(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6784392
(24)【登録日】2020年10月27日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】棒材供給機
(51)【国際特許分類】
B23B 13/02 20060101AFI20201102BHJP
B23B 13/12 20060101ALI20201102BHJP
【FI】
B23B13/02 B
B23B13/12 Z
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-188008(P2016-188008)
(22)【出願日】2016年9月27日
(65)【公開番号】特開2018-51649(P2018-51649A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年4月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】507351850
【氏名又は名称】育良精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】廣澤 清
(72)【発明者】
【氏名】曽根 栄二
(72)【発明者】
【氏名】中里 幸司
【審査官】
中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−246502(JP,A)
【文献】
特開昭59−081001(JP,A)
【文献】
実開平05−037444(JP,U)
【文献】
米国特許第04068546(US,A)
【文献】
特開昭63−267103(JP,A)
【文献】
特開昭64−040202(JP,A)
【文献】
特開平03−287302(JP,A)
【文献】
特開平09−029505(JP,A)
【文献】
特開平10−071504(JP,A)
【文献】
特開平04−223804(JP,A)
【文献】
特開平09−216102(JP,A)
【文献】
特開2001−225215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 1/00−25/06
B23B 31/00−33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主軸台に設けられたコレットチャックに対して棒材を供給する棒材供給機であって、
基準座標に対して前記コレットチャックの軸線方向に移動可能に設けられ、棒材の端部を押し込むことで当該棒材を前記コレットチャックを通過するように送り出す送り部材と、
前記送り部材の移動を制御する送り制御部と、
を備え、
前記主軸台も、前記基準座標に対して前記コレットチャックの軸線方向に移動可能となっており、
前記コレットチャックは、前記送り部材によって棒材の端部が押し込まれて当該コレットチャックを所定の長さだけ通過した時、縮径するようになっており、
前記棒材供給機は、
前記基準座標に対する前記送り部材の移動と前記基準座標に対する前記主軸台の移動とが一体的に同一方向に同一距離ずつ行われるように、前記送り部材または前記基準座標に対する前記送り部材の移動に伴って移動する送り部材連動部材と前記主軸台または前記基準座標に対する前記主軸台の移動に伴って移動する主軸台連動部材とを着脱可能に連結するクラッチ手段と、
前記クラッチ手段の連結の着脱を制御する連結制御部と、
を更に備え、
前記連結制御部は、棒材直径確認モードでは、前記コレットチャックが縮径しても前記クラッチ手段を連結させないようになっており、
前記連結制御部は、棒材直径確認モードでなければ、前記コレットチャックが縮径したら前記クラッチ手段を連結させるようになっており、
前記送り制御部は、前記棒材直径確認モードにおいて、前記コレットチャックが縮径した後であって前記連結制御部が前記クラッチ手段を連結させていない状態で、更に前記送り部材を移動させるよう作用するようになっており、
前記棒材直径確認モードにおいて前記送り制御部による前記作用を受ける前記送り部材が、実際に移動するか否か、を判別する判別部が設けられている
ことを特徴とする棒材供給機。
【請求項2】
前記送り部材連動部材は、前記送り部材を支持する送り部材用無端部材と、当該送り部材用無端部材の移動に連動して回転移動する送り部材連動回転体と、を有しており、
前記主軸台連動部材は、前記主軸台に接続された主軸台用無端部材と、当該主軸台用無端部材の移動に連動して回転移動する主軸台連動回転体と、を有しており、
前記クラッチ手段は、前記送り部材連動回転体と前記主軸台連動回転体とを着脱可能に連結するようになっている
ことを特徴とする請求項1に記載の棒材供給機。
【請求項3】
前記送り制御部は、前記送り部材用無端部材を駆動可能なモータを介して、前記送り部材の移動を制御するようになっている
