特許第6784268号(P6784268)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6784268
(24)【登録日】2020年10月27日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20201102BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20201102BHJP
【FI】
   H04N1/00 885
   G03G21/00 384
   H04N1/00 350
   H04N1/00 E
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-32414(P2018-32414)
(22)【出願日】2018年2月26日
(65)【公開番号】特開2019-149643(P2019-149643A)
(43)【公開日】2019年9月5日
【審査請求日】2020年1月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 米藏
(72)【発明者】
【氏名】古々本 麻里
【審査官】 花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−011400(JP,A)
【文献】 特開2002−077482(JP,A)
【文献】 特開2014−215458(JP,A)
【文献】 特開2010−028510(JP,A)
【文献】 特開平05−300360(JP,A)
【文献】 特開2002−185715(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
G03G 15/00
15/36
21/00
21/02
21/14
21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿載置面上に載置された原稿を読み取る原稿読取部と、
前記原稿読取部による読み取りで得られた前記原稿の画像データに基づいて、画像を記録媒体に形成する画像形成部と、
前記原稿のコピー要求をユーザーから受け付ける要求受付部と、
前記要求受付部により前記原稿のコピー要求が受け付けられると、前記原稿読取部及び前記画像形成部の動作を制御して前記原稿のコピーを実行する制御部と、
前記画像形成部によるコピー終了後、本画像形成装置が操作されないままで予め定められた第1待ち時間が経過すると、本画像形成装置を画像形成の開始を待つ待機モードに移行させるモード移行部と、
前記コピーが見開き原稿に対するコピーであるか否かを判定する判定部と、
静音モードの設定をユーザーから受け付ける設定受付部と、を備え、
前記モード移行部は、
前記設定受付部により前記静音モードのユーザー設定が受け付けられていない場合には、前記画像形成部によるコピー終了後、前記第1待ち時間が経過したときに、本画像形成装置を前記待機モードに移行させ、
前記設定受付部により前記静音モードのユーザー設定が受け付けられている場合には、前記画像形成部によるコピー終了後、待ち時間を設けることなく、本画像形成装置を前記待機モードに移行させ、
前記設定受付部により前記静音モードのユーザー設定が受け付けられていたとしても、前記判定部により前記コピーが見開き原稿に対するコピーであると判定された場合には、本画像形成装置が操作されないままで予め定められた第2待ち時間が経過すると、本画像形成装置を前記待機モードに移行させる、画像形成装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記原稿読取部による読み取りで得られた前記原稿の画像データに基づいて、当該原稿が見開き原稿である場合に生じる中央部分の黒色画像の有無から、前記コピーが見開き原稿に対するコピーである否かを判定する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記原稿が見開き原稿であるとの選択をユーザーから受け付ける選択受付部を更に備え、
前記判定部は、前記選択受付部により前記原稿が見開き原稿であるとのユーザー選択を受け付けている場合、前記コピーが見開き原稿に対するコピーであると判定する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記原稿載置面上に載置された原稿を押さえる原稿押さえ部材と、
前記原稿押さえ部材の前記原稿載置面に対する傾斜角を検出する検出部と、を更に備え、
前記判定部は、前記検出部による検出結果に基づいて、前記原稿押さえ部材の前記原稿載置面に対する傾斜角が予め定められた値以上であると判断した場合、前記コピーが見開き原稿に対するコピーであると判定する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記モード移行部は、前記検出部により検出された傾斜角に応じて、前記第2待ち時間を変更し、前記傾斜角が小さくなるほど前記第2待ち時間を短くする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成部によるコピー終了の時点から、前記要求受付部により次回のコピー要求が受け付けられるまでの経過時間を計測する計測部を更に備え、
