特許第6784278号(P6784278)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6784278
(24)【登録日】2020年10月27日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】ロープテスタ装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20201102BHJP
   B66B 5/02 20060101ALI20201102BHJP
   B66B 5/12 20060101ALI20201102BHJP
   B66B 7/12 20060101ALI20201102BHJP
【FI】
   B66B5/00 D
   B66B5/02 C
   B66B5/12 Z
   B66B7/12 Z
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-112602(P2018-112602)
(22)【出願日】2018年6月13日
(65)【公開番号】特開2019-214457(P2019-214457A)
(43)【公開日】2019年12月19日
【審査請求日】2019年7月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金子 元樹
(72)【発明者】
【氏名】新井 晋治
(72)【発明者】
【氏名】沈 強
(72)【発明者】
【氏名】張 燕莉
【審査官】 有賀 信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−189157(JP,A)
【文献】 特開2009−155020(JP,A)
【文献】 特開2012−021857(JP,A)
【文献】 特開2015−166697(JP,A)
【文献】 特開平09−290973(JP,A)
【文献】 特開2011−063439(JP,A)
【文献】 特表2002−540419(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00─ 5/28
B66B 7/00─ 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータのかごに接続されるロープの損傷を検出するために前記ロープに押し当てられるロープテスタと、
前記ロープテスタを固定する可動部と、
前記可動部が移動可能となるように、前記可動部を支持する支持部と、
前記可動部が前記支持部に対して移動することに伴って弾性変形し、前記可動部に力を与える弾性部と、
前記支持部に対する前記可動部の位置を検出する検出部と、を備え、
前記ロープテスタは、前記ロープが内面に接して所定方向にスライドするように、前記所定方向に沿って延びる溝部を備え
前記可動部は、前記支持部に接続される接続部と、前記ロープテスタが固定され、前記接続部に対して横方向を中心に回動可能な固定部と、を備える、ロープテスタ装置。
【請求項2】
エレベータのかごに接続されるロープの損傷を検出するために前記ロープに押し当てられるロープテスタと、
前記ロープテスタを固定する可動部と、
前記可動部が移動可能となるように、前記可動部を支持する支持部と、
前記可動部が前記支持部に対して移動することに伴って弾性変形し、前記可動部に力を与える弾性部と、
前記支持部に対する前記可動部の位置を検出する検出部と、を備え、
前記ロープテスタは、前記ロープが内面に接して所定方向にスライドするように、前記所定方向に沿って延びる溝部を備え、
前記可動部は、前記支持部に接続される接続部と、前記ロープテスタが固定される固定部と、前記接続部と前記固定部との間に配置される中間部と、を備え、
前記中間部は、前記接続部と横方向を中心に回動可能に接続され、
前記固定部は、前記中間部と上下方向を中心に回動可能に接続される、ロープテスタ装置。
【請求項3】
前記可動部は、前記支持部に接続される接続部と、前記ロープテスタが固定され、前記接続部に対して上下方向を中心に回動可能な固定部と、を備える、請求項1又は2に記載のロープテスタ装置。
【請求項4】
エレベータのかごに接続されるロープの損傷を検出するために前記ロープに押し当てられるロープテスタを、固定する可動部と、
前記可動部が移動可能となるように、前記可動部を支持する支持部と、
前記可動部が前記支持部に対して移動することに伴って弾性変形し、前記可動部に力を与える弾性部と、
