(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第3のレッグ及び前記第4のレッグを形成する分岐部は、ほぼ前記シームのところで生じている、請求項1〜4のうちいずれか一に記載のデブランチング用ステントグラフト。
前記本体ステントグラフトは、前記近位端において約20mmから約28mmまでの範囲にある直径を有し、前記第1の分岐部は、前記本体ステントグラフトの前記近位端から約25mmから約45mmまでの範囲のところで生じ、前記第3のレッグ及び前記第4のレッグの各々は、約8mmから約12mmまでの範囲にある直径を有する、請求項5又は6に記載のデブランチング用ステントグラフト。
前記第1のレッグ、前記第3のレッグ、及び前記第4のレッグの各々の前記遠位端に設けられた放射線不透過性バンドを更に有する、請求項5〜7のうちいずれか一に記載のデブランチング用ステントグラフト。
さらに、第2の大血管リムを有し、この第2の大血管リムは、受動式固定具を介して前記第1のレッグ及び前記第2のレッグのうちの他方に接合されている、請求項1記載のデブランチング用ステントグラフト。
前記本体ステントグラフトは、前記近位端において約20mmから約26mmまでの範囲にある直径を有する、請求項1〜13のうちいずれか一に記載のデブランチング用ステントグラフト。
前記本体ステントグラフトは、前記近位端において約22mmから約25mmまでの範囲にある直径を有する、請求項1〜14のうちいずれか一に記載のデブランチング用ステントグラフト。
前記本体ステントグラフトは、前記近位端において約24mmから約25mmまでの範囲にある直径を有する、請求項1〜15のうちいずれか一に記載のデブランチング用ステントグラフト。
前記第1の分岐部は、前記近位端から約20mmから約50mmまでの範囲のところで生じている、請求項1〜16のうちいずれか一に記載のデブランチング用ステントグラフト。
前記第1の分岐部は、前記近位端から約25mmから約40mmまでの範囲のところで生じている、請求項1〜17のうちいずれか一に記載のデブランチング用ステントグラフト。
前記第1の分岐部は、前記近位端から約30mmから約35mmまでの範囲のところで生じている、請求項1〜18のうちいずれか一に記載のデブランチング用ステントグラフト。
前記第1のレッグ及び前記第2のレッグは各々、約13mmから約17mmまでの範囲にある直径を有する、請求項1〜20のうちいずれか一に記載のデブランチング用ステントグラフト。
前記本体ステントグラフトの前記近位端に取り付けられた両方向保持用フックを更に有する、請求項1〜24のうちいずれか一に記載のデブランチング用ステントグラフト。
前記本体ステントグラフトに取り付けられた1つ又はそれ以上の放射線不透過性マーカを更に有する、請求項1〜25のうちいずれか一に記載のデブランチング用ステントグラフト。
【発明の概要】
【0007】
臓側双筒式(double-barreled)本体ステントグラフト及び使用方法
【0008】
第1の観点では、本発明は、ステントグラフトであって、(a)遠位端及び近位端を備えた本体としてのステントグラフトを有し、本体ステントグラフトは、約100mmから約120mmまでの範囲にある長さを有し、本体ステントグラフトは、近位端のところに約30mmから約45mmまでの範囲の直径を有し、(b)本体ステントグラフトの遠位端のところに形成された第1のルーメンを有し、第1のルーメンは、約18mmから約20mmまでの範囲にある直径を有し、(c)本体ステントグラフトの遠位端のところに形成された第2のルーメンを有し、第2のルーメンは、約16mmから約18mmまでの範囲にある直径を有し、第1のルーメンと第2のルーメンは、約50mm〜約70mmの同一長さを有し、第1のルーメンは、共有長さに沿って第2のルーメンに固定され、(d)本体ステントグラフトは、第1のルーメン及び第2のルーメンと連続して位置する管状壁を備え、本体ステントグラフトに流入した流体が第1のルーメン又は第2のルーメンのうちの一方を通って流出しなければならないようになっていることを特徴とするステントグラフトを提供する。
【0009】
第2の観点では、本発明は、ステントグラフトであって、(a)遠位端及び近位端を備えた本体としてのステントグラフトを有し、本体ステントグラフトは、約100mmから約120mmまでの範囲にある長さを有し、(b)本体ステントグラフトの近位端から本体ステントグラフトの遠位端まで約5mmにわたって形成された第1のルーメンを有し、第1のルーメンは、その長さに沿って約18mmから約20mmまでの範囲にある実質的に一定の直径を有し、(c)本体ステントグラフトの近位端から本体ステントグラフトの遠位端まで約5mmにわたって形成された第2のルーメンを有し、第2のルーメンは、その長さに沿って約16mmから約18mmまでの範囲にある実質的に一定の直径を有し、第1のルーメンは、共有長さに沿って第2のルーメンに固定されていることを特徴とするステントグラフトを提供する。
【0010】
第3の観点では、本発明は、本発明の第1又は第2の観点によるステントグラフトの配置方法であって、(a)ガイドワイヤを動脈接近部経由で大動脈中に導入するステップと、(b)本発明の第1又は第2の観点によるステントグラフトを収容したデリバリカテーテルをガイドワイヤ上に装填するステップと、(c)デリバリカテーテルをガイドワイヤに沿って動かしてデリバリカテーテルを動脈接近部経由で大動脈中に導入するステップと、(d)ステントグラフトを胸部大動脈中に配置(deploy)するステップとを含むことを特徴とする方法を提供する。
【0011】
第4の観点では、本発明は、本発明の第1又は第2の観点によるステントグラフトの配置方法であって、(a)ガイドワイヤを動脈接近部経由で大動脈弓中に導入するステップを含み、(b)本発明の第1又は第2の観点によるステントグラフトを収容したデリバリカテーテルをガイドワイヤ上に装填するステップを含み、ステントグラフトの遠位端が最初に装填され、(c)デリバリカテーテルをガイドワイヤに沿って動かしてデリバリカテーテルを動脈接近部経由で大動脈弓中に導入するステップを含み、(d)ステントグラフトを近位下行大動脈中に配備するステップとを含むことを特徴とする方法を提供する。
【0012】
第5の観点では、本発明は、本発明の第1又は第2の観点によるステントグラフトの配置方法であって、(a)ガイドワイヤを動脈接近部経由で胸部又は腹部大動脈中に導入するステップと、(b)本発明の第1又は第2の観点によるステントグラフトを収容したデリバリカテーテルをガイドワイヤ上に装填するステップと、(c)デリバリカテーテルをガイドワイヤに沿って動かしてデリバリカテーテルを動脈接近部経由で胸部又は腹部大動脈中に導入するステップと、(d)ステントグラフトを胸部又は腹部大動脈中に配備するステップとを含むことを特徴とする方法を提供する。
【0013】
本発明の第1の観点〜第5の観点に関して説明した双筒式ステントグラフト及び方法は、多くの利点を提供する。従来公知の単一ルーメン本体ステントグラフト、双筒式ステントグラフトと比較した場合の一利点として、双筒式ステントグラフトは、例えば患者にバイパスを施さないで体の残部への血液の流れを維持しながら外科医が大血管をデブランチ(debranch:脱分枝)することができる「プラットホーム」又は「アンカー」としても使用できる。この固定又は保持用本体ステントグラフトを本明細書において開示するデブランチング(debranching )用ステントグラフト及びステントグラフトリムの任意の実施形態と組み合わせて利用することができる。非限定的な一実施例では、双筒式ステントグラフトを任意の解剖学的変化又は他形式の疾患状態の大動脈の動脈瘤又は外傷の治療に利用することができる。
【0014】
加うるに、双筒式ステントグラフトは、経尖側的に、経大腿的に、右鎖骨下動脈経由で又は任意他の接近可能な動脈を経て配備可能である。双筒式ステントグラフトが生体内に配備されると、大動脈の流れがすぐに区画化され、それにより外科医が追加のデブランチング用ステントグラフトの配置のためのルーメンの個々の選択にかかわることができることにより手術のオプションが増える。第2のルーメンは、例えば第1のルーメンにおけるステント配置について問題が生じた場合、組み込み型バックアップシステムとなる。双筒式ステントグラフトは又、患者に対する外科的衝撃を最小限に抑え、合併症率の減少、腎不全、腸虚血及び心臓発作のリスクの減少並びに患者安定化のための時間の短縮をもたらす。
【0015】
さらに、双筒式ステントグラフトの本体の壁と第1及び第2のルーメンとが連続して配置される性質により、動脈瘤中への不要な血液の流れを阻止するという追加の利点が得られる。双筒式ステントグラフトの壁は、完全な円周方向シールをもたらし、ルーメン壁の外部からの悪化又は圧縮が生じず、これにより、ルーメンを通る血液の流れが影響を受けないようになる。従来の「サンドイッチ」、「スノーケル」及び「チムニー」器具は、2つ又は3つ以上の単一のルーメンステントグラフトを大動脈内で並置して同時に配置することによって構成されていた。これら従来のステントグラフトは、ルーメンの壁が互いに又は大動脈壁に完全には当接せず、それ以上に血液が開放スペースを通って流れて動脈瘤中に流れ込むことができる開放スペースを構成していた。これら従来の器具は、更に、外部圧力に起因した押し潰し又は圧縮を生じた。
【0016】
加うるに、双筒式ステントグラフトの壁の円筒形の性状により、従来の装置により提供される固定状態よりも大動脈の壁との確実な固定が提供される。
【0017】
大動脈弓双筒式本体ステントグラフト及び使用方法
【0018】
第6の観点では、本発明は、ステントグラフトであって、(a)遠位端及び近位端を備えた本体としてのステントグラフトを有し、本体ステントグラフトは、約50mmから約70mmまでの範囲にある長さを有し、本体ステントグラフトは、近位端のところに約40mmから約60mmまでの範囲の直径を有し、(b)本体ステントグラフトの近位端のところに形成された第1のルーメンを有し、第1のルーメンは、約18mmから約30mmまでの範囲にある直径を有し、(c)本体ステントグラフトの遠位端のところに形成された第2のルーメンを有し、第2のルーメンは、約18mmから約30mmまでの範囲の直径を有し、(d)第1のルーメンは、共有長さに沿って第2のルーメンに固定され、第1のルーメン及び第2のルーメンの共有長さは、約30mmから約65mmまでの範囲にあり、(e)本体ステントグラフトは、第1のルーメン及び第2のルーメンと連続して位置する管状壁を備え、本体ステントグラフトに流入する流体が第1のルーメン又は第2のルーメンの一方を通って流出しなければならないようになっていることを特徴とするステントグラフトを提供する。
【0019】
本発明の第6の観点の一実施形態では、第1のルーメンと第2のルーメンは、本体ステントグラフトの遠位端のところで始まって本体ステントグラフトの近位端に向かって延びるシームによって構成されている。
【0020】
別の実施形態では、本発明の第6の観点は、本体ステントグラフトの外部と同一の広がりを有する状態でこの外部上に設けられた円筒形ステント構造体を更に有する。
【0021】
別の実施形態では、本発明の第6の観点は、本体ステントグラフトの近位端に取り付けられたステント弁を更に有し、ステント弁の自由端は、覆われており、自由端と本体ステントグラフトとの間に延びるステント弁の部分は、覆われていない。
【0022】
第7の観点では、本発明は、本発明の第6の観点によるステントグラフトの配置方法であって、(a)ガイドワイヤを動脈接近部経由で大動脈中に導入するステップと、(b)本発明の第6の観点によるステントグラフトを収容したデリバリカテーテルをガイドワイヤ上に装填するステップと、(c)デリバリカテーテルをガイドワイヤに沿って動かしてデリバリカテーテルを動脈接近部経由で大動脈中に導入するステップと、(d)ステントグラフトを大動脈中に配備するステップとを含むことを特徴とする方法を提供する。
