(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明に係る内燃機関1の制御装置の概略構成を模式的に示した説明図である。
図1は、本発明に係る内燃機関1の制御方法が適用可能なものである。
【0011】
この内燃機関1は、例えば筒内直噴型の構成であり、シリンダ内に燃料を噴射する燃料噴射弁(図示せず)を気筒毎に有している。
【0012】
内燃機関1は、駆動源として自動車等の車両に搭載されるものであって、吸気通路2と排気通路3とを有している。
【0013】
内燃機関1に接続された吸気通路2には、吸気中の異物を捕集するエアクリーナ4と、吸入空気量を検出するエアフローメータ5と、吸入空気量を調整する電動のスロットル弁6と、が設けられている。エアフローメータ5は、スロットル弁6の上流側に配置されている。エアフローメータ5は、温度センサを内蔵したものであって、吸気導入口の吸気温度を検出可能となっている。エアクリーナ4は、エアフローメータ5の上流側に配置されている。吸気通路2は、内燃機関1が収容されたエンジンルーム内に位置している。
【0014】
内燃機関1に接続された排気通路3には、三元触媒等の上流側排気触媒7と、NOxトラップ触媒等の下流側排気触媒8と、排気音を低減する消音用のマフラー9と、が設けられている。下流側排気触媒8は、上流側排気触媒7の下流側に配置されている。マフラー9は、下流側排気触媒8の下流側に配置されている。
【0015】
また、この内燃機関1は、吸気通路2に設けられたコンプレッサ11と排気通路3に設けられた排気タービン12とを同軸上に備えたターボ過給機10を有している。コンプレッサ11は、スロットル弁6の上流側で、かつエアフローメータ5よりも下流側に配置されている。排気タービン12は、上流側排気触媒7よりも上流側に配置されている。このターボ過給機10は、排気タービン12の入口側開口部つまりスクロール入口に、ターボ過給機10の容量を調整する可変ノズル13を備えた容量可変型の構成となっている。すなわち、可変ノズル13のノズル開度を小さくした状態では、低速域のような排気流量の少ない条件に適した小容量の特性となり、可変ノズル13のノズル開度を大きくした状態では、高速域のような排気流量の多い条件に適した大容量の特性となる。可変ノズル13は、例えは、制御圧力(制御負圧)に応動するダイヤフラム式のアクチュエータ14によって駆動されている。上記制御圧力は、デューティ制御される圧力制御弁15を介して生成される。
【0016】
圧力制御弁15は、制御部としてのコントロールユニット16によって制御される。つまり、ターボ過給機10の可変ノズル13は、コントロールユニット16によって制御される。可変ノズル13は、ターボ過給機10の排気タービン12に導かれる排気ガス量を調整可能な排気調整機構に相当するものであって、内燃機関1の過給圧を制御可能なものである。
【0017】
コントロールユニット16は、CPU、ROM、RAM及び入出力インターフェースを備えた周知のデジタルコンピュータである。
【0018】
また、吸気通路2には、スロットル弁6の下流側に、コンプレッサ11により圧縮(加圧)された吸気を冷却し、充填効率を良くするインタクーラ17が設けられている。
【0019】
インタクーラ17は、インタクーラ用のラジエータ(インタクーラ用ラジエータ)18及び電動ポンプ19とともにインタクーラ用冷却経路(サブ冷却経路)20に配置されている。インタクーラ17には、ラジエータ18によって冷却された冷媒(冷却水)が供給可能となっている。
【0020】
インタクーラ用冷却経路20は、経路内を冷媒が循環可能となるように構成されている。インタクーラ用冷却経路20は、内燃機関1のシリンダブロック21を冷却する冷却水が循環する図示しないメイン冷却経路とは独立した冷却経路である。
【0021】
