特許第6784238号(P6784238)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6784238電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6784238
(24)【登録日】2020年10月27日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 5/047 20060101AFI20201102BHJP
   G03G 5/05 20060101ALI20201102BHJP
   G03G 5/06 20060101ALI20201102BHJP
【FI】
   G03G5/047
   G03G5/05 101
   G03G5/06 312
   G03G5/06 313
   G03G5/06 314A
   G03G5/06 315Z
【請求項の数】11
【全頁数】62
(21)【出願番号】特願2017-141459(P2017-141459)
(22)【出願日】2017年7月21日
(65)【公開番号】特開2019-20672(P2019-20672A)
(43)【公開日】2019年2月7日
【審査請求日】2019年7月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】清水 智文
【審査官】 廣田 健介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−068014(JP,A)
【文献】 特開2017−090566(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/159244(WO,A1)
【文献】 特開2002−023398(JP,A)
【文献】 特開2016−142927(JP,A)
【文献】 特開2008−299214(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/115970(WO,A1)
【文献】 特開2016−095513(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/157145(WO,A1)
【文献】 特開2005−289877(JP,A)
【文献】 特開2007−011073(JP,A)
【文献】 特開2015−191167(JP,A)
【文献】 特開2013−214054(JP,A)
【文献】 特開平09−124781(JP,A)
【文献】 特開2010−286762(JP,A)
【文献】 特開2015−175877(JP,A)
【文献】 特開平08−217863(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 5/00−5/16
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性基体と感光層とを備える、電子写真感光体であって、
前記感光層は単層であり、前記感光層は電荷発生剤と正孔輸送剤と電子輸送剤とバインダー樹脂とを含有し、
前記電子輸送剤の質量に対する前記正孔輸送剤の質量の比率は、2.0以上であり、
前記バインダー樹脂の質量に対する前記正孔輸送剤及び前記電子輸送剤の合計質量の比率は、0.80以上1.20以下であり、
前記電子写真感光体を5周回転させながら、第1周目において所定帯電条件で帯電し、第2周目、第3周目及び第4周目において所定露光条件で露光し、第5周目において前記所定帯電条件で帯電し、前記所定帯電条件は、ワイヤー電流が+180μAの直流電流でありグリッドバイアスが+540Vである条件であり、前記所定露光条件は、露光光の波長が780nmであり露光光の光量が1.2μJ/cm2である条件である場合に、第1周目における帯電電位V01と第5周目における帯電電位V02との差V01−V02が下記数式(1)を満たし、第2周目における露光後電位VL1と第4周目における露光後電位VL2との差VL2−VL1が下記数式(2)を満たし、
前記正孔輸送剤は、一般式(10)、(11)、(12)、(13)又は(14)で表される化合物を含み、
前記電子輸送剤は、一般式(20)、(21)又は(22)で表される化合物を含み、
前記バインダー樹脂は、化学式(R−1)、(R−2)、(R−3)又は(R−4)で表されるポリアリレート樹脂を含む、電子写真感光体。
+70V≦V01−V02≦+90V ・・・(1)
+5V≦VL2−VL1≦+14V ・・・(2)
【化1】
(前記一般式(10)中、
1及びR2は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表し、
1及びa2は、各々独立に、0以上5以下の整数を表し、
3及びR4は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基若しくは炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を有してもよいフェニル基、又は−CR5=CR67を表し、
5、R6及びR7は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基若しくは炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を有してもよいフェニル基、又は水素原子を表し、
Wは、単結合又はp−フェニレン基を表す。)
【化2】
(前記一般式(11)中、
11、R12、R13及びR14は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表し、
1、b2、b3及びb4は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。)
【化3】
(前記一般式(12)中、
21、R22及びR23は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表し、
1、e2及びe3は、各々独立に、0以上5以下の整数を表し、
24及びR25は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基若しくは炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を有してもよいフェニル基、又は水素原子を表す。)
【化4】
(前記一般式(13)中、
31、R32、R33、R34及びR35は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表し、
1、f2、f3、f4及びf5は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。)
【化5】
(前記一般式(14)中、
41、R42及びR43は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表し、
g1、g2及びg3は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。)
【化6】
(前記一般式(20)中、Q1及びQ2は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表す。)
【化7】
(前記一般式(21)中、Q11及びQ12は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を有してもよいフェニル基を表す。)
【化8】
(前記一般式(22)中、Q21及びQ22は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表し、Q23は、ハロゲン原子を有してもよいフェニル基を表す。)
【化9】
【請求項2】
前記正孔輸送剤は、前記一般式(10)で表される化合物を含み、前記一般式(10)中、R1及びR2は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表し、a1及びa2は、各々、1を表し、R3及びR4は、各々、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよいフェニル基を表し、Wは、p−フェニレン基を表す、請求項1に記載の電子写真感光体。
【請求項3】
前記正孔輸送剤は、化学式(H−1)、(H−2)、(H−3)、(H−4)、(H−5)、(H−6)、(H−7)、(H−8)、(H−9)、(H−10)、(H−11)又は(H−12)で表される化合物を含む、請求項1に記載の電子写真感光体。
【化10】
【化11】
【請求項4】
前記正孔輸送剤は、化学式(H−5)又は(H−6)で表される化合物を含む、請求項1〜3の何れか一項に記載の電子写真感光体。
【化12】
【請求項5】
前記電子輸送剤は、化学式(E−1)、(E−2)又は(E−3)で表される化合物を含む、請求項1〜4の何れか一項に記載の電子写真感光体。
【化13】
【請求項6】
前記正孔輸送剤は、前記一般式(10)で表される化合物を含み、前記一般式(10)中、R1及びR2は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表し、a1及びa2は、各々、1を表し、R3及びR4は、各々、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよいフェニル基を表し、Wは、p−フェニレン基を表し、
前記電子輸送剤は、化学式(E−1)、(E−2)又は(E−3)で表される化合物を含む、請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
【化14】
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載の電子写真感光体を備える、プロセスカートリッジ。
【請求項8】
像担持体と、
前記像担持体の表面を帯電させる帯電部と、
帯電された前記像担持体の前記表面を露光して、前記像担持体の前記表面に静電潜像を形成する露光部と、
前記静電潜像をトナー像として現像する現像部と、
前記トナー像を前記像担持体から記録媒体へ転写する転写部と
を備える画像形成装置であって、
前記帯電部の帯電極性は、正極性であり、
前記転写部は、前記像担持体の前記表面と前記記録媒体とを接触させながら前記トナー像を前記像担持体から前記記録媒体へ転写し、
前記像担持体は、請求項1〜6の何れか一項に記載の電子写真感光体である、画像形成装置。
【請求項9】
前記帯電部は、帯電ローラーである、請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記現像部は、前記像担持体の前記表面と接触しながら、前記静電潜像を前記トナー像として現像する、請求項8又は9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記現像部は、前記像担持体の前記表面を清掃する、請求項8〜10の何れか一項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真感光体は、電子写真方式の画像形成装置に用いられる。電子写真感光体としては、例えば、積層型電子写真感光体又は単層型電子写真感光体が用いられる。積層型電子写真感光体は、感光層として、電荷発生の機能を有する電荷発生層と、電荷輸送の機能を有する電荷輸送層とを備える。単層型電子写真感光体は、感光層として、電荷発生の機能と電荷輸送の機能とを有する単層の感光層を備える。特許文献1に記載の多層型感光性デバイスは、電子輸送層を備える。電子輸送層は、下記化学式で表される化合物を含有する。
【0003】
【化1】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60−69657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、本発明者の検討により、特許文献1に記載の多層型感光性デバイスは、形成画像におけるゴースト画像の発生を抑制する点で不十分であることが判明した。
【0006】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、形成画像におけるゴースト画像の発生を抑制可能な電子写真感光体を提供することである。また、本発明の別の目的は、このような電子写真感光体を備えることで、形成画像におけるゴースト画像の発生を抑制可能なプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電子写真感光体は、導電性基体と感光層とを備える。前記感光層は単層である。前記感光層は電荷発生剤と正孔輸送剤と電子輸送剤とバインダー樹脂とを含有する。前記電子輸送剤の質量に対する前記正孔輸送剤の質量の比率は、2.0以上である。前記バインダー樹脂の質量に対する前記正孔輸送剤及び前記電子輸送剤の合計質量の比率は、0.80以上1.20以下である。前記電子写真感光体を5周回転させながら、第1周目において所定帯電条件で帯電し、第2周目、第3周目及び第4周目において所定露光条件で露光し、第5周目において前記所定帯電条件で帯電し、前記所定帯電条件は、ワイヤー電流が+180μAの直流電流でありグリッドバイアスが+540Vである条件であり、前記所定露光条件は、露光光の波長が780nmであり露光光の光量が1.2μJ/cm2である条件である場合に、第1周目における帯電電位V01と第5周目における帯電電位V02との差V01−V02が下記数式(1)を満たす。この場合、第2周目における露光後電位VL1と第4周目における露光後電位VL2との差VL2−VL1が下記数式(2)を満たす。
+70V≦V01−V02≦+90V ・・・(1)
+5V≦VL2−VL1≦+14V ・・・(2)
【0008】
本発明のプロセスカートリッジは、上述の電子写真感光体を備える。
【0009】
本発明の画像形成装置は、像担持体と、帯電部と、露光部と、現像部と、転写部とを備える。前記帯電部は、前記像担持体の表面を帯電させる。前記露光部は、帯電された前記像担持体の前記表面を露光して、前記像担持体の前記表面に静電潜像を形成する。前記現像部は、前記静電潜像をトナー像として現像する。前記転写部は、前記トナー像を前記像担持体から記録媒体へ転写する。前記帯電部の帯電極性は、正極性である。前記転写部は、前記像担持体の前記表面と前記記録媒体とを接触させながら前記トナー像を前記像担持体から前記記録媒体へ転写する。前記像担持体は、上述の電子写真感光体である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の電子写真感光体によれば、形成画像におけるゴースト画像の発生を抑制することができる。また、本発明のプロセスカートリッジ及び画像形成装置によれば、このような電子写真感光体を備えることで、形成画像におけるゴースト画像の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】(a)、(b)及び(c)は、それぞれ、本発明の実施形態に係る電子写真感光体の一例を示す概略断面図である。
図2】測定装置の構成を示す図である。
図3図2に示す帯電装置の拡大図である。
図4】帯電電位差V01−V02及び露光後電位差VL2−VL1の測定手順を示すフローチャートである。
図5】画像形成装置の構成の一例を示す図であり、この画像形成装置は本発明の実施形態に係る電子写真感光体を備える。
図6】評価用画像を示す図である。
図7】ゴースト画像が発生した画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。しかし、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されない。本発明は、本発明の目的の範囲内で、適宜変更を加えて実施できる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨は限定されない。
【0013】
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。また、化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。
【0014】
以下、ハロゲン原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上3以下のアルキル基、炭素原子数4以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基及び炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基は、何ら規定していなければ、各々次の意味である。
【0015】
ハロゲン原子(ハロゲン基)の例としては、フッ素原子(フルオロ基)、塩素原子(クロロ基)、臭素原子(ブロモ基)及びヨウ素原子(ヨード基)が挙げられる。
【0016】
炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上3以下のアルキル基及び炭素原子数4以上6以下のアルキル基は、各々、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上6以下のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基及びヘキシル基が挙げられる。炭素原子数1以上3以下のアルキル基の例は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基の例として述べた基のうち、炭素原子数が1以上3以下である基である。炭素原子数4以上6以下のアルキル基の例は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基の例として述べた基のうち、炭素原子数が4以上6以下である基である。
【0017】
炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基及び炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基は、各々、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、イソペントキシ基、ネオペントキシ基及びヘキシル基が挙げられる。炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基の例は、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基の例として述べた基のうち、炭素原子数が1以上3以下である基である。
【0018】
<電子写真感光体>
