特許第6784429号(P6784429)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6784429情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6784429
(24)【登録日】2020年10月27日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 19/00 20110101AFI20201102BHJP
   A61B 10/00 20060101ALI20201102BHJP
【FI】
   G06T19/00 300B
   A61B10/00 H
【請求項の数】9
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2020-46401(P2020-46401)
(22)【出願日】2020年3月17日
【審査請求日】2020年3月17日
(31)【優先権主張番号】特願2019-114225(P2019-114225)
(32)【優先日】2019年6月20日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】318017785
【氏名又は名称】MIG株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115129
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 昇
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 英隆
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼島 明彦
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 淳
(72)【発明者】
【氏名】添田 義行
(72)【発明者】
【氏名】笠井 淳史
(72)【発明者】
【氏名】源田 公平
【審査官】 村松 貴士
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0280276(US,A1)
【文献】 特開2016−201007(JP,A)
【文献】 特開2005−149409(JP,A)
【文献】 David Howett, et al,"Differentiation of mild cognitive impairment using an entorhinal cortex-based test of virtual reality navigation",BRAIN (A JOURNAL OF NEUROLOGY),2019年 5月28日,142(6),p.1751-1766,doi: 10.1093/brain/awz116, [online], [令和2年4月8日検索],URL,https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6536917/
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 19/00
A61B 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーからの指示を受け付ける受付手段と、
始点から目的地までの仮想空間の映像を、前記指示にしたがって前記ユーザーに提示する提示手段と、
前記指示が予め定められた指示ではないこと、又は、指示がないことをエラーとして計数する計数手段と、
前記計数手段によって計数されたエラーの回数を用いて、前記ユーザーの認知機能を判断する判断手段
を有し、
前記受付手段は、複数の種類の入力手段からの指示を受け付け、
前記計数手段は、さらに、異なる入力手段からの指示が異なった回数を計数し、
前記判断手段は、前記計数手段によって計数されたエラーの回数及び指示が異なった回数を用いて、前記ユーザーの認知機能を判断する、
情報処理装置。
【請求項2】
ユーザーからの指示を受け付ける受付手段と、
始点から目的地までの仮想空間の映像を、前記指示にしたがって前記ユーザーに提示する提示手段と、
前記指示が予め定められた指示ではないこと、又は、指示がないことをエラーとして計数する計数手段と、
始点から目的地にたどり着くまでの時間を計測する計測手段と、
前記計測手段によって計測された時間を用いて、前記ユーザーの認知機能を判断する判断手段
を有し、
前記受付手段は、複数の種類の入力手段からの指示を受け付け、
前記計数手段は、さらに、異なる入力手段からの指示が異なった回数を計数し、
前記判断手段は、前記計測手段によって計測された時間、前記計数手段によって計数されたエラーの回数及び指示が異なった回数を用いて、前記ユーザーの認知機能を判断する、
情報処理装置。
【請求項3】
前記受付手段は、前記ユーザーの音声を受け付け、該音声を認識し、
前記提示手段は、前記ユーザーが装着しているヘッドマウントディスプレイに、前記音声の認識結果にしたがって映像を提示し、さらに、該ユーザーが指示すべきタイミングを提示する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記計数手段によって計数された指示が異なった回数に対しては、1未満の重み付けを行う、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記提示手段は、前記ユーザーの現在若しくは過去の住所、又は、現在若しくは過去の勤務地を、始点又は目的地とする仮想空間を提示する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
コンピュータによって行われる情報処理方法であって、
ユーザーからの指示を受け付ける受付ステップと、
始点から目的地までの仮想空間の映像を、前記指示にしたがって前記ユーザーに提示する提示ステップと、
前記指示が予め定められた指示ではないこと、又は、指示がないことをエラーとして計数する計数ステップと、
前記計数ステップによって計数されたエラーの回数を用いて、前記ユーザーの認知機能を判断する判断ステップ
を有し、
前記受付ステップは、複数の種類の入力手段からの指示を受け付け、
前記計数ステップは、さらに、異なる入力手段からの指示が異なった回数を計数し、
前記判断ステップは、前記計数ステップによって計数されたエラーの回数及び指示が異なった回数を用いて、前記ユーザーの認知機能を判断する、
情報処理方法。
【請求項7】
コンピュータによって行われる情報処理方法であって、
ユーザーからの指示を受け付ける受付ステップと、
始点から目的地までの仮想空間の映像を、前記指示にしたがって前記ユーザーに提示する提示ステップと、
前記指示が予め定められた指示ではないこと、又は、指示がないことをエラーとして計数する計数ステップと、
始点から目的地にたどり着くまでの時間を計測する計測ステップと、
前記計測ステップによって計測された時間を用いて、前記ユーザーの認知機能を判断する判断ステップ
を有し、
前記受付ステップは、複数の種類の入力手段からの指示を受け付け、
前記計数ステップは、さらに、異なる入力手段からの指示が異なった回数を計数し、
前記判断ステップは、前記計測ステップによって計測された時間、前記計数ステップによって計数されたエラーの回数及び指示が異なった回数を用いて、前記ユーザーの認知機能を判断する、
情報処理方法。
【請求項8】
コンピュータを、
ユーザーからの指示を受け付ける受付手段と、
始点から目的地までの仮想空間の映像を、前記指示にしたがって前記ユーザーに提示する提示手段と、
前記指示が予め定められた指示ではないこと、又は、指示がないことをエラーとして計数する計数手段と、
前記計数手段によって計数されたエラーの回数を用いて、前記ユーザーの認知機能を判断する判断手段
として機能させ
前記受付手段は、複数の種類の入力手段からの指示を受け付け、
前記計数手段は、さらに、異なる入力手段からの指示が異なった回数を計数し、
前記判断手段は、前記計数手段によって計数されたエラーの回数及び指示が異なった回数を用いて、前記ユーザーの認知機能を判断する、
情報処理プログラム。
【請求項9】
コンピュータを、
ユーザーからの指示を受け付ける受付手段と、
始点から目的地までの仮想空間の映像を、前記指示にしたがって前記ユーザーに提示する提示手段と、
前記指示が予め定められた指示ではないこと、又は、指示がないことをエラーとして計数する計数手段と、
始点から目的地にたどり着くまでの時間を計測する計測手段と、
前記計測手段によって計測された時間を用いて、前記ユーザーの認知機能を判断する判断手段
として機能させ
前記受付手段は、複数の種類の入力手段からの指示を受け付け、
前記計数手段は、さらに、異なる入力手段からの指示が異なった回数を計数し、
前記判断手段は、前記計測手段によって計測された時間、前記計数手段によって計数されたエラーの回数及び指示が異なった回数を用いて、前記ユーザーの認知機能を判断する、
情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、運動機能及び高次認知機能を同時に鍛えることで認知症リスクを低下させることが可能な技術を提供することを課題とし、拡張現実を利用して認知症リスクを低下させるためのトレーニングメニューに従って、ユーザーが触れるべき仮想オブジェクトに関する条件をユーザーに指示する指示部と、トレーニングメニューに従って、所定の3次元空間の中で、条件に該当する仮想オブジェクト及び条件に該当しない仮想オブジェクトのうち少なくともいずれか一方の仮想オブジェクトを表示する表示部と、所定の3次元空間を撮影する撮影部と、撮影部で撮影された画像を用いて、所定の3次元空間においてユーザーの手が、条件に該当する仮想オブジェクトに触れたか否かを判定する判定部と、を有するAR装置を提供することが開示されている。
【0003】
特許文献2には、仮想空間表示装置において、直感的で分かりやすい操作を可能とすることを課題とし、画像表示部は観察者の視覚に仮想空間を提示し、位置姿勢検出部及び位置姿勢算出部は、現実空間における観察者の視点位置を検知し、仮想空間画像生成部は画像表示手段に表示される前記仮想空間の画像を生成し、仮想空間画像生成部は、仮想空間における表示対象物の位置に対応する現実空間での第1基準位置と当該第1基準位置から予め定めた基準距離に設定した第2基準位置との間を定義範囲とし、定義範囲内での視点位置と第1基準位置との間の距離に応じて仮想空間における表示対象物のサイズを予め定めた関数で変化させ、当該関数は距離の減少に対して広義の単調増加であり、かつ定義範囲内の区間として、当該区間におけるサイズの変化が距離の逆数の変化よりも大きくなる区間を有することが開示されている。
【0004】
特許文献3には、観察者の左右の眼にそれぞれ対応させた左眼用映像と右眼用映像を生成させるための立体視プログラムが実行されるアプリケーション実行部と、前記アプリケーション実行部により実行された立体視プログラムによって生成された前記左眼用映像及び前記右眼用映像を、左右の眼にそれぞれ対応した箇所に表示させる表示部と、ユーザー操作を受け付けるユーザーインターフェイスとを備えた情報処理端末を用いて、軽度認知症の早期発見又は予防するための早期発見・予防プログラムであって、前記早期発見・予防プログラムは、前記情報処理端末に、前記左眼用映像及び前記右眼用映像との間に輻輳角及び視差を発生させて構成された立体映像を表示させる立体映像エリアを生成する立体映像生成ステップと、前記立体映像エリア中に構築された仮想空間内における位置、又は向きが変化する複数のオブジェクトを表示し、前記複数のオブジェクトを、前記仮想空間内に設置された任意の重心位置を中心として任意の速度で回転させるとともに、任意のタイミング及び時間長で前記オブジェクトの色を変化させるオブジェクト動作ステップと、前記オブジェクトの色が変化したタイミング及び時間長と、前記ユーザーインターフェイスに対するユーザー操作との時間差、及びユーザー操作の正確性を、空間認識能力及び状況判断力のテスト結果として記録する認識力測定ステップと、を含む処理を実行させることを特徴とする軽度認知症の早期発見・予防プログラムについて開示されている。
【0005】
特許文献4には、観察者の視覚に仮想空間を提示する画像表示手段と、現実空間における前記観察者の視点位置を検知する視点検知手段と、前記画像表示手段に表示される前記仮想空間の画像を生成する仮想空間画像生成手段と、を有し、前記仮想空間画像生成手段は、前記仮想空間における表示対象物の位置に対応する前記現実空間での第1基準位置と当該第1基準位置から予め定めた基準距離に設定した第2基準位置との間を定義範囲とし、前記定義範囲内での前記視点位置と前記第1基準位置との間の距離に応じて前記仮想空間における前記表示対象物のサイズを予め定めた関数で変化させ、当該関数は前記距離の減少に対して広義の単調増加であり、かつ前記定義範囲内の区間であって、当該区間における前記サイズの変化が前記距離の逆数の変化よりも大きくなる区間を有し、前記表示対象物は水平に配置された地図であり、前記仮想空間画像生成手段は、前記視点位置の垂直方向の移動距離に応じて、前記仮想空間に形成される前記地図のサイズを変化させること、を特徴とする仮想空間表示装置について開示されている。
【0006】
特許文献5には、記憶(例えば、空間記憶、時間記憶、時空記憶、作業記憶、および短期記憶)を改善するためのコンピュータ生成3D仮想環境を提供することを課題とし、探索可能な3D環境内において実行される1つ以上の記憶訓練課題を含む少なくとも1つのVR記憶訓練モジュールを実行するステップと、ディスプレイへの出力を介して3D環境を表示するステップと、対話型探索コントローラから入力を受けるステップとを含み、この方法は、更に、脳の活動の1つ以上のスキャンを実行するステップを含むこともでき、これによって、脳の領域を目標とする少なくとも1つのVR記憶訓練モジュールの有効性を測定することができ、どのVR記憶訓練モジュールを引き出して実行するかの決定は、脳の選択領域を目標とする以前のVR記憶訓練モジュールの訓練セッションの測定された有効性に基づいて行うことができることが開示されている。
