(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6784422
(24)【登録日】2020年10月27日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】描画内容を記憶する操作表示パネル組込物品及びシステム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20201102BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20201102BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20201102BHJP
A61B 5/117 20160101ALI20201102BHJP
A61B 5/107 20060101ALI20201102BHJP
G06F 3/0354 20130101ALN20201102BHJP
【FI】
G06F3/041 400
G09F9/00 366A
G09G5/00 510H
G09G5/00 550X
G09G5/00 555D
G09G5/00 550B
A61B5/117 100
A61B5/107
!G06F3/0354 445
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-162472(P2019-162472)
(22)【出願日】2019年9月5日
【審査請求日】2020年7月24日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518074753
【氏名又は名称】mui Lab株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000822
【氏名又は名称】特許業務法人グローバル知財
(72)【発明者】
【氏名】廣部 延安
(72)【発明者】
【氏名】久保田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 宗彦
(72)【発明者】
【氏名】大木 和典
【審査官】
木内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−194781(JP,A)
【文献】
特許第6370519(JP,B1)
【文献】
国際公開第2014/188635(WO,A1)
【文献】
特開2000−132340(JP,A)
【文献】
特開2010−239469(JP,A)
【文献】
特開2015−072541(JP,A)
【文献】
特開2015−225627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/03
G06F 3/041 − 3/0489
A61B 5/107
A61B 5/117
G09F 9/00
G09G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングの外周面に組込まれたタッチセンサ付き表示パネルと、
自然由来の木材、天然繊維、天然皮革もしくは天然石材、又は、自然の外観と手触りを模倣して生成された素材である樹脂、合成繊維、合成皮革もしくは人工石から成る薄層であって、前記パネル前面全体または一部を少なくとも被覆し前記パネル前面に当接するように前記ハウジングの外周面に配設された前記薄層と、
前記タッチセンサにより前記パネル面上の位置を検知され、個々にユニークな識別情報を有する入力デバイスを用いて前記パネル面に描画した際に、描画された時間情報と該描画に用いたデバイスの前記識別情報を関連付けして描画内容を記憶又は外部デバイスに送信の少なくとも何れかを行う描画内容処理手段と、
前記パネル面上に描画された内容が線であるか否かを判別する線判別手段と、
描画内容が線である場合に、描画された線と基準点との最短距離を算出する距離算出手段、を備えたことを特徴とする操作表示パネル組込物品。
【請求項2】
前記入力デバイスを更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の操作表示パネル組込物品。
【請求項3】
前記線判別手段は、描画された線が、上下に所定の範囲以内であり、かつ、左右に所定の範囲以上で描かれた場合に、線と判別することを特徴とする請求項1又は2に記載の操作表示パネル組込物品。
【請求項4】
前記基準点が、床面であり、
床面に起立したユーザの頭上において、前記入力デバイスを用いて前記パネル面上に線を描画することにより、
前記距離算出手段が、ユーザの身長を計測することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の操作表示パネル組込物品。
【請求項5】
前記時間情報は、描画された後、所定時間、前記入力デバイスで前記パネル面に描画されない状態が続いた時の日時の情報であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の操作表示パネル組込物品。
