【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成27年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「エネルギー・環境新技術先導プログラム/制御高度化により自動車等を省エネルギー化する低レイテンシコンピューティングの研究」の委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記論理回路はルックアップテーブルを有し、前記クロスバースイッチは前記ルックアップテーブルとの接続を変更する、請求項1から6の内の1項記載のプログラマブル論理集積回路。
抵抗変化素子を有するクロスバースイッチと、前記クロスバースイッチにより論理構成する論理回路と、を有するプログラマブル論理集積回路の回路検証のためのキャラクタライズ方法において、
前記プログラマブル論理集積回路を、前記クロスバースイッチの一部を有する複数の負荷回路と、前記クロスバースイッチに入力する電源素子と、を有する複数のリーフセルに分割し、
前記リーフセルを基本リーフセルと補正リーフセルとを有する遅延経路に分け、
前記基本リーフセルの遅延時間と前記補正リーフセルの補正遅延とを積算して前記リーフセルの遅延時間とする、キャラクタライズ方法。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態のプログラマブル論理集積回路の構成を示すブロック図である。本実施形態のプログラマブル論理集積回路1は、抵抗変化素子を有するクロスバースイッチ2と、クロスバースイッチ2により論理構成する論理回路3と、を有するプログラマブル論理集積回路1において、プログラマブル論理集積回路1を、クロスバースイッチ2の一部を有する複数の負荷回路と、クロスバースイッチ2に入力する電源素子と、を有する複数のリーフセルに分割し、前記リーフセルを基本リーフセルと補正リーフセルとを有する遅延経路に分け、前記基本リーフセルの遅延時間と前記補正リーフセルの補正遅延とを積算して前記リーフセルの遅延時間とする遅延情報ライブラリに基づいて回路検証する。
【0019】
図2は、本発明の第1の実施形態の半導体装置の構成を示すブロック図である。本実施形態の半導体装置4は、抵抗変化素子を有するクロスバースイッチ2と、クロスバースイッチ2により論理構成する論理回路3と、を有するプログラマブル論理集積回路1を有し、プログラマブル論理集積回路1を、クロスバースイッチ2の一部を有する複数の負荷回路と、クロスバースイッチ2に入力する電源素子と、を有する複数のリーフセルに分割し、前記リーフセルを基本リーフセルと補正リーフセルとを有する遅延経路に分け、前記基本リーフセルの遅延時間と前記補正リーフセルの補正遅延とを積算して前記リーフセルの遅延時間とする遅延情報ライブラリに基づいて回路検証するプログラマブル論理集積回路1を有する。
【0020】
本実施形態のキャラクタライズ方法は、抵抗変化素子を有するクロスバースイッチ2と、クロスバースイッチ2により論理構成する論理回路3と、を有するプログラマブル論理集積回路1の回路検証のためのキャラクタライズ方法において、プログラマブル論理集積回路1を、クロスバースイッチ2の一部を有する複数の負荷回路と、クロスバースイッチ2に入力する電源素子と、を有する複数のリーフセルに分割し、前記リーフセルを基本リーフセルと補正リーフセルとを有する遅延経路に分け、前記基本リーフセルの遅延時間と前記補正リーフセルの補正遅延とを積算して前記リーフセルの遅延時間とする。
【0021】
本実施形態によれば、抵抗変化素子を用いたクロスバースイッチを有するプログラマブル論理集積回路の、静的タイミング解析による回路検証のためのキャラクタライズを効率よく行う方法を提供することができる。
(第2の実施形態)
図3は、本発明の第2の実施形態のプログラマブル論理集積回路の構成を示すブロック図である。本実施形態のプログラマブル論理集積回路10は、抵抗変化素子を有するクロスバースイッチブロック20と、クロスバースイッチブロック20により論理構成する論理ブロック30とを有する。
【0022】
論理ブロック30(Configurable Logic Block、CLBと略す)は、4入力のLUT31を2台、DFF32を2台、2入力のMUX33(Multiplexer)を3台、を有する。クロスバースイッチブロック20は、LUT31への入力を決めるIMUX22(Input Multiplexer)と、隣接するプログラマブル論理集積回路との入出力配線を決めるSMUX21(Switch Multiplexer)と、を有する。
