特許第6784277号(P6784277)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6784277
(24)【登録日】2020年10月27日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】ストッカ及び搬送車システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/14 20060101AFI20201102BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20201102BHJP
   H01L 21/673 20060101ALI20201102BHJP
【FI】
   B65G1/14 B
   B65G1/00 547Z
   H01L21/68 T
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-111347(P2018-111347)
(22)【出願日】2018年6月11日
(65)【公開番号】特開2019-214437(P2019-214437A)
(43)【公開日】2019年12月19日
【審査請求日】2019年8月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】崔 ▲イン▼
(72)【発明者】
【氏名】坂田 圭丞
(72)【発明者】
【氏名】大田 賢司
【審査官】 小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−013240(JP,A)
【文献】 実開昭59−143339(JP,U)
【文献】 国際公開第2018/066230(WO,A1)
【文献】 特開2002−128213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/14
B65G 1/00
H01L 21/673
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移載装置によって物品の移載が行われる物品載置部材を備えるストッカであって、
前記物品が載置される載置部と、
前記載置部から鉛直方向に立ち上がると共に前記物品の移載方向に延在する部材であって、前記載置部に載置された前記物品が水平方向において前記移載方向に直交する幅方向へ移動することを規制する立設部と、を有する前記物品載置部材と、
前記幅方向に所定間隔で配置され、鉛直方向に延在すると共に、前記物品載置部材の前記立設部が固定されている支柱部材と、を備え、
前記物品載置部材から見て前記移載装置が配置される側を前記移載方向の前側、その反対側を前記移載方向の後側としたとき、
前記立設部には、前記移載装置によって移載される前記物品が接触したときに、前記物品を前記前側から前記後側に向かって斜め上方へ案内する案内部が設けられており、
前記案内部は、前記物品を載置する予定の前記物品載置部材の位置から前記幅方向にずれた位置に前記移載装置が停止した状態で前記物品が移載されたときに、前記物品の底面が接触するように設けられている、ストッカ。
【請求項2】
前記案内部の上端は、前記前側から前記後側に向かって斜め上方へ延びている、請求項1記載のストッカ
【請求項3】
前記立設部における鉛直方向の上端の少なくとも一部には、前記上端から水平方向に延び、前記物品の一部が鉛直方向に移動することを規制する張出部が設けられている、請求項1又は2記載のストッカ
【請求項4】
前記案内部の上端の前記後側の端部は、鉛直方向において前記張出部よりも高い位置に設けられている、請求項記載のストッカ
【請求項5】
請求項1〜の何れか一項記載のストッカ
前記物品載置部材に前記物品を移載する前記移載装置と、
記移載装置を制御する制御部と、
前記物品が前記前側から前記後側に向かって斜め上方へ移動したことを検出する検出部と、を備え、
前記制御部は、前記検出部によって前記物品の前記斜め上方への移動が検出されたときに、前記移載装置による前記物品の移載を停止させる、搬送車システム。
【請求項6】
前記検出部は、移載時に前記物品を支持する支持部に設けられ、前記物品の存在の有無を検出するセンサによって構成されている、請求項記載の搬送車システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストッカ及び搬送車システムに関する。