ラジエータ18は、インタクーラ用冷却経路20内の冷媒を外気との熱交換で冷却する。
【0022】
電動ポンプ19は、駆動することによってラジエータ18とインタクーラ17との間で冷媒を矢印A方向に循環させるものである。
【0023】
排気通路3には、排気タービン12を迂回して排気タービン12の上流側と下流側とを接続する排気バイパス通路22が接続されている。排気バイパス通路22の下流側端は、上流側排気触媒7よりも上流側の位置で排気通路3に接続されている。排気バイパス通路22には、排気バイパス通路22内の排気流量を制御する電動のウエストゲート弁23が配置されている。ウエストゲート弁23は、排気タービン12に導かれる排気ガスの一部を排気タービン12の下流側にバイパスさせることが可能であり、内燃機関1の過給圧を制御可能なものである。ウエストゲート弁23の弁開度は、コントロールユニット16によって制御される。
【0024】
また、内燃機関1は、排気通路3から排気の一部をEGRガスとして吸気通路2へ導入(還流)する排気還流(EGR)が実施可能なものであって、排気通路3から分岐して吸気通路2に接続されたEGR通路24を有している。EGR通路24は、その一端が上流側排気触媒7と下流側排気触媒8との間の位置で排気通路3に接続され、その他端がエアフローメータ5の下流側となりコンプレッサ11の上流側となる位置で吸気通路2に接続されている。このEGR通路24には、EGR通路24内のEGRガスの流量を制御する電動のEGR弁25と、EGRガスを冷却可能なEGRクーラ26と、が設けられている。EGR弁25の開閉動作は、コントロールユニット16によって制御される。
【0025】
コントロールユニット16には、上述したエアフローメータ5の検出信号のほか、クランクシャフト(図示せず)のクランク角を検出するクランク角センサ27、アクセルペダル(図示せず)の踏込量を検出するアクセル開度センサ28、コンプレッサ11の下流側の吸気圧(過給圧)を検出する過給圧センサ29、上流側排気触媒7の上流側の排気空燃比を検出する空燃比センサ30、上流側排気触媒7の下流側の排気空燃比を検出する酸素センサ31等のセンサ類の検出信号が入力されている。
【0026】
クランク角センサ27は、内燃機関1の機関回転数を検出可能なものである。
【0027】
空燃比センサ30は、排気空燃比に応じたほぼリニアな出力特性を有するいわゆる広域型空燃比センサである。酸素センサ31は、理論空燃比付近の狭い範囲で出力電圧がON/OFF(リッチ、リーン)的に変化して、空燃比のリッチ、リーンのみを検知するセンサである。
【0028】
内燃機関1の運転状態が変化し、内燃機関1の吸入空気量を変化させる際には、スロットル弁6の弁開度を制御するとともに、ウエストゲート弁23と可変ノズル13のうち、その時点で熱エネルギーを効率良く過給圧の仕事として回収できる方を優先的に制御する。これにより、ポンプロスが低減され、内燃機関の燃費性能を向上させることができる。
【0029】
図2は、機関負荷(内燃機関1の負荷)が上昇し、吸入空気量を増加させる際のウエストゲート弁23と可変ノズル13の動作の一例を示すタイミングチャートである。
図2中に実線で示す特性線Lwは、ウエストゲート弁23の弁開度を示し、
図2中に破線で示す特性線Lnは、可変ノズル13のノズル開度を示している。
【0030】
上記機関負荷が上昇し、目標過給圧が上昇して吸入空気量を増加させる際には、ウエストゲート弁23の閉弁制御を可変ノズル13のノズル開度を小さくする制御(開度を小さくする制御)よりも優先的に実施する。上記目標過給圧は、例えば、内燃機関1の運転状態に応じて設定される。
【0031】
詳述すると、
図2においては、時刻t0から上記機関負荷が上昇し、上記目標過給圧が上昇して内燃機関1の吸入空気量を増加させている。そのため、
図2においては、時刻t0からウエストゲート弁23の閉弁制御が開始される。そして、