本実施形態は電子写真感光体(以下、感光体と記載する)に関する。本実施形態の感光体は、形成画像においてゴースト画像の発生を抑制することができる。ゴースト画像としては、例えば、露光メモリーに起因するゴースト画像、及び転写メモリーに起因するゴースト画像が挙げられる。
【0019】
露光メモリーに起因するゴースト画像は、形成画像において、感光体の前の周の露光領域に対応する領域が黒ずむ画像不良である。露光メモリーは、露光の影響によって、感光体表面において、前の周の露光領域に対応する領域の帯電電位が、前の周の非露光領域に対応する領域よりも低下する現象である。特に低温低湿環境下で、露光メモリーが発生する傾向がある。
【0020】
転写メモリーに起因するゴースト画像は、形成画像において、感光体の前の周の非露光領域に対応する領域が黒ずむ画像不良である。転写メモリーは、転写バイアス(帯電極性と逆極性のバイアス)の影響によって、感光体表面において、前の周の非露光領域に対応する領域の帯電電位が、前の周の露光領域に対応する領域よりも低下する現象である。特に高温高湿環境下で、転写メモリーが発生する傾向がある。
【0021】
以下、図1(a)〜図1(c)を参照して、感光体1について説明する。図1は、本実施形態に係る感光体1の一例を示す断面図である。
【0022】
図1(a)に示すように、感光体1は、例えば、導電性基体2と感光層3とを備える。感光層3は単層である。感光体1は、単層の感光層3を備えるいわゆる単層型電子写真感光体である。
【0023】
図1(b)に示すように、感光体1は、導電性基体2と、感光層3と、中間層4(下引き層)とを備えてもよい。中間層4は、導電性基体2と感光層3との間に設けられる。図1(a)に示すように、感光層3は導電性基体2上に直接設けられてもよいし、図1(b)に示すように、感光層3は導電性基体2上に中間層4を介して間接的に設けられてもよい。
【0024】
図1(c)に示すように、感光体1は、導電性基体2と、感光層3と、保護層5とを備えてもよい。保護層5は、感光層3上に設けられる。
【0025】
感光層3の厚さは、感光層としての機能を十分に発現できる限り、特に限定されない。感光層3の厚さは、5μm以上100μm以下であることが好ましく、10μm以上50μm以下であることがより好ましい。
【0026】
以上、図1(a)〜図1(c)を参照して、感光体1について説明した。以下、感光体について更に詳細に説明する。
【0027】
<帯電電位差V01−V02及び露光後電位差VL2−VL1
感光体を5周回転させながら、第1周目において所定帯電条件で感光体を帯電し、第2周目、第3周目及び第4周目において所定露光条件で感光体を露光し、第5周目において所定帯電条件で感光体を帯電した場合に、第1周目における感光体の帯電電位V01と第5周目における感光体の帯電電位V02との差V01−V02は、下記数式(1)を満たす。なお、所定帯電条件及び所定露光条件については、後述する。
+70V≦V01−V02≦+90V ・・・(1)
【0028】
即ち、第1周目における感光体の帯電電位V01と第5周目における感光体の帯電電位V02との差V01−V02(以下、帯電電位差V01−V02と記載することがある)は、+70V以上+90V以下である。帯電電位差V01−V02が+70V以上+90V以下であると、形成画像におけるゴースト画像の発生を抑制することができる。帯電電位差V01−V02が+70V以上であると、特に、高温高湿環境下で形成画像にゴースト画像が発生することを抑制できる。帯電電位差V01−V02が+90V以下であると、特に、低温低湿環境下で形成画像にゴースト画像が発生することを抑制できる。
【0029】
なお、第1周目及び第5周目において、後述する所定帯電条件で感光体を正極性に帯電することから、帯電電位V01及び帯電電位V02は、各々、正の値となる。そのため、数式(1)を満たす場合、第5周目における感光体の帯電電位V02は、第1周目における感光体の帯電電位V01よりも低くなる。
【0030】
形成画像におけるゴースト画像の発生を抑制するためには、帯電電位差V01−V02は、+75V以上であることが好ましい。同じ理由から、帯電電位差V01−V02は、+85V以下であることが好ましく、+80V以下であることがより好ましく、+78V以下であることが更に好ましく、+77V以下であることが特に好ましい。同じ理由から、帯電電位差V01−V02は、+70V、+75V、+76V、+77V、+78V、+79V、+80V、+81V、+82V、+83V、+84V、+85V、+86V及び+90Vから選択される2つの値の範囲内であることも好ましい。
【0031】
帯電電位差V01−V02は、正孔輸送剤の種類、電子輸送剤の種類、及びバインダー樹脂の種類を変更することにより、調整することができる。また、帯電電位差V01−V02は、電子輸送剤の質量METMに対する正孔輸送剤の質量MHTMの比率MHTM/METMを変更することにより、調整することができる。また、帯電電位差V01−V02は、バインダー樹脂の質量MResinに対する、正孔輸送剤及び電子輸送剤の合計質量(MHTM+METM)の比率(MHTM+METM)/MResinを変更することにより、調整することができる。
【0032】
感光体を5周回転させながら、第1周目において所定帯電条件で感光体を帯電し、第2周目、第3周目及び第4周目において所定露光条件で感光体を露光し、第5周目において所定帯電条件で感光体を帯電した場合に、第2周目における感光体の露光後電位VL1と第4周目における感光体の露光後電位VL2との差VL2−VL1は、下記数式(2)を満たす。なお、所定帯電条件及び所定露光条件については、後述する。
+5V≦VL2−VL1≦+14V ・・・(2)
【0033】
即ち、第2周目における感光体の露光後電位VL1と、第4周目における感光体の露光後電位VL2との差VL2−VL1(以下、露光後電位差VL2−VL1と記載することがある)は、+5V以上+14V以下である。露光後電位差VL2−VL1が+5V以上+14V以下であると、形成画像におけるゴースト画像の発生を抑制することができる。露光後電位差VL2−VL1が+5V以上であると、特に、高温高湿環境下及び低温低湿環境下で形成画像にゴースト画像が発生することを抑制できる。露光後電位差VL2−VL1が+14V以下であると、特に、高温高湿環境下及び低温低湿環境下で形成画像にゴースト画像が発生することを抑制できる。
【0034】
なお、第1周目及び第5周目において、後述する所定帯電条件で感光体を正極性に帯電することから、露光後電位VL1及び露光後電位VL2は、各々、正の値となる。そのため、数式(2)を満たす場合、第4周目における感光体の露光後電位VL2は、第2周目における感光体の露光後電位VL1よりも高くなる。
【0035】
形成画像におけるゴースト画像の発生を抑制するためには、露光後電位差VL2−VL1は、+7V以上であることが好ましい。同じ理由から、露光後電位差VL2−VL1は、+10V以下であることが好ましい。同じ理由から、露光後電位差VL2−VL1は、+5V、+6V、+7V、+8V、+9V、+10V、+11V、+12V、+13V及び+14Vから選択される2つの値の範囲内であることも好ましい。
【0036】
露光後電位差VL2−VL1は、正孔輸送剤の種類、電子輸送剤の種類、及びバインダー樹脂の種類を変更することにより、調整することができる。また、露光後電位差VL2−VL1は、電子輸送剤の質量METMに対する正孔輸送剤の質量MHTMの比率MHTM/METMを変更することにより、調整することができる。また、露光後電位差VL2−VL1は、バインダー樹脂の質量MResinに対する、正孔輸送剤及び電子輸送剤の合計質量(MHTM+METM)の比率(MHTM+METM)/MResinを変更することにより、調整することができる。
【0037】
(帯電電位差V01−V02及び露光後電位差VL2−VL1の測定方法)
以下、図2図4を参照して、帯電電位差V01−V02及び露光後電位差VL2−VL1の測定方法を説明する。
【0038】
[測定装置]
帯電電位差V01−V02及び露光後電位差VL2−VL1は、図2に示す測定装置20を用いて測定される。測定装置20は、スコロトロン帯電装置21と、露光装置22と、電位測定プローブ23とを備える。スコロトロン帯電装置21は、感光体1の表面1aを帯電する。露光装置22は、感光体1の表面1aを露光する。電位測定プローブ23は、感光体1の表面1aの電位(例えば、帯電電位V01、帯電電位V02、露光後電位VL1、及び露光後電位VL2)を測定する。感光体1は、測定装置20内に、感光体1の回転軸1sを中心として回転可能に備えられる。スコロトロン帯電装置21と、露光装置22と、電位測定プローブ23とは、感光体1の回転方向の上流側から記載された順に、感光体1の周囲に配置される。
【0039】
次に、図3を参照して、スコロトロン帯電装置21について更に説明する。図3は、図2に示すスコロトロン帯電装置21の拡大図である。スコロトロン帯電装置21は、ワイヤー211と、ケーシング212と、電源213と、電流計214と、電圧印加装置215と、グリッド216とを備える。ワイヤー211は、電流計214の一方端に接続される。電流計214の他方端には、電源213が接続されている。電源213は、電流計214を介して、ワイヤー211に電流を流す。電流計214は、電源213からワイヤー211に流れる電流を測定する。グリッド216は、電圧印加装置215に接続されている。電圧印加装置215は、グリッド216に、グリッドバイアスを印加する。ケーシング212は、ワイヤー211とグリッド216とを収容する。ワイヤー211に流れる電流、及びグリッド216に印加されるグリッドバイアスによって、スコロトロン帯電装置21から感光体1に流れ込む電流が制御される。
【0040】
スコロトロン帯電装置21のワイヤー211は、感光体1の回転軸1sと平行に配置される。スコロトロン帯電装置21のグリッド216は、ワイヤー211及び感光体1の回転軸1sの各々に対して、垂直に配置される。
【0041】
測定装置20としては、ドラム感度試験機(ジェンテック株式会社製)を使用し得る。電位測定プローブ23としては、Monroe Electronics社製「MODEL1017AS」を使用し得る。
【0042】
[所定帯電条件及び所定露光条件]
帯電電位差V01−V02及び露光後電位差VL2−VL1は、所定帯電条件及び所定露光条件で測定される。所定帯電条件とは、ワイヤー電流が+180μAの直流電流であり、グリッドバイアスが+540Vである条件である。ワイヤー電流は、スコロトロン帯電装置21のワイヤー211に流れる電流である。グリッドバイアスは、スコロトロン帯電装置21のグリッド216に印加されるバイアスである。所定露光条件とは、露光光の波長が780nmであり、露光光の光量が1.2μJ/cm2である条件である。露光光は、露光装置22が感光体1の表面1aに照射する光である。
【0043】
[測定条件]
帯電電位差V01−V02及び露光後電位差VL2−VL1は、所定帯電条件及び所定露光条件に加えて、以下に示す測定条件で測定される。測定環境は、温度23℃及び相対湿度50%RHの環境である。感光体1の周速は、109rpmである。スコロトロン帯電装置21のワイヤー211から感光体1の表面1aまでの距離D211は、8.0mmである。スコロトロン帯電装置21のグリッド216から感光体1の表面1aまでの間の距離D216は、1.0mmである。感光体1の表面1aの特定領域(例えば、表面1a上の1つの点)が、帯電位置Aを通過してから露光位置Bに到達するまでの時間は、0.115秒である。感光体1の表面1aの特定領域(例えば、表面1a上の1つの点)が、露光位置Bを通過してから電位測定位置Cに到達するまでの時間は、0.092秒である。帯電位置Aは、感光体1の回転軸1s及びスコロトロン帯電装置21のワイヤー211を通る線(回転軸1s及びワイヤー211の各々と直交する線)と、感光体1の表面1aとが交わる位置を示す。露光位置Bは、露光装置22が感光体1の表面1aに露光光を照射する位置を示す。電位測定位置Cは、電位測定プローブ23が感光体1の表面1aの電位を測定する位置を示す。
【0044】
[電位差測定手順]
帯電電位差V01−V02及び露光後電位差VL2−VL1は、図4に示す電位差測定手順により測定される。図4は、帯電電位差V01−V02及び露光後電位差VL2−VL1の測定手順を示すフローチャートである。帯電電位差V01−V02及び露光後電位差VL2−VL1は、下記工程(1)〜(11)を行うことにより測定される。
工程(1):感光体1を4周回転させながら、所定帯電条件でスコロトロン帯電装置21が感光体1の表面1aを予備帯電する予備帯電工程(S301)、
工程(2):感光体1の第1周目において、所定帯電条件でスコロトロン帯電装置21が感光体1の表面1aを帯電する第1帯電工程(S302)、
工程(3):感光体1の第1周目において、電位測定プローブ23が感光体1の表面1aの帯電電位V01を測定する帯電電位V01測定工程(S303)、
工程(4):感光体1の第2周目において、所定露光条件で露光装置22が感光体1の表面1aを露光する第1露光工程(S304)、
工程(5):感光体1の第2周目において、電位測定プローブ23が感光体1の表面1aの露光後電位VL1を測定する露光後電位VL1測定工程(S305)、
工程(6):感光体1の第3周目において、所定露光条件で露光装置22が感光体1の表面1aを露光する第2露光工程(S306)、
工程(7):感光体1の第4周目において、所定露光条件で露光装置22が感光体1の表面1aを露光する第3露光工程(S307)、
工程(8):感光体1の第4周目において、電位測定プローブ23が感光体1の表面1aの露光後電位VL2を測定する露光後電位VL2測定工程(S308)、
工程(9):感光体1の第5周目において、所定帯電条件でスコロトロン帯電装置21が感光体1の表面1aを帯電する第2帯電工程(S309)、
工程(10):感光体1の第5周目において、電位測定プローブ23が感光体1の表面1aの帯電電位V02を測定する帯電電位V02測定工程(S310)、及び
工程(11):測定した帯電電位V01、帯電電位V02、露光後電位VL1、及び露光後電位VL2から、帯電電位差V01−V02及び露光後電位差VL2−VL1を算出する算出工程(S311)。
【0045】
工程(11)において、帯電電位差V01−V02は、計算式「帯電電位差V01−V02=帯電電位V01−帯電電位V02」から算出される。露光後電位差VL2−VL1は、計算式「露光後電位差VL2−VL1=露光後電位VL2−露光後電位VL1」から算出される。
【0046】
なお、予備帯電工程の4周分は感光体1の周数としてカウントせず、第1帯電工程での感光体1の回転を第1周目としてカウントする。また、感光体1の第1周目においては、感光体1が1周する間、感光体1の表面1aを帯電し続ける。感光体1の第1周目においては、感光体1の露光を実施しない。感光体1の第2周目においては、感光体1が1周する間、感光体1の表面1aを露光し続ける。感光体1の第3周目においては、感光体1が1周する間、感光体1の表面1aを露光し続ける。感光体1の第4周目においては、感光体1が1周する間、感光体1の表面1aを露光し続ける。感光体1の第2周目〜第4周目においては、感光体1の帯電を実施しない。感光体1の第5周目においては、感光体1が1周する間、感光体1の表面1aを帯電し続ける。感光体1の第5周目においては、感光体1の露光を実施しない。
【0047】
以上、図2図4を参照して、帯電電位差V01−V02及び露光後電位差VL2−VL1の測定方法を説明した。
【0048】
<感光層>
感光層は、電荷発生剤と正孔輸送剤と電子輸送剤とバインダー樹脂とを含有する。感光層は、必要に応じて、添加剤を含有してもよい。
【0049】
(比率MHTM/METM
電子輸送剤の質量METMに対する正孔輸送剤の質量MHTMの比率MHTM/METMは、2.0以上である。比率MHTM/METMが2.0以上であると、特に、高温高湿環境下及び低温低湿環境下で形成画像にゴースト画像が発生することを抑制できる。
【0050】
高温高湿環境下及び低温低湿環境下で形成画像にゴースト画像が発生することを抑制するためには、比率MHTM/METMは、2.3以上であることが好ましく、2.4以上であることがより好ましく、2.5以上であることが更に好ましく、2.6以上であることが一層好ましい。同じ理由から、比率MHTM/METMは、4.0未満であることが好ましく、3.9以下であることがより好ましく、3.8以下であることが更に好ましい。同じ理由から、比率MHTM/METMは、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、3.0、3.8及び3.9から選択される2つの値の範囲内であることも好ましい。
【0051】
(比率(MHTM+METM)/MResin
バインダー樹脂の質量MResinに対する、正孔輸送剤及び電子輸送剤の合計質量(MHTM+METM)の比率(MHTM+METM)/MResinは、0.80以上1.20以下である。比率(MHTM+METM)/MResinが0.80以上であると、高温高湿環境下及び低温低湿環境下で形成画像にゴースト画像が発生することを抑制できる。比率(MHTM+METM)/MResinが1.20以下であると、高温高湿環境下及び低温低湿環境下で形成画像にゴースト画像が発生することを抑制できる。
【0052】
高温高湿環境下及び低温低湿環境下で形成画像にゴースト画像が発生することを抑制するためには、比率(MHTM+METM)/MResinは、0.85以上であることが好ましく、0.90以上であることがより好ましい。同じ理由から、比率(MHTM+METM)/MResinは、1.10以下であることが好ましい。同じ理由から、比率(MHTM+METM)/MResinは、0.80、0.85、0.90、0.95、1.00、1.05、1.10、1.15及び1.20から選択される2つの値の範囲内であることも好ましい。
【0053】
(正孔輸送剤)
正孔輸送剤としては、例えば、トリフェニルアミン誘導体、ジアミン誘導体(例えば、N,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体又はジ(アミノフェニルエテニル)ベンゼン誘導体)、オキサジアゾール系化合物(例えば、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール)、スチリル系化合物(例えば、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン)、カルバゾール系化合物(例えば、ポリビニルカルバゾール)、有機ポリシラン化合物、ピラゾリン系化合物(例えば、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン)、ヒドラゾン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物及びトリアゾール系化合物が挙げられる。感光層は、正孔輸送剤の1種のみを含有してもよく、2種以上を含有してもよい。
