特許第6784228号(P6784228)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6784228中間転写ユニット、及び、中間転写ユニットを備えた画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6784228
(24)【登録日】2020年10月27日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】中間転写ユニット、及び、中間転写ユニットを備えた画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/16 20060101AFI20201102BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20201102BHJP
【FI】
   G03G15/16
   G03G21/00 310
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-107176(P2017-107176)
(22)【出願日】2017年5月30日
(65)【公開番号】特開2018-205365(P2018-205365A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2019年4月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184631
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100097386
【弁理士】
【氏名又は名称】室之園 和人
(72)【発明者】
【氏名】中村 了
(72)【発明者】
【氏名】黒川 彩加
(72)【発明者】
【氏名】志部谷 哲平
【審査官】 三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−091175(JP,A)
【文献】 特開平09−044004(JP,A)
【文献】 特開平07−175298(JP,A)
【文献】 米国特許第06311038(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/16
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体からトナー像が一次転写される無端状の中間転写ベルトと、
前記中間転写ベルトを回転させる駆動ローラーとを備え、
前記中間転写ベルトに一次転写されたトナー像を、前記駆動ローラーの回転駆動によりシート材への二次転写位置に位置させる中間転写ユニットであって、
前記中間転写ベルトが巻き掛けられた前記駆動ローラーの周面を清掃する清掃装置と、
前記清掃装置の清掃部を前記駆動ローラーの軸心方向に往復移動させる往復移動機構と、
前記駆動ローラー及び前記中間転写ベルトを支持する装置フレームと、
前記装置フレームに固定されたヘッダーピンとをさらに備え、
前記駆動ローラーの回転に伴って、前記清掃部が前記駆動ローラーの軸心方向に往復移動するように、前記往復移動機構が前記駆動ローラーに連動連結し、
前記清掃部は、前記駆動ローラーの周面に当接するスクレーパーと、該スクレーパーを保持するスクレーパー保持板とを含み、
前記スクレーパー保持板には、前記駆動ローラーの軸心方向に延びる長孔が形成され、
前記ヘッダーピンは、前記スクレーパー保持板を前記装置フレームに連結するとともに、前記スクレーパーが前記スクレーパー保持板と一体にローラー軸心方向に往復移動する際に、前記スクレーパー保持板の長孔の内側面を前記駆動ローラーの軸心方向にガイドするように構成され
前記装置フレームは、所定方向に間隔を空けて水平に並ぶ第1側壁及び第2側壁と、該第1側壁及び該第2側壁を連結する連結壁とを有し、
前記第1側壁及び前記第2側壁の前記所定方向の一側の端部に前記駆動ローラーが回転自在に支持され、他側の端部に従動ローラーが回転自在に支持されており、
前記中間転写ベルトは、前記駆動ローラー及び前記従動ローラーに巻き掛けられており、
前記連結壁は、前記駆動ローラーに隣接して該駆動ローラーよりも前記他側に位置しており、
前記スクレーパー保持板は、前記連結壁の上面に前記ヘッダーピンを介して浮き上がり不能に連結されている中間転写ユニット。
【請求項2】
請求項記載の中間転写ユニットにおいて、
前記往復移動機構は、前記スクレーパー保持板における前記駆動ローラーの軸心方向の一側端部にカム面が当接するカムと、前記スクレーパー保持板を前記駆動ローラーの軸心方向の他側から一側に付勢する付勢部材とを有していて、当該カムが前記駆動ローラーの回転に連動して回転するように構成されている、中間転写ユニット。