【0023】
図4は、本実施形態のプログラマブル論理集積回路間の接続配線を示す図である。図中の数字は配線の本数を示す。数字の記載のない配線は、図示の通り1本の配線を示す。
【0024】
クロスバースイッチブロック20内のIMUXの出力配線は、4入力のLUT2台へ接続されるので合計8本となる。SMUXは、上下左右の隣接するCLBに対してそれぞれ3出力を有し、3×4=12本の出力配線を有する。
【0025】
SMUXから隣接CLBへの出力には、バッファ(Buffer、BUFと略す)とトランスミッションゲート(Transmission Gate、TMGと略す)を設ける。BUFは、SMUXからの出力が隣接する次段のCLBに入力する際に経由するもので、次段のCLBにとっては電源素子として扱われる。TMGは、抵抗変化素子への書き込みを行うときに、選択されたCLB以外への書き込み電圧が印加されるのを防ぐために配置され、論理回路動作時には常にオン状態とする。
【0026】
セグメントは2の配線リソースを有し、データ線の2×3×4=24本と、当該CLB内のLUTの出力線2本と、グラウンド線(
図3では図示省略)とを合計すると27本の入力線となる。IMUXとSMUXとはデータ線で接続される。
図3、
図4の構成のクロスバースイッチブロック20は、27入力×20出力となる。
【0027】
クロスバースイッチブロック20の各交点には抵抗変化素子(スイッチ)が配置される。
図3において、入力線IN00と出力線OUT00とを接続させる場合、抵抗変化素子R(00,00)を低抵抗状態(オン状態)に、出力線OUT00上の抵抗変化素子R(00,00)以外のR(00,01)からR(00,26)の26個を高抵抗状態(オフ状態)にする。
【0028】
2つ以上の信号が衝突するのを防ぐために、例えば、出力線OUT00に接続された27個の抵抗変化素子の内、オン状態の抵抗変化素子は1つしか許されない。一方、入力線IN00に接続された抵抗変化素子は、原理上、すべてオン状態になり得る。このとき、入力線IN00のファンアウト(Fan−Out、F/Oと略す)数は最大の20である。また、クロスバースイッチブロック全体のF/O数も最大20であり、27×20個の抵抗変化素子の内、同時にオン状態とできるのは最大20である。
【0029】
一つの出力線がいずれの入力線にも接続されない場合、出力線がフロートとなり信号ノイズの発生源となるため、抵抗変化素子によりグランド線に接続する。グランド線へ接続するための抵抗変化素子を含めて、27×20個の抵抗変化素子の内、同時にオン状態となる抵抗変化素子は常に20個である。
【0030】
図5Aは、抵抗変化素子の構造を示す図である。抵抗変化素子40は、抵抗変化層41と、抵抗変化層41に接して対向面に設けられている第1電極42および第2電極43と、を有する。抵抗変化素子40は、抵抗変化層41に、遷移金属酸化物を用いたReRAM(Resistance Random Access Memory)や、イオン伝導体を用いたNanoBridge(登録商標)などを用いることができる。
【0031】
抵抗変化層41にイオン伝導体を用いる場合、第1電極41からは抵抗変化層41に金属イオンが供給され、第2電極43からは金属イオンは供給されないとする。例えば、第1電極41として銅(Cu)を有する金属を、第2電極43としてルテニウム(Ru)を、各々用いることができる。抵抗変化素子40は、抵抗変化層41にイオン伝導体中での金属イオンの移動と電気化学反応とを利用した金属析出型のスイッチとなる。
【0032】
図5Bは、抵抗変化素子40の抵抗値を切り替える方法を示す。
図5Bに示すように、抵抗変化素子40は、第1電極42と第2電極43とで抵抗変化層41に印加する電圧の極性を変えることで、抵抗変化層41の抵抗値を変化させることができる。抵抗変化層41の低抵抗状態(オン状態)と高抵抗状態(オフ状態)の抵抗比は、例えば、10の5乗、もしくはそれ以上とすることができる。これにより、抵抗変化素子40は、電気的に接続あるいは切断するスイッチとして機能する。なお、抵抗変化素子によるスイッチとしては、対を成す2つの抵抗変化素子と1つのトランジスタとから成る相補型構造のスイッチとすることもできる。
