(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6784354
(24)【登録日】2020年10月27日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】コンクリート床面仕上げ装置及びコンクリート床面の仕上げ方法
(51)【国際特許分類】
E04G 21/10 20060101AFI20201102BHJP
E04F 21/24 20060101ALI20201102BHJP
B64C 13/20 20060101ALI20201102BHJP
B64C 27/10 20060101ALI20201102BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20201102BHJP
B64D 47/00 20060101ALI20201102BHJP
【FI】
E04G21/10 Z
E04F21/24 D
B64C13/20 Z
B64C27/10
B64C39/02
B64D47/00
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-231109(P2016-231109)
(22)【出願日】2016年11月29日
(65)【公開番号】特開2018-87446(P2018-87446A)
(43)【公開日】2018年6月7日
【審査請求日】2019年11月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000166627
【氏名又は名称】五洋建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100172096
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 理太
(74)【代理人】
【識別番号】100089886
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 雅雄
(72)【発明者】
【氏名】竹内 博幸
【審査官】
松本 隆彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開平04−306361(JP,A)
【文献】
特開2016−159671(JP,A)
【文献】
特開平04−261961(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0220541(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/10
B64C 13/20
B64C 27/10
B64C 39/02
B64D 47/00
E04F 21/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体の下面側にプロペラ状に配置された回転鏝と、前記回転鏝の周囲に配置された下部フレームとを備え、前記回転鏝をコンクリート床面に接地させた状態で回転駆動させるようにしたコンクリート床面仕上げ装置において、
前記装置本体を回転翼による揚力で移動させる飛行移動手段と、前記下部フレームの下端部に固定された複数の接地圧センサと、前記回転鏝のレベルを検知するレベル検知手段とを備えていることを特徴とするコンクリート床面仕上げ装置。
【請求項2】
前記飛行移動手段は、前記装置本体の上部に同軸状に配置された上部回転支軸及び下部回転支軸と、該上部回転支軸及び下部回転支軸にそれぞれロータヘッドを介して支持された上部回転翼及び下部回転翼とを備え、前記上部回転翼と前記下部回転翼とが互いに反対方向に回転するようにした請求項1に記載のコンクリート床面仕上げ装置。
【請求項3】
前記回転鏝及び前記飛行移動手段を遠隔操作可能な無線制御ユニットを備え、
該無線制御ユニットは、前記接地圧センサの計測データ及びレベル検知手段の検知信号を表示する表示手段を備えた請求項1又は2に記載のコンクリート床面仕上げ装置。
【請求項4】
装置本体の下面側にプロペラ状に配置された回転鏝と、前記回転鏝を回転させる鏝駆動手段と、前記回転鏝の周囲に配置された下部フレームとを備えてなるコンクリート床面仕上げ装置を使用し、移動する毎に前記回転鏝をコンクリート床面に接地させた状態で回転駆動させるコンクリート床面の仕上げ方法において、
前記コンクリート床面仕上げ装置には、回転翼からなる飛行移動手段と、該飛行移動手段を制御する飛行移動制御手段と、前記下部フレームの下端部にて固定された複数の接地圧センサと、前記回転鏝のレベルを検知するレベル検知手段とを備え、