【請求項6】
前記識別情報と、前記入力デバイスにより前記パネルに描画された文字形状に基づいて、ユーザの認証を行う認証手段が設けられたことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の操作表示パネル組込物品。
【請求項7】
前記入力デバイスにより描画された文字形状を文字情報として認識する手段が設けられたことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の操作表示パネル組込物品。
【請求項8】
建物の柱又は壁面に脱着自在に固定し得ることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の操作表示パネル組込物品。
【請求項9】
請求項1〜8の何れかの操作表示パネル組込物品と、管理サーバと、クライアント端末が、ネットワークを介して接続されデータを送受信するシステムであって、
前記描画内容処理手段は、前記操作表示パネル組込物品において個々にユニークな識別情報と前記時間情報とを関連付けして記憶された描画内容を、管理サーバに送信し、
前記管理サーバは、前記時間情報と前記識別情報と前記描画内容をデータベースに保存し、かつ、必要に応じて前記操作表示パネル組込物品又は前記クライアント端末に送信し、
前記操作表示パネル組込物品又は前記クライアント端末は、少なくとも前記時間情報と前記識別情報の何れかを用いて、前記描画内容を表示し得ることを特徴とする操作表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、描画内容から距離を測定し記憶する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、家屋の柱などにペンやナイフなどで目印を付け、子どもの身長を測定するといったことが行われる。柱などに付けられた目印は、長い年月を越えて残り続け、家族の成長が感じられるものとなっている。
しかしながら、柱などにペンやナイフなどで付けられた目印は、誰の何時の身長を表すものなのかが分かり辛いという問題がある。また、誰の何時の身長を表すものかを柱に表記するとなると、家屋のデザイン性が損なわれるという問題がある。
【0003】
家屋のデザイン性が損なわれない技術としては、一見すると単なる木材であるが、内部にLEDディスプレイが内蔵されたデバイスが知られている(特許文献1を参照)。これは、自然由来の木材などから成る薄層が、筐体の外周面に組込まれたタッチセンサ付き表示パネルを被覆し、パネル前面に当接するように、筐体の外周面に配設されたものであり、薄層の厚さとパネルの輝度が、該パネルに表示されたコンテンツを視認できるように設計されている。パネルは、透明基材と、透明導電性シートと、発光素子が2次元配列された発光素子アレイと、発光素子の光の射出方向を導くライトガイドを備えており、これによれば、家屋等のデザイン性を損なうことなく設置することが可能である。
しかしながら、上記特許文献1では、身長の計測などに関する開示は無く、柱などに付けられた目印が、誰の何時の身長を表すものであるかを解決するものではない。
【0004】
また、一見すると単なる木材であるが、内部にLEDディスプレイが内蔵されたデバイスとデジタルペンを組み合わせ、ディスプレイの前に子どもを立たせてデジタルペンで線を引くことのできる装置が知られている(非特許文献1を参照)。
これは、頭の高さに合わせて線を引くと、その高さを自動計測して、高さに関するデータがクラウドサーバに送信され、別のディスプレイに計測した数値を表示し、また計測した時刻を該デバイスに表示するものであり、これによれば、デザイン性を損なうことなく、身長を計測することが可能である。
しかしながら、上記非特許文献1に開示された装置では、誰の何時の身長を表すものかを区別できないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6370519号公報
【0006】
【非特許文献1】ワコム×mui Lab - 子どもの成長を記録する「柱の傷」をデジタル化(https://news.mynavi.jp/article/20190419-811679/)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
かかる状況に鑑みて、本発明は、ユーザ毎に描画内容を記憶でき、かつ非使用時にはその存在を意識させることのないデザイン性を備える操作表示パネル組込物品及びシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、本発明の操作表示パネル組込物品は、ハウジングの外周面に組込まれたタッチセンサ付き表示パネルと、自然由来の木材、天然繊維、天然皮革もしくは天然石材、又は、自然の外観と手触りを模倣して生成された素材である樹脂、合成繊維、合成皮革もしくは人工石から成る薄層であって、パネル前面全体または一部を少なくとも被覆しパネル前面に当接するようにハウジングの外周面に配設された薄層と、タッチセンサによりパネル面上の位置を検知され、個々にユニークな識別情報を有する入力デバイスを用いてパネル面に描画した際に、描画された時間情報と該描画に用いたデバイスの識別情報を関連付けして描画内容を記憶又は外部デバイスに送信の少なくとも何れかを行う描画内容処理手段
