特許第6784409号(P6784409)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6784409
(24)【登録日】2020年10月27日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】シャッター開閉装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/68 20060101AFI20201102BHJP
   E06B 9/84 20060101ALI20201102BHJP
   E05F 15/41 20150101ALI20201102BHJP
   E05F 15/665 20150101ALI20201102BHJP
【FI】
   E06B9/68 A
   E06B9/84 D
   E05F15/41
   E05F15/665
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-86756(P2018-86756)
(22)【出願日】2018年4月27日
(65)【公開番号】特開2019-190201(P2019-190201A)
(43)【公開日】2019年10月31日
【審査請求日】2019年11月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】395023613
【氏名又は名称】株式会社システムデザイン
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】飯田 光浩
【審査官】 秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−141995(JP,U)
【文献】 米国特許第5038087(US,A)
【文献】 特開2016−44420(JP,A)
【文献】 特開平7−224576(JP,A)
【文献】 特開平10−19957(JP,A)
【文献】 特開2005−273195(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00− 9/92
E05F 15/00−15/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャッターを巻き取る巻取部と、前記シャッターの重量に抗して前記巻取部を巻取方向に付勢するバランスバネと、前記巻取部を前記シャッターの開方向又は閉方向へ双方向に回転させるブラシ付きの直流モータと、を備えたシャッター装置において、前記直流モータを駆動して前記シャッターを開閉させるシャッター開閉装置であって、
直流電源の正極及び負極と前記直流モータの両端との間にそれぞれ設けられたスイッチング素子を備えた駆動回路と、
外部からの指令に従い、前記駆動回路のスイッチング素子を選択的にオンすることで、前記直流モータを前記シャッターの開方向又は閉方向に駆動する制御部と、
前記直流電源と前記駆動回路との間の通電経路に設けられ、前記直流モータから前記直流電源へと電流が逆方向に流れるのを阻止する逆流防止素子と、
前記制御部による前記直流モータの駆動時に、前記巻取部が前記シャッターの自重又は前記バランスバネの付勢力により回転して前記直流モータに逆起電力が発生すると、前記駆動回路を迂回するバイパス経路を導通させて、該バイパス経路に前記逆起電力による電流を流す逆起電力検出部と、
前記駆動回路を介して前記直流モータに双方向に流れる電流をそれぞれ検出する電流検出部と、
前記制御部による前記直流モータの駆動時に、前記直流モータのブラシにより前記電流検出部による検出電流が変動した回数をカウントするカウンタと、
を備え、前記制御部は、前記カウンタによるカウント値から前記シャッターの開閉位置を認識して、前記直流モータの駆動を制御するよう構成されている、シャッター開閉装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記直流モータの駆動停止時に、前記駆動回路のスイッチング素子を選択的にオンすることで、前記直流モータの回転軸に外力が加わったときに制動力を発生させて、前記シャッターの開閉位置を固定し、該開閉位置の固定時に前記電流検出部にて電流が検出されると、外部に異常を報知するよう構成されている、請求項1に記載のシャッター開閉装置。
【請求項3】
前記制御部は、外部からの指令に従い、前記直流モータを駆動して前記シャッターを全閉位置と全開位置との間で移動させて、前記カウンタのカウント値と前記シャッターの位置とを関連付ける、初期設定動作を実施するよう構成されている、請求項1又は請求項2に記載のシャッター開閉装置。
【請求項4】
前記制御部は、
少なくとも前記直流モータの前記シャッター閉方向への駆動時に、前記電流検出部による検出電流をサンプリングして、該検出電流の上昇率若しくは前回からの差分が閾値を超えると、前記シャッター周囲に障害物が存在すると判断して、外部に通知するよう構成されている、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のシャッター開閉装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記サンプリングした前記検出電流を移動平均して、その移動平均値から障害物検出用の電流閾値を設定し、前記検出電流が前記電流閾値を越えると、前記シャッター周囲に障害物が存在すると判断するように構成されている、請求項4に記載のシャッター開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シャッターの巻取部に設けられた直流モータを駆動して、シャッターを開閉させるシャッター開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のシャッター開閉装置においては、特許文献1に記載のように、直流モータに設けられた位置検出用のホールセンサからの検出信号に基づき、直流モータの総回転数を累計することで、シャッターの開閉位置を検出するようにされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5060537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のようにシャッターの開閉位置を検出するには、直流モータに位置検出用のホールセンサを設ける必要があり、シャッターの巻取部を回転させる直流モータとして、ホールセンサを備えていない安価な直流モータを利用することができなかった。