【0054】
正孔輸送剤の好適な例としては、一般式(10)、(11)、(12)、(13)及び(14)で表される化合物が挙げられる。以下、一般式(10)、(11)、(12)、(13)及び(14)で表される化合物の各々を、化合物(10)、(11)、(12)、(13)及び(14)と記載することがある。正孔輸送剤として化合物(10)、(11)、(12)、(13)又は(14)を感光層が含有することで、帯電電位差V01−V02及び露光後電位差VL2−VL1を所望の値に好適に調整できる。
【0055】
以下、化合物(10)について説明する。
【0056】
【化2】
【0057】
一般式(10)中、R1及びR2は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表す。a1及びa2は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。R3及びR4は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基若しくは炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を有してもよいフェニル基、又は−CR5=CR67を表す。R5、R6及びR7は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基若しくは炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を有してもよいフェニル基、又は水素原子を表す。Wは、単結合又はp−フェニレン基を表す。
【0058】
形成画像におけるゴースト画像の発生を抑制するためには、一般式(10)中、R1及びR2が表わす炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上3以下のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0059】
形成画像におけるゴースト画像の発生を抑制するためには、一般式(10)中、R1及びR2が表わす炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基としては、炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。
【0060】
一般式(10)中、a1が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR1は、互いに同一であってもよく異なっていてもよい。a2が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR2は、互いに同一であってもよく異なっていてもよい。形成画像におけるゴースト画像の発生を抑制するためには、a1は、0以上2以下の整数を表すことが好ましく、1又は2を表すことがより好ましい。形成画像におけるゴースト画像の発生を抑制するためには、a2は、0以上2以下の整数を表すことが好ましく、1又は2を表すことがより好ましい。
【0061】
1及びR2の結合位置は特に限定されない。R1及びR2は、各々、フェニル基のオルト位、メタ位及びパラ位の何れに結合(位置)してもよい。a1が1であるとき、R1はフェニル基のパラ位に結合することが好ましい。a1が2であるとき、2個のR1はフェニル基のオルト位及びパラ位に結合することが好ましい。a2が1であるとき、R2はフェニル基のパラ位に結合することが好ましい。a2が2であるとき、2個のR2はフェニル基のオルト位及びパラ位に結合することが好ましい。
【0062】
一般式(10)中、R3及びR4は、各々独立に、フェニル基又は−CR5=CR67を表す。R3及びR4がフェニル基を表す場合について説明する。R3及びR4が表わすフェニル基は、置換基として、炭素原子数1以上6以下のアルキル基若しくは炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を有してもよい。フェニル基が有する炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上3以下のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。フェニル基が有する炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基としては、炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。フェニル基が置換基として炭素原子数1以上6以下のアルキル基若しくは炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を有する場合、フェニル基が有する置換基の数は、1以上5以下であることが好ましく、1以上3以下であることが好ましく、1又は2であることが更に好ましい。形成画像におけるゴースト画像の発生を抑制するためには、R3及びR4としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよいフェニル基が好ましく、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を有してもよいフェニル基がより好ましく、メチル基を有してもよいフェニル基が更に好ましく、フェニル基又はp−メチルフェニル基が特に好ましい。
【0063】
3及びR4が−CR5=CR67を表す場合について説明する。R5、R6及びR7は、各々独立に、フェニル基又は水素原子を表す。R5、R6及びR7が表わすフェニル基は、置換基として、炭素原子数1以上6以下のアルキル基若しくは炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を有してもよい。R5は水素原子を表すことが好ましい。R6及びR7は、各々、フェニル基を表すことが好ましい。
【0064】
Wは、単結合又はp−フェニレン基を表す。形成画像におけるゴースト画像の発生を抑制するためには、Wはp−フェニレン基を表すことが好ましい。
【0065】
形成画像におけるゴースト画像の発生を抑制するためには、一般式(10)中、R1及びR2は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表し、a1及びa2は、各々独立に、1又は2を表し、R3及びR4は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよいフェニル基、又は−CR5=CR67を表し、R5、R6及びR7は、各々独立に、フェニル基又は水素原子を表し、Wは、単結合又はp−フェニレン基を表すことが好ましい。
【0066】
形成画像におけるゴースト画像の発生を抑制するためには、一般式(10)中、R1及びR2は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表し、a1及びa2は、各々、1を表し、R3及びR4は、各々、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよいフェニル基を表し、Wは、p−フェニレン基を表すことがより好ましい。
【0067】
形成画像におけるゴースト画像の発生を抑制するためには、一般式(10)中、R1及びR2は、各々独立に、メチル基又はメトキシ基を表し、a1及びa2は、各々、1を表し、R3及びR4は、各々、フェニル基又はp−メチルフェニル基を表し、Wは、p−フェニレン基を表すことが更に好ましい。
【0068】
化合物(10)の好適な例としては、化学式(H−1)、(H−2)、(H−3)、(H−4)、(H−5)、(H−6)及び(H−7)で表される化合物(以下、それぞれを化合物(H−1)、(H−2)、(H−3)、(H−4)、(H−5)、(H−6)及び(H−7)と記載することがある)が挙げられる。これらの化合物のなかでも、形成画像におけるゴースト画像の発生を抑制するためには、化合物(H−4)、(H−5)又は(H−6)がより好ましい。
【0069】
【化3】
【0070】
次に、化合物(11)について説明する。
【0071】
【化4】
【0072】
一般式(11)中、R11、R12、R13及びR14は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表す。b1、b2、b3及びb4は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。
【0073】
一般式(11)中、b1が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR11は、互いに同一であってもよく異なっていてもよい。b2が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR12は、互いに同一であってもよく異なっていてもよい。b3が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR13は、互いに同一であってもよく異なっていてもよい。b4が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR14は、互いに同一であってもよく異なっていてもよい。R11、R12、R13及びR14の結合位置は特に限定されない。R11、R12、R13及びR14は、各々、フェニル基のオルト位、メタ位及びパラ位の何れに結合(位置)してもよい。R11、R12、R13及びR14は、各々、フェニル基のパラ位に結合することが好ましい。
【0074】
一般式(11)中、R11、R12、R13及びR14は、各々、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことがより好ましく、メチル基を表すことが更に好ましい。b1、b2、b3及びb4は、各々独立に、0又は1を表すことが好ましい。b1及びb2が各々1を表し、b3及びb4が各々0を表すことがより好ましい。
【0075】
化合物(11)の好適な例としては、化学式(H−12)で表される化合物(以下、化合物(H−12)と記載することがある)が挙げられる。
【0076】
【化5】
【0077】
次に、化合物(12)について説明する。
【0078】
【化6】
【0079】
一般式(12)中、R21、R22及びR23は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表す。e1、e2及びe3は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。R24及びR25は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基若しくは炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を有してもよいフェニル基、又は水素原子を表す。
【0080】
一般式(12)中、e1が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR21は、互いに同一であってもよく異なっていてもよい。e2が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR22は、互いに同一であってもよく異なっていてもよい。e3が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR23は、互いに同一であってもよく異なっていてもよい。R21、R22及びR23の結合位置は特に限定されない。R21、R22及びR23は、各々、フェニル基のオルト位、メタ位及びパラ位の何れに結合(位置)してもよい。
【0081】
e1、e2及びe3は、各々独立に、0以上2以下の整数を表すことが好ましく、0又は2を表すことがより好ましい。e1が2を表し、e2及びe3が0を表すことが更に好ましい。e1が2を表すとき、2個のR21は、フェニル基のオルト位及びパラ位に結合することが好ましい。e2が2を表すとき、2個のR22は、フェニル基のオルト位及びパラ位に結合することが好ましい。e3が2を表すとき、2個のR23は、フェニル基のオルト位及びパラ位に結合することが好ましい。
【0082】
一般式(12)中、R21、R22及びR23は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことがより好ましく、メチル基を表すことが更に好ましい。R24及びR25は、各々、フェニル基を表すことが好ましい。或いは、R24及びR25は、各々、水素原子を表すことが好ましい。
【0083】
化合物(12)の好適な例としては、化学式(H−10)及び(H−11)で表される化合物(以下、それぞれ化合物(H−10)及び(H−11)と記載することがある)が挙げられる。
【0084】
【化7】
【0085】
次に、化合物(13)について説明する。
【0086】
【化8】
【0087】
一般式(13)中、R31、R32、R33、R34及びR35は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表す。f1、f2、f3、f4及びf5は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。
【0088】
一般式(13)中、f1が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR31は、互いに同一であってもよく異なっていてもよい。f2が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR32は、互いに同一であってもよく異なっていてもよい。f3が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR33は、互いに同一であってもよく異なっていてもよい。f4が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR34は、互いに同一であってもよく異なっていてもよい。f5が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR35は、互いに同一であってもよく異なっていてもよい。R31、R32、R33、R34及びR35の結合位置は特に限定されない。R31、R32、R33、R34及びR35は、各々、フェニル基のオルト位、メタ位及びパラ位の何れに結合(位置)してもよい。R31、R32、R33、R34及びR35は、各々、フェニル基のパラ位に結合することが好ましい。
【0089】
一般式(13)中、R31、R32、R33、R34及びR35は、各々、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことがより好ましく、メチル基を表すことが更に好ましい。f1、f2、f3、f4及びf5は、各々独立に、0又は1を表すことが好ましく、1を表すことがより好ましい。
【0090】
化合物(13)の好適な例としては、化学式(H−8)で表される化合物(以下、化合物(H−8)と記載することがある)が挙げられる。
【0091】
【化9】
【0092】
次に、化合物(14)について説明する。
【0093】
【化10】
【0094】
一般式(14)中、R41、R42及びR43は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表す。g1、g2及びg3は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。
【0095】
一般式(14)中、g1が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR41は、互いに同一であってもよく異なっていてもよい。g2が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR42は、互いに同一であってもよく異なっていてもよい。g3が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR43は、互いに同一であってもよく異なっていてもよい。R41、R42及びR43の結合位置は特に限定されない。R41、R42及びR43は、各々、フェニル基のオルト位、メタ位及びパラ位の何れに結合(位置)してもよい。R41、R42及びR43は、各々、フェニル基のメタ位に結合することが好ましい。
【0096】
一般式(14)中、R41、R42及びR43は、各々、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことがより好ましく、メチル基を表すことが更に好ましい。g1、g2及びg3は、各々独立に、0又は1を表すことが好ましく、1を表すことがより好ましい。
【0097】
化合物(14)の好適な例としては、化学式(H−9)で表される化合物(以下、化合物(H−9)と記載することがある)が挙げられる。
【0098】
【化11】
【0099】
形成画像におけるゴースト画像の発生を抑制するためには、正孔輸送剤としては、化合物(10)が好ましく、化合物(H−4)、(H−5)又は(H−6)がより好ましく、化合物(H−5)又は(H−6)が更に好ましい。形成画像におけるゴースト画像の発生を抑制しつつ、感光体の感度特性を特に向上させるためには、正孔輸送剤としては、化合物(H−6)が好ましい。
【0100】
正孔輸送剤として、化合物(10)〜(14)の1種のみを感光層が含有してもよい。或いは、正孔輸送剤として、化合物(10)〜(14)の2種以上を感光層が含有してもよい。また、正孔輸送剤として、化合物(10)〜(14)のみを感光層が含有してもよい。或いは、正孔輸送剤として、化合物(10)〜(14)に加えて、化合物(10)〜(14)以外の正孔輸送剤を感光層が更に含有してもよい。化合物(10)〜(14)の含有量は、感光層に含有される正孔輸送剤の総質量に対して、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
【0101】
感光層に含有される正孔輸送剤の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上120質量部以下であることが好ましく、55質量部以上95質量部以下であることがより好ましい。
【0102】
(電子輸送剤)
