(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6784372
(24)【登録日】2020年10月27日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】地中埋設積層構造体
(51)【国際特許分類】
E03F 1/00 20060101AFI20201102BHJP
E03B 3/02 20060101ALI20201102BHJP
E03B 3/03 20060101ALI20201102BHJP
E03B 11/14 20060101ALI20201102BHJP
【FI】
E03F1/00 A
E03F1/00 Z
E03B3/02 Z
E03B3/03 B
E03B11/14
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-31450(P2017-31450)
(22)【出願日】2017年2月22日
(65)【公開番号】特開2018-135706(P2018-135706A)
(43)【公開日】2018年8月30日
【審査請求日】2019年10月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】390033112
【氏名又は名称】積水テクノ成型株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103975
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 拓也
(72)【発明者】
【氏名】吉田 高史
(72)【発明者】
【氏名】原田 文男
【審査官】
石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】
特許第6017076(JP,B1)
【文献】
特開2002−339383(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/111465(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0284750(US,A1)
【文献】
特開2011−106101(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 1/00−11/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面四角形状の基台上に一定間隔を存して立体中空突壁部を設けている複数の構造部材が、地面を掘削することによって形成した凹部内に縦横に敷設されていると共に上記立体中空突壁部を介して複数段に積み重ねられてなる地中埋設積層構造体において、地中埋設積層構造体の上層部を構成した複数の積層構造部材における土圧を受止する基台の受止面の総面積よりもこの上層部と同一高さに積層している下層部の積層構造部材における土圧を受止する基台の受止面の総面積が大きくなるように積層されており、上層部を構成した積層構造部材の水平強度よりも下層部を構成した積層構造部材の水平方向の強度を高くしていることを特徴とする地中埋設積層構造体。
【請求項2】
地中埋設積層構造体の下層部を構成した構造部材の高さが地中埋設積層構造体の上層部を構成した構造部材の高さよりも低い高さに形成されていることを特徴とする請求項1に記載の地中埋設積層構造体。
【請求項3】
地中埋設積層構造体の下層部を構成した構造部材における立体中空突壁部の高さが地中埋設積層構造体の上層部を構成した構造部材における立体中空突壁部の高さよりも低い高さに形成されていると共に上記下層部を構成した構造部材における基台の高さを上記上層部を構成した構造部材の高さと同一高さ又は低い高さに形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の地中埋設積層構造体。
【請求項4】
地中埋設積層構造体の下層部を構成した構造部材の高さと地中埋設積層構造体の上層部を構成した構造部材の高さとが同一高さに形成されていると共に下層部を構成した構造部材における基台の高さが上層部を構成した構造部材の基台の高さよりも高い高さに形成されていること特徴とする請求項1に記載の地中埋設積層構造体。
【請求項5】
凹部内における地表面から所定深さの位置を境にして凹部の下方部内に下層部が構成され、凹部の上方部内に上層部が構成されていると共に、上記境において対向する上層部の構造部材の基台の下面に形成している凹部に下層部の構造部材の立体中空突壁部の上端部が嵌合していることを特徴とする請求項1ないし請求項4のうち、いずれか一項に記載の記載の地中埋設積層構造体。
【請求項6】