【0005】
そこで、本発明者は、直流モータにホールセンサ等のセンサを設けることなく、シャッターの開閉位置を検出できるようにするため、直流モータの回転時にブラシの切り替えによって生じる電流変化を利用して、シャッターの開閉位置を検出することを考えた。
【0006】
つまり、ブラシ付きの一般的な直流モータにおいては、回転時に、ブラシの切り替えによって電流変化が生じるので、その電流変化を検出して、カウントすることで、シャッターの開閉位置を検出するのである。
【0007】
しかし、シャッター装置においては、通常、シャッターの巻取部を、シャッターの重量に抗して巻取方向に付勢するバランスバネが設けられている。
このため、シャッターの巻取時(換言すれば上昇時)に、巻取部によりシャッターが全開位置付近まで巻き取られると、バランスバネの付勢力により巻取部が回転して、直流モータに逆起電力が発生し、直流モータに電流が流れなくなることがある。
【0008】
また、シャッターの下降時に、シャッターが全閉位置付近まで下降すると、シャッターの重量によって巻取部が回転して、直流モータに逆起電力が発生し、直流モータに電流が流れなくなることがある。
【0009】
そして、このように、逆起電力によって直流モータに電流が流れなくなると、シャッターの開閉位置を検出できず、シャッターの開閉制御を正常に実施できなくなる、という問題が生じる。
【0010】
本開示の一局面は、シャッター開閉装置において、シャッターの巻取部を駆動する直流モータのブラシにより生じる電流変化をカウントすることで、シャッターの下限位置から上限位置までの開閉位置を正確に検出できるようにすることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の一局面のシャッター開閉装置は、シャッターを巻き取る巻取部と、シャッター
の重量に抗して巻取部を巻取方向に付勢するバランスバネと、巻取部をシャッターの開方向又は閉方向へ双方向に回転させるブラシ付きの直流モータと、を備えたシャッター装置において、直流モータを駆動してシャッターを開閉させる装置である。
【0012】
そして、シャッター開閉装置は、駆動回路と、制御部と、逆流防止素子と、逆起電力検出部と、電流検出部と、カウンタを備える。
駆動回路は、直流電源の正極及び負極と直流モータの両端との間にそれぞれ設けられたスイッチング素子を備えている。そして、制御部は、外部からの指令に従い、駆動回路のスイッチング素子を選択的にオンすることで、直流モータをシャッターの開方向又は閉方向に駆動する。
【0013】
逆流防止素子は、直流電源と駆動回路との間の通電経路に設けられ、直流モータから直流電源へと電流が逆方向に流れるのを阻止するためのものであり、例えば、ダイオード等にて構成される。
【0014】
逆起電力検出部は、制御部による直流モータの駆動時に、巻取部がシャッターの自重又はバランスバネの付勢力により回転して、直流モータに逆起電力が発生した際に、駆動回路を迂回するバイパス経路を導通させて、バイパス経路に逆起電力による電流を流す。
【0015】
なお、直流電源と駆動回路との間の通電経路には、逆流防止素子が設けられているため、直流モータに逆起電力が発生した際、逆起電力により直流モータから直流電源側に電流が流れることはない。
【0016】
次に、電流検出部は、駆動部を介して直流モータに双方向に流れる電流をそれぞれ検出する。そして、カウンタは、制御部による直流モータの駆動時に、直流モータのブラシにより電流検出部による検出電流が変動した回数をカウントする。
【0017】
つまり、直流モータにおいては、自身の回転に伴いブラシにより巻線への通電方向が切り替えられることから、その切り替えに伴い電流検出部による検出電流が変動する。そこで、カウンタは、その変動回数をカウントすることで、直流モータの回転量(延いては、シャッターの開閉位置)を計測するのである。
【0018】
また、電流検出部は、直流モータに双方向に流れる電流を検出するため、直流モータの駆動時に、直流モータへの通電方向に対応した順方向に流れる電流だけでなく、逆起電力によりバイパス経路を介して逆方向に流れる電流についても検出できる。
【0019】
このため、カウンタは、電流検出部にて検出される検出電流の変動をカウントすることで、直流モータに逆起電力が発生しているときにでも、直流モータの回転量(延いては、シャッターの開閉位置)を計測することができる。
【0020】
そして、制御部は、カウンタによるカウント値からシャッターの開閉位置を認識し、直流モータの駆動を制御する。
このように、本開示のシャッター開閉装置においては、直流モータの駆動時に、バランスバネの付勢力若しくはシャッターの自重により、直流モータが回転して逆起電力を発生すると、逆起電力検出部がバイパス経路を導通させる。
【0021】
このため、カウンタは、電流検出部にて検出される検出電流の変動をカウントすることで、シャッターの全閉位置から全開位置までの可動範囲内で、シャッターの開閉位置を正確に計測することができる。
【0022】
よって、制御部は、カウンタによるカウント値に基づき、シャッターの開閉位置を監視しつつ、直流モータの駆動を制御できことになり、シャッターの開閉制御を精度よく実施できる。
