特許第6784188号(P6784188)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6784188
(24)【登録日】2020年10月27日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】積層コイル部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/04 20060101AFI20201102BHJP
   H01F 27/29 20060101ALI20201102BHJP
   H01F 17/00 20060101ALI20201102BHJP
【FI】
   H01F17/04 A
   H01F27/29 123
   H01F17/00 D
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-25109(P2017-25109)
(22)【出願日】2017年2月14日
(65)【公開番号】特開2018-133397(P2018-133397A)
(43)【公開日】2018年8月23日
【審査請求日】2019年10月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】永井 雄介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 孝志
(72)【発明者】
【氏名】角田 晃一
(72)【発明者】
【氏名】川崎 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】近藤 真一
(72)【発明者】
【氏名】石間 雄也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真一
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 聖樹
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 貴志
【審査官】 秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−028143(JP,A)
【文献】 特開平09−035982(JP,A)
【文献】 特開平10−012455(JP,A)
【文献】 特開2009−117664(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/04
H01F 17/00
H01F 27/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層構造を有し、絶縁性素体の内部にコイルを含む積層コイル部品であって、
前記コイルの一部を構成するとともに前記積層構造を構成する層内において延在し、一方向に延びる一端部を有する第1のコイル部と、
前記コイルの一部を構成するとともに前記積層構造を構成する層内において延在し、前記第1のコイル部の前記一端部と対向する方向に延びるとともに該一端部と積層方向において直接重なる一端部を有する第2のコイル部と
を備え、
前記第1のコイル部および前記第2のコイル部のうちの少なくとも一方のコイル部の一端部は、他方のコイル部の側に位置して該他方のコイル部と接する接触縁と、前記他方のコイル部とは反対の側に位置して該他方のコイル部とは接しない非接触縁とを有し、
前記接触縁と前記非接触縁とが前記積層方向から見て重なっておらず、
前記第1のコイル部および前記第2のコイル部の両方の一端部が、前記接触縁および前記非接触縁を有し、
前記第1のコイル部および前記第2のコイル部の両方の一端部において、前記接触縁と前記非接触縁とが前記積層方向から見て重なっていない、積層コイル部品。
【請求項2】
前記第1のコイル部および前記第2のコイル部のうちの少なくとも一方のコイル部の一端部において、前記接触縁が前記非接触縁よりも端部延在方向における先端側に位置している、請求項1に記載の積層コイル部品。
【請求項3】
前記第1のコイル部および前記第2のコイル部の両方の一端部において、前記接触縁が前記非接触縁よりも端部延在方向における先端側に位置している、請求項に記載の積層コイル部品。
【請求項4】
前記第2のコイル部が一方向に延びる他端部を有しており、