凹部内における地表面から所定深さの位置を境にして凹部の下方部内に下層部が構成され、凹部の上方部内に上層部が構成されていると共に、上記境において対向する上層部の構造部材の基台の下面と下層部の構造部材の立体中空突壁部の上面との間にフラットな平面を有するスペーサを介在させていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のうち、いずれか一項に記載の地中埋設積層構造体。
【請求項7】
地中埋設積層構造体の上層部と下層部との間に上層部を構成した構造部材の高さよりも低く、下層部を構成した構造部材の高さよりも高い構造部材を積層してなる中層部を設けてあり、この中層部を構成している積層構造部材の水平強度を上層部を構成した積層構造部材の水平強度よりも高く、下層部を構成した積層構造部材の水平方向の強度よりも低くなるように構成していることを特徴とする請求項1に記載の地中埋設積層構造体。
【請求項8】
構造部材は、平面四角形状の底板部の四方縁辺に外周枠部を突設してなる基板と、この基板の上記底板部上に前後左右に一定間隔を存して並設した一定高さの中空の四角錐台からなる立体中空突壁部とを備えていると共に、構造部材同士を積み重ねた際に下段の立体中空突壁部の上端部にこの立体中空突壁部の上方に載置される上段の構造部材の立体中空突壁部の下端開口部を嵌合させるように構成していることを特徴とする請求項1ないし請求項7のうち、いずれか一項に記載の地中埋設積層構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として公園や駐車場、或いは、道路等の地面下に設けられた雨水貯留施設等の地中埋設積層構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、公園や駐車場等の施設の地下には、大雨による河川や下水道の氾濫を抑制したり、溜めた雨水を必要に応じて利用するための雨水貯留施設が設けられている。
【0003】
このような雨水貯留施設としては、特許文献1に記載されているように、地面を掘り下げることによって雨水貯留空間(凹部)を設け、この雨水貯留空間内に雨水を貯留する内部空間を有する合成樹脂製の構造部材を前後左右に並設すると共に複数段に積み重ねることによって地中埋設積層構造体である雨水貯留積層構造体を築造し、この雨水貯留積層構造体をシートで被覆してなる施設構造が知られている。
【0004】
さらに、上記凹部においては、深さが深くなる程、水平方向に作用する土圧が大きくなるので、上記地中埋設積層構造体を構成する構造部材としては、その水平方向の強度を雨水貯留空間の最下部の深さに作用する土圧に対応した強度を有するように形成している。即ち、雨水貯留空間における深さの深い箇所に作用する水平方向の土圧を基準としてこの土圧に耐えることができる水平強度を有する多数の構造部材を雨水貯留空間内に多段、多層に積層して地中埋設積層構造体を築造している。
【0005】
従って、地表面からの深さが浅くて比較的小さい土圧しか作用しない地中埋設積層構造体の上層部を構成している積層構造部材が必要以上の強度を有することになって、そのための材料費等が高くなり、過剰品質、即ち、コスト高になるといった問題点がある。
【0006】
このような問題点を解決するために、特許文献2には地中埋設積層構造体を構成する構造部材として、一定高さを有する正方形状の外周枠内に互いに連結した複数のリブを配設すると共に外側に配したリブの外端を上記外周枠の内面に一体に連結させてなる平板状の基台と、この基台の上面に立設している一定高さを有する一対の支柱と、支柱の上端部を嵌合、支持可能な嵌合穴とを備えてなり、上記リブの本数や太さを変化させることによって水平強度を変化させ、水平強度の高い構造部材によって地中埋設積層構造体の下層部を形成する一方、水平強度の低い構造部材によって地中埋設積層構造体の上層部を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第5392940号公報
【特許文献2】特許第6017076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記構造部材の外形は、水平強度の高低にかかわらず全てが同一外寸に形成されてあり、水平強度の高低は、一定高さを有する基台の外周枠内に設けているリブの本数や太さを変化させることによって設定しているため、強度の高い構造部材と低い強度部材その見分けが困難となり、現場において雨水貯留空間内に構造部材を多段、多層に積層することによって地中埋設積層構造体を築造する際に、水平強度の高い構造部材が必要な下層部に水平強度の低い構造部材を誤って使用される事態が発生し、その構造部材の発見も困難となり、所定の強度を有する安全な地中埋設積層構造体を組み立てることができなくなくなるといった問題点がある。