図2の時刻t1においてウエストゲート弁23が全閉状態となると、この時刻t1から可変ノズル13のノズル開度を小さくする制御が開始される。可変ノズル13のノズル開度を小さくする制御は、ウエストゲート弁23が全閉状態となっても過給圧センサ29で検出される過給圧が上記目標過給圧に達しない場合に実施される。
【0032】
なお、
図2においては、時刻t0のタイミングで、運転状態が無過給域から過給域に変化している。内燃機関1が過給域であるか無過給域であるかは、例えば、上記機関負荷と機関回転速度から判定可能である。また、
図2においては、時刻t0までウエストゲート弁23の弁開度及び可変ノズル13のノズル開度がいずれも全開(最大)状態となっている。そして、
図2においては、時刻t2のタイミングで、過給圧が上記目標過給圧となり、可変ノズル13のノズル開度が全閉(最小)となっている。
【0033】
ウエストゲート弁23の閉弁制御(ウエストゲート弁閉弁制御)は、ウエストゲート弁23の弁開度を現在の開度から閉方向に変更する制御である。可変ノズル13のノズル開度を小さくする制御は、可変ノズル13のノズル開度を現在の開度から小さくする方向に変更する制御である。
【0034】
図3は、上記機関負荷が上昇し、吸入空気量を増加させる際のウエストゲート弁23と可変ノズル13の制御の流れを示すフローチャートである。
図3に示す制御は、コントロールユニット16によって実施される。
【0035】
ステップS11では、アクセルONとなったか否かを判定する。例えば、運転者がアクセルペダルを踏み込む操作を行った際にアクセルONと判定される。アクセルONであればステップS13へ進み、アクセルONでなければ今回のルーチンを終了する。
【0036】
ステップS12では、過給圧が上記目標過給圧となるようにウエストゲート弁23の閉弁制御を実施し、吸入空気量を増加させる。
【0037】
ステップS13では、コンプレッサ11の下流側の吸気圧(過給圧)が上記目標過過給圧まで上昇したか否かを判定する。過給圧が上記目標過給圧よりも低ければ、ステップS13からステップS14へ進む。過給圧が上記目標過給圧となっていれば、ウエストゲート弁23の閉弁制御を終了し(ウエストゲート弁23の弁開度を現在の開度で維持し)、今回のルーチンを終了する。
【0038】
ステップS14では、ウエストゲート弁23が全閉状態であるか否かを判定する。ウエストゲート弁23が全閉状態でなければステップS12に進み、ウエストゲート弁23の閉弁制御を継続する。ウエストゲート弁23が全閉状態であればステップS15に進む。ウエストゲート弁23の実際の弁開度は、例えばセンサを設けて検出してもよいし、ウエストゲート弁23の上流側と下流側の圧力から推定してもよい。
【0039】
ステップS15では、過給圧が上記目標過給圧となるように可変ノズル13のノズル開度を小さくする制御を実施し、吸入空気量を増加させる。つまり、ウエストゲート弁23が全閉状態となっても過給圧が上記目標過給圧に達しない場合、可変ノズル13のノズル開度を小さくする制御を実施する。
【0040】
ステップS16では、コンプレッサ11の下流側の吸気圧(過給圧)が上記目標過給圧まで上昇したか否かを判定する。過給圧が上記目標過給圧よりも低ければ、ステップS16からステップS17へ進む。過給圧が上記目標過給圧となっていれば、可変ノズル13のノズル開度を小さくする制御を終了し(可変ノズル13のノズル開度を現在の開度で維持し)、今回のルーチンを終了する。
【0041】
ステップS17では、可変ノズル13のノズル開度が全閉(最小)状態であるか否かを判定する。可変ノズル13のノズル開度が全閉(最小)状態でなければステップS15に進み、可変ノズル13のノズル開度を小さくする制御を継続する。可変ノズル13のノズル開度が全閉(最小)状態であれば、今回のルーチンを終了する。可変ノズル13の実際のノズル開度は、例えばセンサを設けて検出してもよいし、排気タービン12の上流側と下流側の圧力から推定してもよい。