前記コイルの一部を構成するとともに前記積層構造を構成する層内において延在し、前記第2のコイル部の他端部と対向する方向に延びるとともに前記第2のコイル部に関して前記第1のコイル部とは反対の側において前記他端部と直接重なる一端部を有する第3のコイル部をさらに備える、請求項1〜のいずれか一項に記載の積層コイル部品。
【請求項5】
前記第2のコイル部の厚さが、前記第1のコイル部の厚さおよび前記第3のコイル部の厚さのいずれより薄い、請求項に記載の積層コイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層コイル部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯通信端末などの電源用途に、コイル部品を搭載したDC−DCコンバータが用いられている。上記コイル部品には、小型化等の観点から、積層型のコイル部品(積層コイル部品)が用いられる。このような積層コイル部品は、たとえば下記特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−183007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者らは、部品の強度向上について鋭意研究の末、より高い部品強度を実現することができる技術を新たに見出した。
【0005】
本発明は、部品強度の向上が図られた積層コイル部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る積層コイル部品は、積層構造を有し、絶縁性素体の内部にコイルを含む積層コイル部品であって、コイルの一部を構成するとともに積層構造を構成する層内において延在し、一方向に延びる一端部を有する第1のコイル部と、コイルの一部を構成するとともに積層構造を構成する層内において延在し、第1のコイル部の一端部と対向する方向に延びるとともに該一端部と積層方向において直接重なる一端部を有する第2のコイル部とを備え、第1のコイル部および第2のコイル部のうちの少なくとも一方のコイル部の一端部は、他方のコイル部の側に位置して該他方のコイル部と接する接触縁と、他方のコイル部とは反対の側に位置して該他方のコイル部とは接しない非接触縁とを有し、接触縁と非接触縁とが積層方向から見て重なっていない。
【0007】
上記積層コイル部品においては、第1のコイル部および第2のコイル部のうちの少なくとも一方のコイル部の一端部が、積層方向から見て重ならない接触縁と非接触縁とを有するため、該一端部の端面が積層方向に関して傾いている。上記積層コイル部品においては、部品外部からの応力に起因して、該一方のコイル部の一端部の端面に沿って延びるクラックが、他方のコイル部の一端部に生じ得る。このとき、端面が積層方向に関して傾いている場合は、端面が積層方向に平行な場合に比べて、他方のコイル部の一端部におけるクラックの進行が抑制される。このようにクラックの進行が抑制される結果、積層コイル部品全体として部品強度が向上する。
【0008】
また、第1のコイル部および第2のコイル部の両方の一端部が、接触縁および非接触縁を有し、第1のコイル部および第2のコイル部の両方の一端部において、接触縁と非接触縁とが積層方向から見て重なっていない態様であってもよい。この場合、第1のコイル部および第2のコイル部の両方の一端部において、クラックの進行が抑制され、部品強度のさらなる向上が図られる。
【0009】
さらに、第1のコイル部および第2のコイル部のうちの少なくとも一方のコイル部の一端部において、接触縁が非接触縁よりも端部延在方向における先端側に位置している態様であってもよい。この場合、第1のコイル部と第2のコイル部との間に大きな接触面積を確保することができ、コイルの直流抵抗を低減することができる。
【0010】
なお、第1のコイル部および第2のコイル部の両方の一端部において、接触縁が非接触縁よりも端部延在方向における先端側に位置している態様であってもよい。この場合、コイルの直流抵抗をさらに低減することができる。
【0011】