【0009】
また、水平強度の高い構造部材は、基台に設けたリブの本数や太さを増やすことによって形成されているため、その質量が増大して取扱性に難点を有し、地中埋設積層構造体の組み立て施工時の作業性が低下する問題や、構造部材を製造する成形機の大幅な変更が必要となるといった問題点がある。
【0010】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、構造が簡単で且つ水平強度の高低が一見して識別することができる構造部材を積層することによって構成され、土圧に応じて安定した水平強度を有すると共に、施工性に優れた低コストの地中埋設積層構造体を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の地中埋設積層構造体は、請求項1に記載したように、平面四角形状の基台上に一定間隔を存して立体中空突壁部を設けている複数の構造部材が、地面を掘削することによって形成した凹部内に縦横に敷設されていると共に上記立体中空突壁部を介して複数段に積み重ねられてなる地中埋設積層構造体において、地中埋設積層構造体の上層部を構成した複数の積層構造部材における土圧を受止する基台の受止面の総面積よりもこの上層部と同一高さに積層している下層部の積層構造部材における土圧を受止する基台の受止面の総面積が大きくなるように積層されており、上層部を構成した積層構造部材の水平強度よりも下層部を構成した積層構造部材の水平方向の強度を高くしていることを特徴とする。
【0012】
このように構成した地中埋設積層構造体において、請求項2に係る発明は、地中埋設積層構造体の下層部を構成した構造部材の高さが地中埋設積層構造体の上層部を構成した構造部材の高さよりも低い高さに形成されていることを特徴とする。
【0013】
さらに、上記請求項1または請求項2に記載の地中埋設積層構造体において、請求項3に係る発明は、地中埋設積層構造体の下層部を構成した構造部材における立体中空突壁部の高さが地中埋設積層構造体の上層部を構成した構造部材における立体中空突壁部の高さよりも低い高さに形成されていると共に上記下層部を構成した構造部材における基台の高さを上記上層部を構成した構造部材の高さと同一高さ又は低い高さに形成されていることを特徴とする。
【0014】
一方、請求項4に係る発明は、請求項1に記載の地中埋設積層構造体において、地中埋設積層構造体の下層部を構成した構造部材の高さと地中埋設積層構造体の上層部を構成した構造部材の高さとが同一高さに形成されていると共に下層部を構成した構造部材における基台の高さが上層部を構成した構造部材の基台の高さよりも高い高さに形成されていること特徴とする。
【0015】
また、上記請求項1ないし請求項4のうち、いずれか一項に記載の地中埋設積層構造体において、請求項5に係る発明は、上記凹部内における地表面から所定深さの位置を境にして凹部の下方部内に下層部が構成され、凹部の上方部内に上層部が構成されていると共に、上記境において対向する上層部の構造部材の基台の下面に形成している凹部に下層部の構造部材の立体中空突壁部の上端部が嵌合していることを特徴とする。
【0016】
一方、請求項6に係る発明は、上記凹部内における地表面から所定深さの位置を境にして凹部の下方部内に下層部が構成され、凹部の上方部内に上層部が構成されていると共に、上記境において対向する上層部の構造部材の基台の下面と下層部の構造部材の立体中空突壁部の上面との間にフラットな平面を有するスペーサを介在させていることを特徴とする。
【0017】
請求項7に係る発明は、地中埋設積層構造体の上層部と下層部との間に上層部を構成した構造部材の高さよりも低く、下層部を構成した構造部材の高さよりも高い構造部材を積層してなる中層部を設けてあり、この中層部を構成している積層構造部材の水平強度を上層部を構成した積層構造部材の水平強度よりも高く、下層部を構成した積層構造部材の水平方向の強度よりも低くなるように構成していることを特徴とする。
【0018】
