【文献】
WiFi ALLIANCE,Wi-Fi Protected Setup Specification,2006年12月,Version 1.0h,1-15頁,URL,http://cfile28.uf.tistory.com/attach/16132E3C50FCFFCB3EC74E
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記無線通信部の前記第1の通信モードの起動が完了した後、前記接続処理のうちで未実行の処理を前記無線通信部に行わせる、請求項1に記載の通信装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0013】
また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成を、必要に応じて無線通信装置20Aおよび20Bのように区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。例えば、無線通信装置20Aおよび20Bを特に区別する必要が無い場合には、単に無線通信装置20と称する。
【0014】
また、以下に示す項目順序に従って本開示を説明する。
1.第1の実施形態
1−1.無線通信システムの構成
1−2.無線通信装置の構成
1−3.無線通信システムの動作
1−4.無線通信装置の動作
1−5.変形例
2.第2の実施形態
3.ハードウェア構成
4.むすび
【0015】
<<1.第1の実施形態>>
本開示の第1の実施形態による無線通信装置20は、
A.非接触通信を行う非接触通信部(NFCアンテナ24、NFCインタフェース240)と、
B.無線通信を行う無線通信部(無線アンテナ22、無線LANインタフェース220)と、
C.前記非接触通信部により他の通信装置が検出された場合、前記無線通信部の第1の通信モードの起動開始、および、前記非接触通信部と前記他の通信装置との前記無線通信のための接続処理を制御する制御部(280)と、
を備える通信装置である。
【0016】
以下では、まず、このような無線通信装置20を含む無線通信システムの基本構成を説明する。
【0017】
<1−1.無線通信システムの構成>
図1は、本開示の第1の実施形態による無線通信システムの構成を示した説明図である。
図1に示したように、本開示の第1の実施形態による無線通信システムは、複数の無線通信装置20を備える。
【0018】
無線通信装置20は、無線LANによる無線通信機能を有し、無線アンテナ22を用いて周囲の無線通信装置20と無線通信を行う。また、無線通信装置20は、インフラストラクチャモード(第2の通信モード)、またはダイレクト通信モード(第1の通信モード)で動作する。無線通信装置20は、インフラストラクチャモードで動作する場合、アクセスポイントを介して他の通信装置と通信する。一方、無線通信装置20は、ダイレクト通信モードで動作する場合、アクセスポイントを介さずに、周囲の無線通信装置20と直接通信する。
【0019】
なお、ダイレクト通信モードは、Wi−Fi Allianceで策定されたWi−Fiダイレクトであってもよい。このダイレクト通信モードでは、Device Discovery、Formationにより無線通信装置間の接続を確立した後に、通信が開始される。なお、Device Discoveryは、周囲の無線通信装置を発見するための処理であり、Formationは、いずれの無線通信装置がグループオーナーとして動作するかを決定する処理や認証処理(Provisioning)などを含む。
【0020】
また、無線通信装置20は、NFC(Near Field Communication)通信機能を有し、NFCアンテナ24を用いて周囲の無線通信装置20とNFC通信(非接触通信)を行う。
【0021】
なお、無線通信装置20は、PC(Personal Computer)、家庭用ゲーム機器、家電機器、携帯電話、PHS(Personal Handyphone System)、携帯用音楽再生装置、携帯用映像処理装置、などの情報処理装置であってもよい。
【0022】
また、無線通信装置20は、音楽、講演およびラジオ番組などの音声データや、映画、ビデオプログラム、写真、文書、絵画および図表などの映像データや、ゲームおよびソフトウェアなどのコンテンツデータを通信してもよい。
【0023】
(背景)
ところで、一般的な無線通信装置は、ダイレクト通信モードの起動完了後に、他の無線通信装置とダイレクト通信モードによる通信のための接続処理を開始する。なお、接続処理としては、Device DiscoveryやFormationなどが挙げられる。このため、ダイレクト通信モードを起動していない無線通信装置が他の無線通信装置とダイレクト通信モードでの接続を確立するまでの時間は長くなる傾向にある。以下、この点について
図2を参照してより具体的に説明する。
