特許第6784417号(P6784417)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6784417
(24)【登録日】2020年10月27日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】磁力選別装置及び異物選別システム
(51)【国際特許分類】
   B03C 1/14 20060101AFI20201102BHJP
   B03C 1/26 20060101ALI20201102BHJP
   B03C 1/28 20060101ALI20201102BHJP
   B03C 1/00 20060101ALI20201102BHJP
   B07C 5/344 20060101ALI20201102BHJP
【FI】
   B03C1/14 101
   B03C1/26
   B03C1/28 105
   B03C1/00 B
   B03C1/00 F
   B07C5/344
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-74132(P2019-74132)
(22)【出願日】2019年4月9日
(65)【公開番号】特開2020-171878(P2020-171878A)
(43)【公開日】2020年10月22日
【審査請求日】2019年8月9日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501219208
【氏名又は名称】株式会社セイホー
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾野 彰則
【審査官】 宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−208048(JP,A)
【文献】 特開2012−071279(JP,A)
【文献】 特開2005−342651(JP,A)
【文献】 特開2000−157936(JP,A)
【文献】 特開2016−203060(JP,A)
【文献】 特開2004−009005(JP,A)
【文献】 特開2009−208049(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3152920(JP,U)
【文献】 特開2002−355577(JP,A)
【文献】 特開昭57−119856(JP,A)
【文献】 特開2006−334559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B03C 1/00− 1/32
B07C 1/00−99/00
B01J 4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品の選別対象物を上部表面で受け取ると共に、モータで駆動されて常時回転する中空の回転筒(5)と、
軟鉄ヨークを介在させて隣り合う磁極が同じとなるように複数のかまぼこ形板状のネオジム磁石が直列に結合されて形成され、前記回転筒内に設けられた状態で、軸が前記回転筒の軸心に一致して配置される永久磁石体(6)と、
前記永久磁石体から左右両側に伸びた軸に形成され、前記回転筒の内部と外部をつなぐ左右の軸孔(13、13’)と、が備えられ、
前記回転筒の一側に、前記選別対象物に含まれる金属を前記永久磁石体の磁力により吸着させ、吸着された金属片が前記回転筒の回転に伴って前記永久磁石体から離れて磁力が及ばなくなると、前記金属片を自重で落下させて、選別対象物から分離し、
選別対象物から分離した金属片を集める第1シュート(10)が前記回転筒の下部に設けられ、前記第1シュートには、落下した金属片を固定する金属片固定手段(50)が設けられ、
回動動作する落下防止板(8)が前記回転筒(5)の上部に設けられ、前記落下防止板(8)は送り出し手段(15)によって前記回転筒(5)の回転方向に回動され、前記回転筒上の前記選別対象物を送り出した後に元の位置に戻って停止する動作を繰り返し、前記落下防止板が元の位置で停止している時に、前記選別対象物が前記回転筒の上に供給されることを特徴とする磁力選別装置。
