特許第6784184号(P6784184)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ TDK株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6784184
(24)【登録日】2020年10月27日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】バンドパスフィルタ
(51)【国際特許分類】
   H01P 1/203 20060101AFI20201102BHJP
   H01P 1/212 20060101ALI20201102BHJP
   H01P 1/205 20060101ALI20201102BHJP
【FI】
   H01P1/203
   H01P1/212
   H01P1/205 K
【請求項の数】18
【全頁数】50
(21)【出願番号】特願2017-18745(P2017-18745)
(22)【出願日】2017年2月3日
(65)【公開番号】特開2018-125804(P2018-125804A)
(43)【公開日】2018年8月9日
【審査請求日】2019年10月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】特許業務法人イトーシン国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166257
【弁理士】
【氏名又は名称】城澤 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
(72)【発明者】
【氏名】芦田 裕太
(72)【発明者】
【氏名】外間 尚記
(72)【発明者】
【氏名】戸蒔 重光
(72)【発明者】
【氏名】樋渡 康之
【審査官】 佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2016/0365616(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体よりなる本体と、
前記本体に一体化された第1の入出力ポートおよび第2の入出力ポートと、
前記本体内に設けられていると共に、回路構成上、前記第1の入出力ポートと前記第2の入出力ポートの間に設けられた複数の共振器と、
導体よりなり、前記本体に一体化されたシールドと、
導体よりなり、前記本体内に設けられて、前記シールドに電気的に接続された仕切り部とを備えたバンドパスフィルタであって、
前記シールドは、第1の方向について間隔を開けて配置された第1の部分および第2の部分と、前記第1の部分と前記第2の部分を接続する接続部とを含み、
前記第1の部分、前記第2の部分および前記接続部は、前記複数の共振器を囲むように配置され、
前記複数の共振器は、第1の共振器と第2の共振器を含み、
前記第1の共振器は、導体よりなる第1の共振器導体部を有し、
前記第2の共振器は、導体よりなる第2の共振器導体部を有し、
前記第1の共振器導体部と前記第2の共振器導体部の各々は、前記第1の方向と交差する方向に長い形状を有すると共に、その長手方向の両端に位置する第1端と第2端を有し、
前記第1端は、グランドに接続され、
前記第2端は、開放され、
前記仕切り部は、その少なくとも一部が前記第1の共振器導体部と前記第2の共振器導体部の間を通過するように、前記第1の共振器導体部と前記第2の共振器導体部の各々の長手方向と交差する方向に延在して、前記第1の部分と前記第2の部分とに接していることを特徴とするバンドパスフィルタ。
【請求項2】
前記第1の共振器導体部と前記第2の共振器導体部の各々は、前記第1の方向に直交する方向に長い形状を有することを特徴とする請求項1記載のバンドパスフィルタ。
【請求項3】
前記第1の共振器導体部と前記第2の共振器導体部の各々は、バンドパスフィルタの通過帯域の中心周波数に対応する波長の1/4以下の長さを有することを特徴とする請求項1または2記載のバンドパスフィルタ。
【請求項4】
前記仕切り部は、前記第1の方向に延在して、前記第1の部分と前記第2の部分を最短経路で接続することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のバンドパスフィルタ。
【請求項5】
前記第1の共振器は、更に、前記第1の共振器導体部の第2端とグランドとの間に設けられた第1のキャパシタを有し、
前記第2の共振器は、更に、前記第2の共振器導体部の第2端とグランドとの間に設けられた第2のキャパシタを有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のバンドパスフィルタ。
【請求項6】
前記第1の共振器と前記第2の共振器は、電磁結合するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のバンドパスフィルタ。
【請求項7】
前記複数の共振器は、回路構成上隣接する2つの共振器が電磁結合するように構成された3つ以上の共振器であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のバンドパスフィルタ。
【請求項8】
前記第1の共振器と前記第2の共振器は、回路構成上隣接していることを特徴とする請求項7記載のバンドパスフィルタ。
【請求項9】
前記第1の共振器と前記第2の共振器は、回路構成上隣接していないことを特徴とする請求項7記載のバンドパスフィルタ。
【請求項10】
前記複数の共振器のうち、前記第1および第2の共振器以外の全ての共振器は、導体よりなる第3の共振器導体部を有し、
前記第3の共振器導体部は、前記第1の方向と交差する方向に長い形状を有すると共に、その長手方向の両端に位置する第1端と第2端を有し、
前記第3の共振器導体部の第1端は、グランドに接続され、
前記第3の共振器導体部の第2端は、開放されていることを特徴とする請求項7ないし9のいずれかに記載のバンドパスフィルタ。
【請求項11】
前記第3の共振器導体部は、前記第1の方向に直交する方向に長い形状を有することを特徴とする請求項10記載のバンドパスフィルタ。
【請求項12】
前記第3の共振器導体部は、バンドパスフィルタの通過帯域の中心周波数に対応する波長の1/4以下の長さを有することを特徴とする請求項10または11記載のバンドパスフィルタ。
【請求項13】
前記本体は、積層された複数の誘電体層からなる積層体を含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のバンドパスフィルタ。
【請求項14】
前記積層体は、前記複数の誘電体層のうちの、積層された2つ以上の誘電体層からなる主要部を含み、
前記主要部は、2つ以上の誘電体層の積層方向における両端に位置する第1の端面と第2の端面を有し、
前記第1の部分は、前記第1の端面に配置された第1の導体層によって構成され、
前記第2の部分は、前記第2の端面に配置された第2の導体層によって構成され、
前記仕切り部は、前記2つ以上の誘電体層を貫通していることを特徴とする請求項13記載のバンドパスフィルタ。
【請求項15】
前記仕切り部は、それぞれ前記2つ以上の誘電体層を貫通する複数の第1のスルーホール列を含み、
前記複数の第1のスルーホール列の各々は、直列に接続された2つ以上のスルーホールを含むことを特徴とする請求項14記載のバンドパスフィルタ。
【請求項16】
前記シールドの前記接続部は、それぞれ前記2つ以上の誘電体層を貫通する複数の第2のスルーホール列を含み、
前記複数の第2のスルーホール列の各々は、直列に接続された2つ以上のスルーホールを含むことを特徴とする請求項14または15記載のバンドパスフィルタ。
【請求項17】
前記第1の共振器導体部と前記第2の共振器導体部は、前記第1の方向に関して、前記積層体内の同じ位置に配置されていることを特徴とする請求項13ないし16のいずれかに記載のバンドパスフィルタ。
【請求項18】
前記第1の共振器導体部と前記第2の共振器導体部は、1つの導体層における互いに異なる部分によって構成されていることを特徴とする請求項17記載のバンドパスフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の共振器とシールドを含むバンドパスフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、第5世代移動通信システム(以下、5Gと言う。)の規格化が進められている。5Gでは、周波数帯域を拡大するために、10GHz以上の周波数帯域、特に、10〜30GHzの準ミリ波帯や30〜300GHzのミリ波帯の利用が検討されている。
【0003】
通信装置に用いられる電子部品の一つには、複数の共振器を備えたバンドパスフィルタがある。複数の共振器の各々は、例えば、一方向に長い導体部を有している。また、バンドパスフィルタには、周囲へ電磁波が放射されることを防止するために、複数の共振器をシールドで囲った構造のものがある。
【0004】
特許文献1には、準ミリ波帯やミリ波帯での使用が可能なチップ型多段フィルタ装置が記載されている。このチップ型多段フィルタ装置は、複数の誘電体層を積層してなる多層基板と、第1および第2の表面グラウンド電極と、第1および第2の内部グラウンド電極と、第1および第2のλ/2共振器電極とを備えている。多層基板は、対向する第1および第2の主面と、第1および第2の主面を連結する第1ないし第4の側面を有している。第1の側面と第2の側面は対向している。第1の表面グラウンド電極は、第1の側面に設けられている。第2の表面グラウンド電極は、第2の側面に設けられている。第1の内部グラウンド電極は、多層基板内において、第1の主面に相対的に近い誘電体層に設けられている。第2の内部グラウンド電極は、多層基板内において、第2の主面に相対的に近い誘電体層に設けられている。第1および第2のλ/2共振器電極は、第1および第2の表面グラウンド電極と第1および第2の内部グラウンド電極によって囲まれた領域に配置されている。
【0005】
特許文献1に記載されたチップ型多段フィルタ装置は、更に、ビアホール導体と、容量ユニットを備えている。ビアホール導体は、第1および第2の内部グラウンド電極を電気的に接続するように複数の誘電体層のうちの少なくとも一部の誘電体層を貫通するように設けられている。第1および第2のλ/2共振器電極は、ビアホール導体を介して対向配置されている。容量ユニットは、第1および第2のλ/2共振器電極間に結合容量を付加するために多層基板内に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−311100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
複数の共振器をシールドで囲った構造のバンドパスフィルタでは、シールドとその内側の誘電体によって導波管に似た構造が形成されることによって、1つ以上の電磁波の伝搬モードが生じる。以下、この電磁波の伝搬モードを導波管モードと言う。バンドパスフィルタでは、この導波管モードによって、通過帯域よりも高い周波数領域に存在する共振周波数を有する不要な共振が生じて、通過帯域よりも高い周波数領域における減衰特性が悪化するという問題が生じていた。特に、通過帯域が準ミリ波帯やミリ波帯に存在するように設計されたバンドパスフィルタでは、共振周波数が最も低い導波管モード(以下、最低次導波管モードと言う。)の共振周波数であっても、通過帯域に比較的近くなるため、上記の問題が顕著になっていた。
【0008】
最低次導波管モードの共振周波数は、シールドで囲まれた空間の形状によって変化する。一般的に、この空間が大きいほど、最低次導波管モードの共振周波数は低くなる。
【0009】
特許文献1に記載されたチップ型多段フィルタ装置では、第1および第2のλ/2共振器電極の長さは、通過帯域の中心周波数に対応する波長の1/2またはそれに近い長さになる。この長さは比較的大きく、そのため、第1および第2の表面グラウンド電極と第1および第2の内部グラウンド電極によって囲まれた空間も比較的大きくなる。そのため、このチップ型多段フィルタ装置では、最低次導波管モードの共振周波数が通過帯域に比較的近くなり、最低次導波管モードによる上記の問題が生じやすくなる。
【0010】
また、複数の共振器の各々が一方向に長い導体部を有するバンドパスフィルタでは、導体部は、通過帯域を決定する基本共振周波数を有する基本共振モードの他に、互いに異なる次数の高調波による共振モードである複数の高調波共振モードを有する。バンドパスフィルタでは、この複数の高調波共振モードのうち、共振周波数が最も低い高調波共振モード(以下、最低次高調波共振モードと言う。)によっても、通過帯域よりも高い周波数領域における減衰特性が悪化するという問題が生じていた。
【0011】
特許文献1に記載されたチップ型多段フィルタ装置では、第1および第2のλ/2共振器電極では、最低次高調波共振モードの共振周波数は、基本共振周波数の2倍である。このチップ型多段フィルタ装置では、最低次高調波共振モードの共振周波数が通過帯域に比較的近いため、最低次高調波共振モードによる上記の問題が生じやすくなる。
【0012】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、複数の共振器とシールドを含むバンドパスフィルタであって、最低次導波管モードおよび最低次高調波共振モードによって通過帯域よりも高い周波数領域における減衰特性が悪化することを防止できるようにしたバンドパスフィルタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のバンドパスフィルタは、誘電体よりなる本体と、本体に一体化された第1の入出力ポートおよび第2の入出力ポートと、複数の共振器と、シールドと、仕切り部とを備えている。複数の共振器は、本体内に設けられていると共に、回路構成上、第1の入出力ポートと第2の入出力ポートの間に設けられている。シールドは、導体よりなり、本体に一体化されている。仕切り部は、導体よりなり、本体内に設けられて、シールドに電気的に接続されている。
【0014】
シールドは、第1の方向について間隔を開けて配置された第1の部分および第2の部分と、第1の部分と第2の部分を接続する接続部とを含んでいる。第1の部分、第2の部分および接続部は、複数の共振器を囲むように配置されている。
【0015】
複数の共振器は、第1の共振器と第2の共振器を含んでいる。第1の共振器は、導体よりなる第1の共振器導体部を有している。第2の共振器は、導体よりなる第2の共振器導体部を有している。第1の共振器導体部と第2の共振器導体部の各々は、第1の方向と交差する方向に長い形状を有すると共に、その長手方向の両端に位置する第1端と第2端を有している。第1端はグランドに接続され、第2端は開放されている。
【0016】
仕切り部は、その少なくとも一部が第1の共振器導体部と第2の共振器導体部の間を通過するように、第1の共振器導体部と第2の共振器導体部の各々の長手方向と交差する方向に延在して、第1の部分と第2の部分とに接している。
【0017】
本発明のバンドパスフィルタにおいて、第1の共振器導体部と第2の共振器導体部の各々は、第1の方向に直交する方向に長い形状を有していてもよい。
【0018】
また、本発明のバンドパスフィルタにおいて、第1の共振器導体部と第2の共振器導体部の各々は、バンドパスフィルタの通過帯域の中心周波数に対応する波長の1/4以下の長さを有していてもよい。
【0019】
また、本発明のバンドパスフィルタにおいて、仕切り部は、第1の方向に延在して、シールドの第1の部分と第2の部分を最短経路で接続していてもよい。
【0020】
また、本発明のバンドパスフィルタにおいて、第1の共振器は、更に、第1の共振器導体部の第2端とグランドとの間に設けられた第1のキャパシタを有していてもよく、第2の共振器は、更に、第2の共振器導体部の第2端とグランドとの間に設けられた第2のキャパシタを有していてもよい。
【0021】
また、本発明のバンドパスフィルタにおいて、第1の共振器と第2の共振器は、電磁結合するように構成されていてもよい。
【0022】
また、本発明のバンドパスフィルタにおいて、複数の共振器は、回路構成上隣接する2つの共振器が電磁結合するように構成された3つ以上の共振器であってもよい。この場合、第1の共振器と第2の共振器は、回路構成上隣接していてもよいし、回路構成上隣接していなくてもよい。
【0023】
また、本発明のバンドパスフィルタにおいて、複数の共振器が上記の3つ以上の共振器である場合には、複数の共振器のうち、第1および第2の共振器以外の全ての共振器は、導体よりなる第3の共振器導体部を有していてもよい。第3の共振器導体部は、第1の方向と交差する方向に長い形状を有すると共に、その長手方向の両端に位置する第1端と第2端を有している。第3の共振器導体部の第1端はグランドに接続され、第3の共振器導体部の第2端は開放されている。第3の共振器導体部は、第1の方向に直交する方向に長い形状を有していてもよい。また、第3の共振器導体部は、バンドパスフィルタの通過帯域の中心周波数に対応する波長の1/4以下の長さを有していてもよい。
【0024】
また、本発明のバンドパスフィルタにおいて、本体は、積層された複数の誘電体層からなる積層体を含んでいてもよい。この場合、積層体は、複数の誘電体層のうちの、積層された2つ以上の誘電体層からなる主要部を含んでいてもよい。主要部は、2つ以上の誘電体層の積層方向における両端に位置する第1の端面と第2の端面を有している。第1の部分は、第1の端面に配置された第1の導体層によって構成されていてもよい。第2の部分は、第2の端面に配置された第2の導体層によって構成されていてもよい。また、仕切り部は、上記2つ以上の誘電体層を貫通していてもよい。仕切り部は、それぞれ上記2つ以上の誘電体層を貫通する複数の第1のスルーホール列を含んでいてもよい。複数の第1のスルーホール列の各々は、直列に接続された2つ以上のスルーホールを含んでいる。また、シールドの接続部は、それぞれ上記2つ以上の誘電体層を貫通する複数の第2のスルーホール列を含んでいてもよい。複数の第2のスルーホール列の各々は、直列に接続された2つ以上のスルーホールを含んでいる。