【0023】
一実施形態では、第7の観点は、(e)本発明の第13の観点によるデブランチング用ステントグラフトを収容した第2のデリバリカテーテルをガイドワイヤ上に装填するステップと、(f)第2のデリバリカテーテルをガイドワイヤに沿って動かしてデリバリカテーテルを動脈接近部経由で大動脈中に導入するステップと、(g)デブランチング用ステントグラフトを大動脈又は大動脈内の先に配置されたステントグラフト、例えば本発明の第6の観点によるステントグラフトのルーメンのうちの一方の中に配備するステップとを更に含む。
【0024】
別の実施形態では、第7の観点は、(h)第2のガイドワイヤを動脈接近部経由で大動脈中に導入するステップと、(i)本発明の第13の観点による大血管リムを収容した第3のデリバリカテーテルを第2のガイドワイヤ上に装填するステップと、(j)第3のデリバリカテーテルを第2のガイドワイヤに沿って動かして第3のデリバリカテーテルを動脈接近部経由でデブランチング用ステントグラフトの選択したレッグ中に導入するステップと、(k)大血管リムの近位端を本発明の第13の観点によるデブランチング用ステントグラフトの選択したレッグ中に配備するステップとを更に含む。
【0025】
第8の観点では、本発明は、本発明の第6の観点によるステントグラフトの配置方法であって、(a)ガイドワイヤを大腿動脈経由で大動脈弓中に導入するステップを含み、(b)本発明の第6の観点によるステントグラフトを収容したデリバリカテーテルをガイドワイヤ上に装填するステップを含み、ステントグラフトの遠位端が最初に装填され、(c)デリバリカテーテルをガイドワイヤに沿って動かしてデリバリカテーテルを動脈接近部経由で大動脈弓中に導入するステップと、(d)ステントグラフトを近位下行大動脈中に配備するステップとを含むことを特徴とする方法を提供する。
【0026】
第9の観点では、本発明は、本発明の第6の観点によるステントグラフトの配置方法であって、(a)ガイドワイヤを動脈接近部経由で上行大動脈中に導入するステップと、(b)本発明の第6の観点によるステントグラフトを収容したデリバリカテーテルをガイドワイヤ上に装填するステップと、(c)デリバリカテーテルをガイドワイヤに沿って動かしてデリバリカテーテルを動脈接近部経由で上行大動脈中に導入するステップと、(d)ステントグラフトを上行大動脈中に配備するステップとを含むことを特徴とする方法を提供する。
【0027】
本発明の第6の観点〜第9の観点に関して説明した双筒式ステントグラフト及び方法は、多くの利点を提供する。従来公知の単一ルーメン本体ステントグラフト、双筒式ステントグラフトと比較した場合の一利点として、双筒式ステントグラフトは、例えば患者にバイパスを施さないで体の残部への血液の流れを維持しながら外科医が臓側血管をデブランチ(debranch)することができる「プラットホーム」又は「アンカー」としても使用でき、それにより、従来の器具及び技術と比較して顕著な改良が得られる。この固定又は保持用本体ステントグラフトを本明細書において開示するデブランチング(debranching )用ステントグラフト及びステントグラフトリムの任意の実施形態と組み合わせて利用することができる。非限定的な一実施例では、双筒式ステントグラフトを任意の解剖学的変化又は他形式の疾患状態の大動脈の動脈瘤又は外傷の治療に利用することができる。
【0028】
加うるに、双筒式ステントグラフトは、経尖側的に、経大腿的に、右鎖骨下動脈経由で又は任意他の接近可能な動脈を経て配備可能である。従来知られているステントグラフトとは異なり、双筒式ステントグラフトを上行大動脈中に配備できる。さらに、双筒式ステントグラフトが生体内に配備されると、大動脈の流れがすぐに区画化され、それにより外科医が追加のデブランチング用ステントグラフトの配置のためのルーメンの個々の選択にかかわることができることにより手術のオプションが増える。第2のルーメンは、例えば第1のルーメンにおけるステント配置について問題が生じた場合、組み込み型バックアップシステムとなる。双筒式ステントグラフトは又、患者に対する外科的衝撃を最小限に抑え、合併症率の減少、腎不全、腸虚血及び心臓発作のリスクの減少並びに患者安定化のための時間の短縮をもたらす。
【0029】
さらに、双筒式ステントグラフトの本体の壁と第1及び第2のルーメンとが連続して配置される性質により、動脈瘤中への不要な血液の流れを阻止するという追加の利点が得られる。双筒式ステントグラフトの壁は、完全な円周方向シールをもたらし、ルーメン壁の外部からの悪化又は圧縮が生じず、これにより、ルーメンを通る血液の流れが影響を受けないようになる。従来の「サンドイッチ」、「スノーケル」及び「チムニー」器具は、2つ又は3つ以上の単一のルーメンステントグラフトを大動脈内で並置して同時に配置することによって構成されていた。これら従来のステントグラフトは、ルーメンの壁が互いに又は大動脈壁に完全には当接せず、それ以上に血液が開放スペースを通って流れて動脈瘤中に流れ込むことができる開放スペースを構成していた。これら従来の器具は、更に、外部圧力に起因した押し潰し又は圧縮を生じた。
【0030】
加うるに、双筒式ステントグラフトの壁の円筒形の性状により、従来の装置により提供される固定状態よりも大動脈の壁との確実な固定が提供される。
【0031】
デブランチング用臓側ステントグラフト及び使用方法
【0032】
第10の観点では、本発明は、デブランチング用ステントグラフトであって、(a)第1のレッグ及び第2のレッグを形成する分岐部を備えた本体としてのステントグラフトを有し、本体ステントグラフトは、遠位端及び近位端を有し、(b)本体ステントグラフトは、近位端のところに約18mmから約22mmまでの範囲の直径を有し、(c)第1のレッグ及び第2のレッグは各々、約14mmから約16mmまでの範囲にある直径を有し、(d)本体ステントグラフトの近位端から第1のレッグの遠位端までの距離は、約70mmから約90mmまでの範囲にあり、(e)本体ステントグラフトの近位端から第2のレッグの遠位端までの距離は、約80mmから約100mmまでの範囲にあり、第2のレッグは、第1のレッグよりも少なくとも約10mm長いことを特徴とするデブランチング用ステントグラフトを提供する。
【0033】
本発明の第10の観点の一実施形態では、第2のレッグは、第1のレッグよりも約20mm以下長い。本発明の第10の観点の別の実施形態では、分岐部は、近位端から約30mmから約40mmまでの範囲で生じている。
【0034】
一実施形態では、本発明の第10の観点は、本体ステントグラフトの遠位端のところで第1のレッグ又は第2のレッグのうちの一方に接合された第1の臓側リム(visceral limb)を更に有する。別の実施形態では、第1の臓側リムは、第3のレッグ及び第4のレッグを形成する分岐部を有する。
【0035】
さらに別の観点では、本発明の第10の観点は、第1のレッグ又は第2のレッグのうちの他方に取り付けられた第2の臓側リムを更に有する。
【0036】
第11の観点では、本発明は、デブランチング用ステントグラフトであって、(a)第1のレッグ及び第2のレッグを形成する分岐部を備えた本体としてのステントグラフトを有し、本体ステントグラフトは、遠位端及び近位端を有し、(b)本体ステントグラフトは、近位端のところに約28mmから約36mmまでの範囲にある直径を有し、(c)第1のレッグ及び第2のレッグは各々、約14mmの直径を有し、(d)本体ステントグラフトの近位端から第1のレッグの遠位端までの距離は、約70mmであり、(e)本体ステントグラフトの近位端から第2のレッグの遠位端までの距離は、約80mmであることを特徴とするデブランチング用ステントグラフトを提供する。
【0037】
一実施形態では、本発明の第11の観点は、本体ステントグラフトの遠位端のところで第1のレッグに取り付けられた第1の臓側リムを更に有し、第1の臓側リムは、第3のレッグ及び第4のレッグを形成する分岐部を有し、分岐部は、第1の臓側リムの近位端のところですぐに生じており、第1の臓側リムは、約30mmの長さを有し、第3のレッグ及び第4のレッグの各々は、約7mmの直径を有する。
【0038】
一実施形態は、第11の観点は、第2のレッグに接合された臓側延長部を更に有し、臓側延長部は、近位端及び遠位端を有し、臓側延長部は、第1の延長レッグ及び第2の延長レッグを形成する分岐部を備えた管状主レッグを有し、第1の延長レッグは、約7mmの遠位側直径を有し、第2の延長レッグは、約16mmの遠位側直径を有し、臓側延長部は、近位端のところに約15mmの直径を有すると共に分岐部のところに約20mmの直径を有し、臓側延長部は、約93mmの長さを有する。
【0039】
第12の観点では、本発明は、本発明の第10又は第11の観点によるデブランチング用ステントグラフトの配置方法であって、(a)ガイドワイヤを動脈接近部経由で大動脈中に導入するステップと、(b)本発明の第10又は第11の観点によるデブランチング用ステントグラフトを収容したデリバリカテーテルをガイドワイヤ上に装填するステップと、(c)デリバリカテーテルをガイドワイヤに沿って動かしてデリバリカテーテルを動脈接近部経由で大動脈中に導入するステップと、(d)デブランチング用ステントグラフトを大動脈又は大動脈内の先に配置されたステントグラフト、例えば本発明の第1又は第2の観点によるステントグラフトのルーメンのうちの一方中に配備するステップとを含むことを特徴とする方法を提供する。
【0040】
一実施形態では、第12の観点は、(e)第2のガイドワイヤを動脈接近部経由で大動脈中に導入するステップと、(f)本発明の第10又は第11の観点による臓側リムステントグラフトを収容した第2のデリバリカテーテルを第2のガイドワイヤ上に装填するステップと、(g)第2のデリバリカテーテルを第2のガイドワイヤに沿って動かして第2のデリバリカテーテルを動脈接近部経由で本発明の第10又は第11の観点によるデブランチング用ステントグラフトの選択したレッグ中に導入するステップと、(h)臓側リムステントグラフトの近位端を本発明の第10又は第11の観点によるデブランチング用ステントグラフトの選択したレッグ中に配備するステップとを更に含む。
【0041】
別の実施形態では、第12の観点は、(i)第3のガイドワイヤを動脈接近部経由で大動脈中に導入し、そして本発明の第10又は第11の観点によるデブランチング用ステントグラフトの選択したルーメン中に導入するステップと、(j)本発明の第10又は第11の観点による臓側延長ステントグラフトを収容した第3のデリバリカテーテルを第3のガイドワイヤ上に装填するステップと、(k)第3のデリバリカテーテルを第3のガイドワイヤに沿って動かして第3のデリバリカテーテルを動脈接近部経由でデブランチング用ステントグラフトの選択したルーメン中に導入するステップと、(l)臓側延長ステントグラフトの近位端をデブランチング用ステントグラフトの選択したルーメン中に配備する一方で、遠位端が生まれつき備わった血管中に延びるようにするステップとを更に含む。
【0042】
本発明の第10の観点〜第12の観点を参照して説明したデブランチング用ステントグラフト及び方法は、多くの利点をもたらす。例えば、任意の解剖学的変形若しくは他形式の疾患のある大動脈又は外傷の治療のためにデブランチング用ステントグラフトを双筒式ステントグラフト又は本明細書において開示するステントグラフトリムの任意の実施形態又は他の本体保持用ステントグラフトと組み合わせて使用することができる。デブランチング用ステントグラフトは又、有利には、第1及び第2のレッグを介して1つのレベルから2つのレベルへの別のデブランチングレベルを追加する。加うるに、2つのレベルから4つのレベルへの別のレベルのデブランチングを或る特定の実施形態において使用できるよう選択された臓側リムに応じて得ることができる。さらに、幾つかの実施形態では、臓側リムのモジュールの性状により、ステント選択に関する融通性が得られると共に組み込み式のバックアップシステムが提供され、その結果、外科医は、計画した治療プランから外れることができる。これらの可能性により、終末器官までの血液の流れが手技全体を通じて維持される。