電子輸送剤の例としては、キノン化合物、ジイミド化合物、ヒドラゾン化合物、マロノニトリル系化合物、チオピラン系化合物、トリニトロチオキサントン系化合物、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン系化合物、ジニトロアントラセン系化合物、ジニトロアクリジン系化合物、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアクリジン、無水コハク酸、無水マレイン酸及びジブロモ無水マレイン酸が挙げられる。キノン系化合物としては、例えば、ジフェノキノン系化合物、アゾキノン系化合物、アントラキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、ニトロアントラキノン系化合物及びジニトロアントラキノン系化合物が挙げられる。感光層は、電子輸送剤の1種のみを含有してもよく、2種以上を含有してもよい。
【0103】
電子輸送剤の好適な例としては、一般式(20)、(21)及び(22)で表される化合物が挙げられる。以下、一般式(20)、(21)及び(22)で表される化合物を、各々、化合物(20)、(21)及び(22)と記載することがある。電子輸送剤として化合物(20)、(21)又は(22)を感光層が含有することで、感光層の電荷移動度が向上し、帯電電位差V01−V02及び露光後電位差VL2−VL1を所望の値に好適に調整できる。
【0104】
以下、化合物(20)について説明する。
【0105】
【化12】
【0106】
一般式(20)中、Q1及びQ2は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表す。
【0107】
一般式(20)中、Q1及びQ2は、各々、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、炭素原子数4以上6以下のアルキル基を表すことがより好ましく、ペンチル基を表すことが更に好ましく、1,1−ジメチルプロピル基を表すことが特に好ましい。
【0108】
化合物(20)の好適な例としては、化学式(E−1)で表される化合物(以下、化合物(E−1)と記載することがある)が挙げられる。
【0109】
【化13】
【0110】
次に、化合物(21)について説明する。
【0111】
【化14】
【0112】
一般式(21)中、Q11及びQ12は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を有してもよいフェニル基を表す。
【0113】
一般式(21)中、Q11及びQ12が表わすフェニル基は、置換基として、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を有してもよい。このようなフェニル基が有する置換基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基が好ましく、炭素原子数1以上3以下のアルキル基がより好ましく、メチル基又はエチル基が更に好ましい。置換基として炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基をフェニル基が有する場合、フェニル基が有する置換基の数は、1以上3以下であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、2であることが特に好ましい。Q11及びQ12は、各々、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するフェニル基であることが好ましく、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を有するフェニル基であることがより好ましく、メチル基及びエチル基を有するフェニル基であることが更に好ましく、2−エチル−6−メチルフェニル基であることが特に好ましい。
【0114】
化合物(21)の好適な例としては、化学式(E−2)で表される化合物(以下、化合物(E−2)と記載することがある)が挙げられる。
【0115】
【化15】
【0116】
次に、化合物(22)について説明する。
【0117】
【化16】
【0118】
一般式(22)中、Q21及びQ22は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表し、Q23は、ハロゲン原子を有してもよいフェニル基を表す。
【0119】
一般式(22)中、Q21及びQ22は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、炭素原子数4以上6以下のアルキル基を表すことがより好ましく、ブチル基を表すことが更に好ましく、tert−ブチル基を表すことが特に好ましい。
【0120】
一般式(22)中、Q23は、ハロゲン原子を有するフェニル基であることが好ましく、塩素原子を有するフェニル基であることがより好ましく、p−クロロフェニル基であることが更に好ましい。
【0121】
化合物(22)の好適な例としては、化学式(E−3)で表される化合物(以下、化合物(E−3)と記載することがある)が挙げられる。
【0122】
【化17】
【0123】
形成画像におけるゴースト画像の発生を抑制するためには、電子輸送剤としては、化合物(20)、(21)又は(22)が好ましく、化合物(E−1)、(E−2)又は(E−3)がより好ましい。
【0124】
電子輸送剤として、化合物(20)〜(22)の1種のみを感光層が含有してもよい。或いは、電子輸送剤として、化合物(20)〜(22)の2種以上を感光層が含有してもよい。また、電子輸送剤として、化合物(20)〜(22)のみを感光層が含有してもよい。或いは、電子輸送剤として、化合物(20)〜(22)に加えて、化合物(20)〜(22)以外の電子輸送剤を感光層が更に含有してもよい。化合物(20)〜(22)の含有量は、感光層に含有される電子輸送剤の総質量に対して、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
【0125】
感光層に含有される電子輸送剤の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上120質量部以下であることが好ましく、20質量部以上30質量部以下であることがより好ましく、25質量部であることが更に好ましい。
【0126】
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及び光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル酸重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂及びポリエーテル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂及びメラミン樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ化合物のアクリル酸付加物及びウレタン化合物のアクリル酸付加物が挙げられる。感光層は、バインダー樹脂の1種のみを含有してもよく、2種以上を含有してもよい。
【0127】
形成画像におけるゴースト画像の発生を抑制するために、バインダー樹脂としては、ポリアリレート樹脂が好ましく、化学式(30A)及び(30B)で表される繰り返し単位の少なくとも1種と、化学式(31)で表される繰り返し単位と、化学式(32A)及び(32B)で表される繰り返し単位の少なくとも1種とを含むポリアリレート樹脂がより好ましい。
【0128】
【化18】
【0129】
【化19】
【0130】
【化20】
【0131】
以下、化学式(30A)及び(30B)で表される繰り返し単位の少なくとも1種と、化学式(31)で表される繰り返し単位と、化学式(32A)及び(32B)で表される繰り返し単位の少なくとも1種とを含むポリアリレート樹脂を、ポリアリレート樹脂(PA)と記載することがある。また、化学式(30A)、(30B)、(31)、(32A)及び(32B)で表される繰り返し単位を、各々、繰返し単位(30A)、(30B)、(31)、(32A)及び(32B)と記載することがある。
【0132】
形成画像におけるゴースト画像の発生を抑制するために、ポリアリレート樹脂(PA)の好適な例としては、ポリアリレート樹脂(PA−1)、(PA−2)、(PA−3)及び(PA−4)が挙げられる。ポリアリレート樹脂(PA−1)は、繰り返し単位(30A)、(31)及び(32B)を含む。なお、ポリアリレート樹脂(PA−1)は、繰り返し単位(30B)を含まない。
【0133】
【化21】
【0134】
ポリアリレート樹脂(PA−2)は、繰り返し単位(30A)、(31)及び(32A)を含む。なお、ポリアリレート樹脂(PA−2)は、繰り返し単位(30B)を含まない。
【0135】
【化22】
【0136】
ポリアリレート樹脂(PA−3)は、繰り返し単位(30A)、(30B)、(31)及び(32B)を含む。
【0137】
【化23】
【0138】
ポリアリレート樹脂(PA−4)は、繰り返し単位(30A)、(30B)、(31)及び(32A)を含む。
【0139】
【化24】
【0140】
形成画像におけるゴースト画像の発生を抑制するために、ポリアリレート樹脂(PA)は、繰り返し単位(30A)及び(30B)のうちの繰り返し単位(30A)を含むことが好ましい。或いは、形成画像におけるゴースト画像の発生を抑制するために、ポリアリレート樹脂(PA)は、繰り返し単位(30A)及び(30B)の両方を含むことも好ましい。ポリアリレート樹脂(PA)が繰り返し単位(30A)及び(30B)の両方を含む場合、繰り返し単位(30A)の数と繰り返し単位(30B)の数との和に対する、繰り返し単位(30A)の数の比率(以下、比率mと記載することがある)が、0.10以上0.90以下であることが好ましく、0.20以上0.80以下であることがより好ましく、0.30以上0.70以下であることが更に好ましく、0.40以上0.60以下であることが一層好ましく、0.50であることが特に好ましい。
【0141】
形成画像におけるゴースト画像の発生を抑制するためには、繰り返し単位(31)の数と繰り返し単位(32A)及び(32B)の少なくとも1種の数との和に対する、繰り返し単位(31)の数の比率(以下、比率nと記載することがある)が、0.10以上0.90以下であることが好ましく、0.20以上0.80以下であることがより好ましく、0.30以上0.70以下であることが更に好ましく、0.40以上0.60以下であることが一層好ましく、0.50であることが特に好ましい。
【0142】
比率m及び比率nは、各々、1本の分子鎖から得られる値ではなく、感光層に含有されるポリアリレート樹脂(PA)の全体(複数の分子鎖)から得られる値の平均値である。比率m及び比率nは、プロトン核磁気共鳴分光計を用いてポリアリレート樹脂(PA)の1H−NMRスペクトルを測定し、得られた1H−NMRスペクトルから算出することができる。
【0143】
ポリアリレート樹脂(PA)において、アルコール由来の繰り返し単位と、カルボン酸由来の繰り返し単位とは、隣接して互いに結合している。アルコール由来の繰り返し単位としては、例えば、繰り返し単位(30A)及び(30B)が挙げられる。カルボン酸由来の繰り返し単位としては、例えば、繰り返し単位(31)、(32A)及び(32B)が挙げられる。ポリアリレート樹脂(PA)における繰返し単位(30A)、(30B)、(31)、(32A)及び(32B)の配列は、アルコール由来の繰返し単位とカルボン酸由来の繰返し単位とが互いに隣接する限り、特に限定されない。例えば、繰返し単位(30A)は、繰返し単位(31)、繰返し単位(32A)、又は繰り返し単位(32B)と隣接して互いに結合している。また、例えば、繰返し単位(30B)は、繰返し単位(31)、繰返し単位(32A)、又は繰り返し単位(32B)と隣接して互いに結合している。ポリアリレート樹脂(PA)は、例えば、ランダム共重合体、交互共重合体、周期的共重合体又はブロック共重合体であってもよい。
【0144】
ポリアリレート樹脂(PA)は、繰り返し単位として、繰り返し単位(30A)及び(30B)の少なくとも1種と、繰り返し単位(31)と、繰り返し単位(32A)及び(32B)の少なくとも1種のみを含んでいてもよい。また、ポリアリレート樹脂(PA)は、繰り返し単位(30A)及び(30B)の少なくとも1種と繰り返し単位(31)と繰り返し単位(32A)及び(32B)の少なくとも1種に加えて、これらの繰り返し単位以外の繰り返し単位を更に含んでいてもよい。ポリアリレート樹脂(PA)に含まれる全繰り返し単位の数に対する、繰り返し単位(30A)及び(30B)の少なくとも1種の数と繰り返し単位(31)の数と繰り返し単位(32A)及び(32B)の少なくとも1種の数との合計の比率は、0.80以上であることが好ましく、0.90以上であることがより好ましく、1.00であることが更に好ましい。
【0145】
感光層は、バインダー樹脂として、ポリアリレート樹脂(PA)の1種のみを含有してもよい。或いは、感光層は、バインダー樹脂として、ポリアリレート樹脂(PA)の2種以上を含有してもよい。また、感光層は、バインダー樹脂として、ポリアリレート樹脂(PA)のみを含有してもよい。或いは、感光層は、バインダー樹脂として、ポリアリレート樹脂(PA)に加えて、ポリアリレート樹脂(PA)以外のバインダー樹脂を更に含有していてもよい。
【0146】
ポリアリレート樹脂(PA)の粘度平均分子量は、10,000以上であることが好ましく、20,000以上であることがより好ましく、30,000以上であることが更に好ましい。ポリアリレート樹脂(PA)の粘度平均分子量が10,000以上であると、感光層が摩耗し難い。一方、ポリアリレート樹脂(PA)の粘度平均分子量は、80,000以下であることが好ましく、70,000以下であることがより好ましく、40,000以下であることが更に好ましい。ポリアリレート樹脂(PA)の粘度平均分子量が80,000以下であると、ポリアリレート樹脂(PA)が感光層形成用の溶剤に溶解し易くなり、感光層の形成が容易になる。
【0147】
ポリアリレート樹脂(PA)の製造方法は、特に限定されない。ポリアリレート樹脂(PA)の製造方法として、例えば、繰返し単位を構成するためのアルコールと、繰り返し単位を構成するためのカルボン酸とを縮重合させる方法が挙げられる。縮重合させる方法としては、公知の合成方法(より具体的には、溶液重合、溶融重合又は界面重合等)を採用することができる。
【0148】
繰返し単位を構成するためのアルコールの例としては、化学式(BP−30A)及び(BP−30B)で表される化合物(以下、それぞれを化合物(BP−30A)及び(BP−30B)と記載することがある)が挙げられる。
【0149】
【化25】
【0150】
繰返し単位を構成するためのカルボン酸の例としては、化学式(DC−31)、(DC−32A)及び(DC−32B)で表される化合物(以下、それぞれを化合物(DC−31)、(DC−32A)及び(DC−32B)と記載することがある)が挙げられる。
【0151】
【化26】
【0152】
【化27】
【0153】
繰返し単位を構成するためのアルコールを、芳香族ジアセテートに変形して使用してもよい。また、繰返し単位を構成するためのカルボン酸を、誘導体化して使用してもよい。カルボン酸の誘導体の例としては、ジカルボン酸ジクロライド、ジカルボン酸ジメチルエステル、ジカルボン酸ジエチルエステル及びジカルボン酸無水物が挙げられる。ジカルボン酸ジクロライドは、ジカルボン酸の2個の「−C(=O)−OH」基が各々「−C(=O)−Cl」基で置換された化合物である。
【0154】
アルコールとカルボン酸との縮重合において、塩基及び触媒の一方又は両方を添加してもよい。塩基及び触媒は、公知の塩基及び触媒から適宜選択することができる。塩基の例としては、水酸化ナトリウムが挙げられる。触媒の例としては、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、アンモニウムクロライド、アンモニウムブロマイド、4級アンモニウム塩、トリエチルアミン及びトリメチルアミンが挙げられる。
【0155】
(電荷発生剤)
電荷発生剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、無機光導電材料(例えば、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム又はアモルファスシリコン)の粉末、ピリリウム顔料、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料及びキナクリドン系顔料が挙げられる。感光層は、電荷発生剤の1種のみを含有してもよいし、2種以上を含有してもよい。
【0156】
フタロシアニン系顔料としては、例えば、無金属フタロシアニン及び金属フタロシアニンが挙げられる。金属フタロシアニンとしては、例えば、チタニルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン及びクロロガリウムフタロシアニンが挙げられる。チタニルフタロシアニンは、例えば、化学式(CGM1)で表される。無金属フタロシアニンは、例えば、化学式(CGM2)で表される。
【0157】
【化28】
【0158】
【化29】
【0159】
フタロシアニン系顔料は、結晶であってもよく、非結晶であってもよい。フタロシアニン系顔料の結晶形状(例えば、α型、β型、Y型、V型又はII型)については特に限定されず、種々の結晶形状を有するフタロシアニン系顔料が使用される。無金属フタロシアニンの結晶としては、例えば、無金属フタロシアニンのX型結晶(以下、X型無金属フタロシアニンと記載することがある)が挙げられる。チタニルフタロシアニンの結晶としては、例えば、チタニルフタロシアニンのα型、β型及びY型結晶(以下、それぞれをα型、β型及びY型チタニルフタロシアニンと記載することがある)が挙げられる。
【0160】
例えば、デジタル光学式の画像形成装置(例えば、半導体レーザーのような光源を使用した、レーザービームプリンター又はファクシミリ)には、700nm以上の波長領域に感度を有する感光体を用いることが好ましい。700nm以上の波長領域で高い量子収率を有することから、電荷発生剤としては、フタロシアニン系顔料が好ましく、無金属フタロシアニン又はチタニルフタロシアニンがより好ましく、X型無金属フタロシアニン又はY型チタニルフタロシアニンが更に好ましい。
【0161】
Y型チタニルフタロシアニンは、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、例えば、ブラッグ角(2θ±0.2°)の27.2°に主ピークを有する。CuKα特性X線回折スペクトルにおける主ピークとは、ブラッグ角(2θ±0.2°)が3°以上40°以下である範囲において、1番目又は2番目に大きな強度を有するピークである。
【0162】