【背景技術】
【0002】
パーティションなどの本体部により画成される内部空間に、半導体ウエハ及びガラス基板等の被格納物が格納される格納容器を載置されるラックと、当該ラックに被保管物を移載可能なスタッカクレーン等の移載装置と、を備えたストッカが知られている(例えば、特許文献1)。また、上記のようなストッカ又は所定の処理装置に格納容器の受け渡しを行うインタフェイス部分としてのロードポートが知られている(例えば、特許文献2)。このようなストッカのラック又はロードポートの物品載置部材は、移載装置によって水平方向における一方向から格納容器等の物品が載置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−214407号公報
【特許文献2】特開2017−186115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図8に示されるように、このような物品載置部材250(250A,250B)には、例えば、支柱部材241に取り付けるため、又は、隣り合う物品載置部材250との仕切りのために、格納容器(物品)290が載置される載置部251から鉛直方向に立ち上がり、上記一方向(Y方向)に直交する幅方向(X方向)への格納容器290の移動を規制する立設部253が設けられることがある。しかしながら、このような物品載置部材250に対し、移載装置(図示せず)が停止すべき位置に対して幅方向(X方向)にずれた状態で停止し、その状態で格納容器290を移載しようとすると、格納容器290は上記立設部253に衝突することとなる。その結果、格納容器290が、移載装置と立設部253との間に挟まれて破損することがある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、載置部から鉛直方向に立ち上がる立設部を設けた場合であっても、物品を載置するときの破損を抑制できる、物品載置部材、これを備えたストッカ、及び搬送車システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の物品載置部材は、移載装置によって物品の移載が行われる物品載置部材であって、物品が載置される載置部と、載置部から鉛直方向に立ち上がると共に物品の移載方向に延在する部材であって、載置部に載置された物品が水平方向において移載方向に直交する幅方向へ移動することを規制する立設部と、を備え、物品載置部材から見て移載装置が配置される側を移載方向の前側、その反対側を移載方向の後側としたとき、立設部には、移載装置によって移載される物品が接触したときに、物品を前側から後側に向かって斜め上方へ案内する案内部が設けられている。
【0007】
この構成の物品載置部材では、移載装置が、物品載置部材に対して停止すべき位置から幅方向にずれた状態で停止し、その状態で物品が移載された場合であっても、物品は案内部によって前側から後側に向かって斜め上方へ案内される。これによって、物品が移載装置と立設部との間に挟まれて破損することがなくなる。この結果、載置部から鉛直方向に立ち上がる立設部を設けた場合であっても、物品を載置するときの破損を抑制できる。
【0008】
本発明の物品載置部材では、案内部の上端は、前側から後側に向かって斜め上方へ延びていてもよい。この構成では、移載時に立設部に衝突した物品を、斜め上方へスムーズに案内することができる。
【0009】
本発明の物品載置部材では、立設部における鉛直方向の上端の少なくとも一部には、上端から水平方向に延び、物品の一部が鉛直方向に移動することを規制する張出部が設けられていてもよい。この構成では、載置部に載置された物品が鉛直上方に移動することを抑制できるので、物品載置部材から物品が落下することを防止できる。
【0010】
本発明の物品載置部材では、案内部の上端の後側の端部は、鉛直方向において張出部よりも高い位置に設けられていてもよい。この構成では、案内部によって案内される格納容器が張出部に衝突することを防止できる。
【0011】
本発明のストッカは、幅方向に所定間隔で配置され、鉛直方向に延在する支柱部材と、上記の物品載置部材と、を備え、物品載置部材の立設部が、支柱部材に固定されていてもよい。この構成では、ストッカの物品載置部材に立設部を設けた場合であっても、物品を載置するときの破損を抑制できる。
【0012】