【0007】
特許文献6には、ユーザ、医療関係者、教師、および親により、認知スキル発達のターゲティング、個人別測定、および管理を可能とするものであり、実行機能の基盤にある認知スキルをターゲットにして発達させるためのゲームベースの仮想学習カリキュラムを特徴とし、方法およびシステムは、認知スキル(例えば、注意力集中、注意力持続、認知抑制、行動抑制、選択性注意力、転換性注意力、配分性注意力、干渉制御、新規性抑制、満足遅延耐性、インナーボイス、動機付け抑制、および自己制御性)を改善する効果的で速やかなビデオゲームベースのトレーニングカリキュラムを提供し、このカリキュラムでは、(i)注意力制御と衝動抑制の基盤にある各認知プロセス、(ii)測定可能でトレーニング可能な認知スキルの特定、(iii)これらのスキルを効果的にトレーニングしてその持続を可能にするゲームデザインおよびゲームメカニクスを用い、ゲームベースのシステムは、医療専門家、医療関係者、親、教師、およびユーザに、ターゲット認知スキルのトレーニングを測定および管理して、所望のパフォーマンス目標に到達する能力を提供することが開示されている。
【0008】
特許文献7には、運動機能及び高次認知機能を同時に鍛えることで認知症リスクを低下させることが可能な技術を提供することを課題とし、拡張現実を利用して認知症リスクを低下させるためのトレーニングメニューに従って、ユーザが触れるべき仮想オブジェクトに関する条件をユーザに指示する指示部と、トレーニングメニューに従って、所定の3次元空間の中で、条件に該当する仮想オブジェクト及び条件に該当しない仮想オブジェクトのうち少なくともいずれか一方の仮想オブジェクトを表示する表示部と、所定の3次元空間を撮影する撮影部と、撮影部で撮影された画像を用いて、所定の3次元空間においてユーザの手が、条件に該当する仮想オブジェクトに触れたか否かを判定する判定部と、を有するAR装置を提供することが開示されている。
【0009】
特許文献8には、使用者が付加される情報を整理でき、情報の認識性を向上させることが可能なHMD装置を提供することを課題とし、使用者に風景と重ねて所定の情報を含む表示画像を視認させるヘッドマウントディスプレイ装置であり、制御部は、使用者前方に奥行き方向の位置が異なる複数の表示ゾーンを仮想的に設定し、注視位置検出部からの注視位置情報と脳測定部からの注視位置推定情報との少なくとも一方に基づいて使用者が注視している表示ゾーンを特定し、通信部を介してクラウドサーバから特定した前記表示ゾーンに関連付けられた情報を示す画像情報を取得して、特定した前記表示ゾーンの奥行き位置と前記表示画像のうち少なくとも特定した前記表示ゾーンに関連付けられた前記情報の結像位置とが一致するように結像位置調整部を駆動させるとともに、表示器に取得した前記画像情報に応じて前記表示画像を表示させることが開示されている。
【0010】
特許文献9には、使用者が付加される情報を整理でき、情報の認識性を向上させることが可能なHMD装置を提供することを課題とし、使用者に風景と重ねて所定の情報を含む表示画像を視認させるヘッドマウントディスプレイ装置であり、制御部は、使用者前方に奥行き方向の位置が異なる複数の表示ゾーンを仮想的に設定し、注視位置検出部からの注視位置情報に基づいて使用者が注視している表示ゾーンを特定し、通信部を介してクラウドサーバから特定した前記表示ゾーンに関連付けられた情報を示す画像情報を取得して、特定した前記表示ゾーンの奥行き位置と前記表示画像のうち少なくとも特定した前記表示ゾーンに関連付けられた前記情報の結像位置とが一致するように結像位置調整部を駆動させるとともに、表示器に取得した前記画像情報に応じて前記表示画像を表示させることが開示されている。
【0011】
特許文献10には、使用者が付加される情報を整理でき、情報の認識性を向上させることが可能なHMD装置を提供することを課題とし、使用者に風景と重ねて所定の情報を含む表示画像を視認させるヘッドマウントディスプレイ装置であり、制御部は、使用者前方に奥行き方向の位置が異なる複数の表示ゾーンを仮想的に設定し、注視位置検出部からの注視位置情報と脳測定部からの意図判定情報とに基づいて使用者が意図的に注視している表示ゾーンを特定し、通信部を介してクラウドサーバから特定した前記表示ゾーンに関連付けられた情報を示す画像情報を取得して、特定した前記表示ゾーンの奥行き位置と前記表示画像のうち少なくとも特定した前記表示ゾーンに関連付けられた前記情報の結像位置とが一致するように結像位置調整部を駆動させるとともに、表示器に取得した前記画像情報に応じて前記表示画像を表示させることが開示されている。
【0012】
非特許文献1には、以下のことが開示されている。アルツハイマー病(AD)は記憶障害から始まり認知症を呈する病気である。AD病理は認知症を呈する30年ほど前から嗅内皮質で始まり、海馬、大脳辺縁系、新皮質へと広がり認知症を引き起こす。認知症発症の数十年前には空間ナビゲーション、特にグリッド細胞の機能が損なわれる可能性が高い。ヒトにおけるグリッド細胞様神経活動は、機能的磁気共鳴イメージングを用いて測定され、AD(APOE−ε4キャリア)の遺伝的リスクを持つ被験者群では若年時において、仮想アリーナでグリッド細胞様の神経活動を減少させ、ナビゲーション行動が対照(APOE−ε4ノンキャリア)被験者群と比較して低下していた。どちらの被験者群も、海馬機能に関する空間メモリのパフォーマンスには変化はなく、ADの遺伝的リスクを持つ被験者群では海馬活動の増加が観察されている。APOE−ε4キャリアでは海馬の活動増加により空間メモリーを補償している可能性があり、潜在的な疾患発症の数十年前に、ADの遺伝的リスクを有するヒトにおける行動関連の嗅内皮質機能不全の証拠が提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2019−076302号公報
【特許文献2】特開2016−057947号公報
【特許文献3】特許第6229867号公報
【特許文献4】特許第6290754号公報
【特許文献5】特開2018−189966号公報
【特許文献6】特表2018−533044号公報
【特許文献7】特開2019−076302号公報
【特許文献8】特開2018−041009号公報
【特許文献9】特開2018−041362号公報
【特許文献10】特開2018−042166号公報
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】"Reduced grid-cell-like representations in adults at genetic risk for Alzheimer's disease", Kunz L, Schroder TN, Lee H, Montag C, Lachmann B, Sariyska R, Reuter M, Stirnberg R, Stocker T, Messing-Floeter PC, Fell J, Doeller CF, Axmacher N, Science 23 Oct 2015: Vol. 350, Issue 6259, pp. 430-433 DOI: 10.1126/science.aac8128.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
マウスでは脳機能の評価に実績があるテスト方法として「水迷路脱出」があるが、人間用では巨大になり実現性が低かった。
本発明は、始点から目的地までの仮想空間の映像を、ユーザーからの指示にしたがって提示し、その指示が予め定められた指示ではないこと、又は、指示がないことをエラーとして計数し、エラーの回数を用いて、そのユーザーの認知機能を判断するようにした情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
請求項1の発明は、ユーザーからの指示を受け付ける受付手段と、始点から目的地までの仮想空間の映像を、前記指示にしたがって前記ユーザーに提示する提示手段と、前記指示が予め定められた指示ではないこと、又は、指示がないことをエラーとして計数する計数手段と、前記計数手段によって計数されたエラーの回数を用いて、前記ユーザーの認知機能を判断する判断手段を有し、前記受付手段は、複数の種類の入力手段からの指示を受け付け、前記計数手段は、さらに、異なる入力手段からの指示が異なった回数を計数し、前記判断手段は、前記計数手段によって計数されたエラーの回数及び指示が異なった回数を用いて、前記ユーザーの認知機能を判断する、情報処理装置である。
【0017】
請求項2の発明は、ユーザーからの指示を受け付ける受付手段と、始点から目的地までの仮想空間の映像を、前記指示にしたがって前記ユーザーに提示する提示手段と、前記指示が予め定められた指示ではないこと、又は、指示がないことをエラーとして計数する計数手段と、始点から目的地にたどり着くまでの時間を計測する計測手段と、前記計測手段によって計測された時間を用いて、前記ユーザーの認知機能を判断する判断手段を有し、前記受付手段は、複数の種類の入力手段からの指示を受け付け、前記計数手段は、さらに、異なる入力手段からの指示が異なった回数を計数し、前記判断手段は、前記計測手段によって計測された時間、前記計数手段によって計数されたエラーの回数及び指示が異なった回数を用いて、前記ユーザーの認知機能を判断する、情報処理装置である。
【0018】
請求項3の発明は、前記受付手段は、前記ユーザーの音声を受け付け、該音声を認識し、前記提示手段は、前記ユーザーが装着しているヘッドマウントディスプレイに、前記音声の認識結果にしたがって映像を提示し、さらに、該ユーザーが指示すべきタイミングを提示する、請求項1又は2に記載の情報処理装置である。
【0019】
請求項4の発明は、前記計数手段によって計数された指示が異なった回数に対しては、1未満の重み付けを行う、請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置である。
【0020】
請求項5の発明は、前記提示手段は、前記ユーザーの現在若しくは過去の住所、又は、現在若しくは過去の勤務地を、始点又は目的地とする仮想空間を提示する、請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置である。
【0026】
請求項の発明は、コンピュータによって行われる情報処理方法であって、ユーザーからの指示を受け付ける受付ステップと、始点から目的地までの仮想空間の映像を、前記指示にしたがって前記ユーザーに提示する提示ステップと、前記指示が予め定められた指示ではないこと、又は、指示がないことをエラーとして計数する計数ステップと、前記計数ステップによって計数されたエラーの回数を用いて、前記ユーザーの認知機能を判断する判断ステップを有し、前記受付ステップは、複数の種類の入力手段からの指示を受け付け、前記計数ステップは、さらに、異なる入力手段からの指示が異なった回数を計数し、前記判断ステップは、前記計数ステップによって計数されたエラーの回数及び指示が異なった回数を用いて、前記ユーザーの認知機能を判断する、情報処理方法である。
【0027】
請求項の発明は、コンピュータによって行われる情報処理方法であって、ユーザーからの指示を受け付ける受付ステップと、始点から目的地までの仮想空間の映像を、前記指示にしたがって前記ユーザーに提示する提示ステップと、前記指示が予め定められた指示ではないこと、又は、指示がないことをエラーとして計数する計数ステップと、始点から目的地にたどり着くまでの時間を計測する計測ステップと、前記計測ステップによって計測された時間を用いて、前記ユーザーの認知機能を判断する判断ステップを有し、前記受付ステップは、複数の種類の入力手段からの指示を受け付け、前記計数ステップは、さらに、異なる入力手段からの指示が異なった回数を計数し、前記判断ステップは、前記計測ステップによって計測された時間、前記計数ステップによって計数されたエラーの回数及び指示が異なった回数を用いて、前記ユーザーの認知機能を判断する、情報処理方法である。
【0030】
請求項の発明は、コンピュータを、ユーザーからの指示を受け付ける受付手段と、始点から目的地までの仮想空間の映像を、前記指示にしたがって前記ユーザーに提示する提示手段と、前記指示が予め定められた指示ではないこと、又は、指示がないことをエラーとして計数する計数手段と、前記計数手段によって計数されたエラーの回数を用いて、前記ユーザーの認知機能を判断する判断手段として機能させ、前記受付手段は、複数の種類の入力手段からの指示を受け付け、前記計数手段は、さらに、異なる入力手段からの指示が異なった回数を計数し、前記判断手段は、前記計数手段によって計数されたエラーの回数及び指示が異なった回数を用いて、前記ユーザーの認知機能を判断する、情報処理プログラムである。
【0031】
請求項の発明は、コンピュータを、ユーザーからの指示を受け付ける受付手段と、始点から目的地までの仮想空間の映像を、前記指示にしたがって前記ユーザーに提示する提示手段と、前記指示が予め定められた指示ではないこと、又は、指示がないことをエラーとして計数する計数手段と、始点から目的地にたどり着くまでの時間を計測する計測手段と、前記計測手段によって計測された時間を用いて、前記ユーザーの認知機能を判断する判断手段として機能させ、前記受付手段は、複数の種類の入力手段からの指示を受け付け、前記計数手段は、さらに、異なる入力手段からの指示が異なった回数を計数し、前記判断手段は、前記計測手段によって計測された時間、前記計数手段によって計数されたエラーの回数及び指示が異なった回数を用いて、前記ユーザーの認知機能を判断する、情報処理プログラムである。
【発明の効果】
【0034】
請求項1の情報処理装置によれば、始点から目的地までの仮想空間の映像を、ユーザーからの指示にしたがって提示し、その指示が予め定められた指示ではないこと、又は、指示がないことをエラーとして計数し、エラーの回数を用いて、そのユーザーの認知機能を判断することができる。
【0035】
請求項2の情報処理装置によれば、始点から目的地までの仮想空間の映像を、ユーザーからの指示にしたがって提示し、始点から目的地にたどり着くまでの時間を用いて、そのユーザーの認知機能を判断することができる。
【0036】