【0023】
また、本開示のシャッター開閉装置によれば、制御部によるシャッターの開閉制御を、ホールセンサ等の回転センサを利用してシャッターの開閉位置を検出することなく実施することができるので、従来装置に比べて装置構成を簡単にして低コストで実現できる。
【0024】
ここで、制御部は、直流モータの駆動停止時に、駆動回路のスイッチング素子を選択的にオンすることで、直流モータの回転軸に外力が加わったときに制動力を発生させて、シャッターの開閉位置を固定するように構成されていてもよい。
【0025】
またこの場合、制御部は、シャッターの開閉位置を固定しているときに、電流検出部にて電流が検出されると、外部に異常を報知するよう構成されていてもよい。
つまり、例えば、シャッターが全閉位置で固定されているときに、誰かがシャッター内に侵入しようとして、シャッターを持ち上げた場合など、シャッターの位置固定時にシャッターに外力が加わると、直流モータに制動力が発生して、電流が流れる。
【0026】
そこで、制御部において、シャッターの開閉位置を固定しているときに電流検出部にて電流が検出されたときには、異常が発生したと判断して、外部に報知するようにするのである。
【0027】
この結果、シャッター内への不正侵入やシャッター装置に対するいたずら等を未然に防ぐことができるようになり、安全性を向上することができる。
一方、制御部は、外部からの指令に従い直流モータを駆動してシャッターを全閉位置と全開位置との間で移動させ、カウンタのカウント値とシャッターの位置とを関連付ける、初期設定動作を実施するよう構成されていてもよい。
【0028】
つまり、使用者は、制御部に初期設定動作を実施させることで、シャッターの全閉位置から全開位置までの移動量(長さ)に対応したカウンタの最大カウント値を計測させて、シャッターの位置とカウント値との対応関係を初期設定させることができる。
【0029】
このため、シャッターの全閉位置から全開位置までの移動量(長さ)が異なるシャッター装置であっても、シャッター開閉装置の設置後、上記初期設定動作を実施させることで、シャッター装置に対し、制御部の制御動作を簡単に適合させることができる。
【0030】
また、初期設定動作で得られるカウンタの最大カウント値は、シャッター装置固有の値である。このため、制御部は、この最大カウント値を記憶しておくことで、例えば、停電時等にシャッターが手動で動かされて、シャッターの位置とカウンタのカウント値とが対応しなくなったとしても、その対応関係を極めて簡単に修復することができる。
【0031】
つまり、制御部は、シャッターが全閉若しくは全開位置になったときに、カウンタのカウント値を零又は最大カウント値に設定することで、シャッターの位置とカウンタのカウント値とを極めて簡単に対応させることができる。
【0032】
また次に、制御部は、少なくとも前記直流モータの前記シャッター閉方向への駆動時に、電流検出部による検出電流をサンプリングして、検出電流の上昇率若しくは前回からの差分が閾値を超えると、シャッター周囲に障害物が存在すると判断して、外部に通知するよう構成されていてもよい。
【0033】
つまり、シャッター周囲に障害物が存在していて、シャッターの上昇若しくは下降が妨げられると、直流モータに加わる負荷が大きくなって、電流検出部による検出電流が急上昇する。そこで、検出電流の上昇率若しくは前回の差分から、シャッターの周囲に昇降の妨げとなる障害物が存在することを検出して、外部に通知するのである。
【0034】
このようにすれば、シャッター開閉装置の動作状態をより正確に把握して、使用者に通知することができるようになり、シャッター開閉装置の使い勝手を向上できる。
なお、検出電流の上昇率若しくは全開からの差分が閾値を越えたか否かを判断する際には、検出電流を移動平均して、その移動平均値から障害物検出用の電流閾値を設定し、検出電流が電流閾値を越えたか否かを判断するようにしてもよい。
【0035】
そして、このようにすれば、使用者は、外部からの指令によって、移動平均値から電流閾値を設定するに用いる係数やオフセット値を設定することで、障害物の検出感度を簡単に調整できるようになり、シャッター開閉装置の使い勝手を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】実施形態のシャッター装置の概略構成を表す説明図である。
図2】シャッター装置の巻取部に対するモータの取り付け状態を表す説明図である。
図3】シャッター開閉装置の電気的構成を表すブロック図である。
図4】制御部において実行されるモータ駆動処理を表すフローチャートである。
図5】制御部において実行される駆動状態監視処理を表すフローチャートである。
図6】制御部において実行されるロック状態監視処理を表すフローチャートである。
図7】制御部において実行される初期設定処理を表すフローチャートである。
図8】シャッターの上昇時及び下降時の電流波形と電流の上限値及び第1閾値との関係を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1に示すように、シャッター装置1は、建物の出入り口等の開口部を開閉するシャッター2と、その開口部の上方に設置されて、シャッター2を下方に引き出し可能に収納するシャッターケース4を備える。
【0038】
シャッターケース4内には、シャッター2の巻取中心軸となる固定シャフト6と、固定シャフト6の軸周りに回転可能に設けられた複数の巻取ドラム10A,10B,10Cが収納されている。
【0039】
巻取ドラム10A,10Cは、固定シャフト6の両端に配置され、巻取ドラム10Bは固定シャフト6の中央に配置されている。そして、各巻取ドラム10A,10B,10Cは、ロッド8を介して互いに連結されている。
【0040】