【0024】
図2は、比較例による無線通信システムの動作を示した説明図である。
図2に示したように、比較例による無線通信システムにおいては、ユーザが、無線通信装置#Aのダイレクト通信モードを起動させる操作、および無線通信装置#Bのダイレクト通信モードを起動させる操作を行う(S60A、S60B)。これにより、無線通信装置#Aおよび無線通信装置#Bは、ダイレクト通信モードの起動処理を行う(S62A、S62B)。
【0025】
その後、無線通信装置#Aおよび無線通信装置#Bの起動が完了し、無線通信装置#Aおよび無線通信装置#Bが起動状態になると、無線通信装置#Aおよび無線通信装置#Bは、Device Discoveryにより相互を発見する(S64)。
【0026】
そして、無線通信装置#Aおよび無線通信装置#Bは、Formationにより親子関係の決定や認証処理を行い(S66)、ダイレクト通信(Operation)を開始する(S68)。
【0027】
このように、比較例による無線通信システムでは、無線通信装置のダイレクト通信モードの起動完了後に接続処理が開始されるので、接続が確立されダイレクト通信を実行可能になるまでの時間が長い。
【0028】
そこで、上記事情を一着眼点にして本開示の第1の実施形態を創作するに至った。本開示の第1の実施形態によれば、接続確立までの待ち時間を短縮することが可能である。以下、このような本開示の第1の実施形態について詳細に説明する。
【0029】
<1−2.無線通信装置の構成>
図3は、第1の実施形態による無線通信装置20の構成を示した機能ブロック図である。
図3に示したように、第1の実施形態による無線通信装置20は、無線アンテナ22と、NFCアンテナ24と、無線LANインタフェース220と、NFCインタフェース240と、操作部250と、表示部260と、メモリ270と、制御部280と、を備える。
【0030】
無線LANインタフェース220は、制御部280による制御に従い、周囲の無線通信装置20との接続処理や、周囲の無線通信装置20とのダイレクト通信などを無線アンテナ22と協働して行う。例えば、無線LANインタフェース220は、無線アンテナ22により受信された無線信号にダウンコンバージョン、復調および復号などの受信処理を施し、受信処理により得られた受信データを制御部280に供給する。また、無線LANインタフェース220は、制御部280から供給される送信データに符号化、変調、アップコンバージョンなどの送信処理を施し、送信処理により得られた高周波信号を無線アンテナに出力する。
【0031】
NFCインタフェース240は、制御部280による制御に従い、NFCアンテナ24と協働して周囲の無線通信装置20とNFC通信を行う。例えば、NFCインタフェース240は、NFCアンテナ24から10cm程度の近距離に到達する電波を送信し、電波到達範囲内に含まれる他の無線通信装置20のNFCアンテナ24を駆動し、他の無線通信装置20と通信することができる。
【0032】
操作部250は、ユーザが無線通信装置20に指示や情報を入力する操作を行うための構成である。操作部250は、ユーザ操作を検出すると、検出したユーザ操作に応じた信号を制御部280に出力する。このような操作部250は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、スイッチおよびレバーなどであってもよい。
【0033】
表示部260は、制御部280による制御に従い、多様な表示画面を表示する。例えば、表示部260は、他の無線通信装置20との接続開始や接続完了をユーザに通知する画面を表示する。このような表示部260は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置およびLEDランプなどであってもよい。
【0034】
メモリ270は、無線通信装置20が動作するために必要なプログラムや、他の無線通信装置20との接続のための情報などを保持する。例えば、メモリ270は、他の無線通信装置20についてのクレデンシャル(SSID、WPA2−PSKなど)または設定情報などを保持する。
【0035】
制御部280は、無線通信装置20の動作全般を制御する。例えば、制御部280は、無線LANインタフェース220のダイレクト通信モードの起動、無線LANインタフェース220によるDevice DiscoveryやFormationなどを制御する。
【0036】
なお、Device Discoveryは、複数の無線通信装置20がお互いを発見するための処理である。このDevice Discoveryでは、スキャン、応答待ち、および検索のために、ビーコン、プローブリクエスト、プローブレスポンスが通信される。また、Formationでは、Device Discoveryで発見した他の無線通信装置20との役割(Group Owner、またはクライアント)分担の決定、認証処理(Provisioning)が行われる。