請求項8に係る発明は、上記構造部材の構造に係るもので、平面四角形状の底板部の四方縁辺に外周枠部を突設してなる基板と、この基板の上記底板部上に前後左右に一定間隔を存して並設した一定高さの中空の四角錐台からなる立体中空突壁部とを備えていると共に、構造部材同士を積み重ねた際に下段の立体中空突壁部の上端部にこの立体中空突壁部の上方に載置される上段の構造部材の立体中空突壁部の下端開口部を嵌合させるように構成していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に係る発明によれば、地面を掘削することによって形成した凹部内に組み立てられた地中埋設積層構造体は、その上層部を構成した複数の積層構造部材における土圧を受止する基台の受止面の総面積よりもこの上層部と同一高さに積層している下層部の積層構造部材における土圧を受止する基台の受止面の総面積が大きくなるように積層されていて、上層部を構成した積層構造部材の水平強度よりも下層部を構成した積層構造部材の水平方向の強度を高くしているので、各層を構成する構造部材の水平方向の強度を、これらの構造部材にそれぞれ作用する水平方向の土圧に応じた強度に設定することができ、従って、過剰品質になることなく安価に製造することが可能な構造部材によって、安全性が高くて低コストで効率よく組み立てることができる地中埋設積層構造体を提供し得る。
【0020】
さらに、構造部材の高さの高低や土圧を受止する基台の高さ等によって土圧に対する水平方向の強度を変更することができるので、水平方向の強度の異なる構造部材を簡単に識別することができ、水平強度の高い構造部材が必要な下層部に水平強度の低い構造部材を誤って使用される事態などが生じる虞れもなく、所定の強度を有する安全性に高い地中埋設積層構造体を築造することができる。
【0021】
請求項2に係る発明によれば、地中埋設積層構造体の下層部を構成した構造部材の高さが地中埋設積層構造体の上層部を構成した構造部材の高さよりも低い高さに形成されているので、地中埋設積層構造体の下層部を構成するための構造部材と上層部を構成するための構造部材とを一目で見分けることができ、安全性が高く且つ安定した地中埋設積層構造体を築造することができる。
【0022】
その上、上層部を形成する構造部材の積み重ね枚数よりも下層部を形成する構造部材の積み重ね枚数を多くして上層部側の積層構造部材の高さと同じ高さの下層部側の積層構造部材を形成することができ、従って、一定高さの積層構造部材における土圧を受止する基台の数が上層部よりも下層部の方が多くなって、請求項3に係る発明のように、下層部を構成する構造部材の基台の高さが上層部を構成する構造部材の基台と同一であっても、さらには、低い高さに形成されていても、上層部の水平強度よりも下層部の水平強度を高くすることができる。
【0023】
一方、請求項4に係る発明によれば、地中埋設積層構造体の上記下層部を構成した構造部材の高さと地中埋設積層構造体の上記上層部を構成した構造部材の高さとが同一高さに形成されていると共に下層部を構成した構造部における基台の高さが上層部を構成した構造部材の基台の高さよりも高い高さに形成されているので、全体の高さが同一であっても基台の高さの相違によって地中埋設積層構造体の下層部側を形成するための構造部材と上層部側を形成するための構造部材とを簡単に識別することができると共に、基台の高さが高い構造部材によって地中埋設積層構造体の下層部を構成することにより、上記同様に土圧に対する上層部の水平強度よりも下層部の水平強度が高い地中埋設積層構造体を確実且つ能率よく築造することができる。
【0024】
請求項5に係る発明によれば、上記凹部内における地表面から所定深さの位置を境にして凹部の下方部内に下層部が構成され、凹部の上方部内に上層部が構成されていると共に、上記境において対向する上層部の構造部材の基台の下面に形成している凹部に下層部の構造部材の立体中空突壁部の上端部が嵌合しているので、上層部と下層部とが一体に連結した安定した地中埋設積層構造体を提供することができる。
【0025】
また、請求項6に係る発明によれば、上記凹部内における地表面から所定深さの位置を境にして凹部の下方部内に下層部が構成され、凹部の上方部内に上層部が構成されていると共に、上記境において対向する上層部の構造部材の基台の下面と下層部の構造部材の立体中空突壁部の上面との間にフラットな平面を有するスペーサを介在させているので、上層部を構成する構造部材と下層部を構成する構造部材とにそれぞれ既存の水平強度の異なる構造部材を使用して土圧に応じた水平強度を有する地中埋設積層構造体を築造することができる。
【0026】
請求項7に係る発明によれば、地中埋設積層構造体の上層部と下層部との間に上層部を構成した構造部材の高さよりも低く、下層部を構成した構造部材の高さよりも高い構造部材を積層してなる中層部を設けてあり、この中層部を構成している積層構造部材の水平強度を上層部を構成した積層構造部材の水平強度よりも高く、下層部を構成した積層構造部材の水平方向の強度よりも低くなるように構成しているので、地中埋設積層構造体の上層部側から下層部に向かって土圧に対する水平強度を順次、高くして深くなるに従って増大する土圧に対して一層安定した精度のよい水平強度を有する地中埋設積層構造体を提供することができる。
【0027】