【請求項2】
前記左右の軸孔(13、13’)は、それぞれ前記回転筒内に空気を送り込む空気流路(19)と、前記回転筒内の空気を排出する空気流路(19)となることを特徴とする請求項1に記載の磁力選別装置。
【請求項3】
風力により毛髪とビニール片を分離する風力選別装置(80)と、
複数の金網部材と振動フィーダを備え、所定の形状より大きな形状と、所定の形状より小さいものを除外して通過させる形状選別装置(70)と、
選別対象物に混入している金属片を磁力によって磁気吸着させて選別する請求項1又は2に記載の磁力選別装置(100)と、
発信コイルと受信コイルを備え、選別対象物に混入している非磁性金属片を分離する金属探知機(90)と、
CCDカメラによって撮像したカラー画像と、近赤外線で撮像された画像を解析して、同じ形状の選別対象物でも色が異なっているとき及び色に濃淡の差があるとき、異物として分離する色彩選別装置(85)と、
X線発生器(112)と、X線検出器(113)を備え、X線検出器が撮像した画像を解析してガラスを含む異物を選別対象物から分離するX線選別装置(110)と、を備え、
前記風力選別装置(80)、前記形状選別装置(70)、前記磁力選別装置(100)、前記金属探知機(90)、前記色彩選別装置(85)、前記X線選別装置(110)の順で、前記選別対象物が供給されることを特徴とする異物選別システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁力選別装置及びこの磁力選別装置を用いた異物選別システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にて、出願人は、磁力選別装置を提案した。この磁力選別装置は回転筒の内部に板状円形の磁石を多数積層した円筒型の永久磁石を備える。長尺な永久磁石の軸は、回転筒の軸とは一致せず偏心して配置される。回転筒の直径は、永久磁石の円筒直径よりかなり大きい。これは、回転筒に吸着した鉄片を回転筒が回転して下向きになった時、磁力の影響をなくして落下させるためである。
【0003】
一方、特許文献2の磁力選別装置では、永久磁石の形状が円形ではなく、かまぼこ形となっており、この永久磁石を回転させることなく、その軸は回転筒の軸と一致して配置される構造が開示されている。永久磁石は、回転筒の内周側に約90度の幅があり、回転筒はその付近の外側表面に強い磁力を有するが、それ以外の角度では、回転筒の表面の磁力を小さくまたはゼロにできるため、金属片を分離することができる。この永久磁石は、回転筒の径を小さくでき、磁力選別装置の小型化が図れる。
【0004】
しかしながら、回転筒の径が小さいと、(a)回転筒の頂部に落下させる粒状の選別対象物は、回転筒の前後方向に散らばるので、回転筒の後方に落下した選別対象物は、ストッパ付近で塊になりやすく、また回転方向に上昇せず滞留する。ここで塊の上に次の選別対象物が落下すると、落下したものが塊のまま回転筒の回転方向に進み、塊の外側付近に付着した鉄片が回転筒の表面方向に移動しにくいものとなる。そのため鉄片などの金属の分離性能が低下することになる。(b)回転筒の径が小さくなると、外周の1回転時間が短くなるので、粒状の選別対象物が回転筒に衝突して生じる熱が逃げず温度が上昇する。選別対象物によっては、高い温度に曝されることが好ましくないものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−9005号公報
【特許文献2】特開2012−71279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、金属片の分離性能に優れた磁力選別装置及び異物選別システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による磁力選別装置は、食品の選別対象物を上部表面で受け取ると共に、モータで駆動されて常時回転する中空の回転筒(5)と、軟鉄ヨークを介在させて隣り合う磁極が同じとなるように複数のかまぼこ形板状のネオジム磁石が直列に結合されて形成され、前記回転筒内に設けられた状態で、軸が前記回転筒の軸心に一致して配置される永