【0037】
また、本実施形態による制御部280は、NFCインタフェース240により他の無線通信装置20が検出された場合、無線LANインタフェース220のダイレクト通信モードの起動開始を制御し、かつ、他の無線通信装置20とのダイレクト通信のための接続処理をNFCインタフェース240に開始させる。かかる構成により、ダイレクト通信モードの起動と並行してダイレクト通信のための接続処理を行うことができるので、接続確立までの待ち時間を短縮することができる。以下、具体的な動作を参照し、この点ついてより詳細に説明する。
【0038】
<1−3.無線通信システムの動作>
(システムの全体動作)
図4は、第1の実施形態による無線通信システムの動作を示した説明図である。
図4に示したように、無線通信装置20Aは、ダイレクト通信モードがオフである時にNFC通信を用いたDevice Discoveryにより無線通信装置20Bが検出されると(S304)、無線LANインタフェース220をダイレクト通信モードで起動させる。無線通信装置20Bも同様に、無線通信装置20Aが検出されると、無線LANインタフェース220をダイレクト通信モードで起動させる。
【0039】
なお、無線通信装置20Aは、無線通信装置20BとのNFC通信においてダイレクト通信を要求する情報が受信された場合にダイレクト通信モードを起動させてもよい。また、Device Discoveryは、本来複数の無線通信装置から特定の無線通信装置を発見するために行われる。このため、無線通信装置20は、NFC通信のように近接操作によって相手の無線通信装置を特定できる場合、Device Discoveryを省略してもよい。
【0040】
その後、無線通信装置20Aおよび無線通信装置20Bは、ダイレクト通信モードの起動と並行して、Formationを開始する(S306−1)。この時、無線通信装置20の表示部260は、
図5に示すように接続開始を示す画面を表示してもよい。ユーザは、この画面において「中止ボタン」を選択することにより、無線通信装置20Aおよび無線通信装置20B間の接続処理の中止を指示することもできる。
【0041】
なお、NFCの通信速度は無線LANのような無線通信よりも劣るので、無線通信装置20は、NFCで通信されるパケットサイズを小さくすることで、通信時間の短縮を図ることができる。例えば、FormationにおいてはP2P_Device_infoとしてDevice_Name(最大32byte)やP2P_Group_ID(最大32byte)などが通信される。このため、無線通信装置20は、Device_NameやP2P_Group_IDに短縮名を用いてもよいし、Optionとなっている属性は通信しなくてもよい。かかる構成により、パケットサイズを小さくし、通信時間を短縮することが可能となる。
【0042】
そして、無線通信装置20Aおよび無線通信装置20Bは、ダイレクト通信モードの起動が完了すると、無線通信を用い、Formationのうちで未実行の処理を行う(S306−2)。これにより、無線通信装置20Aおよび無線通信装置20Bの接続が確立される(S308)。この時、無線通信装置20の表示部260は、
図6に示すように接続完了を示す画面を表示してもよい。なお、ダイレクト通信モードの起動が完了すると、無線通信装置20はビーコンなどの無線信号の送信を開始する。
【0043】
上述したように、無線通信装置20は、ダイレクト通信モードの起動が完了すると、接続処理のうちで未実行の処理を無線通信により行う。このため、無線通信により行う接続処理は、ダイレクト通信モードの起動完了タイミングに応じて変化する。以下、具体例を説明する。
【0044】
(Formationの第1の実行例)
図7は、Formationの第1の実行例を示した説明図である。
図7に示したように、無線通信装置20Aのダイレクト通信モードが起動中である場合、無線通信装置20AがNFCによりGO_Negotiation_Requestを送信し(S312)、無線通信装置20BがNFCによりGO_Negotiation_Responseを送信し(S314)、無線通信装置20AがNFCによりGO_Negotiation_Confirmationを送信することにより(S316)、GO_Negotiationが行われる。
【0045】
なお、GO_Negotiationでは、無線通信装置20Aおよび無線通信装置20Bの各々がGroup Ownerとして動作する優先度を交換し、優先度が高い方の無線通信装置20がGroup Ownerとして動作することを決定する。
図7には、このGO_Negotiationにより、無線通信装置20BがGroup Ownerとして動作し、無線通信装置20Aがクライアントとして動作することが決定された例を示している。
【0046】