前記支持部に対する前記可動部の位置を検出する検出部と、を有するロープテスタ支持具を備える、ロープテスタ装置において、
前記ロープに対して前記支持部を移動させる移動部と、
前記検出部が検出する前記可動部の位置に基づいて、前記可動部が設定位置に位置することを判定する判定部と、
前記可動部が前記設置位置に位置するように、前記移動部を制御する制御部と、を備える、ロープテスタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロープテスタ支持具及びロープテスタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、ロープテスタ支持具は、エレベータのかごに接続されるロープの損傷を検出するためのロープテスタを、支持している(例えば、特許文献1)。ところで、ロープの損傷を正確に検出するために、ロープテスタがロープと必ず接するように、ロープテスタを適正な力でロープに押し当てる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−56657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、課題は、ロープテスタがロープに押し当てられた力を検出することができるロープテスタ支持具及びロープテスタ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ロープテスタ支持具は、エレベータのかごに接続されるロープの損傷を検出するために前記ロープに押し当てられるロープテスタを、固定する可動部と、前記可動部が移動可能となるように、前記可動部を支持する支持部と、前記可動部が前記支持部に対して移動することに伴って弾性変形し、前記可動部に力を与える弾性部と、前記支持部に対する前記可動部の位置を検出する検出部と、を備える。
【0006】
また、ロープテスタ支持具においては、前記可動部は、前記支持部に接続される接続部と、前記ロープテスタが固定され、前記接続部に対して上下方向を中心に回動可能な固定部と、を備える、という構成でもよい。
【0007】
また、ロープテスタ支持具においては、前記可動部は、前記支持部に接続される接続部と、前記ロープテスタが固定され、前記接続部に対して横方向を中心に回動可能な固定部と、を備える、という構成でもよい。
【0008】
また、ロープテスタ装置は、前記のロープテスタ支持具と、前記検出部が検出する前記可動部の位置に基づいて、前記可動部が設定位置に位置することを判定する判定部と、を備える。
【0009】
また、ロープテスタ装置は、前記ロープに対して前記支持部を移動させる移動部と、前記可動部が前記設置位置に位置するように、前記移動部を制御する制御部と、を備える、という構成でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、一実施形態に係るロープテスタ装置が設置された状態を示す模式図である。
図2図2は、同実施形態に係るロープテスタ装置の要部斜視図である。
図3図3は、同実施形態に係るロープテスタ支持具の要部斜視図である。
図4図4は、同実施形態に係るロープテスタ支持具の要部正面図である。
図5図5は、同実施形態に係るロープテスタ支持具の要部平面図である。
図6図6は、図5のVI−VI線拡大断面図を示す。
図7図7は、同実施形態に係るロープテスタ支持具の要部平面図であって、位置検出の動作を示す図である。
図8図8は、同実施形態に係るロープテスタ支持具の要部平面図であって、位置検出の動作を示す図である。
図9図9は、同実施形態に係るロープテスタ支持具の要部平面図であって、位置検出の動作を示す図である。
図10図10は、同実施形態に係るロープテスタ支持具の要部正面図であって、ロープテスタ支持具の動作を示す図である。
図11図11は、同実施形態に係るロープテスタ支持具の要部正面図であって、ロープテスタ支持具の動作を示す図である。
図12図12は、図4のXII−XII線拡大断面図であって、ロープテスタ支持具の動作を示す図である。
図13図13は、ロープテスタ支持具が図12の状態から動作した状態を示す図である。
図14図14は、同実施形態に係るロープテスタ装置の制御ブロック図である。