【0043】
さらに、デブランチング用ステントグラフトは、トップダウンのデブランチング方式を可能にし、これは、ステント‐グラフトの配置のために望ましい血管場所に応じて有利な場合がある。非限定的な一例は、臓側動脈にステントを配置する際に腕からの接近方式を利用することにある。腕からの接近方式は、血管に到達するための経路が正常であるにせよ曲がりくねっているにせよいずれにせよ、ガイドワイヤをデブランチング用ステントグラフトのレッグに通して臓側動脈中に延ばして外部ステントグラフトをトップダウンから配置するよう最適なアタック角度をもたらす。この方式は、血液の流れの自然な方向が自然な層流を保証している状態でステントグラフト及びガイドワイヤを動かす。
【0044】
デブランチング用大血管ステントグラフト及び使用方法
【0045】
第13の観点では、本発明は、デブランチング用ステントグラフトであって、(a)第1のレッグ及び第2のレッグを形成する第1の分岐部を備えた本体としてのステントグラフトを有し、本体ステントグラフトは、遠位端及び近位端を有し、本体ステントグラフトは、近位端のところに約18mmから約28mmまでの範囲にある直径を有し、(b)第1のレッグ及び第2のレッグは各々、約12mmから約18mmまでの範囲にある直径を有し、(c)本体ステントグラフトの近位端から第1のレッグの遠位端までの距離は、約30mmから約50mmまでの範囲にあり、(d)本体ステントグラフトの近位端から第2のレッグの遠位端までの距離は、約50mmから約70mmまでの範囲にあることを特徴とするデブランチング用ステントグラフトを提供する。
【0046】
本発明の第13の観点の一実施形態では、第1の分岐部は、近位端から約20mmから約45mmまでの範囲で生じている。
【0047】
別の実施形態では、本発明の第13の観点は、本体ステントグラフトの遠位端のところで第1のレッグ又は第2のレッグのうちの一方に接合された第1の大血管リムを更に有する。別の実施形態では、第1の大血管リムは、第3のレッグ及び第4のレッグを形成する分岐部を有する。
【0048】
さらに別の実施形態では、本発明の第13の観点は、第1のレッグ又は第2のレッグのうちの他方に取り付けられた第2の臓側リムを更に有する。
【0049】
別の実施形態では、第2の臓側リムは、延長ステントグラフトを有する。
【0050】
第14の観点では、本発明は、本発明の第13の観点によるデブランチング用ステントグラフトの配置方法であって、(a)ガイドワイヤを動脈接近部経由で大動脈中に導入するステップと、(b)本発明の第13の観点によるデブランチング用ステントグラフトを収容したデリバリカテーテルをガイドワイヤ上に装填するステップと、(c)デリバリカテーテルをガイドワイヤに沿って動かしてデリバリカテーテルを動脈接近部経由で大動脈中に導入するステップと、(d)デブランチング用ステントグラフトを大動脈又は大動脈内の先に配置されたステントグラフト、例えば本発明の第6の観点によるステントグラフトのルーメンのうちの一方中に配備するステップとを含むことを特徴とする方法を提供する。
【0051】
一実施形態では、第14の観点は、(e)第2のガイドワイヤを動脈接近部経由で大動脈中に導入するステップと、(f)本発明の第13の観点による大血管リムを収容した第2のデリバリカテーテルを第2のガイドワイヤ上に装填するステップと、(g)第2のデリバリカテーテルを第2のガイドワイヤに沿って動かして第2のデリバリカテーテルを動脈接近部経由でデブランチング用ステントグラフトの選択したレッグ中に導入するステップと、(h)大血管リムの近位端をデブランチング用ステントグラフトの選択したレッグ中に配備するステップとを更に含む。
【0052】
一実施形態では、第14の観点は、(i)第3のガイドワイヤを動脈接近部経由で大動脈中に導入し、そしてデブランチング用ステントグラフトの選択したルーメン中に導入するステップと、(j)本発明の第13の観点による延長ステントグラフトを収容した第3のデリバリカテーテルを第3のガイドワイヤ上に装填するステップと、(k)第3のデリバリカテーテルを第3のガイドワイヤに沿って動かして第3のデリバリカテーテルを動脈接近部経由でデブランチング用ステントグラフトの選択したルーメン中に導入するステップと、(l)延長ステントグラフトの近位端をデブランチング用ステントグラフトの選択したルーメン中に配備する一方で、延長ステントグラフトの遠位端が血管中に延びるようにするステップとを更に含む。
【0053】
第15の観点では、本発明は、本発明の第13の観点によるデブランチング用ステントグラフトの配置方法であって、(a)ガイドワイヤを動脈接近部経由で大動脈弓中に導入するステップと、(b)本発明の第13の観点によるデブランチング用ステントグラフトを収容したデリバリカテーテルをガイドワイヤ上に装填するステップと、(c)デリバリカテーテルをガイドワイヤに沿って動かしてデリバリカテーテルを動脈接近部経由で大動脈弓中に導入するステップと、(d)デブランチング用ステントグラフトを近位下行大動脈又は近位下行大動脈内の先に配置されたステントグラフト、例えば本発明の第6の観点によるステントグラフトのルーメンのうちの一方中に配備するステップとを含むことを特徴とする方法を提供する。
【0054】
第16の観点では、本発明は、本発明の第13の観点によるデブランチング用ステントグラフトの配置方法であって、(a)ガイドワイヤを動脈接近部経由で上行大動脈中に導入するステップと、(b)本発明の第13の観点によるデブランチング用ステントグラフトを収容したデリバリカテーテルをガイドワイヤ上に装填するステップと、(c)デリバリカテーテルをガイドワイヤに沿って動かしてデリバリカテーテルを動脈接近部経由で上行大動脈中に導入するステップと、(d)デブランチング用ステントグラフトを上行大動脈又は上行大動脈内の先に配置されたステントグラフト、例えば本発明の第6の観点によるステントグラフトのルーメンのうちの一方中に配備するステップとを含むことを特徴とする方法を提供する。
【0055】
一実施形態では、本発明の第16の観点は、(e)第2のガイドワイヤを動脈接近部経由で上行大動脈中に導入し、そして本発明の第13の観点によるデブランチング用ステントグラフトの選択したレッグ中に導入するステップと、(f)本発明の第13の観点による大血管リムを収容した第2のデリバリカテーテルを第2のガイドワイヤ上に装填するステップと、(g)第2のデリバリカテーテルを第2のガイドワイヤに沿って動かして第2のデリバリカテーテルを動脈接近部経由でデブランチング用ステントグラフトの選択したレッグ中に導入するステップと、(h)本発明の第13の観点による大血管リムの近位端をデブランチング用ステントグラフトの選択したレッグ中に配備するステップとを更に含む。
【0056】
一実施形態では、第16の観点は、(i)第3のガイドワイヤを動脈接近部経由で上行大動脈中に導入し、そしてデブランチング用ステントグラフトの選択したレッグ中に導入するステップと、(j)本発明の第13の観点による延長ステントグラフトを収容した第3のデリバリカテーテルを第3のガイドワイヤ上に装填するステップと、(k)第3のデリバリカテーテルを第3のガイドワイヤに沿って動かして第3のデリバリカテーテルを動脈接近部経由でデブランチング用ステントグラフトの選択したレッグ中に導入するステップと、(l)延長ステントグラフトの近位端をデブランチング用ステントグラフトの選択したレッグ中に配備する一方で、延長ステントグラフトの遠位端が大血管中に延びるようにするステップとを更に含む。
【0057】
本発明の第13の観点〜第16の観点を参照して説明したデブランチング用ステントグラフト及び方法は、多くの利点をもたらす。例えば、任意の解剖学的変形若しくは他形式の疾患のある大動脈又は外傷の治療のためにデブランチング用ステントグラフトを双筒式ステントグラフト又は本明細書において開示するステントグラフトリムの任意の実施形態又は他の本体保持用ステントグラフトと組み合わせて使用することができる。デブランチング用ステントグラフトは又、有利には、第1及び第2のレッグを介して1つのレベルから2つのレベルへの別のデブランチングレベルを追加する。加うるに、2つのレベルから4つのレベルへの別のレベルのデブランチングを或る特定の実施形態において使用できるよう選択された大血管リムに応じて得ることができる。さらに、幾つかの実施形態では、大血管リムのモジュールの性状により、ステント選択に関する融通性が得られると共に組み込み式のバックアップシステムが提供され、その結果、外科医は、計画した治療プランから外れることができる。これらの可能性により、終末器官までの血液の流れが手技全体を通じて維持される。
【0058】
デブランチング用ステントグラフトリム及び使用方法
【0059】
第17の観点では、本発明は、デブランチング用ステントグラフトリムであって、(a)第1のレッグ及び第2のレッグを形成する分岐部を備えた本体としてのステントグラフトリムを含み、本体ステントグラフトリムは、遠位端及び近位端を有し、(b)本体ステントグラフトリムは、近位端のところに、約14mmから約18mmまでの範囲にある直径を有し、(c)第1のレッグは、約8mmから約12mmまでの範囲にある直径を有し、(d)第2のレッグは、約6mmから約10mmまでの範囲にある直径を有し、(e)本体ステントグラフトの近位端から第1のレッグ及び第2のレッグの遠位端までの距離は、約70mm〜約90mmの範囲にあり、第1のレッグの直径は、第2の直径よりも約2mm大きいことを特徴とするデブランチング用ステントグラフトリムを提供する。
【0060】
一実施形態では、第17の観点は、(f)第1のレッグに受動式固定具を介して結合された状態で第1のレッグ内で拡張する第1のリムと、(g)第2のレッグに受動式固定具を介して結合された状態で第2のレッグ内で拡張する第2のリムとを更に有する。
【0061】
第18の観点では、本発明は、本発明の第17の観点によるデブランチング用ステントグラフトリムの配置方法であって、(a)ガイドワイヤを動脈接近部経由で任意適当に寸法決めされている分岐した動脈構成中に導入するステップと、(b)本発明の第17の観点によるデブランチング用ステントグラフトリムを収容したデリバリカテーテルをガイドワイヤ上に装填するステップと、(c)デリバリカテーテルをガイドワイヤに沿って動かしてデリバリカテーテルを動脈接近部経由で適当に寸法決めされている分岐した動脈構成中に導入するステップと、(d)デブランチング用ステントグラフトリムを適当に寸法決めされている分岐した動脈構成及び/又は先に配置されたステントグラフト、例えば本発明の第10、第11又は第13の観点によるステントグラフトのルーメン中に配備するステップとを含む。
【0062】
一実施形態では、本発明の第18の観点は、(e)本発明の第17の観点による第1のリムを収容した第2のデリバリカテーテルをガイドワイヤの近位端上に装填するステップと、(f)第2のデリバリカテーテルをガイドワイヤに沿って動かして第2のデリバリカテーテルを動脈接近部経由でデブランチング用ステントグラフトリムの第1のレッグ中に導入するステップと、(g)第1のリムの近位端をデブランチング用ステントグラフトリムの第1のレッグ中に配備するステップとを更に含む。
【0063】
別の実施形態では、本発明の第18の観点は、(h)第2のガイドワイヤを動脈接近部経由で適当に寸法決めされている分岐した動脈構成中に本発明の第17の観点によるデブランチング用ステントグラフトリムの第2のレッグを通して導入するステップと、(i)本発明の第17の観点による第2のリムを収容した第3のデリバリカテーテルを第2のガイドワイヤ上に装填するステップと、(j)第3のデリバリカテーテルを第2のガイドワイヤに沿って動かして第3のデリバリカテーテルを動脈接近部経由でデブランチング用ステントグラフトリムの第2のレッグ中に導入するステップと、(k)第2のリムの近位端を適当に寸法決めされている分岐した動脈構成内のデブランチング用ステントグラフトリムの第2のレッグ中に配備するステップとを更に含む。