久磁石体(6)と、前記永久磁石体から左右両側に伸びた軸に形成され、前記回転筒の内部と外部をつなぐ左右の軸孔(13、13’)と、が備えられ、前記回転筒の一側に、前記選別対象物に含まれる金属を前記永久磁石体の磁力により吸着させ、吸着された金属片が前記回転筒の回転に伴って前記永久磁石体から離れて磁力が及ばなくなると、前記金属片を自重で落下させて、選別対象物から分離し、選別対象物から分離した金属片を集める第1シュート(10)が前記回転筒の下部に設けられ、前記第1シュートには、落下した金属片を固定する金属片固定手段(50)が設けられ、回動動作する落下防止板(8)が前記回転筒(5)の上部に設けられ、前記落下防止板(8)は送り出し手段(15)によって前記回転筒(5)の回転方向に回動され、前記回転筒上の前記選別対象物を送り出した後に元の位置に戻って停止する動作を繰り返し、前記落下防止板が元の位置で停止している時に、前記選別対象物が前記回転筒の上に供給されることを特徴とする。
【0008】
前記左右の軸孔(13、13’)は、それぞれ前記回転筒内に空気を送り込む空気流路(19)と、前記回転筒内の空気を排出する空気流路(19)となることを特徴とする。
【0011】
本発明による異物選別システムは、風力により毛髪とビニール片を分離する風力選別装置(80)と、複数の金網部材と振動フィーダを備え、所定の形状より大きな形状と、所定の形状より小さいものを除外して通過させる形状選別装置(70)と、選別対象物に混入している金属片を磁力によって磁気吸着させて選別する請求項1又は2に記載の磁力選別装置(100)と、発信コイルと受信コイルを備え、選別対象物に混入している非磁性金属片を分離する金属探知機(90)と、CCDカメラによって撮像したカラー画像と、近赤外線で撮像された画像を解析して、同じ形状の選別対象物でも色が異なっているとき及び色に濃淡の差があるとき、異物として分離する色彩選別装置(85)と、X線発生器(112)と、X線検出器(113)を備え、X線検出器が撮像した画像を解析してガラスを含む異物を選別対象物から分離するX線選別装置(110)と、を備え、前記風力選別装置(80)、前記形状選別装置(70)、前記磁力選別装置(100)、前記金属探知機(90)、前記色彩選別装置(85)、前記X線選別装置(110)の順で、前記選別対象物が供給されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明による磁力選別装置によれば、(a)かまぼこ形のネオジム磁石を使用した小型の永久磁石体を採用したので、磁力面が円弧状に長い強力な磁界を形成でき、金属片の分離性能を向上できる。(b)永久磁石体から左右両側に伸びた軸に形成された左右の軸孔(13、13’)を設けたので、一方の軸孔から空気を回転筒の内部に送り込み、他方の軸孔から空気を排出することができる。回転筒外部の冷たい空気を回転筒内に送り込み、熱によって選別対象物の食品の影響(変色など)を防止できる。また、温度上昇による永久磁石の性能低下がないため、金属片を確実に吸着し金属片の分離能力が向上する。
【0014】
左右の軸孔(13、13’)は、回転筒内に空気を送り込んで排出する空気流路となるので、回転筒内に冷たい空気を送り込め、また回転筒内の空気を排出できる。粒が回転筒に衝突することで発生する熱により、選別対象物が影響を受けることが防止できる。また、温度が低いため、永久磁石の性能低下がなく、金属片の吸着・分離能力が向上する。
【0015】
落下防止板を回動させたので、回転筒の上部後方に落下した選別対象物が塊になって滞留することがない。また、塊の上に次の選別対象物が落下して塊となることも防止でき、金属片の分離性能を向上できる。
【0016】
第1シュート(10)に金属片固定手段(50)を設けたので、金属片のみを集めて廃棄できる。なお、金属片固定手段(50)と回転筒の距離を接近させることで、回転筒(6)から落下する金属片(21)を飛び散らないよう集めることができる。
【0017】