【0025】
また、本発明のバンドパスフィルタにおいて、本体が上記積層体を含んでいる場合には、第1の共振器導体部と第2の共振器導体部は、第1の方向に関して、積層体内の同じ位置に配置されていてもよい。この場合、第1の共振器導体部と第2の共振器導体部は、1つの導体層における互いに異なる部分によって構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明のバンドパスフィルタでは、仕切り部によって、シールドで囲まれた空間が、第1の共振器導体部が存在する空間と、第2の共振器導体部が存在する空間とに仕切られる。これにより、本発明によれば、仕切り部が無い場合に比べて、最低次導波管モードの共振周波数を高くすることができる。また、本発明によれば、第1および第2の共振器導体部の各々の長さを小さくすることができ、その結果、シールドで囲まれた空間を小さくすることができる。これにより、本発明によれば、最低次導波管モードの共振周波数を高くすることができる。また、本発明における第1および第2の共振器導体部の各々における最低次高調波共振モードの共振周波数は、基本共振周波数の3倍になる。これにより、本発明によれば、最低次高調波共振モードの共振周波数を高くすることができる。これらのことから、本発明のバンドパスフィルタによれば、最低次導波管モードおよび最低次高調波共振モードによって通過帯域よりも高い周波数領域における減衰特性が悪化することを防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の第1の実施の形態に係るバンドパスフィルタの構造を示す斜視図である。
図2】本発明の第1の実施の形態に係るバンドパスフィルタの回路構成を示す回路図である。
図3図1に示したバンドパスフィルタにおける1層目の誘電体層のパターン形成面と2層目の誘電体層のパターン形成面を示す説明図である。
図4図1に示したバンドパスフィルタにおける3層目ないし8層目の誘電体層のパターン形成面と9層目の誘電体層のパターン形成面を示す説明図である。
図5図1に示したバンドパスフィルタにおける10層目の誘電体層のパターン形成面と11層目ないし18層目の誘電体層のパターン形成面を示す説明図である。
図6図1に示したバンドパスフィルタにおける19層目の誘電体層のパターン形成面を示す説明図である。
図7】本発明の第1の実施の形態に係るバンドパスフィルタと比較例のバンドパスフィルタの挿入損失の周波数特性の一例を示す特性図である。
図8】本発明の第2の実施の形態に係るバンドパスフィルタの構造を示す斜視図である。
図9】本発明の第2の実施の形態に係るバンドパスフィルタの回路構成を示す回路図である。
図10図8に示したバンドパスフィルタにおける1層目の誘電体層のパターン形成面と2層目ないし6層目の誘電体層のパターン形成面を示す説明図である。
図11図8に示したバンドパスフィルタにおける7層目の誘電体層のパターン形成面と8層目の誘電体層のパターン形成面を示す説明図である。
図12図8に示したバンドパスフィルタにおける9層目の誘電体層のパターン形成面と10層目ないし17層目の誘電体層のパターン形成面を示す説明図である。
図13図8に示したバンドパスフィルタにおける18層目の誘電体層のパターン形成面を示す説明図である。
図14】本発明の第2の実施の形態に係るバンドパスフィルタの挿入損失の周波数特性の一例を示す特性図である。
図15】本発明の第3の実施の形態に係るバンドパスフィルタの構造を示す斜視図である。
図16】本発明の第3の実施の形態に係るバンドパスフィルタの回路構成を示す回路図である。
図17図15に示したバンドパスフィルタにおける10層目の誘電体層のパターン形成面と11層目の誘電体層のパターン形成面を示す説明図である。
図18】本発明の第3の実施の形態に係るバンドパスフィルタの挿入損失の周波数特性の一例を示す特性図である。
図19】本発明の第4の実施の形態に係るバンドパスフィルタの構造を示す斜視図である。
図20】本発明の第4の実施の形態に係るバンドパスフィルタの回路構成を示す回路図である。
図21図19に示したバンドパスフィルタにおける1層目の誘電体層のパターン形成面と2層目ないし6層目の誘電体層のパターン形成面を示す説明図である。
図22図19に示したバンドパスフィルタにおける7層目の誘電体層のパターン形成面と8層目の誘電体層のパターン形成面を示す説明図である。
図23図19に示したバンドパスフィルタにおける9層目の誘電体層のパターン形成面と10層目ないし17層目の誘電体層のパターン形成面を示す説明図である。
図24図19に示したバンドパスフィルタにおける18層目の誘電体層のパターン形成面を示す説明図である。
図25】本発明の第4の実施の形態に係るバンドパスフィルタの挿入損失の周波数特性の一例を示す特性図である。
図26】本発明の第5の実施の形態に係るバンドパスフィルタの構造を示す斜視図である。
図27】本発明の第5の実施の形態に係るバンドパスフィルタの回路構成を示す回路図である。
図28図26に示したバンドパスフィルタにおける1層目の誘電体層のパターン形成面と2層目ないし6層目の誘電体層のパターン形成面を示す説明図である。
図29図26に示したバンドパスフィルタにおける7層目の誘電体層のパターン形成面と8層目の誘電体層のパターン形成面を示す説明図である。
図30図26に示したバンドパスフィルタにおける9層目の誘電体層のパターン形成面と10層目ないし17層目の誘電体層のパターン形成面を示す説明図である。
図31図26に示したバンドパスフィルタにおける18層目の誘電体層のパターン形成面を示す説明図である。
図32】本発明の第5の実施の形態に係るバンドパスフィルタの挿入損失の周波数特性の一例を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、図1および図2を参照して、本発明の第1の実施の形態に係るバンドパスフィルタの構成について説明する。図1は、本実施の形態に係るバンドパスフィルタの構造を示す斜視図である。図2は、本実施の形態に係るバンドパスフィルタの回路構成を示す回路図である。
【0029】
図1に示したように、本実施の形態に係るバンドパスフィルタ1は、誘電体よりなる本体2と、本体2に一体化された第1の入出力ポート3および第2の入出力ポート4と、本体2内に設けられた複数の共振器と、シールド6と、仕切り部7とを備えている。シールド6は、導体よりなり、本体2に一体化されている。また、シールド6は、グランドに接続されている。シールド6は、バンドパスフィルタ1の周囲へ電磁波が放射されることを防止する機能を有する。仕切り部7は、導体よりなり、本体2内に設けられて、シールド6に電気的に接続されている。
【0030】
本体2は、積層された複数の誘電体層からなる積層体20を含んでいる。ここで、図1に示したように、X方向、Y方向およびZ方向を定義する。X方向、Y方向およびZ方向は、互いに直交する。本実施の形態では、複数の誘電体層の積層方向に平行な一方向(図1では上側に向かう方向)を、Z方向とする。なお、Z方向は、本発明における第1の方向に対応する。
【0031】
本体2は、直方体形状を有している。本体2は、Z方向における本体2の両端に位置する第1の端面2Aおよび第2の端面2Bと、第1の端面2Aと第2の端面2Bを接続する4つの側面2C,2D,2E,2Fを有している。第1の端面2Aは、本体2の下面でもある。第2の端面2Bは、本体2の上面でもある。側面2C,2Dは、Y方向における本体2の両端に位置している。側面2E,2Fは、X方向における本体2の両端に位置している。
【0032】
複数の共振器は、回路構成上、第1の入出力ポート3と第2の入出力ポート4の間に設けられている。なお、本出願において、「回路構成上」という表現は、物理的な構成における配置ではなく、回路図上での配置を指すために用いている。図2に示したように、本実施の形態では、複数の共振器は、回路構成上、第1の入出力ポート3側から順に配置された1段目の共振器51、2段目の共振器52、3段目の共振器53および4段目の共振器54を含んでいる。共振器51〜54は、回路構成上隣接する2つの共振器が電磁結合するように構成されている。具体的に説明すると、共振器51〜54は、共振器51,52が回路構成上隣接して電磁結合し、共振器52,53が回路構成上隣接して電磁結合し、共振器53,54が回路構成上隣接して電磁結合するように構成されている。
【0033】
シールド6は、第1の方向すなわちZ方向について間隔を開けて配置された第1の部分61および第2の部分62と、第1の部分61と第2の部分62を接続する接続部63とを含んでいる。第1の部分61、第2の部分62および接続部63は、4つの共振器51〜54を囲むように配置されている。
【0034】
積層体20は、主要部21と被覆部22とを含んでいる。主要部21は、積層体20を構成する複数の誘電体層のうちの、積層された2つ以上の誘電体層によって構成されている。被覆部22は、積層体20を構成する複数の誘電体層のうちの、主要部21を構成する2つ以上の誘電体層以外の1つ以上の誘電体層によって構成されている。主要部21は、2つ以上の誘電体層の積層方向における両端に位置する第1の端面21aと第2の端面21bを有している。被覆部22は、第2の端面21bを覆っている。主要部21の第1の端面21aは、本体2の第1の端面2Aと一致している。主要部21の第2の端面21bは、本体2の内部に位置している。
【0035】
第1の部分61は、第1の端面21aに配置された第1の導体層313によって構成されている。第2の部分62は、第2の端面21bに配置された第2の導体層491によって構成されている。第2の部分62は、主要部21と被覆部22の間に介在している。
【0036】
共振器51は、導体よりなる共振器導体部510を含んでいる。共振器52は、導体よりなる共振器導体部520を含んでいる。共振器53は、導体よりなる共振器導体部530を含んでいる。共振器54は、導体よりなる共振器導体部540を含んでいる。
【0037】
共振器導体部510,520,530,540の各々は、第1の方向すなわちZ方向と交差する方向に長い形状を有すると共に、その長手方向の両端に位置する第1端と第2端を有している。本実施の形態では特に、共振器導体部510,520,530,540の各々は、第1の方向すなわちZ方向に直交する方向に長い形状を有している。より具体的に説明すると、共振器導体部510と共振器導体部540はX方向に長い形状を有し、共振器導体部520と共振器導体部530はY方向に長い形状を有している。
【0038】
共振器導体部510,520,530,540の各々の第1端はグランドに接続されている。共振器導体部510,520,530,540の各々の第2端は開放されている。
【0039】
共振器導体部510,520,530,540の各々は、バンドパスフィルタ1の通過帯域の中心周波数に対応する波長の1/4以下の長さを有している。本実施の形態では特に、共振器導体部510,520,530,540の各々の長さは、バンドパスフィルタ1の通過帯域の中心周波数に対応する波長の1/4である。
【0040】
本実施の形態において、2段目の共振器52は本発明における第1の共振器に対応し、3段目の共振器53は本発明における第2の共振器に対応する。また、共振器導体部520は本発明における第1の共振器導体部に対応し、共振器導体部530は本発明における第2の共振器導体部に対応する。また、共振器導体部510,540は、いずれも本発明における第3の共振器導体部に対応する。
【0041】
仕切り部7は、その少なくとも一部が共振器導体部520と共振器導体部530の間を通過するように、共振器導体部520と共振器導体部530の各々の長手方向(Y方向)と交差する方向に延在して、第1の部分61と第2の部分62とに接している。共振器導体部520,530は、それぞれ、回路構成上隣接している共振器52,53の要素である。本実施の形態では特に、仕切り部7は、第1の方向すなわちZ方向に延在している。また、仕切り部7は、第1の部分61と第2の部分62を最短経路で接続している。すなわち、仕切り部7のZ方向の長さは、第1の部分61と第2の部分62の間の距離と等しい。
【0042】
また、仕切り部7は、主要部21を構成する2つ以上の誘電体層を貫通している。本実施の形態では、仕切り部7は、それぞれ主要部21を構成する2つ以上の誘電体層を貫通する複数の第1のスルーホール列7Tを含んでいる。図1では、個々のスルーホール列7Tを円柱で表している。複数の第1のスルーホール列7Tの各々は、直列に接続された2つ以上のスルーホールを含んでいる。複数の第1のスルーホール列7Tの各々は、Z方向に延びている。また、複数の第1のスルーホール列7Tは、Y方向に並ぶように配列されている。本実施の形態では、第1のスルーホール列7Tの数は2である。
【0043】
シールド6の接続部63は、それぞれ主要部21を構成する2つ以上の誘電体層を貫通する複数の第2のスルーホール列63Tを含んでいる。図1では、個々のスルーホール列63Tを円柱で表している。複数の第2のスルーホール列63Tの各々は、直列に接続された2つ以上のスルーホールを含んでいる。複数の第2のスルーホール列63Tの各々は、Z方向に延びている。
【0044】
複数の第2のスルーホール列63Tは、複数のスルーホール列63Cと、複数のスルーホール列63Dと、複数のスルーホール列63E1と、複数のスルーホール列63E2と、複数のスルーホール列63F1と、複数のスルーホール列63F2とを含んでいる。複数のスルーホール列63Cは、本体2の側面2Cの近傍に配置され、X方向に並ぶように配列されている。複数のスルーホール列63Dは、本体2の側面2Dの近傍に配置され、X方向に並ぶように配列されている。複数のスルーホール列63E1,63E2は、本体2の側面2Eの近傍に配置され、Y方向に並ぶように配列されている。複数のスルーホール列63F1,63F2は、本体2の側面2Fの近傍に配置され、Y方向に並ぶように配列されている。
【0045】
シールド6の接続部63は、更に、3つのシールド導体部631,632,633を含んでいる。シールド導体部631は、複数のスルーホール列63Cのうちの一部のスルーホール列63Cと、複数のスルーホール列63E1と、複数のスルーホール列63E2とに接続されている。シールド導体部632は、複数のスルーホール列63Dに接続されている。シールド導体部633は、複数のスルーホール列63Cのうちの他の一部のスルーホール列63Cと、複数のスルーホール列63F1と、複数のスルーホール列63F2とに接続されている。
【0046】
バンドパスフィルタ1は、更に、本体2内に設けられたスルーホール列8T,9Tを備えている。スルーホール列8T,9Tの各々は、主要部21を構成する2つ以上の誘電体層を貫通し、Z方向に延びて、第1の部分61と第2の部分62とに接している。スルーホール列8T,9Tの各々は、直列に接続された2つ以上のスルーホールを含んでいる。スルーホール列8Tは、共振器導体部510と共振器導体部520の近くに配置されている。スルーホール列9Tは、共振器導体部530と共振器導体部540の近くに配置されている。スルーホール列8T,9Tは、シールド6の機能を補助する機能を有している。
【0047】
図2に示したように、バンドパスフィルタ1は、更に、第1の入出力ポート3と1段目の共振器51との間に設けられたキャパシタC1と、第2の入出力ポート4と4段目の共振器54との間に設けられたキャパシタC2とを備えている。
【0048】
図2において、記号C3を付したキャパシタの記号は、共振器51,52間の容量結合を表している。また、記号C4を付したキャパシタの記号は、共振器53,54間の容量結合を表している。また、記号Mを付した曲線は、共振器52,53間の磁気結合を表している。本実施の形態では、1段目の共振器51と4段目の共振器54は、容量結合するように構成されている。図2において、記号C5を付したキャパシタの記号は、共振器51,54間の容量結合を表している。
【0049】
次に、図3ないし図6を参照して、積層体20を構成する複数の誘電体層と、この複数の誘電体層に形成された複数の導体層および複数のスルーホールの構成の一例について説明する。この例では、積層体20は、積層された19層の誘電体層を有している。以下、この19層の誘電体層を、下から順に1層目ないし19層目の誘電体層と呼ぶ。主要部21は、1層目ないし18層目の誘電体層によって構成されている。被覆部22は、19層目の誘電体層によって構成されている。
【0050】
図3において、(a)は1層目の誘電体層のパターン形成面を示し、(b)は2層目の誘電体層のパターン形成面を示している。図4において、(a)は3層目ないし8層目の誘電体層のパターン形成面を示し、(b)は9層目の誘電体層のパターン形成面を示している。図5において、(a)は10層目の誘電体層のパターン形成面を示し、(b)は11層目ないし18層目の誘電体層のパターン形成面を示している。図6は、19層目の誘電体層のパターン形成面を示している。以下、1層目ないし19層目の誘電体層を符号31〜49で表す。
【0051】
図3(a)に示したように、1層目の誘電体層31のパターン形成面には、第1の入出力ポート3を構成する導体層311と、第2の入出力ポート4を構成する導体層312と、シールド6の第1の部分61を構成する第1の導体層313とが形成されている。
【0052】