前記回転翼の揚力により前記コンクリート床面より浮上した状態で移動する移動工程と、着地後の前記各接地圧センサ及びレベル検知手段のデータに基づいて制御しつつ前記回転鏝を回転させる均し工程とを繰り返すことを特徴とするコンクリート床面の仕上げ方法。
【請求項5】
前記移動工程は、既に均した範囲の内縁部に移動方向後方に配置された前記接地圧センサの位置を合わせて着地させる請求項4に記載のコンクリート床面の仕上げ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート構造物におけるコンクリート打設床面の仕上げ作業に用いられるコンクリート床面仕上げ装置及びコンクリート床面の仕上げ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリート構造物におけるコンクリート床面の仕上げ作業は、鏝を用いて作業員が手作業で行っていたが、この作業員による均し作業は、中腰の状態で長時間に亘って行うため作業員の負担が大きく、また、近年では、熟練の作業員を確保することが難しいという問題があった。
【0003】
そこで、近年では、トロウェル等のコンクリート床面仕上げ装置(以下、床面仕上げ装置という)を用いることにより作業の省力化及び効率化が図られている。
【0004】
トロウェル型の床面仕上げ装置は、装置本体の下面側にプロペラ状に配置された複数の回転鏝と、回転鏝を回転させるモーターや原動機等の鏝駆動手段とを備え、装置本体を適宜移動させつつ、仕上げ対象面に接した回転鏝を回転駆動させることにより、仕上げ対象面を加圧しつつ均すようになっている。
【0005】
このトロウェル型の床面仕上げ装置には、装置後方に取り付けられたハンドルを作業員が操作する手押し式のもの(例えば、特許文献1を参照)や、装置上に作業員が搭乗し操作する騎乗式のもの(例えば、特許文献2を参照)等があり、ハンドル操作や体重移動によって装置本体を傾けることにより回転鏝の接地圧を変化させ、それによって生じる推進力を利用して移動するようになっている。
【0006】
また、床面仕上げ装置には、遠隔操作又は自動制御により移動するようにしたロボット型のものも開発されている(例えば、特許文献3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−225523号公報
【特許文献2】特開2015−196994号公報
【特許文献3】特開平02 −204570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の如き従来のトロウェル型の床面仕上げ装置では、仕上げ対象床面上を移動する際、装置本体を傾けることにより回転鏝の接地圧を変化させ、それによって生じる推力を利用するため、仕上げ対象面に作用する鏝の接地圧を均等に作用させることできず、ひび割れ、不陸、脆弱層の形成等の不具合がコンクリート床面に生じるおそれがあった。
【0009】
また、特許文献3に示す技術においても、当該床面に反力をとって推進力とするため、当該推進力が鏝の接地圧に影響を及ぼし、平滑な床面の形成に支障を来すおそれがあった。
【0010】
そこで、本発明は、このような従来の問題に鑑み、コンクリート床面に反力取らずに移動でき、コンクリート床面を均一に均すことができるコンクリート床面仕上げ装置及びコンクリート床面の仕上げ方法の提供を目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の如き従来の問題を解決するための請求項1に記載の発明の特徴は、装置本体の下面側にプロペラ状に配置された回転鏝と、前記回転鏝の周囲に配置された下部フレームとを備え、前記回転鏝をコンクリート床面に接地させた状態で回転駆動させるようにしたコンクリート床面仕上げ装置において、前記装置本体を回転翼による揚力で移動させる飛行移動手段と、前記下部フレームの下端部に固定された複数の接地圧センサと、前記回転鏝のレベルを検知するレベル検知手段とを備えているコンクリート床面仕上げ装置にある。
【0012】
請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記飛行移動手段は、前記装置本体の上部に同軸状に配置された上部回転支軸及び下部回転支軸と、該上部回転支軸及び下部回転支軸にそれぞれロータヘッドを介して支持された上部回転翼及び下部回転翼とを備え、前記上部回転翼と前記下部回転翼とが互いに反対方向に回転するようにしたことにある。
【0013】
請求項3に記載の発明の特徴は、請求項1又は2の構成に加え、前記回転鏝及び前記飛行移動手段を遠隔操作可能な無線制御ユニットを備え、該無線制御ユニットは、前記接地圧センサの計測データ及びレベル検知手段の検知信号を表示する表示手段を備えたことにある。