と、パネル面上に描画された内容が線であるか否かを判別する線判別手段と、描画内容が線である場合に、描画された線と基準点との最短距離を算出する距離算出手段を備える。
【0009】
自然由来の素材又は自然の外観と手触りを模倣して生成された素材を用いることによって、自然な手触り感を実現することができる。特に、自然由来の素材として木材が用いられた場合には、建物内の柱等に取り付け、或は柱を模して取り付けることで、非使用時にはその存在を意識させることがなく、デザイン性の高い装置とすることができる。なお、自然由来の素材として木材が用いられる場合は、光の透過率が高く、しかも見栄えが良いシカモア材が好適に用いられるが、その他の木材でもよい。
また、自然由来の素材等は、パネル前面一部を覆う構成、例えばハーフミラーや金属調仕上げのアクリルやガラスで覆う構成を採用することも可能である。例えば、自動車など車両、船舶などでは、自然由来の素材である木材の突板でパネル前面の一部を覆い、覆っていないパネル前面の残りの一部をハーフミラー仕上げのアクリル樹脂で覆うことができる。
【0010】
入力デバイスが個々にユニークな識別情報を有することにより、パネル面上へ入力した際に、誰が当該入力デバイスのユーザであるかを特定して操作表示パネルに送信できることとなる。したがって、複数の入力デバイスを使い分けることで、身長を計測したユーザが誰であるかを容易に区別することが可能となる。入力デバイスとしては、静電容量方式、電磁誘導方式、又は抵抗膜式などのタッチパネルに入力可能な入力デバイスを利用可能である。例えば、デジタルスタイラスペンを用いることも可能である。オプティカルトラッカー方式、カメラ画像認識などを利用した入力デバイスでもよい。また、入力デバイスの形状については、ペン形状に限るものではない。
【0011】
描画内容処理手段が備えられることにより、描画された時間情報と、入力デバイスが有するユニークな識別情報を関連付けして描画内容を記憶又は外部デバイスに送信の少なくとも何れかを行うことが可能となる。記憶した描画内容は、表示パネルや外部デバイスの表示ディスプレイに再度表示することや、外部デバイスで分析加工することが可能である。時間情報と識別情報を元に、例えば、ある特定の日時に入力された、複数のユーザによる描画内容をまとめて表示することも可能であるし、ある特定のユーザの時系列に沿った描画内容を順に表示することも可能である。描画内容を表示する際には、時間情報を同時に表示してもよい。
【0012】
時間情報を関連付けして描画内容を記憶することにより、例えば前述したように子どもの身長を計測した場合には、計測を行った時間が自動的に記憶されることになり、いつに計測を行ったかについて、後で確認することが可能となる。時間情報とは、年月日、時分秒など、必要に応じて、適宜選択できる。例えば、何月何日の描画内容、1日の特定時間帯の描画内容などで記憶内容を検索することができる。
描画された時間情報としては、例えば入力開始時や入力終了時といった特定の時刻を記憶することでもよいし、入力開始時から入力終了時までの一群のデータを記憶することでもよい。特定の時刻だけではなく書き始めから書き終わりまでのデータを記憶することにより、例えば、入力した内容を後でパネル面上に再現する場合に、入力の軌跡をそのまま再現することも可能となる。なお、記憶される時間情報は、時分や秒だけでなく、年月日も記憶可能であるが、必ずしも全て記憶する必要はなく、例えば、それらの内、日にちだけや時分だけを記憶することでもよい。
【0013】
個々の入力デバイスにユニークに付与された識別情報は、入力デバイスとタッチセンサ付き表示パネルの間で、無線通信を使用してデータの送受信を行うことが好ましい。無線通信の種類としては、公知の無線通信技術を幅広く含み、例えば、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信を使用するものでもよい。また、入力デバイス以外の物品が有する識別情報、例えばRFIDタグなどを併用してもよい。
また、本発明の操作表示パネル組込物品は、更に、入力デバイスを備えてもよい。指先などで入力することもできるが、入力デバイスを構成要素に含める方が好ましい。
【0014】
線判別手段が備えられることにより、パネル面上に描画された内容が、距離算出の対象となるか否かを区別することが可能となる。すなわち、線であると判別されると距離算出の対象となり、線ではないと判別されると距離算出の対象とはならないこととなる。ここでは、直線の場合だけではなく曲線の場合でも距離算出の対象とすることが可能である。判別方法としては、例えば、所定の範囲以上の長さの入力があったことを条件としてもよいし、一定時間以上の連続的な入力を条件としてもよい。
【0015】