請求項8に係る発明は、上記構造部材の構造に係るもので、平面四角形状の底板部の四方縁辺に外周枠部を突設してなる基板と、この基板の上記底板部上に前後左右に一定間隔を存して並設した一定高さの中空の四角錐台からなる立体中空突壁部とを備えていると共に、構造部材同士を積み重ねた際に下段の立体中空突壁部の上端部にこの立体中空突壁部の上方に載置される上段の構造部材の立体中空突壁部の下端開口部を嵌合させるように構成しているので、下側に配する構造部材の立体中空突壁部における上端部に上側に配する構造部材の立体中空突壁部の下端開口部を嵌合させることによって強固で且つ安定した積層構造部材を精度よく且つ簡単に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明地中埋設積層構造体を設けた雨水貯留施設の簡略縦断側面図。
【
図2】地中埋設積層構造体を構成する構造部材の斜視図。
【
図7】上層部側と下層部側との構造部材の積層状態を示す正面図。
【
図8】本発明地中埋設積層構造体の別な実施例を示す簡略縦断側面図。
【
図9】本発明地中埋設積層構造体のさらに別な実施例を示す簡略縦断側面図。
【
図10】その上層部側と下層部側との構造部材の積層状態を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、本発明の具体的な実施の形態を図面について説明すると、雨水貯留施設は、
図1に示すように、公園や道路等の地面を掘り下げることによって形成した一定深さを有する平面長方形状或いは正方形状等の雨水貯留空間となる凹部11の底面に上面が平坦な面に形成されている基礎12が設けられていると共にこの基礎12の上面及び上記凹部11の四方の側壁面は遮水シート等のシート13によって連続的に被覆されている。さらに、このシート13によって囲まれた凹部11内に、雨水を貯留する内部空間を有する多数の構造部材1A、1Bを縦横に敷き並べると共に上下方向に積み上げることによって地中埋設積層構造体10が構築されてあり、この地中埋設積層構造体10の上面を上記シート13によって連続的に被覆していると共にこのシート13上方の凹部11の上端部に埋め戻し土等による舗装14を形成してなるものである。
【0030】
なお、上記雨水貯留施設における上記地中埋設積層構造体10においては、その上層部10A(上半部)を高さの高い構造部材1Aの積層体によって形成している一方、下層部10B (下半部)を上記構造部材1Aの高さよりも高さが低い構造部材1Bの積層体によって構成してあり、さらに、上層部10A を構成している構造部材1Aの積層体における任意の高さ部分の土圧に対する水平方向の強度よりも、この構造部材1Aの積層体の上記高さ部分と同一高さとなるように積層している下層部10B の構造部材1Bの積層体部分の土圧に対する水平方向の強度を高くしている。
【0031】
また、このように構成した雨水貯留施設における上記地中埋設積層構造体10の上記上層部10A における最上層の構造部材1Aには、側溝や排水溝等からの雨水を地中埋設積層構造体10内に導入するための雨水導入管15を連通させている一方、地中埋設積層構造体10の上記下層部10B における最下層の構造部材1Bには、地中埋設積層構造体10内から雨水を導出させるための雨水導出管16を連通させている。
【0032】
上記地中埋設積層構造体1を構成している構造部材1A、1Bは、合成樹脂からなる成形品であり、構造部材1Aは、
図2〜
図4に示すように、平面正方形状の一定厚みを有する底板部1a1 の四方縁辺に一定高さと一定厚みを有する矩形枠からなる外周枠部1a2 を突設してなる基台1aと、この基台1aの上記底板部1a1 上に前後左右に一定間隔を存して並設された互いに同一高さの中空の四角錐台からなる立体中空突壁部2a、2aとを備えてなり、これらの立体中空突壁部2aの下端は底板部1a1 を貫通してこの底板部1a1 から下方に向かって開口させている。
【0033】
さらに、上記立体中空突壁部2aの頂面の両端部には、立体中空突壁部2aの上端部を形成している小突起2a1 、2a1 が突設されている一方、底板部1a1 の下面には、
図5に示すように、構造部材1Aを順次直角に向きを変えながら積み重ねて地中埋設積層構造体10を構築する際に、下側に配した構造部材1の上記小突起2a1 、2a1 を嵌合、係止させるための上方に向かって窪んだ凹部1a3 が形成されていると共に、これらの小突起2a1 、2a1 間の頂面上に上側に配する構造部材1Aにおける立体中空突壁部2aの開口下端を形成している両側傾斜壁面の下端を受止させるように構成している。
【0034】
地中埋設積層構造体10における下層部10B を構成する上記構造部材1Bは、
図1、