【0042】
ウエストゲート弁23が閉弁状態のときは、ウエストゲート弁23が開弁状態のときに比べて熱エネルギーを効率良く過給圧の仕事として回収できる。これは、ウエストゲート弁23が開弁している状態で可変ノズル13のノズル開度を小さくて圧力エネルギーを上げようとしても、ウエストゲート弁23で圧力を逃がしてしまうからである。
【0043】
そのため、上記機関負荷の上昇により吸入空気量を増加させるに際に、ターボ過給機10の可変ノズル13よりもウエストゲート弁23を優先して動かすことで、ポンプロスが低減され、内燃機関1の燃費性能を向上させることができる。
【0044】
図4は、上記機関負荷が低下し、吸入空気量を減少させる際のウエストゲート弁23と可変ノズル13の動作の一例を示すタイミングチャートである。
図4中に実線で示す特性線Lwは、ウエストゲート弁23の弁開度を示し、
図4中に破線で示す特性線Lnは、可変ノズル13のノズル開度を示している。
【0045】
上記機関負荷が低下し、目標過給圧が低下して吸入空気量を減少させる際には、可変ノズル13のノズル開度を大きくする制御(開度を大きくする制御)をウエストゲート弁23の開弁制御よりも優先的に実施する。
【0046】
詳述すると、
図4においては、時刻t0のタイミングから上記機関負荷が低下し、上記目標過給圧が低下して内燃機関1の吸入空気量を減少させている。そのため、
図4においては、時刻t0から可変ノズル13のノズル開度を大きくする制御が開始される。そして、
図4の時刻t1において可変ノズル13のノズル開度が全開(最大)状態となると、この時刻t1からウエストゲート弁23の開弁制御が開始される。ウエストゲート弁23の開弁制御は、可変ノズル13が全開状態となっても過給圧が上記目標過給圧より高い場合に実施される。
【0047】
なお、
図4においては、時刻t0において、ウエストゲート弁23の弁開度及び可変ノズル13のノズル開度がいずれも全閉(最小)状態となっている。また、
図4においては、時刻t2のタイミングで、過給圧が上記目標過給圧となり、ウエストゲート弁23の弁開度が全開となっている。
【0048】
ウエストゲート弁23の開弁制御(ウエストゲート弁開弁制御)は、ウエストゲート弁23の弁開度を現在の開度から開方向に変更する制御である。可変ノズル13のノズル開度を大きくする制御は、可変ノズル13のノズル開度を現在の開度から大きくする方向に変更する制御である。
【0049】
図5は、上記機関負荷が低下し、吸入空気量を減少させる際のウエストゲート弁23と可変ノズル13の制御の流れを示すフローチャートである。
図5に示す制御は、コントロールユニット16によって実施される。
【0050】
ステップS21では、アクセルOFFとなったか否かを判定する。例えば、運転者がアクセルペダルを戻す操作を行った際にアクセルOFFと判定される。アクセルOFFであればステップS22へ進み、アクセルOFFでなければ今回のルーチンを終了する。
【0051】
ステップS22では、過給圧が上記目標過給圧となるように可変ノズル13のノズル開度を大きくする制御を実施し、吸入空気量を減少させる。
【0052】
ステップS23では、コンプレッサ11の下流側の吸気圧(過給圧)が上記目標過給圧まで低下したか否かを判定する。過給圧が上記目標過給圧よりも高ければ、ステップS23からステップS24へ進む。過給圧が上記目標過給圧となっていれば、可変ノズル13のノズル開度を大きくする制御を終了し(可変ノズル13のノズル開度を現在の開度で維持し)、今回のルーチンを終了する。
【0053】
ステップS24では、可変ノズル13のノズル開度が全開(最大)状態であるか否かを判定する。可変ノズル13のノズル開度が全開(最大)状態でなければステップS22に進み、可変ノズル13のノズル開度を大きくする制御を継続する。可変ノズル13のノズル開度が全開(最大)状態であればステップS25に進む。
