特許第6784164号(P6784164)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6784164-半導体装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6784164
(24)【登録日】2020年10月27日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20201102BHJP
   H01L 29/872 20060101ALI20201102BHJP
   H01L 29/47 20060101ALI20201102BHJP
【FI】
   H01L29/78 652D
   H01L29/78 653A
   H01L29/86 301F
   H01L29/78 657D
   H01L29/86 301M
   H01L29/78 652B
   H01L29/48 F
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-243007(P2016-243007)
(22)【出願日】2016年12月15日
(65)【公開番号】特開2018-98402(P2018-98402A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2019年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】町田 悟
(72)【発明者】
【氏名】山下 侑佑
【審査官】 岩本 勉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−046377(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0040316(US,A1)
【文献】 特開2013−048230(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0048847(US,A1)
【文献】 特表2004−515907(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0184318(US,A1)
【文献】 特開2015−070152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 29/47
H01L 29/872
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体層の表面に露出する露出部分を有する第1導電型のドリフト領域と、
前記ドリフト領域の前記露出部分を間に置いて設けられている第2導電型のボディ領域と、
前記ボディ領域によって前記ドリフト領域から隔てられている第1導電型のソース領域と、
前記ドリフト領域と前記ソース領域を隔てている部分の前記ボディ領域に対向するゲート部と、
前記半導体層の前記表面を被覆しており、前記ドリフト領域の前記露出部分にショットキー接触する表面電極と、を備えており、
前記ボディ領域は、前記半導体層の前記表面に露出するとともに不純物濃度が残部よりも濃いコンタクト領域を有しており、
前記コンタクト領域は、前記ソース領域と前記ドリフト領域の前記露出部分の間の位置から前記ソース領域の底面の一部を覆うように設けられている、半導体装置。
【請求項2】
前記ゲート部は、前記半導体層の前記表面から深部に向けて伸びるトレンチゲートを有しており、
前記トレンチゲートは、前記ソース領域及び前記ボディ領域を貫通して前記ドリフト領域に達しており、
前記コンタクト領域は、前記トレンチゲートの側面から離れており
前記トレンチゲートの側面から前記コンタクト領域までの距離が、前記トレンチゲートの側面から前記ソース領域の前記露出部分側の端部までの距離よりも小さい、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記トレンチゲートと前記表面電極を隔てる層間絶縁膜をさらに備えており、
前記層間絶縁膜は、前記半導体層の前記表面に直交する方向から見たときに、前記トレンチゲートの前記側面から張り出しており、