請求項3の情報処理装置によれば、ユーザーの音声による指示とし、そのユーザーが装着しているヘッドマウントディスプレイに、映像を提示し、さらに、そのユーザーが指示すべきタイミングを提示することができる。
【0037】
請求項4の情報処理装置によれば、計数された指示が異なった回数に対しては、1未満の重み付けを行うことができる。
【0038】
請求項5の情報処理装置によれば、ユーザーの現在若しくは過去の住所、又は、現在若しくは過去の勤務地を、始点又は目的地とする仮想空間を提示することができる。
【0044】
請求項の情報処理方法によれば、始点から目的地までの仮想空間の映像を、ユーザーからの指示にしたがって提示し、その指示が予め定められた指示ではないこと、又は、指示がないことをエラーとして計数し、エラーの回数を用いて、そのユーザーの認知機能を判断することができる。
【0045】
請求項の情報処理方法によれば、始点から目的地までの仮想空間の映像を、ユーザーからの指示にしたがって提示し、始点から目的地にたどり着くまでの時間を用いて、そのユーザーの認知機能を判断することができる。
【0048】
請求項の情報処理プログラムによれば、始点から目的地までの仮想空間の映像を、ユーザーからの指示にしたがって提示し、その指示が予め定められた指示ではないこと、又は、指示がないことをエラーとして計数し、エラーの回数を用いて、そのユーザーの認知機能を判断することができる。
【0049】
請求項の情報処理プログラムによれば、始点から目的地までの仮想空間の映像を、ユーザーからの指示にしたがって提示し、始点から目的地にたどり着くまでの時間を用いて、そのユーザーの認知機能を判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】本実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図である。
図2】本実施の形態を利用したスタンドアロン型のシステム構成例を示す説明図である。
図3】本実施の形態を利用したネットワーク型のシステム構成例を示す説明図である。
図4】第1の実施の形態が提示する地図の例を示す説明図である。
図5】第1の実施の形態による仮想空間の提示例を示す説明図である。
図6】第1の実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
図7】ユーザー情報テーブルのデータ構造例を示す説明図である。
図8】地図情報テーブルのデータ構造例を示す説明図である。
図9】ログテーブルのデータ構造例を示す説明図である。
図10】テスト結果テーブルのデータ構造例を示す説明図である。
図11】第1の実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
図12】コントローラーの例を示す説明図である。
図13】第1の実施の形態による視線検出の処理例を示す説明図である。
図14】第1の実施の形態による処理例を示す説明図である。
図15】推奨トレーニングテーブルのデータ構造例を示す説明図である。
図16】第2の実施の形態が提示する仮想空間の例を示す説明図である。
図17】第2の実施の形態によって行った試験結果の例を示す説明図である。
図18】第2の実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
図19】仮想空間情報テーブルのデータ構造例を示す説明図である。
図20】ログテーブルのデータ構造例を示す説明図である。
図21】テスト結果のデータ構造例を示す説明図である。
図22】第2の実施の形態による処理例を示す説明図である。
図23】本実施の形態による処理例を示す説明図である。
図24】第2の本実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
図25】第2の本実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
図26】第2の本実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
図27】本実施の形態を実現するコンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、図面に基づき本発明を実現するにあたっての好適な各種の実施の形態の例を説明する。
図1は、本実施の形態(第1の実施の形態と第2の実施の形態の両方を含む)の構成例についての概念的なモジュール構成図を示している。
なお、モジュールとは、一般的に論理的に分離可能なソフトウェア(「ソフトウェア」の解釈として、コンピュータ・プログラムを含む)、ハードウェア等の部品を指す。したがって、本実施の形態におけるモジュールはコンピュータ・プログラムにおけるモジュールのことだけでなく、ハードウェア構成におけるモジュールも指す。それゆえ、本実施の形態は、それらのモジュールとして機能させるためのコンピュータ・プログラム(例えば、コンピュータにそれぞれの手順を実行させるためのプログラム、コンピュータをそれぞれの手段として機能させるためのプログラム、コンピュータにそれぞれの機能を実現させるためのプログラム)、システム及び方法の説明をも兼ねている。ただし、説明の都合上、「記憶する」、「記憶させる」、これらと同等の文言を用いるが、これらの文言は、実施の形態がコンピュータ・プログラムの場合は、記憶装置に記憶させる、又は記憶装置に記憶させるように制御するという意味である。また、モジュールは機能に一対一に対応していてもよいが、実装においては、1モジュールを1プログラムで構成してもよいし、複数モジュールを1プログラムで構成してもよく、逆に1モジュールを複数プログラムで構成してもよい。また、複数モジュールは1コンピュータによって実行されてもよいし、分散又は並列環境におけるコンピュータによって1モジュールが複数コンピュータで実行されてもよい。なお、1つのモジュールに他のモジュールが含まれていてもよい。また、以下、「接続」とは物理的な接続の他、論理的な接続(例えば、データの授受、指示、データ間の参照関係、ログイン等)の場合にも用いる。「予め定められた」とは、対象としている処理の前に定まっていることをいい、本実施の形態による処理が始まる前はもちろんのこと、本実施の形態による処理が始まった後であっても、対象としている処理の前であれば、そのときの状況・状態にしたがって、又はそれまでの状況・状態にしたがって定まることの意を含めて用いる。「予め定められた値」が複数ある場合は、それぞれ異なった値であってもよいし、2以上の値(「2以上の値」には、もちろんのことながら、全ての値も含む)が同じであってもよい。また、「Aである場合、Bをする」という記載は、「Aであるか否かを判断し、Aであると判断した場合はBをする」の意味で用いる。ただし、Aであるか否かの判断が不要である場合を除く。また、「A、B、C」等のように事物を列挙した場合は、断りがない限り例示列挙であり、その1つのみを選んでいる場合(例えば、Aのみ)を含む。
また、システム又は装置とは、複数のコンピュータ、ハードウェア、装置等がネットワーク(「ネットワーク」には、一対一対応の通信接続を含む)等の通信手段で接続されて構成されるほか、1つのコンピュータ、ハードウェア、装置等によって実現される場合も含まれる。「装置」と「システム」とは、互いに同義の用語として用いる。もちろんのことながら、「システム」には、人為的な取り決めである社会的な「仕組み」(つまり、社会システム)にすぎないものは含まない。
また、各モジュールによる処理毎に又はモジュール内で複数の処理を行う場合はその処理毎に、対象となる情報を記憶装置から読み込み、その処理を行った後に、処理結果を記憶装置に書き出すものである。したがって、処理前の記憶装置からの読み込み、処理後の記憶装置への書き出しについては、説明を省略する場合がある。なお、ここでの記憶装置としては、ハードディスクドライブ、RAM(Random Access Memoryの略)、外部記憶媒体、通信回線を介した記憶装置、CPU(Central Processing Unitの略)内のレジスタ等を含んでいてもよい。
【0054】
本実施の形態である情報処理装置100は、ヘッドマウントディスプレイ機能を有しており、図1の例に示すように、受付モジュール110、提示モジュール120、判断モジュール130、制御モジュール140を有している。
情報処理装置100は、人間に対して、(1)海馬(空間認知記憶)の脳機能検査、又は、(2)嗅内野(空間認知)の脳機能検査を行う。この2つの試験は、いずれか一方であってもよいし、両方の試験を行うようにしてもよい。なお、本実施の形態で行う試験は、被験者であるユーザーはヘッドマウントディスプレイを装着して、そのユーザー自身は歩行する必要がない。一般的には、椅子に座ったままで試験を受けることが可能である。
認知症は脳機能の衰えにより発症するが、その兆候・進行度は「空間認知能力」と「記憶力」によって測定できる。これらは、臨床研究より、脳の海馬、嗅内野の機能試験によって測定可能である。本実施の形態は、(1)、(2)の試験を行うことができる。
認知症を発症する前に、できるだけ早くその兆候を見いだすことができれば、発症時期の遅延、又は、改善のための施策を施すことができる。具体的には、主観的認知機能障害(SCI)、軽度認知機能障害(MCI)の検知をすることが望ましい。本実施の形態は、これらの検知をも可能とするものである。
【0055】
<第1の実施の形態>
最初に、(1)海馬(空間認知記憶)の脳機能検査の試験を行う情報処理装置100について説明する。例えば、海馬の脳機能検査の試験を行うプログラムをコンピュータ(例えば、ヘッドマウントディスプレイ200)にインストールする。
情報処理装置100は、ユーザーの認知機能を判断するのに用いるものである。ユーザーの視覚に仮想空間を提示するヘッドマウントディスプレイを用いて、ユーザーの指示にしたがって、その仮想空間内での移動を行う。仮想空間内での移動の仕方、つまり、ユーザーの指示を用いて、ユーザーの認知機能を判断するようにしている。又は、その仮想空間において始点から目的地までにたどり着くために要した時間(以下、所要時間という)を計測して、ユーザーの認知機能を判断するようにしている。
なお、海馬(空間認知記憶)の脳機能測定として、「モーリスの水迷路試験(Morris water maze)」がある。「モーリスの水迷路試験」とは、空間学習能力(spatial learning)と記憶力を測定するための行動試験であり、脳の海馬における空間認知記憶の脳機能を測定するものである。論文「Reduced grid−cell−like representations in adults at genetic risk for Alzheimer’s disease」に詳しい。第1の実施の形態は、「モーリスの水迷路試験」と同等の試験方法を実現するものである。
【0056】
受付モジュール110は、提示モジュール120、判断モジュール130と接続されている。受付モジュール110は、ユーザーからの指示を受け付ける。
また、受付モジュール110は、マイクによってユーザーの音声(ボイスコマンド)を受け付け、その音声を認識してもよい。音声認識は、既に知られている音声認識技術を用いればよい。音声認識結果が「ユーザーの指示」になる。
また、受付モジュール110は、コントローラー(例えば、図12を用いて後述するコントローラー250、ジョイスティック等)に対する操作を、ユーザーからの指示として受け付けるようにしてもよい。
また、受付モジュール110は、複数の種類の入力手段からの指示を受け付けるようにしてもよい。入力手段として、例えば、前述の音声を受け付けるマイク、ユーザーの視線を検知するカメラ、ユーザーの指の操作を受け付けるコントローラー等がある。特に、音声を受け付けるマイクと他の入力手段の組み合わせが好ましい。
【0057】
提示モジュール120は、受付モジュール110と接続されている。提示モジュール120は、始点から目的地までの仮想空間の映像を、受付モジュール110が受け付けた指示にしたがってユーザーに提示する。なお、「仮想空間の映像」とは、仮想空間にユーザーが居たとした場合に、そのユーザーの視界に入る映像である。つまり、映像は、仮想空間におけるユーザーの地点で見ることができる映像である。
また、始点、目的地は、仮想空間において、任意に定めることができる。予め管理者が定めてもよいし、被験者であるユーザーが定めてもよい。例えば、現実の空間から仮想空間を生成した場合、そのユーザーにおける現在の住所(住んでいる家)を始点として、目的地を、駅、そのユーザーが所属している(又は、所属していた)会社、実家等としてもよい。なお、ユーザーが始点、目的地を定めない場合は、始点、目的地を記載した地図をユーザーに提示しておくことが必要である。
【0058】
また、提示モジュール120は、ユーザーが装着しているヘッドマウントディスプレイに、音声の認識結果にしたがって映像を提示し、さらに、そのユーザーが指示すべきタイミングを提示するようにしてもよい。
ここで「ユーザーが指示すべきタイミング」として、具体的には、地図上での経路における分岐点(例えば、交差点等)にそのユーザーが到達した時点(到達する直前を含む)であって、提示する内容として「右折する場合は「右」、直進なら「前」、地図画面は「地図」」等のように、指示内容を映像上に重ねて表示するようにしてもよい。
また、提示モジュール120は、ユーザーの現在若しくは過去の住所、又は、現在若しくは過去の勤務地を、始点又は目的地とする仮想空間を提示するようにしてもよい。例えば、現在の住所から最寄りの駅までの道のり、過去の通勤経路(過去の住所から勤務地までの道のり)、過去の通学路(過去の住所から小学校、中学校等の学校までの道のり)等が該当する。
なお、本実施の形態は、認知機能の試験だけでなく、認知機能の向上にも用いることができる。認知機能の向上には、過去の経験を思い出すことが役立つ。したがって、過去に経験した道のりを提示することは、認知機能の向上に役立つ。
【0059】