ことを特徴とする請求項2に記載の棒材供給機。
【請求項4】
前記判別部は、前記モータの内部に設けられたエンコーダを有している
ことを特徴とする請求項3に記載の棒材供給機。
【請求項5】
前記判別部は、前記棒材直径確認モードにおいて前記送り制御部による前記作用を受ける前記送り部材が、実際に所定の長さ以上移動するか否か、を判別するようになっており、
前記所定の長さは、任意に設定可能となっている
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の棒材供給機。
【請求項6】
前記所定の長さは、1mm〜200mmの範囲内で、任意に設定可能となっている
ことを特徴とする請求項5に記載の棒材供給機。
【請求項7】
主軸台に設けられたコレットチャックに対して棒材を供給する棒材供給機であって、
基準座標に対して前記コレットチャックの軸線方向に移動可能に設けられ、棒材の端部を押し込むことで当該棒材を前記コレットチャックを通過するように送り出す送り部材と、
前記送り部材の移動を制御する送り制御部と、
を備え、
前記主軸台も、前記基準座標に対して前記コレットチャックの軸線方向に移動可能となっており、
前記コレットチャックは、前記送り部材によって棒材の端部が押し込まれて当該コレットチャックを所定の長さだけ通過した時、縮径するようになっており、
前記棒材供給機は、
前記基準座標に対する前記送り部材の移動と前記基準座標に対する前記主軸台の移動とが一体的に同一方向に同一距離ずつ行われるように、前記送り部材の移動と前記主軸台の移動とを同期させる同期手段と、
前記同期手段を作動させる同期制御部と、
を更に備え、
前記同期制御部は、棒材直径確認モードでは、前記コレットチャックが縮径しても前記同期手段を作動させないようになっており、
前記同期制御部は、棒材直径確認モードでなければ、前記コレットチャックが縮径したら前記クラッチ手段を連結させるようになっており、
前記送り制御部は、前記棒材直径確認モードにおいて、前記コレットチャックが縮径した後であって前記同期制御部が前記同期手段を作動させていない状態で、更に前記送り部材を移動させるよう作用するようになっており、
前記棒材直径確認モードにおいて前記送り制御部による前記作用を受ける前記送り部材が、実際に移動するか否か、を判別する判別部が設けられている
ことを特徴とする棒材供給機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旋盤等の主軸移動型棒材加工機の主軸台に棒材を給送するための棒材供給機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、主軸移動型棒材加工機の主軸台に対して、送り部材(送り矢)によって棒材を給送する棒材供給機が知られている。送り部材は、一般的に、モータによって回転駆動されるスプロケットに巻き掛けられた無端チェーンに連結されている。送り部材の前端に、棒材の後端部を把持するためのフィンガーチャックが設けられ、当該フィンガーチャックの中に棒材の後端部が挿入されるようになっている。
【0003】
送り部材が無端チェーンの走行に伴って前方に移動することで、棒材が棒材加工機に向かって給送される。棒材の先端が、棒材加工機の所定の位置まで移動すると、棒材は棒材加工機のコレットチャックによって把持される。その後、主軸台が前後移動しながら棒材が加工される。
【0004】
棒材加工機が主軸移動型である場合、棒材加工中において棒材の後端部がフィンガーチャックから抜けないように、また、棒材に負荷を与えないように、送り部材が主軸台の移動に連動して移動することが好適である。
【0005】
例えば、本件出願人による特許文献1には、送り部材12を支持する送り部材用無端チェーン22と、当該送り部材用無端チェーン22の移動に連動して回転移動する送り部材連動回転体20と、主軸台6に接続された主軸台用無端チェーン50と、当該主軸台用無端チェーン50の移動に連動して回転移動する主軸台連動回転体48と、を有する構成において、クラッチ手段30によって送り部材連動回転体20と主軸台連動回転体48とが着脱可能に連結されるようになっている(
図4参照:特許文献1の
図1に相当する図である)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−246502
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
棒材加工機によって棒材を加工する際、予定していた棒材の直径よりも細い直径の棒材が供給されていると、コレットチャックによる棒材の把持が不十分となり、所望の加工が実施できないだけでなく、加工のために回転された棒材が棒材加工機や棒材供給機の要素部材(内壁など)に当たって騒音や破損を引き起こす。
【0008】
事前に棒材の直径を点検するべく、別途に直径測定装置を用意しておくことも一案ではある。しかしながら、細い棒材の直径を正確に測定する測定器は、かなり高価である。
