファン27
室内ファン27は、クロスフローファンである。室内ファン27は、ファン27aと、ファン27aを回転させるためのファンモータ27bとを有している。
【0068】
室内ファン27の稼動によって、室内ユニット21は内部に室内空気を吸入し、室内熱交換器32において冷媒と熱交換させた後に、供給空気として室内に供給する。また、室内ファン27は、室内熱交換器32に供給する空気の風量を所定風量範囲において変更することができる。
【0069】
(2−2−3)室内側制御部41b
図1に示すように、室内ユニット21には、室内側制御部41bが搭載されている。また、
図4に示すように、室内側制御部41bは、マイコン41ba及びメモリ41bbを内蔵している。
【0070】
マイコン41baは、各種の演算を行う。また、メモリ41bbは、各種データを格納する。
【0071】
また、室内側制御部41bは、室内ユニット21を個別に操作するためのリモコン42との間で制御信号等の通信を行い、さらに、熱源側ユニット11との間で伝送線を介して制御信号等の通信を行う。
【0072】
(2−2−4)各種センサ
室内ユニット21には、室内熱交温度センサ44と室内温度センサ46とが設けられている。室内熱交温度センサ44は、室内熱交換器32の中間位置に設置され、冷媒の飽和温度を検出する。
【0073】
室内温度センサ46は、室内ユニット21の室内空気の吸入口側に設けられている。室内温度センサ46は、室内ユニット21内に流入する室内空気の温度を検出する。
【0074】
本実施形態において、室内熱交温度センサ44、及び室内温度センサ46は、サーミスタからなる。
【0075】
(2−3)集中制御部40
集中制御部40は、圧縮機12の運転周波数、四方切換弁15の切換動作、膨張弁14の開度、および熱源側ファン16、室内ファン27の回転を遠隔制御することができる。そのため、集中制御部40は、外部との通信制御も行うことができる。
【0076】
図2において、集中制御部40は、通信ネットワーク6を介して各空調機10A〜10Eを制御する。各空調機10A〜10Eの各室内ユニット21には、集中制御部40との間で信号の送受信が行えるように通信制御部50(
図4参照)が搭載されている。
【0077】
また、集中制御部40は、記憶部401と、判定部403と、通信部405と、指令部407とを有している。
【0078】
(2−3−1)記憶部401
記憶部401は、集中制御部40の各部間のデータ、及び集中制御部40と各空調機10A〜10Eとの間で通信された運転情報を記憶する。
【0079】
(2−3−2)判定部403
判定部403は、上記運転情報に基づいて各空調機10A〜10Eの運転状態が予め設定される運転条件を充足しているか否かを判断する。
【0080】
(2−3−3)通信部405
通信部405は、通信ネットワーク6に対するインタフェースであり、指令部407の命令に従って通信ネットワーク6に信号を送信し、或いは通信ネットワーク6から信号を受信し、その旨を表す信号を指令部407に送る。
【0081】
(2−3−4)指令部407
指令部407は、通信部405を制御して各空調機10A〜10Eから送信された運転情報を受信し、且つその運転情報に基づき集中制御部40の各部の動作を制御する。
【0082】
(3)空調機10の動作
空調機10では、四方切換弁15によって、冷媒の循環サイクルを冷房運転時の循環サイクルおよび暖房運転時の循環サイクルのいずれか一方に切り換えることが可能である。
【0083】
(3−1)冷房運転
冷房運転では、
図3に示す四方切換弁15が実線で示す状態となり、圧縮機12、室内ファン27、熱源側ファン16が運転状態となる。これにより、冷媒回路Cでは、熱源側熱交換器13が凝縮器となり、室内熱交換器32が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。
【0084】
具体的には、圧縮機12で圧縮された高圧冷媒は、熱源側熱交換器13を流れ、空気と熱交換する。熱源側熱交換器13では、高圧冷媒が空気へ放熱して凝縮する。熱源側熱交換器13で凝縮した冷媒は、室内熱交換器32へ送られる途中において、膨張弁14で減圧され、その後、室内熱交換器32を流れる。
【0085】