前記モード移行部は、前記計測部により計測された経過時間に応じて、前記第2待ち時間を変更する請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に待機モードに移行する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置には、画像形成の開始を待機する待機モードを有しているものがある。例えば、待機モードに移行すると、4本の転写ローラーを感光体ドラムから離間させる(4色押圧状態から4色離間状態に切り替える)ことによって、感光体ドラム等の劣化を抑えたり、ポリゴンモーターの回転速度を低下又は停止させることによって、省エネを実現したりする。また、ポリゴンモーターの回転速度が低下又は停止すると、装置の動作音が静かになる。
【0003】
待機モードには、画像形成装置が操作されないままで予め定められた待ち時間(例えば、1分間)が経過すると移行するようになっている。例えば、コピー終了後、画像形成装置が操作されないまま1分が経過すると、待機モードに移行し、装置の動作音が静かになる。
【0004】
また、画像形成装置には、ユーザーが任意に設定できる静音モードという機能を有しているものがある。そして、静音モードが設定されている場合には、コピーが終了すると、待ち時間を省略して(つまり、1分の経過を待つことなく)、待機モードに移行するようになっている。これにより、コピー終了直後から、ポリゴンモーターの動作音を小さくすることができる。
【0005】
また、4色離間状態への切り替えもコピー終了後すぐに行われるので、4色離間状態に切り替わる際の駆動音もコピー終了後すぐの時に発生するので、これ以降は、画像形成装置の静音化を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−057606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
待機モードに移行している状態で、画像形成装置がコピー要求を受け付けると、4本の転写ローラーを感光体ドラムに押圧させて、4色離間状態から4色押圧状態に切り替え(但し、モノクロ印刷時には、3色離間状態に切り替える)、ポリゴンモーターの回転速度を上昇させて、装置を安定した状態にしてから、コピー処理を行うことになる。
【0008】
ところで、本や雑誌を見開きにして複数ページ、コピーする場合、特定のページをコピーした後、次にコピーするページを探し、スキャナーにセットして、コピーのスタートボタンを押下する必要があるため、各コピー間に相当な時間が経過することが考えられる。
【0009】
従って、本や雑誌を見開きにして複数ページ、コピーする場合に、静音モードが設定されていると、各コピー終了の度に、待機モードに移行してしまい、次のコピー開始までに時間がかかり、生産性が低下する。
【0010】
上記の特許文献1には、人体検知センサーを利用し、画像形成装置の周辺に人がいる場合には、標準モードを選択し、装置の周辺に人がいない場合には、静音モードを選択することが記載されている。
【0011】
しかしながら、人体検知センサーは比較的高価なデバイスであり、コスト増になってしまう。また、人体検知センサーの検知精度によっては、静音モードを選択すべきときに、静音モードを選択せず、適切なタイミングで待機モードに移行しないおそれがある。
【0012】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、人体検知センサーを用いることなく、静音モードを設定されている場合にも、静音モードを必要に応じて解除して、本や雑誌のコピーを効率よく行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一局面に係る画像形成装置は、原稿載置面上に載置された原稿を読み取る原稿読取部と、前記原稿読取部による読み取りで得られた前記原稿の画像データに基づいて、画像を記録媒体に形成する画像形成部と、前記原稿のコピー要求をユーザーから受け付ける要求受付部と、前記要求受付部により前記原稿のコピー要求が受け付けられると、前記原稿読取部及び前記画像形成部の動作を制御して前記原稿のコピーを実行する制御部と、前記画像形成部によるコピー終了後、本画像形成装置が操作されないままで予め定められた第1待ち時間が経過すると、本画像形成装置を画像形成の開始を待つ待機モードに移行させるモード移行部と、前記コピーが見開き原稿に対するコピーであるか否かを判定する判定部と、静音モードの設定をユーザーから受け付ける設定受付部と、を備え、前記モード移行部は、前記設定受付部により前記静音モードのユーザー設定が受け付けられていない場合には、前記画像形成部によるコピー終了後、前記第1待ち時間が経過したときに、本画像形成装置を前記待機モードに移行させ、前記設定受付