前記トレンチゲートの前記側面から前記コンタクト領域までの距離が、前記トレンチゲートの前記側面から前記層間絶縁膜の前記露出部分側の端部までの距離よりも小さい、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体層の半導体材料が炭化珪素である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、ショットキーバリアダイオード(SBD:Schottky Barrier Diode)を内蔵する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電界効果トランジスタにショットキーバリアダイオードを内蔵させた半導体装置が提案されており、その一例が特許文献1に開示されている。特許文献1は、隣り合うMOS構造の間にショットキーバリアダイオードを内蔵させた半導体装置を開示する。この半導体装置では、n型のドリフト領域の露出部分が半導体層の表面に露出し、表面電極がその露出部分にショットキー接触するように構成されている。ショットキーバリアダイオードの順方向電流は、このドリフト領域の露出部分を介して流れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−12755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
隣り合うMOS構造の間に内蔵されているショットキーバリアダイオードの順方向電圧を低下させるためには、ドリフト領域の露出部分の幅を広くするのが望ましい。一方、この種の半導体装置では、オン電圧を低く抑えるために、隣り合うMOS構造の間隔を狭くしてチャネルの高密度化を図っている。このため、ドリフト領域の露出部分の幅を広くすると、相対的にMOS構造のボディ領域の面積が小さくなる。これにより、半導体装置がオフしたときに、ボディ領域とドリフト領域の接合面からボディ領域内に伸展する空乏層がソース領域に達するパンチスルー現象が問題となる。特に、この種の半導体装置では、ドリフト領域の露出部分の存在により、半導体装置がオフしたときに横方向からもボディ領域が空乏化されるので、パンチスルー現象を抑える技術が特に必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する半導体装置の一実施形態は、半導体層の表面に露出する露出部分を有する第1導電型のドリフト領域、ドリフト領域の露出部分を間に置いて設けられている第2導電型のボディ領域、ボディ領域によってドリフト領域から隔てられている第1導電型のソース領域、ドリフト領域とソース領域を隔てている部分のボディ領域に対向するゲート部及びドリフト領域の露出部分にショットキー接触する表面電極を備えることができる。ここで、半導体装置の一例には、例えば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)が挙げられる。この実施形態の半導体装置では、表面電極がドリフト領域の露出部分にショットキー接触することで、そのドリフト領域の露出部分にショットキーバリアダイオードが内蔵されている。ゲート部の構造は特に限定されるものではなく、典型的には、トレンチゲート又はプレーナーゲートを採用することができる。ボディ領域は、半導体層の表面に露出するとともに不純物濃度が残部よりも濃いコンタクト領域を有する。コンタクト領域は、ソース領域とドリフト領域の露出部分の間の位置からソース領域の底面の一部を覆うように設けられている。この実施形態の半導体装置では、不純物濃度が濃いコンタクト領域が設けられていることにより、ドリフト領域とボディ領域の接合面からボディ領域内に伸展する空乏層の幅が抑えられ、その空乏層がソース領域に達することが抑えられる。これにより、パンチスルー現象が抑えられる。
【0006】
上記実施形態の半導体装置では、ゲート部が、半導体層の表面から深部に向けて伸びるトレンチゲートを有することができる。トレンチゲートは、ソース領域及びボディ領域を貫通してドリフト領域に達する。コンタクト領域は、トレンチゲートの側面から離れている。トレンチゲートの側面からコンタクト領域までの距離が、トレンチゲートの側面からソース領域の露出部分側の端部までの距離よりも小さい。この実施形態の半導体装置は、トレンチ型のMOS構造を有しており、低いチャネル抵抗によって低いオン電圧を有することができる。また、コンタクト領域はトレンチゲートの側面に接していないので、MOS構造の動作に支障をきたすことが抑えられている。さらに、隣り合うMOS構造の間隔を狭くしてチャネルの高密度化を図ったとしても、この実施形態の半導体装置では、パンチスルー現象が抑えられる。これにより、この実施形態の半導体装置は、低いオン電圧とパンチスルー現象の抑制を両立することができる。
【0007】
上記実施形態の半導体装置は、トレンチゲートと表面電極を隔てる層間絶縁膜をさらに備えることができる。層間絶縁膜は、半導体層の表面に直交する方向から見たときに、トレンチゲートの側面から張り出している。トレンチゲートの側面からコンタクト領域までの距離が、トレンチゲートの側面から層間絶縁膜の露出部分側の端部までの距離よりも小さい。この実施形態の半導体装置では、コンタクト領域がトレンチゲートの側面に近接している。このため、ソース領域の底面の大部分がコンタクト領域で覆われているので、パンチスルー現象が良好に抑えられる。
【0008】