CuKα特性X線回折スペクトルの測定方法の一例について説明する。試料(チタニルフタロシアニン)をX線回折装置(例えば、株式会社リガク製「RINT(登録商標)1100」)のサンプルホルダーに充填して、X線管球Cu、管電圧40kV、管電流30mA、かつCuKα特性X線の波長1.542Åの条件で、X線回折スペクトルを測定する。測定範囲(2θ)は、例えば3°以上40°以下(スタート角3°、ストップ角40°)であり、走査速度は、例えば10°/分である。
【0163】
短波長レーザー光源(例えば、350nm以上550nm以下の波長を有するレーザー光源)を用いた画像形成装置に適用される感光体には、電荷発生剤として、アンサンスロン系顔料が好適に用いられる。
【0164】
電荷発生剤の含有量は、感光層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上50質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上30質量部以下であることがより好ましく、1質量部以上5質量部以下であることが特に好ましい。
【0165】
(材料の組み合わせ)
形成画像におけるゴースト画像の発生を抑制するためには、バインダー樹脂、電子輸送剤及び正孔輸送剤が、次に示す組み合わせの何れかであることが好ましい。また、バインダー樹脂、電子輸送剤及び正孔輸送剤が次に示す組み合わせの何れかであり、電荷発生剤がX型無金属フタロシアニンであることがより好ましい。
【0166】
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−1)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−1)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−1)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−2)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−1)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−3)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−1)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−4)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−1)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−5)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−1)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−6)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−1)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−7)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−1)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−8)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−1)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−9)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−1)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−10)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−1)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−11)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−1)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−12)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−1)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−1)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−1)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−2)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−1)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−3)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−1)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−4)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−1)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−5)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−1)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−6)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−1)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−7)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−1)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−8)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−1)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−9)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−1)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−10)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−1)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−11)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−1)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−12)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−1)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−1)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−1)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−2)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−1)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−3)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−1)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−4)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−1)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−5)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−1)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−6)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−1)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−7)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−1)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−8)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−1)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−9)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−1)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−10)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−1)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−11)であるか;又は
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−1)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−12)である。
【0167】
形成画像におけるゴースト画像の発生を抑制するためには、バインダー樹脂、電子輸送剤及び正孔輸送剤が、次に示す組み合わせの何れかであることも好ましい。また、バインダー樹脂、電子輸送剤及び正孔輸送剤が次に示す組み合わせの何れかであり、電荷発生剤がX型無金属フタロシアニンであることがより好ましい。
【0168】
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−2)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−1)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−2)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−2)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−2)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−3)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−2)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−4)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−2)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−5)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−2)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−6)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−2)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−7)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−2)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−8)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−2)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−9)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−2)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−10)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−2)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−11)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−2)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−12)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−2)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−1)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−2)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−2)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−2)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−3)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−2)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−4)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−2)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−5)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−2)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−6)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−2)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−7)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−2)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−8)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−2)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−9)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−2)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−10)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−2)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−11)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−2)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−12)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−2)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−1)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−2)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−2)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−2)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−3)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−2)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−4)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−2)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−5)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−2)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−6)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−2)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−7)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−2)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−8)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−2)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−9)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−2)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−10)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−2)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−11)であるか;又は