室内ユニット21では、室内ファン27によって吸い込まれた室内空気が、室内熱交換器32を通過し、その際に冷媒と熱交換する。室内熱交換器32では、冷媒が室内空気から吸熱して蒸発し、その際に空気が冷却される。室内熱交換器32で冷却された空気は、室内空間へ供給される。また、室内熱交換器32で蒸発した冷媒は、圧縮機12に吸入され再び圧縮される。
【0086】
(3−2)暖房運転
暖房運転では、
図1に示す四方切換弁15が破線で示す状態となり、圧縮機12、室内ファン27、熱源側ファン16が運転状態となる。これにより、冷媒回路Cでは、室内熱交換器32が凝縮器となり、熱源側熱交換器13が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。
【0087】
具体的には、圧縮機12で圧縮された高圧冷媒は、室内熱交換器32を流れる。室内ユニット21では、室内ファン27よって吸い込まれた室内空気が、室内熱交換器32を通過し、その際に冷媒と熱交換する。室内熱交換器32では、冷媒が室内空気へ放熱して凝縮し、その際に空気が加熱される。室内熱交換器32で加熱された空気は、室内空間へ供給される。また、室内熱交換器32で凝縮した冷媒は、膨張弁14で減圧された後、熱源側熱交換器13を流れる。熱源側熱交換器13では、冷媒が空気から吸熱して蒸発する。熱源側熱交換器13で蒸発した冷媒は、圧縮機12に吸入され再び圧縮される。
【0088】
(4)空調機10の第1協調モード
この空調システムでは、集中制御部40が、複数の空調機10A〜10Eそれぞれの制御部41を介して、複数の空調機10A〜10Eの各種運転モードを実行することができる。
【0089】
特に、空調システムを構成する複数の空調機10A〜10Eそれぞれの熱源側ユニット11A〜11Eが、天井裏という共通空間に配置されているので、天井裏の排熱処理が熱源側ユニット11A〜11Eからの排熱に追いつかない場合、天井裏空間の雰囲気温度が上昇する場合など、過酷な環境が想定されるので、集中制御部40は、そのような環境に備えた運転モードをも実行することができる。
【0090】
例えば、集中制御部40は、圧縮機12を運転している熱源側ユニットに対して、第1協調モード、排気ファン・サポートモード、及び第2協調モードのいずれかを実行する。
【0091】
以下、第1協調モード、排気ファン・サポートモード、及び第2協調モードそれぞれについて、説明する。
【0092】
なお、説明の便宜上、圧縮機12A及び熱源側ファン16Aという名称・符号を使うことがあるが、この場合、空調機10Aの熱源側ユニット11Aに搭載されている圧縮機12及び熱源側ファン16を意味する。
【0093】
(4−1)第1協調モードにおける集中制御部40の動作
第1協調モードは、圧縮機12を運転している熱源側ユニットに対して、隣接する停止中の熱源ユニットが[熱源側ファン16を回転させつつ圧縮機12を運転させない第1送風運転]を行うモードである。
【0094】
図5は、第1協調モードにおける集中制御部40の動作フローチャートである。以下、
図5を参照しながら、その動作を説明する。
【0095】
(ステップS1)
先ず、集中制御部40は、ステップS1において、圧縮機12が運転中の熱源側ユニットの有無を判定し、有る場合はステップS2へ進み、無い場合はこの判定を継続する。
【0096】
(ステップS2)
次に、集中制御部40は、ステップS2において、熱源側ユニット11A〜11Eが設置されている天井裏空間CSの温度分布を測定する。温度分布は、熱源側ユニット11A〜11Eそれぞれに設けられている天井裏温度センサ64の検出値に基いて測定される。
【0097】
(ステップS3)
集中制御部40は、ステップS3において、圧縮機12が運転中の熱源側ユニットの周囲温度Taが所定温度Tu以上であるか否かを判定し、「Ta≧Tuである」と判定したときはステップS4へ進み、「Ta<Tuである」と判定したときはステップS2へ戻る。
【0098】
なお、所定温度Tuは、冷媒が熱源側熱交換器13において適切に熱交換を行うための空気温度の上限値であって、予め実験等で決定されている。
【0099】
(ステップS4,S7)
集中制御部40は、ステップS4において、共通排気ファン60が稼働しているか否かを判定し、共通排気ファン60が稼働しているときはステップS5へ進み、共通排気ファン60が稼働していないときはステップS7へ進む。
【0100】