図15図15は、他の実施形態に係るロープテスタ支持具の要部正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、ロープテスタ装置及びロープテスタ支持具における一実施形態について、図1図14を参照しながら説明する。なお、各図(図15も同様)において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0012】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係るロープテスタ装置1は、エレベータ100に設置されている。ここで、ロープテスタ装置1の各構成を説明するのに先立って、エレベータ100について説明する。
【0013】
エレベータ100は、ユーザが乗るためのかご101と、一方側がかご101に接続されるロープ102と、ロープ102の他端側が接続される釣合錘103とを備えている。また、エレベータ100は、ロープ102が巻き掛けられる綱車104aを有する巻上機104と、ロープ102の損傷を検出するロープテスタ装置1とを備えている。
【0014】
本実施形態に係るエレベータ100は、巻上機104を機械室X1の内部に配置する、という構成であるが、斯かる構成に限られない。例えば、エレベータ100は、巻上機104を昇降路X2の内部に配置する、という構成でもよい。また、ロープテスタ装置1がロープ102の損傷を検出する位置は、特に限定されない。例えば、図1においては、ロープテスタ装置1は、機械室X1の内部に配置されている。
【0015】
図2に示すように、ロープテスタ装置1は、ロープ102の損傷を検出するためにロープ102に押し当てられるロープテスタ2と、ロープテスタ2を支持するロープテスタ支持具3とを備えている。また、ロープテスタ装置1は、ロープテスタ2及びロープテスタ支持具3をロープ102や躯体に対して移動させる移動装置4を備えている。
【0016】
ロープ102は、図2において、一本のみ図示しているが、通常、複数本備えられている。具体的には、ロープ102は、第2の横方向D2に沿って並ぶように、複数本備えられている。また、ロープ102の直径は、例えば、10mm〜18mmであって、ロープ102の間隔は、例えば、ロープ102の直径よりも、小さくなっている。
【0017】
ロープテスタ支持具3は、ロープテスタ2を固定する可動部5と、可動部5が移動可能となるように、可動部5を支持する支持部6とを備えている。そして、移動装置4は、ロープ102に対して支持部6を第1の横方向D1に移動させる第1移動部4aと、ロープ102に対して支持部6を第2の横方向D2に移動させる第2移動部4bとを備えている。なお、第1の横方向D1と第2の横方向D2とは、直交している。
【0018】
ロープテスタ2は、ロープ102が通過するための溝部2aを備えている。そして、溝部2aは、上下方向D3に沿って延びており、ロープ102は、溝部2aの内面に接している。なお、ロープテスタ2は、例えば、内部に永久磁石(図示していない)や検出コイル(図示していない)を備えている。そして、例えば、永久磁石がロープ102を磁化し、検出コイルが漏洩磁束を検出することによって、ロープ102の断線が検出される。
【0019】
それぞれの移動部4a,4bは、支持部6を移動させるための駆動源(例えば、モータ)4c,4dと、駆動源4c,4dの駆動を支持部6に伝達させることによって、支持部6を横方向D1,D2に移動させる移動機構4e,4fとを備えている。なお、第2移動部4bは、支持部6だけでなく、第1移動部4aも第2の横方向D2に移動させている。即ち、支持部6及び第1移動部4aは、一体となって、第2の横方向D2に移動する。
【0020】
図3図5に示すように、ロープテスタ支持具3は、可動部5が支持部6に対して移動することに伴って弾性変形する弾性部7と、支持部6に対する可動部5の位置を検出する検出部8とを備えている。そして、弾性部7は、弾性変形することによって、可動部5に力を与えている。なお、検出部8は、支持部6の先端部に固定されている。
【0021】
可動部5は、支持部6に接続される接続部9と、ロープテスタ2が固定される固定部10と、接続部9と固定部10との間に配置され、接続部9と固定部10とのそれぞれに接続される中間部11とを備えている。なお、可動部5は、接続部9と中間部11とを接続する第1軸部(「横軸部」ともいう)5aと、固定部10と中間部11とを接続する第2軸部(「縦軸部」ともいう)5bとを備えている。
【0022】
ロープテスタ2は、固定部10の先端部に固定されている。例えば、ロープテスタ2は、固定部10に着脱可能に固定されている、という構成でもよく、また、例えば、固定部10に着脱不能、即ち、固定部10と一体的に形成されている、という構成でもよい。また、ロープテスタ2は、例えば、固定具(例えば、ボルト等)によって、固定部10に固定されている、という構成でもよい。