【0014】
請求項4に記載の発明の特徴は、装置本体の下面側にプロペラ状に配置された回転鏝と、前記回転鏝を回転させる鏝駆動手段と、前記回転鏝の周囲に配置された下部フレームとを備えてなるコンクリート床面仕上げ装置を使用し、移動する毎に前記回転鏝をコンクリート床面に接地させた状態で回転駆動させるコンクリート床面の仕上げ方法において、前記コンクリート床面仕上げ装置には、回転翼からなる飛行移動手段と、該飛行移動手段を制御する飛行移動制御手段と、前記下部フレームの下端部にて固定された複数の接地圧センサと、前記回転鏝のレベルを検知するレベル検知手段とを備え、前記回転翼の揚力により前記コンクリート床面より浮上した状態で移動する移動工程と、着地後の前記各接地圧センサ及びレベル検知手段のデータに基づいて制御しつつ前記回転鏝を回転させる均し工程とを繰り返すコンクリート床面の仕上げ方法にある。
【0015】
請求項5に記載の発明の特徴は、請求項4の構成に加え、前記移動工程は、既に均した範囲の内縁部に移動方向後方に配置された前記接地圧センサの位置を合わせて着地させることにある。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るコンクリート床面仕上げ装置は、上述したように、装置本体の下面側にプロペラ状に配置された回転鏝と、前記回転鏝の周囲に配置された下部フレームとを備え、前記回転鏝をコンクリート床面に接地させた状態で回転駆動させるようにしたコンクリート床面仕上げ装置において、前記装置本体を回転翼による揚力で移動させる飛行移動手段と、前記下部フレームの下端部に固定された複数の接地圧センサと、前記回転鏝のレベルを検知するレベル検知手段とを備えていることにより、回転鏝の接地圧変化による推進力を利用せずに移動することができるとともに、接地圧センサ及びレベル検知手段からの情報を基にコンクリート床面を均一に均すことができる。
【0017】
また、本発明において、前記飛行移動手段は、前記装置本体の上部に同軸状に配置された上部回転支軸及び下部回転支軸と、該上部回転支軸及び下部回転支軸にそれぞれロータヘッドを介して支持された上部回転翼及び下部回転翼とを備え、前記上部回転翼と前記下部回転翼とが互いに反対方向に回転するようにしたことにより、各回転翼によって装置本体に作用する反動トルクを相殺し、安定した状態で移動することができる。また、回転翼をコンパクト化することができる。
【0018】
さらに、本発明において、前記回転鏝及び前記飛行移動手段を遠隔操作可能な無線制御ユニットを備え、該無線制御ユニットは、前記接地圧センサの計測データ及びレベル検知手段の検知信号を表示する表示手段を備えたことにより、表示される情報を基に装置の姿勢を把握し、遠隔操作によって好適に制御することができる。
【0019】
本発明方法では、装置本体の下面側にプロペラ状に配置された回転鏝と、前記回転鏝を回転させる鏝駆動手段と、前記回転鏝の周囲に配置された下部フレームとを備えてなるコンクリート床面仕上げ装置を使用し、移動する毎に前記回転鏝をコンクリート床面に接地させた状態で回転駆動させるコンクリート床面の仕上げ方法において、前記コンクリート床面仕上げ装置には、回転翼からなる飛行移動手段と、該飛行移動手段を制御する飛行移動制御手段と、前記下部フレームの下端部にて固定された複数の接地圧センサと、前記回転鏝のレベルを検知するレベル検知手段とを備え、前記回転翼の揚力により前記コンクリート床面より浮上した状態で移動する移動工程と、着地後の前記各接地圧センサ及びレベル検知手段のデータに基づいて制御しつつ前記回転鏝を回転させる均し工程とを繰り返すことにより、回転鏝の接地圧変化による推進力を利用せずに移動することができるとともに、接地圧センサ及びレベル検知手段からの情報を基にコンクリート床面を均一に均すことができる。
【0020】
また、本発明方法において、前記移動工程は、既に均した範囲の内縁部に移動方向後方に配置された前記接地圧センサの位置を合わせて着地させることにより、隣接する範囲間でレベル差をなくし、むらなくコンクリート床面を均すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係るコンクリート床面仕上げ装置の概略を示す正面図である。
【
図4】(a)はコンクリート床面仕上げ装置の移動時の状態を説明するための正面図、(b)は同均し作業時の状態を説明するための正面図である。
【
図5】(a)〜(c)はコンクリート床面仕上げ装置の移動工程時の位置関係を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明に係るコンクリート床面仕上げ装置の実施態様を