部により前記静音モードのユーザー設定が受け付けられている場合には、前記画像形成部によるコピー終了後、待ち時間を設けることなく、本画像形成装置を前記待機モードに移行させ、前記設定受付部により前記静音モードのユーザー設定が受け付けられていたとしても、前記判定部により前記コピーが見開き原稿に対するコピーであると判定された場合には、本画像形成装置が操作されないままで予め定められた第2待ち時間が経過すると、本画像形成装置を前記待機モードに移行させるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、静音モードが設定されていたとしても、コピーが見開き原稿に対するコピー(例えば、本や雑誌を見開きしてのコピー)である場合には、待機モードに移行するまでの待ち時間が設けられるので、次のコピーまでに待機モードに移行するのを回避することができる。これにより、人体検知センサーを利用することなく、静音モードが設定されている場合にも、静音モードを必要に応じて解除して、本や雑誌のコピーを効率よく行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の主要内部構成を概略的に示した機能ブロック図である。
図2】第1実施形態に係る画像形成装置の外観を示した斜視図である。
図3】第1実施形態に係る画像形成装置の制御ユニットで行われる処理動作の一例を示したフローチャートである。
図4】第2実施形態に係る画像形成装置の主要内部構成を概略的に示した機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る画像形成装置について図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の主要内部構成を概略的に示した機能ブロック図であり、図2は、第1実施形態に係る画像形成装置の外観を示した斜視図である。
【0017】
画像形成装置1は、例えば、コピー機能、プリンター機能、スキャナー機能、及びファクシミリ機能のような複数の機能を兼ね備えた複合機である。画像形成装置1は、制御ユニット10、原稿給送部6、原稿読取部5、画像形成部12、定着部13、給紙部14、及び操作部47を備える。
【0018】
画像形成装置1で原稿読取動作が行われる場合について説明する。原稿給送部6により搬送されてきた原稿、又はコンタクトガラス161に載置されている原稿の画像を、原稿読取部5が光学的に読み取り、そして画像データを生成する。原稿読取部5により生成された画像データは、図略の画像メモリー等に保存される。なお、コンタクトガラス161は、特許請求の範囲における原稿載置面の一例である。
【0019】
また、原稿給送部6は、原稿読取部5の上面にヒンジ等によって開閉可能に構成され、原稿給送部6は、裏面に白板である原稿マット61を備え、コンタクトガラス161上に載置された原稿を読み取る場合に原稿押さえカバーとして機能する。原稿マット61は、原稿載置面としてのコンタクトガラス161に対して開閉自在に、画像形成装置1の装置本体に支持されている。なお、原稿マット61は、特許請求の範囲における原稿押さえ部材の一例である。
【0020】
原稿読取部5は、コンタクトガラス161に載置されている原稿に向かって光を出射する光源を有し、当該原稿からの反射光を受光して原稿の画像を読み取る。
【0021】
画像形成装置1で画像形成動作が行われる場合について説明する。原稿読取動作により生成された画像データや、ネットワーク接続された外部装置としてのコンピューターから受信した画像データ等に基づいて、画像形成部12が、給紙部14から給紙される記録媒体としての記録紙にトナー像を形成する。
【0022】
定着部13は、熱圧着によりトナー像を記録紙に定着させるものであり、定着処理が施された記録紙は排出トレイ151に排出される。給紙部14は、給紙カセットを備える。
【0023】
操作部47は、画像形成装置1が実行可能な各種動作及び処理について、操作者から、画像形成動作実行指示等の指示を受け付ける。操作部47は、操作者への操作案内等を表示する表示部473を備えている。表示部473はタッチパネルになっており、操作者は画面表示されるボタンやキーに触れて画像形成装置1を操作することができる。
【0024】
制御ユニット10は、プロセッサー、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及び専用のハードウェア回路を含んで構成される。プロセッサーは、例えばCPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又はMPU(Micro Processing Unit)等である。制御ユニット10は、制御部100と、操作受付部101と、モード移行部105と、検出部106と、判定部107とを備えている。
【0025】