提示モジュール120が提示する映像は、コンピュータグラフィックス(ComputerGraphics:CGと略されている)等を利用してユーザーに提示するバーチャルリアリティ(VirtualReality:VRと略されている)技術を用いればよい。例えば、ヘッドマウントディスプレイ(HeadMountedDisplay:HMDと略されている、VRゴーグルとも言われる)を利用して仮想空間を3次元(3D)表示するシステムが普及し始めている。ヘッドマウントディスプレイを装着しているユーザーは、立体視像を用いて提示されている仮想空間内に居るように感じることができる。なお、本実施の形態では、3次元の仮想空間の映像を提示するが、ここでの仮想空間は、ユーザーが現実に居るその時点、位置における空間ではないという程度の意味であって、実際の映像(例えば、街中を撮影した映像)であってもよいし、それを加工したものであってもよいし、まったくの仮想的な空間(現実ではない空間)を映像化したものであってもよい。
なお、開放的な市街地や観光地の実写映像を、提示する仮想空間として設定することが好ましい。洞窟内のような閉鎖的かつ無味乾燥なCG空間は好ましくない。圧迫感とストレスを感じさせ、そのストレス等は認知症のリスク要因であるからである。
【0060】
判断モジュール130は、受付モジュール110と接続されている。判断モジュール130は、受付モジュール110が受け付けた指示が予め定められた指示ではないこと、又は、指示がないことをエラーとして計数する。そして、判断モジュール130は、計数されたエラーの回数を用いて、ユーザーの認知機能を判断する。
ここで「ユーザーの認知機能」として、そのユーザーが認知症である、又は、認知症ではないとの判断の他に、そのユーザーにおける認知症の発症リスクを含めてもよい。
ここで「指示が予め定められた指示ではない」として、(1)その地図において予め定められた各地点での方向(例えば、最短距離となる経路における方向)とは異なった方向である場合、(2)地図を確認する操作である場合、が該当する。
また、具体的な判断手法として、計数されたエラーの回数を、予め定められた回数(閾値)と比較して、ユーザーの認知機能を判断するようにしてもよい。予め定められた回数は、認知症ではないユーザーに対して、第1の実施の形態による試験を行った場合のエラーの回数を参考にして定めてもよい。例えば、計数されたエラーの回数が、予め定められた回数よりも多い又は以上である場合に、認知症の可能性があると判断するようにしてもよい。また、予め定められた回数は、認知症であることが確定しているユーザーに対して、第1の実施の形態による試験を行った場合のエラーの回数を参考にして定めてもよい。例えば、計数されたエラーの回数が、予め定められた回数よりも多い又は以上である場合に、認知症であると判断するようにしてもよい。さらに、認知症のレベルを判断するようにしてもよい。
【0061】
また、期間をあけて、本実施の形態による本試験を複数回行い、エラー回数である過去の試験結果と今回の試験結果を用いた学習曲線を生成して、その学習曲線を用いて、ユーザーの認知機能を判断するようにしてもよい。認知症ではない人の学習曲線との解離度が予め定められた値(閾値)より大きい又は以上である場合は、認知症の可能性があると判断するようにしてもよい。また、認知症である人の学習曲線との解離度が予め定められた値未満又は以下である場合は、認知症であると判断するようにしてもよい。
【0062】
また、提示モジュール120が、複数の種類の入力手段からの指示を受け付ける場合は、判断モジュール130は、さらに、異なる入力手段からの指示が異なった回数を計数してもよい。そして、判断モジュール130は、計数されたエラーの回数及び指示が異なった回数を用いて、ユーザーの認知機能を判断するようにしてもよい。
ここで「異なる入力手段からの指示が異なった」とは、例えば、音声による指示が「右」であり、コントローラーによる指示が「止まれ」のような場合が該当する。
また、具体的な判断手法として、指示が異なった回数をエラーとして、前述のエラーの回数に含めるようにしてもよい。その場合、「指示が異なった回数」に重み付けを行ってもよい。例えば、1未満の重み付けを行って、「指示が異なった回数」が軽くなるようにしてもよい。
【0063】
なお、複数の種類の入力手段からの指示を受け付け、異なる入力手段からの指示が異なった場合、提示モジュール120は、いずれかの入力手段からの指示にしたがって映像を提示する。例えば、ユーザーの音声による指示を優先して(他の入力手段からの指示は無視して)、その優先した指示にしたがって映像を提示してもよい。
また、複数の種類の入力手段からの指示を受け付け、異なる入力手段からの指示が異なった場合、いずれの指示が正しいかをユーザーに尋ねるようにし、再入力を促すようにしてもよい。
【0064】
また、判断モジュール130は、提示モジュール120が提示する仮想空間において、始点から目的地にたどり着くまでの時間を計測する。そして、判断モジュール130は、計測された時間を用いて、ユーザーの認知機能を判断する。
また、具体的な判断手法として、計測された所要時間を、予め定められた時間(閾値)と比較して、ユーザーの認知機能を判断するようにしてもよい。予め定められた時間は、認知症ではないユーザーに対して、本実施の形態による試験を行った場合の所要時間を参考にして定めてもよい。例えば、計測された所要時間が、予め定められた時間よりも多い又は以上である場合に、認知症の可能性があると判断するようにしてもよい。また、予め定められた回数は、認知症であることが確定しているユーザーに対して、本実施の形態による試験を行った場合の所要時間を参考にして定めてもよい。例えば、計測された所要時間が、予め定められた時間よりも長い又は以上である場合に、認知症であると判断するようにしてもよい。さらに、認知症のレベルを判断するようにしてもよい。
【0065】
また、期間をあけて、本実施の形態による本試験を複数回行い、所要時間である過去の試験結果と今回の試験結果を用いた学習曲線を生成して、その学習曲線を用いて、ユーザーの認知機能を判断するようにしてもよい。認知症ではない人の学習曲線との解離度が予め定められた値(閾値)より大きい又は以上である場合は、認知症の可能性があると判断するようにしてもよい。また、認知症である人の学習曲線との解離度が予め定められた値未満又は以下である場合は、認知症であると判断するようにしてもよい。
【0066】
また、判断モジュール130は、計数されたエラーの回数及び計測された時間を用いて、ユーザーの認知機能を判断するようにしてもよい。さらに、判断モジュール130は、計数されたエラーの回数、指示が異なった回数及び計測された時間を用いて、ユーザーの認知機能を判断するようにしてもよい。
【0067】
制御モジュール140は、情報処理装置100全体(受付モジュール110、提示モジュール120、判断モジュール130を含む)を制御する。
【0068】
図2は、本実施の形態を利用したスタンドアロン型のシステム構成例を示す説明図である。
被験者290は、ヘッドマウントディスプレイ200を装着し、コントローラー250を所持している。
ヘッドマウントディスプレイ200は、情報処理装置100、マイク・認識手段210を有している。マイク・認識手段210は、受付モジュール110の一例であり、被験者290の音声を受け付け、その音声を認識して、ユーザーの指示を受け付ける。
ヘッドマウントディスプレイ200の情報処理装置100とコントローラー250は、無線又は有線の通信回線により接続されている。指示装置であるコントローラー250によって、仮想空間における進行方向等の指示を行う。
被験者290は、音声又はコントローラー250を操作して、ヘッドマウントディスプレイ200が提示している仮想空間内を始点から目的地(第2の実施の形態では、目印、又は、ユーザーが始点であると思っている地点)に向けて移動する。コントローラー250として、図12の例を用いて後述するように物理的なボタンを用いたものであってもよいし、レバーによって方向入力を行うことができるジョイスティック等を用いるようにしてもよい。
【0069】
図3は、本実施の形態を利用したネットワーク型のシステム構成例を示す説明図である。
脳機能観測支援装置300、ヘッドマウントディスプレイ200B、ヘッドマウントディスプレイ200Aは、通信回線390を介してそれぞれ接続されている。通信回線390は、無線、有線、これらの組み合わせであってもよく、例えば、通信インフラとしてのインターネット、イントラネット等であってもよい。
脳機能観測支援装置300は、仮想空間の3次元映像(いわゆる道のりの映像であって、仮想空間内のユーザーがいる位置から見える映像)、被験者290の個人情報(年齢、住所、試験結果等)を管理しており、各ヘッドマウントディスプレイ200に送信する。また、各ヘッドマウントディスプレイ200から試験結果等の情報を受信して管理する。なお、脳機能観測支援装置300内に情報処理装置100を具備し、情報処理装置100の機能をクラウドサービスとして実現してもよい。
施設350A内には、ヘッドマウントディスプレイ200Aを装着した被験者290Aがいる。施設350B内には、ヘッドマウントディスプレイ200Bを装着した被験者290Bがいる。例えば、施設350として、健康診断センター、病院、歯科医院等の医療機関、会社、又は、被験者290の自宅等であってもよい。
被験者290は、施設350でヘッドマウントディスプレイ200を用いた試験を定期的(例えば、3ヶ月に1度等)に受け、自己の認知症発症リスクを判定してもらう。早期発見された認知症予備軍である被験者290に対して、認知症発症予防活動の継続を支援する。
【0070】
図4は、第1の実施の形態が提示する地図の例を示す説明図である。
ヘッドマウントディスプレイ200を用いて、図4の例に示すVR提示画面400内の地図410を被験者290に提示する。
そして、地図410内には、始点420、目的地430、そして、始点420から目的地430までの経路440を提示する。被験者290は、試験の最初に、この地図410を見て、現在の位置である始点420、目的地430、そして、経路440を理解(又は、記憶)する。
また、試験の途中で、被験者290から地図確認の指示があった場合は、この地図410を提示する。その際に、始点420、目的地430、経路440の他に、被験者290の現在地を提示するようにしてもよい。
【0071】
図5は、第1の実施の形態による仮想空間の提示例を示す説明図である。
例えば、図5(a)に示すVR提示画面500a内の映像を被験者290に提示する。ヘッドマウントディスプレイ200を装着している被験者290は、立体視像の映像であるので、その場に立っているように感じることができ、臨場感をもって試験に臨むことができる。
例えば、交差点等にさしかかった場合に、いずれの方向に進むかについては被験者290の指示が必要である。その場合、例えば、図5(b)に示すVR提示画面500bに、説明用画面510を表示し、説明用画面510には『右折なら「右」、直進なら「前」、地図画面は「地図」』と表示する。例えば、被験者290は、右折したい場合は「右」と発声する。その音声はマイク・認識手段210に入力され、「右」(右方向に進むの意味)という指示として解釈し、右折した場合の映像を提示する。
【0072】
図6は、第1の実施の形態(ヘッドマウントディスプレイ200)による処理例を示すフローチャートである。
ステップS602では、ヘッドマウントディスプレイ200は、初期条件を設定する。例えば、被験者290の名前、年齢、住所、病歴等を用いて、その被験者290に適した仮想空間を映像を準備する。例えば、ユーザー情報テーブル700を用いる。図7は、ユーザー情報テーブル700のデータ構造例を示す説明図である。ユーザー情報テーブル700は、ユーザーID欄705、名前欄710、生年月日欄715、性別欄720、住所欄725、過去住所欄730、過去住所の期間欄735、会社欄740、勤務地欄745、過去勤務地欄750、過去勤務地の期間欄755、病歴欄760を有している。ユーザーID欄705は、本実施の形態において、ユーザーを一意に識別するための情報(具体的にはユーザーID:IDentificationの略)を記憶している。名前欄710は、そのユーザーの名前を記憶している。生年月日欄715は、そのユーザーの生年月日を記憶している。性別欄720は、そのユーザーの性別を記憶している。住所欄725は、そのユーザーの現在の住所を記憶している。過去住所欄730は、そのユーザーの過去の住所を記憶している。過去住所の期間欄735は、その過去住所に住んでいた期間を記憶している。過去住所欄730と過去住所の期間欄735の組は、複数あってもよい。会社欄740は、そのユーザーが所属している会社を記憶している。勤務地欄745は、そのユーザーの現在の勤務地を記憶している。過去勤務地欄750は、そのユーザーの過去の勤務地を記憶している。過去勤務地の期間欄755は、その過去勤務地に通勤していた期間を記憶している。過去勤務地欄750と過去勤務地の期間欄755の組は、複数あってもよい。病歴欄760は、そのユーザーの過去の病気の記録を記憶している。特に、認知症の発症時期、認知症のレベル等を記憶するようにしてもよい。
例えば、ヘッドマウントディスプレイ200は、被験者290に対して、仮想空間における始点から目的地までの経路を示す地図(例えば、図4に示した地図)を提示してもよい。
【0073】
ステップS604では、ルート探索を開始するか否かを判断し、開始する場合はステップS606へ進み、それ以外の場合は開始するまで待機する。被験者290による指示(例えば、「スタート」という音声)であってもよいし、ヘッドマウントディスプレイ200が自動的に開始するようにしてもよい。開始されると、被験者290は、仮想空間において始点の位置にいることになる。
ステップS606では、計時を開始する。つまり、所要時間の計測を開始する。
【0074】
ステップS608では、音声を受け付ける。仮想空間内の道のりにおいて分岐点にいる場合の被験者290の音声を受け付ける。
ステップS610では、音声を認識する。
ステップS612では、認識結果を判断し、「行先の指示」の場合はステップS614へ進み、「地図確認」の場合はステップS622へ進み、「指示なし」の場合はステップS626へ進む。「行先の指示」として、例えば、「右」、「左」、「前」、「戻る」等がある。「指示なし」は、指示が必要になった時から予め定められた期間が経過したにもかかわらず、指示がない場合をいう。
【0075】