【請求項3】
請求項1又は2記載の中間転写ユニットを備え、
前記像担持体に形成されたトナー像を、前記中間転写ユニットを介して前記シート材に転写する画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中間転写ユニット、及び、中間転写ユニットを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
中間転写ユニットは、像担持体からトナー像が一次転写される無端状の中間転写ベルトと、中間転写ベルトを回転させる駆動ローラーとを備え、中間転写ベルトに一次転写されたトナー像を、駆動ローラーの回転駆動によりシート材への二次転写位置に位置させる。
また、画像形成装置は、中間転写ユニットを介して像担持体に形成されたトナー像をシート材に転写する。
この種の画像形成装置では作動中や作動直後に装置内をトナーが浮遊している。この浮遊トナーが中間転写ユニットの各部品に付着すると画像不良が生じやすくなることから、従来、中間転写ベルトの外面を清掃するクリーニングブレードが画像形成装置に設けられていた(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−22187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記中間転写ベルトが巻き掛けられた駆動ローラーは、トナー像が一次転写された中間転写ベルトの移動方向(回転方向)下流側に位置している。そのために、駆動ローラーの周面にトナーが付着しやすい。
しかしながら、上記従来の構造によれば、中間転写ベルトの外面からトナーを除去できるものの、駆動ローラーの周面に付着したトナーを前記周面から除去することができなかった。
その結果、駆動ローラーの周面に付着したトナーが周面上で凝集して突起状の異物となり、中間転写ベルトの内面を傷つけて画像不良や中間転写ベルトの耐久性の低下を生じさせていた。
本発明は上記実状に鑑みて成されたもので、その目的は、画像を良好に保つことができ、中間転写ベルトの耐久性を向上させることができる中間転写ユニット、及び、画像形成装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一局面に係る中間転写ユニットは、像担持体からトナー像が一次転写される無端状の中間転写ベルトと、前記中間転写ベルトを回転させる駆動ローラーとを備え、前記中間転写ベルトに一次転写されたトナー像を、前記駆動ローラーの回転駆動によりシート材への二次転写位置に位置させ、前記中間転写ベルトが巻き掛けられた前記駆動ローラーの周面を清掃する清掃装置を備えている。
【0006】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、上記中間転写ユニットを備え、前記像担持体に形成されたトナー像を、前記中間転写ユニットを介して前記シート材に転写する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、画像を良好に保つことができ、中間転写ベルトの耐久性を向上させることができる中間転写ユニット、及び、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
図2図2は、中間転写ユニットを後斜め上方から見た斜視図(中間転写ベルトは省略してある)である。
図3図3図2のZ1部の拡大斜視図である。
図4図4は、中間転写ユニットを前斜め上方から見た斜視図(中間転写ベルトは省略してある)である。
図5図5図4のZ2部の拡大斜視図である。
図6図6(a)は清掃装置の平面図であり、図6(b)は図6(a)のX−X断面図である。
図7図7図6(b)のZ3部の拡大図である。
図8図8図4のZ4部の拡大図である。
図9図9は清掃装置の縦断側面図である。
図10図10は、清掃装置の往復移動機構のカムを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0010】
図1は、画像形成装置1の全体構成を示す概略図である。画像形成装置1は、例えばタンデム方式のカラープリンターであって、現像ユニットAと、現像ユニットAの上方に配置された中間転写ユニットBと、中間転写ユニットBの上方に配置された複数(4つ)のトナーコンテナCとを備えている。また、画像形成装置1は、一次転写部6、二次転写部9、定着部11及び光走査装置15をも備えている。現像ユニットAは、光走査装置15の上方に配置された複数(4つ)の画像形成部16を有する。中間転写ユニットBは、無端状の中間転写ベルト7を有し、中間転写ベルト7は、4つ画像形成部16の上方に画像形成部16の配列方向に沿うように配置されている。