距離算出手段が備えられることにより、例えば、子どもを操作表示パネル組込物品の前に立たせ、入力デバイスを用いて子どもの身長の高さに合わせてパネル面上に線を引くことで、子どもの身長を容易に計測することができる。
距離算出手段は、描画された線を構成する各ドットの座標点と基準点との距離を基に算出することでもよいし、描画された線の内、Y座標が最も小さい点を、予め設定されたY座標ゼロ点の床からの位置と、画面サイズから計算して算出することでもよい。また、これ以外にも、描画された線を構成するドットのY座標の平均値を算出し、距離算出の対象としてもよい。基準点については、例えば、操作表示パネル組込物品の下端部を基準点としてもよい。また、基準点は複数設けられていてもよい。
【0016】
本発明の操作表示パネル組込物品において、線判別手段は、描画された線が、上下に所定の範囲以内であり、かつ、左右に所定の範囲以上で描かれた場合に、線と判別することでもよい。
一般に、柱にペンを使って身長を表す目印を付ける場合には、床面に対して略水平に線が引かれることが多いといえる。そこで、描画された線が、上下に所定の範囲を超える場合には線とは判別されず、また、左右に所定の範囲以内で描かれた場合にも線とは判別されないとしたものである。
【0017】
本発明の操作表示パネル組込物品は、基準点が、床面であり、床面に起立したユーザの頭上において、入力デバイスを用いてパネル面上に線を描画することにより、距離算出手段が、ユーザの身長を計測することが好ましい。これにより簡単に身長を計測することが可能となる。
【0018】
本発明の操作表示パネル組込物品において、時間情報は、描画された後、所定時間、入力デバイスでパネル面に描画されない状態が続いた時の日時の情報であることでもよい。また、時間情報は、描画が開始された日時の情報であることでもよい。
【0019】
本発明の操作表示パネル組込物品は、識別情報と、入力デバイスによりパネルに描画された文字形状に基づいて、ユーザの認証を行う認証手段が設けられたことが好ましい。入力デバイスによりパネルに描画された文字形状とは、例えばユーザの筆跡のことであり、入力デバイスが有する識別情報による認証と、ユーザの筆跡による認証を組み合わせることにより、より安全性の高い装置とすることができる。
【0020】
本発明の操作表示パネル組込物品は、入力デバイスにより描画された文字形状を文字情報として認識する手段が設けられたことが好ましい。文字形状を文字情報として認識する手段が設けられることにより、文字として見やすくなり、また記憶する際のデータ量を削減することができる。これにより、操作表示パネルに再度入力内容を表示する、管理サーバのデータベースに保存する、スマートフォン、PC等の端末にメッセージ等を送信するといった際の利便性が向上する。
【0021】
本発明の操作表示パネル組込物品は、建物の柱又は壁面に脱着自在に固定し得ることが好ましい。建物の柱又は壁面に脱着自在に固定し得ることにより、取扱い時の利便性が向上する。取付方法としては、螺子等の留め具を使用することでもよいし、接着材等を使用することでもよい。
【0022】
本発明の操作表示システムは、上記の何れかの操作表示パネル組込物品と、管理サーバと、クライアント端末が、ネットワークを介して接続されデータを送受信するシステムであって、描画内容処理手段は、操作表示パネル組込物品における個々にユニークな識別情報と時間情報とを関連付けして記憶された描画内容を、管理サーバに送信し、管理サーバは、時間情報と識別情報と描画内容をデータベースに保存し、かつ、必要に応じて操作表示パネル組込物品又はクライアント端末に送信し、操作表示パネル組込物品又はクライアント端末は、少なくとも時間情報と識別情報の何れかを用いて、描画内容を表示し得る。
操作表示パネル組込物品において記憶された描画内容を、管理サーバのデータベースに保存することにより、操作表示パネル組込物品から離れた場所に存在するクライアント端末に描画内容を表示するといったことも可能となる。なお、管理サーバは、複数の操作表示パネル組込物品や複数のクライアント端末を管理することが可能である。
【発明の効果】
【0023】
本発明の操作表示パネル組込物品及びシステムによれば、ユーザ毎に描画内容を記憶でき、かつ非使用時にはその存在を意識させることのないデザイン性を備える装置とできるといった効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】実施例1の操作表示パネル組込物品の機能ブロック図
【
図2】実施例2の操作表示システムの機能ブロック図
【
図7】実施例3の身長管理装置の構成例及び取付イメージ図
【
図9】実施例4の身長管理システムのシステム構成図
【
図10】実施例3の身長管理装置本体の構成イメージ図
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しながら詳細に説明していく。なお、本発明の範囲は、以下の実施例や図示例に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。
【実施例1】
【0026】