本発明の搬送車システムは、上記の物品載置部材と、物品載置部材に物品を移載する移載装置と、移載装置を制御する制御部と、物品が前側から後側に向かって斜め上方へ移動したことを検出する検出部と、を備え、制御部は、検出部によって物品の斜め上方への移動が検出されたときに、移載装置による物品の移載を停止させてもよい。この構成では、検出部によって物品の斜め上方への移動が検出されたとき、すなわち、物品が立設部に接触したことが検出されると、移載装置が物品を移載方向に押し出すことを停止する。これにより、物品が破損することを未然に防止することができる。
【0013】
本発明の搬送車システムの検出部は、移載時に物品を支持する支持部に設けられ、物品の存在の有無を検出するセンサによって構成されていてもよい。この構成では、斜め上方への移動が検出可能な検出部を容易に構成することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、載置部から鉛直方向に立ち上がる立設部を設けた場合であっても、物品を載置するときの物品の破損を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態に係るストッカを示すX方向から見た断面図である。
図2図1のストッカに含まれる一部の物品載置部材を拡大して示した斜視図である。
図3図2の物品載置部材の一部を拡大して示した斜視図である。
図4図1のストッカクレーンのアーム部及び容器支持部の近傍を拡大して示す斜視図である。
図5図1の搬送車システムの機能構成を示す機能ブロック図である。
図6】側方立設部に接触した格納容器を示す側面図である。
図7】側方立設部に接触した格納容器を示す側面図である。
図8】従来のストッカに含まれる一部の物品載置部材を拡大して示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の好適な一実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
一実施形態に係る物品載置部材50、物品載置部材50を備えたストッカ1、搬送車システム100について説明する。まず、ストッカ1について説明する。ストッカ1は、半導体ウエハ及びガラス基板等の被格納物が格納されたFOUP(Front Opening Unified Pod)等の格納容器(物品)90を保管する保管庫としての機能を有している。ストッカ1は、例えば、クリーンルームに設けられる。
【0018】
図1に示されるように、ストッカ1は、本体部3、ラック4、スタッカクレーン(移載装置)7、OHTポート21、コントローラ(制御部)80を主に備えている。
【0019】
本体部3は、ストッカ1の内部空間Aを画成する部分であり、複数のパーティションにより形成されている。ラック4は、格納容器90を載置する部分であり、通常1〜2列(ここでは、2列)設けられている。各ラック4は、X方向(幅方向)に延在しており、隣り合う2つのラック4,4が対向するように略平行に配置されている。
【0020】
図2及び図3に示されるように、各ラック4は、支柱部材41と、梁部材43と、物品載置部材50と、を有している。なお、図2及び図3では、物品載置部材50から見てスタッカクレーン(移載装置)7が配置される側を前側、その反対側を移載方向の後側として説明する。支柱部材41は、X方向に所定間隔で配置され、鉛直方向に延在する。梁部材43は、隣り合う支柱部材41,41同士を接続する。物品載置部材50は、X方向及びZ方向(鉛直方向)に沿って配列されている。物品載置部材50は、格納容器90を載置して保管する。
【0021】
物品載置部材50は、左右一対の物品載置部材50A,50Bによって構成されている。すなわち、左右一対の物品載置部材50A,50Bによって一つの格納容器90を載置する。物品載置部材50は、載置部51と、側方立設部(立設部)53と、前方立設部61と、を有している。
【0022】
載置部51は、格納容器90が載置される部分である。載置部51の上面には、容器位置決め部67が設けられている。容器位置決め部67は、格納容器90を位置決めする部材である。容器位置決め部67は、格納容器90の底面に形成された凹部に嵌合されることによって、格納容器90を位置決めする。側方立設部53は、載置部51から鉛直方向に立ち上がると共に格納容器90の移載方向(X方向)に延在する部材であって、載置部51に載置された格納容器90が水平方向において移載方向に直交する幅方向(X方向)へ移動することを規制する。側方立設部53には、案内部55と、張出部57と、が設けられている。
【0023】