このため、各巻取ドラム10A,10B,10Cは、固定シャフト6の軸周りに同時に回転可能であり、巻取ドラム10A,10B,10Cをシャッター2の開方向に回転させることで、シャッター2をシャッターケース4内に収納することができる。
【0041】
また、各巻取ドラム10A,10B,10Cをシャッター2の閉方向に回転させることで、シャッター2をシャッターケース4から引き出し、建物の出入り口等の開口部を閉じることができる。
【0042】
また、固定シャフト6と巻取ドラム10A,10Cとの間には、シャッターケース4から引き出されたシャッター2の重量に抗して、巻取ドラム10A,10Cをシャッター2
の巻取方向に付勢するバランスバネ12が設けられている。
【0043】
従って、このバランスバネ12により、シャッター2を昇降させる際の巻取ドラム10A,10B,10Cの回転トルクが、シャッター2の開閉位置によって大きく変動するのを抑制できる。なお、巻取ドラム10A,10B,10Cは、本開示の巻取部に相当する。
【0044】
また、固定シャフト6には、巻取ドラム10Bを、シャッター2の開方向又は閉方向へと双方向に回転させるためのブラシ付きの直流モータ20が設けられている。
直流モータ20は、図2Aに示すように、巻取ドラム10Bにねじで固定された連結具14を介して、巻取ドラム10Bを固定シャフト6周りに回転させるためのものであり、図2Bに示すように、固定具16を介して、固定シャフト6に固定されている。
【0045】
連結具14は、直流モータ20の出力軸に設けられた外歯歯車18Aに噛合される内歯歯車14Aと、内歯歯車14Aを巻取ドラム10Bの中心軸方向片面に固定する固定具14Bとを備える。
【0046】
固定具14Bは、内歯歯車14Aの回転中心軸が巻取ドラム10Bの中心軸と一致するように、内歯歯車14Aを巻取ドラム10Bに固定するものであり、巻取ドラム10Bは、内歯歯車14Aの回転により固定シャフト6の軸周りに回転する。
【0047】
なお、連結具14を構成する内歯歯車14A及び固定具14Bは、円環形状であるが、既存のシャッター装置の巻取ドラム10Bに対し外付けできるように分割されており、巻取ドラム10Bにねじで固定することで円環形状になっている。
【0048】
また、直流モータ20を固定シャフト6に固定する固定具16は、固定シャフト6を挟持可能な2つの固定板16A,16Bにて構成されており、固定板16A,16B同士をボルトで連結してナットで締め付けることで、固定シャフト6に外付けされる。
【0049】
また、固定板16A,16Bは、固定シャフト6に当接される板面を中心にして、コの字状に屈曲されている。
直流モータ20は、一方の固定板16Aにおいて、互いに対向する板面の内、連結具14とは反対側の板面に固定されており、直流モータ20の出力軸は、直流モータ20が固定された板面から他方の板面に向けて突出されている。
【0050】
そして、直流モータ20の出力軸には、連結具14の内歯歯車14Aに噛合するように、外歯歯車18Aが固定されている。
また、他方の固定板16Aにおいて、互いに対向する板面の間にも、連結具14の内歯歯車14Aに噛合するように、外歯歯車18Bが回転自在に固定されている。
【0051】
このため、直流モータ20を駆動することで、固定シャフト6周りに、巻取ドラム10B、及び、ロッド8を介して巻取ドラム10Bに連結された巻取ドラム10A,10Cを回転させて、シャッター2を上昇又は下降させることができるようになる。
【0052】
次に、本実施形態のシャッター開閉装置は、図3に示すように構成されており、上記のようにシャッター装置1に設けられた直流モータ20を駆動することで、シャッター2を開閉させる。
【0053】
すなわち、本実施形態のシャッター開閉装置には、直流モータ20の駆動回路として、直流電源22の正極及び負極と直流モータ20の両端との間にそれぞれ設けられたスイッ
チング素子Q1〜Q4が備えられている。
【0054】
この駆動回路は、所謂Hブリッジ回路であり、直流電源22の正極側に接続されるスイッチング素子Q1,Q2が所謂ハイサイドスイッチであり、直流電源22の負極側に接続されるスイッチング素子Q3,Q4が所謂ローサイドスイッチである。
【0055】
そして、スイッチング素子Q3,Q4から直流電源22の負極に至る通電経路には、それぞれ、電流検出部として、電流検出用の抵抗R1,R2が設けられている。
また、直流電源22の正極側からスイッチング素子Q1,Q2に至る通電経路には、直流モータ20に発生した逆起電力により電流が逆流するのを防止するため、逆流防止素子としてのダイオード24が設けられている。
【0056】
そして、ダイオード24の両端には、直流電源の正極に接続されるアノードの電位Vaと、駆動回路のスイッチング素子Q1,Q2側の電位Vbとを比較し、Vb>Vaとなったときに、直流モータ20に逆起電力が発生したことを検出する比較部26が接続されている。
【0057】
比較部26は、本開示の逆起電力検出部に相当し、直流モータ20に逆起電力が発生したことを検出すると、スイッチング素子Q1〜Q4と抵抗R1,R2とにより構成される直流モータ20への通電経路を迂回するバイパス経路を導通させる。
【0058】
つまり、このバイパス経路は、スイッチング素子Q0と抵抗R0とにより構成されており、比較部26は、スイッチング素子Q0をオンすることで、バイパス経路を導通させる。
【0059】
この結果、直流モータ20を駆動してシャッター2を開方向又は閉方向に移動させているとき、バランスバネ12の付勢力若しくはシャッター2の自重によって巻取ドラム10A,10B,10Cが回転して、直流モータ20に逆起電力が発生すると、直流モータ20には、バイパス経路を介して通常時とは逆方向に電流が流れることになる。そして、このように逆方向に電流が流れることによって、巻取ドラム10A,10B,10Cの回転上昇が抑制される。
【0060】
