(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6784467
(24)【登録日】2020年10月27日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】有機性廃棄物処理槽。
(51)【国際特許分類】
B09B 3/00 20060101AFI20201102BHJP
C05F 17/907 20200101ALI20201102BHJP
【FI】
B09B3/00 C
C05F17/907
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2020-28786(P2020-28786)
(22)【出願日】2020年2月4日
【審査請求日】2020年2月4日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515193675
【氏名又は名称】高山 峯登
(72)【発明者】
【氏名】高山 峯登
【審査官】
上坊寺 宏枝
(56)【参考文献】
【文献】
中国特許出願公開第102485703(CN,A)
【文献】
登録実用新案第3073662(JP,U)
【文献】
特開2010−142742(JP,A)
【文献】
特開平07−300202(JP,A)
【文献】
特開平08−010741(JP,A)
【文献】
特開平08−157287(JP,A)
【文献】
特開平07−025401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 3/00
C05F 1/00−17/993
C02F 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部に嫌気性菌の貯留部を備えた筒状のタンク本体を備えた有機性廃棄物処理槽であって、該タンク本体は、所定の深さだけ地中に埋め込まれており、該タンク本体の上端部には、外部とタンク本体内部とを仕切る仕切りプレートが設けられており、該仕切りプレートには、有機性廃棄物及び前記嫌気性菌を貯留部に投入する投入口と、前記貯留部で発酵分解された溶液を抽出するための抽出パイプを挿通するための挿通孔とを備え、前記挿通孔に挿通される抽出パイプは、下端部に切欠き溝が形成されると共に、前記投入口と前記抽出パイプには、それぞれ開口を開閉するための蓋が設けられていることを特徴とする有機性廃棄物処理槽。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機性廃棄物処理に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭で出る有機性廃棄物は、一般的に自治体によって処理されるが、家庭菜園や畑、果樹園などの耕作者は、有機性廃棄物の処理に苦慮するがしかし、既存の有機性廃棄物処理装置は、構造が複雑なため、該廃棄物を構成部品点数が少ない簡素な構造で且つ、維持管理の容易な有機性廃棄物処理槽を作成し、該処理槽で処理した廃物を安全な有機肥料として家庭菜園や畑、果樹園などの耕作地へ散布、還元し作物の生育を助けると共に、自治体による該廃棄物の処理費用の軽減にも寄与したい。
本発明の背景には、上記のような問題があった。
中国特許出願公開第102485703号
特開2010−142742
登録実用新案第3073662号
登録実用新案第3013617号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、有機性廃棄物の処理は、文献1、文献2、文献3、文献4にあるように、緻密な部品や構成部品点数が多く複雑である為、構成部品点数が少なく簡素な構造で且つ、維持管理の容易な有機性廃棄物処理装置を備えた処理槽を作成し、処理後の廃物を安全な有機肥料として家庭菜園や畑、果樹園などの耕作地へ散布、還元させることを目的とした、有機性廃棄物処理槽を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
底部に嫌気性菌の貯留部を備えた筒状のタンク本体を備えた有機性廃棄物処理槽であって、該タンク本体は、所定の深さだけ地中に埋め込まれており、該タンク本体の上端部には、仕切りプレートが設けられており、該仕切りプレートには、有機性廃棄物及び前記嫌気性菌を貯留部に投入する投入口と、前記貯留部で発酵分解された溶液を抽出するための抽出パイプを挿通するための挿通孔とを備え、前記挿通孔に挿通される抽出パイプは、下端部に切欠き溝が形成されると共に、前記投入口と前記抽出パイプには、それぞれ開口を開閉するための蓋が設けられていることを特徴とする有機性廃棄物処理槽を提供しこの課題を解決する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の有機性廃棄物処理槽は、実質的にタンク本体と、仕切りプレートと、該プレートに有機性廃棄物及び嫌気性菌を貯留部に投入する投入口用パイプ、溶液抽出パイプ
及び、各パイプの蓋のみの構成で部品点数が少なく簡素な構造であり、該処理槽設置後の維持管理費等は、殆ど皆無である。
【0007】