その後、無線通信装置20Aおよび無線通信装置20Bは、NFCによりWPS_exchangeを実行し、クレデンシャル(SSID、WPA2−PSKなど)を共有する(S318)。
【0047】
続いて、無線通信装置20Aおよび無線通信装置20Bは、4−way_handshakeを実行する。ここで、
図7に示した例では無線通信装置20Aのダイレクト通信モードの起動は完了しているので、無線通信装置20Aおよび無線通信装置20Bは、無線通信により4−way_handshakeを実行する(S320)。
【0048】
このように、第1の実行例では、GO_NegotiationおよびWPS_exchangeはNFCにより実行され、4−way_handshakeは無線通信により実行される。
【0049】
(Formationの第2の実行例)
図8は、Formationの第2の実行例を示した説明図である。
図8に示したように、無線通信装置20Aのダイレクト通信モードが起動中である場合、無線通信装置20AがNFCによりGO_Negotiation_Requestを送信する(S322)。
続いて、無線通信装置20BがGO_Negotiation_Responseを送信する。ここで、
図8に示した例では無線通信装置20Aのダイレクト通信モードの起動は完了しているので、無線通信装置20Bは、無線通信によりGO_Negotiation_Responseを送信する(S324)。なお、無線通信装置20Bは、無線通信装置20Aがビーコンなどの無線信号の送信を開始したか否かに基づき、無線通信装置20Aのダイレクト通信モードの起動が完了しているか否かを判定することが可能である。
【0050】
そして、無線通信装置20Aは、無線通信によりGO_Negotiation_Confirmationを送信する(S326)。
【0051】
さらに、無線通信装置20Aおよび無線通信装置20Bは、その後のWPS_exchangeおよび4−way_handshakeを無線通信により行う(S328、S330)。
【0052】
このように、第2の実行例では、第1の実行例と異なり、GO_Negotiationの一部はNFCにより実行され、GO_Negotiationの残りの処理、WPS_exchangeおよび4−way_handshakeは無線通信により行われる。
【0053】
(補足)
なお、本実施形態は、WPS_Push_Button_Configurationにも適用可能である。以下、
図9を参照し、より具体的に説明する。
【0054】
図9は、本実施形態の他の実行例を示した説明図である。
図9に示したように、無線通信装置20Aのダイレクト通信モードが起動中である場合、無線通信装置20AがNFCによりGO_Negotiation_Requestを送信し(S332)、無線通信装置20BがNFCによりGO_Negotiation_Responseを送信し(S334)、無線通信装置20AがNFCによりGO_Negotiation_Confirmationを送信することにより(S336)、GO_Negotiationが行われる。
【0055】
その後、無線通信装置20Aおよび無線通信装置20Bは、NFCによりProbe_exchange(PBC)を実行する(S337)。続いて、無線通信装置20Aおよび無線通信装置20Bは、WPS_exchangeおよび4−way_handshakeを行う。ここで、
図9に示した例では無線通信装置20Aのダイレクト通信モードの起動は完了しているので、無線通信装置20Aおよび無線通信装置20Bは、WPS_exchangeおよび4−way_handshakeを無線通信により行う(S338、S340)。これにより、無線通信装置20Aおよび無線通信装置20Bの接続が確立される。
【0056】
<1−4.無線通信装置の動作>
以上、第1の実施形態による無線通信システムの動作を説明した。続いて、
図10を参照し、第1の実施形態による無線通信装置20の動作を整理する。
【0057】
図10は、第1の実施形態による無線通信装置20の動作を示したフローチャートである。
図10に示したように、無線通信装置20の制御部280は、NFCにより他の無線通信装置を検出すると(S404)、他の無線通信装置と通信した情報にダイレクト通信の設定情報が含まれるか否かを判断する(S408)。ここで、ダイレクト通信の設定情報が含まれない場合、無線通信装置20は以下に説明するS412〜S428の処理を行わない。
【0058】
一方、ダイレクト通信の設定情報が含まれる場合、制御部280は、無線LANインタフェース220をダイレクト通信モードで起動させる(S412)。そして、ダイレクト通信モードの起動が完了するまで、NFCインタフェース240がNFCによりダイレクト通信のための接続処理を実行する(S416、S420)。
【0059】