なお、集中制御部40は、ステップS7に進んだ場合、共通排気ファン60を稼働する。つまり、第1ファン60Aで天井裏空間CS内の空気を排気し、第2ファン60Bで外気を天井裏空間CSに導入する。
【0101】
(ステップS5)
集中制御部40は、ステップS5において、隣接の熱源側ユニットが停止しているか否かを判定し、「隣接の熱源側ユニットが停止している」場合はステップS6へ進む。
【0102】
なお、既に説明した通り、本願で言う「隣接」とは、空気の流れ方向と並行に隣り合うことである。
【0103】
例えば、
図1Aにおいて空調機10Aが運転中で、且つ、空調機10B,10C,10D,10Eが停止している場合を想定する。この場合、空調機10Aに隣接する空調機10Bが停止しているので、集中制御部40は「隣接の熱源側ユニットが停止している」と判定する。
【0104】
空調機10Dは、空調機10Aから視て、空気の流れ方向と交差する方向に位置しているので、本願で言う「隣接」の定義から外れている。
【0105】
(ステップS6)
集中制御部40は、ステップS6において、第1協調モードを実行する。第1協調モードとは、隣接の熱源側ユニットによる第1送風運転を行うモードである。また、第1送風運転とは、[熱源側ファン16を回転させつつ圧縮機12を運転させない]送風運転である。
【0106】
例えば、
図1Aにおいて空調機10Aが圧縮機12Aの運転および熱源側ファン16Aの回転を伴う空調運転を行っており、且つ、空調機10B,10C,10D,10Eが停止している場合に、集中制御部40は、空調機10Bの熱源側ユニット11Bの熱源側ファン16Bだけを回転させ、圧縮機12Bを運転させない。
【0107】
これによって、空気撹拌効果が得られ、空調機10Aの熱源側ユニット11Aの周囲温度の上昇を抑制することができる。
【0108】
(4−2)排気ファン・サポートモードにおける集中制御部40の動作
一方、集中制御部40が先のステップS5において「隣接の熱源側ユニットが運転している」と判定した場合は、ステップS11へ進む。
【0109】
図6は、排気ファン・サポートモード及び第2協調モードにおける集中制御部40の動作フローチャートである。以下、
図6を参照しながら、その動作を説明する。
【0110】
(ステップS11)
集中制御部40は、ステップS11において、圧縮機12が停止中の熱源側ユニットの有無を判定する。
【0111】
集中制御部40が、「圧縮機12が停止中の熱源側ユニットがある」と判定したときはステップS12へ進む。
【0112】
(ステップS12)
集中制御部40は、ステップS12において、排気ファン・サポートモードを実行する。排気ファン・サポートモードとは、圧縮機12が停止中の全ての熱源ユニットを対象に、第1送風運転を行うモードである。なお、第1送風運転とは、第1協調モードで説明した通り、[熱源側ファン16を回転させつつ圧縮機12を運転させない]運転である。つまり、排気ファン・サポートモードは、第1協調モードの変形である。
【0113】
この排気ファン・サポートモードの意義は、隣接する熱源ユニットが運転中であるため、隣接する熱源ユニットの熱源側ファン16による空気撹拌効果を得られない状況下において、停止中の熱源ユニットの熱源側ファン16のみを回転させることによって、天井裏空間CSの換気を促進して、熱源ユニットの周囲温度の上昇を抑制することであり、天井裏空間CSの換気を担う共通排気ファン60をサポートする動作と言える。
【0114】
例えば、
図1Aにおいて空調機10A,10Bそれぞれが圧縮機12A,12Bの運転および熱源側ファン16A,16Bの回転を伴う空調運転を行っており、且つ、空調機10C,10D,10Eが停止している場合、空調機10C,10D,10Eの熱源側ユニット11Bの熱源側ファン16C,16D,16Eだけを回転させる。
【0115】
これによって、天井裏空間CSの換気が促進され、空調機10Aの熱源側ユニット11Aの周囲温度の上昇を抑制することができる。
【0116】
(4−3)第2協調モードにおける集中制御部40の動作
他方、ステップS11において、集中制御部40が「圧縮機12が停止中の熱源側ユニットがない」と判定した場合はステップS13へ進む。以下、
図6を参照しながら、その動作を説明する。
【0117】
(ステップS13)