また、誘電体層31には、導体層311に接続されたスルーホール31T1と、導体層312に接続されたスルーホール31T2と、スルーホール列8Tの一部を構成するスルーホール8T1と、スルーホール列9Tの一部を構成するスルーホール9T1が形成されている。誘電体層31には、更に、2つの第1のスルーホール列7Tの一部を構成する2つのスルーホール7T1が形成されている。
【0053】
誘電体層31には、更に、複数のスルーホール列63Cの一部を構成する複数のスルーホール63C1と、複数のスルーホール列63Dの一部を構成する複数のスルーホール63D1と、複数のスルーホール列63E1の一部を構成する複数のスルーホール63E11と、複数のスルーホール列63F1の一部を構成する複数のスルーホール63F11が形成されている。
【0054】
スルーホール7T1,8T1,9T1,63C1,63D1,63E11,63F11は、第1の導体層313に接続されている。
【0055】
図3(b)に示したように、2層目の誘電体層32のパターン形成面には、導体層321,322が形成されている。導体層321,322には、それぞれ図3(a)に示したスルーホール31T1,31T2が接続されている。
【0056】
また、誘電体層32には、導体層321に接続されたスルーホール32T1と、導体層322に接続されたスルーホール32T2と、スルーホール8T2,9T2が形成されている。スルーホール8T2,9T2には、それぞれ図3(a)に示したスルーホール8T1,9T1が接続されている。誘電体層32には、更に、2つのスルーホール7T2が形成されている。2つのスルーホール7T2には、図3(a)に示した2つのスルーホール7T1が接続されている。
【0057】
誘電体層32には、更に、複数のスルーホール63C2と、複数のスルーホール63D2と、複数のスルーホール63E12と、複数のスルーホール63F12が形成されている。複数のスルーホール63C2には、図3(a)に示した複数のスルーホール63C1が接続されている。複数のスルーホール63D2には、図3(a)に示した複数のスルーホール63D1が接続されている。複数のスルーホール63E12には、図3(a)に示した複数のスルーホール63E11が接続されている。複数のスルーホール63F12には、図3(a)に示した複数のスルーホール63F11が接続されている。
【0058】
図4(a)に示したように、3層目ないし8層目の誘電体層33〜38の各々には、スルーホール33T1,33T2,8T3,9T3が形成されている。3層目の誘電体層33に形成されたスルーホール33T1,33T2,8T3,9T3には、それぞれ図3(b)に示したスルーホール32T1,32T2,8T2,9T2が接続されている。
【0059】
3層目ないし8層目の誘電体層33〜38の各々には、更に、2つのスルーホール7T3が形成されている。3層目の誘電体層33に形成された2つのスルーホール7T3には、図3(b)に示した2つのスルーホール7T2が接続されている。
【0060】
3層目ないし8層目の誘電体層33〜38の各々には、更に、複数のスルーホール63C3と、複数のスルーホール63D3と、複数のスルーホール63E13と、複数のスルーホール63F13が形成されている。3層目の誘電体層33に形成された複数のスルーホール63C3には、図3(b)に示した複数のスルーホール63C2が接続されている。3層目の誘電体層33に形成された複数のスルーホール63D3には、図3(b)に示した複数のスルーホール63D2が接続されている。3層目の誘電体層33に形成された複数のスルーホール63E13には、図3(b)に示した複数のスルーホール63E12が接続されている。3層目の誘電体層33に形成された複数のスルーホール63F13には、図3(b)に示した複数のスルーホール63F12が接続されている。
【0061】
誘電体層33〜38では、上下に隣接する同じ符号のスルーホール同士が互いに接続されている。
【0062】
図4(b)に示したように、9層目の誘電体層39のパターン形成面には、キャパシタC1を構成するために用いられる導体層391と、キャパシタC2を構成するために用いられる導体層392が形成されている。導体層391,392には、それぞれ8層目の誘電体層38(図4(a)参照)に形成されたスルーホール33T1,33T2が接続されている。
【0063】
誘電体層39には、スルーホール8T4,9T4が形成されている。スルーホール8T4,9T4には、それぞれ8層目の誘電体層38に形成されたスルーホール8T3,9T3が接続されている。
【0064】
誘電体層39には、更に、2つのスルーホール7T4が形成されている。2つのスルーホール7T4には、8層目の誘電体層38に形成された2つのスルーホール7T3が接続されている。
【0065】
誘電体層39には、更に、複数のスルーホール63C4と、複数のスルーホール63D4と、複数のスルーホール63E14と、複数のスルーホール63F14が形成されている。複数のスルーホール63C4には、8層目の誘電体層38に形成された複数のスルーホール63C3が接続されている。複数のスルーホール63D4には、8層目の誘電体層38に形成された複数のスルーホール63D3が接続されている。複数のスルーホール63E14には、8層目の誘電体層38に形成された複数のスルーホール63E13が接続されている。複数のスルーホール63F14には、8層目の誘電体層38に形成された複数のスルーホール63F13が接続されている。
【0066】
図5(a)に示したように、10層目の誘電体層40のパターン形成面には、3つの導体層401,402,403が形成されている。導体層401は、共振器導体部510と、シールド導体部631とを含んでいる。導体層402は、共振器導体部520,530と、シールド導体部632とを含んでいる。導体層403は、共振器導体部540と、シールド導体部633とを含んでいる。図5(a)では、共振器導体部510とシールド導体部631の境界、共振器導体部520とシールド導体部632の境界、共振器導体部530とシールド導体部632の境界、および共振器導体部540とシールド導体部633の境界を、それぞれ破線で示している。
【0067】
共振器導体部510は、長手方向すなわちX方向の両端に位置する第1端510aと第2端510bを有している。第1端510aは、シールド導体部631に接続されていることによってグランドに接続されている。第2端510bは、開放されている。
【0068】
共振器導体部520は、長手方向すなわちY方向の両端に位置する第1端520aと第2端520bを有している。第1端520aは、シールド導体部632に接続されていることによってグランドに接続されている。第2端520bは、開放されている。
【0069】
共振器導体部530は、長手方向すなわちY方向の両端に位置する第1端530aと第2端530bを有している。第1端530aは、シールド導体部632に接続されていることによってグランドに接続されている。第2端530bは、開放されている。
【0070】
共振器導体部540は、長手方向すなわちX方向の両端に位置する第1端540aと第2端540bを有している。第1端540aは、シールド導体部633に接続されていることによってグランドに接続されている。第2端540bは、開放されている。
【0071】
図5(a)に示したように、本実施の形態では、共振器導体部520,530は、1つの導体層402における互いに異なる部分によって構成されている。導体層402のシールド導体部632は、共振器導体部520の第1端520aと共振器導体部530の第1端530aとを接続する接続部632Cを含んでいる。図5(a)では、接続部632Cと、シールド導体部632の残りの部分との間の2つの境界を点線で示している。接続部632Cは、共振器52,53間の磁気結合を大きくする役割を有している。共振器52,53間の磁気結合の大きさは、接続部632Cを考慮しない場合の共振器52,53間の磁気結合の大きさと、接続部632Cとによって調整される。
【0072】
図5(a)に示した10層目の誘電体層40には、スルーホール8T5,9T5が形成されている。スルーホール8T5,9T5には、それぞれ図4(b)に示したスルーホール8T4,9T4が接続されている。
【0073】
誘電体層40には、更に、2つのスルーホール7T5が形成されている。2つのスルーホール7T5には、図4(b)に示した2つのスルーホール7T4が接続されている。
【0074】
誘電体層40には、更に、複数のスルーホール63C5と、複数のスルーホール63D5と、複数のスルーホール63E15と、複数のスルーホール63E25と、複数のスルーホール63F15と、複数のスルーホール63F25が形成されている。
【0075】
複数のスルーホール63C5のうちの一部のスルーホール63C5は、シールド導体部631に接続されている。複数のスルーホール63C5のうちの他の一部のスルーホール63C5は、シールド導体部633に接続されている。また、複数のスルーホール63C5には、図4(b)に示した複数のスルーホール63C4が接続されている。
【0076】
複数のスルーホール63D5は、シールド導体部632に接続されている。また、複数のスルーホール63D5には、図4(b)に示した複数のスルーホール63D4が接続されている。
【0077】
複数のスルーホール63E15と複数のスルーホール63E25は、シールド導体部631に接続されている。複数のスルーホール63E15には、図4(b)に示した複数のスルーホール63E14が接続されている。
【0078】
複数のスルーホール63F15と複数のスルーホール63F25は、シールド導体部633に接続されている。複数のスルーホール63F15には、図4(b)に示した複数のスルーホール63F14が接続されている。
【0079】
図5(b)に示したように、11層目ないし18層目の誘電体層41〜48の各々には、スルーホール8T6,9T6が形成されている。11層目の誘電体層41に形成されたスルーホール8T6,9T6には、それぞれ図5(a)に示したスルーホール8T5,9T5が接続されている。
【0080】
11層目ないし18層目の誘電体層41〜48の各々には、更に、2つのスルーホール7T6が形成されている。11層目の誘電体層41に形成された2つのスルーホール7T6には、図5(a)に示した2つのスルーホール7T5が接続されている。
【0081】
11層目ないし18層目の誘電体層41〜48の各々には、更に、複数のスルーホール63C6と、複数のスルーホール63D6と、複数のスルーホール63E16と、複数のスルーホール63E26と、複数のスルーホール63F16と、複数のスルーホール63F26が形成されている。11層目の誘電体層41に形成された複数のスルーホール63C6には、図5(a)に示した複数のスルーホール63C5が接続されている。11層目の誘電体層41に形成された複数のスルーホール63D6には、図5(a)に示した複数のスルーホール63D5が接続されている。
【0082】
11層目の誘電体層41に形成された複数のスルーホール63E16には、図5(a)に示した複数のスルーホール63E15が接続されている。11層目の誘電体層41に形成された複数のスルーホール63E26には、図5(a)に示した複数のスルーホール63E25が接続されている。11層目の誘電体層41に形成された複数のスルーホール63F16には、図5(a)に示した複数のスルーホール63F15が接続されている。11層目の誘電体層41に形成された複数のスルーホール63F26には、図5(a)に示した複数のスルーホール63F25が接続されている。
【0083】
誘電体層41〜48では、上下に隣接する同じ符号のスルーホール同士が互いに接続されている。
【0084】
図6に示したように、19層目の誘電体層49のパターン形成面には、シールド6の第2の部分62を構成する第2の導体層491が形成されている。18層目の誘電体層48(図5(b)参照)に形成されたスルーホール7T6,8T6,9T6,63C6,63D6,63E16,63E26,63F16,63F26は、第2の導体層491に接続されている。
【0085】
本実施の形態に係るバンドパスフィルタ1は、1層目の誘電体層31のパターン形成面が本体2の第1の端面2Aになるように、1層目ないし19層目の誘電体層31〜49が積層されて構成される。19層目の誘電体層49におけるパターン形成面とは反対側の面は、本体2の第2の端面2Bになる。1層目ないし19層目の誘電体層31〜49は、積層体20を構成する。
【0086】
共振器導体部510,520,530,540は、第1の方向すなわちZ方向に関して、積層体20内の同じ位置に配置されている。
【0087】
第1の入出力ポート3を構成する導体層311は、スルーホール31T1、導体層321およびスルーホール32T1,33T1を介して、図4(b)に示した導体層391に接続されている。導体層391は、誘電体層39を介して、図5(a)に示した共振器導体部510に対向している。図2に示したキャパシタC1は、導体層391と共振器導体部510と、これらの間の誘電体層39とによって構成されている。
【0088】
第2の入出力ポート4を構成する導体層312は、スルーホール31T2、導体層322およびスルーホール32T2,33T2を介して、図4(b)に示した導体層392に接続されている。導体層392は、誘電体層39を介して、図5(a)に示した共振器導体部540に対向している。図2に示したキャパシタC2は、導体層392と共振器導体部540と、これらの間の誘電体層39とによって構成されている。
【0089】
仕切り部7の複数のスルーホール列7Tは、複数のスルーホール7T1,7T2,7T3,7T4,7T5,7T6が、Z方向に直列に接続されることによって構成されている。
【0090】
スルーホール列8Tは、複数のスルーホール8T1,8T2,8T3,8T4,8T5,8T6が、Z方向に直列に接続されることによって構成されている。スルーホール列9Tは、複数のスルーホール9T1,9T2,9T3,9T4,9T5,9T6が、Z方向に直列に接続されることによって構成されている。
【0091】
複数のスルーホール列63Cは、複数のスルーホール63C1,63C2,63C3,63C4,63C5,63C6が、Z方向に直列に接続されることによって構成されている。複数のスルーホール列63Dは、複数のスルーホール63D1,63D2,63D3,63D4,63D5,63D6が、Z方向に直列に接続されることによって構成されている。
【0092】
複数のスルーホール列63E1は、複数のスルーホール63E11,63E12,63E13,63E14,63E15,63E16が、Z方向に直列に接続されることによって構成されている。複数のスルーホール列63E2は、複数のスルーホール63E25,63E26が、Z方向に直列に接続されることによって構成されている。
【0093】
複数のスルーホール列63F1は、複数のスルーホール63F11,63F12,63F13,63F14,63F15,63F16が、Z方向に直列に接続されることによって構成されている。複数のスルーホール列63F2は、複数のスルーホール63F25,63F26が、Z方向に直列に接続されることによって構成されている。
【0094】
次に、本実施の形態に係るバンドパスフィルタ1の作用および効果について説明する。バンドパスフィルタ1は、例えば、通過帯域が10〜30GHzの準ミリ波帯または30〜300GHzのミリ波帯に存在するように設計および構成される。
【0095】
バンドパスフィルタ1は、回路構成上、第1の入出力ポート3と第2の入出力ポート4の間に第1の入出力ポート3側から順に配置された共振器51,52,53,54を備えている。回路構成上隣接する2つの共振器は電磁結合する。
【0096】
共振器51,52,53,54は、それぞれ共振器導体部510,520,530,540を含んでいる。共振器導体部510,520,530,540の各々の第1端はグランドに接続されている。共振器導体部510,520,530,540の各々の第2端は開放されている。共振器導体部510,520,530,540の各々は、バンドパスフィルタ1の通過帯域の中心周波数に対応する波長の1/4の長さを有している。この場合、共振器51,52,53,54の各々は、1/4波長共振器として動作する。
【0097】
また、バンドパスフィルタ1は、シールド6を備えている。シールド6は、バンドパスフィルタ1の周囲へ電磁波が放射されることを防止する機能を有する。本実施の形態では、シールド6とその内側の誘電体によって導波管に似た構造が形成されることによって、1つ以上の導波管モードが生じ得る。この1つ以上の導波管モードの共振周波数は、通常、バンドパスフィルタ1の通過帯域よりも高い周波数領域に存在する。もし、共振周波数が最も低い導波管モードすなわち最低次導波管モードの共振周波数が、バンドパスフィルタ1の通過帯域に比較的近いと、最低次導波管モードの共振周波数における不要な共振によって、通過帯域よりも高い周波数領域における減衰特性が悪化するという問題が生じる。
【0098】
本実施の形態に係るバンドパスフィルタ1は、仕切り部7を備えることによって、上記の問題の発生を防止している。以下、これについて詳しく説明する。まず、仕切り部7が無いと仮定すると、最低次導波管モードの共振周波数は、シールド6で囲まれた空間の形状に依存する。一般的に、この空間が大きいほど、最低次導波管モードの共振周波数は低くなる。
【0099】
これに対し、本実施の形態では、仕切り部7は、その少なくとも一部が共振器導体部520と共振器導体部530の間を通過するように、共振器導体部520と共振器導体部530の各々の長手方向(Y方向)と交差する方向(Z方向)に延在して、シールド6の第1の部分61と第2の部分62とに接している。本実施の形態では、仕切り部7によって、シールド6で囲まれた空間が、共振器導体部520が存在する空間と、共振器導体部530が存在する空間とに仕切られる。
【0100】