その後、ダイレクト通信モードの起動が完了すると、制御部280は、無線LANインタフェース220に残りの接続処理を実行させる(S424)。そして、全ての接続処理が完了すると、無線通信装置20は他の無線通信装置と無線LANによる通信を開始する(S428)。
【0060】
以上説明したように、本実施形態による制御部280は、NFCインタフェース240により他の無線通信装置20が検出された場合、無線LANインタフェース220のダイレクト通信モードの起動開始を制御し、かつ、他の無線通信装置20とのダイレクト通信のための接続処理をNFCインタフェース240に開始させる。かかる構成により、ダイレクト通信モードの起動と並行してダイレクト通信のための接続処理を行うことができるので、接続確立までの待ち時間を短縮することができる。
【0061】
<1−5.変形例>
なお、上記ではダイレクト通信モードがオフである場合に無線通信装置20が行う処理について説明したが、ダイレクト通信モードがオフである場合には、無線LANインタフェース220がオフである場合に加え、無線LANインタフェース220がインフラストラクチャモードで動作している場合も含まれる。
【0062】
一般的には、無線通信装置(以下、第1の無線通信装置)がインフラストラクチャモードで動作している場合、第1の無線通信装置に第2の無線通信装置がダイレクト通信モードで接続するために、ユーザが、第1の無線通信装置とアクセスポイントとの切断操作を行い、第1の無線通信装置および第2の無線通信装置の接続操作を行う。
【0063】
しかし、これらの切断操作および接続操作はユーザにとって煩雑である。これに対し、本実施形態の変形例によれば、インフラストラクチャモードからダイレクト通信モードへの切替えを簡易に行うことが可能である。以下、このような本実施形態の変形例について
図11を参照して説明する。
【0064】
図11は、第1の実施形態の変形例を示した説明図である。
図11に示したようにAP10と無線通信装置20Aがインフラストラクチャモードで接続されている間に(S452)、無線通信装置20Aと無線通信装置20Bが近接された場合を考える。この場合、無線通信装置20Aは、無線通信装置20BをNFCにより検出し、NFCにより例えばProvisioningを行う(S454)。
【0065】
一方、無線通信装置20Aは、NFCにより無線通信装置20Bが検出されると、AP10との接続を切断し、ダイレクト通信モードの起動を開始する(S456)。そして、ダイレクト通信モードの起動完了後、無線通信装置20Aと無線通信装置20Bが接続される(S458)。
【0066】
このように、第1の実施形態の変形例によれば、無線通信装置20Aを操作することなく通信モードをインフラストラクチャモードからダイレクト通信モードへ簡易に切替えることが可能となる。
【0067】
<<2.第2の実施形態>>
以上、本開示の第1の実施形態を説明した。続いて、本開示の第2の実施形態を説明する。本開示の第2の実施形態によれば、3以上の無線通信装置の接続に要する時間を短縮することが可能である。以下、3以上の無線通信装置の一般的な接続手順を説明した後に、本実施形態について具体的に説明する。
【0068】
図12は、3以上の無線通信装置の一般的な接続手順を示した説明図である。
図12に示したように、無線通信装置#A、無線通信装置#Bおよび無線通信装置#Cを接続するためには、まず、無線通信装置#Aと無線通信装置#BがDevice DiscoveryおよびProvisioningを行う(S82、S84)。これにより、無線通信装置#Aと無線通信装置#Bの通信グループが形成される。
【0069】
続いて、無線通信装置#Bと無線通信装置#CがDevice DiscoveryおよびProvisioningを行うことにより、通信グループに無線通信装置#Cが参加する(S86、S88)。その結果、無線通信装置#A、無線通信装置#Bおよび無線通信装置#Cの間で無線通信を行うことが可能となる。
【0070】
しかし、
図12に示した接続手順では、無線通信装置#Aと無線通信装置#Bとの接続処理、および無線通信装置#Bと無線通信装置#Cとの接続処理が直列的に行われる。これに対し、本開示の第2の実施形態では、複数組の無線通信装置20の接続処理を並列に行うことにより、接続時間を短縮することが可能である。以下、
図13を参照して説明する。
【0071】
図13は、第2の実施形態による接続手順を示した説明図である。
図13に示したように、無線通信装置20Bは、無線LANにより無線通信装置20AとDevice DiscoveryおよびProvisioningを行う(S502、S506)。同時に、無線通信装置20Bは、NFCにより無線通信装置20CとDevice DiscoveryおよびProvisioningを行う(S504、S508)。これにより、無線通信装置20A、無線通信装置20Bおよび無線通信装置20Cが接続される。
【0072】