本発明による異物選別システムによれば、風力選別装置(80)と、形状選別装置(70)と、色彩選別装置(85)と、磁力選別装置(100)と、金属探知機(90)と、X線選別装置(110)からなり、形状選別装置(70)により所定の形状より大きな形状と、所定の形状より小さいものが除外され、風力選別装置(80)により毛髪とビニール片が分離され、色彩選別装置(85)により、異なる色のもの及び色の濃淡が異なるものが分離され、例えば同じ形状の粒でかつ同じ色でも虫や糞が分離でき、磁力選別装置(100)により鉄やステンレスの金属片が分離され、金属探知機(90)により非磁性のアルミニウムなど金属片が分離され、X線選別装置(110)によりガラス片、小石、プラスチックなどが分離できる。
【0018】
選別対象物は、磁力選別装置(100)、金属探知機(90)、色彩選別装置(85)、X線選別装置(110)の順に供給される場合において、一般に選別対象物に混入するのは酸化鉄やステンレスが大部分(60〜80%)なので、先に磁力選別装置(100)でこれらを分離しておくと、X線選別装置(110)と色彩選別装置(85)の負荷が少なくできる。X線選別装置(110)と色彩選別装置(85)で、良品が異物受けのシュートに入ることをより少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明による磁力選別装置の内部構成を示す側面図である。
図2図1の磁力選別装置の内部構成を示す正面図である。
図3】回転筒に使用される永久磁石体の斜視図である。
図4図3の永久磁石体の平面図である。
図5】回転筒を含む永久磁石体の左側面図である。
図6】ネオジム磁石のS極とN極の配列を示す図である。
図7】落下防止板の動作を示す説明図である。
図8】ローラと落下防止板の関係を示す動作説明図である。
図9】金属固定手段の平面図及び斜視図である。
図10】金属固定手段のマグネット棒の内部構成を示す図である。
図11】本発明による磁力選別装置の外観図である。
図12】本発明による異物選別システムの構成図である。
図13】異物選別システムの具体例1である。
図14】異物選別システムの具体例2である。
図15】本発明による異物選別システムの機能説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付の図面を参照して、本発明による磁力選別装置と異物選別システムを詳しく説明する。
【0021】
図1は、本発明による磁力選別装置100の内部構成を示す側面図である。図1に示すように、筐体9の屋根には、食品の選別対象物を収容するホッパ1が設けられる。ホッパ1は、上流の装置から選別対象物が定量供給される場合は備えなくてもよい。ホッパ1の下側は、一対のローラ2、3からなる定量供給機構4が設けられ、回転筒5の上方に定量ずつ選別対象物を供給する。ローラ2、3は対向して設けられ、羽根でホッパ1の選別対象物を掴み取って回転筒5の上方に落とす。回転筒5は、摩耗に強いステンレス製からなり、厚さは薄く、約1mm以下の厚さとなっている。回転筒5の中空の内部には、永久磁石体6が設けられる。永久磁石体6により、選別対象物20に含まれる金属片21を回転筒5の表面に吸着させ、食品から他の選別対象物を分離する。選別対象物の粒状の食品は、例としてゴマ、米、小麦などがあげられる。粒状のものでも粉状のものでもよい。
【0022】
回転筒5の上部後側には、選別対象物の落下防止板8が設けられ、回転筒5の下部前側には、分離調節板7が設けられる。落下防止板8は、定量供給機構4からの選別対象物20を受け止め、回転筒5の回転方向とは反対の後方側に選別対象物20が落下しないよう防止すると共に、回動して選別対象物20を回転筒5前方に送り出す。分離調節板7は、回転筒5から選別対象物20が放出されて前方に落下する良品の選別対象物20と、回転筒5に吸着された後に回転筒5の真下〜後方に落下する金属片21とを分離する。分離調節板7は、傾斜角度を調節することができる。
【0023】
回転筒5に吸着された鉄などの金属片21は、回転筒5が回転して吸着した金属片21が永久磁石体6から離れると、永久磁石体6の磁力が及ばなくなり、自重で回転筒5から離れる弾道を有して落下する。この弾道を確保するため、永久磁石体6は、かまぼこ形のネオジム磁石32(図5)は、回転筒5に臨む湾曲頂部が長くなるように設定されている。また、弾道が分離調節板7を超える弾道となるように分離調節板7の角度が設定される。選別対象物20の食品は、磁力の影響を受けないので、回転筒5の前側下方向に落下する。なお、筐体9の下部には、分離された金属片を受ける第1シュート10と、選別された良品を受ける第2シュート11が設けられる。