本実施の形態では、最低次導波管モードの共振周波数は、仕切り部7によって仕切られた2つの空間の各々の形状に依存する。この2つの空間の各々は、仕切り部7が無いと仮定したときのシールド6で囲まれた空間よりも小さい。そのため、本実施の形態によれば、仕切り部7が無い場合に比べて、最低次導波管モードの共振周波数を高くすることができる。
【0101】
また、本実施の形態では、4つの共振器51,52,53,54は、いずれも1/4波長共振器として動作する。そのため、本実施の形態では、1つ以上の1/2波長共振器を含む4つ共振器を用いてバンドパスフィルタを構成する場合に比べて、共振器51,52,53,54を構成する共振器導体部510,520,530,540の各々の長さを小さくすることができ、その結果、シールド6で囲まれた空間を小さくすることができる。この点からも、本実施の形態によれば、最低次導波管モードの共振周波数を高くすることができる。
【0102】
また、本実施の形態では、共振器導体部510,520,530,540の各々における最低次高調波共振モードの共振周波数は、基本共振周波数の3倍になる。これにより、本実施の形態によれば、最低次高調波共振モードの共振周波数を高くすることができる。なお、1/2波長共振器では、最低次高調波共振モードの共振周波数は、基本共振周波数の2倍になる。
【0103】
これらのことから、本実施の形態に係るバンドパスフィルタ1によれば、最低次導波管モードおよび最低次高調波共振モードによって通過帯域よりも高い周波数領域における減衰特性が悪化することを防止することができる。
【0104】
以下、図7を参照して、本実施の形態に係るバンドパスフィルタ1の効果について更に説明する。図7は、本実施の形態に係るバンドパスフィルタ1と比較例のバンドパスフィルタの挿入損失の周波数特性の一例を示している。図7に示した特性は、シミュレーションによって求めたものである。比較例のバンドパスフィルタは、バンドパスフィルタ1から仕切り部7を除き、且つ通過帯域における特性がバンドパスフィルタ1と同様になるようにインピーダンスを調整して構成されたものである。図7において、横軸は周波数を示し、縦軸は挿入損失を示している。また、図7において、符号91を付した線はバンドパスフィルタ1の特性を示し、符号92を付した線は比較例のバンドパスフィルタの特性を示している。図7に示した例では、バンドパスフィルタ1および比較例のバンドパスフィルタの通過帯域の中心周波数は、約28〜29GHzの範囲内である。通過帯域は、例えば、挿入損失の最小値から3dBだけ挿入損失が大きくなる2つの周波数の間の周波数帯域である。
【0105】
図7に示したように、比較例のバンドパスフィルタの特性92では、約51GHzにおいて挿入損失が極端に小さくなるピークが存在している。これは、約51GHzにおいて最低次導波管モードによる不要な共振が生じているためと考えられる。特性92では、上記のピークの存在により、通過帯域よりも高い周波数領域における減衰特性が悪化している。これに対し、バンドパスフィルタ1の特性91では、特性92において生じているようなピークは存在せず、特性92に比べて、通過帯域よりも高い周波数領域における減衰特性は良好である。
【0106】
また、複数の1/2波長共振器を用いてバンドパスフィルタを構成すると、通過帯域の中心周波数の2倍の周波数およびその近傍の周波数において、最低次高調波共振モードによって、挿入損失が極端に小さくなるおそれがある。しかし、バンドパスフィルタ1の特性91では、通過帯域の中心周波数の2倍の周波数およびその近傍の周波数において、挿入損失が極端に小さくなってはいない。
【0107】
図7から、本実施の形態に係るバンドパスフィルタ1によれば、最低次導波管モードおよび最低次高調波共振モードによって通過帯域よりも高い周波数領域における減衰特性が悪化することを防止することができることが分かる。
【0108】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。始めに、図8および図9を参照して、本実施の形態に係るバンドパスフィルタの構成について説明する。図8は、本実施の形態に係るバンドパスフィルタの構造を示す斜視図である。図9は、本実施の形態に係るバンドパスフィルタの回路構成を示す回路図である。
【0109】
本実施の形態に係るバンドパスフィルタ100は、本体2と、第1の入出力ポート3および第2の入出力ポート4と、複数の共振器と、シールド6と、仕切り部7と、スルーホール列8T,9Tと、キャパシタC1,C2を備えている。本体2は、積層体20を含んでいる。
【0110】
本実施の形態では、複数の共振器は、第1の実施の形態における共振器51,52,53,54の代わりに、回路構成上、第1の入出力ポート3側から順に配置された1段目の共振器151、2段目の共振器152、3段目の共振器153および4段目の共振器154を含んでいる。共振器151〜154は、回路構成上隣接する2つの共振器が電磁結合するように構成されている。具体的に説明すると、共振器151〜154は、共振器151,152が回路構成上隣接して電磁結合し、共振器152,153が回路構成上隣接して電磁結合し、共振器153,154が回路構成上隣接して電磁結合するように構成されている。シールド6の第1の部分61、第2の部分62および接続部63は、4つの共振器151〜154を囲むように配置されている。
【0111】
本実施の形態では、第1の部分61は、積層体20の主要部21の第1の端面21aに配置された第1の導体層1313によって構成されている。第2の部分62は、積層体20の主要部21の第2の端面21bに配置された第2の導体層1481によって構成されている。
【0112】
共振器151は、導体よりなる共振器導体部1510を含んでいる。共振器152は、導体よりなる共振器導体部1520を含んでいる。共振器153は、導体よりなる共振器導体部1530を含んでいる。共振器154は、導体よりなる共振器導体部1540を含んでいる。
【0113】
共振器導体部1510,1520,1530,1540の各々は、第1の方向すなわちZ方向と交差する方向に長い形状を有すると共に、その長手方向の両端に位置する第1端と第2端を有している。本実施の形態では特に、共振器導体部1510,1520,1530,1540の各々は、第1の方向すなわちZ方向に直交する方向に長い形状を有している。より具体的に説明すると、共振器導体部1510と共振器導体部1540はY方向に長い形状を有し、共振器導体部1520と共振器導体部1530はX方向に長い形状を有している。
【0114】
共振器導体部1510,1520,1530,1540の各々の第1端はグランドに接続されている。共振器導体部1510,1520,1530,1540の各々の第2端は開放されている。
【0115】
共振器導体部1510,1520,1530,1540の各々は、バンドパスフィルタ100の通過帯域の中心周波数に対応する波長の1/4以下の長さを有している。本実施の形態では特に、共振器導体部1510,1520,1530,1540の各々の長さは、バンドパスフィルタ100の通過帯域の中心周波数に対応する波長の1/4である。
【0116】
本実施の形態において、1段目の共振器151は本発明における第1の共振器に対応し、4段目の共振器154は本発明における第2の共振器に対応する。また、共振器導体部1510は本発明における第1の共振器導体部に対応し、共振器導体部1540は本発明における第2の共振器導体部に対応する。また、共振器導体部1520,1530は、いずれも本発明における第3の共振器導体部に対応する。
【0117】
本実施の形態では、仕切り部7は、その少なくとも一部が共振器導体部1510と共振器導体部1540の間を通過するように、共振器導体部1510と共振器導体部1540の各々の長手方向(Y方向)と交差する方向(Z方向)に延在して、第1の部分61と第2の部分62とに接している。また、仕切り部7は、第1の実施の形態における複数の第1のスルーホール列7Tの代わりに、それぞれ主要部21を構成する2つ以上の誘電体層を貫通する複数の第1のスルーホール列107Tを含んでいる。図8では、個々のスルーホール列107Tを円柱で表している。複数の第1のスルーホール列107Tの各々は、直列に接続された2つ以上のスルーホールを含んでいる。複数の第1のスルーホール列107Tの各々は、Z方向に延びている。また、複数の第1のスルーホール列107Tは、Y方向に並ぶように配列されている。本実施の形態では、第1のスルーホール列107Tの数は4である。
【0118】
また、本実施の形態では、シールド6の接続部63は、第1の実施の形態における複数の第2のスルーホール列63Tの代わりに、それぞれ主要部21を構成する2つ以上の誘電体層を貫通する複数の第2のスルーホール列163Tを含んでいる。図8では、個々のスルーホール列163Tを円柱で表している。複数の第2のスルーホール列163Tの各々は、直列に接続された2つ以上のスルーホールを含んでいる。複数の第2のスルーホール列163Tの各々は、Z方向に延びている。
【0119】
複数の第2のスルーホール列163Tは、複数のスルーホール列163Cと、複数のスルーホール列163Dと、複数のスルーホール列163Eと、複数のスルーホール列163Fとを含んでいる。複数のスルーホール列163Cは、本体2の側面2Cの近傍に配置され、X方向に並ぶように配列されている。複数のスルーホール列163Dは、本体2の側面2Dの近傍に配置され、X方向に並ぶように配列されている。複数のスルーホール列163Eは、本体2の側面2Eの近傍に配置され、Y方向に並ぶように配列されている。複数のスルーホール列163Fは、本体2の側面2Fの近傍に配置され、Y方向に並ぶように配列されている。
【0120】
また、シールド6の接続部63は、第1の実施の形態におけるシールド導体部631,632,633の代わりに、4つのシールド導体部1631,1632,1633,1634を含んでいる。シールド導体部1631は、複数のスルーホール列163Cのうちの一部のスルーホール列163Cに接続されている。シールド導体部1632は、複数のスルーホール列163Eに接続されている。シールド導体部1633は、複数のスルーホール列163Fに接続されている。シールド導体部1634は、複数のスルーホール列163Cのうちの他の一部のスルーホール列163Cに接続されている。
【0121】
また、図8に示したように、本実施の形態では、スルーホール列8Tは、共振器導体部1510と共振器導体部1520の近くに配置されている。スルーホール列9Tは、共振器導体部1530と共振器導体部1540の近くに配置されている。
【0122】
本実施の形態に係るバンドパスフィルタ100は、更に、本体2内に設けられたスルーホール列10Tを備えている。スルーホール列10Tは、主要部21を構成する2つ以上の誘電体層を貫通し、Z方向に延びて、第1の部分61と第2の部分62とに接している。スルーホール列10Tは、直列に接続された2つ以上のスルーホールを含んでいる。スルーホール列10Tは、共振器導体部1520と共振器導体部1530の近くに配置されている。スルーホール列10Tは、シールド6の機能を補助する機能を有している。
【0123】
また、図9に示したように、本実施の形態では、キャパシタC1は、第1の入出力ポート3と1段目の共振器151との間に設けられている。キャパシタC2は、第2の入出力ポート4と4段目の共振器154との間に設けられている。
【0124】
図9において、記号C103を付したキャパシタの記号は、共振器151,152間の容量結合を表している。また、記号C104を付したキャパシタの記号は、共振器152,153間の容量結合を表している。また、記号C105を付したキャパシタの記号は、共振器153,154間の容量結合を表している。また、記号Mを付した曲線は、共振器151,154間の磁気結合を表している。なお、共振器導体部1510と共振器導体部1540が別々の導体層によって構成されているため、共振器151,154間の磁気結合は、第1の実施の形態における共振器52,53間の磁気結合よりも弱い。
【0125】
次に、図10ないし図13を参照して、本実施の形態における積層体20を構成する複数の誘電体層と、この複数の誘電体層に形成された複数の導体層および複数のスルーホールの構成の一例について説明する。この例では、積層体20は、積層された18層の誘電体層を有している。以下、この18層の誘電体層を、下から順に1層目ないし18層目の誘電体層と呼ぶ。本実施の形態では、主要部21は、1層目ないし17層目の誘電体層によって構成されている。被覆部22は、18層目の誘電体層によって構成されている。
【0126】
図10において、(a)は1層目の誘電体層のパターン形成面を示し、(b)は2層目ないし6層目の誘電体層のパターン形成面を示している。図11において、(a)は7層目の誘電体層のパターン形成面を示し、(b)は8層目の誘電体層のパターン形成面を示している。図12において、(a)は9層目の誘電体層のパターン形成面を示し、(b)は10層目ないし17層目の誘電体層のパターン形成面を示している。図13は、18層目の誘電体層のパターン形成面を示している。以下、1層目ないし18層目の誘電体層を符号131〜148で表す。
【0127】
図10(a)に示したように、1層目の誘電体層131のパターン形成面には、第1の入出力ポート3を構成する導体層1311と、第2の入出力ポート4を構成する導体層1312と、シールド6の第1の部分61を構成する第1の導体層1313とが形成されている。
【0128】
また、誘電体層131には、導体層1311に接続されたスルーホール131T1と、導体層1312に接続されたスルーホール131T2と、スルーホール列8Tの一部を構成するスルーホール8T1と、スルーホール列9Tの一部を構成するスルーホール9T1と、スルーホール列10Tの一部を構成するスルーホール10T1とが形成されている。誘電体層131には、更に、4つの第1のスルーホール列107Tの一部を構成する4つのスルーホール107T1が形成されている。
【0129】
誘電体層131には、更に、複数のスルーホール列163Cの一部を構成する複数のスルーホール163C1と、複数のスルーホール列163Dの一部を構成する複数のスルーホール163D1と、複数のスルーホール列163Eの一部を構成する複数のスルーホール163E1と、複数のスルーホール列163Fの一部を構成する複数のスルーホール163F1が形成されている。
【0130】
スルーホール8T1,9T1,10T1,107T1,163C1,163D1,163E1,163F1は、第1の導体層1313に接続されている。
【0131】
図10(b)に示したように、2層目ないし6層目の誘電体層132〜136の各々には、スルーホール132T1,132T2,8T2,9T2,10T2が形成されている。2層目の誘電体層132に形成されたスルーホール132T1,132T2,8T2,9T2,10T2には、それぞれ図10(a)に示したスルーホール131T1,131T2,8T1,9T1,10T1が接続されている。
【0132】
2層目ないし6層目の誘電体層132〜136の各々には、更に、4つのスルーホール107T2が形成されている。2層目の誘電体層132に形成された4つのスルーホール107T2には、図10(a)に示した4つのスルーホール107T1が接続されている。
【0133】
2層目ないし6層目の誘電体層132〜136の各々には、更に、複数のスルーホール163C2と、複数のスルーホール163D2と、複数のスルーホール163E2と、複数のスルーホール163F2が形成されている。2層目の誘電体層132に形成された複数のスルーホール163C2には、図10(a)に示した複数のスルーホール163C1が接続されている。2層目の誘電体層132に形成された複数のスルーホール163D2には、図10(a)に示した複数のスルーホール163D1が接続されている。2層目の誘電体層132に形成された複数のスルーホール163E2には、図10(a)に示した複数のスルーホール163E1が接続されている。2層目の誘電体層132に形成された複数のスルーホール163F2には、図10(a)に示した複数のスルーホール163F1が接続されている。
【0134】
誘電体層132〜136では、上下に隣接する同じ符号のスルーホール同士が互いに接続されている。
【0135】
図11(a)に示したように、7層目の誘電体層137のパターン形成面には、キャパシタC1を構成するために用いられる導体層1371と、キャパシタC2を構成するために用いられる導体層1372が形成されている。導体層1371,1372には、それぞれ6層目の誘電体層136(図10(b)参照)に形成されたスルーホール132T1,132T2が接続されている。
【0136】
誘電体層137には、スルーホール8T3,9T3,10T3が形成されている。スルーホール8T3,9T3,10T3には、それぞれ6層目の誘電体層136に形成されたスルーホール8T2,9T2,10T2が接続されている。
【0137】
誘電体層137には、更に、4つのスルーホール107T3が形成されている。4つのスルーホール107T3には、6層目の誘電体層136に形成された4つのスルーホール107T2が接続されている。
【0138】
誘電体層137には、更に、複数のスルーホール163C3と、複数のスルーホール163D3と、複数のスルーホール163E3と、複数のスルーホール163F3が形成されている。複数のスルーホール163C3には、6層目の誘電体層136に形成された複数のスルーホール163C2が接続されている。複数のスルーホール163D3には、6層目の誘電体層136に形成された複数のスルーホール163D2が接続されている。複数のスルーホール163E3には、6層目の誘電体層136に形成された複数のスルーホール163E2が接続されている。複数のスルーホール163F3には、6層目の誘電体層136に形成された複数のスルーホール163F2が接続されている。
【0139】