このように、第2の実施形態によれば、複数組の無線通信装置20の接続処理を異なる通信方式を用いて並列に行うことが可能である。その結果、3以上の無線通信装置20の接続が完了するまでの待ち時間を短縮することができる。
【0073】
<<3.ハードウェア構成>>
以上、本開示の各実施形態を説明した。上述した無線通信装置20による処理は、ソフトウェアと、以下に説明する無線通信装置20のハードウェアとの協働により実現される。
【0074】
図14は、無線通信装置20のハードウェア構成を示した説明図である。
図14に示したように、無線通信装置20は、CPU(Central Processing Unit)201と、ROM(Read Only Memory)202と、RAM(Random Access Memory)203と、入力装置208と、出力装置210と、ストレージ装置211と、ドライブ212と、撮像装置213と、通信装置215とを備える。
【0075】
CPU201は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って無線通信装置20内の動作全般を制御する。また、CPU201は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM202は、CPU201が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM203は、CPU201の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバスにより相互に接続されている。
【0076】
入力装置208は、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、スイッチおよびレバーなどユーザが情報を入力するための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU201に出力する入力制御回路などから構成されている。無線通信装置20のユーザは、該入力装置208を操作することにより、無線通信装置20に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0077】
出力装置210は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置およびランプなどの表示装置を含む。さらに、出力装置210は、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力装置を含む。例えば、表示装置は、撮像された画像や生成された画像などを表示する。一方、音声出力装置は、音声データ等を音声に変換して出力する。
【0078】
ストレージ装置211は、本実施形態にかかる無線通信装置20の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置211は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含んでもよい。このストレージ装置211は、CPU201が実行するプログラムや各種データを格納する。
【0079】
ドライブ212は、記憶媒体用リーダライタであり、無線通信装置20に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ212は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記憶媒体26に記録されている情報を読み出して、RAM203に出力する。また、ドライブ212は、リムーバブル記憶媒体26に情報を書き込むこともできる。
【0080】
撮像装置213は、光を集光する撮影レンズおよびズームレンズなどの撮像光学系、およびCCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの信号変換素子を備える。撮像光学系は、被写体から発せられる光を集光して信号変換部に被写体像を形成し、信号変換素子は、形成された被写体像を電気的な画像信号に変換する。
【0081】
通信装置215は、例えば、ネットワーク12に接続するための通信デバイス等で構成された通信インタフェースである。また、通信装置215は、無線LAN(Local Area Network)対応通信装置であっても、LTE(Long Term Evolution)対応通信装置であっても、有線による通信を行うワイヤー通信装置であってもよい。
【0082】
なお、ネットワーク12は、ネットワーク12に接続されている装置から送信される情報の有線、または無線の伝送路である。例えば、ネットワーク12は、インターネット、電話回線網、衛星通信網などの公衆回線網や、Ethernet(登録商標)を含む各種のLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などを含んでもよい。また、ネットワーク12は、IP−VPN(Internet Protocol−Virtual Private Network)などの専用回線網を含んでもよい。