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−2)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−12)である。
【0169】
形成画像におけるゴースト画像の発生を抑制するためには、バインダー樹脂、電子輸送剤及び正孔輸送剤が、次に示す組み合わせの何れかであることも好ましい。また、バインダー樹脂、電子輸送剤及び正孔輸送剤が次に示す組み合わせの何れかであり、電荷発生剤がX型無金属フタロシアニンであることがより好ましい。
【0170】
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−3)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−1)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−3)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−2)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−3)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−3)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−3)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−4)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−3)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−5)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−3)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−6)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−3)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−7)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−3)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−8)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−3)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−9)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−3)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−10)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−3)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−11)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−3)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−12)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−3)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−1)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−3)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−2)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−3)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−3)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−3)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−4)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−3)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−5)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−3)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−6)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−3)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−7)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−3)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−8)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−3)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−9)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−3)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−10)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−3)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−11)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−3)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−12)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−3)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−1)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−3)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−2)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−3)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−3)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−3)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−4)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−3)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−5)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−3)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−6)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−3)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−7)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−3)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−8)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−3)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−9)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−3)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−10)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−3)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−11)であるか;又は
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−3)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−12)である。
【0171】
形成画像におけるゴースト画像の発生を抑制するためには、バインダー樹脂、電子輸送剤及び正孔輸送剤が、次に示す組み合わせの何れかであることも好ましい。また、バインダー樹脂、電子輸送剤及び正孔輸送剤が次に示す組み合わせの何れかであり、電荷発生剤がX型無金属フタロシアニンであることがより好ましい。
【0172】
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−4)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−1)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−4)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−2)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−4)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−3)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−4)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−4)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−4)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−5)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−4)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−6)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−4)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−7)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−4)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−8)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−4)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−9)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−4)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−10)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−4)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−11)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−4)であり、電子輸送剤が化合物(E−1)であり、正孔輸送剤が化合物(H−12)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−4)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−1)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−4)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−2)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−4)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−3)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−4)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−4)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−4)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−5)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−4)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−6)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−4)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−7)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−4)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−8)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−4)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−9)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−4)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−10)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−4)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−11)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−4)であり、電子輸送剤が化合物(E−2)であり、正孔輸送剤が化合物(H−12)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−4)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−1)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−4)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−2)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−4)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−3)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−4)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−4)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−4)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−5)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−4)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−6)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−4)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−7)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−4)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−8)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−4)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−9)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−4)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−10)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−4)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−11)であるか;又は