【0011】
画像形成装置1の装置本体2の内部下方には、給紙カセット3が配置されている。給紙カセット3は、その内部に印刷前の用紙80(シート材に相当)を積載して収容している。給紙カセット3の側方には、第1用紙搬送部21が設けられている。第1用紙搬送部21は、給紙カセット3から送り出された用紙80を受け取り、その用紙80を上方の二次転写部9へ搬送する。
【0012】
給紙カセット3の第1用紙搬送部21と反対側の側方には、手差し給紙部5が設けられている。手差し給紙部5と第1用紙搬送部21との間には、第2用紙搬送部22が設けられている。第2用紙搬送部22は、手差し給紙部5から送り出された用紙80を受け取って第1用紙搬送部21へ搬送する。
【0013】
光走査装置15は、第2用紙搬送部22の上方に配置され、画像形成装置1が受信した画像データに基づいてレーザー光を画像形成部16へ照射する。中間転写ベルト7は、駆動ローラー12と従動ローラー13とに巻き掛けられており、図示しない駆動装置によって回転駆動される。駆動ローラー12の左上方には、中間転写ベルト7の表面(外面)を清掃するための中間転写ベルトクリーニング装置34が配置されている。
【0014】
中間転写ベルト7は、複数の感光体ドラム25(像担持体に相当)の外周面に当接することによってその複数の感光体ドラム25の外周面からトナー像が一次転写されるように構成されている。
【0015】
4つの画像形成部16は、中間転写ベルト7に沿って一列に配置されており、イエロー、マゼンタ、シアン、又はブラックのトナー像をそれぞれ形成する。各画像形成部16は、感光体ドラム25と、感光体ドラム25の周囲に配置された帯電器31、現像部33及びクリーニング装置32とをそれぞれ有している。
【0016】
帯電器31は感光体ドラム25の表面を帯電させる。帯電器31により帯電された感光体ドラム25には、光走査装置15から照射されたレーザー光によって静電潜像が形成される。現像部33は、静電潜像を現像することによって感光体ドラム25の表面にトナー像を形成する。
【0017】
一次転写部6は、各画像形成部16の上方にそれぞれ配置されている。一次転写部6は、画像形成部16により感光体ドラム25に形成されたトナー像を中間転写ベルト7の表面に一次転写する一次転写ローラー8を有している。
【0018】
そして、中間転写ベルト7が回転駆動されると共に、一次転写ローラー8に印加されたトナーの帯電極性とは逆極性の電圧にて所定のタイミングで各感光体ドラム25上のトナー像が中間転写ベルト7に一次転写される。これによって、中間転写ベルト7の表面には、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4色のトナー像が互いに重ね合わされたカラートナー像が形成される。また、トナー像が中間転写ベルト7に一次転写された感光体ドラム25の表面は、クリーニング装置32によって清掃される。
【0019】
二次転写部9は、中間転写ベルト7の側方に配置された二次転写ローラー17を有している。そして、二次転写部9は、二次転写ローラー17に印加されたトナーの帯電極性とは逆極性の電圧にて中間転写ベルト7上のトナー像を、第1用紙搬送部21から送られてきた用紙80に二次転写するようになっている。
【0020】
定着部11は、二次転写部9の上方に設けられている。二次転写部9と定着部11との間には、トナー像が二次転写された用紙80を定着部11へ搬送する第3用紙搬送部23が形成されている。定着部11は、加圧ローラー18と、定着ローラー19と、加熱ローラー20とを備えている。そして、定着部11は、第3用紙搬送部23から搬送された用紙80を加熱及び加圧することによって、その用紙80にトナー像を定着させるようになっている。
【0021】
定着部11の上方には分岐部27が設けられている。定着部11から排出された用紙80は、両面印刷を行わない場合、分岐部27から画像形成装置1の上部に形成された用紙排出部28に排出される。両面印刷を行う場合には、分岐部27から第4用紙搬送部24を介して用紙80を再び二次転写部9へ搬送する。
【0022】
[中間転写ユニットBの詳細構造]
図1図4に示すように、中間転写ユニットBは、画像形成装置1の左右方向Vに長い平面視長方形状の装置フレーム50を備えている。そして、この装置フレーム50に、画像形成装置1の前後方向Wに間隔を空けて位置する第1側壁51と第2側壁52が設けられ、さらに、第1側壁51と第2側壁52を連結する連結壁78(図6(b)参照)が設けられている。第1側壁51と第2側壁52と連結壁78には格子状の補強部53が設けられている。
【0023】