【0083】
<<4.むすび>>
以上説明したように、第1の本実施形態による制御部280は、NFCインタフェース240により他の無線通信装置20が検出された場合、無線LANインタフェース220のダイレクト通信モードの起動開始を制御し、かつ、他の無線通信装置20とのダイレクト通信のための接続処理をNFCインタフェース240に開始させる。かかる構成により、ダイレクト通信モードの起動と並行してダイレクト通信のための接続処理を行うことができるので、接続確立までの待ち時間を短縮することができる。
【0084】
また、第2の実施形態によれば、複数組の無線通信装置20の接続処理を異なる通信方式を用いて並列に行うことが可能である。その結果、3以上の無線通信装置20の接続が完了するまでの待ち時間を短縮することができる。
【0085】
なお、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0086】
例えば、上記では、無線通信により行う接続処理がダイレクト通信モードの起動完了タイミングに応じて変化する例を説明したが、無線通信により行う接続処理は、ダイレクト通信モードの起動完了タイミングによらず同一であってもよい。すなわち、無線通信装置20は、NFCにより所定の接続処理を行い、ダイレクト通信モードの起動完了後に、無線通信により残りの接続処理を行ってもよい。
【0087】
また、本明細書の無線通信システムおよび無線通信装置20の処理における各ステップは、必ずしもシーケンス図またはフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、無線通信装置20の処理における各ステップは、フローチャートとして記載した順序と異なる順序で処理されても、並列的に処理されてもよい。
【0088】
また、無線通信装置20に内蔵されるCPU201、ROM202およびRAM203などのハードウェアを、上述した無線通信装置20の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供される。
【0089】
また、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
非接触通信を行う非接触通信部と、
無線通信を行う無線通信部と、
前記非接触通信部により他の通信装置が検出された場合、前記無線通信部の第1の通信モードの起動開始、および、前記非接触通信部と前記他の通信装置との前記無線通信のための接続処理を制御する制御部と、
を備える、通信装置。
(2)
前記制御部は、前記無線通信部の前記第1の通信モードの起動が完了した後、前記接続処理のうちで未実行の処理を前記無線通信部に行わせる、前記(1)に記載の通信装置。
(3)
前記未実行の処理は、前記無線通信部の前記第1の通信モードの起動完了タイミングに応じて変化する、前記(2)に記載の通信装置。
(4)
前記無線通信部が第2の通信モードで動作している時に前記非接触通信部により他の通信装置が検出された場合、前記制御部は、前記第2の通信モードによる接続の切断を制御し、前記無線通信部の第1の通信モードの起動開始を制御する、前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の通信装置。
(5)
前記第2の通信モードは、アクセスポイントを介して通信を行うインフラストラクチャモードであり、
前記第1の通信モードは、前記アクセスポイントを介さずに通信を行うダイレクト通信モードである、前記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の通信装置。
(6)
非接触通信により他の通信装置を検出することと、
無線通信の第1の通信モードの起動を開始することと、
前記非接触通信により前記他の通信装置との前記無線通信のための接続処理を行うことと、
を含む、通信方法。
(7)
コンピュータを、
非接触通信を行う非接触通信部と、
無線通信を行う無線通信部と、
前記非接触通信部により他の通信装置が検出された場合、前記無線通信部の第1の通信モードの起動開始、および、前記非接触通信部と前記他の通信装置との前記無線通信のための接続処理を制御する制御部と、
として機能させるための、プログラム。
(8)
複数の通信装置を備え、
前記複数の通信装置の各々は、
非接触通信を行う非接触通信部と、
無線通信を行う無線通信部と、
前記非接触通信部により他の通信装置が検出された場合、前記無線通信部の第1の通信モードの起動開始、および、前記非接触通信部と前記他の通信装置との前記無線通信のための接続処理を制御する制御部と、
を有する、通信システム。