ステップS614では、正解か否かを判断し、正解の場合はステップS616へ進み、それ以外の場合はステップS618へ進む。目的地に到達するための道のりを進んでいる場合は正解であり、それ以外は不正解とする。正解か否かは、例えば、地図情報テーブル800を用いて判断する。図8は、地図情報テーブル800のデータ構造例を示す説明図である。地図情報テーブル800は、地図ID欄805、始点欄810、目的地欄815、指示回数欄820、地点欄825、指示欄830を有している。地図ID欄805は、本実施の形態において、仮想空間における地図を一意に識別するための情報(具体的には、地図ID)を記憶している。始点欄810は、その仮想空間における始点を記憶している。目的地欄815は、その仮想空間における目的地を記憶している。指示回数欄820は、始点から目的地にたどり着くまでに必要な指示の回数を記憶している。指示回数欄820内の回数だけ、地点欄825と指示欄830の組が続く。地点欄825は、その指示を行うべき地点(仮想空間内における位置)を記憶している。指示欄830は、その地点で行うべき指示を記憶している。
つまり、被験者290がいる地点での指示が、地点欄825における指示欄830と一致する場合は正解とし、不一致の場合は不正解とする。なお、ヘッドマウントディスプレイ200が被験者290の現在の位置に基づいて、都度、経路探索を行って目的地にたどり着くために行うべき指示を決定するようにしてもよい。
【0076】
ステップS616では、正解として計数する。
ステップS618では、エラーとして計数する。
ステップS620では、指示にしたがって移動する。仮想空間内での位置を指示にしたがって移動して、移動した先での映像を提示する。
ステップS622では、エラーとして計数する。地図確認もルート探索の失敗としてカウントする。
ステップS624では、地図を提示する。例えば、仮想空間の全体の地図を提示してもよいし、ステップS602で提示した地図を提示するようにしてもよいし、その位置から目的地までの経路を提示するようにしてもよい。
ステップS626では、エラーとして計数する。指示がなかった場合も、エラーとして計数する。
【0077】
ステップS628では、目的地であるか否かを判断し、目的地の場合はステップS630へ進み、それ以外の場合はステップS608へ戻る。被験者290が目的地にたどり着くまで繰り返される。
ステップS630では、計時を終了する。これによって、所要時間を計測できる。
【0078】
この試験を行っている最中の被験者290の指示の履歴を、例えば、ログテーブル900に記録する。図9は、ログテーブル900のデータ構造例を示す説明図である。ログテーブル900は、ログID欄905、ユーザーID欄910、テスト日時欄915、地図ID欄920、指示日時欄925、地点欄930、音声指示欄935、その他指示欄940を有している。ログID欄905は、本実施の形態において、ログを一意に識別するための情報(具体的にはログID)を記憶している。ユーザーID欄910は、ユーザーIDを記憶している。テスト日時欄915は、テストが行われた日時を記憶している。地図ID欄920は、地図IDを記憶している。指示日時欄925は、そのユーザーが指示を行った日時を記憶している。地点欄930は、指示を行った仮想空間内での地点(位置)を記憶している。音声指示欄935は、そのユーザーが音声によって行った指示を記憶している。その他指示欄940は、そのユーザーが行った音声以外の指示(例えば、コントローラー250を用いた指示、視線による指示等)記憶している。
【0079】
本試験が終了した時点で、被験者290の認知機能を判断し、例えば、テスト結果テーブル1000を生成する。図10は、テスト結果テーブル1000のデータ構造例を示す説明図である。テスト結果テーブル1000は、ユーザーID欄1005、テスト日時欄1010、地図ID欄1015、エラー回数欄1020、半エラー回数欄1025、所要時間欄1030、判断結果欄1035を有している。ユーザーID欄1005は、ユーザーIDを記憶している。テスト日時欄1010は、テスト日時を記憶している。地図ID欄1015は、地図IDを記憶している。エラー回数欄1020は、その試験におけるエラー回数を記憶している。半エラー回数欄1025は、その試験における半エラー回数を記憶している。ここで「半エラー回数」とは、異なる入力手段からの指示が異なった回数である。所要時間欄1030は、始点から目的地にたどり着くまでの所要時間を記憶している。判断結果欄1035は、判断結果を記憶している。判断結果として、例えば、認知症ではない、認知症の可能性がある、認知症である、等がある。
【0080】
図11は、第1の実施の形態(ヘッドマウントディスプレイ200)による処理例を示すフローチャートである。図6の例に示したフローチャートに、半エラーの回数を計数する処理を加えたものであり、具体的には、ステップS1112、ステップS1114、ステップS1116の処理を加えている。これ以外の処理は、図6の例に示したフローチャートの処理と同等である。もちろんのことながら、被験者290の認知機能を判断するのに、半エラーの回数も考慮する。
【0081】
ステップS1102では、初期条件を設定する。
ステップS1104では、ルート探索を開始するか否かを判断し、開始する場合はステップS1106へ進み、それ以外の場合は開始するまで待機する。
【0082】
ステップS1106では、計時を開始する。
ステップS1108では、音声を受け付ける。
ステップS1110では、音声を認識する。
【0083】
ステップS1112では、その他操作を受け付ける。
ステップS1114では、音声認識結果とその他操作による指示とは一致するか否かを判断し、一致する場合はステップS1118へ進み、それ以外の場合はステップS1116へ進む。
ステップS1116では、半エラーとして計数する。
【0084】
ステップS1118では、認識結果を判断し、「行先の指示」の場合はステップS1120へ進み、「地図確認」の場合はステップS1128へ進み、「指示なし」の場合はステップS1132へ進む。
ステップS1120では、正解か否かを判断し、正解の場合はステップS1122へ進み、それ以外の場合はステップS1124へ進む。
【0085】
ステップS1122では、正解として計数する。
ステップS1124では、エラーとして計数する。
ステップS1126では、指示にしたがって移動する。
ステップS1128では、エラーとして計数する。
ステップS1130では、地図を提示する。
ステップS1132では、エラーとして計数する。
【0086】
ステップS1134では、目的地であるか否かを判断し、目的地の場合はステップS1136へ進み、それ以外の場合はステップS1108へ戻る。
ステップS1136では、計時を終了する。
【0087】
ステップS1112での、音声以外の「その他操作」として、コントローラー250の操作、視線検出による操作を、図12図13の例を用いて説明する。
図12は、コントローラー250の例を示す説明図である。
コントローラー250には、前へボタン1205、右へボタン1210、戻るボタン1215、左へボタン1220、停止ボタン1230、地図ボタン1235がある。被験者290は、これらのボタンを選択することによって、指示を行う。前へボタン1205が選択されると、「前へ進む」の指示であり、右へボタン1210が選択されると、「右へ進む」の指示であり、戻るボタン1215が選択されると、「後ろに戻る」の指示であり、左へボタン1220が選択されると、「左へ進む」の指示であり、停止ボタン1230が選択されると、「停止」の指示であり、地図ボタン1235が選択されると、「地図を表示」の指示である。
各ボタンの形状を、被験者290が触るだけでわかるように異ならせて、どのボタンがどの指示に対応しているかを、その形状でわかるようにしてもよい。図12の例では、前へボタン1205を上矢印、右へボタン1210を右矢印、戻るボタン1215を下矢印、左へボタン1220を左矢印、停止ボタン1230を円、地図ボタン1235を四角の形状にしている。
【0088】
図13は、第1の実施の形態による視線検出の処理例を示す説明図である。
画面1300には、VR指示画面1310、指示領域1350を表示する。VR指示画面1310には、仮想空間の映像を提示する。また、ヘッドマウントディスプレイ200は、被験者290の視線を検出するセンサーを内蔵している。例えば、被験者290の目を撮影し、角膜反射、瞳孔の位置等を用いて視線を検出すればよい。
指示領域1350には、前へ領域1355、右へ領域1360、左へ領域1365、戻る領域1370、停止領域1375、地図提示領域1380を表示する。
被験者290の視線を検出し、指示領域1350内の各領域(前へ領域1355、右へ領域1360、左へ領域1365、戻る領域1370、停止領域1375、地図提示領域1380)のいずれかに対しての凝視が検出されたならば、その領域に対応付けられた指示として受け付ける。
【0089】
図14は、第1の実施の形態による処理例を示す説明図である。この例に示すグラフは学習曲線を示すものである。試験を複数回行った場合の結果をグラフ化したものである。
横軸として回数又は日時軸1410、縦軸としてエラー回数又は所要時間軸1420を設け、対象としているユーザーのテスト結果を示すグラフ(例えば、ユーザーAのグラフ1460又はユーザーBのグラフ1470)と認知症ではない人の標準のグラフ1450を表示したものである。
例えば、A時点での差分1465が閾値Xより大であり、閾値Y未満であるので、ユーザーAについては認知症の可能性があると判断し、A時点での差分1475は閾値Y以上であるので、ユーザーBについては認知症であると判断する。
また、グラフの傾斜角度によって、認知症のリスクを判断するようにしてもよい。
【0090】
また、複数回の試験を行った場合の例を示したが、1回の試験で判断をするようにしてもよい。例えば、エラー回数が閾値Aより大きい又は以上である場合に、認知症リスクがあると判断してもよい。閾値Aは、認知症ではないユーザーが被験者として行った場合のエラー回数を参考にして生成したものである。なお、エラー回数として、半エラーの回数を含めてもよいし、半エラーの回数の半分(0.5の重み付け)を加えるようにしてもよい。
また、例えば、所要時間が閾値Bより大きい又は以上である場合に、認知症リスクがあると判断してもよい。閾値Bは、認知症ではないユーザーが被験者として行った場合の所要時間を参考にして生成したものである。
【0091】
ユーザーの認知機能を判断した後に、認知症予防、リハビリ等に有効なトレーニングを推奨する。例えば、現在の認知症のレベルに合わせたトレーニング方法を対応させて記憶している推奨トレーニングテーブル1500を用いる。
図15は、推奨トレーニングテーブル1500のデータ構造例を示す説明図である。
推奨トレーニングテーブル1500は、所要時間欄1505、エラー回数欄1510、半エラー回数欄1515、推奨トレーニング欄1520を有している。所要時間欄1505は、所要時間を記憶している。エラー回数欄1510は、エラー回数を記憶している。半エラー回数欄1515は、半エラー回数を記憶している。推奨トレーニング欄1520は、所要時間、エラー回数、半エラー回数のユーザーに適したトレーニングを記憶している。
トレーニングとして、前述の試験そのものであってもよいし、異なる仮想空間としたものであってもよい。異なる仮想空間として、前述したように、過去の通学経路、通勤経路等を利用してもよい。また、ヘッドマウントディスプレイ200を用いた脳トレーニング(簡単な計算、パズル等)を行うようにしてもよい。
【0092】
<第2の実施の形態>
次に、(2)嗅内野(空間認知)の脳機能検査の試験を行う情報処理装置100について説明する。例えば、嗅内野の脳機能検査の試験を行うプログラムをコンピュータ(例えば、ヘッドマウントディスプレイ200)にインストールする。なお、第2の実施の形態のヘッドマウントディスプレイ200では、マイク・認識手段210を用いてユーザーの指示を受け付けるようにしてもよいが、不要としてもよい。音声による指示では、第2の実施の形態での試験において、移動方向の指示が困難となるので、マイク・認識手段210を用いないで、コントローラー250の操作だけでの指示を受け付けるようにしてもよい。
第2の実施の形態が行う試験によって、老化で最初期に障害を引き起こす嗅内野機能の検査を行う。なお、fMRIの結果から、頭部の向きによって嗅内野に存在するgrid cell(格子細胞)の活動が変化することが知られている。
【0093】
受付モジュール110は、第1の実施の形態で示した受付モジュール110と同等の処理を行う。なお、第1の実施の形態のように道に沿った移動を行うわけではなく、自由に移動することができるため、音声による指示よりもジョイスティック等のコントローラー250を用いるのが一般的に好ましい。
また、受付モジュール110は、仮想空間内を移動するための指示の他に、ユーザーから始点に戻ったことを示す指示を受け付ける。「始点に戻ったことを示す指示」は、ユーザーが行うものであり、そのユーザーが始点に戻ったと主観的に感じた地点で行われる。したがって、実際の始点(そのユーザーが本試験を開始した地点)とは距離がある地点を始点に戻ったと考えることがある。この距離が、認知機能の判断に用いられる。
なお、「始点に戻ったことを示す指示」として、具体的には、コントローラー250に備え付けられている終了ボタンを押す等の操作が該当する。
【0094】
提示モジュール120は、始点から目印まで移動して、その始点に戻るまでの仮想空間の映像を、受付モジュール110が受け付けた指示にしたがってユーザーに提示する。この仮想空間は、アリーナと呼ばれる空間である。アリーナとは、広場、競技場等のように広い平らな場所である。例えば、始点をそのアリーナ内の中心地点としてもよい。目印は、例えば、旗、山、建物、看板等のように、ユーザーが視認できるものであればよい。その目印をたよりにしてユーザーが移動する。
また、第2の実施の形態による試験を複数回行うようにしてもよい。その場合、毎回、始点の位置を変更するようにしてもよい。さらに、目印の位置も変更するようにしてもよい。
【0095】