また、第2のコイル部が一方向に延びる他端部を有しており、コイルの一部を構成するとともに積層構造を構成する層内において延在し、第2のコイル部の他端部と対向する方向に延びるとともに第2のコイル部に関して第1のコイル部とは反対の側において他端部と直接重なる一端部を有する第3のコイル部をさらに備える態様であってもよい。さらに、第2のコイル部の厚さが、第1のコイル部の厚さおよび第3のコイル部の厚さのいずれより薄い態様であってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、部品強度の向上が図られた積層コイル部品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態に係る積層コイル部品の概略斜視図である。
図2図2は、図1に示す積層コイル部品の絶縁性素体の内部構造を示した概略斜視図である。
図3図3は、図2に示す絶縁性素体のIII−III線断面図である。
図4図4は、図1に示す積層コイル部品の層構成の一部を示した図である。
図5図5は、図3に示した断面図の要部拡大図である。
図6図6は、従来技術に係るコイル部の断面形状を示した図である。
図7図7は、図5とは異なる態様のコイル部の断面形状を示した図である。
図8図8は、図5とは異なる態様のコイル部の断面形状を示した図である。
図9図9は、図5とは異なる態様のコイル部の断面形状を示した図である。
図10図10は、図5とは異なる態様のコイル部の断面形状を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0015】
まず、一実施形態に係る積層コイル部品1の全体的な構造について、図1、2を参照しつつ説明する。
【0016】
積層コイル部品1は、図1に示すように、略直方体形状の外形を有する絶縁性素体10と、その内部に形成されたコイル20とで構成されている。また、積層コイル部品1は、図2に示すように、層L1〜L20を含む積層構造を有している。なお、絶縁性素体10の対向する一対の端面10a、10bには、外部端子電極12A、12Bが設けられる。積層コイル部品1は、一例として、長辺2.0mm、短辺1.6mm、高さ0.9mmの寸法で設計される。
【0017】
説明の便宜上、図示のようにXYZ座標を設定する。すなわち、積層コイル部品1の積層方向をZ方向、外部端子電極が設けられる端面10a、10bの対面方向をX方向、Z方向とX方向とに直交する方向をY方向と設定する。
【0018】
絶縁性素体10は、絶縁性を有しており、絶縁被覆された粒状の磁性材料で構成されている。磁性材料として、フェライト(例えば、Ni−Cu−Zn系フェライト、Ni−Cu−Zn−Mg系フェライト、Cu−Zn系フェライト)や金属磁性材料(Fe、Fe−Si、Fe−Si−Cr、Fe−Si−Al合金等)、金属とフェライトの複合化材料等が採用し得る。積層コイル部品1を構成する層L1〜L20のうち、最上層L1および最下層L20のカバー層は全体的に上記磁性材料で構成されている。また、その他の層も、コイル20が形成された部分以外は、上記磁性材料で構成されている。
【0019】
コイル20は、積層された複数の金属層で構成されている。金属層の材料として、特に限定はされないが、Ag、Cu、Au、Al、Pd、Pd/Ag合金などを用いることができる。金属層には、Ti化合物、Zr化合物、Si化合物などを添加してもよい。このような金属層は、印刷法や薄膜成長法により形成することができる。コイル20は、図3に示すように、外部端子電極が設けられる一方の端面10aまで延びる引出電極21Aと、外部端子電極が設けられる他方の端面10bまで延びる引出電極21Bを有している。
【0020】
コイル20は、図3、4に示すように、コイルの1ターン分を構成する複数のコイル部22と、コイル部22同士を接続する複数の接続部(第2のコイル部)28とを含んでいる。そして、同一形状のコイル部22と、同一形状の接続部28とが、積層方向に交互に並んでいる。なお、本実施形態におけるコイル部22はいずれも、上コイル層(第3のコイル部)23および下コイル層(第1のコイル部)24の2層の金属層で構成されており、接続部28はいずれも1層の金属層で構成されている。一例として、上コイル層23の厚さは40μm、下コイル層24の厚さは40μm、接続部28の厚さは20μmである。
【0021】
ここで、コイル部22は、積層方向から見て、一部に分断部25を有する略環状の形状を有しており、図4に示すようなC字状であってもよい。そして、コイル部22は、分断部25を挟み、分断部25に関して対向する第1の端部22aおよび第2の端部22bで構成された端部対を有する。
【0022】