【0033】
プログラマブル論理集積回路10を静的タイミング解析するために、単位回路ごとの遅延時間などの情報を有する遅延情報ライブラリを構築する一連の作業であるキャラクタライズの、最小回路単位をリーフセルと呼ぶ。リーフセルは、単位回路ごとに遅延時間などを求めるための解析回路である。リーフセルは、負荷容量、負荷抵抗、およびこれらを駆動するための電源素子を有する。電源素子は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)回路であり、1つのCMOS回路に対して1つのリーフセルが定義できる。
【0034】
まず、プログラマブル論理集積回路10内に存在するCMOS回路によって駆動される負荷回路(配線、抵抗変化素子、トランスミッションゲートまたはパストランジスタ、次段CMOS回路の入力部)を分類してリーフセルとする。それぞれのリーフセルをSPICEシミュレーションによりキャラクタライズして、伝播遅延情報や動的電力を求める。
【0035】
図3のクロスバースイッチブロック20は、論理回路として動作するときには電源を持たないので、負荷としてみなすことができる。クロスバースイッチブロック20を有するリーフセルの電源素子は、SMUXの出力BUFである。すなわち、出力BUFを電源素子とし、2台のTMGとセル内の配線とセグメント1及び2のクロスバースイッチブロック2台とを負荷とする、リーフセルとすることができる。
【0036】
図6は、本実施形態のプログラマブル論理集積回路のクロスバースイッチブロックの一部を有するリーフセルの構成を示す図である。抵抗変化素子は、抵抗と容量とが並列に接続された等価回路で表される。リーフセルは、SMUXの出力BUFを電源素子とする。また、
図6中のRCは、当該の配線の抵抗(R)と容量(C)とを表す。
【0037】
図6において、オン状態の抵抗変化素子R(01,00)とは、セグメント1のクロスバースイッチブロック内の0番目出力配線に位置する抵抗変化素子がオンした場合に生じる配線を意味する。また、次段回路とは、SMUX内の抵抗変化素子がオンした場合はBUFとなり、IMUX内の抵抗変化素子がオンした場合はLUTとなる。
【0039】
出力は、セグメント1でSMUX内のオン状態の抵抗変化素子を介して次段回路BUFへ接続する端子Seg1(n=0…11)、セグメント1でIMUX内のオン状態の抵抗変化素子を介して次段回路LUTへ接続する端子IM1(n=12…19)、セグメント2でSMUX内のオン状態の抵抗変化素子を介して次段回路BUFへ接続する端子Seg2(n=0…11)、セグメント2でIMUX内のオン状態の抵抗変化素子を介して次段回路LUTへ接続する端子IM2(n=12…19)の、4種類の40個である。すなわち、入力数1、出力数4のリーフセルとなる。
【0040】
静的タイミング解析するための遅延情報ライブラリに必要な、クロスバースイッチブロックを有するリーフセルの負荷の種類は以下の通りである。すなわち、リーフセルの負荷容量および負荷抵抗は、クロスバースイッチブロックの抵抗変化素子の抵抗状態によって変わる。まず第1に、セグメント1のスイッチブロックのF/O数と、セグメント2のスイッチブロックのF/O数との組み合わせで異なる。第2に、次段回路がBUFとLUTでは負荷容量が異なる。また、4入力のLUTの入力容量が4入力の各々で異なる場合もある。
【0041】
以上の全ての場合分けをすると、セグメント1では、SMUXを介して次段回路BUFへ接続する端子Seg1(n=0…11)の12と、Seg1側のSMUXを介さずにSeg2のSMUXへ接続する1とでの13である。また、IMUXを介して次段回路LUTへ接続する場合、2台のLUTの4入力(S0、S1、S2、S3)の例えばS0に2台とも入力する場合、2台の内の一方に入力する場合、2台とも入力しない場合の3通りが可能であることから、3×3×3×3である。セグメント2では、SMUXを介して次段回路BUFへ接続する端子Seg1(n=0…11)の12である。また、IMUXを介して次段回路LUTへ接続する場合、セグメント1と同様に、3×3×3×3である。よって、13×3
4×12×3
4=1,023,516種類となる。本実施形態の手法は、これを大幅に削減することができる。
【0042】
まず、
図6の次段回路がBUFの場合のリーフセルを、ベースリーフセル(基本リーフセル)とする。ベースリーフセルの出力端子は