【0023】
図5及び図6に示すように、支持部6は、接続部9を第1の横方向D1に沿って案内する案内部6aを備え、接続部9は、案内部6aに案内される被案内部9aを備えている。これにより、可動部5は、支持部6に対して、第1の横方向D1に移動することができる。
【0024】
案内部6aは、第1の横方向D1に延びる筒状に形成されており、被案内部9aは、第1の横方向D1に延びる棒状に形成されており、案内部6aの内部に挿入されている。そして、可動部5が支持部6に対して移動する際に、被案内部9aの外周部が、案内部6aの内周部に摺接する。
【0025】
被案内部9aは、案内部6aに対して第1の横方向D1を中心に回転することを規制する規制部9bを備えている。なお、規制部9bの構成は、特に限定されないが、本実施形態においては、規制部9bは、径方向に突出している。なお、被案内部9aが、外周部に規制部9bを備えるために、例えば、被案内部9aの断面形状は、多角形状であるという構成でもよく、楕円形状であるという構成でもよい。
【0026】
支持部6は、検出部8を収容する収容部6bを備えており、接続部9は、収容部6bの内部に収容されている抜止部9cを備えている。抜止部9cは、平板状に形成されており、被案内部9aの基端部に連結されている。そして、抜止部9cが収容部6bの内面で止められることによって、接続部9が支持部6から外れることを防止している。
【0027】
弾性部7は、接続部9の先端部9dと支持部6との間に配置されている。そして、弾性部7が第1の横方向D1に弾性変更することによって、可動部5は、第1の横方向D1の力を受けている。具体的には、弾性部7が、第1の横方向D1に収縮するように弾性変形しているため、可動部5は、固定部10が支持部6から離れる方向D1aの力を、弾性部7から受けている。
【0028】
弾性部7は、特に限定されないが、本実施形においては、弦巻バネとしている。そして、支持部6の案内部6a及び接続部9の被案内部9aが、弾性部7の内部に配置されているため、弾性部7は、可動部5及び支持部6に保持されている。なお、例えば、弾性部7は、板バネであってもよく、また、例えば、ゴムであってもよい。
【0029】
検出部8は、支持部6に対する可動部5の第1の位置を検出する第1位置検出部8aと、支持部6に対する可動部5の第2の位置を検出する第2位置検出部8bとを備えている。そして、可動部5の接続部9は、第1位置検出部8aに検出される第1被検出部9eと、第2位置検出部8bに検出される第2被検出部9fとを備えている。例えば、位置検出部8a,8bは、光電式センサ、近接式センサ、接触式センサとすることができる。
【0030】
ところで、図7に示すように、ロープテスタ2がロープ102から離れている場合には、弾性部7が復元した状態(弾性変形していない状態)、又は、弾性部7が弾性変形して且つ抜止部9cが収容部6bの内面で止められている状態である。このとき、各被検出部9e,9fが、各位置検出部8a,8bから離れているため、各位置検出部8a,8bは、各被検出部9e,9fを検出していない。
【0031】
そして、支持部6がロープ102に近づく方向D1aに移動されると、ロープテスタ2がロープ102に接する。さらに、支持部6がロープ102に近づく方向D1aに移動されると、可動部5がロープ102で止められているため、図8に示すように、可動部5は、支持部6に対して、固定部10が支持部6に近づく方向D1bに移動する。
【0032】
そして、可動部5の移動に伴って、弾性部7が収縮するように弾性変形するため、可動部5は、固定部10が支持部6から離れる方向D1aの力を、弾性部7から受けている。これにより、ロープテスタ2がロープ102に適正な力で押し付けられている。したがって、ロープテスタ2でロープ102を適正に検査することができる。このとき、第2位置検出部8bが第2被検出部9fを検出していない一方で、第1位置検出部8aは、第1被検出部9eを検出している。
【0033】
なお、さらに、支持部6がロープ102に近づく方向D1aに移動されると、図9に示すように、可動部5は、支持部6に対して、固定部10が支持部6に近づく方向D1bに移動する。そして、弾性部7がさらに弾性変形するため、ロープテスタ2がロープ102に過大な力で押し付けられることになる。これにより、例えば、ロープテスタ2を損傷(例えば、摩耗)させてしまう場合もある。このとき、各位置検出部8a,8bは、各被検出部9e,9fを検出している。