制御ユニット10は、HDD(Hard Disk Drive)92に記憶されている制御プログラムに従って上記プロセッサーが動作することにより、制御部100、操作受付部101、モード移行部105、検出部106、及び判定部107として機能するものである。但し、制御部100等は、制御ユニット10による制御プログラムに従った動作によらず、それぞれハードウェア回路により構成することも可能である。以下、特に触れない限り、各実施形態について同様である。
【0026】
制御部100は、画像形成装置1の全体的な動作制御を司る。制御部100は、原稿給送部6、原稿読取部5、画像形成部12、定着部13、給紙部14、及び操作部47と接続され、これら各部の駆動制御等を行う。例えば、制御部100は、画像形成装置1が有する機能の実行指示を操作受付部101が受け付けると、実行指示された機能を実行する。
【0027】
操作受付部101は、操作部47を介したユーザーからの操作入力を受け付ける。また、操作受付部101は、要求受付部102と、設定受付部103と、選択受付部104とを備える。
【0028】
要求受付部102は、原稿のコピー要求をユーザーから受け付ける。設定受付部103は、静音モードの設定をユーザーから受け付ける。例えば、要求受付部102により原稿のコピー要求が受け付けられると、制御部100が、原稿読取部5及び画像形成部12の動作を制御して原稿のコピーを実行する。
【0029】
選択受付部104は、原稿が見開き原稿であるとの選択をユーザーから受け付ける。なお、選択受付部104は、左右1ページずつを分割してコピーする機能のユーザー選択を受け付ける、既存の選択受付部を代用することが可能である。
【0030】
モード移行部105は、画像形成装置1の動作モーと時を切り換える処理を行う。例えば、モード移行部105は、設定受付部103により静音モードのユーザー設定が受け付けられていない状態で、画像形成部12によるコピー終了後、画像形成装置1が操作されないままで予め定められた第1待ち時間T1(例えば、1分)が経過すると、画像形成装置1を画像形成の開始を待つ待機モードに移行させる。
【0031】
また、モード移行部105は、設定受付部103により静音モードのユーザー設定が受け付けられている場合には、画像形成部12によるコピー終了後、待ち時間を設けることなく、画像形成装置1を待機モードに移行させる。
【0032】
更に、モード移行部105は、設定受付部103により静音モードのユーザー設定が受け付けられていたとしても、後で説明する判定部107によりコピーが見開き原稿に対するコピーであると判定された場合には、画像形成装置1が操作されないままで予め定められた第2待ち時間T2(例えば、10秒)が経過すると、画像形成装置1を待機モードに移行させる。
【0033】
検出部106は、原稿押さえ部材としての役割を果たす原稿マット61のコンタクトガラス161に対する傾斜角を検出する。当該傾斜角を検出する角度検出センサー17が、原稿マット61の回転軸となるヒンジ近傍に配置され、角度検出センサー17で検出された傾斜角情報が制御ユニット10に出力される。例えば、角度検出センサー17として、回転軸に可変抵抗器を連結しておき、原稿マット61のコンタクトガラス161に対する傾斜角に応じて変化する可変抵抗器の抵抗値を角度検出センサー17が傾斜角情報として制御ユニット10に出力する。
【0034】
判定部107は、コピーが見開き原稿に対するコピー(例えば、本や雑誌を見開いてのコピー)であるか否かを判定する。なお、当該判定の方法には、例えば、以下の3つの方法が挙げられる。
【0035】
<方法1>本や雑誌を見開いてコピーする場合には、原稿の中央部分の浮き上がりによって、当該中央部分に黒色の帯状画像が生じる。すなわち、原稿の中央部分に黒色画像が存在する場合、原稿は本や雑誌の見開き原稿であるといえる。
【0036】
そこで、判定部107は、原稿読取部5による読み取りで得られた原稿の画像データに基づいて、当該原稿が見開き原稿である場合に生じる中央部分の黒色画像の有無から、コピーが見開き原稿に対するコピーである否かを判定する。例えば、判定部107が、当該画像データを解析することによって、原稿の外縁部として4つの頂点に相当する座標データを算出し、算出した4つの頂点に相当する座標データから原稿の中央部分の領域を特定すると共に、原稿の大きさを算出する。そして、判定部107が、特定した中央部分に黒色画像が、原稿の大きさに対して予め定められた割合以上で存在する場合に、コピーが見開き原稿に対するコピーであると判定する。
【0037】
<方法2>判定部107は、選択受付部104により原稿が見開き原稿であるとのユーザー選択を受け付けている場合、コピーが見開き原稿に対するコピーであると判定する。
【0038】
<方法3>本や雑誌を見開いてコピーする場合には、原稿の厚みや中央部分の浮き上がりによって、原稿マット61を完全に閉鎖することができない。すなわち、原稿マット61が完全に閉鎖していない場合、原稿は本や雑誌の見開き原稿であると言える。
【0039】
そこで、判定部107は、検出部106による検出結果に基づいて、原稿マット61のコンタクトガラス161に対する傾斜角が予め定められた値以上であると判断した場合、コピーが見開き原稿に対するコピーであると判定する。
【0040】