【0024】
第1シュート10には、落下した金属片21を固定する金属片固定手段50が設けられる。図9に示すように、金属片固定手段50は、複数のマグネット棒からなり、棒の表面に金属片21を吸着できる。マグネット棒の間隔は、選別対象物20が引っかかることなく落下させる必要上、選別対象物20の最大径よりも大きい。第1シュート10には、金属片21だけではなく、良品の選別対象物20が落下することもあるので、良品と金属片とを分別して回収できる。金属片固定手段50は、回転筒5から離れた金属片21が飛散しないように、金属片21を引き付ける位置に配置できる。
【0025】
図2は、図1の磁力選別装置100の内部構成を示す正面図である。回転筒5は、モータ30で駆動されるベルト26により常時回転する。永久磁石体6は、軸31が回転筒5の軸心に一致して設置され、回転筒5の選別対象物20が落下する側(図1の右上方向)に磁石が向くようにして固定される。軸31は、両端が軸受で支持される。磁界は、回転筒5の長手方向(左右方向)に沿って長く生成される。回転筒5の内部へファン12により空気を送り込める。空気は、永久磁石体6の軸31に形成された一方の軸孔13を通って回転筒5の内部に入り、回転筒5の内部の空気は、永久磁石体6の軸に形成された他方の軸孔13’を通って外部に出る。この空気の流動により永久磁石体6を冷却できる。軸孔13、13’に加えて空冷手段16を設けることができる。空冷手段16は、ファン12と空気通路から構成される。軸孔13、13’が空気流路19となる。
【0026】
図3は、回転筒に使用される永久磁石体6の斜視図である。長さは約90cmである。複数のネオジム磁石32が、軸31に取付けられた扇形の軟鉄ヨーク33で挟み込まれた構造である。軸31には軸孔13、13’が形成されている。ネオジム磁石32の反対側には、3本のバランサー14が取り付けられる。ネオジム磁石32は、図5に示すように、かまぼこ形の形状に形成されており、そのかまぼこ形の湾曲頂部が回転筒5の内面に臨むように取り付けられる。
【0027】
図4は、図3の永久磁石体6の平面図である。軸31には、軸孔13、13’が形成され、一方の軸孔13から回転筒5の内部に空気が入り込み、他方の軸孔13’から空気が出るため、回転筒5の内部を冷やすことができる。軸孔13、13’は空気流路19となる。ネオジム磁石32は、それぞれが軟鉄ヨーク33で挟み込まれる。左右には、固定部材34、35が設けられ、ボルトで全体が固定される。これに限るものではないが、ネオジム磁石32の厚さは約12.5mm、軟鉄ヨーク33の厚さは約3mmである。固定部材34、35を含む横幅は、約450mmである。軸31の径は約40mmである。
【0028】
軸孔13、13’が形成する空気流路19に対し、図2に示すように、ファン12を配置することができる。ファン12は、一方の軸孔13の開口端に臨むように配置される。ファン12を駆動することにより、空気が一方の軸孔13から回転筒5の内部に流動して拡散し、他方の軸孔13’から排出される。これにより、回転筒5の温度上昇を防止できるため、熱による選別対象物20の変色や溶着を防止することができる。
【0029】
図5は、回転筒5を含む永久磁石体6の左側面図である。回転筒5の直径は、約220mmである。ネオジム磁石32は、板状のもので、一方がS極の面で、他方がN極の面である。その外形はかまぼこ形である。湾曲頂部の外周Lが回転筒5の円周に合わせて長い。ネオジム磁石32の円弧状の角度は、例えば約110度である。軟鉄ヨーク33は、板状で扇形をしており、孔があって軸31に取り付けられる。図5に示すように、回転筒5に吸着した金属片は、回転筒5が回転して磁力が及ばなくなると、点線のような弾道で下方向に落下する。
【0030】
図6は、ネオジム磁石32のS極とN極の配列を示す図である。隣り合う磁極が同じとなるように直列に結合される。このような配列により、磁力線17を回転筒5の外側に向かって、かつ軸方向に沿って生成する。磁力の強さは約1.4テスラ以上である。