なお、駆動回路を構成するスイッチング素子Q1〜Q4及びバイパス経路を形成するスイッチング素子Q0は、トランジスタ若しくはFET等の半導体素子にて構成されている。
【0061】
次に、駆動回路を構成するスイッチング素子Q1〜Q4は、シャッター2を開閉させる制御部30にて駆動される。
制御部30は、CPU、ROM、RAM等を含むマイコンにて構成されており、直流モータ20の駆動時には、抵抗R1,R2の両端電圧を直流モータ20に流れた電流値として取り込み、直流モータ20の駆動状態を監視する。
【0062】
なお、制御部30には、抵抗R1,R2に流れる電流により発生する電圧が、ノイズを除去するローパスフィルタ(LPF)31,31、増幅回路(AMP)33,34、及び、A/D変換器35,36を介して,それぞれ入力される。
【0063】
また、本実施形態のシャッター開閉装置には、HPF37,38を介して、抵抗R1,R2に流れる電流の変動、詳しくは、直流モータ20の回転時にブラシによって発生する電流の変動を検出し、その変動回数をカウントするカウンタ40が備えられている。そして、このカウンタ40によるカウント値も、制御部30に入力される。
【0064】
また、制御部30には、外部端末44との間で直接或いはインターネット46経由で無線通信するための通信部42と、異常状態を報知するためのブザーや警報ランプ等からなる報知部48も接続されている。
【0065】
なお、外部端末44は、シャッター2の開閉、停止等を指令するためのものであり、使用者が所持するリモコン装置やスマートフォン、パソコン等の情報端末が利用される。
次に、制御部30において、シャッター2の開閉状態を制御するために実行されるモータ駆動処理について説明する。
【0066】
モータ駆動処理は、外部端末44を介して設定される動作モードに応じて、直流モータ20を駆動若しくは停止させる処理である。
なお、本実施形態では、動作モードとして、直流モータ20をシャッター2の開方向に駆動する上昇駆動モード、シャッター2の閉方向に駆動する下降駆動モード、停止(ロック)させるロックモード、及び、回転を自由にするフリーモードを設定可能である。
【0067】
図4に示すように、モータ駆動処理では、まずS110にて、外部端末44又は後述の処理により動作モードが変更されたか否かを判断する。
そして、動作モードが変更されていなければ、再度S110の処理を実行することにより、動作モードが変更されるのを待機し、動作モードが変更されると、S120に移行して、動作モードは上昇駆動モードであるか否かを判断する。
【0068】
動作モードが上昇駆動モードである場合には、S130に移行して、スイッチング素子Q1とQ4をオン状態にし、スイッチング素子Q2とQ3をオフ状態にすることで、直流モータ20に正方向に電流を流し、シャッター2を上昇させる方向に回転させる。
【0069】
次に、S120にて、動作モードは上昇駆動モードではないと判断されると、S150に移行して、動作モードは下降駆動モードであるか否かを判断する。
動作モードが下降駆動モードである場合には、S160に移行して、スイッチング素子Q2とQ3をオン状態にし、スイッチング素子Q1とQ4をオフ状態にすることで、直流モータ20に逆方向に電流を流し、シャッター2を下降させる方向に回転させる。
【0070】
そして、S130又はS160にて、直流モータ20の駆動を開始すると、S140にて、後述の駆動状態監視処理を起動し、再度S110に移行する。
次に、S150にて、動作モードは下降駆動モードではないと判断されると、S170に移行して、動作モードはロックモードであるか否かを判断する。
【0071】
動作モードがロックモードであれば、S180に移行して、ハイサイドスイッチであるスイッチング素子Q1,Q2を共にオフ状態し、ローサイドスイッチであるスイッチング素子Q3,Q4を共にオン状態にすることで、直流モータ20を停止させる。
【0072】
なお、この状態では、外部から直流モータ20の出力軸を回転させる力が加わると、その回転を制動させる電流が流れて、制動トルクが発生するため、直流モータ20はそのときの停止位置に位置決め(ロック)される。
【0073】
そして、続くS190では、後述のロック状態監視処理を起動し、S110に移行する。
次に、S170にて、動作モードはロックモードではないと判断されると、S200に移行して、動作モードはフリーモードであるか否かを判断する。
【0074】
動作モードがフリーモードであれば、S210に移行して、駆動回路を構成するスイッチング素子Q1〜Q4を全てオフ状態にして、直流モータ20が自由に回転できるようにし、S110に移行する。
【0075】
また、動作モードがフリーモードでなければ、動作モードは変化していなかったと判断して、S110に移行する。
次に、S140にて、直流モータ20の駆動開始後に起動される駆動状態監視処理は、図5に示すように実行される。
【0076】
すなわち、駆動状態監視処理では、まずS300にて、シャッター2の移動方向(上昇又は下降)に応じて、抵抗R1、R2にて検出される検出電流の上限値を設定する。
この上限値は、直流モータ20の駆動時に直流モータ20に加わる負荷が大きくなって過電流が流れたときに、その旨を検出するための最大電流値であり、制御部30に設けられた不揮発性メモリ30Aに記憶されている。
【0077】
また、シャッター2の上昇時と下降時とで直流モータ20に流れる電流は異なることから、電流の上限値は、上昇時と下降時とでそれぞれ設定されており、しかも、各上限値は、外部端末44等を利用して任意に設定できるようにされている。
【0078】
次に、S310では、カウンタ40からカウント値を取得することで、シャッター2の開閉位置を検出する。
つまり、カウンタ40は、抵抗R1、R2にて検出される検出電流の変動回数をカウントするため、そのカウント値から、直流モータ20の駆動開始後の回転量を検知できる。
【0079】