【0009】
本発明は、以上の背景に基づいて創案されたものである。本発明の目的は、主軸台に設けられたコレットチャックに対して棒材を供給する棒材供給機であって、棒材の直径を安価に確認できる機能を備えた棒材供給機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、主軸台に設けられたコレットチャックに対して棒材を供給する棒材供給機であって、基準座標に対して前記コレットチャックの軸線方向に移動可能に設けられ、棒材の端部を押し込むことで当該棒材を前記コレットチャックを通過するように送り出す送り部材と、前記送り部材の移動を制御する送り制御部と、を備え、前記主軸台も、前記基準座標に対して前記コレットチャックの軸線方向に移動可能となっており、前記コレットチャックは、前記送り部材によって棒材の端部が押し込まれて当該コレットチャックを所定の長さだけ通過した時、縮径するようになっており、前記棒材供給機は、前記基準座標に対する前記送り部材の移動と前記基準座標に対する前記主軸台の移動とが一体的に同一方向に同一距離ずつ行われるように、前記送り部材または前記基準座標に対する前記送り部材の移動に伴って移動する送り部材連動部材と前記主軸台または前記基準座標に対する前記主軸台の移動に伴って移動する主軸台連動部材とを着脱可能に連結するクラッチ手段と、前記クラッチ手段の連結の着脱を制御する連結制御部と、を更に備え、前記連結制御部は、棒材直径確認モードでは、前記コレットチャックが縮径しても前記クラッチ手段を連結させないようになっており、
前記連結制御部は、棒材直径確認モードでなければ、前記コレットチャックが縮径したら前記クラッチ手段を連結させるようになっており、前記送り制御部は、前記棒材直径確認モードにおいて、前記コレットチャックが縮径した後であって前記連結制御部が前記クラッチ手段を連結させていない状態で、更に前記送り部材を移動させるよう作用するようになっており、前記棒材直径確認モードにおいて前記送り制御部による前記作用を受ける前記送り部材が、実際に移動するか否か、を判別する判別部が設けられていることを特徴とする棒材供給機である。
【0011】
本発明によれば、棒材直径確認モードにおいて、コレットチャックが縮径した後であってクラッチ手段が連結されていない状態で、送り制御部が更に送り部材を移動させるよう作用し、当該作用を受ける前記送り部材が実際に移動するか否か、を判別することで、棒材の直径がコレットチャックに対応した適切なものであることを、安価かつ正確に確認することができる。
【0012】
例えば、前記送り部材連動部材は、前記送り部材を支持する送り部材用無端部材と、当該送り部材用無端部材の移動に連動して回転移動する送り部材連動回転体と、を有しており、前記主軸台連動部材は、前記主軸台に接続された主軸台用無端部材と、当該主軸台用無端部材の移動に連動して回転移動する主軸台連動回転体と、を有しており、前記クラッチ手段は、前記送り部材連動回転体と前記主軸台連動回転体とを着脱可能に連結するようになっている。
【0013】
この場合、各構成要素を安価に製造することができ、また、各構成要素を安定的に作動させることができる。
【0014】
また、この場合、前記送り制御部は、前記送り部材用無端部材を駆動可能なモータを介して前記送り部材の移動を制御するようになっていることが好ましく、前記判別部は、前記モータの内部に設けられたエンコーダを有していることが好ましい。
【0015】
この場合、判別部を安価に製造することができ、また、判別部を安定的に作動させることができる。
【0016】
なお、前記判別部は、前記棒材直径確認モードにおいて前記送り制御部による前記作用を受ける前記送り部材が、実際に所定の長さ以上移動するか否か、を判別するようになっており、前記所定の長さは、任意に設定可能となっていることが好ましい。例えば、前記所定の長さは、1mm〜200mmの範囲内で、任意に設定可能である。
【0017】
以上の発明におけるクラッチ手段は、送り部材の移動と主軸台の移動とを同期させる同期手段によって置換することができる。その場合、連結制御部は、同期手段の作動ないし遮断についての制御を担うことになる。そのような発明は、主軸台に設けられたコレットチャックに対して棒材を供給する棒材供給機であって、基準座標に対して前記コレットチャックの軸線方向に移動可能に設けられ、棒材の端部を押し込むことで当該棒材を前記コレットチャックを通過するように送り出す送り部材と、前記送り部材の移動を制御する送り制御部と、を備え、前記主軸台も、前記基準座標に対して前記コレットチャックの軸線方向に移動可能となっており、前記コレットチャックは、前記送り部材によって棒材の端部が押し込まれて当該コレットチャックを所定の長さだけ通過した時、縮径するようになっており、前記棒材供給機は、前記基準座標に対する前記送り部材の移動と前記基準座標に対する前記主軸台の移動とが一体的に同一方向に同一距離ずつ行われるように、前記送り部材の移動と前記主軸台の移動とを同期させる同期手段と、前記同期手段を作動させる同期制御部と、を更に備え、前記同期制御部は、棒材直径確認モードでは、前記コレットチャックが縮径しても前記同期手段を作動させないようになっており、