案内部55は、スタッカクレーン7によって移載される格納容器90が接触したときに、当該格納容器90をY方向において前側から後側に向かって斜め上方へ案内する部分である。案内部55の上端(案内面)55aは、前側から後側に向かって斜め上方へ延びている。張出部57は、側方立設部53における鉛直方向の上端53aから水平方向に延び、載置部51に載置された格納容器90の一部である側方突出部91が鉛直方向に移動することを規制する部分である。案内部55の上端55aの後側の端部55bは、Z方向において張出部57よりも高い位置に設けられている。
【0024】
前方立設部61は、載置部51からZ方向に立ち上がると共にX方向に延在する部材である。前方立設部61は、載置部51に載置された格納容器90が水平方向においてY方向前方に移動することを規制する。
【0025】
載置部51と、側方立設部53と、案内部55と、張出部57と、前方立設部61と、を有する物品載置部材50は、板状部材を、例えば、プレス加工等することによって一体形成されている。
【0026】
図1及び図4に示されるように、スタッカクレーン7は、格納容器90を物品載置部材50に対して出し入れすると共に、物品載置部材50間を移動させる機構である。スタッカクレーン7は、対向するラック4,4に挟まれた領域に配置されている。スタッカクレーン7は、ラック4の延在方向(X方向)に沿って、床面に配置された軌道(図示せず)を走行することにより、ラック4に沿ってX方向に移動することができる。
【0027】
スタッカクレーン7は、走行部71と、支持柱72と、荷台73と、アーム部74と、容器支持部75と、を備えている。走行部71は、モータ等の走行駆動部71A(図5参照)によって軌道をX方向に走行可能に設けられている。支持柱72は、走行部71の上部に設けられ、鉛直方向に延在する部材である。荷台73は、モータ等の昇降駆動部73A(図5参照)によって、支持柱72に沿って昇降可能に設けられている。アーム部74は、荷台73に設けられており、複数のアーム74A,74Bを有している。複数のアーム74A,74Bの最上部のアーム74Bには容器支持部75が固定されている。複数のアーム74A,74Bは、モータ等のアーム駆動部79(図5参照)によって、容器支持部75を水平方向に自在に移動させることができる。
【0028】
容器支持部75は、格納容器90を保持する機構であり、アーム74Bの上面に固定されている。容器支持部75は、第一本体部75Aと、第二本体部75Bと、容器保持部75Cと、容器位置決め部76A,76B,76Cと、容器検出部(検出部)77A,77B,77Cと、を有している。第一本体部75Aは、板状部材であり、アーム74Bに固定されると共に格納容器90を支持する。第二本体部75Bは、第一本体部75Aから鉛直方向上方に延びる部材であり、容器保持部75Cを支持する。容器保持部75Cは、格納容器90の側方を保持する。
【0029】
容器位置決め部76A,76B,76Cは、第一本体部75Aの上面に形成されており、格納容器90を位置決めする部材である。容器位置決め部76A,76B,76Cは、格納容器90の底面に形成された凹部に嵌合されることによって、格納容器90を位置決めする。容器位置決め部76A,76B,76Cは、第一本体部75Aの上面に三つ配置されている。容器位置決め部76A,76B,76Cは、第一本体部75Aの周縁に近い位置に配置されている。
【0030】
容器検出部77A,77B,77Cは、例えば、接触式センサであり、格納容器90が接触しているか否かを検出する。容器検出部77A,77B,77Cは、格納容器90の接触の有無に関する情報をコントローラ80に出力する。容器検出部77A,77B,77Cは、第一本体部75Aの上面に三つ配置されている。容器検出部77A,77B,77Cは、第一本体部75Aの周縁に近い位置かつ容器位置決め部76A,76B,76Cの近傍に配置されている。
【0031】
ストッカ1への格納容器90の出し入れは、OHT(Overhead Hoist Transfer)ポート21から行われる。OHTポート21は、天井に敷設された軌道25を走行する天井走行車27とストッカ1との間で格納容器90を受け渡しする部分であり、格納容器90を搬送するコンベヤ21Aを有している。
【0032】
次に、搬送車システム100について説明する。搬送車システム100は、上記ストッカ1と、コントローラ80と、を主に含んで構成される。
【0033】