ただし、上コイル層23における分断部25の位置と、下コイル層24における分断部25は、第1の端部22aと第2の端部22bとの対向方向(すなわち、X方向)にずれている。より具体的には、第1の端部22aでは、上コイル層23が下コイル層24よりも分断部25側に延出している。反対に、第2の端部22bでは、下コイル層24が上コイル層23よりも分断部25側に延出している。
【0023】
そして、接続部28は、コイル部22の分断部25の位置に対応する位置に配置されており、端部対22a、22bの対向方向に沿って(すなわち、分断部25の形状に沿って)延びる長方形形状を有している。接続部28は、積層方向において上下に隣り合うコイル部22同士を接続する。すなわち、積層方向から見て、接続部28は、環状のコイル形成領域内に配置されており、それによりコイル内径が十分に大きく確保されている。
【0024】
続いて、図5を参照しつつ、コイル部と接続部との位置関係について、より詳しく説明する。図5は、コイル部22の端部対22a、22bが対向する対向方向(X方向)に平行な縦断面(X−Z断面)であり、第1の端部22aの積層方向における上端位置をa点、下端位置をb点とし、第2の端部22bの積層方向における上端位置をc点、下端位置をd点として示している。なお、必要に応じて、図5に示した2つのコイル部22のうち、上側のコイル部22を第1のコイル部22A、下側のコイル部22を第2のコイル部22Bとも称す。
【0025】
図5に示すように、コイル部22(第1のコイル部22A)の端部22a、22bの対向方向に関して、第1の端部22a側から順に、b点、a点、d点、c点の順に、重ならずに並んでいる。
【0026】
第1の端部22aの上端位置a点は、上側の接続部28上にあり、第1の端部22aは上側の接続部28と接続されている。第1の端部22aの下端位置b点は、下側の接続部28よりも後退した位置にあり、第1の端部22aは下側の接続部28とは接続されていない。
【0027】
第2の端部22bの上端位置c点は、上側の接続部28よりも後退した位置にあり、第2の端部22bは上側の接続部28とは接続されていない。第2の端部22bの下端位置d点は、下側の接続部28上にあり、第2の端部22bは下側の接続部28とは接続されている。
【0028】
なお、対向方向に関する接続部28の長さDは、第1の端部22aの上端位置a点と第2の端部22bの下端位置d点との離間距離D1よりも長く、かつ、第1の端部22aの下端位置b点と第2の端部22bの上端位置c点との離間距離D2よりも短くなるように設計される。
【0029】
そして、図5に示すように、下側の第2のコイル部22Bの端部対22a、22bの形状は上側の第1のコイル部22Aの端部対22a、22bの形状と同一である。また、積層方向から見て、第2のコイル部22Bの端部対22a、22bは、第1のコイル部22Aの端部対22a、22bと同じ位置にある。なお、第1のコイル部22Aおよび第2のコイル部22Bだけでなく、他のコイル部22に関しても、同一形状の端部対22a、22bを有し、かつ、該端部対22a、22bを積層方向から見て同じ位置に有している。また、各端部対22a、22bが同一形状であるため、当然に、各端部対22a、22bに挟まれた各分断部25についても同一形状になっている。
【0030】
さらに、図4、5に示すように、コイル20を構成する複数の接続部28それぞれに関しても、積層方向から見て同一形状(すなわち、長方形状)を有するとともに同じ位置にある。
【0031】
上述したとおり、積層コイル部品1においては、同一形状の端部対22a、22bを有するコイル部22と同一形状の接続部28とが積層方向に交互に並んでおり、いずれのコイル部22および接続部28も同様の位置関係を有している。すなわち、各接続部28は、積層方向における上側の第1のコイル部22Aの第2の端部22bと、積層方向における下側の第2のコイル部22Bの第1の端部22aとを接続することで、積層方向において上下に隣り合うコイル部22同士を接続する。このような接続により、積層方向に沿って巻回され、かつ、上下に隣り合うそれぞれのコイル部22に同一周回方向に電流が流れるコイル20が構成されている。
【0032】
以上で説明したとおり、積層コイル部品1においては、第1のコイル部22Aおよび第2のコイル部22Bの両端部対22a、22bが積層方向から見て同じ位置かつ同一形状であっても、接続部28は、積層方向上側において第1のコイル部22Aの第2の端部22bにのみ接続し、積層方向下側において第2のコイル部22Bの第1の端部22aにのみ接続する。そのため、第1のコイル部22Aの上側や第2のコイル部22Bの下側にさらに接続部28を設けていても、接続部28のそれぞれの位置を互いにずらすことなく、積層方向に沿って巻回されるコイル20が構成される。