前記同期制御部は、棒材直径確認モードでなければ、前記コレットチャックが縮径したら前記クラッチ手段を連結させるようになっており、前記送り制御部は、前記棒材直径確認モードにおいて、前記コレットチャックが縮径した後であって前記同期制御部が前記同期手段を作動させていない状態で、更に前記送り部材を移動させるよう作用するようになっており、前記棒材直径確認モードにおいて前記送り制御部による前記作用を受ける前記送り部材が、実際に移動するか否か、を判別する判別部が設けられていることを特徴とする棒材供給機である。
【0018】
本発明によれば、棒材直径確認モードにおいて、コレットチャックが縮径した後であって同期手段が作動されていない状態で、送り制御部が更に送り部材を移動させるよう作用し、当該作用を受ける前記送り部材が実際に移動するか否か、を判別することで、棒材の直径がコレットチャックに対応した適切なものであることを、安価かつ正確に確認することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、棒材直径確認モードにおいて、コレットチャックが縮径した後であってクラッチ手段が連結されていない状態で、送り制御部が更に送り部材を移動させるよう作用し、当該作用を受ける前記送り部材が実際に移動するか否か、を判別することで、棒材の直径がコレットチャックに対応した適切なものであることを、安価かつ正確に確認することができる。
【0020】
あるいは、本発明によれば、棒材直径確認モードにおいて、コレットチャックが縮径した後であって同期手段が作動されていない状態で、送り制御部が更に送り部材を移動させるよう作用し、当該作用を受ける前記送り部材が実際に移動するか否か、を判別することで、棒材の直径がコレットチャックに対応した適切なものであることを、安価かつ正確に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係る棒材供給機の概略斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る棒材供給機の動作フローを示す概略図である。
【
図4】従来の棒材供給機の概略斜視図である(特許文献1の
図1に相当する図である)。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係る棒材供給機102の概略斜視図である。本実施形態の棒材供給機102は、主軸台106に設けられたコレットチャック110に対して棒材を供給する棒材供給機である。
【0024】
送り部材としての送り矢112が、基準座標(本実施形態では後述する送り部材連動回転体120の回転軸位置)に対してコレットチャック110の軸線方向に移動可能に設けられており、フィンガーチャック112bを介して棒材の端部を押し込むことで当該棒材をコレットチャック110を通過するように送り出すようになっている。
【0025】
送り矢112は、羽根部112aを介して、当該送り矢112を支持する送り部材用無端チェーン122(送り部材用無端部材の一例)に取り付けられている。送り部材用無端チェーン122は、コレットチャック110の軸線方向に沿って往復するように、当該送り部材用無端チェーン122の移動に連動して回転移動する一対の送り部材連動スプロケット120(送り部材連動回転体の一例)に巻き掛けられている。そして、一対の送り部材連動スプロケット120の主軸台106側の一方は、駆動モータ116によって回転駆動されるようになっており、当該駆動モータ116は、送り制御部212によって制御されるようになっている。これにより、送り制御部212が、駆動モータ116を介して、送り矢112の移動を制御できるようになっている。なお、送り制御部212は、後述する連結制御部230の一部によって構成されていてもよい。
【0026】
一方、主軸台106も、基準座標に対してコレットチャック110の軸線方向に移動可能となっている。主軸台106は、コレットチャック110の軸線方向に延びるロッド部材126と、コレットチャック110の軸線方向に垂直な面内に延在する連結板138と、を介して、コレットチャック110の軸線方向に延びるリニアガイド136上を摺動する摺動部140に接続されている。
【0027】