図11(b)に示したように、8層目の誘電体層138には、スルーホール8T4,9T4,10T4が形成されている。スルーホール8T4,9T4,10T4には、それぞれ図11(a)に示したスルーホール8T3,9T3,10T3が接続されている。
【0140】
誘電体層138には、更に、4つのスルーホール107T4が形成されている。4つのスルーホール107T4には、図11(a)に示した4つのスルーホール107T3が接続されている。
【0141】
誘電体層138には、更に、複数のスルーホール163C4と、複数のスルーホール163D4と、複数のスルーホール163E4と、複数のスルーホール163F4が形成されている。複数のスルーホール163C4には、図11(a)に示した複数のスルーホール163C3が接続されている。複数のスルーホール163D4には、図11(a)に示した複数のスルーホール163D3が接続されている。複数のスルーホール163E4には、図11(a)に示した複数のスルーホール163E3が接続されている。複数のスルーホール163F4には、図11(a)に示した複数のスルーホール163F3が接続されている。
【0142】
図12(a)に示したように、9層目の誘電体層139のパターン形成面には、4つの導体層1391,1392,1393,1394が形成されている。導体層1391は、共振器導体部1510と、シールド導体部1631とを含んでいる。導体層1392は、共振器導体部1520と、シールド導体部1632とを含んでいる。導体層1393は、共振器導体部1530と、シールド導体部1633とを含んでいる。導体層1394は、共振器導体部1540と、シールド導体部1634とを含んでいる。図12(a)では、共振器導体部1510とシールド導体部1631の境界、共振器導体部1520とシールド導体部1632の境界、共振器導体部1530とシールド導体部1633の境界、および共振器導体部1540とシールド導体部1634の境界を、それぞれ破線で示している。
【0143】
共振器導体部1510は、長手方向すなわちY方向の両端に位置する第1端1510aと第2端1510bを有している。第1端1510aは、シールド導体部1631に接続されていることによってグランドに接続されている。第2端1510bは、開放されている。
【0144】
共振器導体部1520は、長手方向すなわちX方向の両端に位置する第1端1520aと第2端1520bを有している。第1端1520aは、シールド導体部1632に接続されていることによってグランドに接続されている。第2端1520bは、開放されている。
【0145】
共振器導体部1530は、長手方向すなわちX方向の両端に位置する第1端1530aと第2端1530bを有している。第1端1530aは、シールド導体部1633に接続されていることによってグランドに接続されている。第2端1530bは、開放されている。
【0146】
共振器導体部1540は、長手方向すなわちY方向の両端に位置する第1端1540aと第2端1540bを有している。第1端1540aは、シールド導体部1641に接続されていることによってグランドに接続されている。第2端1540bは、開放されている。
【0147】
図12(a)に示した9層目の誘電体層139には、スルーホール8T5,9T5,10T5が形成されている。スルーホール8T5,9T5,10T5には、それぞれ図11(b)に示したスルーホール8T4,9T4,10T4が接続されている。
【0148】
誘電体層139には、更に、4つのスルーホール107T5が形成されている。4つのスルーホール107T5には、図11(b)に示した4つのスルーホール107T4が接続されている。
【0149】
誘電体層139には、更に、複数のスルーホール163C5と、複数のスルーホール163D5と、複数のスルーホール163E5と、複数のスルーホール163F5が形成されている。
【0150】
複数のスルーホール163C5のうちの一部のスルーホール163C5は、シールド導体部1631に接続されている。複数のスルーホール163C5のうちの他の一部のスルーホール163C5は、シールド導体部1634に接続されている。また、複数のスルーホール163C5には、図11(b)に示した複数のスルーホール163C4が接続されている。
【0151】
複数のスルーホール163D5には、図11(b)に示した複数のスルーホール163D4が接続されている。
【0152】
複数のスルーホール163E5は、シールド導体部1632に接続されている。また、複数のスルーホール163E5には、図11(b)に示した複数のスルーホール163E4が接続されている。
【0153】
複数のスルーホール163F5は、シールド導体部1633に接続されている。また、複数のスルーホール163F5には、図11(b)に示した複数のスルーホール163F4が接続されている。
【0154】
図12(b)に示したように、10層目ないし17層目の誘電体層140〜147の各々には、スルーホール8T6,9T6,10T6が形成されている。10層目の誘電体層140に形成されたスルーホール8T6,9T6,10T6には、それぞれ図12(a)に示したスルーホール8T5,9T5,10T5が接続されている。
【0155】
10層目ないし17層目の誘電体層140〜147の各々には、更に、4つのスルーホール107T6が形成されている。10層目の誘電体層140に形成された4つのスルーホール107T6には、図12(a)に示した4つのスルーホール107T5が接続されている。
【0156】
10層目ないし17層目の誘電体層140〜147の各々には、更に、複数のスルーホール163C6と、複数のスルーホール163D6と、複数のスルーホール163E6と、複数のスルーホール163F6が形成されている。10層目の誘電体層140に形成された複数のスルーホール163C6には、図12(a)に示した複数のスルーホール163C5が接続されている。10層目の誘電体層140に形成された複数のスルーホール163D6には、図12(a)に示した複数のスルーホール163D5が接続されている。10層目の誘電体層140に形成された複数のスルーホール163E6には、図12(a)に示した複数のスルーホール163E5が接続されている。10層目の誘電体層140に形成された複数のスルーホール163F6には、図12(a)に示した複数のスルーホール163F5が接続されている。
【0157】
誘電体層140〜147では、上下に隣接する同じ符号のスルーホール同士が互いに接続されている。
【0158】
図13に示したように、18層目の誘電体層148のパターン形成面には、シールド6の第2の部分62を構成する第2の導体層1481が形成されている。17層目の誘電体層147(図12(b)参照)に形成されたスルーホール8T6,9T6,10T6,107T6,163C6,163D6,163E6,163F6は、第2の導体層1481に接続されている。
【0159】
本実施の形態に係るバンドパスフィルタ100は、1層目の誘電体層131のパターン形成面が本体2の第1の端面2Aになるように、1層目ないし18層目の誘電体層131〜148が積層されて構成される。18層目の誘電体層148におけるパターン形成面とは反対側の面は、本体2の第2の端面2Bになる。1層目ないし18層目の誘電体層131〜148は、積層体20を構成する。
【0160】
共振器導体部1510,1520,1530,1540は、第1の方向すなわちZ方向に関して、積層体20内の同じ位置に配置されている。
【0161】
第1の入出力ポート3を構成する導体層1311は、スルーホール131T1,132T1を介して、図11(a)に示した導体層1371に接続されている。導体層1371は、誘電体層137,138を介して、図12(a)に示した共振器導体部1510に対向している。図9に示したキャパシタC1は、導体層1371と共振器導体部1510と、これらの間の誘電体層137,138とによって構成されている。
【0162】
第2の入出力ポート4を構成する導体層1312は、スルーホール131T2,132T2を介して、図11(a)に示した導体層1372に接続されている。導体層1372は、誘電体層137,138を介して、図12(a)に示した共振器導体部1540に対向している。図9に示したキャパシタC2は、導体層1372と共振器導体部1540と、これらの間の誘電体層137,138とによって構成されている。
【0163】
仕切り部7の複数のスルーホール列107Tは、複数のスルーホール107T1,107T2,107T3,107T4,107T5,107T6が、Z方向に直列に接続されることによって構成されている。
【0164】
スルーホール列8Tは、複数のスルーホール8T1,8T2,8T3,8T4,8T5,8T6が、Z方向に直列に接続されることによって構成されている。スルーホール列9Tは、複数のスルーホール9T1,9T2,9T3,9T4,9T5,9T6が、Z方向に直列に接続されることによって構成されている。スルーホール列10Tは、複数のスルーホール10T1,10T2,10T3,10T4,10T5,10T6が、Z方向に直列に接続されることによって構成されている。
【0165】
複数のスルーホール列163Cは、複数のスルーホール163C1,163C2,163C3,163C4,163C5,163C6が、Z方向に直列に接続されることによって構成されている。複数のスルーホール列163Dは、複数のスルーホール163D1,163D2,163D3,163D4,163D5,163D6が、Z方向に直列に接続されることによって構成されている。複数のスルーホール列163Eは、複数のスルーホール163E1,163E2,163E3,163E4,163E5,163E6が、Z方向に直列に接続されることによって構成されている。複数のスルーホール列163Fは、複数のスルーホール163F1,163F2,163F3,163F4,163F5,163F6が、Z方向に直列に接続されることによって構成されている。
【0166】
本実施の形態に係るバンドパスフィルタ100は、回路構成上、第1の入出力ポート3と第2の入出力ポート4の間に第1の入出力ポート3側から順に配置された共振器151,152,153,154を備えている。回路構成上隣接する2つの共振器は電磁結合する。
【0167】
共振器151,152,153,154は、それぞれ共振器導体部1510,1520,1530,1540を含んでいる。共振器導体部1510,1520,1530,1540の各々は、バンドパスフィルタ100の通過帯域の中心周波数に対応する波長の1/4の長さを有している。共振器151,152,153,154の各々は、1/4波長共振器として動作する。
【0168】
本実施の形態では、仕切り部7は、その少なくとも一部が共振器導体部1510と共振器導体部1540の間を通過するように、共振器導体部1510と共振器導体部1540の各々の長手方向(Y方向)と交差する方向に延在して、第1の部分61と第2の部分62とに接している。共振器導体部1510,1540は、それぞれ、回路構成上隣接していない共振器151,154の要素である。
【0169】
図14は、本実施の形態に係るバンドパスフィルタ100の挿入損失の周波数特性の一例を示している。図14に示した特性は、シミュレーションによって求めたものである。図14において、横軸は周波数を示し、縦軸は挿入損失を示している。
【0170】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0171】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。始めに、図15および図16を参照して、本実施の形態に係るバンドパスフィルタの構成について説明する。図15は、本実施の形態に係るバンドパスフィルタの構造を示す斜視図である。図16は、本実施の形態に係るバンドパスフィルタの回路構成を示す回路図である。
【0172】
本実施の形態に係るバンドパスフィルタ200は、本体2と、第1の入出力ポート3および第2の入出力ポート4と、複数の共振器と、シールド6と、仕切り部7と、スルーホール列8T,9Tと、キャパシタC1,C2を備えている。本体2は、積層体20を含んでいる。複数の共振器は、共振器51,52,53,54を含んでいる。共振器51は、共振器導体部510を含んでいる。共振器52は、共振器導体部520を含んでいる。共振器53は、共振器導体部530を含んでいる。共振器54は、共振器導体部540を含んでいる。共振器導体部510,520,530,540の各々は、第1端と第2端を有している。
【0173】
本実施の形態では、共振器51は、更に、共振器導体部510の第2端とグランドとの間に設けられたキャパシタC51を有している。共振器52は、更に、共振器導体部520の第2端とグランドとの間に設けられたキャパシタC52を有している。共振器53は、更に、共振器導体部530の第2端とグランドとの間に設けられたキャパシタC53を有している。共振器54は、更に、共振器導体部540の第2端とグランドとの間に設けられたキャパシタC54を有している。
【0174】
本実施の形態では、共振器導体部510,520,530,540の各々の長さは、バンドパスフィルタ200の通過帯域の中心周波数に対応する波長の1/4よりも小さい。
【0175】
本実施の形態において、キャパシタC52は本発明における第1のキャパシタに対応し、キャパシタC53は本発明における第2のキャパシタに対応する。
【0176】
次に、図17を参照して、本実施の形態における積層体20を構成する複数の誘電体層と、この複数の誘電体層に形成された複数の導体層および複数のスルーホールの構成の一例について説明する。本実施の形態では、積層体20は、第1の実施の形態における10層目および11層目の誘電体層40,41の代わりに、10層目および11層目の誘電体層240,241を有している。図17において、(a)は10層目の誘電体層240のパターン形成面を示し、(b)は11層目の誘電体層241のパターン形成面を示している。
【0177】
図17(a)に示したように、10層目の誘電体層240のパターン形成面には、5つの導体層2401,2402,2403,2404,2405が形成されている。導体層2401は、共振器導体部510と、シールド導体部631とを含んでいる。導体層2402は、共振器導体部520,530と、シールド導体部632とを含んでいる。導体層2403は、共振器導体部540と、シールド導体部633とを含んでいる。図17(a)では、共振器導体部510とシールド導体部631の境界、共振器導体部520とシールド導体部632の境界、共振器導体部530とシールド導体部632の境界、および共振器導体部540とシールド導体部633の境界を、それぞれ破線で示している。共振器導体部510,520,530,540の形状は、第1の実施の形態と同様である。
【0178】
図17(a)に示したように、本実施の形態では、共振器導体部520,530は、1つの導体層2402における互いに異なる部分によって構成されている。導体層2402のシールド導体部632は、共振器導体部520の第1端520aと共振器導体部530の第1端530aとを接続する接続部632Cを含んでいる。図17(a)では、接続部632Cと、シールド導体部632の残りの部分との間の2つの境界を点線で示している。
【0179】
図17(a)に示した10層目の誘電体層240には、スルーホール8T5,9T5が形成されている。スルーホール8T5は、導体層2404に接続されている。スルーホール9T5は、導体層2405に接続されている。また、スルーホール8T5,9T5には、それぞれ第1の実施の形態における図4(b)に示したスルーホール8T4,9T4が接続されている。
【0180】
誘電体層240には、更に、2つのスルーホール7T5が形成されている。2つのスルーホール7T5には、第1の実施の形態における図4(b)に示した2つのスルーホール7T4が接続されている。
【0181】
誘電体層240には、更に、複数のスルーホール63C5と、複数のスルーホール63D5と、複数のスルーホール63E15と、複数のスルーホール63E25と、複数のスルーホール63F15と、複数のスルーホール63F25が形成されている。複数のスルーホール63C5,63D5,63E15,63E25,63F15,63F25とシールド導体部631,632,633との接続関係は、第1の実施の形態と同様である。
【0182】
また、複数のスルーホール63C5には、第1の実施の形態における図4(b)に示した複数のスルーホール63C4が接続されている。複数のスルーホール63D5には、図4(b)に示した複数のスルーホール63D4が接続されている。複数のスルーホール63E15には、図4(b)に示した複数のスルーホール63E14が接続されている。複数のスルーホール63F15には、図4(b)に示した複数のスルーホール63F14が接続されている。
【0183】
図17(b)に示したように、11層目の誘電体層241のパターン形成面には、キャパシタC51を構成するために用いられる導体層2411と、キャパシタC52を構成するために用いられる導体層2412と、キャパシタC53を構成するために用いられる導体層2413と、キャパシタC53を構成するために用いられる導体層2413が形成されている。
【0184】
誘電体層241には、スルーホール8T6,9T6が形成されている。誘電体層241に形成されたスルーホール8T6,9T6には、それぞれ図17(a)に示したスルーホール8T5,9T5が接続されている。
【0185】
誘電体層241には、更に、2つのスルーホール7T6が形成されている。誘電体層241に形成された2つのスルーホール7T6には、図17(a)に示した2つのスルーホール7T5が接続されている。
【0186】
誘電体層241には、更に、複数のスルーホール63C6と、複数のスルーホール63D6と、複数のスルーホール63E16と、複数のスルーホール63E26と、複数のスルーホール63F16と、複数のスルーホール63F26が形成されている。誘電体層241に形成された複数のスルーホール63C6には、図17(a)に示した複数のスルーホール63C5が接続されている。誘電体層241に形成された複数のスルーホール63D6には、図17(a)に示した複数のスルーホール63D5が接続されている。