【0034】
このように、第1位置検出部8aは、可動部5が支持部6に対して第1の距離以上を移動したことを、検出している。そして、第1位置検出部8aが第1被検出部9eを検出した際には、ロープテスタ2がロープ102に第1の力以上で押し付けられていることになる。例えば、ロープ102が振動しても、ロープ102がロープテスタ2に接することを維持できるように、当該第1の力(該第1の距離)の大きさが設定されている。
【0035】
また、第2位置検出部8bは、可動部5が支持部6に対して第1の距離よりも大きい第2の距離以上を移動したことを、検出している。これにより、第2位置検出部8bが第2被検出部9fを検出した際には、ロープテスタ2がロープ102に第1の力よりも大きい第2の力以上で押し付けられていることになる。例えば、ロープ102がロープテスタ2を損傷することがないように、当該第2の力(該第2の距離)の大きさが設定されている。
【0036】
そこで、本実施形態においては、可動部5の設定位置(即ち、適正な位置)は、第1位置検出部8aが第1被検出部9eを検出し且つ第2位置検出部8bが第2被検出部9fを検出しない範囲の、位置である。これにより、可動部5が設定位置に位置されることによって、ロープテスタ2がロープ102に押し付けられる力は、ゼロより大きい所望の範囲になる。したがって、ロープテスタ2でロープ102を適正に検査することができると共に、ロープテスタ2を損傷させることを防止することができる。
【0037】
また、図10に示すように、第1軸部5aは、第2の横方向D2に沿って延びている。これにより、中間部11は、第2の横方向D2を中心に回動可能に、接続部9に接続されている。したがって、ロープテスタ2、固定部10及び中間部11は、接続部9及び支持部6に対して、第2の横方向D2を中心に回動可能である。なお、回動可能な範囲は、例えば、60°(±30°)とすることができる。
【0038】
斯かる構成によれば、例えば、図11に示すように、上下方向D3に対して傾斜しているロープ102に、ロープテスタ2が押し付けられることによって、ロープテスタ2が回動する。これにより、ロープテスタ2をロープ102に対して適正に位置することができる。
【0039】
また、例えば、ロープ102が上下方向D3に対して傾斜するように振動した場合でも、ロープテスタ2が回動することによって、ロープテスタ2をロープ102に押し当てることを維持することができる。このように、ロープテスタ2でロープ102を適正に検査することができる。
【0040】
また、図12に示すように、第2軸部5bは、上下方向D3に沿って延びている。これにより、固定部10は、上下方向D3を中心に回動可能に、中間部11に接続されている。したがって、ロープテスタ2及び固定部10は、中間部11、接続部9及び支持部6に対して、上下方向D3を中心に回動可能である。なお、回動可能な範囲は、例えば、30°(±15°)とすることができる。
【0041】
斯かる構成によれば、例えば、図13に示すように、ロープ102が第2の横方向D2に振動した場合でも、ロープテスタ2が回動することによって、ロープテスタ2をロープ102に押し当てることを維持することができる。
【0042】
また、例えば、ロープ102に対して支持部6の位置が、少しずれていた場合でも、ロープテスタ2がロープ102の位置に合わせて回動することによって、ロープテスタ2をロープ102に対して適正に位置することができる。このように、ロープテスタ2でロープ102を適正に検査することができる。
【0043】
なお、例えば、ロープ102が第1の横方向D1に振動した場合には、それに応じて、弾性部7が弾性変形するため、ロープテスタ2をロープ102に押し当てることを維持することができる。このように、ロープ102が横方向D1,D2に振動したり、ロープ102が上下方向D3に対して傾斜するように振動したりした場合でも、ロープテスタ2をロープ102に押し当てることを維持することができる。
【0044】
また、ロープテスタ2に外力が作用していない場合に、ロープテスタ2及び固定部10が基準位置(図12に示す位置)に位置するように、可動部5は、固定部10に力を加える加力部5cを備えている。加力部5cは、特に限定されないが、例えば、図12及び図13に示すように、一対の弾性部材5d,5dとすることができる。
【0045】