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(PA−4)であり、電子輸送剤が化合物(E−3)であり、正孔輸送剤が化合物(H−12)である。
【0173】
(添加剤)
添加剤としては、例えば、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、1重項消光剤又は紫外線吸収剤)、軟化剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー、界面活性剤、可塑剤、増感剤及びレベリング剤が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール(例えば、ジ(tert−ブチル)p−クレゾール)、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びこれらの誘導体、有機硫黄化合物並びに有機燐化合物が挙げられる。
【0174】
<導電性基体>
導電性基体は、感光体の導電性基体として用いることができる限り、特に限定されない。導電性基体は、少なくとも表面部が導電性を有する材料で形成されていればよい。導電性基体の一例としては、導電性を有する材料で形成される導電性基体が挙げられる。導電性基体の別の例としては、導電性を有する材料で被覆される導電性基体が挙げられる。導電性を有する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼及び真鍮が挙げられる。これらの導電性を有する材料を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて(例えば、合金として)用いてもよい。これらの導電性を有する材料のなかでも、感光層から導電性基体への電荷の移動が良好であることから、アルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。
【0175】
導電性基体の形状は、画像形成装置の構造に合わせて適宜選択される。導電性基体の形状としては、例えば、シート状及びドラム状が挙げられる。また、導電性基体の厚さは、導電性基体の形状に応じて適宜選択される。
【0176】
<中間層>
中間層(下引き層)は、例えば、無機粒子及び中間層に用いられる樹脂(中間層用樹脂)を含有する。中間層が存在することにより、リーク発生を抑制し得る程度の絶縁状態を維持しつつ、感光体を露光した時に発生する電流の流れを円滑にして、抵抗の上昇が抑えられると考えられる。
【0177】
無機粒子としては、例えば、金属(例えば、アルミニウム、鉄又は銅)、金属酸化物(例えば、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ又は酸化亜鉛)の粒子及び非金属酸化物(例えば、シリカ)の粒子が挙げられる。これらの無機粒子は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0178】
中間層用樹脂としては、中間層を形成する樹脂として用いることができる限り、特に限定されない。中間層は、添加剤を含有してもよい。中間層に含有される添加剤の例は、感光層に含有される添加剤の例と同じである。
【0179】
<感光体の製造方法>
感光体は、例えば、以下のように製造される。感光体は、感光層用塗布液を導電性基体上に塗布し、乾燥することによって製造される。感光層用塗布液は、電荷発生剤、電子輸送剤、バインダー樹脂、正孔輸送剤及び必要に応じて添加される成分(例えば、添加剤)を、溶剤に溶解又は分散させることにより製造される。
【0180】
感光層用塗布液に含有される溶剤は、塗布液に含まれる各成分を溶解又は分散できる限り、特に限定されない。溶剤としては、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール又はブタノール)、脂肪族炭化水素(例えば、n−ヘキサン、オクタン又はシクロヘキサン)、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン又はキシレン)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素又はクロロベンゼン)、エーテル類(例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル又はプロピレングリコールモノメチルエーテル)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン又はシクロヘキサノン)、エステル類(例えば、酢酸エチル又は酢酸メチル)、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシドが挙げられる。これらの溶剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。感光体の製造時の作業性を向上させるためには、溶剤として非ハロゲン溶剤(ハロゲン化炭化水素以外の溶剤)を用いることが好ましい。
【0181】
塗布液は、各成分を混合し、溶剤に分散することにより調製される。混合又は分散には、例えば、ビーズミル、ロールミル、ボールミル、アトライター、ペイントシェーカー又は超音波分散機を用いることができる。
【0182】
感光層用塗布液は、各成分の分散性を向上させるために、例えば、界面活性剤を含有してもよい。
【0183】
感光層用塗布液を塗布する方法としては、塗布液を導電性基体上に均一に塗布できる方法である限り、特に限定されない。塗布方法としては、例えば、ブレードコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法及びバーコート法が挙げられる。
【0184】
感光層用塗布液を乾燥する方法としては、塗布液中の溶剤を蒸発させ得る限り、特に限定されない。例えば、高温乾燥機又は減圧乾燥機を用いて、熱処理(熱風乾燥)する方法が挙げられる。熱処理温度は、例えば、40℃以上150℃以下である。熱処理時間は、例えば、3分間以上120分間以下である。
【0185】
なお、感光体の製造方法は、必要に応じて、中間層を形成する工程及び保護層を形成する工程の一方又は両方を更に含んでもよい。中間層を形成する工程及び保護層を形成する工程では、公知の方法が適宜選択される。
【0186】
<画像形成装置>
以下、本実施形態の感光体を備える画像形成装置について説明する。以下、本実施形態の感光体を備える画像形成装置の一態様として、タンデム方式のカラー画像形成装置を例に挙げて、図5を参照しながら説明する。
【0187】
図5に示す画像形成装置100は、画像形成ユニット40a、40b、40c及び40dと、転写ベルト50と、定着部52とを備える。以下、区別する必要がない場合には、画像形成ユニット40a、40b、40c及び40dの各々を、画像形成ユニット40と記載する。
【0188】
画像形成ユニット40は、像担持体30と、帯電部42と、露光部44と、現像部46と、転写部48とを備える。像担持体30は、本実施形態の感光体1である。画像形成ユニット40の中央位置に、感光体1が設けられる。感光体1は、矢符方向(反時計回り)に回転可能に設けられる。感光体1の周囲には、帯電部42を基準として感光体1の回転方向の上流側から順に、帯電部42と、露光部44と、現像部46と、転写部48とが設けられる。なお、画像形成ユニット40には、クリーニング部(不図示)及び除電部(不図示)の一方又は両方が更に備えられてもよい。
【0189】
画像形成ユニット40a〜40dの各々によって、転写ベルト50上の記録媒体Pに、複数色(例えば、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの4色)のトナー像が順に重ねられる。
【0190】
帯電部42は、感光体1の表面1a(例えば、周面)を帯電させる。帯電部42の帯電極性は、正極性である。即ち、帯電部42は、感光体1の表面1aを正極性に帯電する。帯電部42は、帯電ローラーである。帯電ローラーは、感光体1の表面1aと接触しながら感光体1の表面1aを帯電する。即ち、画像形成装置100は、接触帯電方式を採用している。帯電ローラー以外の接触帯電方式の帯電部としては、例えば、帯電ブラシが挙げられる。なお、帯電部は非接触方式であってもよい。非接触方式の帯電部としては、例えば、コロトロン帯電器及びスコロトロン帯電器が挙げられる。
【0191】
露光部44は、帯電された感光体1の表面1aを露光する。これにより、感光体1の表面1aに静電潜像が形成される。静電潜像は、画像形成装置100に入力された画像データに基づいて形成される。
【0192】
現像部46は、感光体1の表面1aにトナーを供給し、静電潜像をトナー像として現像する。像担持体30である感光体1は、トナー像を担持する。トナーは、一成分現像剤として用いられてもよい。或いは、トナーと所望のキャリアとを混合して、トナーを二成分現像剤において用いてもよい。トナーが一成分現像剤として用いられる場合、現像部46は、感光体1に形成された静電潜像に一成分現像剤であるトナーを供給する。トナーが二成分現像剤において用いられる場合、現像部46は、感光体1に形成された静電潜像に、二成分現像剤に含まれるトナーとキャリアとのうちトナーを供給する。
【0193】
現像部46は、感光体1の表面1aと接触しながら静電潜像をトナー像として現像することができる。即ち、画像形成装置100は、接触現像方式を採用することができる。
【0194】
現像部46は、感光体1の表面1aを清掃することができる。即ち、画像形成装置100は、ブレードクリーナーレス方式を採用することができる。ブレードクリーナーレス方式の画像形成装置の場合は、感光体の表面に残ったトナーがクリーニングブレードによって掻き取られない。そのため、ブレードクリーナーレス方式の画像形成装置では、通常、感光体の表面にトナーが残り易い。感光体の表面のトナーが付着した部分は、所望の値まで帯電し難く、ゴースト画像を含む画像不良が発生し易い。また、感光体の表面のトナーが付着した部分は、トナーが露光光を遮るため、ゴースト画像を含む画像不良が発生し易い。しかし、本実施形態の感光体1は、形成画像にゴースト画像が発生することを抑制できる。よって、このような感光体1を備える画像形成装置100は、ブレードクリーナーレス方式を採用した場合であっても、ゴースト画像を含む画像不良が発生することを抑制できる。
【0195】
現像部46が現像しつつ感光体1の表面1aを効率的に清掃するためには、以下に示す条件(a)及び条件(b)を満たすことが好ましい。
条件(a):接触現像方式を採用し、感光体1と現像部46との間に周速(回転速度)差が設けられる。
条件(b):感光体1の表面電位と、現像バイアスの電位とが以下の数式(b−1)及び数式(b−2)を満たす。
0(V)<現像バイアスの電位(V)<感光体1の未露光領域の表面電位(V)・・・(b−1)
現像バイアスの電位(V)>感光体1の露光領域の表面電位(V)>0(V)・・・(b−2)
【0196】
条件(a)に示す接触現像方式を採用し、感光体1と現像部46との間に周速差が設けられていると、感光体1の表面1aは現像部46と接触し、感光体1の表面1aの付着成分が現像部46との摩擦により除去される。現像部46の周速は、感光体1の周速よりも速いことが好ましい。
【0197】
条件(b)では、現像方式が反転現像方式である場合を想定している。単層型電子写真感光体である感光体1の感度特性を向上させるためには、トナーの帯電極性、感光体1の未露光領域の表面電位、感光体1の露光領域の表面電位及び現像バイアスの電位が何れも正極性であることが好ましい。なお、感光体1の未露光領域の表面電位及び露光領域の表面電位は、転写部48がトナー像を感光体1から記録媒体Pへ転写した後、帯電部42が次周回の感光体1の表面1aを帯電する前に測定される。
【0198】
条件(b)の数式(b−1)を満たすと、感光体1に残留したトナー(以下、残留トナーと記載することがある)と感光体1の未露光領域との間に作用する静電的斥力が、残留トナーと現像部46との間に作用する静電的斥力に比べ大きくなる。このため、感光体1の未露光領域の残留トナーは、感光体1の表面1aから現像部46へと移動し、回収される。
【0199】
条件(b)の数式(b−2)を満たすと、残留トナーと感光体1の露光領域との間に作用する静電的斥力が、残留トナーと現像部46との間に作用する静電的斥力に比べ小さくなる。このため、感光体1の露光領域の残留トナーは、感光体1の表面1aに保持される。感光体1の露光領域に保持されたトナーは、そのまま画像形成に使用される。
【0200】
転写ベルト50は、感光体1と転写部48との間に記録媒体Pを搬送する。転写ベルト50は、無端状のベルトである。転写ベルト50は、矢符方向(時計回り)に回転可能に設けられる。
【0201】
転写部48は、現像部46によって現像されたトナー像を、感光体1の表面1aから記録媒体Pへ転写する。転写部48は、感光体1の表面1aと記録媒体Pとを接触させながら、トナー像を感光体1の表面1aから記録媒体Pへ転写する。即ち、画像形成装置100は、直接転写方式を採用している。
【0202】
定着部52は、転写部48によって記録媒体Pに転写された未定着のトナー像を、加熱及び/又は加圧する。定着部52は、例えば、加熱ローラー及び/又は加圧ローラーである。トナー像を加熱及び/又は加圧することにより、記録媒体Pにトナー像が定着する。その結果、記録媒体Pに画像が形成される。
【0203】
以上、画像形成装置の一例について説明したが、画像形成装置は、上述した画像形成装置100に限定されない。上述した画像形成装置100はカラー画像形成装置であったが、画像形成装置はモノクロ画像形成装置であってもよい。この場合、画像形成装置は、例えば画像形成ユニットを1つだけ備えていればよい。また、上述した画像形成装置100はタンデム方式を採用していたが、画像形成装置は例えばロータリー方式を採用してもよい。
【0204】
<プロセスカートリッジ>
次に、図5を引き続き参照して、本実施形態の感光体1を備えるプロセスカートリッジの一例について説明する。プロセスカートリッジは、画像形成用のカートリッジである。プロセスカートリッジは、画像形成ユニット40a〜40dの各々に相当する。プロセスカートリッジは、像担持体30である感光体1を備える。プロセスカートリッジは、感光体1に加えて、帯電部42、露光部44、現像部46及び転写部48からなる群より選択される少なくとも1つを更に備えていてもよい。プロセスカートリッジには、クリーニング部(不図示)及び除電部(不図示)の一方又は両方が更に備えられてもよい。プロセスカートリッジは、画像形成装置100に対して着脱自在に設計される。そのため、プロセスカートリッジは取り扱いが容易であり、感光体1の感度特性等が劣化した場合に、感光体1を含めて容易かつ迅速に交換することができる。以上、図5を参照して、本実施形態の感光体1を備えるプロセスカートリッジについて説明した。
【0205】
以上説明した本実施形態の感光体は、形成画像におけるゴースト画像の発生を抑制することができる。また、プロセスカートリッジ及び画像形成装置は、本実施形態の感光体を備えることで、形成画像におけるゴースト画像の発生を抑制することができる。
【実施例】
【0206】
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。しかし、本発明は実施例の範囲に何ら限定されない。
【0207】
<感光層を形成するための材料>
感光体の感光層を形成するための材料として、以下の電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤及びバインダー樹脂を準備した。
【0208】
(電荷発生剤)
電荷発生剤として、X型無金属フタロシアニンを準備した。
【0209】
(正孔輸送剤)
正孔輸送剤として、実施形態で述べた化合物(H−1)〜(H−12)を準備した。また、比較例で使用する正孔輸送剤として、化学式(H−a)〜(H−d)で表される化合物(以下、それぞれを化合物(H−a)〜(H−d)と記載することがある)も準備した。
【0210】
【化30】
【0211】
(電子輸送剤)
電子輸送剤として、実施形態で述べた化合物(E−1)〜(E−3)を準備した。また、比較例で使用する電子輸送剤として、化学式(E−a)〜(E−b)で表される化合物(以下、それぞれを化合物(E−a)〜(E−b)と記載することがある)も準備した。
【0212】
【化31】
【0213】
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂として、下記化学式(R−1)〜(R−4)で表されるポリアリレート樹脂(以下、それぞれを、ポリアリレート樹脂(R−1)〜(R−4)と記載することがある)を、以下に示す方法で合成した。ポリアリレート樹脂(R−1)、(R−2)、(R−3)及び(R−4)は、各々、実施形態で述べたポリアリレート樹脂(PA−1)、(PA−2)、(PA−3)及び(PA−4)の具体例である。なお、各繰り返し単位の右下に付された数字は、繰り返し単位の総数に対する各繰り返し単位の数の百分率を示す。
【0214】
【化32】
【0215】
(ポリアリレート樹脂(R−1)の合成)
温度計、三方コック、及び滴下ロートを備えた容量1Lの三口フラスコを反応容器として用いた。反応容器に化合物(BP−30A)12.2g(41.3ミリモル)と、末端停止剤としてのtert−ブチルフェノール1.65g(0.25ミリモル)と、水酸化ナトリウム3.9g(98ミリモル)と、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド0.12g(0.38ミリモル)とを投入した。次いで、反応容器内の空気をアルゴンガスで置換した。次いで、反応容器に水600mLを投入した。反応容器の内温を20℃に維持し、反応容器の内容物を1時間攪拌した。次いで、反応容器の内容物を冷却し、反応容器の内温を10℃まで降温させた。このようにしてアルカリ性水溶液を調製した。