図6のSeg1、Seg2となり、それぞれBASE_Seg1、BASE_Seg2と呼ぶ。同じF/O数で、セグメント1の一部の次段回路がLUTとなったリーフセルでは、出力端子はSeg1、Seg2に加えて、IM1とIM2が現れる。ベースリーフセルと区別するために、各出力端子をLUT_Seg1、LUT_Seg2、IM1、IM2と呼ぶ。
【0043】
図7は、リーフセルの入力波形と出力波形とを示す図である。BUFよりもLUTの入力負荷容量が大きい場合、入力波形Aに対して、BASE_Seg1、IM1の出力波形は
図7のようになる。BASE_Seg1、IM1の伝播遅延時間をそれぞれD
base_seg1、D
IM1とし、dD
IM1を
図7中に示すように定義すれば、以下の関係が成り立つ。
D
IM1=D
base_seg1+dD
IM1
ここで、dD
IM1を補正遅延と呼ぶ。
【0044】
図8は、リーフセルの伝播遅延時間D
base_seg1、D
IM1のF/O数依存性を示す。ベースリーフセルの遅延時間D
base_seg1と次段回路がLUTである出力端子の遅延時間D
IM1は、F/O数に対して線形の依存性を示し、その傾きはほぼ一致する。すなわち、BASE_Seg1とIM1に現れる伝播遅延時間D
base_seg1とD
IM1の差分である補正遅延dD
IM1は、F/O数によらずに一定である。従って、dD
IM1は、F/O数に対して独立であり、次段回路の負荷容量に依存する。
【0045】
図9は、リーフセルの入力波形(A)と、BASE_Seg1、LUT_Seg1、BASE_Seg2、LUT_Seg2、IM2の出力波形とを示す図である。
図9のように、BASE_Seg1、LUT_Seg1、BASE_Seg2、LUT_Seg2、IM2の伝播遅延時間を、それぞれD
base_seg1、D
LUT_seg1、D
base_seg2、D
LUT_seg2、D
IM2とし、補正遅延をdD
seg1、dD
seg2、dD
IM2と定義すれば、すれば、以下の関係が成り立つ。
D
LUT_seg1=D
base_seg1+dD
seg1
D
LUT_seg2=D
base_seg2+dD
seg2
D
IM2=D
base_seg2+dD
IM2
補正遅延dD
seg1、dD
seg2、dD
IM2は、前述のdD
IM1と同様にF/O数に依存せず次段回路の負荷容量のみに依存する。
【0046】
すなわち、入力端子をA’とし、出力端子をLUT_Seg1、IM1、LUT_Seg2、IM2とし、各々の出力端子に対応して、伝播遅延時間(補正遅延)dD
seg1、dD
IM1、dD
seg2、dD
IM2を有するリーフセルを補正リーフセルとしてベースリーフセルに付加することによって、次段回路にLUTを有するスイッチブロックのリーフセルを、ベースリーフセルと補正リーフセルとの足し合わせで表すことができる。
【0047】
図3のクロスバースイッチブロック20において、セグメント1とセグメント2とのF/O数の組み合わせは、21×20=420通りである。従って、次段回路を全てBUFとしたベースリーフセルは420通りとなる。また、次段回路のLUTの入力端子への接続は、1入力あたり0本、1本、2本の3通りの場合が考えられ、4入力であるので、3×3×3×3=81通りとなる。従って、補正リーフセルは81通りとなる。すなわち、420+81=501通りのリーフセルで、100万通りにもなるスイッチブロックの遅延情報を表すことが可能となる。
【0048】
図10は、プログラマブル論理集積回路10のクロスバースイッチブロック20を有するリーフセルの接続例1を示す図である。接続例1では、入力端子をA、出力端子をSeg1(0)、Seg1(3)、Seg2(0)とする。オン状態の抵抗変化素子のF/O数は、セグメント1では2(F/O_SEG1)、セグメント2では1(F/O_SEG2)なので、F/O(F/O_SEG1,F/O_SEG2)=F/O(2,1)のベースリーフセルとなる。
【0049】
図11は、接続例1での静的タイミング解析の遅延経路を示す図である。接続例1では、次段回路は全てBUFのため、補正リーフセルは付加されない。
【0050】
図12は、プログラマブル論理集積回路10のクロスバースイッチブロック20を有するリーフセルの接続例2を示す図である。接続例2では、入力端子をA、出力端子をSeg1(0)、IM1(19)、Seg2(0)とする。