また、目印は複数あってもよい。そして、ある1つの目印から他の目印への移動をユーザーに行わせる。例えば、ユーザーに対して、始点から目印Aに行くこと、目印Aから目印Bに行くこと、・・・、目印Zから始点に戻ることを提示し、そのようなコースをたどらせるようにしてもよい。また、提示モジュール120は、ユーザーの足跡(つまり、始点からそれまでのユーザーの移動経路)は、ログとして記録するが、そのユーザーには提示しない。目印が複数ある場合にあって、最後の目印以外の目印は、経由地点(中間地点)としての役割を有しており、最後の目印が真の目印としてもよい。例えば、2つの目印がある場合、真の目印である第2の目印に行くためには、経由地点である第1の目印を経由する必要がある。
また、ユーザーを第1の目印から第2の目印に移動させる場合にあって、そのユーザーがその第2の目印に到達した場合、提示モジュール120は、仮想空間内の映像から第1の目印を消去するようにしてもよい。したがって、ユーザーは、第2の目印か第3の目印に行く際、又は、第2の目印から始点に戻る際には、第1の目印がある位置を確認することができないこととなる。また、第2の目印も、その第2の目印に到達した場合、又は、その第2の目印から離れた場合に、仮想空間内の映像から消去するようにしてもよい。目印の消去を行わない場合に比べて、嗅内野機能の検査をより正確に行うためである。
また、この目印の消去は、2番目以降の目印に到着する毎に、その直前の目印を消去するようにしてもよい。
また、この目印の消去は、ユーザーが最後の目印に到達した場合に、提示モジュール120は、仮想空間内の映像から目印を消去するようにしてもよい。ここで消去対象となる目印は、最後の目印を除いて、最初の目印から最後の目印の直前の目印としてもよい。さらに、最後の目印も、その最後の目印に到達した場合、又は、その最後の目印から離れた場合に、仮想空間内の映像から消去するようにしてもよい。このようにすることによって、ユーザーは、最後の目印から始点に戻る際には、それまでの目印がある位置を確認することができないこととなる。
【0096】
判断モジュール130は、ユーザーが出発した始点の位置と、受付モジュール110がユーザーから始点に戻ったことを示す指示を受け付けた時点の位置(以下、終点ともいう)との間の距離(この距離は、「path integration performance」に該当する)を計測する。ここでの距離は、仮想空間内での距離である。例えば、仮想空間内での位置を座標で表し、始点の座標と終点の座標から算出される直線的な距離としてもよいし、X軸等の各軸での差分を加算したものを距離としてもよい。なお、座標は、2次元でのXY座標であってもよいし、3次元でのXYZ座標であってもよい。
【0097】
また、判断モジュール130は、ユーザーが出発した始点の位置と、移動開始から予め定められた時間が経過した時点の位置(以下、終点ともいう)との間の距離を計測するようにしてもよい。なお、終点は、「受付モジュール110がユーザーから始点に戻ったことを示す指示を受け付けた時点の位置」、「移動開始から予め定められた時間が経過した時点の位置」のいずれかである。
ここでの「移動開始から予め定められた時間が経過した時点」とは、いわゆるタイムアウトのことであり、第2の実施の形態による試験を強制的に終了させることである。「予め定められた時間」として、例えば、スタートしてから30秒間、1分間、1分30秒間、2分間等がある。タイムアウトした時点で、ユーザーがいる地点が、ユーザーが始点であると認識した地点とみなしている。なお、タイムアウト前に、ユーザーが始点であると認識した地点に到達している場合は、そのユーザーはその地点にとどまることになる。
ここで予め定められた時間の計測開始時である「移動開始」は、第2の実施の形態による「ユーザーは、始点から目印に移動し、目印から始点に戻る」試験において、(1)最初の始点から目印への移動開始、(2)目印から始点に戻る際における移動開始、のいずれであってもよい。なお、「(2)目印から始点に戻る際における移動開始」において、複数の目印がある場合は、最後の目印から始点に戻る際における移動開始となる。また、いずれの場合にあっても、移動開始については、第2の実施の形態がスタートを被試験者であるユーザーに指示した時点であってもよいし、ユーザーがスタートを指示してもよい。前者にあっては、例えば、ヘッドマウントディスプレイ200にスタートの旨を示す文字、画像等を表示してもよいし、ヘッドマウントディスプレイ200に備え付けられているスピーカーを用いてスタートである旨を示す音(音声又は音楽等含む)を出力してもよい。また、後者にあっては、例えば、コントローラー250を用いて、そのユーザーによるスタートの操作が行われたことを検知してもよいし、そのユーザーが実際に移動を開始したことを検知してもよい。
【0098】
もちろんのことながら、前述の「移動開始から予め定められた時間が経過した時点の位置」と「受付モジュール110がユーザーから始点に戻ったことを示す指示を受け付けた時点の位置」を組み合わせてもよい。つまり、判断モジュール130は、計測として「ユーザーが出発した始点の位置と、移動開始から予め定められた時間が経過した時点の位置との間の距離を計測すること(計測A)」と、「ユーザーが出発した始点の位置と、受付モジュール110がユーザーから始点に戻ったことを示す指示を受け付けた時点の位置との間の距離を計測すること(計測B)」の両方を行うことができ、予め定められた時間が経過する前に、受付モジュール110がユーザーから始点に戻ったことを示す指示を受け付けた場合は計測Bを行い、ユーザーが始点に戻ったことを示す指示をせずに、予め定められた時間が経過した場合は計測Aを行う。つまり、タイムアウト前に、そのユーザーが始点に戻ったことを示す指示を行った場合は、「ユーザーが出発した始点の位置と、受付モジュール110がユーザーから始点に戻ったことを示す指示を受け付けた時点の位置との間の距離を計測する」ことになるし、ユーザーが始点に戻ったことを示す指示を行わずにタイムアウトした場合は、「ユーザーが出発した始点の位置と、移動開始から予め定められた時間が経過した時点の位置との間の距離を計測する」ことになる。
【0099】
なお、目印が複数ある場合における距離を計測するために用いる終点は、最後の目印から始点(ユーザーが主観的に始点であると思っている始点)に戻った際における終点を用いればよい。ユーザーが出発した始点の位置と、終点との間の距離を計測すればよい。
【0100】
次に、判断モジュール130は、計測された距離を用いて、ユーザーの認知機能を判断する。例えば、予め定められた距離(閾値)と計測された距離を比較して、ユーザーの認知機能を判断するようにしてもよい。
例えば、予め定められた距離は、認知症ではないユーザーに対して、第2の実施の形態による試験を行った場合の距離を参考にして定めてもよい。例えば、認知症ではないユーザーでの距離の統計的値(例えば、平均値、最頻値、中央値、最小値等)を予め定められた距離としてもよい。この場合の予め定められた距離を閾値1とする。例えば、計測された距離が、予め定められた距離(閾値1)よりも長い又は以上である場合に、認知症の可能性があると判断するようにしてもよい。
また、例えば、予め定められた距離は、認知症であることが確定しているユーザーに対して、第2の実施の形態による試験を行った場合の距離を参考にして定めてもよい。例えば、認知症ではないユーザーでの距離の統計的値(例えば、平均値、最頻値、中央値、最大値等)を予め定められた距離としてもよい。この場合の予め定められた距離を閾値2とする。例えば、計測された距離が、予め定められた距離(閾値2)よりも長い又は以上である場合に、認知症であると判断するようにしてもよい。
さらに、例えば、計測された距離が、閾値1未満又は以下である場合は認知症ではない、閾値1よりも長い又は以上であって閾値2未満又は以下である場合は認知症の可能性がある、閾値2よりも長い又は以上である場合は認知症であると判断するようにしてもよい。さらに、閾値を細かくして(3つ以上の閾値として)、認知症の可能性のレベルを判断するようにしてもよい。
【0101】
また、判断モジュール130は、計測された距離と目印の数を用いて、ユーザーの認知機能を判断するようにしてもよい。例えば、目印の数が多くなるほど、閾値である予め定められた距離を長くするようにしてもよい。
【0102】
図16は、第2の実施の形態が提示する仮想空間の例を示す説明図である。
ヘッドマウントディスプレイ200は、草原のアリーナである仮想空間1600を被験者290に提示する。この仮想空間1600は、例えば、360度見渡すことができる3次元の仮想空間である。また、この仮想空間1600内に、目印を配置する。
【0103】
図17は、第2の実施の形態によって行った試験結果の例を示す説明図である。
図17の例は、仮想空間1700内に3つの目印(目印1710、目印1720、目印1730)があることを示している。そして、仮想空間1700の中心を始点1705としている。被験者290は、コントローラー250を操作して、始点1705から目印1710へ移動し、目印1710から目印1720へ移動し、目印1720から目印1730へ移動し、目印1730から始点1705に戻ろうとする。ただし、始点1705には目印がないので、正確に始点1705に戻れるとは限らない。被験者290は、自分が始点1705に戻ったと思った時点で、コントローラー250を操作して「始点に戻ったことを示す指示」を行う。この指示を行った地点が終点1795であるとする。また、前述したように、タイムアウト時間が経過した時点での被験者290がいる地点を終点1795であるとする。そして、始点1705と終点1795の距離1750を計測する。この距離1750は、本来の始点1705と最終的な到達地点である終点1795との誤差である。始点1705は、出発地点である。
なお、各目印の地点に到達したならば、その目印の地点から始点1705への方向、又は、始点1705までの距離をユーザーに確認させるようにメッセージを表示するようにしてもよい。また、前述したように、各目印の地点に到達したならば、その目印よりも前に到達した目印を消去するようにしてもよい。また、図17の例では、各目印を仮想空間1700の外壁に配置した例を示しているが、これに限らず、仮想空間1700内であればいずれの位置であってもよい。
【0104】
図18は、第2の実施の形態による処理例を示すフローチャートである。受付モジュール110がユーザーから始点に戻ったことを示す指示を受け付けた時点の位置を終点として、始点と終点との間の距離を計測するようにした処理例を示すものである。
【0105】
ステップS1802では、ヘッドマウントディスプレイ200は、初期条件を設定する。例えば、被験者290の名前、年齢、住所、病歴等を用いて、その被験者290に適した仮想空間の映像を準備する。例えば、前述したユーザー情報テーブル700を用いる。
また、ユーザーに提示する仮想空間は、例えば、仮想空間情報テーブル1900によって管理されている。図19は、仮想空間情報テーブル1900のデータ構造例を示す説明図である。仮想空間情報テーブル1900は、仮想空間ID欄1905、始点欄1910、目印数欄1915、目印欄1920を有しており、目印欄1920は、目印ID欄1925、位置欄1930、目印像欄1935を有している。仮想空間ID欄1905は、本実施の形態において、仮想空間を一意に識別するための情報(具体的には仮想空間ID)を記憶している。始点欄1910は、その仮想空間における始点を記憶している。具体的には、始点の座標である。目印数欄1915は、目印数を記憶している。目印欄1920は、目印を記憶している。目印ID欄1925は、本実施の形態において、目印を一意に識別するための情報(具体的には目印ID)を記憶している。位置欄1930は、その目印の位置を記憶している。具体的には、目印の座標である。目印像欄1935は、目印像を記憶している。目印像として、例えば、旗、山、建物、看板等の映像が該当する。目印数欄1915内の数だけ目印欄1920が続く。
【0106】
ステップS1804では、開始するか否かを判断し、開始する場合はステップS1806へ進み、それ以外の場合は開始するまで待機する。被験者290による指示(例えば、ジョイスティックの操作開始)であってもよいし、ヘッドマウントディスプレイ200が自動的に開始するようにしてもよい。開始されると、被験者290は、仮想空間において始点の位置にいることになる。
ステップS1806では、計時を開始する。つまり、所要時間の計測を開始する。
【0107】
ステップS1808では、指示を受け付ける。
ステップS1810では、終了指示(ユーザーから始点に戻ったことを示す指示)があったか否かを判断し、終了指示があった場合はステップS1818へ進み、それ以外の場合はステップS1812へ進む。なお、この終了指示は、最後の目印から始点にユーザーが戻る際に、受け付け可能とするようにしてもよい。つまり、最後の目印に到達するまでは、ユーザーは終了指示を行うことができず、最後の目印から始点に戻るために移動を開始した後に、終了指示ができるようなユーザーインタフェースとしてもよい。
ステップS1812では、指示にしたがって移動する。移動に関する指示として、例えば、ジョイスティックのレバーを倒した方向を進行方向とすればよい。また、レバーを元の位置に戻すこと(例えば、垂直にすること)を停止とすればよい。
ステップS1814では、目印に到達したか否かを判断し、到達した場合はステップS1816へ進み、それ以外の場合はステップS1808へ戻る。
【0108】
ステップS1816では、目印到達時のデータを記録し、ステップS1808へ戻る。例えば、ログテーブル2000を生成する。図20は、ログテーブル2000のデータ構造例を示す説明図である。ログテーブル2000は、ログID欄2005、ユーザーID欄2010、テスト日時欄2015、仮想空間ID欄2020、始点欄2025、目印ID欄2030、日時欄2035、終点欄2040を有しており、終点欄2040は、終点指示日時欄2045、位置欄2050を有している。ログID欄2005は、本実施の形態において、ログを一意に識別するための情報(具体的にはログID)を記憶している。ユーザーID欄2010は、ユーザーIDを記憶している。テスト日時欄2015は、テストが行われた日時を記憶している。仮想空間ID欄2020は、そのテストで用いられた仮想空間のIDを記憶している。始点欄2025は、始点の座標を記憶している。目印ID欄2030は、目印IDを記憶している。日時欄2035は、その目印に到達した日時を記憶している。目印数だけ目印ID欄2030と日時欄2035の組が始点欄2025の後に続く。終点欄2040は、終点を記憶している。終点指示日時欄2045は、終点であるとの指示(ユーザーから始点に戻ったことを示す指示)が行われた日時を記憶している。位置欄2050は、その終点の位置(座標)を記憶している。