【0216】
一方、化合物(DC−32B)のジカルボン酸ジクロライド4.8g(16.2ミリモル)、及び化合物(DC−31)のジカルボン酸ジクロライド4.1g(16.2ミリモル)を、クロロホルム300gに溶解させて、クロロホルム溶液を調製した。
【0217】
アルカリ性水溶液の温度を10℃に維持し反応容器の内容物を攪拌しながら、クロロホルム溶液をアルカリ性水溶液へ投入した。これにより、重合反応を開始させた。次いで、反応容器の内温を13±3℃に維持しつつ、反応容器の内容物を3時間攪拌した。攪拌後、デカントを用いて上層(水層)を除去し、有機層を得た。イオン交換水500mLに、得られた有機層を投入し、混合物を得た。混合物に、クロロホルム300gと、酢酸6mLとを更に投入し、液を得た。液を室温(25℃)で30分攪拌した。その後、デカントを用いて液における上層(水層)を除去し、有機層を得た。イオン交換水500mLを用いて得られた有機層を分液ロートにて8回洗浄した。これにより、水洗した有機層を得た。水洗した有機層をろ過し、ろ液を得た。メタノール1.5Lに、得られたろ液をゆっくりと滴下し、沈殿物を得た。沈殿物をろ過により取り出した。得られた沈殿物を温度70℃で12時間真空乾燥させた。その結果、ポリアリレート樹脂(R−1)を得た。ポリアリレート樹脂(R−1)の粘度平均分子量は、36,700であった。
【0218】
(ポリアリレート樹脂(R−2)の合成)
化合物(DC−32B)のジカルボン酸ジクロライド(16.2ミリモル)を化合物(DC−32A)のジカルボン酸ジクロライド(16.2ミリモル)に変更した以外は、ポリアリレート樹脂(R−1)と同じ方法で、ポリアリレート樹脂(R−2)を得た。ポリアリレート樹脂(R−2)の粘度平均分子量は、32,400であった。
【0219】
(ポリアリレート樹脂(R−3)の合成)
化合物(BP−30A)41.3ミリモルを化合物(BP−30A)20.7ミリモル及び(BP−30B)20.7ミリモルに変更した以外は、ポリアリレート樹脂(R−1)と同じ方法で、ポリアリレート樹脂(R−3)を得た。ポリアリレート樹脂(R−3)の粘度平均分子量は、31,600であった。
【0220】
(ポリアリレート樹脂(R−4)の合成)
化合物(BP−30A)41.3ミリモルを化合物(BP−30A)20.7ミリモル及び(BP−30B)20.7ミリモルに変更したこと、並びに化合物(DC−32B)のジカルボン酸ジクロライド(16.2ミリモル)を化合物(DC−32A)のジカルボン酸ジクロライド(16.2ミリモル)に変更したこと以外は、ポリアリレート樹脂(R−1)と同じ方法で、ポリアリレート樹脂(R−4)を得た。ポリアリレート樹脂(R−4)の粘度平均分子量は、31,900であった。
【0221】
また、比較例で使用するバインダー樹脂として、下記化学式(R−a)で表されるポリアリレート樹脂(以下、ポリアリレート樹脂(R−a)と記載することがある)も準備した。なお、各繰り返し単位の右下に付された数字は、繰り返し単位の総数に対する各繰り返し単位の数の百分率を示す。
【0222】
【化33】
【0223】
<感光体の製造>
感光層を形成するための材料を用いて、感光体(A−1)〜(A−21)及び(B−1)〜(B−10)を製造した。
【0224】
(感光体(A−1)の製造)
容器内に、電荷発生剤3.0質量部、正孔輸送剤としての化合物(H−1)65.0質量部、電子輸送剤としての化合物(E−1)25.0質量部、バインダー樹脂としてのポリアリレート樹脂(R−1)100.0質量部、及び溶剤としてのテトラヒドロフラン800.0質量部を投入した。容器の内容物を、ボールミルを用いて50時間混合して、溶剤に材料を分散させた。これにより、感光層用塗布液を得た。次に、導電性基体(アルミニウム製のドラム状支持体)の上に、ディップコート法を用いて、調製した感光層用塗布液を塗布した。これにより、導電性基体上に塗布膜を形成した。塗布膜が形成された導電性基体を130℃で60分間乾燥させて、塗布膜からテトラヒドロフランを除去した。これにより、導電性基体の上に、単層の感光層(膜厚25μm)が形成された。その結果、感光体(A−1)が得られた。
【0225】
(感光体(A−2)〜(A−21)及び(B−1)〜(B−10)の製造)
次の点を変更した以外は、感光体(A−1)の製造と同じ方法で、感光体(A−2)〜(A−21)及び(B−1)〜(B−10)の各々を製造した。感光体(A−1)の製造においては正孔輸送剤として65.0質量部の化合物(H−1)を使用したが、感光体(A−2)〜(A−21)及び(B−1)〜(B−10)の各々の製造においては表1〜表3に示す種類及び量の正孔輸送剤を使用した。感光体(A−1)の製造においては電子輸送剤として25.0質量部の化合物(E−1)を使用したが、感光体(A−2)〜(A−21)及び(B−1)〜(B−10)の各々の製造においては表1〜表3に示す種類及び量の電子輸送剤を使用した。感光体(A−1)の製造においてはバインダー樹脂として100.0質量部のポリカーボネート樹脂(R−1)を使用したが、感光体(A−2)〜(A−21)及び(B−1)〜(B−10)の各々の製造においては表1〜表3に示す種類のバインダー樹脂を100.0質量部使用した。
【0226】
<帯電電位差V01−V02及び露光後電位差VL2−VL1の測定>
実施形態で述べた帯電電位差V01−V02及び露光後電位差VL2−VL1の測定方法と同じ方法で、感光体(A−1)〜(A−21)及び(B−1)〜(B−10)の各々の帯電電位差V01−V02及び露光後電位差VL2−VL1を測定した。測定装置として、ドラム感度試験機(ジェンテック株式会社製)を使用した。電位測定プローブとして、Monroe Electronics社製「MODEL1017AS」を使用した。測定された帯電電位差V01−V02及び露光後電位差VL2−VL1を、表1〜表3に示す。
【0227】
<ゴースト画像の評価>
感光体(A−1)〜(A−21)及び(B−1)〜(B−10)の各々に対して、ゴースト画像の発生が抑制されているか否かを評価した。ゴースト画像の評価は、温度32.5℃及び相対湿度80%RHの環境(高温高湿環境、以下、HH環境と記載する)下、及び温度10.0℃及び相対湿度10%RHの環境(低温低湿環境、以下、LL環境と記載する)下の各々で行った。
【0228】
まず、図6を参照して、ゴースト画像の評価に使用した評価用画像60を説明する。図6は、評価用画像60を示す。評価用画像60は、第1領域61、第2領域62及び第3領域63を含む。第1領域61、第2領域62及び第3領域63は、各々、像担持体30(図5参照)の1周目、2周目及び3周目に形成される画像の領域に相当する。第1領域61は、第1画像64と第2画像65とを含む。第1画像64は、第1ソリッド画像64a(画像濃度100%)と、第1白紙画像64bとを含む。第1ソリッド画像64aは、円状である。第1白紙画像64bは、第1ソリッド画像64aの背景である。第2画像65は、第2白紙画像65aと、第2ソリッド画像65b(画像濃度100%)とを含む。第2白紙画像65aは、円状である。第2ソリッド画像65bは、第2白紙画像65aの背景である。第2領域62は第3画像66を含む。第3画像66は、全面ハーフトーン画像(画像濃度50%)である。第3領域63は第4画像67を含む。第4画像67は、全面ハーフトーン画像(画像濃度50%)である。
【0229】
次に、図7を参照して、ゴースト画像が発生した画像70を説明する。画像70は、評価用画像60で説明した、第1領域61、第2領域62、第3領域63、第1画像64、第1ソリッド画像64a、第1白紙画像64b、第2画像65、第2白紙画像65a、第2ソリッド画像65b、第3画像66、及び第4画像67を含む。
【0230】
評価用画像60を印刷してゴースト画像が発生した場合には、第2領域62に第3画像66が印刷されるべきところ、第2領域62の第3画像66中にゴースト画像G1及びゴースト画像G2の一方又は両方が現れる。ゴースト画像G1及びゴースト画像G2の画像濃度は、各々、第3画像66に比べて濃い。ゴースト画像G1は、第1画像64の露光領域の第1ソリッド画像64aを反映して設計画像濃度よりも濃くなった、露光メモリーに起因する画像不良である。ゴースト画像G2は、第2画像65の非露光領域の第2白紙画像65aを反映して設計画像濃度よりも濃くなった、転写メモリーに起因する画像不良である。
【0231】
評価用画像60を印刷してゴースト画像が発生した場合には、第3領域63に第4画像67が印刷されるべきところ、第3領域63の第4画像67中にゴースト画像G3及びゴースト画像G4の一方又は両方が現れる。ゴースト画像G3及びゴースト画像G4の画像濃度は、各々、第4画像67に比べて濃い。ゴースト画像G3は、第1画像64の露光領域の第1ソリッド画像64aを反映して設計画像濃度よりも濃くなった、露光メモリーに起因する画像不良である。ゴースト画像G4は、第2画像65の非露光領域の第2白紙画像65aを反映して設計画像濃度よりも濃くなった、転写メモリーに起因する画像不良である。以上、評価用画像60、及びゴースト画像が発生した画像70について説明した。
【0232】
次に、ゴースト画像の評価のために、感光体を評価機に装着した。評価機として、カラー画像形成装置(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−C5250DN」)の改造機を用いた。この評価機は、直接転写方式を採用していた。この評価機は、帯電部として帯電ローラーを備えていた。帯電電位を+600Vに設定した。この評価機は、クリーニング部としてのクリーニングブレードを備えていなかった。この評価機は、現像部が像担持体の表面を清掃する構成を有していた。この評価機は、接触現像方式を採用していた。
【0233】
評価機を用いて、500枚の記録媒体(A4サイズの紙)に画像I(印字率1%の印字パターン画像)を印刷した後、1枚の記録媒体(A4サイズの紙)に図6で示す評価用画像60を印刷した。連続して6回この動作を繰り返し、計3000枚の画像Iと、計6枚の評価用画像60を得た。得られた6枚の評価用画像60を、各々、肉眼で観察し、図7に示すゴースト画像G1、G2、G3及びG4が発生したか否かを確認した。確認結果から下記基準に基づいて、ゴースト画像の発生が抑制されているか否かを評価した。6枚の評価用画像60の評価結果のうちの最も悪い結果を、各感光体のゴースト画像の評価結果とした。HH環境下における各感光体のゴースト画像の評価結果、及びLL環境下における各感光体のゴースト画像の評価結果を、表1〜表3に示す。なお、評価がA〜Bである感光体を、ゴースト画像の発生が抑制されていると評価した。
【0234】
(ゴースト画像の評価基準)
評価A:ゴースト画像G1、G2、G3及びG4が何れも観察されなかった。
評価B:ゴースト画像G1及びG2の一方又は両方がわずかに観察された。しかし、ゴースト画像G3及びG4は何れも観察されなかった。
評価C:ゴースト画像G1及びG2の一方又は両方が明確に観察された。しかし、ゴースト画像G3及びG4は何れも観察されなかった。
評価D:ゴースト画像G1及びG2の一方又は両方が明確に観察された。更に、ゴースト画像G3及びG4の一方又は両方が観察された。
【0235】
<感度特性の評価>
感光体(A−1)〜(A−21)及び(B−1)〜(B−10)の各々に対して、感度特性の評価を行った。感度特性の評価は、温度23℃及び相対湿度50%RHの環境下で行った。まず、ドラム感度試験機(ジェンテック株式会社製)を用いて、感光体の表面を+620Vに帯電させた。次いで、バンドパスフィルターを用いて、ハロゲンランプの白色光から単色光(波長780nm、半値幅20nm、光エネルギー1.3μJ/cm2)を取り出した。取り出された単色光を、感光体の表面に照射した。照射開始から0.08秒経過した時の感光体の表面電位を測定した。測定された表面電位を、感度特性の露光後電位(VLS、単位:+V)とした。測定された感度特性の露光後電位(VLS)を、表1〜表3に示す。
【0236】
表1〜表3中、樹脂、ETM、HTM、部、HH環境、及びLL環境は、各々、バインダー樹脂、電子輸送剤、正孔輸送剤、質量部、高温高湿環境、及び低温低湿環境を示す。表1〜表3中、「30A/30B」はアルコール由来の繰り返し単位として繰り返し単位(30A)及び(30B)がポリアリレート樹脂に含まれることを示す。表1〜表3中、「31/32A」は、カルボン酸由来の繰り返し単位として繰り返し単位(31)及び(32A)がポリアリレート樹脂に含まれることを示す。表1〜表3中、「31/32B」は、カルボン酸由来の繰り返し単位として繰り返し単位(31)及び(32B)がポリアリレート樹脂に含まれることを示す。
【0237】
表1〜表3中、「MHTM/METM」は、電子輸送剤の質量に対する、正孔輸送剤の質量の比率を示す。「MHTM/METM」は、計算式「MHTM/METM=正孔輸送剤の量(MHTM、単位:質量部)/電子輸送剤の量(METM、単位:質量部)」から求めた。
【0238】
表1〜表3中、「(MHTM+METM)/MResin」は、バインダー樹脂の質量に対する、正孔輸送剤及び電子輸送剤の合計質量の比率を示す。「(MHTM+METM)/MResin」は、計算式「(MHTM+METM)/MResin={正孔輸送剤の量(MHTM、単位:質量部)+電子輸送剤の量(METM、単位:質量部)}/バインダー樹脂の量(MResin、単位:質量部)」から求めた。
【0239】
【表1】
【0240】
【表2】
【0241】
【表3】
【0242】
感光体(A−1)〜(A−21)は、各々、導電性基体と単層の感光層とを備えていた。感光層は電荷発生剤と正孔輸送剤と電子輸送剤とバインダー樹脂とを含有していた。電子輸送剤の質量に対する正孔輸送剤の質量の比率MHTM/METMは、2.0以上であった。バインダー樹脂の質量に対する正孔輸送剤及び電子輸送剤の合計質量の比率(MHTM+METM)/MResinは、0.80以上1.20以下であった。帯電電位差V01−V02が数式(1)「+70V≦V01−V02≦+90V」を満たしていた。露光後電位差VL2−VL1が数式(2)「+5V≦VL2−VL1≦+14V」を満たしていた。そのため、表1及び表2から明らかなように、感光体(A−1)〜(A−21)では、HH環境下でのゴースト画像の評価がA又はBであり、HH環境下でのゴースト画像の発生が抑制されていた。また、感光体(A−1)〜(A−21)では、LL環境下でのゴースト画像の評価がA又はBであり、LL環境下でのゴースト画像の発生が抑制されていた。更に、感光体(A−1)〜(A−21)では、感光体の感度特性が損なわれることなく、ゴースト画像の発生が抑制されていた。
【0243】
一方、感光体(B−1)では、帯電電位差V01−V02が+90Vを超えており、露光後電位差VL2−VL1が+14Vを超えていた。そのため、表3から明らかなように、感光体(B−1)では、HH環境下でのゴースト画像の評価がCであり、HH環境下でのゴースト画像の発生が抑制されていなかった。また、感光体(B−1)では、LL環境下でのゴースト画像の評価がDであり、LL環境下でのゴースト画像の発生が抑制されていなかった。
【0244】
感光体(B−2)、(B−3)、(B−5)及び(B−7)の各々では、露光後電位差VL2−VL1が+14Vを超えていた。そのため、表3から明らかなように、感光体(B−2)、(B−3)、(B−5)及び(B−7)では、HH環境下でのゴースト画像の評価がC又はDであり、HH環境下でのゴースト画像の発生が抑制されていなかった。また、感光体(B−2)、(B−3)、(B−5)及び(B−7)では、LL環境下でのゴースト画像の評価がC又はDであり、LL環境下でのゴースト画像の発生が抑制されていなかった。
【0245】
感光体(B−4)では、帯電電位差V01−V02が+70V未満であった。そのため、表3から明らかなように、感光体(B−4)では、HH環境下でのゴースト画像の評価がCであり、HH環境下でのゴースト画像の発生が抑制されていなかった。
【0246】
感光体(B−6)では、帯電電位差V01−V02が+90Vを超えていた。そのため、表3から明らかなように、感光体(B−6)では、LL環境下でのゴースト画像の評価がDであり、LL環境下でのゴースト画像の発生が抑制されていなかった。
【0247】
感光体(B−8)では、電子輸送剤の質量に対する正孔輸送剤の質量の比率MHTM/METMが2.0未満であり、バインダー樹脂の質量に対する正孔輸送剤及び電子輸送剤の合計質量の比率(MHTM+METM)/MResinが0.80未満であった。そのため、表3から明らかなように、感光体(B−8)では、HH環境下でのゴースト画像の評価がCであり、HH環境下でのゴースト画像の発生が抑制されていなかった。また、感光体(B−8)では、LL環境下でのゴースト画像の評価がDであり、LL環境下でのゴースト画像の発生が抑制されていなかった。
【0248】
感光体(B−9)では、バインダー樹脂の質量に対する正孔輸送剤及び電子輸送剤の合計質量の比率(MHTM+METM)/MResinが1.20を超えていた。また、感光体(B−9)では、帯電電位差V01−V02が+70V未満であった。そのため、表3から明らかなように、感光体(B−9)では、HH環境下でのゴースト画像の評価がDであり、HH環境下でのゴースト画像の発生が抑制されていなかった。また、感光体(B−9)では、LL環境下でのゴースト画像の評価がCであり、LL環境下でのゴースト画像の発生が抑制されていなかった。
【0249】
感光体(B−10)では、電子輸送剤の質量に対する正孔輸送剤の質量の比率MHTM/METMが2.0未満であった。また、感光体(B−10)では、露光後電位差VL2−VL1が+5V未満であった。そのため、表3から明らかなように、感光体(B−10)では、HH環境下でのゴースト画像の評価がCであり、HH環境下でのゴースト画像の発生が抑制されていなかった。また、感光体(B−10)では、LL環境下でのゴースト画像の評価がDであり、LL環境下でのゴースト画像の発生が抑制されていなかった。
【0250】
以上のことから、本発明に係る感光体は、形成画像におけるゴースト画像の発生を抑制することが示された。また、本発明に係るプロセスカートリッジ及び画像形成装置は、形成画像におけるゴースト画像の発生を抑制することが示された。
【産業上の利用可能性】
【0251】
本発明に係る感光体は、画像形成装置に利用することがきる。本発明に係るプロセスカートリッジ及び画像形成装置は、記録媒体に画像を形成するために利用することができる。
【符号の説明】
【0252】
1 感光体
1a 感光体の表面
2 導電性基体
3 感光層
30 像担持体
42 帯電部
44 露光部
46 現像部
48 転写部
100 画像形成装置
P 記録媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7