図1は、実施例1の操作表示パネル組込物品の機能ブロック図を示している。
図1に示すように、操作表示パネル組込物品30は、操作表示パネル組込物品本体40及び入力デバイス50から成る。操作表示パネル組込物品本体40は、表示手段41、描画内容記憶手段42、線判別手段43、距離算出手段44、認証手段45、文字情報認識手段46、送信手段47及び受信手段48を備える。また、入力デバイス50は、識別情報記憶手段51、送信手段52及び受信手段53を備える。
操作表示パネル組込物品本体40の形状は、特に限定されず、板状、箱形状等の直方体形状などの平面のみで構成される形状に限られず、球形状、楕円球形状、円筒形状又は円錐形状などの曲面形状を有するものでもよい。また、例えば、板状である場合でも、縦横の長さは、建物内の柱のように細長い形状であってもよいし、壁面全体を覆うような縦横に長い形状でもよい。サイズについても限定はなく、壁面サイズやタブレットサイズなど幅広いサイズが適用可能である。
【0027】
表示手段41は、入力デバイス50による描画内容を表示するものであり、具体的にはタッチセンサ付きの表示パネルなどが挙げられる。描画内容記憶手段42は、描画された時間情報と該描画に用いた入力デバイス50の識別情報を関連付けして、入力デバイス50による描画内容を記憶するものである。線判別手段43は、入力デバイス50による描画内容につき線であるか否かを判別するものである。距離算出手段44は、描画内容が線である場合に、描画された線と基準点との最短距離を算出するものである。これにより例えば、身長を計測したり、両手を左右に伸ばした長さを図ったり、手の形を入力デバイス50であるペンでなぞったりと、様々な距離を算出することが可能である。なお、本実施例では、最短距離の算出は、描画された線中の特定の点を導き出した上で、かかる点と基準点を基に算出する。
【0028】
認証手段45は、入力デバイス50に設けられた識別情報記憶手段51において記憶された識別情報と、入力デバイス50により操作表示パネル組込物品本体40のパネル(図示せず)に描画された文字形状に基づいて、ユーザの認証を行うものである。文字情報認識手段46は、入力デバイス50により描画された文字形状を文字情報として認識するものであり、これにより例えば、入力デバイス50により描画された文字形状を文字情報に変換してパネル上に表示するといったことも可能となる。
【0029】
入力デバイス50に設けられた識別情報記憶手段51は、ユーザ識別情報を記憶するためのものであり、基本的には1人のユーザ識別情報を記憶するが、複数のユーザ識別情報を記憶することも可能である。また、複数の入力デバイス50に同一人のユーザ識別情報を記憶することも可能である。
【0030】
操作表示パネル組込物品本体40と入力デバイス50の間の通信は、送信手段(47,52)及び受信手段(48,53)を用いて行われる。送信手段(47,52)及び受信手段(48,53)は、複数種類の送受信手段を含み、操作表示パネル組込物品本体40と入力デバイス50の間の通信だけではなく、管理サーバ(図示せず)やクライアント端末(図示せず)との通信にも用いられる。
【実施例2】
【0031】
図2は、実施例2の操作表示システムの機能ブロック図を示している。
図2に示すように、操作表示システム80は、操作表示パネル組込物品30、管理サーバ60及びクライアント端末70から成り、ネットワーク5を介して接続されている。操作表示パネル組込物品30は、実施例1と同様の構成であり、操作表示パネル組込物品本体40及び入力デバイス50から成る。管理サーバ60は、管理手段61、データベース62、送信手段63及び受信手段64を備える。また、クライアント端末70は、表示手段71、送信手段72及び受信手段73を備える。クライアント端末70は、スマートフォン、タブレット端末、PC、ディスプレイ装置などの端末を幅広く含む。
操作表示パネル組込物品30、管理サーバ60及びクライアント端末70は、それぞれ送信手段(47,52,63,72)及び受信手段(48,53,64,73)を用い、ネットワーク5を介してデータの送受信が可能である。また、図示しないが、操作表示パネル組込物品本体40、入力デバイス50及びクライアント端末70は、近距離無線通信等を用いることで、ネットワーク5を介さずにデータを送受信することも可能である。
【0032】
管理サーバ60は、管理手段61によりユーザ情報や描画内容等を管理することが可能である。データベース62には、操作表示パネル組込物品30又はクライアント端末70から送られたデータを保存できる。なお、
図1に示す描画内容記憶手段42については、管理サーバ60に設けられたデータベース62を記憶手段として利用することで、描画内容記憶手段42を操作表示パネル組込物品本体40内に設けない構成としてもよい。
【0033】