図1〜
図3に示した実施例に基づいて説明する。
【0023】
コンクリート床面仕上げ装置(以下、床面仕上げ装置という)1は、装置本体2の下面側に配置されたプロペラ状の回転鏝3と、回転鏝3の周囲に配置された下部フレーム4とを備え、コンクリート床面Aに接地した状態で回転鏝3を回転させることによりコンクリート床面Aを押圧して均すようになっている。
【0024】
また、この床面仕上げ装置1は、装置本体2を回転翼5,6による揚力で移動させる飛行移動手段7を備え、コンクリート床面Aより浮上し、水平移動ができるようになっている。
【0025】
さらに、床面仕上げ装置1は、回転鏝3及び飛行移動手段7を制御する無線制御ユニットを備え、遠隔操作できるようになっている。
【0026】
回転鏝3は、装置本体2の下面より突出した鏝支軸10と、鏝支軸10の下端部に放射状に突設された角棒状の柄部11,11...と、各柄部11,11...の下面に固定された矩形平板状の鏝体12,12...とを備え、装置本体2の下半部に保持された鏝駆動手段13によって回転駆動されるようになっている。
【0027】
鏝駆動手段13は、回転制御可能なサーボモータからなる動力源を備え、その回転軸にギアボックスを介して鏝支軸10が接続されている。
【0028】
下部フレーム4は、円環状の接地リング20と、接地リング20に支持された複数の支持アーム21,21...とを備え、支持アーム21,21...の上端に装置本体2が支持され、接地リング20の内側に回転鏝3が配置される。
【0029】
この接地リング20の外周には、複数の接地圧センサ22a〜22dが固定され、各接地圧センサ22a〜22dで計測された計測データが随時無線により後述する操作ユニット41に送信され、表示手段に表示されるようになっている。尚、接地圧センサ22a〜22dは、特に限定されないが、例えば、ダイヤフラム式の圧力センサを使用する。
【0030】
また、この接地リング20の外周には、複数のレーザー受光器23a〜23dが備えられ、このレーザー受光器23a〜23dが床面に設置されたレーザー投光器24とともに回転鏝3のレベルを検知するレベル検知手段を構成している。
【0031】
即ち、レベル検知手段は、レーザー投光器24を基準となる高さに調整し、レーザー光を回転走査させることにより、コンクリート床面Aより所望の高さにレーザー光線による基準面を形成し、接地リング20に固定された各レーザー受光器23a〜23dがレーザー光線を受光した際に検知信号を送信するようになっている。
【0032】
飛行移動手段7は、同軸反転式の二重ロータ、即ち、装置本体2の上面より突出した同軸状の上部回転軸30及び下部回転軸31と、上部回転軸30及び下部回転軸31にそれぞれロータヘッド32,33を介してブレード5a,6aを支持させてなる上部回転翼5及び下部回転翼6とを備え、サーボモータ等からなる回転翼駆動手段34により上部回転翼5と下部回転翼6とが互いに反対方向に回転するようになっている。
【0033】
また、上部回転翼5及び下部回転翼6は、ロータヘッド32,33を動作させるロータヘッド駆動手段(図示せず)を備え、回転翼角度及び各ブレード5a,6aのピッチ角度を調節できるようになっている。
【0034】
回転翼駆動手段34及びロータヘッド駆動手段は、無線制御ユニットにより各回転翼5,6の回転数、回転翼角度及びブレードのピッチ角が制御され、遠隔操作により速度、移動方向及び高度を調節できるようになっている。
【0035】
無線制御ユニットは、装置本体2に設置された本体側制御ユニット40と、本体側制御ユニット40を操作する操作ユニット41と、本体側制御ユニット40と操作ユニット41とを無線によって通信させる通信ユニットとを備え、操作ユニット41により飛行移動手段7及び回転鏝3を遠隔操作できるようになっている。尚、図中符号42は、回転鏝及び飛行移動手段7に電力を供給する電源ユニットである。
【0036】
また、操作ユニット41には、接地圧センサ22a〜22dの計測データ及びレベル検知手段の検知信号を表示する表示手段41aを備え、表示手段41aに表示される接地圧データ及びレベル情報を基に操作できるようになっている。
【0037】
次に、上述の如き床面仕上げ装置1を使用したコンクリート床面の仕上げ方法について説明する。尚、図中符号4はコンクリートが打設されたコンクリート床面である。
【0038】
先ず、
図4(a)に示すように、飛行移動手段7により床面仕上げ装置1を浮上させ、その状態で仕上げの対象となるコンクリート床面Aの所定位置まで水平移動させ着地させる。
【0039】