【0064】
第19の観点では、本発明は、本発明の第17の観点によるデブランチング用ステントグラフトリムの配置方法であって、(a)ガイドワイヤを動脈接近部経由で総腸骨動脈中に導入するステップと、(b)本発明の第17の観点によるデブランチング用ステントグラフトリムを収容したデリバリカテーテルをガイドワイヤ上に装填するステップと、(c)デリバリカテーテルをガイドワイヤに沿って動かしてデリバリカテーテルを動脈接近部経由で総腸骨動脈中に導入するステップと、(d)デブランチング用ステントグラフトリムを総腸骨動脈及び/又は先に配置されたステントグラフト、例えば本発明の第10、第11又は第13の観点によるステントグラフトのルーメン中に配備するステップとを含むことを特徴とする方法を提供する。
【0065】
本発明の第17の観点〜第19の観点を参照して説明したデブランチング用ステントグラフトリム及び方法は、多くの利点を提供する。例えば、任意の解剖学的変形若しくは他形式の疾患のある大動脈又は外傷の治療のためにデブランチング用ステントグラフトを双筒式ステントグラフト又は本明細書において開示するステントグラフトリムの任意の実施形態又は他の本体保持用ステントグラフトと組み合わせて使用することができる。デブランチング用ステントグラフトは又、有利には、第1及び第2のレッグを介して1つのレベルから2つのレベルへの別のデブランチングレベルを追加する。これにより組み込み式のバックアップシステムが提供され、その結果、外科医は、デブランチング手技中、計画した治療プランから外れることができる。
【0066】
デブランチング用ステントグラフトリムは、修正手技を可能にするという追加の利点を有する。例えば、先の動脈瘤修復手段、例えば標準型下腎臓ステントが配置されている患者が総腸骨中に新たな動脈瘤形態を有する場合、先の技術下の治療では内腸骨の塞栓形成が必要である。これは、先のアップアンドオーバー(up-and-over)技術が先に配置されたステントによって妨害されるからである。しかしながら、この方式では、トップダウンアーム方式を用いると、デブランチング用ステントグラフトリムを配置し、次に延長ステントグラフトを外及び内腸骨動脈中に配置することができる。
【0067】
双筒式ステントグラフトとデブランチング用ステントグラフトの組み合わせ及び使用方法
【0068】
第20の観点では、本発明は、ステントグラフトであって、(a)単一のルーメンを備えると共に遠位端及び近位端を有する本体としてのステントグラフトを有し、(b)本体ステントグラフトの近位端から約20mmから約30mmまでの範囲のところに位置していて、第1のルーメン及び第2のルーメンを形成する第1の分岐部を有し、本体ステントグラフトは、第1のルーメン及び第2のルーメンと連続して位置する管状壁を備え、本体ステントグラフトに流入した流体が第1のルーメン又は第2のルーメンのうちの一方に流入することによって流出しなければならないようになっており、本体ステントグラフトは、近位端のところに約40mmから約60mmまでの範囲にある直径を有し、第1のルーメン及び第2のルーメンは各々、約18mmから約30mmまでの範囲にある直径を有し、本体ステントグラフトの近位端から第2のルーメンの遠位端までの距離は、約70mmから約90mmまでの範囲にあり、(c)第2のルーメンの遠位端から約30mmのところで第2のルーメン内に位置していて、第1のレッグ及び第2のレッグを形成する第2の分岐部を有し、第1のレッグ及び第2のレッグは各々、約14mmから約16mmまでの範囲にある直径を有し、(d)第2の分岐部から約20mm〜約30mm遠位側で第2のレッグ内に位置していて、第3のレッグ及び第4のレッグを形成する第3の分岐部を有し、第3のレッグ及び第4のレッグは各々、約7mmから約12mmまでの範囲にある直径を有し、第3のレッグ及び第4のレッグは各々、約20mmから約30mmまでの範囲にある長さを有することを特徴とするステントグラフトを提供する。
【0069】
本発明の第20の観点の一実施形態では、第1のルーメンは、約30mmの共有長さに沿って第2のルーメンに固定されている。
【0070】
第20の観点の別の実施形態では、第1のルーメン及び第2のルーメンは各々、実質的に円形の輪郭形状を保持する。
【0071】
第21の観点では、本発明は、ステントグラフトであって、(a)単一のルーメンを備えると共に遠位端及び近位端を有する本体としてのステントグラフトを有し、(b)本体ステントグラフトの近位端から約20mmから約30mmまでの範囲のところに位置していて、第1のルーメン及び第2のルーメンを形成する第1の分岐部を有し、本体ステントグラフトは、近位端のところに約40mmから約60mmまでの範囲にある直径を有し、第1のルーメンは、第1の分岐部のところに約20mmから約30mmまでの範囲にある直径を有すると共に第1のルーメンの遠位端のところに約20mmから約40mmまでの範囲にある直径を有し、第1のルーメンは、第1の分岐部から第1のルーメンの遠位端まで約50mmから約150mmまでの範囲にある長さを有し、第2のルーメンは、第1の分岐部のところに約20mmから約30mmまでの範囲にある直径を有し、(c)第2のルーメンの遠位端から約30mmのところで第2のルーメン内に位置していて、第1のレッグ及び第2のレッグを形成する第2の分岐部を有し、第1のレッグ及び第2のレッグは各々、約14mmから約16mmまでの範囲にある直径を有し、本体ステントグラフトの近位端から第2のルーメンの第2のレッグの遠位端までの距離は、約50mmから約70mmまでの範囲にあり、(d)第1のレッグ内に位置していて、第3のレッグ及び第4のレッグを形成する第3の分岐部を有し、第3のレッグ及び第4のレッグは各々、約7mmから約12mmまでの範囲にある直径を有し、第3のレッグ及び第4のレッグは各々、約20mmから約30mmまでの範囲にある長さを有することを特徴とするステントグラフトを提供する。
【0072】
本発明の第21の観点の一実施形態では、第1のルーメンは、第1の分岐部から第3の分岐部まで共有長さに沿って第2のルーメンに固定されている。
【0073】
第22の観点では、本発明は、本発明の第20又は第21の観点のうちの一方のステントグラフトの配置方法であって、(a)ガイドワイヤを動脈接近部経由で胸部大動脈中に導入するステップと、(b)本発明の第20又は第21の観点のうちの一方のステントグラフトを収容したデリバリカテーテルをガイドワイヤ上に装填するステップと、(c)デリバリカテーテルをガイドワイヤに沿って動かしてデリバリカテーテルを動脈接近部経由で胸部大動脈中に導入するステップと、(d)ステントグラフトを胸部大動脈中に配備するステップとを含むことを特徴とする方法を提供する。
【0074】
第23の観点では、本発明は、第20又は第21の観点のうちの一方のステントグラフトの配置方法であって、(a)ガイドワイヤを動脈接近部経由で大動脈中に導入するステップと、(b)本発明の第20又は第21の観点のうちの一方のステントグラフトを収容したデリバリカテーテルをガイドワイヤ上に装填するステップと、(c)デリバリカテーテルをガイドワイヤに沿って動かしてデリバリカテーテルを動脈接近部経由で大動脈中に導入するステップと、(d)ステントグラフトを大動脈中に配備するステップとを含むことを特徴とする方法を提供する。
【0075】
第24の観点では、本発明は、第20又は第21の観点のうちの一方のステントグラフトの配置方法であって、(a)ガイドワイヤを動脈接近部経由で上行大動脈中に導入するステップと、(b)本発明の第20又は第21の観点のうちの一方のステントグラフトを収容したデリバリカテーテルをガイドワイヤ上に装填するステップと、(c)デリバリカテーテルをガイドワイヤに沿って動かしてデリバリカテーテルを動脈接近部経由で上行大動脈中に導入するステップと、(d)ステントグラフトを上行大動脈中に配備するステップとを含むことを特徴とする方法を提供する。
【0076】
本発明の第20の観点〜第24の観点に関して説明したステントグラフト及び方法は、多くの利点を提供する。従来公知の単一ルーメン本体ステントグラフト、双筒式ステントグラフトと比較した場合の一利点として、双筒式ステントグラフトは、例えば患者にバイパスを施さないで体の残部への血液の流れを維持しながら外科医が大血管をデブランチ(debranch)することができる「プラットホーム」又は「アンカー」としても使用でき、それにより、従来の器具及び技術と比較して顕著な改良が得られる。この固定又は保持用本体ステントグラフトを本明細書において開示するデブランチング(debranching )用ステントグラフト及びステントグラフトリムの任意の実施形態と組み合わせて利用することができる。非限定的な一実施例では、双筒式ステントグラフトを任意の解剖学的変化又は他形式の疾患状態の大動脈の動脈瘤又は外傷の治療に利用することができる。
【0077】
さらに、双筒式ステントグラフトは、経尖側的に、経大腿的に、右鎖骨下動脈経由で又は任意他の接近可能な動脈を経て配備可能である。従来知られているステントグラフトとは異なり、双筒式ステントグラフトを上行大動脈中に配備できる。双筒式ステントグラフトが生体内に配備されると、大動脈の流れがすぐに区画化され、それにより外科医が追加のデブランチング用ステントグラフトの配置のためのルーメンの個々の選択にかかわることができることにより手術のオプションが増える。第2のルーメンは、例えば第1のルーメンにおけるステント配置について問題が生じた場合、組み込み型バックアップシステムとなる。双筒式ステントグラフトは又、患者に対する外科的衝撃を最小限に抑え、合併症率の減少、腎不全、腸虚血及び心臓発作のリスクの減少並びに患者安定化のための時間の短縮をもたらす。
【0078】
加うるに、双筒式ステントグラフトの本体ステントグラフトの壁と第1及び第2のルーメンとが連続して配置される性質により、動脈瘤中への不要な血液の流れを阻止するという追加の利点が得られる。双筒式ステントグラフトの壁は、完全な円周方向シールをもたらし、ルーメン壁の外部からの悪化又は圧縮が生じず、これにより、ルーメンを通る血液の流れが影響を受けないようになる。従来の「サンドイッチ」、「スノーケル」及び「チムニー」器具は、2つ又は3つ以上の単一のルーメンステントグラフトを大動脈内で並置して同時に配置することによって構成されていた。これら従来のステントグラフトは、内部ルーメンの壁が互いに又は大動脈壁に完全には当接せず、それ以上に血液が開放スペースを通って流れて動脈瘤中に流れ込むことができる開放スペースを構成していた。これら従来の器具は、更に、外部圧力に起因した押し潰し又は圧縮を生じた。
【0079】
加うるに、双筒式ステントグラフトの壁の円筒形の性状により、従来の装置により提供される固定状態よりも大動脈の壁との確実な固定が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0081】
本発明は、固定又は保持用本体ステントを使用すると共に/或いは例えば患者の動脈系中の分岐部のところ又はその付近の1本又は2本以上の枝管の近くで主要血管内の欠陥をまたぐステントグラフト及び方法を提供する。
【0082】
本明細書に用いられる「エンド‐デブランチング(endo-debranching)」は、疾患のある大動脈を除き(修復して)、ステントグラフトを動脈瘤嚢及び/又は他の血管と関連した枝血管中に配置するようステントグラフトを連続的に配置し、それにより血液の流れを維持しながら疾患のある大動脈の排除(補修)を可能にする血管内手術である。
【0083】