そこで、S310では、そのカウント値と直流モータ20の回転方向とからシャッター2の開閉位置を逐次更新する。そして、S310では、その更新した開閉位置は、制御部30に設けられた不揮発性メモリ30Aに書き込むことで、シャッター2の開閉位置を記憶する。
【0080】
なお、シャッター2の開閉位置は、シャッター2の全閉位置若しくは全開位置からの直流モータ20の回転量(カウント値)で把握できる。
このため、制御部30は、後述の初期設定処理を実行することにより、直流モータ20を駆動してシャッター2を全開位置から全閉位置へと移動させて、その間のカウント値を計測する。そして、その計測結果に基づき、シャッター2の開閉位置とカウント値とを関連づけて不揮発性メモリ30Aに記憶するようにされている。
【0081】
次に、S320では、S310にて検出したシャッター2の開閉位置が、直流モータ20の現在の回転方向の最終位置である、全開位置若しくは全閉位置に到達したか否かを判断する。
【0082】
そして、シャッター2の開閉位置が最終位置に到達していれば、S410に移行して、動作モードをロックモードに切り替え、直流モータ20を、現在の回転位置に停止(ロック)させることで、シャッター2を最終位置に固定させ、S400に移行する。
【0083】
また、S320にて、シャッター2の開閉位置は最終位置に到達していないと判断されると、S330に移行して、抵抗R1若しくはR2を介して検出される直流モータ20の駆動電流を取得(サンプリング)し、取得した電流値を現在のシャッター2の開閉位置(換言すればカウント値)に関連づけて、不揮発性メモリ30Aに記憶する。
【0084】
次に、S340では、現在の動作モードは、シャッター2を下降させる下降駆動モード
であるか否かを判断する。そして、下降駆動モードであれば、障害物検知のために、S350〜370の処理を実行し、下降駆動モードでなければ、つまり、動作モードがシャッター2を上昇させる上昇駆動モードであれば、S380に移行する。
【0085】
S350では、S330にて設定時間内にサンプリングした電流値の移動平均値を算出し、S360では、その移動平均値に基づき、障害物検出用の電流閾値である第1閾値を算出する。なお、この算出は、移動平均値に係数(1より大きい値)を乗じ、所定のマージン値を加える(第1閾値=移動平均値×係数+マージン値)ことにより実施される。
【0086】
そして、S370では、S360で求めた第1閾値と、S330にて取得した最新の電流値とを比較し、電流値が第1閾値よりも大きい場合には、S420に移行し、電流値が第1閾値以下である場合には、S380に移行する。
【0087】
S420では、シャッター2が障害物に当たっていると判断し、報知部48を介してその旨を使用者に通知する。また、S420では、障害物の検知結果を外部端末44に送信することによっても、障害物検知を使用者に通知する。
【0088】
そして、S420では、直流モータ20を所定量だけ逆方向(上昇方向)に駆動して、シャッター2を障害物から退避させ、S430に移行する。
次に、S380では、S330で取得した最新の電流値と、S300で設定した上限値とを比較し、電流値が上限値よりも大きい場合に、直流モータ20に過電流が流れていると判断して、S430に移行する。
【0089】
そして、S430では、動作モードをロックモード若しくはフリーモードに切り替えることで、直流モータ20の駆動を停止し、S400に移行する。
また、S380にて、電流値は上限値以下であると判断されると、S390に移行する。そして、S390では、動作モードが変化したか否かを判断し、動作モードが変化していなければ、再度S310に移行し、動作モードが変化していれば、S400に移行する。
【0090】
S400では、当該駆動状態監視処理による監視結果、つまり、シャッター2の開閉時のシャッター位置及びモータ電流を表す時系列データや、現在のシャッター位置、障害物検知、等の情報を、外部端末44に送信し、当該駆動状態監視処理を終了する。
【0091】
従って、使用者は、外部端末44を利用して、シャッター2の開閉時の直流モータ20の駆動状態を把握できる。
なお、本実施形態では、直流モータ20の下降時には、S350〜S370での障害物判定と、S380での過電流判定とが実施されるが、これは、障害物判定では、検出電流の移動平均値に基づき電流閾値(第1閾値)を設定するためである。
【0092】
つまり、障害物判定で検出電流が電流閾値に達しない場合、つまり検出電流の上昇率が比較的小さい場合、であっても、検出電流が徐々に増加して、直流モータ20に過電流が流れることがある。
【0093】
そこで、本実施形態では、過電流判定と障害物判定との両方を実施することで、直流モータ20によるシャッター2の駆動系の異常を検出して、駆動系を保護するようにしているのである。
【0094】
次に、S190にて、直流モータ20の停止(ロック)後に起動されるロック状態監視処理は、図6に示すように実行される。
すなわち、ロック状態監視処理では、S510にて、抵抗R1,R2を介して検出される、直流モータ20の各電流経路の電流値を取得する。そして、続くS520では、その取得した電流値の内、少なくとも一方が予め設定された閾値(上述した第1閾値とは異なる第2閾値)を超えたか否かを判断することにより、ロック状態にある直流モータ20に対し、異常な外力が加わったか否かを判断する。
【0095】
そして、直流モータ20に異常な外力が加わっていなければ、S530に移行して、動作モードが変化したか否かを判断し、動作モードが変化していなければ、S510に移行し、動作モードが変化していれば、当該ロック状態監視処理を終了する。
【0096】
また、S520にて、直流モータ20に異常な外力が加わったと判断された場合、シャッター2が無理に持ち上げられたか、或いは、シャッター2がいたずらされたと判断できるので、S540に移行して、報知部48から警報を発生させ、当該ロック状態監視処理を終了する。