図6に示すように、地中埋設積層構造体10の上層部10A を構成する上記構造部材1Aとはその立体中空突壁部2bの高さを低くしている点以外は同大、同形で同一構造に形成されている。即ち、この構造部材10B は、上記上層部側を形成する構造部材1Aの底板部1a1 と同大、同形で同一厚みの底板部1b1 と、この底板部1b1 の四方縁辺に上記上層部側の構造部材1Aの底板部1a1 における外周枠部1a2 と同一高さで同大、同形、同一厚みの外周枠部1b2 を設けてなる基台1bと、この基台1bの底板部1b1 上に前後左右に上記上層部側の構造部材1Aの立体中空突壁部2aと同じ一定間隔を存して並設された互いに同一高さでその高さが構造部材1Aの立体中空突壁部2aの高さよりも低い中空の四角錐台からなる立体中空突壁部2b、2bとを備えている。
【0035】
従って、地中埋設積層構造体10の下層部10B を構成する構造部材1Bの上記基台1bは、上記凹部11の側壁から作用する土圧に対する水平強度を、地中埋設積層構造体10の上記上層部10A を構成する構造部材1Aの基台1aの水平強度に等しい強度に形成されている。
【0036】
さらに、地中埋設積層構造体10の下層部10B を構成するこの構造部材1Bの立体中空突壁部2bには、上層部10A を構成する上記構造部材1Aの立体中空突壁部2aと同様にその頂面の両端部に小突起2b1 、2b1 を突設していると共に、底板部1b1 の下面には、構造部材1B、1Bを順次直角に向きを変えながら積み重ねて地中埋設積層構造体10の上記下層部10B を構築する際に、
図7に示すように、下側に配した構造部材1Bの上記立体中空突壁部2bの小突起2b1 、2b1 を嵌合、係止させるための上方に向かって窪んだ凹部1b3 が形成されてあり、立体中空突壁部2bにおけるこれらの小突起2b1 、2b1 間の頂面上に上側に配する構造部材1Bにおける立体中空突壁部2bの開口下端を形成している両側傾斜壁面の下端を受止させるように構成している。
【0037】
なお、下層側の構造部材1Bにおける上記立体中空突壁部2bの頂面及びこの頂面上に突設している一対の小突起2b1 、2b1 は、上層側の構造部材1Aにおける上記立体中空突壁部2aの頂面及びこの頂面上に突設している一対の小突起2a1 、2a1 と同大、同形で同一構造に形成されていると共に、これらの構造部材1A、1Bの下端開口部の形状も同大、同形に形成されている。従って、地中埋設積層構造体10の下層部10B の最上段に設けている構造部材1Bの上端部に上層部10A の最下段に配した構造部材1Aの下端が嵌合した状態で互いに連結するように構成している。
【0038】
地中埋設積層構造体10を設けている上記凹部11に作用する土圧は、地表面からの深さに応じて変化し、浅い箇所では水平方向に作用する土圧が小さく、深い箇所では水平方向に作用する土圧が大きくなる。この水平方向の土圧を算出する際に、通常、地表面からの深さが4mとなる箇所を境として行われており、4mよりも浅い箇所には上記高さの高い構造部材1Aを多段、多層に積層することによって地中埋設積層構造体10の上層部10A が築造され、4mよりも深い箇所には上記高さの低い構造部材1Bを多段、多層に積層することによって地中埋設積層構造体10の下層部10A が築造されている。
【0039】
上記凹部11内に地中埋設積層構造体10を築造するには、この凹部11の底部に上記シート13を張設したのち、このシート13上に高さの低い上記構造部材1Bを互いにその基台1b、1bの外周枠部1b2 の対向面を突き合わせ状に接合させながら縦横に敷設すると共に、下側の構造部材1Bに対して上側の構造部材1Bを順次直角に向きを変えながら積み重ねて地表面から4mの深さ位置まで積み重ねることによって地中埋設積層構造体10の下層部10B を築造する。
【0040】
次いで、この下層部10B の最上段の構造部材1Bの層上にこの構造部材1Bよりも高さの高い上記構造部材1Aを、互いにその基台1a、1aの外周枠部1a2 の対向面を突き合わせ状に接合させながら縦横に敷設すると共に、下側の構造部材1Aに対して上側の構造部材1Aを順次直角に向きを変えながら地表面近くにまで積み重ねることによって地中埋設積層構造体10の上層部10A を築造することによって行われる。
【0041】
このように構成した地中埋設積層構造体10は、上層部10A を構成している構造部材1Aの高さが下層部10B を構成している構造部材1Bの高さよりも高く形成されている一方、上層部10A 側の構造部材1Aと下層部10B の構造部材1Aとにおける水平方向の土圧を受止する基台1a、1bの外周枠部1a2 、1b2 は、同大、同形で同一厚みに形成されていて、単位面積当たりの水平強度が等しくなっている。
【0042】