そして、連結板138が、主軸台用無端チェーン150(主軸台材用無端部材の一例)に取り付けられている。主軸台用無端チェーン150も、コレットチャック110の軸線方向に沿って往復するように、当該主軸台用無端チェーン150の移動に連動して回転移動する一対の主軸台連動スプロケット148(主軸台連動回転体の一例)に巻き掛けられている。そして、一対の送り部材連動スプロケット120の主軸台106側の一方が、電磁クラッチ130(クラッチ手段の一例)を介して、駆動モータ116の回転軸152(及び主軸台106側の送り部材連動スプロケット120)に接続されている。一対の送り部材連動スプロケット120と一対の主軸台連動スプロケット148とは、いずれも同径であって、互いに平行に配置されている。
【0028】
これにより、電磁クラッチ130が連結状態にある時には、基準座標に対する送り矢112の移動と基準座標に対する主軸台の106移動とが、一体的に同一方向に同一距離ずつ行われるようになっている。
【0029】
また、コレットチャック110は、送り矢112によって棒材の端部が押し込まれて当該コレットチャック110を所定の長さだけ通過した時(例えばリミットスイッチからの出力を受けて)、隣接するスリーブ(不図示)がスライド移動されて所定の径だけ縮径するようになっている。
図2は、コレットチャック110の拡大図である。
【0030】
そして、本実施形態では、電磁クラッチ130の連結の着脱が、連結制御部230によって制御されるようになっている。具体的には、連結制御部230は、予め棒材直径確認モードという制御モードが用意されていて、当該棒材直径確認モードにおいては、コレットチャック110が縮径しても直ちには電磁クラッチ130を連結させないようになっている。
【0031】
そして、本実施形態の送り制御部212が、棒材直径確認モードにおける連結制御部230の前記制御に連動して、コレットチャック110が縮径した後であって連結制御部230が電磁クラッチ130を連結させていない状態で、送り矢112を移動させるべく、駆動モータ116を駆動するようになっている。
【0032】
ここで、棒材の直径がコレットチャック110に対応した適切なものであれば、コレットチャックの110の縮径によって棒材が確実に把持されており、駆動モータ116が駆動されても送り矢112は移動することができない。逆に、棒材の直径がコレットチャック110に対応した適切なものよりも細ければ、コレットチャックの110の縮径によっても棒材が確実に把持されておらず、駆動モータ116が駆動されると送り矢112が移動してしまう。この両者の状態の相違を判別することで、棒材の直径を安価かつ正確に確認することができる。
【0033】
本実施形態では、前記両者の状態の相違を判別するために、駆動モータ116の内部にエンコーダ116eが設けられている。当該エンコーダ116eの出力を判別することで、駆動モータ116の回転軸152が回転したか否か、すなわち、駆動モータ116の回転軸152に接続された送り部材連動スプロケット120、送り部材用無端チェーン122及び送り矢112が移動したか否か、を安価かつ正確に判別することができる。
【0034】
棒材加工機104は、主軸台106の他に、主軸台106のコレットチャック110を貫通して前方に突出してきた棒材を更に案内するためのガイドブッシュ111(
図2参照)と、棒材を加工するためのバイト108と、を備えている。バイト108は、例えば、棒材の周面近傍位置にある加工位置と、退避位置と、の間で出没可能に設けられている。主軸台106には、内部に回転自在な主軸(図示せず)が設けられていて、当該主軸の先端にコレットチャック110が取り付けられている。
【0035】
次に、
図3を参照しながら、本実施形態の作用について説明する。
【0036】
初め、送り矢112は、棒材供給機102の後端側に待機しており、コレットチャック110は拡径した状態である。
【0037】
新材が棒材供給機102によって投入される時に、連結制御部230の制御によって電磁クラッチ130が解除され、すなわち、主軸台連動スプロケット148と駆動モータ116の回転軸152との連結が解除される(ステップS1)。この状態で、送り制御部212の制御によって、駆動モータ116の駆動が開始される(ステップS2)。これにより、送り部材連動スプロケット120及び送り部材用無端チェーン122を介して、送り矢112が移動を開始する(ステップS3)。
【0038】
送り矢112の移動によって、棒材の端部が押し込まれて、コレットチャック110を所定の長さだけ通過すると、棒材が所定位置に到達する(ステップS4)。この状態が不図示のリミットセンサやエンコーダ等によって検知され、当該検知信号に基づいて、駆動モータ116が停止される(ステップS5)と共にコレットチャック110が縮径する(ステップS6)。
【0039】
この際、棒材の直径がコレットチャック110に対応した適切なものであれば、コレットチャックの110の縮径によって棒材が確実に把持される。逆に、棒材の直径がコレットチャック110に対応した適切なものよりも細ければ、コレットチャックの110の縮径によっても棒材が確実に把持されない。
【0040】