本明細書で用いられる「枝血管」という用語は、主要血管から枝分かれした血管を意味している。胸部及び腹部大動脈の「枝血管」は、無名動脈、左総頸動脈、左鎖骨下動脈、腹腔動脈、上腸間膜動脈、腎臓動脈及び他の全ての小さな枝管を含む。これは、腸骨動脈への大動脈の分割を制限するわけではない。別の例として、内腸骨動脈は、総腸骨動脈の枝血管であり、総腸骨動脈は、本発明との関連において主要血管である。かくして、「枝血管」及び「主要血管」は、相対的な用語であることが理解されるべきである。
【0084】
本明細書で用いられる「大血管」という用語は、右無名動脈、左総頸動脈及び左鎖骨下動脈を含む。
【0085】
本明細書で用いられる「疾患のある大動脈」という用語は、大動脈流出路から延びると共に大腿動脈への大動脈流出路を含む大動脈の任意の疾患部分を意味している。
【0086】
本明細書で用いられる「受動式固定具」という用語は、摩擦、グラフトの布、又はファブリック相互間の相互作用、ステントの半径方向の強度及びコンポーネントステントグラフトをオーバーラップの部位で互いに保持する血圧を意味している。
【0087】
本明細書で用いられる「保持用(固定用)本体ステントグラフト」という用語は、第1のステントグラフトが動脈血管壁の非疾患部分と直接的な接触状態にあるデブランチング手技中に配置される第1のステントを意味している。
【0088】
測定値に関して本明細書で用いられる「約」という用語は、±5%を意味している。
【0089】
円筒形の形態又は輪郭形状及び一定のルーメン直径に関して本明細書で用いられる「実質的に」という用語は、大部分であるが、幾つかの場合、全てではなく、指定された量である。換言すると、ルーメン及び筒体は、完全に丸型ではない場合がある。
【0090】
本明細書で用いられる「開窓部」という用語は、所与の枝血管の開口と整列するようになったステントグラフト壁に設けられた小穴又は孔を意味している。
【0091】
本明細書で用いられる「ステントグラフト」という用語は、ステントによって支持された流体密ファブリックを含む管状の半径方向拡張可能な器具であり、疾患のある動脈をまたぐために用いられる。かかるステントグラフト並びにこれらの配備及び使用方法は、当業者には知られている。例えば、血管シースを患者の動脈中に導入し、ガイドワイヤ、カテーテル及び最終的にはステントグラフト(これらには限定されない)を含むアイテムをこの血管シース中に通す。
【0092】
本明細書で用いられる「ステント」は、典型的には、円筒形のフレームであり、プロテーゼ(人工器官)に剛性、拡張力、又は支持作用を追加する任意の器具又は構造体を意味しており、他方、「ステントグラフト」は、ステント及びステントと関連していて、その長さの少なくとも一部分を通って流体密ルーメンを形成するグラフト材料から成る人工器官を意味している。「グラフト」は、ステントの内部、外部、又はこれら両方に被着可能な円筒形のライナである。多種多様な取り付け機構がステントとグラフトを互いに接合するのに利用でき、かかる取り付け機構体としては、縫合、接着、熱による溶接及び超音波溶接が挙げられるが、これらには限定されない。
【0093】
ステントは、任意適当な材料で構成可能であり、かかる材料としては、生体適合性金属、植込み可能な等級のステンレス鋼ワイヤ、ニッケル及びチタン合金並びにグラフトに取り付けられる生体適合性プラスチックが挙げられるが、これらには限定されない。任意適当な流体密グラフト材料を用いるのが良い。好ましい実施形態では、グラフト材料は、生体適合性ファブリックであり、かかる生体適合性ファブリックとしては、織編又は編組ポリエステル、例えばポリ(エチレンテレフタレート)、ポリラクチド、ポリグリコリド及びこれらのコポリマー、フッ素化ポリマー、例えばPTFE、発泡PTFE及びポリ(ビニリデンフルオリド)、ポリジメチルシロキサンを含むポリシロキサン及びポリエーテルウレタン、ポリウレタンウレア、ポリエーテルウレタンウレア、炭酸結合を含むポリウレタン及びシロキサンセグメントを含むポリウレタンを含むポリウレタンが挙げられるが、これらには限定されない。本来的に生体適合性ではない材料は、かかる材料を生体適合性にするために表面改質が施されるのが良い。表面改質の例としては、材料表面からの生体適合性ポリマーのグラフト重合、架橋生体適合性ポリマーでの表面の被覆、生体適合性官能基による化学的改質及び適合剤、例えばヘパリン又は他の物質の不動化が挙げられる。グラフト材料は、細胞外マトリックス材料を更に含むのが良い。
【0094】
被覆ステントグラフトは、任意適当な材料で構成でき、かかる材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)内張りニッケル‐チタン合金ステントが挙げられるが、これには限定されない。ステントグラフトは、好ましくは、被覆され且つ可撓性である。ステントグラフトは、任意他の適当な成分、例えば表面改質剤を含んでも良く、かかる表面改質剤としては、ヘパリンの共有結合的取り付けが挙げられる。
【0095】
ステントグラフトコンポーネントは、意図した使用に適した種々のサイズ(例えば、長さ、直径等)のものであって良く、かかるステントグラフトコンポーネントは、好ましくは治療されるべき内側血管直径よりも直径が大きい。例えば、大動脈コンポーネントは、約10〜20%だけ大きめであるのが良く、リムコンポーネントは、約25%だけ大きめであるのが良い。
【0096】
本発明のステントグラフトは、任意の別の適当なコンポーネントを含んでも良く、かかるコンポーネントとしては、視覚化を助けると共にステントグラフト正確な配置を容認する放射線不透過性マーカが挙げられるがこれらには限定されない。これら放射線不透過性マーカは、所与のステントグラフトの個々の各ルーメンの遠位端のところに設けられた金バンド若しくは例えば“S”の形をした方向性マーカの形態を取るのが良く又はステントグラフトの方向及び向きを支持するための任意他の適当な形態を取ることができる。加うるに、所与のステントグラフトの2つの最も近位側の個々のステントの一部として形成される両方向保持用フックを利用して血管壁の非疾患部分内に中実パーチェス(purchase)を得るのが良い。さらに、固定用ステントを本体ステントグラフトの近位端のところに用いるのが良く、かかる固定用ステントは、両方向フックと関連した血管内の半径方向力による固定を可能にする。
双筒式ステントグラフト
【0097】
双筒式ステントグラフトを任意の解剖学的変化の動脈瘤又は他形式の疾患状態の大動脈若しくは外傷の治療に用いることができる。
【0098】
臓側双筒式本体ステントグラフト及び使用方法
【0099】
第1の観点では、
図1A及び
図1Bに例示されているように、本発明は、ステントグラフト100であって、(a)遠位端106及び近位端107を備えた本体としてのステントグラフト105を有し、本体ステントグラフト105は、約100mmから約120mmまでの範囲にある長さを有し、本体ステントグラフト105は、近位端107のところに約30mmから約45mmまでの範囲の直径を有し、(b)本体ステントグラフト105の遠位端106のところに形成された第1のルーメン110を有し、第1のルーメン110は、約18mmから約20mmまでの範囲にある直径を有し、(c)本体ステントグラフト105の遠位端106のところに形成された第2のルーメン115を有し、第2のルーメン115は、約16mmから約18mmまでの範囲にある直径を有し、第1のルーメン110と第2のルーメン115は、約50mm〜約70mmの同一長さを有し、第1のルーメン110は、共有長さ120に沿って第2のルーメン115に固定され、(d)本体ステントグラフト105は、第1のルーメン110及び第2のルーメン115と連続して位置する管状壁125を備え、本体ステントグラフト105に流入した流体が第1のルーメン110又は第2のルーメン115のうちの一方を通って流出しなければならないようになっていることを特徴とするステントグラフト100を提供する。
【0100】
一実施形態では、双筒式本体ステントグラフト100を作るには、2つの既存の単一ルーメンステントグラフト延長部又はリムを既存の単一ルーメン本体ステントグラフトの遠位端の周囲全体に接合し、次に2つの単一のルーメン延長部及び/又はリムを共有長さに沿って互いに接合するのが良い。本体ステントグラフトは、接着剤、縫合、結合若しくは溶接又は例えば任意他の公知の機構体を用いて2つの既存の単一ルーメンステントグラフトに接合されるのが良い。同じ手段を用いて2つの単一ルーメンを共有長さに沿って接合するのが良い。この実施形態は、2つの単一のルーメン延長部又はリムを実質的に円筒形の形態に維持する。別の実施形態では、双筒式本体ステントグラフトを構成するには、シームを既存のステントグラフトの中間で部分的に又は完全に縫い付けて2つの別々の「バレル」又はルーメンを形成するのが良い。別の実施形態では、双筒式本体ステントグラフトを既存のステントグラフトの中間のところで部分的に又は完全にクランプして2つの別々のルーメンを形成するのが良い。変形例として、双筒式本体ステントグラフトを任意適当なプロセスの使用により一体型のデュアルルーメンとして作っても良い。シーム又はクランプ技術を用いると、本体ステントグラフト105の管状壁125は、第1のルーメン110及び第2のルーメン115の壁と連続して位置したままでいることができ、その結果、本体に流入した流体は、第1のルーメン110又は第2のルーメン115のうちの一方を通って流出しなければならないようになる。
【0101】
好ましい実施形態では、双筒式ステントグラフト100は、デブランチング手技のための保持用本体ステントグラフトとして使用できる。
【0102】
一実施形態では、第1及び第2のルーメンの共有長さ120は、最小で約30mmである。この長さは、例えば他のモジュール式ステントグラフト、デブランチング用大血管ステントグラフト、デブランチング用臓側ステントグラフト、延長ステントグラフト、本発明の他のステントグラフト又はステントグラフトデブランチング手技中における任意他のリム型ステントグラフトへの受動的固定のための適当なオーバーラップを提供する。
【0103】
一実施形態では、第1のルーメン110及び第2のルーメン115は、本体グラフトの遠位端のところに設けられたシーム121によって構成されている。
図1B及び
図2Bに示されているように、本体ステントグラフト105,205の近位端部107,207は、大動脈壁との完全な封止状態を維持するよう実質的に円筒形のままである。別の実施形態では、臓側双筒式ステントグラフト100,200は、本発明の第6の観点に関して詳細に説明した円筒形ステントグラフト構造体を更に含み、この円筒形ステントグラフト構造体は、本体ステントグラフト105,205の外部と同一の広がりを持つと共にこの上に設けられる。
【0104】
別の実施形態では、第1のルーメン110の直径は、第2のルーメン115の直径よりも約2mm大きい。好ましい実施形態では、第1のルーメン110の直径は、約18mmであり、第2のルーメン115の直径は、約16mmである。種々の実施形態では、第1のルーメン110の直径は、約18〜20mm、約19〜20mm、又は20mmであるのが良く、他方、第2のルーメン115の直径は、約16〜18mm又は約16〜17mmであるのが良い。
【0105】
別の実施形態では、本体ステントグラフト105の長さは、約100mmであり、種々の実施形態では、約100〜120mm、100〜115mm、100〜110mm、100〜105mm、105〜120mm、110〜120mm、115〜120mm、又は約120mmであるのが良い。
【0106】
種々の実施形態では、本体ステントグラフトの近位端部の直径は、約30〜45mm、32〜43mm、35〜40mm、30mm、35mm、40mm、又は約45mmであるのが良い。
【0107】
第2の観点では、
図2A及び