上記実施形態の半導体装置では、半導体層の半導体材料を炭化珪素とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】半導体装置の一実施形態の要部斜視図を模式的に示す(ソース電極の一部が取り除かれて図示されている)。
図2図1のII-II線に対応した要部断面図を模式的に示す。
図3】MOS構造の要部拡大断面図を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、ショットキーバリアダイオードを内蔵したMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である半導体装置1を説明する。半導体装置1は、例えば、交流モータに交流電力を供給するインバータ装置に用いられ、ショットキーバリアダイオードがフリーホイールダイオードとして動作する。図1及び図2に示されるように、半導体装置1は、ドレイン電極10、炭化珪素層20、ソース電極30、トレンチゲート40及び層間絶縁膜50を備える。
【0011】
ドレイン電極10は、炭化珪素層20の裏面を被膜するように形成されており、炭化珪素層20の裏面にオーミック接触している。ドレイン電極10の材料には、例えば、Al、Ni、Ti、Mo又はCoが用いられる。
【0012】
炭化珪素層20は、n型の基板21、n型のドリフト領域22、p型のボディ領域23及びn型のソース領域24を有する。n型の基板21は、面方位が[0001]面の炭化珪素基板であり、ドレイン領域とも称される。基板21の裏面は、ドレイン電極10にオーミック接触している。
【0013】
ドリフト領域22は、基板21上に設けられており、凸状の露出部分26を上部に有する。ドリフト領域22は、露出部分26以外の部分でトレンチゲート40に接する。露出部分26の上面は、炭化珪素層20の表面の一部に露出している。露出部分26は、ストライプ状に配置されたトレンチゲート40の長手方向(以下、奥行き方向という)に対して平行に伸びている。ドリフト領域22は、エピタキシャル成長技術を利用して、基板21から結晶成長して形成されている。
【0014】
ボディ領域23は、ドリフト領域22の露出部分26を間に置いて配置されており、コンタクト領域25を上部に有している。コンタクト領域25は、ソース領域24とドリフト領域22の露出部分26の間に設けられており、炭化珪素層20の表面の一部に露出しており、不純物濃度が相対的に濃い部分である。コンタクト領域25は、奥行き方向に対して平行に伸びている。ボディ領域23は、コンタクト領域25以外の部分でトレンチゲート40の側面に接する。ボディ領域23は、飛程距離を変えた複数回のイオン注入技術を利用して、炭化珪素層20の表面からp型不純物(一例では、アルミニウム)を導入することで形成されている。
【0015】
ソース領域24は、ボディ領域23上に設けられており、ボディ領域23によってドリフト領域22から隔てられており、炭化珪素層20の表面の一部に露出している。ソース領域24は、トレンチゲート40の側面に接する。ソース領域24は、奥行き方向に対して平行に伸びている。ソース領域24の不純物濃度は、コンタクト領域25の不純物濃度よりも濃い。ソース領域24は、イオン注入技術を利用して、炭化珪素層20の表面からn型不純物(一例では、リン)を導入することで形成されている。
【0016】
ソース電極30は、炭化珪素層20の表面を被覆しており、炭化珪素層20の表面に露出しているソース領域24、ボディ領域23のコンタクト領域25及びドリフト領域22の露出部分26に接触している。ソース電極30は、ソース領域24とボディ領域23のコンタクト領域25に対してオーミック接触しており、ドリフト領域22の露出部分26に対してショットキー接触している。ソース電極30の材料には、例えば、Al、Ni、Ti又はMoが用いられる。なお、ソース電極30は、この例に代えて、ソース領域24とボディ領域23のコンタクト領域25に対してオーミック接触する部分とドリフト領域22の露出部分26に対してショットキー接触する部分が異なる材料で構成されていてもよい。
【0017】
トレンチゲート40は、ドリフト領域22とソース領域24を隔てる部分のボディ領域23に対向している。トレンチゲート40は、炭化珪素層20の表面からソース領域24及びボディ領域23を貫通してドリフト領域22に達するトレンチ内に設けられているトレンチゲート電極42及びゲート絶縁膜44を含む。トレンチゲート電極42は、CVD技術を利用して、ゲート絶縁膜44で被膜されたトレンチ内に充填して形成される。ゲート絶縁膜44は、CVD技術を利用して、トレンチの内壁を被膜して形成されている。
【0018】
層間絶縁膜50は、トレンチゲート40とソース電極30の間に設けられており、両者を絶縁分離する。層間絶縁膜50は、炭化珪素層20の表面に直交する方向から見たときに、トレンチゲート40の側面から張り出している。このため、層間絶縁膜50は、ソース領域24の一部を覆うように形成されている。
【0019】