また、第1側壁51と第2側壁52の長手方向の一端部に前記駆動ローラー12がローラー軸心(軸芯)12P周りに回転自在に支持され、第1側壁51と第2側壁52の他端部に前記従動ローラー13がローラー軸心(軸芯)13P周りに回転自在に支持されている。駆動ローラー12と従動ローラー13は、いずれも画像形成装置1の前後方向Wに細長く形成されており、前述のように、これらに前記中間転写ベルト7(図1参照)が巻き掛けられている。図2図4等では中間転写ベルト7を省略してある。
【0024】
駆動ローラー12は、ローラー本体57と、ローラー本体57の両端面の中央部からローラー軸心方向Jの外側に各別に突出する一対のローラー軸部58とを備えている。ローラー軸心方向Jと画像形成装置1の前後方向Wとは同一方向である。ローラー軸部58はローラー本体57よりも小径であり、このローラー軸部58が第1側壁51と第2側壁52の一端部に形成された支持孔に回転自在に挿入されている。
【0025】
そして、駆動ローラー12の一方のローラー軸部58に第1ギア61が一体回転自在に外嵌し、他方のローラー軸部58に第2ギア62が一体回転自在に外嵌している。第1ギア61は電動モータ(図示せず)側のギアに噛み合い、第2ギア62は二次転写ローラー17(図1参照)側のギアに噛み合っている。電動モータが駆動回転すると、駆動ローラー12と従動ローラー13が各ローラー軸心12P,13P周りに回転して中間転写ベルト7が図1において反時計周りに回転し、二次転写ローラー17が回転する。中間転写ベルト7に一次転写されたトナー像は、駆動ローラー12の回転駆動により用紙80への二次転写位置(前記トナー像を用紙80に二次転写するための位置)に位置する。
【0026】
[清掃装置63の構造]
図2図5に示すように、中間転写ユニットBに、駆動ローラー12のローラー本体57の周面57M(図9参照)を清掃する清掃装置63が設けられている。清掃装置63は、ローラー本体57の周面57Mに当接するスクレーパー64(清掃部に相当)と、装置フレーム50の連結壁78(図6(a)参照)に載置され、ローラー本体57とは反対側からスクレーパー64を保持するスクレーパー保持板65とを有する。スクレーパー64は樹脂製、スクレーパー保持板65は金属製である。スクレーパー64とスクレーパー保持板65がこれら以外の材質で形成されていてもよい。
【0027】
図6(a)に示すように、スクレーパー64は、ローラー本体57よりも少し短い長方形の帯板状に形成されている。また、スクレーパー保持板65は、スクレーパー64よりも幅広で長く、ローラー本体57と略同じ長さの長方形に形成されている。
【0028】
そして、スクレーパー64の長辺側の一端部(ローラー本体57とは反対側の一端部)が、スクレーパー保持板65の長辺側の一端部に重ね合わされて両面テープで固定されている。これにより、スクレーパー64の長辺側の他端部であるスクレーパー64の先端部64Aが、スクレーパー保持板65の長辺側の一端部側から前記ローラー本体57に向かって突出している。
【0029】
図6(a),図9に示すように、スクレーパー64の先端部64Aは、中間転写ベルト7の上側ベルト部分の回転方向下流側からローラー本体57の周面57Mに当接する。また、前記先端部64Aはローラー本体57の周面57Mに、ローラー本体57のローラー軸心方向Jの略全長にわたって当接する。スクレーパー64は可撓性を有し、先端部64Aがローラー本体57の周面57Mに当接した状態で上方に円弧状に少し弾性変形する(図9参照)。
【0030】
[往復移動機構66の構造]
図3図5に示すように、スクレーパー64をスクレーパー保持板65と一体に駆動ローラー12のローラー軸心方向Jに往復移動させる往復移動機構66が設けられている。詳述すると、図7図8に示すように、スクレーパー保持板65の長手方向(ローラー軸心方向J)に長い複数の長孔65Hが、前記長手方向に間隔を空けてスクレーパー保持板65に形成されている。
【0031】
そして、複数のヘッダーピン67が、前記複数の長孔65Hに上方から各別に挿通され、ピン先端部67Cに形成された雄ねじ部76が、装置フレーム50の連結壁78に形成された雌ねじ部77に螺合している。ヘッダーピン67の長手方向中間部67Bはピン先端部67Cよりも大径に形成されている。つまり、ヘッダーピン67は、頭部67Aと、頭部67Aよりも小径の長手方向中間部67Bと、長手方向中間部67Bよりも小径の前記ピン先端部67Cとから成る。
【0032】
前記雄ねじ部76が前記雌ねじ部77に螺合した状態で、ヘッダーピン67の長手方向中間部67Bの下端面67B1はスクレーパー保持板65の上面65Mよりも上方に位置する。また、前記長手方向中間部67Bの径が長孔65Hの幅よりも大径に設定されて、スクレーパー保持板65が連結壁78に対してローラー軸心方向Jに移動自在に、かつ、浮き上がり不能に構成されている。
【0033】