【0054】
ステップS25では、過給圧が上記目標過給圧となるようにウエストゲート弁23の開弁制御を実施し、吸入空気量を減少させる。つまり、可変ノズル13のノズル開度が全開(最大)状態になっても過給圧が上記目標過給圧に達しない場合、ウエストゲート弁23の開弁制御を実施する。
【0055】
ステップS26では、コンプレッサ11の下流側の吸気圧(過給圧)が上記目標過給圧に達したか否かを判定する。過給圧が上記目標過給圧よりも高ければ、ステップS26からステップS27へ進む。過給圧が上記目標過給圧となっていれば、ウエストゲート弁23の開弁制御を終了し(ウエストゲート弁23の弁開度を現在の開度で維持し)、今回のルーチンを終了する。
【0056】
ステップS27では、ウエストゲート弁23が全開状態であるか否かを判定する。ウエストゲート弁23が全開状態でなければステップS25に進み、ウエストゲート弁23の開弁制御を継続する。ウエストゲート弁23が全開状態であれば、今回のルーチンを終了する。
【0057】
可変ノズル13のノズル開度が閉じぎみの状態では、熱エネルギーを効率良く過給圧の仕事として回収できない。
【0058】
そのため、上記機関負荷の低下により吸入空気量を減少させる際に、ウエストゲート弁よりもターボ過給機10の可変ノズル13を優先して動かすことで、ポンプロスが低減され、内燃機関1の燃費性能を向上させることができる。
【0059】
図6は、空燃比がリーンとなるよう吸入空気量を増加させる際のウエストゲート弁23と可変ノズル13の動作の一例を示すタイミングチャートである。
図6中に実線で示す特性線Lwは、ウエストゲート弁23の弁開度を示し、
図6中に破線で示す特性線Lnは、可変ノズル13のノズル開度を示している。
【0060】
内燃機関1の運転状態が変化し、空燃比をリーン側に変化させるために吸入空気量を増加させる際には、ウエストゲート弁23の閉弁制御を可変ノズル13のノズル開度を小さくする制御(開度を小さくする制御)よりも優先的に実施する。
【0061】
詳述すると、
図6においては、時刻t0から目標空燃比がリーン側に変化し、内燃機関1の吸入空気量を増加させている。そのため、
図6においては、時刻t0からウエストゲート弁23の閉弁制御が開始される。そして、
図6の時刻t1においてウエストゲート弁23が全閉状態となると、この時刻t1から可変ノズル13のノズル開度を小さくする制御が開始される。可変ノズル13のノズル開度を小さくする制御は、ウエストゲート弁23が全閉状態となっても空燃比が目標空燃比に達しない場合に実施される。空燃比は、例えば、空燃比センサ30の検出値から推定される。上記目標空燃比は、例えば、内燃機関1の運転状態に応じて設定される。
【0062】
なお、
図6においては、時刻t0において、ウエストゲート弁23の弁開度及び可変ノズル13のノズル開度がいずれも全開(最大)状態となっている。また、
図6においては、時刻t2のタイミングで、空燃比が上記目標空燃比になり、可変ノズル13のノズル開度が全閉(最小)となっている。
【0063】
図7は、空燃比がリーンとなるよう吸入空気量を増加させる際のウエストゲート弁23と可変ノズル13の制御の流れを示すフローチャートである。
図7に示す制御は、コントロールユニット16によって実施される。
【0064】
ステップS31では、上記目標空燃比がリーン側に変化したか否かを判定する。上記目標空燃比がリーン側に変化した場合には、ステップS32へ進み、そうでなければ、今回のルーチンを終了する。
【0065】
ステップS32では、空燃比が上記目標空燃比となるようにウエストゲート弁23の閉弁制御を実施し、吸入空気量を増加させる。
【0066】