【0187】
誘電体層241に形成された複数のスルーホール63E16には、図17(a)に示した複数のスルーホール63E15が接続されている。誘電体層241に形成された複数のスルーホール63E26には、図17(a)に示した複数のスルーホール63E25が接続されている。誘電体層241に形成された複数のスルーホール63F16には、図17(a)に示した複数のスルーホール63F15が接続されている。誘電体層241に形成された複数のスルーホール63F26には、図17(a)に示した複数のスルーホール63F25が接続されている。
【0188】
第1の実施の形態における図5(b)に示した12層目の誘電体層42に形成された複数のスルーホール63C6には、11層目の誘電体層241に形成された複数のスルーホール63C6が接続されている。12層目の誘電体層42に形成された複数のスルーホール63D6には、11層目の誘電体層241に形成された複数のスルーホール63D6が接続されている。
【0189】
12層目の誘電体層42に形成された複数のスルーホール63E16には、11層目の誘電体層241に形成された複数のスルーホール63E16が接続されている。12層目の誘電体層42に形成された複数のスルーホール63E26には、11層目の誘電体層241に形成された複数のスルーホール63E26が接続されている。12層目の誘電体層42に形成された複数のスルーホール63F16には、11層目の誘電体層241に形成された複数のスルーホール63F16が接続されている。12層目の誘電体層42に形成された複数のスルーホール63F26には、11層目の誘電体層241に形成された複数のスルーホール63F26が接続されている。
【0190】
図17(b)に示した導体層2411は、誘電体層240を介して、図17(a)に示した共振器導体部510とシールド導体部631に対向している。図16に示したキャパシタC51は、導体層2411、共振器導体部510およびシールド導体部631と、誘電体層240とによって構成されている。
【0191】
図17(b)に示した導体層2412は、誘電体層240を介して、図17(a)に示した共振器導体部520と導体層2404に対向している。図16に示したキャパシタC52は、導体層2404,2412および共振器導体部520と、誘電体層240とによって構成されている。キャパシタC52は、導体層2404がスルーホール列8Tに接続されていることによってグランドに接続されている。
【0192】
図17(b)に示した導体層2413は、誘電体層240を介して、図17(a)に示した共振器導体部530と導体層2405に対向している。図16に示したキャパシタC53は、導体層2405,2413および共振器導体部530と、誘電体層240とによって構成されている。キャパシタC53は、導体層2405がスルーホール列9Tに接続されていることによってグランドに接続されている。
【0193】
図17(b)に示した導体層2414は、誘電体層240を介して、図17(a)に示した共振器導体部540とシールド導体部633に対向している。図16に示したキャパシタC54は、導体層2414、共振器導体部540およびシールド導体部633と、誘電体層240とによって構成されている。
【0194】
本実施の形態では、共振器51は共振器導体部510とキャパシタC51を有し、共振器52は共振器導体部520とキャパシタC52を有し、共振器53は共振器導体部530とキャパシタC53を有し、共振器54は共振器導体部540とキャパシタC54を有している。
【0195】
本実施の形態では、共振器導体部510,520,530,540の各々の長さを、第1の実施の形態と同じにすると、共振器51,52,53,54の各々の共振周波数は、第1の実施の形態に比べて低くなる。これは、本実施の形態における共振器導体部510,520,530,540の各々の長さは、共振器51,52,53,54の各々の共振周波数に対応する波長の1/4よりも小さいことを意味する。これにより、本実施の形態では、共振器導体部510,520,530,540の各々の長さは、バンドパスフィルタ200の通過帯域の中心周波数に対応する波長の1/4よりも小さくなる。
【0196】
本実施の形態によれば、通過帯域を同じにして比較すると、第1の実施の形態に比べて、共振器導体部510,520,530,540の各々の長さを小さくすることができる。これにより、本実施の形態によれば、バンドパスフィルタ200をより小型化することが可能になる。
【0197】
図18は、本実施の形態に係るバンドパスフィルタ200の挿入損失の周波数特性の一例を示している。図18に示した特性は、シミュレーションによって求めたものである。図18において、横軸は周波数を示し、縦軸は挿入損失を示している。図18には、共振器導体部510,520,530,540の各々の長さを第1の実施の形態と同じにした場合の例を示している。そのため、図18に示した特性における通過帯域の中心周波数は、図7に示したバンドパスフィルタ1の特性91における通過帯域の中心周波数よりも低くなっている。
【0198】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0199】
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。始めに、図19および図20を参照して、本実施の形態に係るバンドパスフィルタの構成について説明する。図19は、本実施の形態に係るバンドパスフィルタの構造を示す斜視図である。図20は、本実施の形態に係るバンドパスフィルタの回路構成を示す回路図である。
【0200】
本実施の形態に係るバンドパスフィルタ300は、本体2と、第1の入出力ポート3および第2の入出力ポート4と、複数の共振器と、シールド6と、仕切り部7と、キャパシタC1,C2を備えている。ただし、本実施の形態では、スルーホール列8T,9T(図1参照)が設けられていない。本体2は、積層体20を含んでいる。
【0201】
本実施の形態では、複数の共振器は、第1の実施の形態における共振器51,52,53,54の代わりに、回路構成上、第1の入出力ポート3側から順に配置された1段目の共振器351、2段目の共振器352および3段目の共振器353を含んでいる。共振器351〜353は、回路構成上隣接する2つの共振器が電磁結合するように構成されている。具体的に説明すると、共振器351〜353は、共振器351,352が回路構成上隣接して電磁結合し、共振器352,353が回路構成上隣接して電磁結合するように構成されている。シールド6の第1の部分61、第2の部分62および接続部63は、3つの共振器351〜353を囲むように配置されている。
【0202】
本実施の形態では、第1の部分61は、積層体20の主要部21の第1の端面21aに配置された第1の導体層3313によって構成されている。第2の部分62は、積層体20の主要部21の第2の端面21bに配置された第2の導体層3481によって構成されている。
【0203】
共振器351は、導体よりなる共振器導体部3510を含んでいる。共振器352は、導体よりなる共振器導体部3520を含んでいる。共振器353は、導体よりなる共振器導体部3530を含んでいる。
【0204】
共振器導体部3510,3520,3530の各々は、第1の方向すなわちZ方向と交差する方向に長い形状を有すると共に、その長手方向の両端に位置する第1端と第2端を有している。本実施の形態では特に、共振器導体部3510,3520,3530の各々は、Z方向に直交するY方向に長い形状を有している。
【0205】
共振器導体部3510,3520,3530の各々の第1端はグランドに接続されている。共振器導体部3510,3520,3530の各々の第2端は開放されている。
【0206】
共振器導体部3510,3520,3530の各々は、バンドパスフィルタ300の通過帯域の中心周波数に対応する波長の1/4以下の長さを有している。本実施の形態では特に、共振器導体部3510,3520,3530の各々の長さは、バンドパスフィルタ300の通過帯域の中心周波数に対応する波長の1/4である。
【0207】
本実施の形態において、1段目の共振器351は本発明における第1の共振器に対応し、3段目の共振器353は本発明における第2の共振器に対応する。また、共振器導体部3510は本発明における第1の共振器導体部に対応し、共振器導体部3530は本発明における第2の共振器導体部に対応する。また、共振器導体部3520は、本発明における第3の共振器導体部に対応する。
【0208】
本実施の形態では、仕切り部7は、その少なくとも一部が共振器導体部3510と共振器導体部3530の間を通過するように、共振器導体部3510と共振器導体部3530の各々の長手方向(Y方向)と交差する方向(Z方向)に延在して、第1の部分61と第2の部分62とに接している。
【0209】
また、本実施の形態では、シールド6の接続部63は、第1の実施の形態における複数の第2のスルーホール列63Tの代わりに、それぞれ主要部21を構成する2つ以上の誘電体層を貫通する複数の第2のスルーホール列363Tを含んでいる。図19では、個々のスルーホール列363Tを円柱で表している。複数の第2のスルーホール列363Tの各々は、直列に接続された2つ以上のスルーホールを含んでいる。複数の第2のスルーホール列363Tの各々は、Z方向に延びている。
【0210】
複数の第2のスルーホール列363Tは、複数のスルーホール列363Cと、複数のスルーホール列363Dと、複数のスルーホール列363Eと、複数のスルーホール列363Fとを含んでいる。複数のスルーホール列363Cは、本体2の側面2Cの近傍に配置され、X方向に並ぶように配列されている。複数のスルーホール列363Dは、本体2の側面2Dの近傍に配置され、X方向に並ぶように配列されている。複数のスルーホール列363Eは、本体2の側面2Eの近傍に配置され、Y方向に並ぶように配列されている。複数のスルーホール列363Fは、本体2の側面2Fの近傍に配置され、Y方向に並ぶように配列されている。
【0211】
また、シールド6の接続部63は、第1の実施の形態におけるシールド導体部631,632,633の代わりに、3つのシールド導体部3631,3632,3633を含んでいる。シールド導体部3631は、複数のスルーホール列363Cのうちの一部のスルーホール列163Cに接続されている。シールド導体部3632は、複数のスルーホール列363Dと、複数のスルーホール列363Eと、複数のスルーホール列163Fに接続されている。シールド導体部3633は、複数のスルーホール列363Cのうちの他の一部のスルーホール列363Cに接続されている。
【0212】
本実施の形態に係るバンドパスフィルタ300は、本体2内に設けられた複数のスルーホール列308Tおよび複数のスルーホール列309Tを備えている。複数のスルーホール列308T,309Tの各々は、主要部21を構成する2つ以上の誘電体層を貫通し、Z方向に延びて、第1の部分61と第2の部分62とに接している。複数のスルーホール列308T,309Tの各々は、直列に接続された2つ以上のスルーホールを含んでいる。複数のスルーホール列308Tは、共振器導体部3510と複数のスルーホール列363Eの近くに配置されている。複数のスルーホール列309Tは、共振器導体部3530と複数のスルーホール列363Fの近くに配置されている。複数のスルーホール列308T,309Tは、シールド6の機能を補助する機能を有している。
【0213】
また、図20に示したように、本実施の形態では、キャパシタC1は、第1の入出力ポート3と1段目の共振器351との間に設けられている。キャパシタC2は、第2の入出力ポート4と3段目の共振器353との間に設けられている。
【0214】
図20において、記号C303を付したキャパシタの記号は、共振器351,352間の容量結合を表している。また、記号C304を付したキャパシタの記号は、共振器352,353間の容量結合を表している。
【0215】
次に、図21ないし図24を参照して、本実施の形態における積層体20を構成する複数の誘電体層と、この複数の誘電体層に形成された複数の導体層および複数のスルーホールの構成の一例について説明する。この例では、積層体20は、積層された18層の誘電体層を有している。以下、この18層の誘電体層を、下から順に1層目ないし18層目の誘電体層と呼ぶ。本実施の形態では、主要部21は、1層目ないし17層目の誘電体層によって構成されている。被覆部22は、18層目の誘電体層によって構成されている。
【0216】
図21において、(a)は1層目の誘電体層のパターン形成面を示し、(b)は2層目ないし6層目の誘電体層のパターン形成面を示している。図22において、(a)は7層目の誘電体層のパターン形成面を示し、(b)は8層目の誘電体層のパターン形成面を示している。図23において、(a)は9層目の誘電体層のパターン形成面を示し、(b)は10層目ないし17層目の誘電体層のパターン形成面を示している。図24は、18層目の誘電体層のパターン形成面を示している。以下、1層目ないし18層目の誘電体層を符号331〜348で表す。
【0217】
図21(a)に示したように、1層目の誘電体層331のパターン形成面には、第1の入出力ポート3を構成する導体層3311と、第2の入出力ポート4を構成する導体層3312と、シールド6の第1の部分61を構成する第1の導体層3313とが形成されている。
【0218】
また、誘電体層331には、導体層3311に接続されたスルーホール331T1と、導体層3312に接続されたスルーホール331T2が形成されている。誘電体層331には、更に、2つの第1のスルーホール列7Tの一部を構成する2つのスルーホール7T1が形成されている。
【0219】
誘電体層331には、更に、複数のスルーホール列308Tの一部を構成する複数のスルーホール308T1と、複数のスルーホール列309Tの一部を構成する複数のスルーホール309T1と、複数のスルーホール列363Cの一部を構成する複数のスルーホール363C1と、複数のスルーホール列363Dの一部を構成する複数のスルーホール363D1と、複数のスルーホール列363Eの一部を構成する複数のスルーホール363E1と、複数のスルーホール列363Fの一部を構成する複数のスルーホール363F1が形成されている。
【0220】
スルーホール7T1,308T1,309T1,363C1,363D1,363E1,363F1は、第1の導体層3313に接続されている。
【0221】
図21(b)に示したように、2層目ないし6層目の誘電体層332〜336の各々には、スルーホール332T1,332T2が形成されている。2層目の誘電体層332に形成されたスルーホール332T1,332T2には、それぞれ図21(a)に示したスルーホール331T1,331T2が接続されている。
【0222】
2層目ないし6層目の誘電体層332〜336の各々には、更に、2つのスルーホール7T2が形成されている。2層目の誘電体層332に形成された2つのスルーホール7T2には、図21(a)に示した2つのスルーホール7T1が接続されている。
【0223】
2層目ないし6層目の誘電体層332〜336の各々には、更に、複数のスルーホール308T2と、複数のスルーホール309T2と、複数のスルーホール363C2と、複数のスルーホール363D2と、複数のスルーホール363E2と、複数のスルーホール363F2が形成されている。2層目の誘電体層332に形成された複数のスルーホール308T2には、図21(a)に示した複数のスルーホール308T1が接続されている。2層目の誘電体層332に形成された複数のスルーホール309T2には、図21(a)に示した複数のスルーホール309T1が接続されている。2層目の誘電体層332に形成された複数のスルーホール363C2には、図21(a)に示した複数のスルーホール363C1が接続されている。2層目の誘電体層332に形成された複数のスルーホール363D2には、図21(a)に示した複数のスルーホール363D1が接続されている。2層目の誘電体層332に形成された複数のスルーホール363E2には、図21(a)に示した複数のスルーホール363E1が接続されている。2層目の誘電体層332に形成された複数のスルーホール363F2には、図21(a)に示した複数のスルーホール363F1が接続されている。
【0224】
誘電体層332〜336では、上下に隣接する同じ符号のスルーホール同士が互いに接続されている。
【0225】
図22(a)に示したように、7層目の誘電体層337のパターン形成面には、キャパシタC1を構成するために用いられる導体層3371と、キャパシタC2を構成するために用いられる導体層3372が形成されている。導体層3371,3372には、それぞれ6層目の誘電体層336(図21(b)参照)に形成されたスルーホール332T1,332T2が接続されている。
【0226】
誘電体層337には、2つのスルーホール7T3が形成されている。2つのスルーホール7T3には、6層目の誘電体層336に形成された2つのスルーホール7T2が接続されている。
【0227】
誘電体層337には、更に、複数のスルーホール308T3と、複数のスルーホール309T3と、複数のスルーホール363C3と、複数のスルーホール363D3と、複数のスルーホール363E3と、複数のスルーホール363F3が形成されている。複数のスルーホール308T3には、6層目の誘電体層336に形成された複数のスルーホール308T2が接続されている。複数のスルーホール309T3には、6層目の誘電体層336に形成された複数のスルーホール309T2が接続されている。複数のスルーホール363C3には、6層目の誘電体層336に形成された複数のスルーホール363C2が接続されている。複数のスルーホール363D3には、6層目の誘電体層336に形成された複数のスルーホール363D2が接続されている。複数のスルーホール363E3には、6層目の誘電体層336に形成された複数のスルーホール363E2が接続されている。複数のスルーホール363F3には、6層目の誘電体層336に形成された複数のスルーホール363F2が接続されている。