その際、飛行移動手段7は、同軸反転式の二重ロータを備えているので、上部回転翼5及び下部回転翼6の回転によって装置本体2に作用する反動トルクが相殺され、装置本体2を安定した状態、即ち、各接地圧センサ22a〜22d及びレーザー受光器23a〜23dを所望の向きに保持した状態で移動させることができる。
【0040】
次に、レーザー投光器24を調節し、レーザー走査光による基準面の高さを設計上の仕上げ高さよりやや高い位置(例えば仕上げ面より+5mmの位置)に設定し、レーザー光の走査を開始する。
【0041】
その状態で回転鏝3の回転駆動を開始するとともに、接地圧センサ22a〜22dより随時データを送信し、操作ユニット41の表示手段41aに表示する。
【0042】
そして、表示手段41aに表示される各接地圧センサ22a〜22d及びレベル検知手段の受光信号を確認しつつ、鏝駆動手段13によって回転鏝3の回転数を調節しつつ回転鏝3を回転させ、鏝体12,12...でコンクリート床面Aを押圧する(均し工程)。
【0043】
そして、回転鏝3のレベルが基準面に到達し、レベル検知手段を構成するレーザー受光器23a〜23dがレーザーを受光したら、表示手段41aにレベル検知信号が表示されるので、回転鏝3を停止させる。
【0044】
次に、回転翼駆動手段34を動作させ、床面仕上げ装置1を浮上させ、その状態で水平移動させる(移動工程)。その際、床仕上げ装置1は、各回転翼5,6の回転に伴う揚力を利用し浮上及び水平移動するので、回転鏝3の接地圧変化を推進力とせず、また、コンクリート床面Aに反力を取らずに移動することができる。
【0045】
移動は、
図5(a)〜(b)に示すように、目視により確認し、移動方向後方に配置された接地圧センサ22dが既に均された範囲60aの内周縁部に至るまで水平移動させ、その位置に着地させる。
【0046】
そして、その位置において、各接地圧センサ22a〜22dのデータを基に制御しつつ回転鏝3を回転駆動させ、基準レベルに達するまでコンクリート床面Aを押圧する(均し工程)。
【0047】
その際、他の接地圧センサ22a〜22cの計測値が既に均し終えた範囲60a上に位置する接地圧センサ22dの接地圧と同じとなるように均すことによって、隣り合う範囲間の均しレベルを均一に保つことができる。
【0048】
そして、上述した均し工程と移動工程とを一方向で連続して繰り返す。
【0049】
尚、床面仕上げ装置1がコンクリート床面Aの端部まで到達し、その位置での均し作業が完了したならば、
図5(b)〜(c)に示すように、床面仕上げ装置1を浮上させ、既に均された位置60bを基準として均し作業の繰り返し方向と直角を成す方向に移動させ、均し作業繰り返し方向と逆方向に均し工程と移動工程とを繰り返す。
【0050】
そして、以上の一連の作業をコンクリート床面A全体で繰り返し、コンクリート床面A全体の粗均しが完了する。
【0051】
次に、レーザー投光器24を調節し、レーザー走査光による基準面の高さを設計上の仕上げ高さと同じ位置(仕上げ面に対し±0mmの位置)に設定し、レーザー光の走査を開始する。
【0052】
そして、上記粗均し作業と同様に、均し工程と移動工程とをコンクリート床面A全体で繰り返し、コンクリート床面Aを略設計上の仕上げ高さに仕上げる(1回目仕上げ工程)。
【0053】
最後に、上記1回目仕上げ工程後に、凹凸やムラが生じている位置に床面仕上げ装置1を移動させ、その位置で回転鏝3を回転させ仕上げを行う(2回目仕上げ工程)ことにより作業を完了する。
【0054】
尚、上述の実施例では、飛行移動手段7を同軸反転式の二重ロータ5,6とした例について説明したが、飛行移動手段7の態様はこれに限定されず、例えば、タンデムロータ方式等であってもよく、また、近年ドローン等に採用されているマルチロータ方式等であってもよい。
【0055】
また、上述の実施例では、鏝駆動手段及び回転翼駆動手段の動力源にそれぞれサーボモータ等の電動機を使用した例について説明したが、電動機に替えて原動機を使用してもよく、何れか一方の動力源に電動機を使用し、他方の動力源に原動機を使用してもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 コンクリート床面仕上げ装置
2 装置本体
3 回転鏝
4 下部フレーム
5 上部回転翼
6 下部回転翼
10 鏝支軸
11 柄部
12 鏝体
13 鏝駆動手段
20 接地リング
21 支持アーム
22a〜22d 接地圧センサ
23a〜23d レーザー受光器
24 レーザー投光器
30 上部回転軸
31 下部回転軸
32,33 ロータヘッド
40 本体側制御ユニット
41 操作ユニット
42 電源ユニット