ステップS33では、空燃比が上記目標空燃比に達したか否かを判定する。換言すれば、空気過剰率が目標値に達したか否かを判定する。空燃比が目標空燃比に達していなければ、ステップS33からステップS34へ進む。すなわち、空気過剰率が目標値に達していなければ、ステップS33からステップS34へ進む。空気過剰率は、例えば、空燃比センサ30の検出値から推定される。空燃比が上記目標空燃比となっていれば、ウエストゲート弁23の閉弁制御を終了し(ウエストゲート弁23の弁開度を現在の開度で維持し)、今回のルーチンを終了する。
【0067】
ステップS34では、ウエストゲート弁23が全閉状態であるか否かを判定する。ウエストゲート弁23が全閉状態でなければステップS32に進み、ウエストゲート弁23の閉弁制御を継続する。ウエストゲート弁23が全閉状態であればステップS35に進む。ウエストゲート弁23の実際の弁開度は、例えばセンサを設けて検出してもよいし、ウエストゲート弁23の上流側と下流側の圧力から推定してもよい。
【0068】
ステップS35では、空燃比が上記目標空燃比となるように可変ノズル13のノズル開度を小さくする制御を実施し、吸入空気量を増加させる。つまり、ウエストゲート弁23が全閉状態となっても空燃比が上記目標空燃比に達しない場合、可変ノズル13のノズル開度を小さくする制御を実施する。
【0069】
ステップS36では、空燃比が上記目標空燃比に達したか否かを判定する。空燃比が目標空燃比に達していなければ、ステップS36からステップS37へ進む。すなわち、空気過剰率が目標値に達していなければ、ステップS36からステップS37へ進む。空燃比が上記目標空燃比になっていれば、可変ノズル13のノズル開度を小さくする制御を終了し(可変ノズル13のノズル開度を現在の開度で維持し)、今回のルーチンを終了する。
【0070】
ステップS37では、可変ノズル13のノズル開度が全閉(最小)状態であるか否かを判定する。可変ノズル13のノズル開度が全閉(最小)状態でなければステップS35に進み、可変ノズル13のノズル開度を小さくする制御を継続する。可変ノズル13のノズル開度が全閉(最小)状態であれば、今回のルーチンを終了する。可変ノズル13の実際のノズル開度は、例えばセンサを設けて検出してもよいし、排気タービン12の上流側と下流側の圧力から推定してもよい。
【0071】
ウエストゲート弁23が閉弁状態のときは、ウエストゲート弁23が開弁状態のときに比べて熱エネルギーを効率良く過給圧の仕事として回収できる。これは、ウエストゲート弁23が開弁している状態で可変ノズル13のノズル開度を小さくて圧力エネルギーを上げようとしても、ウエストゲート弁23で圧力を逃がしてしまうからである。
【0072】
そのため、空燃比がリーンとなるよう吸入空気量を増加させる際に、ターボ過給機10の可変ノズル13よりもウエストゲート弁23を優先して動かすことで、ポンプロスが低減され、内燃機関1の燃費性能を向上させることができる。
【0073】
図8は、空燃比がリッチとなるよう吸入空気量を減少させる際のウエストゲート弁23と可変ノズル13の動作の一例を示すタイミングチャートである。
図8中に実線で示す特性線Lwは、ウエストゲート弁23の弁開度を示し、
図8中に破線で示す特性線Lnは、可変ノズル13のノズル開度を示している。
【0074】
内燃機関1の運転状態が変化し、空燃比をリッチ側に変化させるために吸入空気量を減少させる際には、可変ノズル13のノズル開度を大きくする制御(開度を大きくする制御)をウエストゲート弁23の開弁制御よりも優先的に実施する。
【0075】
詳述すると、
図8においては、時刻t0から目標空燃比がリッチ側に変化し、内燃機関1の吸入空気量を減少させている。そのため、
図8においては、時刻t0から可変ノズル13のノズル開度を大きくする制御が開始される。そして、