操作表示システム80によれば、例えば、入力デバイス50を用いて操作表示パネル組込物品本体40に入力した情報に、自動で別の情報を付加して、管理サーバ60やクライアント端末70に送信することが可能である。ここで別の情報とは、例えば、識別情報記憶手段51により入力デバイス50に登録されたユーザ識別情報、距離算出手段44により描画内容と基準点から算出される距離情報、描画内容記憶手段42に記憶された時刻などの時間情報、或は文字情報認識手段46により得られた文字情報などが挙げられる。また、送信相手の指定、テキスト、画像を別の情報として付加することも可能である。
クライアント端末70は、遠隔に存在するスマートフォンなどのデバイスでもよいため、クライアント端末70から、操作表示パネル組込物品30や管理サーバ60にデータを送信することで、双方向でのやり取りができ、コミュニケーション手段としても有用である。
【実施例3】
【0034】
図3は、実施例3の身長管理装置の斜視図を示している。
図3に示すように、身長管理装置10は、身長管理装置本体1及び入力デバイス2から成り、身長管理装置本体1の内部には、操作表示パネルユニット11が設けられている。身長管理装置本体1の表面には、入力デバイス2で描かれた線(3a,3b)が表示されている。
【0035】
ここで操作表示パネルユニット11の構造について説明する。
図10は、実施例3の身長管理装置本体1の構成イメージ図を示している。
図10に示すように、身長管理装置本体1は、突板12、透明基材13、透明導電性シートとしてタッチパネルシート14、ライトガイド15及び発光素子アレイとしてLEDアレイ16から構成され、それぞれ上から順に積層されている。突板12は、身長管理装置本体1の外表面に位置し、LEDアレイ16は物品内部に位置するように構成される。突板12には、光の透過率が高く、しかも見栄えが良いシカモア材が用いられている。
LEDアレイ16には多数のLED光源17が2次元に配列されている。ライトガイド15は、各LED光源17の光の射出方向をLEDアレイ16の基板と垂直方向に導くものであり、LED光源17の個数と同じガイド孔15aが設けられている。
【0036】
図10においては、説明の都合上、全てのLED光源を図示していないが、例えば、縦32個、横200個の計6400個のLED光源でLEDアレイ16が構成される。1つのLED光源は平面実装タイプのLEDで構成される。1つのLED光源の光で点光源を実現し、これを1ドットと見て、8×8ドット、或は、16×16ドットで1つの文字や図柄を表現することができる。例えば、6400個のLED光源を有するLEDアレイ6の場合、22文字×3行の文章を表現させることができる。ここで、LED光源は、例えば、2mm×2mmのサイズで、700〜1000mcd(ミリカンデラ)のものを用いる。
なお上記構成と異なり、例えば、縦32個、横700個の計22400個のLED光源でLEDアレイ16を構成すれば、身長0〜200cm程度まで対応可能となる。
ライトガイド15は、LED光源17から発せられる光で構成される文字や図柄を、突板12を通して鮮明に視認させる役割を担っている。すなわち、LEDアレイ16の上にライトガイド15が積層された際に、各LED光源17の直上にガイド孔15aが配置されるように、LED光源17の配置に合わせて、多数のガイド孔15aが設けられている。
【0037】
次に、身長管理装置本体1の組み立て後の構造について
図11を参照しながら説明する。
図11は、実施例3の身長管理装置本体の断面模式図を示している。
図11に示すように、身長管理装置本体1において、突板12、透明基材13、タッチパネルシート14、ライトガイド15及びLEDアレイ16は、筐体18によって、上から順に積層された状態で接着されている。LEDアレイ16上に設けられたLED光源17から発せられた光の内、斜めに発せられた光(19b,19c)は、ライトガイド15によって遮られ、光19aのように真っ直ぐな光として、突板12に届くこととなる。なお、筐体18は、主にABS樹脂で形成されている。
突板12と透明基材13、又は、透明基材13とタッチパネルシート14は、間隙を設けることなく、貼り合わされている。これに対して、タッチパネルシート14とライトガイド15の間には、ギャップG
1が設けられている。これは、ライトガイド15にはガイド孔15aが設けられているため、タッチパネルシート14とライトガイド15を接着すると、タッチパネルを操作した際に、応力にばらつきが生じ、誤作動の原因となるためである。
【0038】
また、ライトガイド15とLED光源17の間にも、ギャップG
2が設けられている。LEDアレイ16に設けられるLED光源17や、ライトガイド15に設けられるガイド孔15aの数は、数千個にも及ぶことから、ライトガイド15とLEDアレイ16を積層した場合に、配置の誤差が生じる可能性がある。誤差が生じた状態で、ライトガイド15とLEDアレイ16を接着すると、LED光源17から発せられた光がガイド孔15aに通らず、正確な表示がなされないこととなる。そこでギャップG
2を設けることにより、LED光源17とガイド孔15aの配置の誤差による表示品質の低下を防止することができる。また、多少の誤差があっても表示品質が保たれるため、製造が容易となる。
【0039】