【0109】
ステップS1818では、計時を終了する。これによって、所要時間を計測できる。
ステップS1820では、始点と終点(ユーザーから始点に戻ったことを示す指示が行われた地点)との間の距離を測定する。
【0110】
本試験が終了した時点で、被験者290の認知機能を判断し、例えば、テスト結果テーブル2100を生成する。図21は、テスト結果テーブル2100のデータ構造例を示す説明図である。テスト結果テーブル2100は、ユーザーID欄2105、テスト日時欄2110、仮想空間ID欄2115、目印ID欄2120、所要時間2125、始点・終点間距離欄2130、判断結果欄2135を有している。ユーザーID欄2105は、ユーザーIDを記憶している。テスト日時欄2110は、テスト日時を記憶している。仮想空間ID欄2115は、仮想空間IDを記憶している。目印ID欄2120は、目印IDを記憶している。所要時間2125は、その目印までの所要時間を記憶している。なお、始点からの所要時間としてもよいし、前の目印から今回の目印までの所要時間としてもよい。目印数だけ目印ID欄2120と所要時間2125の組が仮想空間ID欄2115の後に続く。始点・終点間距離欄2130は、始点と終点間の距離を記憶している。判断結果欄2135は、判断結果を記憶している。判断結果として、例えば、認知症ではない、認知症の可能性がある、認知症である、等がある。
【0111】
図22は、第2の実施の形態による処理例を示す説明図である。
図22の例に示す結果グラフ2200は、横軸にユーザー、縦軸にステップS1820で測定された距離を示している。認知症ではない若年者2210のグラフと被験者290であるユーザーA2220のグラフを比較可能に表示したものである。ユーザーA2220は若年者2210よりも、ステップS1820で測定された距離が差分2230だけ長いことを示している。この差分2230が閾値より大きい又は以上である場合に、認知症の可能性があると判断する。
【0112】
図23は、本実施の形態による処理例を示す説明図である。
ヘッドマウントディスプレイ200による試験を継続的に行い、その試験結果等を時系列に表示するようにしてもよい。画面2300は、ヘッドマウントディスプレイ200で表示するようにしてもよいし、脳機能観測支援装置300で表示するようにしてもよいし、脳機能観測支援装置300にアクセスすることによって被験者290が有しているスマートフォン等に表示するようにしてもよい。
例えば、1年間を4つのクール(期間)に分けて、各クールの最初又は最後にヘッドマウントディスプレイ200による試験を行う。
画面2300には、年間予防プログラム領域2310、脳健康ベクトル領域2320、脳機能定点観測領域2330、項目別予防プログラム実行状況領域2340を表示する。年間予防プログラム領域2310として、4つのクールを示す。脳健康ベクトル領域2320には、各クールにおいて行われた認知症の予防活動を示している。例えば、予防活動として、サプリメントの摂取、運動等がある。ここでは、実際に行われた予防活動を変数として予め定められた関数を適用して導出した脳健康ベクトルという数値で表現している。脳機能定点観測領域2330には、各クールにおける本実施の形態による試験結果を示している。例えば、第1の実施の形態を用いた試験では、所要時間を表示してもよいし、エラー回数を表示してもよい。なお、第2の実施の形態では、距離を表示してもよい。もちろんのことながら、試験による判断結果(認知症ではない、認知症の可能性がある、認知症である等)を表示するようにしてもよい。項目別予防プログラム実行状況領域2340には、ヘッドマウントディスプレイ200による試験結果以外に、歯周病菌欄2342、咬合力欄2344、有酸素運動欄2346、サプリメント欄2348を表示している。
【0113】
図24は、第2の実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
図24の例に示すフローチャートは、ステップS2410の処理以外は図18の例に示した処理と同等である。タイムアウト時間が経過した時点の位置を終点として、始点と終点との間の距離を計測するようにした処理例を示すものである。
ステップS2402では、初期条件を設定する。
ステップS2404では、開始するか否かを判断し、開始する場合はステップS2406へ進み、それ以外の場合は開始するまで待機する。
ステップS2406では、計時を開始する。つまり、所要時間の計測を開始することになる。また、後述するように、タイムアウト時間の計測を開始することとしてもよい。
【0114】
ステップS2408では、指示を受け付ける。
ステップS2410では、タイムアウト時間が経過したか否かを判断し、経過した場合はステップS2418へ進み、それ以外の場合はステップS2412へ進む。ここでのタイムアウト時間の計測開始は、ステップS2406での計時開始時(つまり、始点からの移動開始時)であってもよいし、最後の目印に到達した後に、始点に戻るために移動を開始した時点であってもよい。
ステップS2412では、指示にしたがって移動する。
【0115】
ステップS2414では、目印に到達したか否かを判断し、到達した場合はステップS2416へ進み、それ以外の場合はステップS2408へ戻る。
ステップS2416では、目印到達時のデータを記録し、ステップS2408へ戻る。
ステップS2418では、計時を終了する。
ステップS2420では、始点と終点の間の距離を測定する。
【0116】
図25は、第2の実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
図25の例に示すフローチャートは、図18の例に示したフローチャートにステップS2510の処理を付加したものである。又は、図25の例に示すフローチャートは、図24の例に示したフローチャートにステップS2512の処理を付加したものとして捉えてもよい。タイムアウト時間が経過した時点の位置を終点、又は、受付モジュール110がユーザーから始点に戻ったことを示す指示を受け付けた時点の位置を終点として、始点と終点との間の距離を計測するようにした処理例を示すものである。
【0117】
ステップS2502では、初期条件を設定する。
ステップS2504では、開始するか否かを判断し、開始する場合はステップS2506へ進み、それ以外の場合は開始するまで待機する。
ステップS2506では、計時を開始する。
【0118】
ステップS2508では、指示を受け付ける。
ステップS2510では、タイムアウト時間が経過したか否かを判断し、経過した場合はステップS2520へ進み、それ以外の場合はステップS2512へ進む。ここでのタイムアウト時間の計測開始は、ステップS2506での計時開始時(つまり、始点からの移動開始時)であってもよいし、最後の目印に到達した後に、始点に戻るために移動を開始した時点であってもよい。
ステップS2512では、終了指示があったか否かを判断し、終了指示があった場合はステップS2520へ進み、それ以外の場合はステップS2514へ進む。
なお、ステップS2510、ステップS2512の判断処理は、2つの判断処理が行われるのであれば、いずれを先に行ってもよいし、並列処理で行ってもよい。
【0119】
ステップS2514では、指示にしたがって移動する。
ステップS2516では、目印に到達したか否かを判断し、到達した場合はステップS2518へ進み、それ以外の場合はステップS2508へ戻る。
ステップS2518では、目印到達時のデータを記録し、ステップS2508へ戻る。
【0120】
ステップS2520では、計時を終了する。
ステップS2522では、始点と終点の間の距離を測定する。
【0121】
図26は、第2の本実施の形態(主に提示モジュール120)による処理例を示すフローチャートである。複数の目印を提示し、ユーザーが、その目印間を移動する試験を行う場合の、目印の消去処理に関するものである。
ステップS2602では、2番目以降の目印にユーザーが到達したか否かを判断し、到達した場合はステップS2604へ進み、それ以外の場合は到達するまで待機する。
ステップS2604では、それ以前の目印を、ユーザーが見ることができる仮想空間内から消去し、ステップS2602へ戻る。つまり、それ以前の目印をユーザーは確認することができないようにしている。
なお、前述したように、ステップS2602の処理を最後の目印にユーザーが到達したか否かを判断するようにしてもよいし、ステップS2604では、ステップS2602で判断対象となった目印も含めて消去するようにしてもよい。
【0122】
なお、本実施の形態としてのプログラムが実行されるコンピュータのハードウェア構成は、図27に例示するように、一般的なコンピュータであり、具体的にはヘッドマウントディスプレイに内蔵されるコンピュータである。つまり、具体例として、処理部(演算部)としてCPU2701を用い、記憶装置としてRAM2702、ROM2703、SSD2704を用いている。SSD2704として、フラッシュ・メモリであるSSD(Solid State Driveの略)の他に、HDD(Hard Disk Driveの略)等を用いてもよい。受付モジュール110、提示モジュール120、判断モジュール130、制御モジュール140等のプログラムを実行するCPU2701と、そのプログラムやデータを記憶するRAM2702と、本コンピュータを起動するためのプログラム等が格納されているROM2703と、ユーザー情報テーブル700、地図情報テーブル800、ログテーブル900、テスト結果テーブル1000、推奨トレーニングテーブル1500、仮想空間データ等を記憶する補助記憶装置であるSSD2704と、キーボード、マウス、タッチスクリーン、マイク、カメラ(視線検知カメラ等を含む)等に対する利用者の操作(動作、音声、視線等を含む)に基づいてデータを受け付ける受付装置2706と、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、スピーカー等の出力装置2705と、ネットワークインタフェースカード等の通信ネットワークと接続するための通信回線インタフェース2707、そして、それらをつないでデータのやりとりをするためのバス2708により構成されている。これらのコンピュータが複数台互いにネットワークによって接続されていてもよい。
【0123】
前述の実施の形態のうち、コンピュータ・プログラムによるものについては、本ハードウェア構成のシステムにソフトウェアであるコンピュータ・プログラムを読み込ませ、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働して、前述の実施の形態が実現される。
なお、図27に示すハードウェア構成は、1つの構成例を示すものであり、本実施の形態は、図27に示す構成に限らず、本実施の形態において説明したモジュールを実行可能な構成であればよい。例えば、一部のモジュールを専用のハードウェア(例えば特定用途向け集積回路(具体例として、ASIC(Application Specific Integrated Circuitの略)等がある)や再構成可能な集積回路(具体例として、FPGA(field−programmable gate arrayの略)等がある)で構成してもよく、一部のモジュールは外部のシステム内にあり通信回線で接続している形態でもよく、さらに図27に示すシステムが複数互いに通信回線によって接続されていて互いに協調動作するようにしてもよい。また、ヘッドマウントディスプレイを制御する装置として、パーソナルコンピュータに内蔵させてもよいし、携帯情報通信機器(携帯電話、スマートフォン、モバイル機器、ウェアラブルコンピュータ等を含む)、情報家電、ロボット等に内蔵させてもよい。
【0124】
前述の実施の形態においては、ユーザーの認知機能を判断することを示したが、さらに、ヘッドマウントディスプレイ200を用いて、認知症を疑似体験できるようにしてもよい。
また、例えば、ヘッドマウントディスプレイ200の角度(傾き、つまり、首を振る角度)を計測するようにしてもよい。具体的には、6軸センサー、ジャイロセンサー等を、ヘッドマウントディスプレイ200に内蔵させ、ヘッドマウントディスプレイ200の角度を計測し、その値を加味して、ユーザーの認知機能を判断するようにしてもよい。例えば、ヘッドマウントディスプレイ200の傾く角度が浅い場合は、認知症のリスクを高める、ヘッドマウントディスプレイ200が常に振動している(首が震えている)場合は、認知症のリスクを高める等の判断を行う。
【0125】
なお、説明したプログラムについては、記録媒体に格納して提供してもよく、また、そのプログラムを通信手段によって提供してもよい。その場合、例えば、前記説明したプログラムについて、「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」の発明として捉えてもよい。
「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、プログラムのインストール、実行、プログラムの流通等のために用いられる、プログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体をいう。
なお、記録媒体としては、例えば、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)であって、DVDフォーラムで策定された規格である「DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM等」、DVD+RWで策定された規格である「DVD+R、DVD+RW等」、コンパクトディスク(CD)であって、読出し専用メモリ(CD−ROM)、CDレコーダブル(CD−R)、CDリライタブル(CD−RW)等、ブルーレイ・ディスク(Blu−ray(登録商標) Disc)、光磁気ディスク(MO)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ、ハードディスク、読出し専用メモリ(ROM)、電気的消去及び書換可能な読出し専用メモリ(EEPROM(登録商標))、フラッシュ・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、SD(Secure Digitalの略)メモリーカード等が含まれる。