【0033】
したがって、積層コイル部品1においては、複数のコイル部22それぞれの全体形状を、全く同じ形状に設計することが可能であり、そのため、コイル部22の種類数を低減することができ、従来のように多種類の導体パターンを準備することに伴う手間や時間の削減が図られる。
【0034】
また、積層コイル部品1においては、積層方向から見て、接続部28がコイル形成領域内に配置されているため、大きなコイル内径が確保されており、それにより高いコイル特性(たとえば、インダクタンスやQ値)を実現することができる。
【0035】
さらに、積層コイル部品1においては、接続部28において、上下に隣り合うコイル部22同士が重ならないため、接続部28における厚さ増加が抑制されている。そのため、接続部28周辺において大きな内部応力が生じる事態の抑制も図られている。
【0036】
上述した積層コイル部品1は、たとえば印刷法を用いて作製する場合には、最下層L20から順に印刷を繰り返して一層ずつ積み上げるやり方が考えられる。この場合、コイル部22等の断面は、図3、5に示したような角のある輪郭ではなく、滑らかに湾曲する輪郭になると考えられる。
【0037】
または、複数の層(たとえば、L3〜5の3層)を一つのユニットとして別々に設け、複数のユニットを重ね合わせることで、積層コイル部品1を作製することも可能である。この場合、印刷により1層ずつ積み上げる製法に比べて、積層コイル部品1を効率良く作製することができる。
【0038】
さらに、図5に示すように、下コイル層24の端部24aと接続部28の端部28aとが直接重なっており、下コイル層24の端部(一端部)24aは、接続部28の側に位置して該接続部28と接する接触縁24Pと、接続部28とは反対の側に位置して接続部28とは接しない非接触縁24Qとを有している。そして、接触縁24Pと非接触縁24Qとが積層方向(Z方向)から見て重なっていない。そのため、図6に示すように、下コイル層24の端部24aの端面24bが積層方向に関して傾いている。
【0039】
ここで、上述した積層コイル部品1においては、部品外部からの応力に起因してクラックが生じ得る。具体的には、下コイル層24の端部24aの端面24bに応力が付加されると、応力は端面24bに沿って分散し、接触縁24P近傍を起点として端面24bに平行に延びるクラック(図6の一点鎖線S1に沿うクラック)が、接続部28の端部28aに生じ得る。
【0040】
このとき、図6に示すように端面24bが積層方向に関して傾いている場合は、図7に示すように端面24bが積層方向に平行な場合に比べて、クラックの伝播距離が長くなる(すなわち、一点鎖線S1の長さ>一点鎖線S1’の長さ)。そのため、図6に示すように端面24bが積層方向に関して傾いている場合のほうが、上述したクラックの進行を抑制する効果が大きく、クラックの進行が効果的に抑制される。このようにクラックの進行が抑制される結果、積層コイル部品1は全体として高い部品強度が実現されている。
【0041】
積層コイル部品1は、図6に示すように、下コイル層24の端部24aだけでなく、接続部28の端部28aも積層方向から見て重なっていない接触縁28Pおよび非接触縁28Qを有している。そのため、接続部28の端部28aの端面28bに応力が付加されたときに、下コイル層24の端部24aに生じ得る、接触縁28Pを起点として端面28bに平行に延びるクラック(図6の一点鎖線S2に沿うクラック)についても、図7に示すように端面28bが積層方向に平行な場合に比べて、クラックの伝播距離が長くなる(すなわち、一点鎖線S2の長さ>一点鎖線S2’の長さ)ため、クラックの進行が効果的に抑制され、それにより部品強度のさらなる向上が実現される。
【0042】
また、積層コイル部品1では、下コイル層24の端部24aおよび接続部28の端部28aにおいて、接触縁24P、28Pが非接触縁24Q、28Qよりも端部延在方向における先端側に位置している。そのため、下コイル層24および接続部28との間に大きな接触面積を確保することができる。この場合、コイル20の直流抵抗が低減される。なお、下コイル層24の端部24aおよび接続部28の端部28aの少なくとも一方において、接触縁が非接触縁よりも端部延在方向における先端側に位置していれば、上記効果を奏する。