次に、第1実施形態に係る画像形成装置1の制御ユニット10で行われる処理動作の一例について、図3に示したフローチャートに基づいて説明する。
【0041】
要求受付部102により原稿のコピー要求が受け付けられると、制御部100は、原稿読取部5の動作を制御することによって、コンタクトガラス161に載置されている原稿の画像を読み取らせる(S1)。その後、判定部107が、コピーが見開き原稿に対するコピーであるか否かを判定する(S2)。
【0042】
原稿読取部5による原稿の読み取り完了後、制御部100は、画像形成部12の動作を制御することによって、原稿読取部5による読み取りで得られた画像データに基づいて、画像を記録媒体に形成させ、コピーを実行する(S3)。
【0043】
モード移行部105は、画像形成部12によるコピーが終了したか否かを判断し(S4)、モード移行部105が、画像形成部12によるコピーが終了していないと判断した場合(S4でNO)、処理はS3に戻る。
【0044】
一方、モード移行部105は、画像形成部12によるコピーが終了したと判断した場合(S4でYES)、制御ユニット10に内蔵されるタイマーを用いて、画像形成部12によるコピー終了の時点からの経過時間の計測を開始し(S5)、その後、設定受付部103により静音モードのユーザー設定が受け付けられているか否かを判断する(S6)。
【0045】
モード移行部105は、設定受付部103により静音モードのユーザー設定が受け付けられていないと判断した場合(S6でNO)、操作受付部101によりユーザー操作が受け付けられたか否かを判断する(S7)。
【0046】
そして、モード移行部105は、操作受付部101によりユーザー操作が受け付けられていないと判断した場合(S7でNO)、画像形成部12によるコピー終了から予め定められた第1待ち時間T1(例えば、1分)が経過したか否かを判断する(S8)。すなわち、モード移行部105は、画像形成部12によるコピー終了後、画像形成装置1が操作されないままで第1待ち時間T1が経過したか否かを判断する。
【0047】
モード移行部105は、画像形成部12によるコピー終了から第1待ち時間T1が経過したと判断した場合(S8でYES)、画像形成装置1を待機モードに移行させる(S9)。この後、処理は終了する。画像形成装置1が待機モードに移行すると、制御部100が、例えば、4本の転写ローラーを感光体ドラムから離間させたり、ポリゴンモーターの回転速度を低下又は停止させたりする。
【0048】
一方、モード移行部105が、画像形成部12によるコピー終了から第1待ち時間T1が経過していないと判断した場合(S8でNO)、処理はS7に戻る。また、モード移行部105が、第1待ち時間T1が経過する前に、操作受付部101によりユーザー操作が受け付けられたと判断した場合(S8でNO,S7でYES)、処理は終了する。すなわち、制御部100等は、当該ユーザー操作が示す指示に従った動作を画像形成装置1に行わせる。
【0049】
また、S6において、モード移行部105は、設定受付部103により静音モードのユーザー設定が受け付けられていると判断した場合(S6でYES)、上記S2において、判定部107によりコピーが見開き原稿に対するコピーであると判定されたか否かを判断する(S10)。
【0050】
モード移行部105は、判定部107によりコピーが見開き原稿に対するコピーでないと判定された場合(S10でNO)、待ち時間を設けることなく、画像形成装置1を待機モードに移行させる(S9)。この後、処理は終了する。
【0051】
一方、モード移行部105は、判定部107によりコピーが見開き原稿に対するコピーであると判定された場合(S10でYES)、操作受付部101によりユーザー操作が受け付けられたか否かを判断する(S11)。
【0052】
そして、モード移行部105は、操作受付部101によりユーザー操作が受け付けられていないと判断した場合(S11でNO)、画像形成部12によるコピー終了から予め定められた第2待ち時間T2(例えば、10秒)が経過したか否かを判断する(S12)。すなわち、モード移行部105は、画像形成部12によるコピー終了後、画像形成装置1が操作されないままで第2待ち時間T2が経過したか否かを判断する。
【0053】
モード移行部105は、画像形成部12によるコピー終了から第2待ち時間T2が経過したと判断した場合(S12でYES)、画像形成装置1を待機モードに移行させる(S9)。この後、処理は終了する。
【0054】
一方、モード移行部105が、画像形成部12によるコピー終了から第2待ち時間T2が経過していないと判断した場合(S12でNO)、処理はS11に戻る。また、モード移行部105が、第2待ち時間T2が経過することなく、操作受付部101によりユーザー操作が受け付けられたと判断した場合(S12でNO,S11でYES)、処理は終了する。
【0055】