そして、前記のプログラムの全体又はその一部は、前記記録媒体に記録して保存や流通等させてもよい。また、通信によって、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、メトロポリタン・エリア・ネットワーク(MAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、インターネット、イントラネット、エクストラネット等に用いられる有線ネットワーク、又は無線通信ネットワーク、さらにこれらの組み合わせ等の伝送媒体を用いて伝送させてもよく、また、搬送波に乗せて搬送させてもよい。
さらに、前記のプログラムは、他のプログラムの一部分若しくは全部であってもよく、又は別個のプログラムと共に記録媒体に記録されていてもよい。また、複数の記録媒体に分割して記録されていてもよい。また、圧縮や暗号化等、復元可能であればどのような態様で記録されていてもよい。
前述の実施の形態は以下のように把握してもよい。
[A1]ユーザーからの指示を受け付ける受付手段と、
始点から目的地までの仮想空間の映像を、前記指示にしたがって前記ユーザーに提示する提示手段と、
前記指示が予め定められた指示ではないこと、又は、指示がないことをエラーとして計数する計数手段と、
前記計数手段によって計数されたエラーの回数を用いて、前記ユーザーの認知機能を判断する判断手段
を有する情報処理装置。
[A2]ユーザーからの指示を受け付ける受付手段と、
始点から目的地までの仮想空間の映像を、前記指示にしたがって前記ユーザーに提示する提示手段と、
始点から目的地にたどり着くまでの時間を計測する計測手段と、
前記計測手段によって計測された時間を用いて、前記ユーザーの認知機能を判断する判断手段
を有する情報処理装置。
[A3]前記受付手段は、前記ユーザーの音声を受け付け、該音声を認識し、
前記提示手段は、前記ユーザーが装着しているヘッドマウントディスプレイに、前記音声の認識結果にしたがって映像を提示し、さらに、該ユーザーが指示すべきタイミングを提示する、
[A1]又は[A2]に記載の情報処理装置。
[A4]前記受付手段は、複数の種類の入力手段からの指示を受け付け、
前記計数手段は、さらに、異なる入力手段からの指示が異なった回数を計数し、
前記判断手段は、前記計数手段によって計数されたエラーの回数及び指示が異なった回数を用いて、前記ユーザーの認知機能を判断する、
[A1]に記載の情報処理装置。
[A5]前記提示手段は、前記ユーザーの現在若しくは過去の住所、又は、現在若しくは過去の勤務地を、始点又は目的地とする仮想空間を提示する、
[A1]に記載の情報処理装置。
[A6]ユーザーからの指示を受け付ける受付手段と、
始点から目印まで移動して、該始点に戻るまでの仮想空間の映像を、前記指示にしたがって前記ユーザーに提示する提示手段と、
前記ユーザーが出発した始点の位置と、移動開始から予め定められた時間が経過した時点の位置との間の距離を計測する計測手段と、
前記計測手段によって計測された距離を用いて、前記ユーザーの認知機能を判断する判断手段
を有する情報処理装置。
[A7]ユーザーからの指示を受け付ける受付手段と、
始点から目印まで移動して、該始点に戻るまでの仮想空間の映像を、前記指示にしたがって前記ユーザーに提示する提示手段と、
前記ユーザーが出発した始点の位置と、前記受付手段が前記ユーザーから始点に戻ったことを示す指示を受け付けた時点の位置との間の距離を計測する計測手段と、
前記計測手段によって計測された距離を用いて、前記ユーザーの認知機能を判断する判断手段
を有する情報処理装置。
[A8]前記目印は複数あり、目印から他の目印への移動を前記ユーザーに行わせ、
前記判断手段は、前記距離を用いて、前記ユーザーの認知機能を判断する、
[A6]又は[A7]に記載の情報処理装置。
[A9]前記目印は複数あり、目印から他の目印への移動を前記ユーザーに行わせ、
前記判断手段は、前記距離と目印の数を用いて、前記ユーザーの認知機能を判断する、
[A6]又は[A7]に記載の情報処理装置。
[A10]前記ユーザーを第1の目印から第2の目印に移動させる場合にあって、該ユーザーが該第2の目印に到達した場合、前記提示手段は、前記仮想空間内の映像から該第1の目印を消去する、
[A8]又は[A9]に記載の情報処理装置。
[A11]ユーザーからの指示を受け付ける受付ステップと、
始点から目的地までの仮想空間の映像を、前記指示にしたがって前記ユーザーに提示する提示ステップと、
前記指示が予め定められた指示ではないこと、又は、指示がないことをエラーとして計数する計数ステップと、
前記計数ステップによって計数されたエラーの回数を用いて、前記ユーザーの認知機能を判断する判断ステップ
を有する情報処理方法。
[A12]ユーザーからの指示を受け付ける受付ステップと、
始点から目的地までの仮想空間の映像を、前記指示にしたがって前記ユーザーに提示する提示ステップと、
始点から目的地にたどり着くまでの時間を計測する計測ステップと、
前記計測ステップによって計測された時間を用いて、前記ユーザーの認知機能を判断する判断ステップ
を有する情報処理方法。
[A13]ユーザーからの指示を受け付ける受付ステップと、
始点から目印まで移動して、該始点に戻るまでの仮想空間の映像を、前記指示にしたがって前記ユーザーに提示する提示ステップと、
前記ユーザーが出発した始点の位置と、移動開始から予め定められた時間が経過した時点の位置との間の距離を計測する計測ステップと、
前記計測ステップによって計測された距離を用いて、前記ユーザーの認知機能を判断する判断ステップ
を有する情報処理方法。
[A14]ユーザーからの指示を受け付ける受付ステップと、
始点から目印まで移動して、該始点に戻るまでの仮想空間の映像を、前記指示にしたがって前記ユーザーに提示する提示ステップと、
前記ユーザーが出発した始点の位置と、前記受付ステップが前記ユーザーから始点に戻ったことを示す指示を受け付けた時点の位置との間の距離を計測する計測ステップと、
前記計測ステップによって計測された距離を用いて、前記ユーザーの認知機能を判断する判断ステップ
を有する情報処理方法。
[A15]コンピュータを、
ユーザーからの指示を受け付ける受付手段と、
始点から目的地までの仮想空間の映像を、前記指示にしたがって前記ユーザーに提示する提示手段と、
前記指示が予め定められた指示ではないこと、又は、指示がないことをエラーとして計数する計数手段と、
前記計数手段によって計数されたエラーの回数を用いて、前記ユーザーの認知機能を判断する判断手段
として機能させるための情報処理プログラム。
[A16]コンピュータを、
ユーザーからの指示を受け付ける受付手段と、
始点から目的地までの仮想空間の映像を、前記指示にしたがって前記ユーザーに提示する提示手段と、
始点から目的地にたどり着くまでの時間を計測する計測手段と、
前記計測手段によって計測された時間を用いて、前記ユーザーの認知機能を判断する判断手段
として機能させるための情報処理プログラム。
[A17]コンピュータを、
ユーザーからの指示を受け付ける受付手段と、
始点から目印まで移動して、該始点に戻るまでの仮想空間の映像を、前記指示にしたがって前記ユーザーに提示する提示手段と、
前記ユーザーが出発した始点の位置と、移動開始から予め定められた時間が経過した時点の位置との間の距離を計測する計測手段と、
前記計測手段によって計測された距離を用いて、前記ユーザーの認知機能を判断する判断手段
として機能させるための情報処理プログラム。
[A18]コンピュータを、
ユーザーからの指示を受け付ける受付手段と、
始点から目印まで移動して、該始点に戻るまでの仮想空間の映像を、前記指示にしたがって前記ユーザーに提示する提示手段と、
前記ユーザーが出発した始点の位置と、前記受付手段が前記ユーザーから始点に戻ったことを示す指示を受け付けた時点の位置との間の距離を計測する計測手段と、
前記計測手段によって計測された距離を用いて、前記ユーザーの認知機能を判断する判断手段
として機能させるための情報処理プログラム。
そして、前述の発明は、以下の効果を有する。
[A1]の情報処理装置によれば、始点から目的地までの仮想空間の映像を、ユーザーからの指示にしたがって提示し、その指示が予め定められた指示ではないこと、又は、指示がないことをエラーとして計数し、エラーの回数を用いて、そのユーザーの認知機能を判断することができる。
[A2]の情報処理装置によれば、始点から目的地までの仮想空間の映像を、ユーザーからの指示にしたがって提示し、始点から目的地にたどり着くまでの時間を用いて、そのユーザーの認知機能を判断することができる。
[A3]の情報処理装置によれば、ユーザーの音声による指示とし、そのユーザーが装着しているヘッドマウントディスプレイに、映像を提示し、さらに、そのユーザーが指示すべきタイミングを提示することができる。
[A4]の情報処理装置によれば、異なる入力手段からの指示が異なった回数を計数し、その指示が異なった回数を用いて、ユーザーの認知機能を判断することができる。
[A5]の情報処理装置によれば、ユーザーの現在若しくは過去の住所、又は、現在若しくは過去の勤務地を、始点又は目的地とする仮想空間を提示することができる。
[A6]の情報処理装置によれば、始点から目印まで移動して、始点に戻るまでの仮想空間の映像を、ユーザーからの指示にしたがって提示し、ユーザーが出発した始点の位置と、移動開始から予め定められた時間が経過した時点の位置との間の距離を用いて、そのユーザーの認知機能を判断することができる。
[A7]の情報処理装置によれば、始点から目印まで移動して、始点に戻るまでの仮想空間の映像を、ユーザーからの指示にしたがって提示し、ユーザーが出発した始点の位置と、ユーザーから始点に戻ったことを示す指示を受け付けた時点の位置との間の距離を用いて、そのユーザーの認知機能を判断することができる。
[A8]の情報処理装置によれば、ユーザーに複数の目印間を移動させることによって、そのユーザーの認知機能を判断することができる。
[A9]の情報処理装置によれば、距離と目印の数を用いて、ユーザーの認知機能を判断することができる。
[A10]の情報処理装置によれば、ユーザーが第2の目印に到達した場合、第1の目印を消去させることができる。
[A11]の情報処理方法によれば、始点から目的地までの仮想空間の映像を、ユーザーからの指示にしたがって提示し、その指示が予め定められた指示ではないこと、又は、指示がないことをエラーとして計数し、エラーの回数を用いて、そのユーザーの認知機能を判断することができる。
[A12]の情報処理方法によれば、始点から目的地までの仮想空間の映像を、ユーザーからの指示にしたがって提示し、始点から目的地にたどり着くまでの時間を用いて、そのユーザーの認知機能を判断することができる。
[A13]の情報処理方法によれば、始点から目印まで移動して、始点に戻るまでの仮想空間の映像を、ユーザーからの指示にしたがって提示し、ユーザーが出発した始点の位置と、移動開始から予め定められた時間が経過した時点の位置との間の距離を用いて、そのユーザーの認知機能を判断することができる。
[A14]の情報処理方法によれば、始点から目印まで移動して、始点に戻るまでの仮想空間の映像を、ユーザーからの指示にしたがって提示し、ユーザーが出発した始点の位置と、ユーザーから始点に戻ったことを示す指示を受け付けた時点の位置との間の距離を用いて、そのユーザーの認知機能を判断することができる。
[A15]の情報処理プログラムによれば、始点から目的地までの仮想空間の映像を、ユーザーからの指示にしたがって提示し、その指示が予め定められた指示ではないこと、又は、指示がないことをエラーとして計数し、エラーの回数を用いて、そのユーザーの認知機能を判断することができる。
[A16]の情報処理プログラムによれば、始点から目的地までの仮想空間の映像を、ユーザーからの指示にしたがって提示し、始点から目的地にたどり着くまでの時間を用いて、そのユーザーの認知機能を判断することができる。
[A17]の情報処理プログラムによれば、始点から目印まで移動して、始点に戻るまでの仮想空間の映像を、ユーザーからの指示にしたがって提示し、ユーザーが出発した始点の位置と、移動開始から予め定められた時間が経過した時点の位置との間の距離を用いて、そのユーザーの認知機能を判断することができる。
[A18]の情報処理プログラムによれば、始点から目印まで移動して、始点に戻るまでの仮想空間の映像を、ユーザーからの指示にしたがって提示し、ユーザーが出発した始点の位置と、ユーザーから始点に戻ったことを示す指示を受け付けた時点の位置との間の距離を用いて、そのユーザーの認知機能を判断することができる。
【符号の説明】
【0126】
100…情報処理装置
110…受付モジュール
120…提示モジュール
130…判断モジュール
140…制御モジュール
200…ヘッドマウントディスプレイ
210…マイク・認識手段
250…コントローラー
290…被験者
300…脳機能観測支援装置
350…施設
390…通信回線
【要約】
【課題】始点から目的地までの仮想空間の映像を、ユーザーからの指示にしたがって提示し、その指示が予め定められた指示ではないこと、又は、指示がないことをエラーとして計数し、エラーの回数を用いて、そのユーザーの認知機能を判断するようにした情報処理装置を提供することを目的とする。
【解決手段】情報管理装置の受付手段は、ユーザーからの指示を受け付け、提示手段は、始点から目的地までの仮想空間の映像を、前記指示にしたがって前記ユーザーに提示し、計数手段は、前記指示が予め定められた指示ではないこと、又は、指示がないことをエラーとして計数し、判断手段は、前記計数手段によって計数されたエラーの回数を用いて、前記ユーザーの認知機能を判断する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
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