該処理槽の運用は、最初に該処理槽に嫌気性菌含有の湖沼の堆積物や汚泥を投入し次に、該堆積物や汚泥の約10倍位の水を投入し柄杓などで撹拌する。以降は、家庭の有機性廃棄物や菜園、畑、果樹園などの有機性廃棄物を投入すると、嫌気性菌が投入物を発酵分解し、投入した該廃棄物は、液化する。残渣を含む該溶液を柄杓で撹拌抽出し更に、所定の濃度に希釈し、安全な有機液肥として家庭菜園や畑、果樹園などの耕作地へ散布、還元することにより、土壌に無数にいる細菌が活性化し作物は、病害虫にも強く健全に生育するため、安全で安心な作物として、その恵みを享受でき更に、化学肥料も軽減し且つ、自治体における該廃棄物の処理費用軽減に寄与するという相乗効果がある。
【0008】
該溶液は、土壌へ散布するのが目的であるが、散布中に作物の葉部に飛散しても、嫌気的条件下で、微生物の作用によって発酵分解された溶液であり、人や環境に安全であり何ら支障はない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】 本発明処理槽の一部を破断した側面図である。
【
図2】 本発明処理槽の一部を破断した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について私の図面に基づいて説明をする。本発明の有機性廃棄物処理槽であるタンク本体1は、樹脂で形成された筒状の胴体部2と、この胴体部2の上端部に設けられる仕切りプレート3と、前記胴体部2の底部を構成するコンクリートで成形された底部材4とで構成されている。
【0011】
前記仕切りプレート
3には、有機性廃棄物や嫌気性菌を
投入する投入口用パイプ5と、前記タンク本体1の底部に溜まった溶液を抽出するための抽出パイプ7用の挿通孔6が設けられている。
尚、抽出パイプの下端部には溶液を抽出し易くするための切欠き溝7aが複数設けられている。
【0012】
前記タンク本体1の胴体部2の外壁部には、タンク本体1の内部で発生する微弱なガス(例えば、有機性廃棄物が嫌気性菌によって発酵分解するときに発生する)を排出することが可能な排気管10が取り付けられている。この排気管10は、雨水が侵入しないように先端が下方に向けられている。
【0013】
また、前記投入口用パイプ5
及び、抽出パイプ7には、雨水の侵入を防ぐための蓋8
及び、蓋9が開閉可能に
取り付けられる。これによって、タンク本体1は
、その内部の嫌気性を保持することが
できる。
【0014】
前記した有機性廃棄物処理槽のタンク本体1は、地中に半分程度まで埋められ埋められた状態で使用されるようになる。
【0015】
次に、本発明のタンク本体1の設置の仕方について以下説明する。タンク本体1の胴体部2は、筒状をした樹脂製のパイプ材で構成されている。このパイプ材の大きさや長さは、投入する有機性廃棄物の量に応じて適宜選択すると良い。そして、この胴体部2は、地中に穴を掘り、この穴の中に半分程度まで埋め込むようにする。
【0016】
この時、地中に掘った穴の底には、タンク本体1の底部材4を構成するためのコンクリート11を敷き詰める。そして、このコンクリートの上に胴体部2の下端部を固定させる。これによってタンク本体1の底部が構成される。尚、本発明では、タンク本体1の低部をコンクリート11で構成したが、樹脂材などで胴体部2と一体形成しても良いものである。
【0017】
次に、タンク本体1の上端部側に該タンク本体1の内部を仕切るための仕切りプレート3が取り付けられる。この仕切りプレート3は、コンクリートで成形されており、前記した胴体部2の上端部の内壁を削って成形された段差部に固定されるようになっている。この仕切りプレート3は、コンクリート11で構成するようにしているが、樹脂材などで成形する場合もタンク本体1の内部の嫌気性を保持できれば良いものである。胴体部2の段差部の成形においても、削ることなく押し広げて段差部を成形しても良いものである。
【0018】
前記した仕切りプレート3に形成されている穴に有機性廃棄物や嫌気性菌を投入するための投入口用パイプ5を差し込み固定する。次に、仕切りプレート3に設けられているもう一つの穴である挿通孔6に前記タンク1の底部に溜まった溶液を抽出するための抽出パイプ7を挿通し固定する。その後に、前記した投入口用パイプ5と、抽出パイプ7に、それぞれ蓋8及び、蓋9を開閉可能な状態で取り付ける。
【0019】
本処理槽の素材、形状及び構造であるが、素材は、腐食に耐えるものであれば良く、形状も楕円でも矩形でも良い、構造もタンク本体部の嫌気性が保持できればよい。
【0020】
本処理槽運用は、[0007]で記述した通りである。
【符号の説明】
【00221】
1、 タンク本体。
2、 樹脂で成形された筒状の胴体部。
3、 仕切りプレート。
4、 底部材。
5、 投入口用パイプ。
6、 溶液抽出パイプ挿通孔。
7、 溶液抽出パイプ。
7a、切欠き溝。
8、 投入口用パイプ5の蓋。
9、 溶液抽出パイプ7の蓋。
10、ガス排気管。
11、コンクリート。
【要約】 (修正有)
【課題】構成部品点数が少なく簡素な構造で且つ、維持管理の容易な有機性廃棄物処理装置を備えた処理槽を作成し、処理後の廃物を安全な有機肥料として家庭菜園や畑、果樹園などの耕作地へ散布、還元させることを目的とした有機性廃棄物処理槽の提供。
【解決手段】底部に嫌気性菌の貯留部を備えた筒状のタンク本体1を備えた有機性廃棄物処理槽であって、タンク本体は、所定の深さだけ地中に埋め込まれており、タンク本体の上端部には、仕切りプレート3が設けられており、仕切りプレートには、有機性廃棄物及び嫌気性菌を貯留部に投入する投入口と、貯留部で発酵分解された溶液を抽出するための抽出パイプ7を挿通するための挿通孔とを備え、挿通孔に挿通される抽出パイプは、下端部に切り溝7aが形成されると共に、投入口と抽出パイプには、それぞれ開口を開閉するための蓋が設けられている。
【選択図】
図2