【0097】
なお、異常時に通知すべき外部端末44や警備会社が登録されている場合、S540では、その通知先にも、異常を表す情報を通知する。
従って、ロック状態監視処理により、シャッター2内への不正侵入やシャッター装置1に対するいたずら等を未然に防ぐことができるようになり、建物の安全性を向上することができる。
【0098】
次に、上述したように、シャッター2の開閉位置とカウント値とを関連づけて不揮発性メモリ30Aに記憶する、初期設定処理について説明する。
この初期設定処理は、外部端末44からの直流モータ20の駆動指令、及び、シャッター2の全閉位置及び全開位置でのカウント値の設定指令に従い、実行される処理である。
【0099】
図7に示すように、初期設定処理が開始されると、S610にて、外部端末44からのシャッター2の上昇・下降指令に従い、直流モータ20を駆動し、シャッター2を上昇・下降させる。
【0100】
そして、続くS620では、外部端末44から全閉位置指令が入力されたか否かを判断し、全閉位置指令が入力されていなければ、再度S610に移行することで、外部端末44からの指令に応じた直流モータ20の駆動制御を実施する。
【0101】
このため、使用者は、外部端末44を操作することで、直流モータ20を駆動して、シャッター2を所望方向に移動させることができる。また、使用者は、シャッター2が全閉位置になったときに、外部端末44を操作して全閉位置指令を入力することで、制御部30にシャッター2が全閉位置にあることを通知できる。
【0102】
次に、S620にて、外部端末44から全閉位置指令が入力されたと判断されると、S630に移行して、カウンタ40の初期値として、全閉位置を表す値「0」を設定する。
そして、続くS640では、外部端末44から入力される上昇指令に従い、直流モータ20をシャッター2の上昇方向に駆動し、S650にて、その駆動中に抵抗R2を介して検出されるモータ電流及びカウンタ40によるカウント値をサンプリングする。
【0103】
次に、S660では、外部端末44から全開位置指令が入力されたか否かを判断し、全開位置指令が入力されていなければ、再度S640に移行して、上昇指令に基づく直流モータ20の駆動を継続し、全開位置指令が入力されると、S670に移行する。
【0104】
そして、S670では、カウンタ40による現在のカウント値を、シャッター2の全開
位置に対応したカウント値(MAX)として不揮発性メモリ30Aに記憶する。
従って、使用者は、外部端末44を操作することで、直流モータ20を駆動して、シャッター2を全閉位置から全開位置まで移動させて、全開位置指令を入力することで、制御部30に、シャッター2の全開位置に対応したカウント値(MAX)を記憶させることができる。
【0105】
なお、このカウント値(MAX)は、シャッター2の全閉位置から全開位置までの移動量(換言すれば長さ)に対応することから、不揮発性メモリ30Aには、シャッター2の長さを表す情報が初期値として設定されることになる。
【0106】
このため、制御部30は、このカウント値(MAX)と、シャッター2の全閉位置に対応するカウント値「0」とに基づき、シャッター2の位置(換言すれば開度)を把握できることになる。
【0107】
また、停電等によりカウンタ40によるカウント値とシャッター位置との対応関係がずれたとしても、制御部30は、駆動状態監視処理の実行中に、シャッター2が全閉位置若しくは全開位置に到達して、直流モータ20の回転が停止したときに、カウント値を0若しくはMAXに設定することで、カウント値とシャッター位置との対応関係を自動で再設定することができるようになる。
【0108】
次に、S680では、シャッター2の上昇時にS650にてサンプリングした電流値及びカウント値のサンプリングデータを、外部端末44に送信する。
この結果、外部端末44の使用者は、図8Aに例示するように、シャッター2を全閉位置から全開位置まで上昇させたときの電流波形を、外部端末44のディスプレイに表示させることで、シャッター2の上昇時の電流変化を確認することができる。
【0109】
また、使用者は、外部端末44を操作して、シャッター2の上昇時の電流値の上限値を設定することで、制御部30がシャッター2の上昇時に過電流を判定して、直流モータ20の駆動を停止する際の電流値を任意に設定できる。
【0110】
なお、この場合、シャッター上昇時の上限値の設定は、図8Aに示すようにディスプレイに上昇時上限値調整ラインを表示させて、使用者が、調整ライン上のカーソル(黒丸)を左右に移動させることで、設定できるようにするとよい。
【0111】
このため、制御部30は、S680にて、サンプリングデータを外部端末44に送信した後は、S690に移行して、シャッター上昇時の電流上限値を表すデータが外部端末44から送信されてきたか否かを判断する。
【0112】
そして、その上限値データが外部端末44から送信されていれば、その上限値データに基づき、シャッター上昇時の電流の上限値を設定して、不揮発性メモリ30Aに記憶し、S710に移行する。また、S690にて、上限値データは外部端末44から送信されていないと判断された場合には、そのままS710に移行する。
【0113】
S710では、外部端末44から入力される下降指令に従い、直流モータ20をシャッター2の下降方向に駆動し、S720にて、その駆動中に抵抗R1を介して検出されるモータ電流及びカウンタ40によるカウント値をサンプリングする。
【0114】
そして、続くS730では、カウンタ40によるカウント値が値「0」になったか否か、つまり、シャッター2が全閉位置に到達したか否かを判断し、シャッターが全閉位置に到達していなければ、S710に移行して、直流モータ20の駆動を継続する。
【0115】
また、S730にて、シャッター2が全閉位置に到達したと判断されると、直流モータの駆動を停止して、S720でサンプリングされた電流値及びカウント値のサンプリングデータを、外部端末44に送信する。