図2Bに示されているように、本発明は、ステントグラフト200であって、(a)遠位端206及び近位端207を備えた本体としてのステントグラフト205を有し、本体ステントグラフト205は、約100mmから約120mmまでの範囲にある長さを有し、(b)本体ステントグラフト205の近位端207から本体ステントグラフト205の遠位端206まで約5mmにわたって形成された第1のルーメン210を有し、第1のルーメン210は、その長さに沿って約18mmから約20mmまでの範囲にある実質的に一定の直径を有し、(c)本体ステントグラフト205の近位端207から本体ステントグラフトの遠位端206まで約5mmにわたって形成された第2のルーメン215を有し、第2のルーメン215は、その長さに沿って約16mmから約18mmまでの範囲にある実質的に一定の直径を有し、第1のルーメン210は、共有長さ220に沿って第2のルーメン215に固定されていることを特徴とするステントグラフト200を提供する。
【0108】
本体ステントグラフト205は、近位端部207のところに設けられた一様な側壁が遠位端部206に向かって5mm延びた状態の単一のルーメンを備え、それにより近位端207の輪郭形状は、大動脈壁との完全な封止状態を維持するよう実質的に円筒形のままである。
【0109】
本発明の第1の観点に関して説明した追加の実施形態のうちの任意のものは、同様に、本発明の第2の観点と共に利用できる。
【0110】
第3の観点では、例えば
図3に示されているように、本発明は、本発明の第1又は第2の観点によるステントグラフト100,200の配置方法であって、(a)ガイドワイヤを動脈接近部経由で大動脈300中に導入するステップと、(b)本発明の第1又は第2の観点によるステントグラフト100,200を収容したデリバリカテーテルをガイドワイヤ上に装填するステップと、(c)デリバリカテーテルをガイドワイヤに沿って動かしてデリバリカテーテルを動脈接近部経由で大動脈300中に導入するステップと、(d)ステントグラフト100,200を大動脈300中に配備するステップとを含むことを特徴とする方法を提供する。
【0111】
一実施例では、
図3は、プラットホーム又はアンカーとして働く臓側双筒式本体ステントグラフト100を示している。デブランチング用臓側ステントグラフト800が双筒式本体ステントグラフト100の第1のルーメン110内に配備され、臓側延長ステントグラフト305が第2のルーメン115内に配備されている。追加の延長ステントグラフト及び分岐ステントグラフトが動脈瘤のデブランチングを完了するために動脈瘤嚢301を横切って生まれつきの血管302に連続して連係されている。
【0112】
一実施形態では、臓側双筒式ステントグラフト100,200は、通常の血液の流れ方向において胸大動脈内に順行性配備状態で用いられるのが良い。例示の臓側順行性配備状態では、ステントグラフトの遠位部分は、腹腔動脈よりも約11cm上方に配置されるのが良い。この順行性配備状態では、双筒式ステントグラフトの第1又は第2のルーメンのうちの一方は、大動脈の臓側セグメント専用であり、他方のルーメンは、内腎臓下大動脈の血管再建専用である。
【0113】
図示していない第4の観点では、本発明は、本発明の第1又は第2の観点によるステントグラフト100,200の配置方法であって、(a)ガイドワイヤを動脈接近部経由で大動脈弓中に導入するステップを含み、(b)本発明の第1又は第2の観点によるステントグラフト100,200を収容したデリバリカテーテルをガイドワイヤ上に装填するステップを含み、ステントグラフトの遠位端106,206が最初に装填され、(c)デリバリカテーテルをガイドワイヤに沿って動かしてデリバリカテーテルを動脈接近部経由で大動脈弓中に導入するステップを含み、(d)ステントグラフト100,200を近位下行大動脈中に配備するステップとを含むことを特徴とする方法を提供する。
【0114】
図示していない第5の観点では、本発明は、本発明の第1又は第2の観点によるステントグラフト100,200の配置方法であって、(a)ガイドワイヤを動脈接近部経由で胸部又は腹部大動脈中に導入するステップと、(b)本発明の第1又は第2の観点によるステントグラフト100,200を収容したデリバリカテーテルをガイドワイヤ上に装填するステップと、(c)デリバリカテーテルをガイドワイヤに沿って動かしてデリバリカテーテルを動脈接近部経由で胸部又は腹部大動脈中に導入するステップと、(d)ステントグラフト100,200を胸部又は腹部大動脈中に配備するステップとを含むことを特徴とする方法を提供する。
【0115】
一実施形態では、デブランチング用ステントグラフトの本体は、双筒式本体ステントグラフトのルーメンのうちの一方の中に滑り込むよう寸法決めされ、他方のルーメンは、下肢、例えば腎臓下セグメントのステント配置のために使用されるのが良い。一実施形態では、デブランチング用ステントグラフトは、受動式固定具を通って定位置に保持される。
【0116】
大動脈弓双筒式本体ステントグラフト及び使用方法
【0117】
第6の観点では、
図4A及び
図4Bに示されているように、本発明は、ステントグラフト400であって、(a)遠位端406及び近位端407を備えた本体としてのステントグラフト405を有し、本体ステントグラフト405は、約50mmから約70mmまでの範囲にある長さを有し、本体ステントグラフト405は、近位端407のところに約40mmから約60mmまでの範囲の直径を有し、(b)本体ステントグラフト405の遠位端のところに形成された第1のルーメン410を有し、第1のルーメン410は、約18mmから約30mmまでの範囲にある直径を有し、(c)本体ステントグラフト405の遠位端406のところに形成された第2のルーメン415を有し、第2のルーメン415は、約18mmから約30mmまでの範囲の直径を有し、(d)第1のルーメン410は、共有長さ420に沿って第2のルーメン415に固定され、第1のルーメン410及び第2のルーメン415の共有長さは、約30mmから約65mmまでの範囲にあり、(e)本体ステントグラフト405は、第1のルーメン410及び第2のルーメン415と連続して位置する管状壁425を備え、本体ステントグラフト405に流入する流体が第1のルーメン410又は第2のルーメン415の一方を通って流出しなければならないようになっていることを特徴とするステントグラフト400を提供する。
【0118】
一実施形態では、双筒式本体ステントグラフト400を作るには、2つの既存の単一ルーメンステントグラフト延長部又はリムを既存の単一ルーメン本体ステントグラフトの遠位端の周囲全体に接合し、次に2つの単一のルーメン延長部及び/又はリムを共有長さに沿って互いに接合するのが良い。本体ステントグラフトは、接着剤、縫合、結合若しくは溶接又は例えば任意他の公知の機構体を用いて2つの既存の単一ルーメンステントグラフトに接合されるのが良い。同じ手段を用いて2つの単一ルーメンを共有長さに沿って接合するのが良い。この実施形態は、2つの単一のルーメン延長部又はリムを実質的に円筒形の形態に維持する。別の実施形態では、双筒式本体ステントグラフトを構成するには、シームを既存のステントグラフトの中間で部分的に又は完全に縫い付けて2つの別々の「バレル」又はルーメンを形成するのが良い。別の実施形態では、双筒式本体ステントグラフトを既存のステントグラフトの中間のところで部分的に又は完全にクランプして2つの別々のルーメンを形成するのが良い。変形例として、双筒式本体ステントグラフトを任意適当なプロセスの使用により一体型のデュアルルーメン器具として作っても良い。シーム又はクランプ技術を用いると、本体ステントグラフト405の管状壁425は、第1のルーメン410及び第2のルーメン415の壁と連続して位置したままでいることができ、その結果、本体に流入した流体は、第1のルーメン410又は第2のルーメン415のうちの一方を通って流出しなければならないようになる。
【0119】
本発明の第6の観点の一実施形態では、第1のルーメン及び第2のルーメンは、本体ステントグラフト405の遠位端部406で始まって本体ステントグラフト405の近位端部407のほうへ延びるシーム421によって構成されている。好ましい一実施形態では、第1のルーメン410及び第2のルーメン415の共有長さ421は、約30mmであり、種々の実施形態では、共有長さ421は、約30〜65mm、30〜60mm、30〜55mm、30〜50mm、30〜45mm、30〜40mm、又は30〜35mmであるのが良い。変形例として、第1のルーメン410及び第2のルーメン415の共有長さ421は、約70mmである。
【0120】
種々の実施形態では、本体ステントグラフト405の長さは、約50〜70mm、50〜65mm、50〜60mm、50〜55mm、50mm、55〜70mm、60〜70mm、65〜70mm、又は約70mmであるのが良い。
【0121】
一実施形態では、第1のルーメン410の直径は、第2のルーメン415の直径とほぼ同じである。好ましい一実施形態では、第1のルーメン410の直径は、約20mmであり、第2のルーメン415の直径は、約20mmである。種々の実施形態では、第1のルーメン410の直径は、約18〜30mm、20〜28mm、22〜26mm、又は24mmであるのが良い。種々の実施形態では、第2のルーメン415の直径は、約18〜30mm、20〜28mm、22〜26mm、又は約24mmであるのが良い。
【0122】
好ましい別の実施形態では、本体ステントグラフト405は、近位端406のところに約40mmの直径を有する。さらに別の好ましい実施形態では、本体ステントグラフト405の長さは、約50mmであり、種々の実施形態では、本体ステントグラフト405の長さは、約40〜60mm、42〜58mm、44〜56mm、46〜54mm、48〜52mm、40mm、又は約60mmであるのが良い。
【0123】
別の実施形態では、
図5Aに示されているように、本発明の第6の観点は、本体ステントグラフト405の外部と同一の広がりを持ち且つこの上に設けられた円筒形ステントグラフト構造体430を更に有する。円筒形ステントグラフト構造体430は、双筒式ステントグラフト400を実質的に円筒形の形状に維持してステントグラフトの長さに沿う血管壁との面接触を助け、その結果、完全な円周方向封止状態が得られると共に血流が両方のルーメン410,415の両方を通って維持されるようにする。双筒式ステントグラフト400が上行大動脈又は近位下行大動脈内に配備されると、双筒式ステントグラフト400の円筒形の形を維持することが特に重要である。
【0124】
一実施形態では、円筒形ステントグラフト構造体430は、両方向アンカーフック435を更に備えるのが良い。これら両方向アンカーフック435は、大動脈壁に取り付け状態になり、それにより大動脈内での本体ステントグラフト405の移動を阻止し又は制限する。
【0125】
別の実施形態では、円筒形ステントグラフト構造体430は、所与のステントグラフトの個々のルーメン各々の遠位端のところに金バンドの形態をした放射線不透過性マーカ440を更に有するのが良い。これら放射線不透過性マーカ440は、外科医が双筒式ステントグラフト400を配備に先立って大動脈内で適正に差し向けられるようにするのを助けると共に第1及び/又は第2のルーメン410,415内でのガイドワイヤの配置を一段と助けるようにする。
【0126】
さらに別の実施形態では、円筒形ステントグラフト構造体430は、任意形状又は形態、例えば“S”字形の方向性マーカ445を更に有するのが良い。方向性マーカ445は、外科医が双筒式ステントグラフト400を配備前に大動脈内に適正に差し向けるようにするのを助ける。
【0127】
一実施形態では、
図5Bに示されているように、ステント弁445が本体ステントグラフト405の近位端407に取り付けられ、この近位端では、ステント弁445の自由端446は、覆われており、この自由端446と本体ステントグラフト405の近位端407との間に延びるステント弁447の一部分は、覆われていない。本明細書で用いられる「ステント弁」という用語は、本体ステントグラフト405の近位端407に取り付けられた経皮自己拡張型弁であり、覆われていない部分447は、血液の流れを維持するよう冠動脈455の上に位置している。ステント弁の例示の実施形態は、メドトロニック(Medtronic)社により製造されたCorevalve(登録商標)を含む。一実施形態では、ステント弁445の自由端446は、不浸透性又は合成の材料で覆われている。一実施形態では、ステント弁445は、大動脈弁の流出路451内に配置されるのが良い。ステント弁の保持用機構体は、例えば、自由端446のところに大きな直径を有すると共に覆われた部分が覆われていない部分447に合体する箇所のところに小さな直径を備えた漏斗の形に由来している。この実施形態は、本発明の保持用本体ステントグラフトのうちの任意のものと組み合わせて利用できる。