【0228】
図22(b)に示したように、8層目の誘電体層338には、2つのスルーホール7T4が形成されている。2つのスルーホール7T4には、図22(a)に示した2つのスルーホール7T3が接続されている。
【0229】
誘電体層338には、更に、複数のスルーホール308T4と、複数のスルーホール309T4と、複数のスルーホール363C4と、複数のスルーホール363D4と、複数のスルーホール363E4と、複数のスルーホール363F4が形成されている。複数のスルーホール308T4には、図22(a)に示した複数のスルーホール308T3が接続されている。複数のスルーホール309T4には、図22(a)に示した複数のスルーホール309T3が接続されている。複数のスルーホール363C4には、図22(a)に示した複数のスルーホール363C3が接続されている。複数のスルーホール363D4には、図22(a)に示した複数のスルーホール363D3が接続されている。複数のスルーホール363E4には、図22(a)に示した複数のスルーホール363E3が接続されている。複数のスルーホール363F4には、図22(a)に示した複数のスルーホール363F3が接続されている。
【0230】
図23(a)に示したように、9層目の誘電体層339のパターン形成面には、3つの導体層3391,3392,3393が形成されている。導体層3391は、共振器導体部3510と、シールド導体部3631とを含んでいる。導体層3392は、共振器導体部3520と、シールド導体部3632とを含んでいる。導体層3393は、共振器導体部3530と、シールド導体部3633とを含んでいる。図23(a)では、共振器導体部3510とシールド導体部3631の境界、共振器導体部3520とシールド導体部3632の境界、および共振器導体部3530とシールド導体部3633の境界を、それぞれ破線で示している。
【0231】
共振器導体部3510は、長手方向すなわちY方向の両端に位置する第1端3510aと第2端3510bを有している。第1端3510aは、シールド導体部3631に接続されていることによってグランドに接続されている。第2端3510bは、開放されている。
【0232】
共振器導体部3520は、長手方向すなわちY方向の両端に位置する第1端3520aと第2端3520bを有している。第1端3520aは、シールド導体部3632に接続されていることによってグランドに接続されている。第2端3520bは、開放されている。
【0233】
共振器導体部3530は、長手方向すなわちY方向の両端に位置する第1端3530aと第2端3530bを有している。第1端3530aは、シールド導体部3633に接続されていることによってグランドに接続されている。第2端3530bは、開放されている。
【0234】
共振器導体部3510の第1端3510aから第2端3510bに向かう方向と、共振器導体部3530の第1端3530aから第2端3530bに向かう方向は、共振器導体部3520の第1端3520aから第2端3520bに向かう方向とは反対方向である。共振器導体部3510,3520,3530の第2端3510b,3520b,3530bは、互いに近い位置に配置されている。
【0235】
図23(a)に示した9層目の誘電体層339には、2つのスルーホール7T5が形成されている。2つのスルーホール7T5には、図22(b)に示した2つのスルーホール7T4が接続されている。
【0236】
誘電体層339には、更に、複数のスルーホール308T5と、複数のスルーホール309T5と、複数のスルーホール363C5と、複数のスルーホール363D5と、複数のスルーホール363E5と、複数のスルーホール363F5が形成されている。
【0237】
複数のスルーホール308T5には、図22(b)に示した複数のスルーホール308T4が接続されている。複数のスルーホール309T5には、図22(b)に示した複数のスルーホール309T4が接続されている。
【0238】
複数のスルーホール363C5のうちの一部のスルーホール363C5は、シールド導体部3631に接続されている。複数のスルーホール363C5のうちの他の一部のスルーホール363C5は、シールド導体部3633に接続されている。また、複数のスルーホール363C5には、図22(b)に示した複数のスルーホール363C4が接続されている。
【0239】
複数のスルーホール363D5、複数のスルーホール363E5および複数のスルーホール363F5は、シールド導体部3632に接続されている。また、複数のスルーホール363D5には、図22(b)に示した複数のスルーホール363D4が接続されている。複数のスルーホール363E5には、図22(b)に示した複数のスルーホール363E4が接続されている。複数のスルーホール363F5には、図22(b)に示した複数のスルーホール363F4が接続されている。
【0240】
図23(b)に示したように、10層目ないし17層目の誘電体層340〜347の各々には、2つのスルーホール7T6が形成されている。10層目の誘電体層340に形成された2つのスルーホール7T6には、図23(a)に示した2つのスルーホール7T5が接続されている。
【0241】
10層目ないし17層目の誘電体層340〜347の各々には、更に、複数のスルーホール308T6と、複数のスルーホール309T6と、複数のスルーホール363C6と、複数のスルーホール363D6と、複数のスルーホール363E6と、複数のスルーホール363F6が形成されている。10層目の誘電体層340に形成された複数のスルーホール308T6には、図23(a)に示した複数のスルーホール308T5が接続されている。10層目の誘電体層340に形成された複数のスルーホール309T6には、図23(a)に示した複数のスルーホール309T5が接続されている。10層目の誘電体層340に形成された複数のスルーホール363C6には、図23(a)に示した複数のスルーホール363C5が接続されている。10層目の誘電体層340に形成された複数のスルーホール363D6には、図23(a)に示した複数のスルーホール363D5が接続されている。10層目の誘電体層340に形成された複数のスルーホール363E6には、図23(a)に示した複数のスルーホール363E5が接続されている。10層目の誘電体層340に形成された複数のスルーホール363F6には、図23(a)に示した複数のスルーホール363F5が接続されている。
【0242】
誘電体層340〜347では、上下に隣接する同じ符号のスルーホール同士が互いに接続されている。
【0243】
図24に示したように、18層目の誘電体層348のパターン形成面には、シールド6の第2の部分62を構成する第2の導体層3481が形成されている。17層目の誘電体層347(図23(b)参照)に形成されたスルーホール7T6,308T6,309T6,363C6,363D6,363E6,363F6は、第2の導体層3481に接続されている。
【0244】
本実施の形態に係るバンドパスフィルタ300は、1層目の誘電体層331のパターン形成面が本体2の第1の端面2Aになるように、1層目ないし18層目の誘電体層331〜348が積層されて構成される。18層目の誘電体層348におけるパターン形成面とは反対側の面は、本体2の第2の端面2Bになる。1層目ないし18層目の誘電体層331〜348は、積層体20を構成する。
【0245】
共振器導体部3510,3520,3530は、第1の方向すなわちZ方向に関して、積層体20内の同じ位置に配置されている。
【0246】
第1の入出力ポート3を構成する導体層3311は、スルーホール331T1,332T1を介して、図22(a)に示した導体層3371に接続されている。導体層3371は、誘電体層337,338を介して、図23(a)に示した共振器導体部3510に対向している。図20に示したキャパシタC1は、導体層3371と共振器導体部3510と、これらの間の誘電体層337,338とによって構成されている。
【0247】
第2の入出力ポート4を構成する導体層3312は、スルーホール331T2,332T2を介して、図22(a)に示した導体層3372に接続されている。導体層3372は、誘電体層337,338を介して、図23(a)に示した共振器導体部3530に対向している。図9に示したキャパシタC2は、導体層3372と共振器導体部3530と、これらの間の誘電体層337,338とによって構成されている。
【0248】
仕切り部7の複数のスルーホール列7Tは、複数のスルーホール7T1,7T2,7T3,7T4,7T5,7T6が、Z方向に直列に接続されることによって構成されている。
【0249】
複数のスルーホール列308Tは、複数のスルーホール308T1,308T2,308T3,308T4,308T5,308T6が、Z方向に直列に接続されることによって構成されている。複数のスルーホール列309Tは、複数のスルーホール309T1,309T2,309T3,309T4,309T5,309T6が、Z方向に直列に接続されることによって構成されている。
【0250】
複数のスルーホール列363Cは、複数のスルーホール363C1,363C2,363C3,363C4,363C5,363C6が、Z方向に直列に接続されることによって構成されている。複数のスルーホール列363Dは、複数のスルーホール363D1,363D2,363D3,363D4,363D5,363D6が、Z方向に直列に接続されることによって構成されている。複数のスルーホール列363Eは、複数のスルーホール363E1,363E2,363E3,363E4,363E5,363E6が、Z方向に直列に接続されることによって構成されている。複数のスルーホール列363Fは、複数のスルーホール363F1,363F2,363F3,363F4,363F5,363F6が、Z方向に直列に接続されることによって構成されている。
【0251】
本実施の形態に係るバンドパスフィルタ300は、回路構成上、第1の入出力ポート3と第2の入出力ポート4の間に第1の入出力ポート3側から順に配置された共振器351,352,353を備えている。回路構成上隣接する2つの共振器は電磁結合する。
【0252】
共振器351,352,353は、それぞれ共振器導体部3510,3520,3530を含んでいる。共振器導体部3510,3520,3530の各々は、バンドパスフィルタ300の通過帯域の中心周波数に対応する波長の1/4の長さを有している。共振器351,352,353の各々は、1/4波長共振器として動作する。
【0253】
本実施の形態では、仕切り部7は、その少なくとも一部が共振器導体部3510と共振器導体部3530の間を通過するように、共振器導体部3510と共振器導体部3530の各々の長手方向(Y方向)と交差する方向に延在して、第1の部分61と第2の部分62とに接している。共振器導体部3510,3530は、それぞれ、回路構成上隣接していない共振器351,353の要素である。
【0254】
図25は、本実施の形態に係るバンドパスフィルタ300の挿入損失の周波数特性の一例を示している。図25に示した特性は、シミュレーションによって求めたものである。図25において、横軸は周波数を示し、縦軸は挿入損失を示している。
【0255】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0256】
[第5の実施の形態]
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。始めに、図26および図27を参照して、本実施の形態に係るバンドパスフィルタの構成について説明する。図26は、本実施の形態に係るバンドパスフィルタの構造を示す斜視図である。図27は、本実施の形態に係るバンドパスフィルタの回路構成を示す回路図である。
【0257】
本実施の形態に係るバンドパスフィルタ400は、本体2と、第1の入出力ポート3および第2の入出力ポート4と、複数の共振器と、シールド6と、仕切り部7と、スルーホール列8T,9Tと、キャパシタC1,C2を備えている。本体2は、積層体20を含んでいる。
【0258】
本実施の形態では、複数の共振器は、第1の実施の形態における共振器51,52,53,54の代わりに、回路構成上、第1の入出力ポート3側から順に配置された1段目の共振器451および2段目の共振器452を含んでいる。共振器451,452は、電磁結合するように構成されている。シールド6の第1の部分61、第2の部分62および接続部63は、2つの共振器451,452を囲むように配置されている。
【0259】
本実施の形態では、第1の部分61は、積層体20の主要部21の第1の端面21aに配置された第1の導体層4313によって構成されている。第2の部分62は、積層体20の主要部21の第2の端面21bに配置された第2の導体層4481によって構成されている。
【0260】
共振器451は、導体よりなる共振器導体部4510を含んでいる。共振器452は、導体よりなる共振器導体部4520を含んでいる。
【0261】
共振器導体部4510,4520の各々は、第1の方向すなわちZ方向と交差する方向に長い形状を有すると共に、その長手方向の両端に位置する第1端と第2端を有している。本実施の形態では特に、共振器導体部4510,4520の各々は、Z方向に直交するY方向に長い形状を有している。
【0262】
共振器導体部4510,4520の各々の第1端はグランドに接続されている。共振器導体部4510,4520の各々の第2端は開放されている。
【0263】
共振器導体部4510,4520の各々は、バンドパスフィルタ400の通過帯域の中心周波数に対応する波長の1/4以下の長さを有している。本実施の形態では特に、共振器導体部4510,4520の各々の長さは、バンドパスフィルタ400の通過帯域の中心周波数に対応する波長の1/4である。
【0264】
本実施の形態において、1段目の共振器451は本発明における第1の共振器に対応し、2段目の共振器452は本発明における第2の共振器に対応する。また、共振器導体部4510は本発明における第1の共振器導体部に対応し、共振器導体部4520は本発明における第2の共振器導体部に対応する。
【0265】
本実施の形態では、仕切り部7は、その少なくとも一部が共振器導体部4510と共振器導体部4520の間を通過するように、共振器導体部4510と共振器導体部4520の各々の長手方向(Y方向)と交差する方向(Z方向)に延在して、第1の部分61と第2の部分62とに接している。また、仕切り部7は、第1の実施の形態における複数の第1のスルーホール列7Tの代わりに、それぞれ主要部21を構成する2つ以上の誘電体層を貫通する複数の第1のスルーホール列407Tを含んでいる。図26では、個々のスルーホール列407Tを円柱で表している。複数の第1のスルーホール列407Tの各々は、直列に接続された2つ以上のスルーホールを含んでいる。複数の第1のスルーホール列407Tの各々は、Z方向に延びている。また、複数の第1のスルーホール列407Tは、Y方向に並ぶように配列されている。本実施の形態では、第1のスルーホール列407Tの数は4である。
【0266】
また、本実施の形態では、シールド6の接続部63は、第1の実施の形態における複数の第2のスルーホール列63Tの代わりに、それぞれ主要部21を構成する2つ以上の誘電体層を貫通する複数の第2のスルーホール列463Tを含んでいる。図26では、個々のスルーホール列463Tを円柱で表している。複数の第2のスルーホール列463Tの各々は、直列に接続された2つ以上のスルーホールを含んでいる。複数の第2のスルーホール列463Tの各々は、Z方向に延びている。
【0267】
複数の第2のスルーホール列463Tは、複数のスルーホール列463Cと、複数のスルーホール列463Dと、複数のスルーホール列463Eと、複数のスルーホール列463Fとを含んでいる。複数のスルーホール列463Cは、本体2の側面2Cの近傍に配置され、X方向に並ぶように配列されている。複数のスルーホール列463Dは、本体2の側面2Dの近傍に配置され、X方向に並ぶように配列されている。複数のスルーホール列463Eは、本体2の側面2Eの近傍に配置され、Y方向に並ぶように配列されている。複数のスルーホール列463Fは、本体2の側面2Fの近傍に配置され、Y方向に並ぶように配列されている。
【0268】
また、シールド6の接続部63は、第1の実施の形態におけるシールド導体部631,632,633の代わりに、3つのシールド導体部4631,4632,4633を含んでいる。シールド導体部4631は、複数のスルーホール列463Cに接続されている。シールド導体部4632は、複数のスルーホール列163Eに接続されている。シールド導体部4633は、複数のスルーホール列163Fに接続されている。
【0269】
また、図26に示したように、本実施の形態では、スルーホール列8Tは、共振器導体部4510とシールド導体部4632の近くに配置されている。スルーホール列9Tは、共振器導体部4520とシールド導体部4633の近くに配置されている。
【0270】
本実施の形態に係るバンドパスフィルタ400は、更に、本体2内に設けられたスルーホール列410Tを備えている。スルーホール列410Tは、主要部21を構成する2つ以上の誘電体層を貫通し、Z方向に延びて、第1の部分61と第2の部分62とに接している。スルーホール列410Tは、直列に接続された2つ以上のスルーホールを含んでいる。スルーホール列410Tは、本体2の側面2Dの近傍に配置されている。スルーホール列410Tは、シールド6の機能を補助する機能を有している。