図3に示す入力デバイス2は、デジタルスタイラスペンであり、身長管理装置本体1の表面を入力デバイス2が触れることにより、文字や図形を入力することが可能である。入力デバイス2には、予め特定のユーザIDが登録されているが、別のユーザIDに設定を変更することも可能であるし、共有することも可能である。入力デバイス2にユーザ固有のIDが付与されることにより、タッチパネル11a上に引かれた線が誰の身長を表すものであるかを容易に特定することができ、ユーザ毎に身長情報等を記憶することができる。
【0040】
身長管理装置本体1が上記のような構成を有するため、
図3に示すように、入力デバイス2を用いて、子ども(図示せず)などの頭の高さに合わせて線(3a,3b)を描くことができる。
図3においては、線3aは直線、線3bは曲線となっているが、このように必ずしも直線でなくても身長を測定することは可能である。かかる点について、
図4,5を用いて説明する。
【0041】
図4は、実施例3の身長管理装置の入力イメージ図を示している。
図4に示すように、ここでは身長管理装置本体1のタッチパネル11a上に、入力デバイス2を用いて左から右へと線が引かれ、線3cが表示されている。
図5は、実施例3の身長管理装置の入力説明図を示している。
図5に示すように、線3cは、左右に範囲R
1に亘って描かれている。また、線3cは、上下については範囲R
2の範囲で描かれている。身長管理装置本体1のタッチパネル11a上に入力する線は、左右に一定以上の範囲で描かれ、かつ、上下に一定の範囲内で描かれた場合に、当該入力デバイス2に紐付けられたユーザIDの身長を表す情報として身長管理装置本体1に記憶される。また、同時に入力が完了した時刻も記憶される。具体的には、タッチパネル11aから入力デバイス2の先端が離れた後、一定時間経過後に、タッチパネル11aから入力デバイス2が離れた時刻を、身長測定時刻として記憶する。
図4に示すように、本実施例では、線3cが描かれると、描かれた時刻が時計20の形で表示される構成となっている。
【0042】
図6は、実施例3の身長管理装置の取付イメージ図を示している。
図6に示すように、身長管理装置本体1は、木製の柱4に重ねられるように取り付けられている。身長管理装置本体1の表面に用いられる突板12も木材という自然由来の素材が表面に用いられていることから、無機質な外観を有する装置とは異なり、温かみが感じられる形態となっているだけではなく、視覚的にも木製の柱4に馴染み、非使用時には、身長管理装置本体1の存在を感じさせない構成となっている。
図8は、実施例3の身長管理装置の取付イメージ図であり、身長管理装置本体1を壁面8に取り付けた例を示している。このように、建物の柱だけではなく、壁面に取り付けることも可能である。
【0043】
図7は、実施例3の身長管理装置の構成例及び取付イメージ図を示している。
図7に示すように、身長管理装置本体1は、必要に応じて身長管理装置本体1aのように全長を長く設け、実際の柱に類似した構成とすることもできるし、身長管理装置本体1bのように全長を短く設けた構成とすることも可能である。
身長管理装置本体1aのように全長を長く設け、実際の柱に類似した構成とした場合には、操作表示パネルユニット11を設ける位置を下端部から所定の位置、例えば70cm以上の位置としてもよい。これは、身長管理装置1の対象者が子どもであることが多いと考えられるからである。
身長管理装置本体1bのように全長を短く設けた構成とした場合には、
図7(2)に示すように、床面9から浮かせた状態で柱4に取り付ける。そこで、身長管理装置本体1bを使用する場合には、例えば、床面9から身長管理装置本体1bの下端部までの高さHを予め計測し身長管理装置本体1bに登録することで、身長の測定が可能となる。
【実施例4】
【0044】
図9は、実施例4の身長管理システムのシステム構成図を示している。
図9に示すように、身長管理システム100は、身長管理装置10、管理サーバ6、モバイル端末7から成り、身長管理装置10は、身長管理装置本体1及び入力デバイス2から成る。身長管理装置本体1、管理サーバ6及びモバイル端末7は、それぞれネットワーク5に接続されており、データの送受信が可能となっている。
管理サーバ6には、データベース6aが設けられており、ユーザの登録情報、設定情報、身長情報、及び、文字や絵、記号などの入力情報を記憶し、必要に応じて読み込みを行う構造である。なお、上記情報については、身長管理装置本体1に記憶することも可能であるが、データベース6aのみに記憶する構成としてもよい。
【0045】
身長管理装置10及びモバイル端末7は、ここでは1つずつ図示されているのみであるが、実際には、多数のユーザが身長管理装置10やモバイル端末7を利用するシステムとなっている。ここで、モバイル端末としては、スマートフォンやタブレット端末が好適であるが、これらに限られず、PCやウェアラブル端末など幅広い端末が利用可能であり、また、一見するとモバイル端末とは感じられない、例えば、一般的な箱の形状を呈した箱状ディスプレイでもよい。また、本実施例の構成とは異なり、モバイル端末ではないPC等を利用してもよい。
【0046】