【0031】
図7は、落下防止板8の動作を示す説明図である。(A)は、選別対象物20が回転筒5の上部に落下している状態で、一部は、回転筒5が回転しているので、前方に搬送されるが、落下防止板8で受け止められた選別対象物20は、回転筒5の登り坂を登れずに貯留される場合がある。(B)は、落下防止板8が送り出し手段15で回動され、選別対象物20が前方に送り出されることを示す。回動の速度は、回転筒5の回転速度と同じにする。(C)は、落下防止板8が元の位置に戻されることを示す。送り出し手段15は、ステッピングモータと、アームで構成できる。
【0032】
図8は、ローラ2、3と落下防止板8の関係を示す動作説明図である。ローラ2、3は、落下防止板8を回動させる時間帯と、回動が停止される時間帯からなり、間歇回転駆動される。ローラ2、3は、回動して所定量の選別対象物20を落下させる時間と、停止して選別対象物20を落下させない時間とを繰り返す。ローラ2、3の回動が停止している時間帯で落下防止板8が動き、選別対象物20を送り出した後、元の位置に戻る。
【0033】
図9は、金属片固定手段50の平面図及び斜視図である。金属片固定手段50は、複数のマグネット棒24からなる。マグネット棒24は、内部にネオジム磁石24aが、同じ極が向い合せとなるように配列されている。これにより周囲に、長さ方向に沿って長い磁界を生成できる。ネオジム磁石24aは摩耗に弱いため、外側をステンレス管24bで覆って保護している。ネオジム磁石24aを、ステンレス管24bから引き出すと、ステンレス管24bの磁力がなくなるので、吸着していた金属が離れて落下する。そのため、異物(磁性体の金属、鉄片など)をかき落とす必要がなく、運転終了後の異物の回収が容易になる。
【0034】
図10は、金属固定手段50のマグネット棒24の内部構成を示す図である。(A)は、マグネット棒24を電磁石で構成した例である。(B)は、ネオジム磁石で構成した例である。マグネット棒24を(A)、(B)いずれで構成してもよい。電磁石で構成した場合、スイッチの操作1つで、異物を受皿に回収できる。金属片固定手段50を第1シュート10に設けたので、分離し落下させた金属片21の運転終了後の回収が容易になる。
【0035】
図11は、本発明による磁力選別装置100の外観図である。ホッパ1と定量供給機構4が上部に設けられる。定量供給機構4の下方には、永久磁石体6を内蔵する回転筒5が設けられている。金属片を受ける第1シュート10が回転筒5の下方に設けられている。
【0036】
図12は、本発明による異物選別システム200の構成図である。異物選別システム200は、上流から下流に向かって、風力選別装置80、形状選別装置70、磁力選別装置100、金属探知機90、色彩選別装置85、X線選別装置110の順に配置される。
【0037】
図13及び図14は、異物選別システム200の具体例1及び具体例2であり、各構成装置が図示例の順で配置される。昇降台25は、選別対象物20の入った容器を定量供給部4の上部のホッパまで上昇させる。風力選別装置80は、風でビニール片などを除去する。形状選別装置70は、メッシュ状に多数の孔が開口したパンチングメタルからなる篩であり、所定のサイズの選別対象物20に絞り込む。形状選別装置70と磁力選別装置100の間には搬送コンベヤ29が設けられる。磁力選別装置100とX線選別装置110の間にも搬送コンベヤ29が設けられる。色彩選別装置85又はX線選別装置110は、磁力選別装置100の下流側に設けられる。色彩選別装置85とX線選別装置110が必要になる場合は、図12に示すように色彩選別装置85がX線選別装置110より上流に設けられる。
【0038】
図15は、本発明による異物選別システム200の機能説明図である。図15に示すように、最上流部にはホッパ1と定量供給部4が設けられる。これに続く風力選別装置80は、風力により毛髪やビニール片などを分離する。形状選別装置70は、2段の金網部材と振動フィーダを備え、所定のものより大きな形状のものと、小さすぎる形状のものを除き、所定のサイズの選別対象物20を通過させる。
【0039】