一対の弾性部材5d,5dは、第2の横方向D2に弾性変形するように、形成されている。そして、一対の弾性部材5d,5dは、第2軸部5bを第1の横方向D1で挟むように配置される。これにより、一方の弾性部材5dは、固定部10に対して、回転方向の一方側への力を加えており、他方の弾性部材5dは、固定部10に対して、回転方向の他方側、即ち、反対側への力を加えている。
【0046】
したがって、ロープテスタ2に外力が作用していない場合には、ロープテスタ2及び固定部10は、一対の弾性部材5d,5dの力が均衡する位置、即ち、基準位置に位置する。なお、同様に、ロープテスタ2に外力が作用していない場合に、ロープテスタ2及び固定部10が基準位置(図10に示す位置)に位置するように、可動部5は、中間部11に力を加える加力部を備えていてもよい。
【0047】
ところで、第2軸部5bは、第1軸部5aに対して、可動部5の先端側に配置されている。これにより、ロープ102の横方向D2の振動に対して、可動部5の回動する部分の長さが、短くなるため、可動部5がロープ102から受ける回転トルクは、小さくなる。したがって、ロープテスタ2による検査も安定して行うことができる。
【0048】
さらに、第2軸部5bが、第1軸部5aに対して、可動部5の先端側に配置されているため、ロープテスタ2及び固定部10を基準位置に戻すための加力部5cの力も、小さくすることができる。これにより、加力部5cを小型化することができる。
【0049】
また、図14に示すように、ロープテスタ装置1は、情報が入力される入力部1aと、情報を記憶及び演算し、各部を制御する制御部12と、情報が出力される出力部1bとを備えている。移動装置4は、支持部6の移動距離を検出する移動検出部4gを備えている。移動検出部4gは、特に限定されず、例えば、それぞれの駆動源(例えば、モータ)4c,4dに設置されるエンコーダとすることができる。
【0050】
入力部1aは、特に限定されず、例えば、ボタン、マウス、キーボードとすることができ、また、例えば、外部から情報を受信する構成(制御部12の一構成)とすることができる。また、出力部1bは、特に限定されず、例えば、モニタ、表示灯、ブザーとすることができ、また、例えば、外部に向けて情報を送信する構成(制御部12の一構成)とすることができる。
【0051】
制御部12は、情報を記憶する記憶部12aと、検出部8が検出する可動部5の位置に基づいて、可動部5が設定位置に位置することを判定する判定部12bとを備えている。また、制御部12は、可動部5が設置位置に位置するように、移動装置4(第1及び第2移動部4a,4b)を制御する移動制御部12cと、巻上機104を制御する巻上制御部12dと、ロープテスタ2による検査を制御する検査制御部12eとを備えている。
【0052】
判定部12bは、第1位置検出部8aが第1被検出部9eを検出し且つ第2位置検出部8bが第2被検出部9fを検出しない場合(図8参照)に、可動部5が設置位置に位置すると判定する。即ち、判定部12bは、両方の位置検出部8a,8bが被検出部9e,9fを検出しない場合(図7参照)や、両方の位置検出部8a,8bが被検出部9e,9fを検出する場合(図9参照)に、可動部5が設置位置に位置していないと判定する。
【0053】
なお、制御部12は、例えば、各部12a〜12eを一つの制御盤に搭載している、という構成でもよい。また、制御部12は、例えば、各部12a〜12eの少なくとも一つを搭載する制御盤を複数備えており、それぞれの制御盤は、互いに通信可能である、という構成でもよい。
【0054】
本実施形態に係るロープテスタ装置1の構成については以上の通りであり、次に、本実施形態に係るロープテスタ装置1のロープ102の検査方法の一例について説明する。
【0055】
はじめに、ロープ102の検査工程のために必要となる、事前工程について説明する。
【0056】
まず、可動部5が設定位置に位置するように、支持部6を移動させる。例えば、入力部1aに情報を入力することで、手動にて支持部6を移動し、例えば、可動部5が設定位置に位置しているか否かを、出力部1bで確認する。そして、可動部5が設定位置に位置した際に、その際の支持部6の位置を記憶部12aに記憶しておく。
【0057】
次に、ロープ102の検査工程について説明する。なお、ロープ102の検査工程は、所定のタイミング(例えば、エレベータ100の使用がない時間帯や、設定された時間等)で実施される。
【0058】
まず、事前工程で記憶部12aに記憶させた情報に基づいて、移動制御部12cが移動装置4を制御し、移動装置4が支持部6を移動させる(移動工程)。そして、判定部12bは、可動部5が設定位置に位置しているか判定する(位置判定工程)。もし、判定部12bが、可動部5が設定位置に位置していないと判定した場合には、移動制御部12cが移動装置4を制御し、可動部5が設定位置に位置するように、移動装置4が支持部6を移動させる。