図3図6(a)に示すように、スクレーパー保持板65の長手方向の一端部と装置フレーム50の第1側壁51との間に、スクレーパー保持板65を第2側壁52側に押圧付勢する付勢手段としてのコイルスプリング69が設けられている。一方、図5に示すように、スクレーパー保持板65の他端部と装置フレーム50の第2側壁52との間に、コイルスプリング69の付勢力に抗してスクレーパー保持板65を前記第1側壁51側に押圧するカム70が設けられている。
【0034】
図10に示すように、カム70は、円形リング板状に形成されたカム本体71の端面に、カム軸心Kに対して傾斜したカム面71Mを備えている。そして、図5に示すように、カム軸心Kがローラー軸心方向Jに沿うように、カム70がカム軸心K周りに回転自在に前記第2側壁52に支持されて、カム面71Mがスクレーパー保持板65の他端部の端面に当接している。
【0035】
また、カム本体71の外周部に第3ギア72が形成されて前記第2ギア62に噛み合っている。これにより、駆動ローラー12が駆動回転すると、駆動ローラー12側の第2ギア62とカム70側の第3ギア72を介してカム70がカム軸心K周りに回転する。この回転に伴って、スクレーパー保持板65がコイルスプリング69の付勢力に抗して前記第1側壁51側に移動し、あるいは、前記付勢力で第2側壁52側に移動して、スクレーパー64がスクレーパー保持板65と一体にローラー軸心方向Jに往復移動する。このように、駆動ローラー12の回転に伴って、スクレーパー64がスクレーパー保持板65と一体にローラー軸心方向Jに往復移動するように、往復移動機構66のカム70が駆動ローラー12に連動連結している。
【0036】
前記ヘッダーピン67は、スクレーパー64がスクレーパー保持板65と一体にローラー軸心方向Jに往復移動する際に、スクレーパー保持板65の長孔65Hの内側面をローラー軸心方向Jにガイドする。これにより、スクレーパー64とスクレーパー保持板65をローラー軸心方向Jに正確に往復移動させることができる。
【0037】
上記の構成によれば、中間転写ベルト7が巻き掛けられた駆動ローラー12の周面57Mにトナーが付着しても、清掃装置63のスクレーパー64がトナーを駆動ローラー12の周面57Mから除去する。従って、駆動ローラー12の周面57Mでトナーが凝集することを防止でき、前記周面57Mにトナーから成る突起状の異物が形成されることを防止できる。その結果、中間転写ベルト7の内面の損傷を回避できて、画像を良好に保つことができ、中間転写ベルト7の耐久性を向上させることができる。
【0038】
また、清掃装置63のスクレーパー64がローラー軸心方向Jに往復移動することで、駆動ローラー12の周面57Mに付着するトナーをローラー軸心方向Jに引き延ばす。これにより、駆動ローラー12の周面57Mでトナーが凝集しにくくなり、清掃性能をより向上させることができる。
【0039】
そして、往復移動機構66のカム70が駆動ローラー12に連動連結しているから、往復移動機構66を駆動させる駆動部を新たに設ける必要がなく、部品点数を低減でき、構造を簡素化でき、製作コストを低廉化することができる。
さらに、往復移動機構66が連動連結するローラーは駆動ローラー12であるから、往復移動機構66に往復移動力を十分伝達できて、往復移動機構66の作動を安定させることができる。
一般に、画像形成装置1においては、中間転写ベルト7の周りに中間転写ベルト7の外面を清掃するクリーニング装置が設けられている。そのために、このクリーニング装置の近くでは、浮遊するトナーの密度が高くなりやすい。本発明の上記の構成によれば、駆動ローラー12の周面57Mにトナーが付着しても清掃装置63のスクレーパー64がトナーを除去するから、クリーニング装置を駆動ローラー12の近くに配置できて、設計の自由度を高めることができる。本実施形態においても、前述のように、駆動ローラー12の左上方に、中間転写ベルト7の表面(外面)を清掃するための中間転写ベルトクリーニング装置34が配置されている。
【0040】
[別実施形態]
前記画像形成装置1は、複写機やファクシミリ等であってもよい。
前記往復移動機構66は、前記コイルスプリング69とカム70以外の部品で構成してあってもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 画像形成装置
7 中間転写ベルト
12 駆動ローラー
25 像担持体(感光体ドラム)
57M ローラーの周面(ローラー本体の周面)
63 清掃装置
64 清掃装置の清掃部(スクレーパー)
66 往復移動機構
80 用紙(シート材)
B 中間転写ユニット
J 駆動ローラーの軸心方向(ローラー軸心方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10