磁力選別装置100は、鉄片などの磁性を有する金属の異物を分離する。磁力選別装置100は、かまぼこ形のネオジム磁石を使用した永久磁石体を採用したので、磁力面が回転筒5の円弧状に沿った軸方向に長い強力な磁界を形成できる。磁力選別装置100の第2シュート11側には、金属探知機90が組み込まれる。金属探知機90は、アルミニウム片などの非磁性金属片22を分離する。金属探知機90には、発信コイルと受信コイルが設けられ、非磁性金属片22が通過すると、受信コイルの電圧が変化するので、仕分け機構90aを作動させて、非磁性金属片22を含む異物を第3シュート18に導く。
【0040】
金属探知機90が組み込まれた磁力選別装置100の下流には、色彩選別装置85が設けられる。色彩選別装置85は、ホッパ1で選別対象物を受け、フィーダ120で選別対象物20を選別部40に送り出す。選別部40は、CCDカメラ41によって撮像したカラー画像と、NIR(近赤外線)カメラ42で撮像された画像を解析して、同じ形状の選別対象物でも色が異なれば異物として分離する。色彩選別装置85は、白色光に加えて近赤外線光を用いて異物を検出するもので、これにより高精度に選別対象物20を選別することができる。例えば、選別対象物20がチアシードの場合、チアシードは茶色であるのに対し、混在した木屑は灰色のため、白色光源43とCCDカメラ41のカラー画像によって検知し、エアー噴射ノズル45によって吹き飛ばして分離する。一方、虫糞は茶色であるため、白色光源43とCCDカメラ41のカラー画像では、チアシードとの判別ができないが、NIRカメラ42の画像では灰色に受光されるため、チアシードと選別されてエアー噴射ノズル45によって吹き飛ばして分離する。異物は吹き飛ばされ、異物投入シュート47に送り出される。良品は、良品投入シュート48を介して、X線選別装置110のホッパ1に送り出される。
【0041】
図15に示すように、色彩選別装置85の下流に、X線発生器112と、X線検出器113を備え、X線検出器113が撮像した画像を解析してガラスを含む異物を分離するX線選別装置110を設けた。選別対象物20はベルト111で図面左方向に送り出される。X線検出器113の画像から異物を検知すると、仕分け板115が下がり、異物を異物シュート114に送り出し、異物受けボックス119に集める。良品は、仕分け板115が上がったままなので、良品シュート116から良品受けボックス117に集められる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、小型で金属片の分離性能に優れ、使い勝手のよい磁力選別装置及び異物選別システムとして好適である。
【符号の説明】
【0043】
1 ホッパ
2、3 ローラ
4 定量供給機構
5 回転筒
6 永久磁石体
7 分離調節板
8 落下防止板
9 筐体
10 第1シュート
11 第2シュート
12 ファン
13、13’ 軸孔
14 バランサー
15 送り出し手段
16 空冷手段
17 磁力線
18 第3シュート
19 空気流路
20 選別対象物
21 金属片
22 非磁性金属片
23 ビニール片
24 マグネット棒
24a ネオジム磁石
24b ステンレス管
25 昇降台
26 ベルト
28 フィーダ
29 搬送コンベヤ
30 モータ
31 (永久磁石体の)軸
32 ネオジム磁石
33 軟鉄ヨーク
34、35 固定部材
40 選別部
41 CCDカメラ
42 NIRカメラ
43 白色光源
44 近赤外線光源
45 エアー噴射ノズル
47 異物投入シュート
48 良品受けシュート
50 金属片固定手段
70 形状選別装置
80 風力選別装置
85 色彩選別装置
90 金属探知機
90a 仕分け機構
100 磁力選別装置
110 X線選別装置
111 ベルト
112 X線発生器
113 X線検出器
114 異物シュート
115 仕分け板
116 良品シュート
117 良品受けボックス
119 異物受けボックス
200 異物選別システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
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図12
図13
図14
図15