図10と同じく、ベースリーフセルはF/O(2,1)となる。
【0051】
図13は、接続例1での静的タイミング解析の遅延経路を示す図である。スイッチブロックの出力が、セグメント1側でLUT1台の入力S0に入力しているときの補正リーフセルをLUT_seg1_S0とする。接続例2では、ベースリーフセルに補正リーフセルLUT_seg1_S0が付加された遅延経路となる。
【0052】
なお、ベースリーフセルと補正リーフセルとは共に、電力の情報も有することができる。ベースリーフセルの電力をP_BASE、補正リーフセルの電力をP_LUTとすれば、静的タイミング解析で計算するクロスバースイッチブロックの電力は、以下の式で表すことができる。
P=ΣP_BASE+ΣP_LUT
プログラマブル再構成論理回路は、論理ブロックとクロスバースイッチブロックとの組の繰り返しによって構成される。このため、この回路検証に用いる静的タイミング解析のツールでは、入力信号の傾きを考慮しなくても、高い精度で遅延計算を行うことができる。従って、リーフセル内部に配線負荷を取り込み、リーフセルごとに一つの伝播遅延情報や電力情報を有するライブラリを作成すればよい。
【0053】
一方、静的タイミング解析を実行するための遅延情報を有するライブラリが2次元行列である場合を以下に記す。遅延情報を有するライブラリが2次元の場合、入力信号波形の傾きと出力負荷容量に対する2次元行列の形態で遅延情報を求める。
【0054】
スイッチブロックを有するリーフセルの種類は、リーフセル内の負荷容量及び負荷抵抗が変わる、セグメント1のスイッチブロックのF/O数(F/O_SEG1)と、セグメント2のスイッチブロックのF/O数(F/O_SEG2)との組み合わせによる種類が存在する。この場合、F/Oの組み合わせは、21(F/O_SEG1=0〜20)×20(F/O_SEG2=0〜19)=420通りである。
【0055】
各リーフセルにおいて、各入力波形の傾きに対して、次段回路の負荷容量を付加してシミュレーションを行い、例えば5×5の遅延情報を作成するとする。すなわち、入力波形の傾きと次段回路の負荷容量は、最大値から最小値の範囲を5刻みとなるように設定する。静的タイミング解析の計算で、行列に無い入力波形の傾きや負荷容量のとき、5刻みの近い値同士で補完することにする。この場合、420×25=10,500通りもの遅延情報を求めなければならない。
【0056】
2次元の遅延情報であっても、
図7や
図9で示した以下のベースリーフセルと補正リーフセルの足し合わせの関係は維持される。ベースリーフセルは、次段回路を全てBUFとしたリーフセルで、420通りとなる。出力負荷容量は1種類になるので、伝播遅延情報は、入力信号の傾きに対してだけの1次元の行列になる。
【0057】
補正リーフセルは、次段回路のLUTの入力端子への接続は、1入力あたり0本、1本、2本の3通りが存在し、4入力であるので、3×3×3×3=81通りとなる。補正遅延dD
seg1、dD
IM1、dD
seg2、dD
IM2は、
図8に示すように、入力信号波形の傾きに依存しないので、補正リーフセルは行列の必要が無い遅延情報となる。
【0058】
従って、2次元の遅延情報を有するライブラリであっても、本実施形態のリーフセルは420+81通りで済み、5刻みの場合、遅延情報は420×5+81=2181通りまで削減することができる。
【0059】
以上のように、本実施形態によれば、抵抗変化素子を用いたクロスバースイッチを有するプログラマブル論理集積回路の、静的タイミング解析による回路検証のためのキャラクタライズを効率よく行う方法を提供することができる。
【0060】
本発明は、上記実施形態や実施例に限定されることなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものである。
【0061】
また、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
(付記1)
抵抗変化素子を有するクロスバースイッチと、前記クロスバースイッチにより論理構成する論理回路と、を有するプログラマブル論理集積回路において、
前記プログラマブル論理集積回路を、前記クロスバースイッチの一部を有する複数の負荷回路と、前記クロスバースイッチに入力する電源素子と、を有する複数のリーフセルに分割し、前記リーフセルを基本リーフセルと補正リーフセルとを有する遅延経路に分け、前記基本リーフセルの遅延時間と前記補正リーフセルの補正遅延とを積算して前記リーフセルの遅延時間とする遅延情報ライブラリに基づいて回路検証する、プログラマブル論理集積回路。