【0059】
判定部12bが、可動部5が設定位置に位置していると判定した後に、巻上制御部12dが巻上機104を制御し、ロープ102が走行する。そして、検査制御部12eは、ロープテスタ2からの情報に基づいて、ロープ102の損傷を検出する(検査実施工程)。そして、検査結果が記憶部12aに記憶され(結果記憶工程)、出力部1bが検査結果を出力する(結果出力工程)。
【0060】
なお、ロープ102の検査方法は、斯かる方法に限られない。例えば、上記のように、ロープ102の検査工程が自動で行われる、という方法だけでなく、ロープ102の検査工程が手動で行われる、という方法でもよい。即ち、入力部1aに情報を入力して、移動装置4、巻上機104及び出力部1bを手動で動作させることによって、ロープ102の検査を行う、という方法でもよい。
【0061】
以上より、本実施形態に係るロープテスタ支持具3は、エレベータ100のかご101に接続されるロープ102の損傷を検出するために前記ロープ102に押し当てられるロープテスタ2を、固定する可動部5と、前記可動部5が移動可能となるように、前記可動部5を支持する支持部6と、前記可動部5が前記支持部6に対して移動することに伴って弾性変形し、前記可動部5に力を与える弾性部7と、前記支持部6に対する前記可動部5の位置を検出する検出部8と、を備える。
【0062】
斯かる構成によれば、ロープテスタ2がロープ102に押し当てられることによって、可動部5が支持部6に対して移動する。これに伴って、弾性部7が弾性変形するため、弾性部7が可動部5に与える力が、変化する。即ち、ロープテスタ2がロープ102に押し当てられる力が、変化する。そこで、検出部8が、支持部6に対する可動部5の位置を検出するため、ロープテスタ2がロープ102に押し当てられた力を検出することができる。
【0063】
また、本実施形態に係るロープテスタ支持具3においては、前記可動部5は、前記支持部6に接続される接続部9と、前記ロープテスタ2が固定され、前記接続部9に対して上下方向D3を中心に回動可能な固定部10と、を備える、という構成である。
【0064】
斯かる構成によれば、固定部10は、接続部9に対して上下方向D3を中心に回動することができる。これにより、例えば、ロープテスタ2でロープ102を検査している際に、ロープ102が振動した場合でも、ロープテスタ2をロープ102に押し当てることを維持することができる。
【0065】
また、本実施形態に係るロープテスタ支持具3においては、前記可動部5は、前記支持部6に接続される接続部9と、前記ロープテスタ2が固定され、前記接続部9に対して横方向D2を中心に回動可能な固定部10と、を備える、という構成である。
【0066】
斯かる構成によれば、固定部10は、接続部9に対して横方向D2を中心に回動することができる。これにより、例えば、ロープテスタ2でロープ102を検査している際に、ロープ102が振動した場合でも、ロープテスタ2をロープ102に押し当てることを維持することができる。
【0067】
また、本実施形態に係るロープテスタ装置1は、前記のロープテスタ支持具3と、前記検出部8が検出する前記可動部5の位置に基づいて、前記可動部5が設定位置に位置することを判定する判定部12bを備える。
【0068】
斯かる構成によれば、判定部12bは、可動部5が設定位置に位置しているか否かを判定する。これにより、ロープテスタ2がロープ102に適正な力で押し付けられているか否かを、判定することができる。
【0069】
また、本実施形態に係るロープテスタ装置1は、前記ロープ102に対して前記支持部6を移動させる移動部4a,4bと、前記可動部5が前記設置位置に位置するように、前記移動部4a,4bを制御する制御部12と、を備える、という構成である。
【0070】
斯かる構成によれば、制御部12が移動部4a,4bを制御することによって、支持部6が移動する。これにより、可動部5が設置位置に位置するため、ロープテスタ2をロープ102に適正な力で押し付けることができる。
【0071】
なお、ロープテスタ装置1及びロープテスタ支持具3は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、ロープテスタ装置1及びロープテスタ支持具3は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0072】