本実施形態の棒材供給機102は、棒材の最初の供給時には、棒材直径確認モードの制御を実施する(ステップS7)。すなわち、送り制御部212が送り矢112を移動させるよう作用し、当該作用を受ける送り矢112が実際に移動するか否か、を判別する。具体的には、再び駆動モータ116を駆動させ(ステップS8)、それによって送り矢112が実際に移動するか否かを、駆動モータ116の内部のエンコーダ116eの出力に基づいて判別する(ステップS9)。
【0041】
エンコーダ116eの出力に変化が無ければ、棒材がコレットチャック110に確実に把持されていて送り矢112及び棒材が移動できない状態である、ということが判別できる。逆に、エンコーダ116eの出力に変化があれば、棒材がコレットチャック110に確実に把持されておらず送り矢112及び棒材が移動できてしまう状態である、ということが判別できる。
【0042】
前者の場合には、適切な棒材が供給されていることを意味するので、棒材の加工工程に進む。具体的には、駆動モータ116の駆動が必要に応じて再び停止されて(ステップS10)、連結制御部230の制御によって電磁クラッチ130が締結され、すなわち、主軸台連動スプロケット148と駆動モータ116の回転軸152とが連結される(ステップS11)。これにより、その後に不図示の駆動系によって主軸台106が移動しても、ロッド部材126、連結板138、摺動部材140、主軸台用無端チェーン150、主軸台連動スプロケット148、送り部材連動スプロケット120及び送り部材用無端チェーン122が一体的に移動することで、送り矢112と主軸台106との間隔が維持される。これにより、棒材がフィンガーチャック112bから抜け出てしまうことなく、棒材に負荷を与えることもなく、主軸台106が前後に移動しながら、バイト108によって棒材が適切に加工され得る(ステップS12)。
【0043】
後者の場合には、適切な棒材が供給されていないことを意味するので、アラームを発する等して、棒材の供給のやり直しを促す(ステップS13)。
【0044】
以上のように、本実施形態の棒材供給機102によれば、棒材直径確認モードにおいて、コレットチャック110が縮径した後であって電磁クラッチ130が連結されていない状態で、送り制御部212が更に送り矢112を移動させるよう作用し、当該作用を受ける送り矢112が実際に移動するか否か、を判別することで、棒材の直径がコレットチャック110に対応した適切なものであることを安価かつ正確に確認することができる。
【0045】
また、本実施形態では、送り矢112が送り部材用無端チェーン122で支持されていて、送り部材連動スプロケット120が送り部材用無端チェーン122の移動に連動して回転移動するようになっており、一方、主軸台106がロッド部材126及び連結板138を介して主軸台用無端チェーン150に接続されており、主軸台連動スプロケット148が主軸台用無端チェーン150の移動に連動して回転移動するようになっており、電磁クラッチ130が、駆動モータ116の回転軸152を介して、送り部材連動スプロケット120と主軸台連動スプロケット148とを着脱可能に連結するようになっているため、各構成要素を安価に製造することができ、また、各構成要素を安定的に作動させることができる。
【0046】
また、本実施形態では、送り制御部212は、送り部材用無端チェーン120を駆動可能なモータ116を介して送り矢112の移動を制御するようになっており、また、駆動モータ116の内部のエンコーダ116eの出力を判別することで、棒材がコレットチャック110に適切に把持されているか、を判別できる。この場合、判別部を安価に製造することができ、また、判別部を安定的に作動させることができる。
【0047】
なお、判別部は、棒材直径確認モードにおいて、送り制御部212による前記作用を受ける送り矢112が、実際に所定の長さ以上移動するか否か、を判別するようになっていて、当該所定の長さは、例えば1mm〜200mmの範囲内で、任意に設定可能となっていることが好ましい。
【0048】
なお、以上の実施形態における電磁クラッチ130は、送り矢112の移動と主軸台106の移動とを同期させる同期手段によって置換することができる。その場合、連結制御部230は、同期制御部として、同期手段の作動ないし遮断についての制御を担うことになる。同期手段としては、例えばマグネスケールを採用したり、送り矢112の移動量と主軸台106の移動量との同期制御を実施する上位の制御手段を採用することができる。
【符号の説明】
【0049】
102 棒材供給機
104 (主軸移動型)棒材加工機
106 主軸台
108 バイト
110 コレットチャック
112 送り矢(送り部材)
112a 羽根部
112b フィンガーチャック
212 送り制御部
116 駆動モータ
120 送り部材連動スプロケット
122 送り部材用無端チェーン
126 ロッド部材
130 電磁クラッチ
136 リニアガイド
138 連結板
140 摺動部材
148 主軸台連動スプロケット
150 主軸台用無端チェーン
152 回転軸
230 連結制御部