【0128】
第7の観点では、本発明は、本発明の第6の観点によるステントグラフト400の配置方法であって、(a)ガイドワイヤを動脈接近部経由で大動脈中に導入するステップと、(b)本発明の第6の観点によるステントグラフト400を収容したデリバリカテーテルをガイドワイヤ上に装填するステップと、(c)デリバリカテーテルをガイドワイヤに沿って動かしてデリバリカテーテルを動脈接近部経由で大動脈中に導入するステップと、(d)ステントグラフト400を大動脈中に配備するステップとを含むことを特徴とする方法を提供する。
【0129】
一実施形態では、第7の観点は、(e)本発明の第13の観点によるデブランチング用ステントグラフト1100を収容した第2のデリバリカテーテルをガイドワイヤ上に装填するステップと、(f)第2のデリバリカテーテルをガイドワイヤに沿って動かしてデリバリカテーテルを動脈接近部経由で大動脈中に導入するステップと、(g)デブランチング用ステントグラフト1100を大動脈又は大動脈内の先に配置されたステントグラフト、例えば本発明の第6の観点によるステントグラフト400のルーメンのうちの一方の中に配備するステップとを更に含む。
【0130】
一実施形態では、デブランチング用ステントグラフト1100の本体は、双筒式本体ステントグラフト400のルーメンのうちの一方の中に滑り込むよう寸法決めされ、他方のルーメンは、延長ステントグラフトとして使用されるのが良い。一実施形態では、デブランチング用ステントグラフト1100及び延長ステントグラフトは、受動式固定具を通って定位置に保持される。
【0131】
別の実施形態では、第7の観点は、(h)第2のガイドワイヤを動脈接近部経由で大動脈中に導入するステップと、(i)本発明の第13の観点による大血管リム1325を収容した第3のデリバリカテーテルを第2のガイドワイヤ上に装填するステップと、(j)第3のデリバリカテーテルを第2のガイドワイヤに沿って動かして第3のデリバリカテーテルを動脈接近部経由でデブランチング用ステントグラフト1100の選択したレッグ中に導入するステップと、(k)大血管リム1325の近位端1326をデブランチング用ステントグラフト1100の選択したレッグ中に配備するステップとを更に含む。
【0132】
第8の観点では、本発明は、本発明の第6の観点によるステントグラフト400の配置方法であって、(a)ガイドワイヤを大腿動脈経由で大動脈弓中に導入するステップを含み、(b)本発明の第6の観点によるステントグラフト400を収容したデリバリカテーテルをガイドワイヤ上に装填するステップを含み、ステントグラフト405の遠位端406が最初に装填され、(c)デリバリカテーテルをガイドワイヤに沿って動かしてデリバリカテーテルを動脈接近部経由で大動脈弓中に導入するステップと、(d)ステントグラフト400を近位下行大動脈中に配備するステップとを含むことを特徴とする方法を提供する。
【0133】
別の実施形態では、大動脈弓双筒式ステントグラフトは、通常の血液の流れ方向に対して大動脈弓内において逆行性配備状態で使用されるのが良い。逆行性配備状態では、ステントグラフトの近位部分は、左鎖骨下動脈から約11cm遠位側に配置されるのが良い。この逆行性配備状態では、第1又は第2のルーメンのうちの一方は、大血管専用であり、他方のルーメンは、上行大動脈専用である。
【0134】
第9の観点では、
図6に示されているように、本発明は、本発明の第6の観点によるステントグラフト400の配置方法であって、(a)ガイドワイヤを動脈接近部経由で上行大動脈450中に導入するステップと、(b)本発明の第6の観点によるステントグラフト400を収容したデリバリカテーテルをガイドワイヤ上に装填するステップと、(c)デリバリカテーテルをガイドワイヤに沿って動かしてデリバリカテーテルを動脈接近部経由で上行大動脈450中に導入するステップと、(d)ステントグラフト400を大動脈流出路451又は上行大動脈450のうちの一方又はこれら両方中に配備するステップとを含むことを特徴とする方法を提供する。
【0135】
一実施形態では、双筒式ステントグラフト400は、通常の血液流れ方向において上行大動脈450内に順行性配備状態で用いられるのが良い。これは、「経心尖」方式と考えられる。本明細書で用いられる「経心尖」方式は、大動脈弓を順行性的にデブランチするために心臓の心尖を通り、左心室を通って上行大動脈450中に行われる。具体的に言えば、双筒式ステントグラフト400をカテーテル内に逆向きに入れ、そして逆行性の状態で配備する。この経心尖逆行性配備では、双筒式ステントグラフト400の近位部分は、大動脈弁冠動脈455から約1cm以内に配備される。ステント弁445を利用する実施形態では、ステント弁の覆われた自由端446は、大動脈流出路451内に位置し、ステント弁の覆われていない部分447は、冠動脈455を横切って位置し、それにより血流が通常の仕方で続行することができる。この経心尖逆行性配備方式によれば、双筒式ステントグラフト400の第1又は第2のルーメン410,415のうちの一方は、無名動脈452専用であり、他方のルーメンは、左総頸動脈453及び左鎖骨下動脈454専用である。
【0137】
デブランチング用ステントグラフトは、任意の解剖学的変化又は他形式の疾患状態の大動脈の動脈瘤又は外傷の治療に利用できる。デブランチング用ステントグラフトは、特に、ほぼ任意の血管解剖学的構造に連結可能であり、かくして多種多様な患者への使用を容易にする。加うるに、デブランチング用ステントグラフトは、本明細書において開示した双筒式ステントグラフトリムの任意の実施形態又は他の本体保持用ステントグラフトの任意の実施形態と組み合わせて使用できる。コアとしてのデブランチング用ステントグラフトは、第1のレッグ及び第2のレッグを定める分岐部を備えた本体ステントグラフトを有する。このコアを必要なデブランチング手技及び所与の患者の血管系に応じて選択可能なリムとモジュール式に使用できる。
【0138】
デブランチング用臓側ステントグラフト及び使用方法
【0139】
第10の観点では、
図7A〜
図9Bに示されているように、本発明は、デブランチング用ステントグラフト700,800,900であって、(a)第1のレッグ715,815,915及び第2のレッグ720,820,920を形成する分岐部710,810,910を備えた本体としてのステントグラフト705,805,905を有し、本体ステントグラフト705,805,905は、遠位端706,806,906及び近位端707,807,907を有し、(b)本体ステントグラフト705,805,905は、近位端707,807,907のところに約18mmから約22mmまでの範囲の直径を有し、(c)第1のレッグ715,815,915及び第2のレッグ720,820,920は各々、約14mmから約16mmまでの範囲にある直径を有し、(d)本体ステントグラフト705,805,905の近位端707,807,907から第1のレッグ715,815,915の遠位端716,816,916までの距離は、約70mmから約90mmまでの範囲にあり、(e)本体ステントグラフト705,805,905の近位端707,807,907から第2のレッグ720,820,920の遠位端721,821,921までの距離は、約80mmから約100mmまでの範囲にあり、第2のレッグ720,820,920は、第1のレッグ715,815,915よりも少なくとも約10mm長いことを特徴とするデブランチング用ステントグラフト700,800,900を提供する。
図7A〜
図9Bでは同一の符号は、同一の特徴を示している。
【0140】
デブランチング用臓側ステントグラフト700は、デブランチング手技において第2のレベルとして双筒式本体ステントグラフトのルーメン内に配備され、又は保持用本体ステントグラフトとして血管壁直接的接触状態に置かれるのが良い。加うるにデブランチング用臓側ステントグラフト700,800,900は、任意の先に配置された適当なサイズのステントグラフトのルーメン内に配備されても良い。
【0141】
好ましい一実施形態では、第2のレッグ720,820,920は、第1のレッグ715,815,915よりも約20mm以下長い。2つのレッグ相互間の長さの差により、小径の拘束器具を配備のために用いることができ、更に、かかる長さの差は、レッグの良好なX線撮影法による視覚化を提供することによってステント配置のための個々の血管の選択を一段と容易にする。別の好ましい実施形態では、本体ステントグラフト705,805,905の近位端707,807,907から第1のレッグ715,815,915の遠位端706,806,906までの距離は、約70mmであり、本体ステントグラフト705の近位端707,807,907から第2のレッグ720の遠位端までの距離は、約80mmである。種々の実施形態では、本体ステントグラフト705,805,905の近位端707,807,907から第1のレッグ715,815,915の遠位端706,806,906までの距離は、約70〜90mm、70〜85mm、70〜80mm、又は70〜75mmであるのが良い。種々の実施形態では、本体ステントグラフト705,805,905の近位端707,807,907から第2のレッグ720,820,920の遠位端までの距離は、約80〜100mm、80〜95mm、80〜90mm、又は80〜85mmであるのが良い。
【0142】
別の好ましい実施形態では、分岐部710,810,910は、近位端707,807,907から約30mmから約40mmまでの範囲にわたって起こる。これは、デブランチ用臓側ステントグラフト700,800,900が本体アンカーとして働いているとき、大動脈との直接的な面接触が可能であるように保持用双筒式本体ステントグラフト100,200又は任意他の保持用ステントグラフトのルーメンとの受動式固定のために30〜40mmを提供すると共に/或いは本体ステントグラフト705,805,905の近位端707,807,907のところの実質的に円筒形の壁の30〜40mmを提供する。
【0143】
追加の好ましい実施形態では、近位端707,807,907のところの本体ステントグラフト705,805,905の直径は、約20mmであり、種々の実施形態では、約18〜22mm、19〜22mm、20〜22mm、21〜22mm、又は約22mmであるのが良い。
【0144】
一実施形態では、本発明の第10の観点は、本体ステントグラフト705,805,905の遠位端のところで第1のレッグ715,815,915又は第2のレッグ720,820,920のうちの一方と接合された第1の臓側リム725,825,925を更に有する。
【0145】
好ましい実施形態では、
図8A〜
図9Bに示されているように、第1の臓側リム825,925は、シーム831,931を介して第1のレッグ815,915又は第2のレッグ820,920のうちの一方に接合されている。この実施形態では、第1の臓側リム825,925は、好ましくは、近位端826,926のところに約14mmの直径を有し、種々の実施形態では、約14〜16mm又は14〜15mmであるのが良い。さらに、この実施形態では、第1の臓側リム825,925は、好ましくは、約30mmから約50mmまでの範囲にある長さを有し、種々の実施形態では、約30〜45mm、30〜40mm、30〜35mm、又は約30mmであるのが良い。また、この実施形態では、第1の臓側リム825,925は、第3のレッグ835,935及び第4のレッグ840,940を定める分岐部830,930を有するのが良く、分岐部830,930は、好ましくは、ほぼシームのところで起こる。この場合、第3のレッグ835,935及び第4のレッグ840,940の各々は、好ましくは、約7mmの直径を有する。別の好ましい実施形態では、例えば