【0271】
また、図27に示したように、本実施の形態では、キャパシタC1は、第1の入出力ポート3と1段目の共振器451との間に設けられている。キャパシタC2は、第2の入出力ポート4と2段目の共振器452との間に設けられている。図27において、記号Mを付した曲線は、共振器451,452間の磁気結合を表している。
【0272】
次に、図28ないし図31を参照して、本実施の形態における積層体20を構成する複数の誘電体層と、この複数の誘電体層に形成された複数の導体層および複数のスルーホールの構成の一例について説明する。この例では、積層体20は、積層された18層の誘電体層を有している。以下、この18層の誘電体層を、下から順に1層目ないし18層目の誘電体層と呼ぶ。本実施の形態では、主要部21は、1層目ないし17層目の誘電体層によって構成されている。被覆部22は、18層目の誘電体層によって構成されている。
【0273】
図28において、(a)は1層目の誘電体層のパターン形成面を示し、(b)は2層目ないし6層目の誘電体層のパターン形成面を示している。図29において、(a)は7層目の誘電体層のパターン形成面を示し、(b)は8層目の誘電体層のパターン形成面を示している。図30において、(a)は9層目の誘電体層のパターン形成面を示し、(b)は10層目ないし17層目の誘電体層のパターン形成面を示している。図31は、18層目の誘電体層のパターン形成面を示している。以下、1層目ないし18層目の誘電体層を符号431〜448で表す。
【0274】
図28(a)に示したように、1層目の誘電体層431のパターン形成面には、第1の入出力ポート3を構成する導体層4311と、第2の入出力ポート4を構成する導体層4312と、シールド6の第1の部分61を構成する第1の導体層4313とが形成されている。
【0275】
また、誘電体層431には、導体層4311に接続されたスルーホール431T1と、導体層4312に接続されたスルーホール431T2と、スルーホール列8Tの一部を構成するスルーホール8T1と、スルーホール列9Tの一部を構成するスルーホール9T1と、スルーホール列410Tの一部を構成するスルーホール410T1とが形成されている。誘電体層431には、更に、4つの第1のスルーホール列407Tの一部を構成する4つのスルーホール407T1が形成されている。
【0276】
誘電体層431には、更に、複数のスルーホール列463Cの一部を構成する複数のスルーホール463C1と、複数のスルーホール列463Dの一部を構成する複数のスルーホール463D1と、複数のスルーホール列463Eの一部を構成する複数のスルーホール463E1と、複数のスルーホール列463Fの一部を構成する複数のスルーホール463F1が形成されている。
【0277】
スルーホール8T1,9T1,407T1,410T1,463C1,463D1,463E1,463F1は、第1の導体層4313に接続されている。
【0278】
図28(b)に示したように、2層目ないし6層目の誘電体層432〜436の各々には、スルーホール432T1,432T2,8T2,9T2,410T2が形成されている。2層目の誘電体層432に形成されたスルーホール432T1,432T2,8T2,9T2,410T2には、それぞれ図28(a)に示したスルーホール431T1,431T2,8T1,9T1,410T1が接続されている。
【0279】
2層目ないし6層目の誘電体層432〜436の各々には、更に、4つのスルーホール407T2が形成されている。2層目の誘電体層432に形成された4つのスルーホール407T2には、図28(a)に示した4つのスルーホール407T1が接続されている。
【0280】
2層目ないし6層目の誘電体層432〜436の各々には、更に、複数のスルーホール463C2と、複数のスルーホール463D2と、複数のスルーホール463E2と、複数のスルーホール463F2が形成されている。2層目の誘電体層432に形成された複数のスルーホール463C2には、図28(a)に示した複数のスルーホール463C1が接続されている。2層目の誘電体層432に形成された複数のスルーホール463D2には、図28(a)に示した複数のスルーホール463D1が接続されている。2層目の誘電体層432に形成された複数のスルーホール463E2には、図28(a)に示した複数のスルーホール463E1が接続されている。2層目の誘電体層432に形成された複数のスルーホール463F2には、図28(a)に示した複数のスルーホール463F1が接続されている。
【0281】
誘電体層432〜436では、上下に隣接する同じ符号のスルーホール同士が互いに接続されている。
【0282】
図29(a)に示したように、7層目の誘電体層437のパターン形成面には、キャパシタC1を構成するために用いられる導体層4371と、キャパシタC2を構成するために用いられる導体層4372が形成されている。導体層4371,4372には、それぞれ6層目の誘電体層436(図28(b)参照)に形成されたスルーホール432T1,432T2が接続されている。
【0283】
誘電体層437には、スルーホール8T3,9T3,410T3が形成されている。スルーホール8T3,9T3,410T3には、それぞれ6層目の誘電体層436に形成されたスルーホール8T2,9T2,410T2が接続されている。
【0284】
誘電体層437には、更に、4つのスルーホール407T3が形成されている。4つのスルーホール407T3には、6層目の誘電体層436に形成された4つのスルーホール407T2が接続されている。
【0285】
誘電体層437には、更に、複数のスルーホール463C3と、複数のスルーホール463D3と、複数のスルーホール463E3と、複数のスルーホール463F3が形成されている。複数のスルーホール463C3には、6層目の誘電体層436に形成された複数のスルーホール463C2が接続されている。複数のスルーホール463D3には、6層目の誘電体層436に形成された複数のスルーホール463D2が接続されている。複数のスルーホール463E3には、6層目の誘電体層436に形成された複数のスルーホール463E2が接続されている。複数のスルーホール463F3には、6層目の誘電体層436に形成された複数のスルーホール463F2が接続されている。
【0286】
図29(b)に示したように、8層目の誘電体層438には、スルーホール8T4,9T4,410T4が形成されている。スルーホール8T4,9T4,410T4には、それぞれ図29(a)に示したスルーホール8T3,9T3,410T3が接続されている。
【0287】
誘電体層438には、更に、4つのスルーホール407T4が形成されている。4つのスルーホール407T4には、図29(a)に示した4つのスルーホール407T3が接続されている。
【0288】
誘電体層438には、更に、複数のスルーホール463C4と、複数のスルーホール463D4と、複数のスルーホール463E4と、複数のスルーホール463F4が形成されている。複数のスルーホール463C4には、図29(a)に示した複数のスルーホール463C3が接続されている。複数のスルーホール463D4には、図29(a)に示した複数のスルーホール463D3が接続されている。複数のスルーホール463E4には、図29(a)に示した複数のスルーホール463E3が接続されている。複数のスルーホール463F4には、図29(a)に示した複数のスルーホール463F3が接続されている。
【0289】
図30(a)に示したように、9層目の誘電体層439のパターン形成面には、3つの導体層4391,4392,4393が形成されている。導体層4391は、共振器導体部4510と、共振器導体部4520と、シールド導体部4631とを含んでいる。導体層4392は、シールド導体部4632を含んでいる。導体層4393は、シールド導体部4633を含んでいる。図30(a)では、共振器導体部4510とシールド導体部4631の境界、および共振器導体部4520とシールド導体部4631の境界を、それぞれ破線で示している。
【0290】
共振器導体部4510は、長手方向すなわちY方向の両端に位置する第1端4510aと第2端4510bを有している。第1端4510aは、シールド導体部4631に接続されていることによってグランドに接続されている。第2端4510bは、開放されている。
【0291】
共振器導体部4520は、長手方向すなわちY方向の両端に位置する第1端4520aと第2端4520bを有している。第1端4520aは、シールド導体部4631に接続されていることによってグランドに接続されている。第2端4520bは、開放されている。
【0292】
図30(a)に示したように、本実施の形態では、共振器導体部4510,4520は、1つの導体層4391における互いに異なる部分によって構成されている。導体層4391のシールド導体部4631は、共振器導体部4510の第1端4510aと共振器導体部4520の第1端4520aとを接続する接続部4631Cを含んでいる。図30(a)では、接続部4631Cと、シールド導体部4631の残りの部分との間の2つの境界を点線で示している。接続部4631Cは、共振器451,452間の磁気結合を大きくする役割を有している。共振器451,452間の磁気結合の大きさは、接続部4631Cを考慮しない場合の共振器451,452間の磁気結合の大きさと、接続部4631Cとによって調整される。
【0293】
図30(a)に示した9層目の誘電体層439には、スルーホール8T5,9T5,410T5が形成されている。スルーホール8T5,9T5,410T5には、それぞれ図29(b)に示したスルーホール8T4,9T4,410T4が接続されている。
【0294】
誘電体層439には、更に、4つのスルーホール407T5が形成されている。4つのスルーホール407T5には、図29(b)に示した4つのスルーホール407T4が接続されている。
【0295】
誘電体層439には、更に、複数のスルーホール463C5と、複数のスルーホール463D5と、複数のスルーホール463E5と、複数のスルーホール463F5が形成されている。
【0296】
複数のスルーホール463C5は、シールド導体部4631に接続されている。また、複数のスルーホール463C5には、図29(b)に示した複数のスルーホール463C4が接続されている。
【0297】
複数のスルーホール463D5には、図29(b)に示した複数のスルーホール463D4が接続されている。
【0298】
複数のスルーホール463E5は、シールド導体部4632に接続されている。また、複数のスルーホール463E5には、図29(b)に示した複数のスルーホール463E4が接続されている。
【0299】
複数のスルーホール463F5は、シールド導体部4633に接続されている。また、複数のスルーホール463F5には、図29(b)に示した複数のスルーホール463F4が接続されている。
【0300】
図30(b)に示したように、10層目ないし17層目の誘電体層440〜447の各々には、スルーホール8T6,9T6,410T6が形成されている。10層目の誘電体層440に形成されたスルーホール8T6,9T6,410T6には、それぞれ図30(a)に示したスルーホール8T5,9T5,410T5が接続されている。
【0301】
10層目ないし17層目の誘電体層440〜447の各々には、更に、4つのスルーホール407T6が形成されている。10層目の誘電体層440に形成された4つのスルーホール407T6には、図30(a)に示した4つのスルーホール407T5が接続されている。
【0302】
10層目ないし17層目の誘電体層440〜447の各々には、更に、複数のスルーホール463C6と、複数のスルーホール463D6と、複数のスルーホール463E6と、複数のスルーホール463F6が形成されている。10層目の誘電体層440に形成された複数のスルーホール463C6には、図30(a)に示した複数のスルーホール463C5が接続されている。10層目の誘電体層440に形成された複数のスルーホール463D6には、図30(a)に示した複数のスルーホール463D5が接続されている。10層目の誘電体層440に形成された複数のスルーホール463E6には、図30(a)に示した複数のスルーホール463E5が接続されている。10層目の誘電体層440に形成された複数のスルーホール463F6には、図30(a)に示した複数のスルーホール463F5が接続されている。
【0303】
誘電体層440〜447では、上下に隣接する同じ符号のスルーホール同士が互いに接続されている。
【0304】
図31に示したように、18層目の誘電体層448のパターン形成面には、シールド6の第2の部分62を構成する第2の導体層4481が形成されている。17層目の誘電体層447(図30(a)参照)に形成されたスルーホール8T6,9T6,407T6,410T6,463C6,463D6,463E6,463F6は、第2の導体層4481に接続されている。
【0305】
本実施の形態に係るバンドパスフィルタ400は、1層目の誘電体層431のパターン形成面が本体2の第1の端面2Aになるように、1層目ないし18層目の誘電体層431〜448が積層されて構成される。18層目の誘電体層448におけるパターン形成面とは反対側の面は、本体2の第2の端面2Bになる。1層目ないし18層目の誘電体層431〜448は、積層体20を構成する。
【0306】
共振器導体部4510,4520は、第1の方向すなわちZ方向に関して、積層体20内の同じ位置に配置されている。
【0307】
第1の入出力ポート3を構成する導体層4311は、スルーホール431T1,432T1を介して、図29(a)に示した導体層4371に接続されている。導体層4371は、誘電体層437,438を介して、図30(a)に示した共振器導体部4510に対向している。図27に示したキャパシタC1は、導体層4371と共振器導体部4510と、これらの間の誘電体層437,438とによって構成されている。
【0308】
第2の入出力ポート4を構成する導体層4312は、スルーホール431T2,432T2を介して、図29(a)に示した導体層4372に接続されている。導体層4372は、誘電体層437,438を介して、図30(a)に示した共振器導体部4520に対向している。図27に示したキャパシタC2は、導体層4372と共振器導体部4520と、これらの間の誘電体層437,438とによって構成されている。
【0309】
仕切り部7の複数のスルーホール列407Tは、複数のスルーホール407T1,407T2,407T3,407T4,407T5,407T6が、Z方向に直列に接続されることによって構成されている。
【0310】
スルーホール列8Tは、複数のスルーホール8T1,8T2,8T3,8T4,8T5,8T6が、Z方向に直列に接続されることによって構成されている。スルーホール列9Tは、複数のスルーホール9T1,9T2,9T3,9T4,9T5,9T6が、Z方向に直列に接続されることによって構成されている。スルーホール列410Tは、複数のスルーホール410T1,410T2,410T3,410T4,410T5,410T6が、Z方向に直列に接続されることによって構成されている。
【0311】
複数のスルーホール列463Cは、複数のスルーホール463C1,463C2,463C3,463C4,463C5,463C6が、Z方向に直列に接続されることによって構成されている。複数のスルーホール列463Dは、複数のスルーホール463D1,463D2,463D3,463D4,463D5,463D6が、Z方向に直列に接続されることによって構成されている。複数のスルーホール列463Eは、複数のスルーホール463E1,463E2,463E3,463E4,463E5,463E6が、Z方向に直列に接続されることによって構成されている。複数のスルーホール列463Fは、複数のスルーホール463F1,463F2,463F3,463F4,463F5,463F6が、Z方向に直列に接続されることによって構成されている。
【0312】
本実施の形態に係るバンドパスフィルタ400は、回路構成上、第1の入出力ポート3と第2の入出力ポート4の間に第1の入出力ポート3側から順に配置された共振器451,452を備えている。共振器451,452は、それぞれ共振器導体部4510,4520を含んでいる。共振器導体部4510,4520の各々は、バンドパスフィルタ400の通過帯域の中心周波数に対応する波長の1/4の長さを有している。共振器451,452の各々は、1/4波長共振器として動作する。
【0313】
図32は、本実施の形態に係るバンドパスフィルタ400の挿入損失の周波数特性の一例を示している。図32に示した特性は、シミュレーションによって求めたものである。図32において、横軸は周波数を示し、縦軸は挿入損失を示している。
【0314】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0315】
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、シールド6の接続部の少なくとも一部は、複数のスルーホール列の代わりに、本体2の1つ以上の側面に形成した導体層によって構成してもよい。また、仕切り部7は、複数のスルーホール列の代わりに、板状の導体部によって構成してもよい。
【符号の説明】
【0316】
1…バンドパスフィルタ、2…本体、3…第1の入出力ポート、4…第2の入出力ポート、6…シールド、7…仕切り部、7T…第1のスルーホール列、20…積層体、21…主要部、22…被覆部、31〜49…誘電体層、51,52,53,54…共振器、61…第1の部分、62…第2の部分、63…接続部、63T…第2のスルーホール列。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32