集中制御部40は、ステップS13において、第2協調モードを実行する。第2協調モードとは、隣接の熱源側ユニットにより第2送風運転を行うモードである。また、第2送風運転とは、[隣接する熱源ユニットが圧縮機12を運転し、熱源側ファン16を回転させて通常の空調運転を行っている状況下において、その熱源側ファン16の回転数を当該通常の空調運転時よりも高い回転数とする]送風運転である。
【0118】
この第2協調モードの意義は、停止中の熱源側ユニットがなく、第1協調モード及び排気ファン・サポートモードのいずれも実行できないときであっても、隣接する熱源ユニットの熱源側ファン16の回転数を上げることによって空気撹拌効果を得て、吹出空気下流に位置する熱源側ユニットの周囲温度の上昇を抑制することである。
【0119】
例えば、
図1Aにおいて、全ての空調機10A,10B,10C,10D,10Eが圧縮機12A,12B,12C,12D,12Eの運転および熱源側ファン16A,16B,16C,16D,16Eの回転を伴う空調運転を行っている場合、空調機10Bの熱源側ユニット11Bの熱源側ファン16Bだけを当該空調運転時の回転数よりも高い回転数で回転させる。
【0120】
これによって、空気撹拌効果が得られ、空調機10Aの熱源側ユニット11Aの周囲温度の上昇を抑制することができる。
【0121】
(5)特徴
(5−1)
上記空調システムでは、集中制御部40は第1空調機(例えば、空調機10A)が空調運転を行っているとき、第2空調機(例えば、空調機10B)に第1協調モードを実行させて熱源側ファン16を稼働するので、天井裏空間CSの熱撹拌を行うことができる。
【0122】
特に、この空調システムでは、空調運転をしている空調機の熱源側ユニット11へ送風することができるので、空調運転をしている空調機の熱源側ユニット11周辺の熱こもりを解消することができる。
【0123】
(5−2)
上記空調システムでは、集中制御部40が、天井裏温度センサ64によって測定した温度分布に基づいて「熱こもり」の位置を把握することができるので、熱こもりを効率的に解消するために適した位置にある空調機を選定し、その空調機に第1協調モードを実行させることができる。
【0124】
(5−3)
上記空調システムでは、集中制御部40が、空調運転を停止中の空調機を対象に、熱源側ユニット11の熱源側ファン16を回転させる排気ファン・サポートモードを実行することによって、共通排気ファン60による排熱処理をサポートする。これは、共通空間の排熱処理が追いつかない場合に有益である。
【0125】
(5−4)
上記空調システムでは、空調運転中の第1空調機(例えば空調機10A)と、それに隣接する第2空調機(例えば空調機10B)が共に運転中であっても、第2協調モードの実行により、熱源側ユニット11Bの熱源側ファン16の回転数が通常の空調運転時よりも高くなるので、隣接する空調機10Aの熱源側ユニット11A周辺の熱こもり解消に貢献する。
【0126】
(6)変形例
(6−1)第1協調モードにおける変形例
上記実施形態の第1協調モードでは、集中制御部40が空調機10Bの熱源側ユニット11Bの熱源側ファン16Bだけを回転させて、圧縮機12Bを運転させない。その際の空気撹拌効果により空調機10Aの熱源側ユニット11Aの周囲温度の上昇を抑制している。しかし、それに限定されるものではない。
【0127】
例えば、
図1Aにおいて、空調機10Aを除く全ての空調機10B,10C,10D,10Eが空調運転を停止している場合、空調機10Aの熱源側ユニット11Aの周囲温度の上昇を抑制するために、上記実施形態と同様に、集中制御部40は、空調機10Bの熱源側ユニット11Bの熱源側ファン16Bを回転させ、圧縮機12Bを運転させない。
【0128】
これに加えて、集中制御部40は、空調機10Cの熱源側ユニット11Cの熱源側ファン16Cを回転させ、圧縮機12Cを運転させない。
【0129】
さらに、集中制御部40は、空調機10Dの熱源側ユニット11Dの熱源側ファン16Dを回転させ、圧縮機12Dを運転させない。この際、熱源側ファン16Dの回転数は、熱源側ファン16B及び熱源側ファン16Cよりも低い回転数で回転させる。
【0130】