図8の時刻t1において可変ノズル13のノズル開度が全開(最大)状態となると、この時刻t1からウエストゲート弁23の開弁制御が開始される。ウエストゲート弁23の開弁制御は、可変ノズル13のノズル開度が全開(最大)状態となっても空燃比が上記目標空燃比に達しない場合に実施される。
【0076】
なお、
図8においては、時刻t0において、ウエストゲート弁23の弁開度及び可変ノズル13のノズル開度がいずれも全閉(最小)状態となっている。また、
図8においては、時刻t2のタイミングで、空燃比が上記目標空燃比になり、ウエストゲート弁23の弁開度が全開となっている。
【0077】
図9は、空燃比がリッチとなるよう吸入空気量を減少させる際のウエストゲート弁23と可変ノズル13の制御の流れを示すフローチャートである。
図9に示す制御は、コントロールユニット16によって実施される。
【0078】
ステップS41では、上記目標空燃比がリッチ側に変化したか否かを判定する。上記目標空燃比がリッチ側に変化した場合には、ステップS42へ進み、そうでなければ、今回のルーチンを終了する。
【0079】
ステップS42では、空燃比が上記目標空燃比となるように可変ノズル13のノズル開度を大きくする制御を実施し、吸入空気量を減少させる。
【0080】
ステップS43では、空燃比が上記目標空燃比に達したか否かを判定する。換言すれば、空気過剰率が目標値に達したか否かを判定する。空燃比が目標空燃比に達していなければ、ステップS43からステップS44へ進む。すなわち、空気過剰率が目標値に達していなければ、ステップS43からステップS44へ進む。空燃比が上記目標空燃比となっていれば、可変ノズル13のノズル開度を大きくする制御を終了し(可変ノズル13のノズル開度を現在の開度で維持し)、今回のルーチンを終了する。
【0081】
ステップS44では、可変ノズル13のノズル開度が全開(最大)状態であるか否かを判定する。可変ノズル13のノズル開度が全開(最大)状態でなければステップS42に進み、可変ノズル13のノズル開度を大きくする制御を継続する。可変ノズル13のノズル開度が全開(最大)状態であればステップS45に進む。
【0082】
ステップS45では、空燃比が上記目標空燃比となるようにウエストゲート弁23の開弁制御を実施し、吸入空気量を減少させる。つまり、可変ノズル13のノズル開度が全開(最大)状態となっても空燃比が上記目標空燃比に達しない場合、ウエストゲート弁23の開弁制御を実施する。
【0083】
ステップS46では、空燃比が上記目標空燃比に達したか否かを判定する。空燃比が目標空燃比に達していなければ、ステップS46からステップS47へ進む。すなわち、空気過剰率が目標値に達していなければ、ステップS46からステップS47へ進む。空燃比が上記目標空燃比となっていれば、ウエストゲート弁23の開弁制御を終了し(ウエストゲート弁23の弁開度を現在の開度で維持し)、今回のルーチンを終了する。
【0084】
ステップS47では、ウエストゲート弁23が全開状態であるか否かを判定する。ウエストゲート弁23が全開状態でなければステップS45に進み、ウエストゲート弁23の開弁制御を継続する。ウエストゲート弁23が全開状態であれば、今回のルーチンを終了する。
【0085】
可変ノズル13のノズル開度が閉じぎみの状態では、熱エネルギーを効率良く過給圧の仕事として回収できない。
【0086】
そのため、空燃比がリッチとなるよう吸入空気量を減少させる際には、ウエストゲート弁23よりもターボ過給機10の可変ノズル13を優先して動かすことで、ポンプロスが低減され、内燃機関1の燃費性能を向上させることができる。
【0087】
なお、上述した実施例においては、排気タービン12に導かれる排気ガス量が可変ノズル13によって調整可能となっているが、可変ノズル13に換えて排気タービン12の上流側の通路断面積(流路断面積)を変更する流量制御弁を設けて排気調整機構とすることも可能である。