コントローラ80(図1参照)は、スタッカクレーン7における各部を制御する。コントローラ80は、例えば、本体部3の内部に配置される。コントローラ80は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等を有している。コントローラ80では、CPU、RAM及びROM等のハードウェアと、プログラム等のソフトウェアとが協働することによって、各種制御を実行する。
【0034】
図4に示されるように、本実施形態のコントローラ80は、容器検出部77A,77B,77Cによって格納容器90の斜め上方への移動が検出されたときに、スタッカクレーン7による格納容器90の移載を停止させる。具体的には、コントローラ80は、容器検出部77A,77B,77Cの少なくとも一つによって、格納容器90の存在が無いことが検出されると、容器検出部77A,77B,77Cによって格納容器90の斜め上方への移動が検出されたと判定し、スタッカクレーン7による格納容器90の移載を停止させる。
【0035】
次に、スタッカクレーン7が、物品載置部材50に格納容器90を載置する際の動作について説明する。コントローラ80は、走行駆動部71Aを制御して、X方向において、格納容器90を載置する予定の物品載置部材50の前で走行部71を停止させる。並行して、コントローラ80は、昇降駆動部73Aを制御して、格納容器90を載置する予定の物品載置部材50の高さまで容器支持部75を移動させる。更に詳細には、格納容器90の底面90aが、格納容器90を載置する予定の物品載置部材50の前方立設部61の上方を通過可能な高さまで容器支持部75を移動させる。
【0036】
引き続き、コントローラ80は、アーム駆動部79を制御して、アーム部74をY方向の後側に伸ばし、第一本体部75Aによって下方から支持される格納容器90を前進させる。そして、格納容器90の前進方向における後端90b(図5及び図6参照)が、前方立設部61を超えたところで、アーム駆動部79を停止させる。次に、コントローラ80は、昇降駆動部73Aを制御して、容器支持部75を下降させる。これにより、格納容器90が物品載置部材50に載置される。
【0037】
次に、何らかの要因で、格納容器90を載置する予定の物品載置部材50の位置からX方向にずれた位置で停止した場合について説明する。この場合も、コントローラ80は、昇降駆動部73Aを制御して、格納容器90を載置する予定の物品載置部材50の高さまで容器支持部75を移動させる。
【0038】
次に、コントローラ80は、アーム駆動部79を制御して、アーム部74をY方向の後側に伸ばし、第一本体部75Aによって下方から支持される格納容器90を前進させる。このとき、格納容器90は、図6に示されるように、側方立設部53の案内部55に接触する。格納容器90は、上端55aに接触し、格納容器90の底面90aを前側から後側に向かって斜め上方へ案内する。
【0039】
格納容器90は、図7に示されるように、その底面90aが案内面を摺動するように、前側から後側に向かって斜め上方へ案内されて、容器支持部75から離れる。このとき、容器支持部75の進行方向における最先端に配置された容器検出部77Aは、格納容器90が非接触状態であることを検出する。コントローラ80は、容器検出部77Aによって、格納容器90が非接触状態であることが検出されると、アーム駆動部79の駆動を停止させ、スタッカクレーン7による格納容器90の移載を停止させる。
【0040】
上記実施形態の物品載置部材50では、スタッカクレーン7が物品載置部材50の停止すべき位置に対してX方向にずれた状態で停止し、その状態で格納容器90が移載された場合、案内部55によって、格納容器90は前側から後側に向かって斜め上方へ案内される(図6参照)。これによって、格納容器90が容器支持部75と側方立設部53との間に挟まれて破損することがなくなる。この結果、載置部51から鉛直方向に立ち上がる側方立設部53を設けた場合であっても、格納容器90を載置するときの破損を抑制できる。
【0041】
上記実施形態の物品載置部材50では、案内部55の上端55aは、前側から後側に向かって斜め上方へ延びている。これにより、格納容器90の移載時に側方立設部53に接触した格納容器90を、斜め上方へスムーズに案内することができる。
【0042】
上記実施形態の物品載置部材50の側方立設部53には、上端53aから水平方向に延びる張出部57が設けられているので、格納容器90が鉛直上方に移動することを抑制できる。これにより、物品載置部材50から格納容器90が落下することを防止できる。