空調機10C及び空調機10Dは、空調機10Aから視て、空気の流れ方向と交差する方向に位置しているので、本願で言う「隣接」の定義から外れている。しかしながら、空調機10Cは、空気の流れ方向と並行な方向において空調機10Aから視て上流側に位置するので、空調機10Cの熱源側ユニット11Cからの送風によって空調機10Aの熱源側ユニット11A周辺の空気が撹拌される。
【0131】
また、空調機10Dは、空気の流れ方向と直交する方向に位置するが、共通排気ファン60の第1ファン60Aに近いので、空調機10Dの熱源側ユニット11Dからの送風によって、共通排気ファン60をサポートすることができる。
【0132】
ここでは、空調機10Aの熱源側ユニット11Aの周囲温度の上昇を抑制することを例として説明したが、空調機10Dの熱源側ユニット11Dの周囲温度の上昇を抑制する場合には、類似の方法で、空調機10Eの熱源側ユニット11Eの熱源側ファン16E、及び空調機10Cの熱源側ユニット11Cの熱源側ファン16Cを回転させ、圧縮機12E及び圧縮機12Cを運転させない。これによって、空調機10Dの熱源側ユニット11D周辺の空気を撹拌させる。
【0133】
そして、空調機10Aの熱源側ユニット11Aの熱源側ファン16Aを回転させ、圧縮機12Aを運転させない。これによって、共通排気ファン60をサポートする。
【0134】
(6−2)第2協調モードにおける変形例
上記実施形態の第2協調モードでは、集中制御部40が空調機10Bの熱源側ユニット11Bの熱源側ファン16Bだけを当該空調運転時の回転数よりも高い回転数で回転させて、その際の空気撹拌効果により空調機10Aの熱源側ユニット11Aの周囲温度の上昇を抑制しているが、これに限定されるものではない。
【0135】
例えば、
図1Aにおいて、全ての空調機10A,10B,10C,10D,10Eが圧縮機12A,12B,12C,12D,12Eの運転および熱源側ファン16A,16B,16C,16D,16Eの回転を伴う空調運転を行っている場合、空調機10Aの熱源側ユニット11Aの周囲温度の上昇を抑制するために、上記実施形態と同様に、空調機10Bの熱源側ユニット11Bの熱源側ファン16Bを当該空調運転時の回転数よりも高い回転数で回転させる。
【0136】
これに加えて、集中制御部40は、空調機10Cの熱源側ユニット11Cの熱源側ファン16Cも当該空調運転時の回転数よりも高い回転数で回転させる。その際、熱源側ファン16Cの回転数と熱源側ファン16Bの回転数とは略同じ回転数とする。
【0137】
さらに、空調機10Dの熱源側ユニット11Dの熱源側ファン16Dも当該空調運転時の回転数よりも高い回転数で、且つ熱源側ファン16B及び熱源側ファン16Cよりも低い回転数で回転させる。
【0138】
空調機10C及び空調機10Dは、空調機10Aから視て、空気の流れ方向と交差する方向に位置しているので、本願で言う「隣接」の定義から外れている。しかしながら、空調機10Cは、空気の流れ方向と並行な方向において空調機10Aから視て上流側に位置するので、空調機10Cの熱源側ユニット11Cからの送風によって空調機10Aの熱源側ユニット11A周辺の空気が撹拌される。
【0139】
また、空調機10Dは、空気の流れ方向と直交する方向に位置するが、共通排気ファン60の第1ファン60Aに近いので、空調機10Dの熱源側ユニット11Dからの送風量が強まることによって、共通排気ファン60をサポートすることができる。
【0140】
ここでは、空調機10Aの熱源側ユニット11Aの周囲温度の上昇を抑制することを例として説明したが、空調機10Dの熱源側ユニット11Dの周囲温度の上昇を抑制する場合には、類似の方法で、空調機10Eの熱源側ユニット11Eの熱源側ファン16E、及び空調機10Cの熱源側ユニット11Cの熱源側ファン16Cを当該空調運転時の回転数よりも高い回転数で回転させ、空調機10Dの熱源側ユニット11D周辺の空気を撹拌させる。
【0141】
そして、空調機10Aの熱源側ユニット11Aの熱源側ファン16Aも当該空調運転時の回転数よりも高い回転数で、且つ熱源側ファン16E及び熱源側ファン16Cよりも低い回転数で回転させ、共通排気ファン60をサポートする。
【0142】
(7)その他
上記実施形態及び上記変形例では、集中制御部40が空調機10A〜10Eの各制御部41とは別個に設けられている構成である。しかし、これに限定されるものではなく、空調機10A〜10Eのいずれかを親機として、親機の制御部41を集中制御部として設定しても良い。