(1)上記実施形態に係るロープテスタ支持具3においては、被案内部9aと案内部6aとが接するようにして、可動部5と支持部6とが接続されている、という構成である。しかしながら、ロープテスタ支持具3は、斯かる構成に限られない。例えば、図15に示すように、可動部5と支持部6とは、互いに離れており、可動部5と支持部6とは、間に配置される弾性部7によって、接続されている、という構成でもよい。
【0073】
(2)また、上記実施形態に係るロープテスタ支持具3は、横軸部5a及び縦軸部5bを備えている、即ち、固定部10は、支持部6及び接続部9に対して、横方向D2を中心に回動可能であると共に、上下方向D3を中心に回動可能である、という構成である。しかしながら、ロープテスタ支持具3は、斯かる構成に限られない。
【0074】
例えば、ロープテスタ支持具3は、横軸部5a又は縦軸部5bの一方のみを備えている即ち、固定部10は、支持部6及び接続部9に対して、横方向D2又は上下方向D3の一方のみを中心に回動可能である、という構成でもよい。また、例えば、図15に示すように、固定部10は、支持部6に対して回動できない、という構成でもよい。なお、図15に係る位置検出部8a,8bは、被検出部9e,9fを検出する近接センサである。
【0075】
(3)また、上記実施形態に係るロープテスタ支持具3においては、弾性部7は、接続部9の先端部9dと支持部6との間に配置されている、という構成である。しかしながら、ロープテスタ支持具3は、斯かる構成に限られない。例えば、弾性部7は、支持部6の収容部6bの内部に配置され、接続部9の抜止部9cと収容部6bの内面との間に配置されている、という構成でもよい。
【0076】
(4)また、上記実施形態に係るロープテスタ支持具3においては、弾性部7は、第1の横方向D1に収縮するように弾性変形する、という構成である。しかしながら、ロープテスタ支持具3は、斯かる構成に限られない。例えば、弾性部7が、第1の横方向D1に伸長するように弾性変形することによって、可動部5は、支持部6から離れる方向D1aの力を、弾性部7から受ける、という構成でもよい。
【0077】
(5)また、上記実施形態に係るロープテスタ支持具3においては、検出部8は、第1位置検出部8a及び第2位置検出部8bを備えている、という構成である。しかしながら、ロープテスタ支持具3は、斯かる構成に限られない。例えば、検出部8は、第1位置検出部8a又は第2位置検出部8bの一方のみを備えている、という構成でもよい。
【0078】
(6)また、上記実施形態に係るロープテスタ装置1においては、移動装置4は、第1移動部4a及び第2移動部4bを備えている、という構成である。しかしながら、ロープテスタ装置1は、斯かる構成に限られない。例えば、移動装置4は、第1移動部4a又は第2移動部4bの一方のみを備えている、という構成でもよい。また、例えば、ロープテスタ装置1は、移動装置4を備えていない、という構成でもよい。
【0079】
(7)また、上記実施形態に係るロープテスタ装置1においては、ロープテスタ2は、一つのロープ102を検査するために、一つの溝部2aを備えている、という構成である。しかしながら、ロープテスタ装置1は、斯かる構成に限られない。例えば、ロープテスタ2は、支持部6を移動させることなく複数のロープ102を検査するために、複数の溝部2aを備えている、という構成でもよい。
【符号の説明】
【0080】
1…ロープテスタ装置、1a…入力部、1b…出力部、2…ロープテスタ、2a…溝部、3…ロープテスタ支持具、4…移動装置、4a…第1移動部、4b…第2移動部、4c…駆動源、4d…駆動源、4e…移動機構、4f…移動機構、4g…移動検出部、5…可動部、5a…第1軸部(横軸部)、5b…第2軸部(縦軸部)、5c…加力部、5d…弾性部材、6…支持部、6a…案内部、6b…収容部、7…弾性部、8…検出部、8a…第1位置検出部、8b…第2位置検出部、9…接続部、9a…被案内部、9b…規制部、9c…抜止部、9d…先端部、9e…第1被検出部、9f…第2被検出部、10…固定部、11…中間部、12…制御部、12a…記憶部、12b…判定部、12c…移動制御部、12d…巻上制御部、12e…検査制御部、100…エレベータ、101…かご、102…ロープ、103…釣合錘、104…巻上機、104a…綱車、X1…機械室、X2…昇降路、D1…第1の横方向、D2…第2の横方向、D3…上下方向
図1
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