【0116】
この結果、外部端末44の使用者は、図8Bに例示するように、シャッター2を全開位置から全閉位置まで下降させたときの電流波形を、外部端末44のディルプレイに表示させることで、シャッター2の下降時の電流変化を確認することができる。
【0117】
また、使用者は、外部端末44を操作して、シャッター2の下降時の電流値の上限値を設定することで、制御部30がシャッター2の下降時に過電流を判定して、直流モータ20の駆動を停止する際の電流値を任意に設定できる。
【0118】
なお、シャッター下降時の上限値の設定は、シャッター上昇時の上限値と同様、図8Bに示すようにディスプレイに下降時上限値調整ラインを表示させて、使用者が調整ライン上のカーソル(黒丸)を左右に移動させることで、設定できるようにするとよい。
【0119】
また、外部端末44は、制御部30から送信されてきたシャッター下降時の電流値のサンプリングデータに基づき、上述したS350,S360と同様の手順で第1閾値を算出して、その算出結果を、電流波形と一緒にディルプレイに表示させるように構成されていてもよい。
【0120】
外部端末44をこのように構成した場合、図8Bに示すように、ディスプレイに第1閾値の調整ラインを表示させて、使用者が調整ライン上のカーソル(黒丸)を左右に移動させることで、第1閾値(=移動平均値×係数+マージン値)の演算パラメータであるマージン値を任意に設定できるようにしてもよい。
【0121】
また、係数や、検出電流を移動平均する際の期間(移動平均時間)についても、数値入力等で任意に設定できるようにし、その設定変更に応じて、ディスプレイの表示画面上で、第1閾値の表示を変化させるようにすれば、使用者は、電流波形に対する第1閾値の特性を任意に調整できるようになる。
【0122】
なお、外部端末44におけるシャッター上昇時及び下降時の電流の上限値の設定手順や、第1閾値の演算パラメータ(係数、マージン値)、移動平均時間の設定手順は、外部端末44の仕様やアプリケーションソフト等によって、適宜設定すればよく、上記設定方法に限定されるものではない。
【0123】
このため、制御部30は、S740にて、サンプリングデータを外部端末44に送信した後は、S750に移行して、シャッター下降時の電流の上限値や、第1閾値の演算パラメータ等の設定データが、外部端末44から送信されてきたか否かを判断する。
【0124】
そして、その設定データが外部端末44から送信されていれば、その設定データに従い、シャッター上昇・下降時の電流の上限値や、第1閾値の演算パラメータを設定して、不揮発性メモリ30Aに記憶し、当該初期設定処理を終了する。
【0125】
以上説明したように、本実施形態では、直流モータ20の駆動時にブラシによって発生する電流変動を、カウンタ40にてカウントし、そのカウント値から、シャッター2の開閉位置を把握するようにされている。
【0126】
このため、本実施形態のシャッター開閉装置によれば、従来装置のように、ホールセン
サ等の回転センサを利用して、シャッター2の開閉位置を検出する必要がなく、従来装置に比べて装置構成を簡単にして低コストで実現できる。
【0127】
また、シャッター2の全開位置及び全閉位置についても、カウンタ40によるカウント値に基づき把握することから、シャッター2が全開或いは全閉状態になったことを、リミットスイッチ等を使って、検出する必要がない。従って、この点においても、従来装置に比べて、装置構成を簡単にして、コスト低減を図ることができる。
【0128】
また、本実施形態では、直流モータ20の駆動時に検出したシャッター2の開閉位置とそのとき流れている電流値とを不揮発性メモリ30Aに記憶することから、その記憶データから、シャッター2の開閉時の電流変化を把握できる。
【0129】
そして、その電流変化と、シャッター装置設置時の電流変化とを比較することで、シャッター装置全体の劣化状態を検知して、シャッター装置のメンテナンス時期を設定できる。また、こうした電流変化の比較を、制御部30において実施するようにすれば、シャッター装置のメンテナンス時期を、外部端末44に自動で通知できるようになり、シャッター装置1の使い勝手を向上できる。
【0130】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
例えば、上記実施形態では、障害物の検出は、シャッター2の下降時に実施するものとして説明したが、シャッター2の上昇時にも実施するようにしてもよい。
【0131】
また、障害物の検出には、検出電流の移動平均値に係数を乗じ、マージン値を加算することで算出される電流閾値(第1閾値)を用いるものとして説明したが、障害物の検出は、モータ電流の上昇を検知できればよい。
【0132】
このため、例えば、移動平均値とモータ電流との比率から電流の上昇率を算出して、その上昇率が閾値を越えたときに、障害物を検出するようにしてもよい。また、移動平均値とモータ電流との差分が閾値を越えたときに障害物を検出するようにしてもよい。
【0133】
また、上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本発明の実施形態である。
【符号の説明】
【0134】
1…シャッター装置、2…シャッター、4…シャッターケース、6…固定シャフト、8…ロッド、10A,10B,10C…巻取ドラム、12…バランスバネ、14…連結具、14A…内歯歯車、16…固定具、18A,18B…外歯歯車、20…直流モータ、22…直流電源、24…ダイオード、26…比較部、30…制御部、30A…不揮発性メモリ、40…カウンタ、42…通信部、44…外部端末、48…報知部、Q0〜Q4…スイッチング素子、R0〜R2…抵抗。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8