【0043】
上記実施形態の物品載置部材50の側方立設部53に設けられた案内部55の上端55aの後側の端部55bは、図3に示されるように、鉛直方向において張出部57よりも高い位置に設けられている。これにより、案内部55によって案内される格納容器90が、張出部57に衝突することを抑制できる。
【0044】
上記実施形態のストッカ1は、ストッカ1の物品載置部材50に側方立設部53を設けた場合であっても、格納容器90を載置するときの破損を抑制できる。
【0045】
上記実施形態の搬送車システム100のコントローラ80は、容器検出部77A,77B,77Cによって格納容器90の斜め上方への移動が検出されたときに、スタッカクレーン7による格納容器90の移載を停止させる。これにより、容器検出部77A,77B,77Cによって格納容器90の斜め上方への移動が検出されたとき、すなわち、格納容器90が側方立設部53に接触したことが検出されると、スタッカクレーン7が格納容器90をY方向に押し出すことを停止する。これにより、格納容器90が破損することを未然に防止することができる。
【0046】
上記実施形態の搬送車システム100の容器検出部77A,77B,77Cは、移載時に格納容器90を支持する第一本体部75Aに設けられ、格納容器90の存在の有無を検出するセンサによって構成されている。これにより、格納容器90の斜め上方への移動が検出可能な容器検出部77A,77B,77Cを容易に構成することができる。
【0047】
以上、一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0048】
上記実施形態では、本願の物品載置部材50(50A,50B)が、ストッカ1を構成するラック4に設けられる例を挙げて説明したが、上記のようなストッカ1又は所定の処理装置に格納容器の受け渡しを行うインタフェイス部分としてのロードポートに設けられてもよい。この場合であっても、格納容器90を載置するときの格納容器90の破損を抑制できる。
【0049】
上記実施形態及び変形例の物品載置部材50は、左右一対の物品載置部材50A,50Bから構成されている例を挙げて説明したが、例えば、格納容器90を載置可能な平板状部材に立設部を設けた構成としてもよい。
【0050】
上記実施形態及び変形例の物品載置部材50の案内部55は、その上端が移載方向に沿って前側から後側に向かって斜め上方に延びている形状を例に挙げて説明したが、例えば、徐々に水平面となす角度が緩くなるような弧状に形成されてもよい。この場合であっても、側方立設部53に接触した格納容器90を斜め上方に案内することができる。
【0051】
上記実施形態及び変形例の物品載置部材50の案内部55には、張出部57及び前方立設部61が設けられている例を挙げて説明したが、張出部57及び前方立設部61の両方又は一方が側方立設部53に設けられなくてもよい。
【0052】
上記実施形態及び変形例の物品載置部材50の容器支持部75には、容器検出部77A,77B,77Cが三つ設けられている例を挙げて説明したが、容器検出部77A,77B,77Cの数は、一つであっても、二つであっても、四つ以上であってもよい。
【0053】
また、本発明は、上述したスタッカクレーンとは異なる構成の移載装置にも適用される。つまり、本発明は、水平方向又は上下方向のいずれかの方向にのみ移載部を移動可能な搬送装置、或いは、床面上ではなく天井付近に敷設された軌道に沿って水平方向に移載部を移動可能な搬送装置等にも適用可能である。
【0054】
上記実施形態及び変形例では、物品の例としてFOUPのような格納容器を例に挙げて説明したが、レチクルを格納するレチクルポッドであってもよい。また、段ボール、通函等の物品であってもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…ストッカ、4…ラック、7…スタッカクレーン(移載装置)、41…支柱部材、50,50A,50B…物品載置部材、51…載置部、53…側方立設部(立設部)、55…案内部、55a…上端(案内面)、55b…後側の端部、57…張出部、61…前方立設部、75…容器支持部、77A,77B,77C…容器検出部(検出部)、79…アーム駆動部、80…コントローラ(制御部)、90…格納容器(物品)、100…搬送車システム。
図1
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図8