上記第1実施形態によれば、静音モードが設定されていたとしても、コピーが見開き原稿に対するコピー(すなわち、本や雑誌を見開きしてのコピー)である場合には、待機モードに移行するまでの待ち時間が設けられるので、次のコピーまでに待機モードに移行するのを回避することができる。これにより、高価なデバイスである人体検知センサーを利用することなく、静音モードが設定されている場合にも、静音モードを必要に応じて解除して、本や雑誌のコピーを効率よく行えるようにすることができる。
【0056】
また、別の実施形態として、第2待ち時間T2を原稿の厚みによって変更するようにしてもよい。原稿の厚みが薄ければ、ユーザーの作業はスムーズになり、作業時間が短くなると考えられる。そこで、モード移行部105が、検出部106により検出された原稿マット61のコンタクトガラス161に対する傾斜角に応じて第2待ち時間T2を変更し、当該傾斜角が小さくなるほど第2待ち時間T2を短くする。
【0057】
例えば、原稿マット61が完全に閉鎖している状態を、原稿マット61のコンタクトガラス161に対する傾斜角を0度とした場合、モード移行部105は、傾斜角が10度以上のとき、第2待ち時間T2を最大の10秒に設定し、傾斜角が5.0〜9.9度のとき、第2待ち時間T2を7秒に設定し、傾斜角が0.1〜4.9度のとき、第2待ち時間T2を5秒に設定する。これにより、第2待ち時間T2が必要以上に長くならないようにできるので、本や雑誌のコピーの生産性を維持しつつ、待機モードの速やかな移行を実現することができる。
【0058】
図4は、第2実施形態に係る画像形成装置の主要内部構成を概略的に示した機能ブロック図である。図1に示した第1実施形態に係る画像形成装置と同様の構成については説明を省略する。第2実施形態に係る画像形成装置は、図1に示した第1実施形態に係る画像形成装置と、制御ユニット10が計測部108を備え、更には、モード移行部105が、計測部108により計測された時間に基づいて、第2待ち時間T2を変更する点で相違する。制御ユニット10は、HDD92に記憶されている制御プログラムに従って上記プロセッサーが動作することにより、制御部100、操作受付部101、モード移行部105、検出部106、及び判定部107に加えて、更に計測部108として機能するものである。但し、制御部100等は、制御ユニット10による制御プログラムに従った動作によらず、ハードウェア回路により計測部108を構成することも可能である。
【0059】
計測部108は、制御ユニット10に内蔵されるタイマーを用いて、画像形成部12によるコピー終了の時点から、要求受付部102により次回のコピー要求が受け付けられるまでの経過時間ETを計測する。
【0060】
モード移行部105は、計測部108により計測された経過時間ETと第2待ち時間T2とを比較し、当該比較した結果に基づいて、第2待ち時間T2を変更する。なお、当該変更の方法には、例えば、以下の2つの方法が挙げられる。
【0061】
<方法1>モード移行部105は、経過時間ETが第2待ち時間T2よりも予め定められた時間A以上短い場合、第2待ち時間T2を予め定められた時間B短くする。すなわち、経過時間ETが第2待ち時間T2よりも十分に短い場合、第2待ち時間T2を一定時間短くする。なお、時間Bは時間Aよりも短いのが望ましい。
【0062】
例えば、第2待ち時間T2のデフォルト値が10秒で、時間Aが5秒に設定され、時間Bが3秒に設定されている場合に、計測部108により経過時間ETが4秒(<時間A)であると計測されると、モード移行部105は、第2待ち時間T2を7秒(=10秒−3秒)に設定する。
【0063】
<方法2>モード移行部105は、経過時間ETが第2待ち時間T2よりも予め定められた時間D以上短い場合、経過時間ETに尤度時間E(<時間D)を加算した時間を第2待ち時間T2に変更する。
【0064】
例えば、第2待ち時間T2のデフォルト値が10秒で、時間Dが5秒に設定され、尤度時間Eが2秒に設定されている場合に、計測部108により経過時間ETが4秒(<時間D)であると計測されると、モード移行部105は、第2待ち時間T2を6秒(=4秒+2秒)に設定する。
【0065】
これにより、第2待ち時間T2が必要以上に長くならないようにすることができるので、本や雑誌のコピーの生産性を維持しつつ、待機モードの速やかな移行を実現することができる。
【0066】
また、本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。また、上記実施形態では、本発明に係る画像形成装置の一実施形態として複合機を用いて説明しているが、これは一例に過ぎず、例えば、コピー機能を有した他の画像形成装置でもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、図1乃至図4を用いて上記実施形態により示した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0068】
1 画像形成装置
5 原稿読取部
12 画像形成部
61 原稿マット
100 制御部
101 操作受付部
102 要求受付部
103 設定受付部
104 選択受付部
105 モード移行部
106 検出部
107 判定部
108 計測部
161 原稿載置面
図1
図2
図3
図4