【0043】
さらに、積層コイル部品1では、図5に示すように、上コイル層23の端部23aが、接続部28に関して下コイル層24とは反対の側において、接続部28の他端部28cと直接重なっている。そして、接続部28の他端部28cも積層方向から見て重なっていない接触縁28Rおよび非接触縁28Sを有している。そのため、接続部28の端部28cの端面に応力が付加されたときに、上コイル層23の端部23aに生じ得る、接触縁28Rを起点として端面に平行に延びるクラックについてもその伝播距離が長くなるため、クラックの進行が効果的に抑制され、それにより部品強度のさらなる向上が実現される。
【0044】
同様に、上コイル層23の端部23aが、接続部28に関して下コイル層24とは反対の側において、接続部28の他端部28cと直接重なっている。そして、上コイル層23の端部23aも積層方向から見て重なっていない接触縁23Pおよび非接触縁23Qを有している。そのため、上コイル層23の端部23aの端面に応力が付加されたときに、接続部28の端部28cに生じ得る、接触縁23Pを起点として端面に平行に延びるクラックについてもその伝播距離が長くなるため、クラックの進行が効果的に抑制され、それにより部品強度のさらなる向上が実現される。
【0045】
上述した接続部28は、その厚さが薄い方が素子特性の向上が図られるため、上コイル層23の厚さおよび下コイル層24の厚さよりも薄く設計されている。ただし、接続部28の厚さが薄い場合にはクラックが貫通する可能性が高くなる。そこで、上コイル層23の端部23aや下コイル層24の端部24aの端面を積層方向から傾けることで、クラックの伝播距離の延長が図られ、接続部28をクラックが貫通する事態が効果的に抑制される。
【0046】
なお、積層コイル部品は、上述した実施形態に限らず、様々に変形することができる。
【0047】
たとえば、下コイル層24の端部24aの形状および接続部28の端部28aは適宜変更することができ、たとえば図8〜10に示したような態様であってもよい。
【0048】
図8に示した態様では、下コイル層24の端部24aにおいて、非接触縁24Qが接触縁24Pよりも端部延在方向における先端側に位置している。また、接続部28の端部28aにおいて、接触縁28Pが非接触縁28Qよりも端部延在方向における先端側に位置している。
【0049】
図9に示した態様では、下コイル層24の端部24aにおいて、接触縁24Pが非接触縁24Qよりも端部延在方向における先端側に位置している。また、接続部28の端部28aにおいて、非接触縁28Qが接触縁28Pよりも端部延在方向における先端側に位置している。
【0050】
図10に示した態様では、下コイル層24の端部24aにおいて、非接触縁24Qが接触縁24Pよりも端部延在方向における先端側に位置している。また、接続部28の端部28aにおいて、非接触縁28Qが接触縁28Pよりも端部延在方向における先端側に位置している。
【0051】
コイル部の平面形状は、矩形環状の他、円環状や楕円環状等であってもよい。また、各コイル部は、少なくとも端部対の形状が同一形状であれば、全体形状が全く同一の形状でなくてもよい。さらに、コイル部は必ずしも1ターン分を構成する必要はなく、たとえば1/2ターン分や1/4ターン分等であってもよい。また、コイル部は必ずしも2層構造である必要はなく、単層構造や3層以上の多層構造にすることができる。積層コイル部品の積層数は、必要に応じて適宜増減することができる。
【0052】
また、接続部は、積層方向から見て必ずしも一方向に延びる形状である必要はなく、屈曲した形状や湾曲した形状であってもよい。たとえば、コイル部の平面形状が多角環状であるときには、屈曲した形状や湾曲した形状の接続部を用いることで、コイル部の角部に対応する位置において上下のコイル部を接続可能である。
【符号の説明】
【0053】
1…積層コイル部品、10…絶縁性素体、12A、12B…外部端子電極、20…コイル、22…コイル部、22a…第1の端部、22b…第2の端部、22A…第1のコイル部、22B…第2のコイル部、23…上コイル層、24…下コイル層、25…分断部、28…接続部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10