(付記2)
前記回路検証は、静的タイミング解析を行う、付記1記載のプログラマブル論理集積回路。
(付記3)
前記電源素子は、バッファを有する、付記1または2記載のプログラマブル論理集積回路。
(付記4)
前記負荷回路は、前記抵抗変化素子の負荷抵抗と負荷容量とを有する、付記1から3の内の1項記載のプログラマブル論理集積回路。
(付記5)
前記基本リーフセルは、前記リーフセルが前記電源素子に接続する場合の遅延時間を有する、付記1から4の内の1項記載のプログラマブル論理集積回路。
(付記6)
前記補正リーフセルは、前記リーフセルが前記論理回路に接続する場合の補正遅延を有する、付記1から5の内の1項記載のプログラマブル論理集積回路。
(付記7)
前記論理回路はルックアップテーブルを有し、前記クロスバースイッチは前記ルックアップテーブルとの接続を変更する、付記1から6の内の1項記載のプログラマブル論理集積回路。
(付記8)
抵抗変化素子を有するクロスバースイッチと、前記クロスバースイッチにより論理構成する論理回路とを、複数組有するプログラマブル論理集積回路において、
前記プログラマブル論理集積回路を、前記クロスバースイッチの出力線と次段の前記クロスバースイッチの入力線の間に設けられた電源素子と、次段の前記クロスバースイッチの一部から成る負荷回路と、を有する複数のリーフセルに分割し、前記リーフセルを基本リーフセルと補正リーフセルとを有する遅延経路に分け、前記基本リーフセルの遅延時間と前記補正リーフセルの補正遅延とを積算して前記リーフセルの遅延時間とする遅延情報ライブラリに基づいて回路検証する、プログラマブル論理集積回路。
(付記9)
付記1から8の内の1項記載のプログラマブル論理集積回路を有する半導体装置。
(付記10)
抵抗変化素子を有するクロスバースイッチと、前記クロスバースイッチにより論理構成する論理回路と、を有するプログラマブル論理集積回路の回路検証のためのキャラクタライズ方法において、
前記プログラマブル論理集積回路を、前記クロスバースイッチの一部を有する複数の負荷回路と、前記クロスバースイッチに入力する電源素子と、を有する複数のリーフセルに分割し、
前記リーフセルを基本リーフセルと補正リーフセルとを有する遅延経路に分け、
前記基本リーフセルの遅延時間と前記補正リーフセルの補正遅延とを積算して前記リーフセルの遅延時間とする、キャラクタライズ方法。
(付記11)
前記回路検証は、静的タイミング解析を行う、付記10記載のキャラクタライズ方法。
(付記12)
前記電源素子は、バッファを有する、付記10または11記載のキャラクタライズ方法。
(付記13)
前記負荷回路は、前記抵抗変化素子の負荷抵抗と負荷容量とを有する、付記10から12の内の1項記載のキャラクタライズ方法。
(付記14)
前記基本リーフセルは、前記リーフセルが前記電源素子に接続する場合の遅延時間を有する、付記10から13の内の1項記載のキャラクタライズ方法。
(付記15)
前記補正リーフセルは、前記リーフセルが前記論理回路に接続する場合の補正遅延を有する、付記10から14の内の1項記載のキャラクタライズ方法。
(付記16)
前記論理回路はルックアップテーブルを有し、前記クロスバースイッチは前記ルックアップテーブルとの接続を変更する、付記10から15の内の1項記載のキャラクタライズ方法。
(付記17)
抵抗変化素子を有するクロスバースイッチと、前記クロスバースイッチにより論理構成する論理回路とを、複数組有するプログラマブル論理集積回路の回路検証のためのキャラクタライズ方法において、
前記プログラマブル論理集積回路を、前記クロスバースイッチの出力線と次段の前記クロスバースイッチの入力線の間に設けられた電源素子と、次段の前記クロスバースイッチの一部から成る負荷回路と、を有する複数のリーフセルに分割し、
前記リーフセルを基本リーフセルと補正リーフセルとを有する遅延経路に分け、
前記基本リーフセルの遅延時間と前記補正リーフセルの補正遅延とを積算して前記リーフセルの遅延時間とする、キャラクタライズ方法。
【0062】
この出願は、2015年9月2日に出願された日本出願特願2015−172470を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。