図3に、MOS構造の要部拡大断面図を示す。コンタクト領域25は、ソース領域24よりも深く形成されており、ソース領域24とドリフト領域22の露出部分26の間に設けられている。さらに、コンタクト領域25は、ソース領域24とドリフト領域22の露出部分26の間の位置からソース領域24の底面24Bの一部を覆うようにソース領域24の下方に延びている。即ち、コンタクト領域25は、ソース領域24の底面24Bと側面24Sの間のコーナー部を覆うように設けられている。また、コンタクト領域25は、トレンチゲート40の側面40Sに接していない。
【0020】
図3に示されるように、コンタクト領域25はソース領域24の底面24Bに接しており、コンタクト領域25のトレンチゲート40側の端部とソース領域24の底面24Bの接合部分が25aとして示されている。トレンチゲート40の側面40Sに直交する方向(紙面左右方向)において、トレンチゲート40の側面40Sからコンタクト領域25の接合部分25aまでの距離がD1である。炭化珪素層20の表面に直交する方向(紙面上下方向)から見たときに、層間絶縁膜50はトレンチゲート40の側面40Sからドリフト領域22の露出部分26側に向けて張り出しており、この露出部分26側の端部が32aとして示されている。トレンチゲート40の側面40Sに直交する方向において、トレンチゲート40の側面40Sから層間絶縁膜32の端部32aまでの距離がD2である。ソース領域24は炭化珪素層20の表面に露出しており、炭化珪素層20の表面に露出するソース領域24のうちのドリフト領域22の露出部分26側の端部が24aとして示されている。トレンチゲート40の側面40Sに直交する方向において、トレンチゲート40の側面40Sからソース領域24の端部24aまでの距離がD3である。半導体装置1では、D1<D2<D3の関係が成立する。
【0021】
D1<D3の関係が成立する半導体装置1は、コンタクト領域25がソース領域24の底面24Bと側面24Sの間のコーナー部を覆うという特徴を有する。半導体装置1では、オフのときにドリフト領域22とボディ領域23の接合面からボディ領域23内に空乏層が伸展しようとする。特に、半導体装置1では、隣り合うMOS構造の間にドリフト領域22の露出部分26が設けられているので、横方向からもボディ領域23内を空乏層が伸展しようとする。この空乏層がソース領域24に達すると、パンチスルー現象が発生し、耐圧が大幅に低下する。半導体装置1では、ボディ領域23が高濃度のコンタクト領域25を有しており、そのコンタクト領域25がソース領域24のコーナー部を覆うように設けられている。これにより、コンタクト領域25は、半導体装置1がオフのときにボディ領域23内に伸展する空乏層がソース領域24に達するのを抑制することができるので、パンチスルー現象が抑えられる。
【0022】
D1<D2の関係が成立する半導体装置1は、コンタクト領域25がソース領域24の底面24Bの大部分を覆うという特徴を有する。層間絶縁膜50は、トレンチゲート40とソース電極30の絶縁分離を確実に確保するために、炭化珪素層20の表面に直交する方向から見たときに、トレンチゲート40の側面40Sから張り出して形成されており、その距離D2は0.1μmよりも大きく、且つ1.0μm以下である。コンタクト領域25は、この距離D2よりもトレンチゲート40の側面40Sの近く位置する。このように、コンタクト領域25は、ソース領域24の底面24Bの大部分を覆っているので、半導体装置1がオフのときにボディ領域23内に伸展する空乏層がソース領域24に達するのを良好に抑制することができる。なお、コンタクト領域25は、トレンチゲート40の側面40Sから離れているのが望ましく、距離D1が0.1μm以上であるのが望ましい。この場合、コンタクト領域25の影響でトレンチゲート40の閾値電圧及びチャネル抵抗が変動することが抑えられ、MOS構造の動作に支障をきたすことが抑えられる。
【0023】
半導体装置1では、内蔵されているショットキーバリアダイオードの順方向電圧を低下させるために、ドリフト領域22の露出部分26の幅が広く形成されている。一方、半導体装置1では、オン電圧を低く抑えるために、隣り合うMOS構造の間隔を狭くしてチャネルの高密度化を図っている。このため、半導体装置1では、相対的にMOS構造のボディ領域23の面積が小さい。しかしながら、半導体装置1では、上記したように、ボディ領域23の面積が小さい場合でもパンチスルー現象が抑えられている。このため、半導体装置1は、ショットキーバリアダイオードの低い順方向電圧と低いオン電圧を両立することができる。
【符号の説明】
【0024】
10:ドレイン電極
20:炭化珪素層
21:基板
22:ドリフト領域
23:ボディ領域
24:ソース領域
25:コンタクト領域
26:露出部分
30:ソース電極
40:トレンチゲート
42:トレンチゲート電極
44:ゲート絶縁膜
50:層間絶縁膜
図1
図2
図3