ネットワーク5としては、インターネットが用いられているが、身長管理装置10とモバイル端末7との通信は、インターネット以外の通信手段(5a,5b)によって行うことも可能である。通信手段(5a,5b)としては、インターネット以外の手段を広く含み、QRコード(登録商標)などの二次元コードや、生体認証をセンシングする方式でもよいし、近距離無線通信を用いてもよい。また、ここでは図示しないが、有線による通信を行うものでもよい。なお、身長管理装置本体1と入力デバイス2については、入力デバイス2をアクティブに駆動してエンコードし、静電容量式のタッチパネル11aを介してタッチセンシングICに、入力デバイス2に登録されたユーザIDを送信することでデータを送受信できる。これにより、入力デバイス2に登録されたユーザIDを身長管理装置本体1において認証し、また、身長管理装置本体1において測定された身長情報等を入力デバイス2に登録されたユーザIDに紐付けて記憶することが可能となっている。
【0047】
身長管理装置システム100が、上記のような構成とされることにより、例えば、身長管理装置10において計測した身長情報に、テキストや画像情報を付帯させて、モバイル端末7に送信することが可能となる。これにより、親が子どもの身長を計測し、遠隔地にいる祖父母が所持するディスプレイやスマートフォンに送り、祖父母が表示内容を見て孫の成長を楽しむといったことも可能である。その際には、入力デバイス2であるペンの軌跡を表示するといった演出も可能である。
また、予め送信先のモバイル端末7を指定することで、計測を行う度に、自動的に指定済みのモバイル端末7へ身長情報やメッセージ、イラスト等が送られる構成とすることもできる。
【0048】
(その他の実施例)
1)身長管理装置本体1には、筆跡によるユーザ認証システムが搭載されている構成でもよい。入力デバイス2に登録されたユーザIDとの照合を行うことで、利用の安全性が向上する。
2)身長管理装置本体1は、文字認識機能を有する構成でもよい。入力デバイス2により入力された文字を認識できることにより、データ量を削減でき、モバイル端末7への送信や、データの保存時の利便性を向上させることができる。
【0049】
3)操作表示パネル組込物品本体40のパネルを、指などによるタッチ入力ができない構成としてもよい。
4)操作表示パネル組込物品本体40のパネルは、マーカーやチョークで描いた線を、指先でこすることで、消したり、にじませたり、混色したりするなど、現実世界の物理的な振る舞いに沿ったアフォーダンスを取り入れた入力を可能とすることで、より直感的な描画や体験が実現される構成としてもよい。
【0050】
5)入力デバイス50と、人体の1つ又は複数の箇所を用いた入力手段が備えられる構成でもよい。例えば、静電容量式タッチパネルでは、頭蓋骨の周りの薄い頭皮と、指先は、識別可能なセンサとファームウェアが作成できるからである。指先で描かれた狭い面積の線と、頭や背中などで描かれた広い面積の入力を区別する構成でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、描画内容を記憶するだけではなく、家族間等のコミュニケーションを活性化する技術として有用である。
【符号の説明】
【0052】
1,1a,1b 身長管理装置本体
2,50 入力デバイス
3a〜3c 線
4 柱
5 ネットワーク
5a,5b 通信手段
6,60 管理サーバ
6a,62 データベース
7 モバイル端末
8 壁面
9 床面
10 身長管理装置
11 操作表示パネルユニット
11a タッチパネル
12 突板
13 透明基材
14 タッチパネルシート
15 ライトガイド
15a ガイド孔
16 LEDアレイ
17 LED光源
18 筐体
19a〜19c 光
20 時計
30 操作表示パネル組込物品
40 操作表示パネル組込物品本体
41,71 表示手段
42 描画内容記憶手段
43 線判別手段
44 距離算出手段
45 認証手段
46 文字情報認識手段
47,52,63,72 送信手段
48,53,64,73 受信手段
51 識別情報記憶手段
61 管理手段
70 クライアント端末
80 操作表示システム
100 身長管理システム
G ギャップ
H 高さ
R 範囲
【要約】
【課題】ユーザ毎に描画内容を記憶でき、かつ非使用時にはその存在を意識させることのないデザイン性を備える操作表示パネル組込物品及びシステムを提供する。
【解決手段】ハウジングの外周面に組込まれたタッチセンサ付き表示パネルと、自然由来の木材、天然繊維、天然皮革もしくは天然石材、又は、自然の外観と手触りを模倣して生成された素材である樹脂、合成繊維、合成皮革もしくは人工石から成る薄層であって、パネル前面全体または一部を少なくとも被覆しパネル前面に当接するようにハウジングの外周面に配設された薄層と、タッチセンサによりパネル面上の位置を検知され得る入力デバイスであって、個々にユニークな識別情報を有する入力デバイスと、入力デバイスを用いてパネル面に描画した際に、描画された時間情報と該描画に用いたデバイスの識別情報を関連付けして描画内容を記憶する描画内容記憶手段を備える。
【選択図】
図1