従って、上層部10A と下層部10B とにおいて、同じ高さ部分に積層されている構造部材1A、1Bの積層数を比較すると、上層部10A に積層されている構造部材1Aの積層数よりも下層部10B に積層されている構造部材1Bの積層数の方が多くなり、その多くなった分だけ基台1bの外周枠部1b2 における土圧を受止する面積の総和が上層部10A 側よりも大きくなって下層部10B の土圧を受止する水平強度を上層部10A の水平強度よりも高くすることができる。例えば、下層部10B 側の構造部材1Bの高さを上層部10A 側の構造部材1Aの高さの1/2とし、これらの構造部材1A、1Bの基台1a、1bの外周枠部1a2 、1b2 を同大、同形で同一厚みに形成している場合には、上層部10A と下層部10B との同じ高さ部分に積層されている構造部材の数は、下層部10B が上層部10A の2倍となり、下層部10B の水平強度を上層部10A の2倍の水平強度とすることができる。
【0043】
また、上記実施例では上層部10A を構成する高さの高い構造部材1Aと高さの低い構造部材1Bとにおける上記基台1a、1bの外周枠部1a2 、1b2 は、同大、同形で同一厚みに形成して同一水平強度としているが、高さの低い構造部材1Bの外周枠部1b2 の高さを高さの高い構造部材1Aの外周枠部1a2 の高さよりも低くする等によってその水平強度を高さの高い構造部材1Aの外周枠部1a2 の水平強度よりも低い強度にし、且つ、一定高さ部分における下層部10B 側の積層構造部材1Bの積層数を上層部10A 側の積層構造部材1Aの積層数よりも多くして土圧を受止する面積の総和が大きくなるようにしても下層部10B の土圧を受止する水平強度を上層部10A の水平強度よりも高くすることができ、本発明の目的を達成することができる。
【0044】
なお、上記地中埋設積層構造体10においては、下層部10B における最上段の構造部材1Bと上層部10A における最下段の構造部材1Aとは互いに嵌合によって連結しているが、嵌合によることなく下層部10B における最上段の構造部材1Bの立体中空突壁部2bの上面と、上層部10A における最下段の構造部材1Aの基台1aの下面との間にフラットな平面を有するスペーサ(図示せず)を介在させておいてもよく、このように構成すれば、上層部を構成する構造部材と下層部を構成する構造部材とにそれぞれ既存の水平強度の異なる構造部材を使用して土圧に応じた水平強度を有する地中埋設積層構造体を築造することができる。
【0045】
図8は本発明の地中埋設積層構造体の別な実施例を示すもので、上記実施例においては凹部11の下半部に高さの高い構造部材1Aを多段、多層に積み重ねることによって築造された下層部10B を、上半部に高さの低い構造部材1Bを多段、多層に積み重ねることによって築造された上層部10A を設けているが、この実施例においては、上層部10A と下層部10B
との間の中層部10C を設けている。
【0046】
具体的には、凹部11を深さ方向に略三等分して、上側空間部と中間空間部と下側空間部とし、下側空間部に高さの低い構造部材、例えば、上記構造部材1Bを多段、多層に積層することによって下層部10B を築造し、この下層部10B 上に下層部10B を構成している上記構造部材1Bよりも高い高さの構造部材1Cを多段、多層に積層することによって上記中間空間部を満たした中層部10C を築造し、この中層部10C 上に中層部10C を構成している構造部材1Cよりも高い高さの構造部材、例えば、上記実施例における上層部10A を構成している構造部材1Aを多段、多層に積層することによって上記上側空間部を略満たした上層部10A を築造した構造としている。
【0047】
中層部10C を構成した上記構造部材1Cは、その立体中空突壁部(図示せず)の高さを上記上層部10A を構成している構造部材1Aの立体中空突壁部2aの高さよりも低く、下層部10B の構成している構造部材1Bの立体中空突壁部2bの高さよりも高くしている以外は、構造部材1A、1Bと同一構造を有している。
【0048】
このように、地中埋設積層構造体10を上層部10A と中層部10C と下層部10B とによって構成すると、凹部11の地表面からの任意の深さにおいて、その深さ位置に作用する水平方向の土圧の大きさに対応した水平強度を有する地中埋設積層構造体10を正確に築造することができる。
【0049】
図9は本発明地中埋設積層構造体のさらに別な実施例を示すもので、上記実施例においては、高さの異なる構造部材を積層することによって地中埋設積層構造体10を構成しているが、この実施例においては、地中埋設積層構造体10の上層部10A を構成した構造部材1Dの高さと下層部10B を構成した構造部材1Eの高さとが同一高さに形成されていると共に下層部10B を構成した構造部材1Eにおける基台1eの高さを上層部10A を構成した構造部材1Dの基台1dの高さよりも高い高さに形成している。
【0050】
具体的には、上記地中埋設積層構造体10の上層部10A と下層部10B とを構成する構造部材1D、1Eは、上記実施例における地中埋設積層構造体10を構成した構造部材1A、1Bと同様に合成樹脂からなる成形品であり、平面正方形状で一定厚みを有する底板部1d1 、1e1 の四方縁辺に同じ厚みに形成されている矩形枠からなる外周枠部1d2 、1e2 をそれぞれ突設してなる基台1d、1eと、これらの基台1d、1eの上記底板部1d1 、1e1 上に前後左右に一定間隔を存して並設された互いに同一高さの中空の四角錐台からなる立体中空突壁部2d、2eとを備えている。
【0051】
なお、地中埋設積層構造体10の上下層部10A 、10B を構成する上記構造部材1D、1Eにおける基台1d、1eの平面形状が同大であり、立体中空突壁部2d、2eも同じ高さに形成されている。これらの構造部材1D、1Eの相違点は、
図10に示すように、地中埋設積層構造体10の下層部10B を構成する構造部材1Eの基台1eにおける外周枠部1e2 の高さを、上層部10A を構成する構造部材1Dの基台1dにおける外周枠部1d2 の高さよりも高くして土圧に対する水平強度を大きくしている点である。
【0052】
さらに、これらの構造部材1D、1Eにおける上記立体中空突壁部2d、2eの頂面の両端部には、小突起2d1 、2d1 、2e1 、 2e1が突設されていると共に基台1d、1eの底板部1d1 、1e1 の下面には、これらの構造部材1D、1Eをそれぞれ順次直角に向きを変えながら積み重ねて地中埋設積層構造体10の上層部10A と下層部10B とを構築する際に、下側に配した構造部材の上記小突起2d1 、2e1 を嵌合、係止させるための上方に向かって窪んだ凹部1d3 、1e3 がそれぞれ形成されていると共に、これらの小突起2d1 、2d1 間、2e1 、2e1 間の頂面上に上側に配する構造部材における立体中空突壁部2d、2eの開口下端を形成している両側傾斜壁面の下端を受止させるように構成している。
【0053】
上記のように構成した構造部材1D、構造部材1Eを多数、使用して凹部11内に地中埋設積層構造体10を築造するには、上記実施例と同様に、まず、凹部11の底部に設けた基礎12の上面及び凹部11の四方側壁を遮水シート等のシート13によって被覆したのち、底部のシート13上に高さの高い基台1eを有する上記構造部材1Eを互いにその基台1e、1eの対向面を突き合わせ状に接合させながら縦横に敷設すると共に、
図10に示すように、下側の構造部材1Eに対して上側の構造部材1Eを順次直角に向きを変えながら積み重ねて地表面から所定の深さ位置、例えば4mの深さ位置まで積み重ねることによって地中埋設積層構造体10の下層部10B を築造する。
【0054】
次いで、この下層部10B の最上段の構造部材1Eの層上に高さの低い基台1dを有する構造部材1Dを、互いにその基台1d、1dの対向面を突き合わせ状に接合させながら縦横に敷設すると共に、
図10に示すように、下側の構造部材1Dに対して上側の構造部材1Dを順次直角に向きを変えながら地表面近くにまで積み重ねることによって地中埋設積層構造体10の上層部10A を築造することによって行われる。
【0055】
このように構成した地中埋設積層構造体10は、上層部10A を構成している構造部材1Dの高さと下層部10B を構成している構造部材1Dの高さを同一高さとしているが、下層部10B
を構成している構造部材1Eの基台1eにおける外周枠部1e2 の高さを、上層部10A を構成している構造部材1Dの基台1dにおける外周枠部1d2 の高さよりも高くしているので、上層部10A と下層部10B とにおいて、同じ高さ部分に積層されている構造部材1A、1Bの積層数が同じであっても土圧を受止する面積の総和が上層部10A 側よりも大きくなって下層部10B
の土圧を受止する水平強度を上層部10A の水平強度よりも大きくすることができる。
【0056】
なお、以上の実施例においては、いずれの構造部材1A〜1Eにおいても、その基台1a〜1eを平面正方形状に形成してこれらの基台1a〜1eの底板部上に前後左右方向に一定間隔を存して立体中空突壁部2a〜2eを突設してなる構造としているが、基台(底板部)の平面形状を、例えば、上記正方形状の基台1a〜1eと同一幅で長さが1.5 倍或いは2倍等に形成された長方形状等の四角形状とし、その底板部上に立体中空突壁部を上記と同一間隔毎に突設してなる構造としておいても本発明を満足させることができる。
【符号の説明】
【0057】
1A〜1E 構造部材
1a〜1e 基台
1a1 〜1e1 底板部
1a2 〜1e2 外周枠部
2a〜2e 立体中空突壁部
10 地中埋設積層構造体
11 凹部