図8A及び
図8Bに示されているように、本発明の第10の観点は、第1のレッグ815,915又は第2のレッグ820,920のうちの他方に取り付けられた第2の臓側リム845,945を更に有する。この実施形態では、第2の臓側リム845,945は、本明細書全体を通じて説明している第1のリム725,825,925の任意の実施形態の形態を取ることができる。
【0146】
別の好ましい実施形態では、第1の臓側リム725は、受動式固定具を介して第1のレッグ715又は第2のレッグ720のうちの一方に接合されている。この実施形態では、第1の臓側リム725は、好ましくは、近位端726のところに約15mmから約17mmまでの範囲にある直径を有し、種々の実施形態では、約15〜16mm、16〜17mm、又は約15mmであるのが良い。臓側リム725の近位端726のところの直径は、リムを受け入れるレッグの直径よりも少なくとも約1mm大きいことが必要であり、レッグとリムのオーバーラップの長さは、受動式固定が有効であるようにするために少なくとも30mmであるべきである。
【0147】
図7Aの細部A及び
図7Bの細部Aに示された1つの受動式固定具の実施形態では、第1の臓側リム725は、好ましくは、約60mmから約80mmまでの範囲にある長さを有し、種々の実施形態では、約60〜75mm、60〜70mm、60〜65mm、60mm、65〜80mm、70〜80mm、75〜80mm、又は約80mmであるのが良い。別の実施形態では、第1の臓側リム725は、第3のレッグ735及び第4のレッグ740を定める分岐部730を有するのが良く、第3のレッグ735及び第4のレッグ740は各々、好ましくは、約30mmの長さを有する。さらに別の実施形態では、第3のレッグ735及び第4のレッグ740は各々、好ましくは、約7mmの直径を有する。
【0148】
図7Aの細部B及び
図7Bの細部Bに示された別の受動式固定具の実施形態では、第1の臓側リム725は、好ましくは、約60mmから約80mmまでの範囲にある長さを有し、種々の実施形態では、約60〜75mm、60〜70mm、60〜65mm、60mm、65〜80mm、70〜80mm、75〜80mm、又は約80mmであるのが良い。別の実施形態では、第1の臓側リム725は、単一のルーメン745を備え、第1の臓側リム725は、好ましくは、遠位端746のところに約7mmの直径を有する。
【0149】
図7Aの細部C及び
図7Bの細部Cに示された別の受動式固定具の実施形態では、第1の臓側リム725は、好ましくは、約70mmから約100mmまでの範囲にある長さを有し、種々の実施形態では、約70〜95mm、70〜90mm、70〜85mm、70〜80mm、70〜75mm、70mm、75〜100mm、80〜100mm、85〜100mm、90〜100mm、95〜100mm、又は約100mmであるのが良い。別の実施形態では、第1の臓側リム725は、第3のレッグ755及び第4のレッグ760を定める分岐部750を有するのが良く、第3のレッグ755及び第4のレッグ760は各々、好ましくは、約30mmの長さを有する。さらに別の実施形態では、第3のレッグ755は、好ましくは、約7mmの直径を有し、第4のレッグ760は、好ましくは、約16mmの直径を有する。
【0150】
上述の臓側リム725の実施形態の各々をデブランチング用ステントグラフト700の第1又は第2のレッグ715,720と区別なく使用できる。
【0151】
第11の観点では、
図10A及び
図10Bに示されているように、本発明は、デブランチング用ステントグラフト1000であって、(a)第1のレッグ1015及び第2のレッグ1020を形成する分岐部1010を備えた本体としてのステントグラフト1005を有し、本体ステントグラフト1005は、遠位端1006及び近位端1007を有し、(b)本体ステントグラフト1005は、近位端1007のところに約28mmから約36mmまでの範囲にある直径を有し、(c)第1のレッグ1015及び第2のレッグ1020は各々、約14mmの直径を有し、(d)本体ステントグラフト1005の近位端1007から第1のレッグ1015の遠位端1016までの距離は、約70mmであり、(e)本体ステントグラフト1005の近位端1007から第2のレッグ1020の遠位端1021までの距離は、約80mmであることを特徴とするデブランチング用ステントグラフト1000を提供する。
【0152】
種々の実施形態では、本体ステントグラフト1005の近位端1007のところの直径は、約28〜36mm、28〜34mm、28〜32mm、28〜30mm、28mm、30〜36mm、32〜36mm、34〜36mm、又は約36mmであるのが良い。
【0153】
本発明の第10の観点か第11の観点かのいずれかの一実施形態では、第2のレッグ720,820,920,1020は、少なくとも1つの分岐部を有する。
【0154】
別の実施形態では、
図10A及び
図10Bに示されているように、第11の観点は、本体ステントグラフト1005の遠位端1006のところで第1のレッグ1015に取り付けられた第1の臓側リム1025を更に有し、第1の臓側リム1025は、第3のレッグ1035及び第4のレッグ1040を形成する分岐部1030を有し、分岐部1030は、第1の臓側リム1025の近位端1026のところですぐに生じており、第1の臓側リム1025は、約30mmの長さを有し、第3のレッグ1035及び第4のレッグ1040の各々は、約7mmの直径を有する。
【0155】
別の実施形態では、
図10A及び
図10Bに示されているように、第11の観点は、第2のレッグ1020に接合された臓側延長部1045を更に有し、臓側延長部1045は、近位端1046及び遠位端1047を有し、臓側延長部1045は、第1の延長レッグ1060及び第2の延長レッグ1065を形成する分岐部1055を備えた管状主レッグ1050を有し、第1の延長レッグ1060は、約7mmの遠位側直径を有し、第2の延長レッグ1065は、約16mmの遠位側直径を有し、臓側延長部1045は、近位端1046のところに約15mmの直径を有すると共に分岐部1055のところに約20mmの直径を有し、臓側延長部1045は、約93mmの長さを有する。種々の実施形態では、臓側延長部1045の長さは、約82〜199mm、87〜177mm、93〜156mm、109〜140mm、又は約124mm、約82mm、約156mm、又は約199mmであるのが良い。
【0156】
第12の観点では、
図3に示されているように、本発明は、本発明の第10又は第11の観点によるデブランチング用ステントグラフト700,800,900の配置方法であって、(a)ガイドワイヤを動脈接近部経由で大動脈300中に導入するステップと、(b)本発明の第10又は第11の観点によるデブランチング用ステントグラフト700,800,900を収容したデリバリカテーテルをガイドワイヤ上に装填するステップと、(c)デリバリカテーテルをガイドワイヤに沿って動かしてデリバリカテーテルを動脈接近部経由で大動脈300中に導入するステップと、(d)デブランチング用ステントグラフト700,800,900を大動脈300又は大動脈300内の先に配置されたステントグラフト、例えば本発明の第1又は第2の観点によるステントグラフト100,200のルーメンのうちの一方中に配備するステップとを含むことを特徴とする方法を提供する。
【0157】
一実施形態では、
図3に示されているように、第12の観点は、(e)第2のガイドワイヤを動脈接近部経由で大動脈300中に導入するステップと、(f)本発明の第10又は第11の観点による臓側リム725,825,925を収容した第2のデリバリカテーテルを第2のガイドワイヤ上に装填するステップと、(g)第2のデリバリカテーテルを第2のガイドワイヤに沿って動かして第2のデリバリカテーテルを動脈接近部経由でデブランチング用ステントグラフト700,800,900の第1のレッグ715,815,915又は第2のレッグ720,820,920中に導入するステップと、(h)臓側リムステントグラフト725,825,925の近位端726,826,926をデブランチング用ステントグラフト700,800,900の第1のレッグ715,815,915又は第2のレッグ720,820,920中に配備するステップとを更に含む。
【0158】
図示していない別の実施形態では、第12の観点は、(i)第3のガイドワイヤを動脈接近部経由で大動脈中に導入し、そしてデブランチング用ステントグラフト700,800,900の選択したルーメン中に導入するステップと、(j)本発明の第10又は第11の観点による臓側延長ステントグラフト1045を収容した第3のデリバリカテーテルを第3のガイドワイヤ上に装填するステップと、(k)第3のデリバリカテーテルを第3のガイドワイヤに沿って動かして第3のデリバリカテーテルを動脈接近部経由でデブランチング用ステントグラフト700,800,900の選択したルーメン中に導入するステップと、(l)臓側延長ステントグラフト1045の近位端1046をデブランチング用ステントグラフト700,800,900の選択したルーメン中に配備する一方で、遠位端が生まれつき備わった血管中に延びるようにするステップとを更に含む。
【0159】
デブランチング用大血管ステントグラフト及び使用方法
【0160】
第13の観点では、例えば
図11A〜
図12に示されているように、本発明は、デブランチング用ステントグラフト1100であって、(a)第1のレッグ1115及び第2のレッグ1120を形成する第1の分岐部1110を備えた本体としてのステントグラフト1105を有し、本体ステントグラフト1105は、遠位端1106及び近位端1107を有し、本体ステントグラフト1105は、近位端1107のところに約18mmから約28mmまでの範囲にある直径を有し、(b)第1のレッグ1115及び第2のレッグ1120は各々、約12mmから約18mmまでの範囲にある直径を有し、(c)本体ステントグラフト1105の近位端1106から第1のレッグ1115の遠位端1116までの距離は、約30mmから約50mmまでの範囲にあり、(d)本体ステントグラフト1105の近位端1107から第2のレッグ1120の遠位端1121までの距離は、約50mmから約70mmまでの範囲にあることを特徴とするデブランチング用ステントグラフト1100を提供する。
【0161】
デブランチング用臓側ステントグラフトと同様、デブランチング用大血管ステントグラフトは、デブランチング手技において第2のレベルとして双筒式本体ステントグラフトのルーメン内に配備され、又は保持用本体ステントグラフトとして血管壁直接的接触状態に置かれるのが良い。加うるにデブランチング用大血管ステントグラフトは、任意の先に配置された適当なサイズのステントグラフトのルーメン内に配備されても良い。
【0162】
好ましい一実施形態では、本体ステントグラフト1105の直径は、近位端1107のところでは約25mmであり、種々の実施形態では、約18〜28mm、20〜26mm、22〜25mm、又は24〜25mmであるのが良い。別の好ましい実施形態では、第1の分岐部1110は、近位端1107から約20mmから約45mmまでの範囲で起こり、種々の実施形態では、近位端1107までの第1の分岐部1110の距離は、約20〜50mm、25〜40mm、30〜35mm、又は約30mmであるのが良い。別の好ましい実施形態では、第1のレッグ1115及び第2のレッグ1120は各々、約14mmの直径を有し、種々の実施形態では、約12〜18mm、13〜17mm、14〜15mm、又は14〜16mmであるのが良い。
【0163】
別の実施形態では、本発明の第13の観点は、本体ステントグラフト1105の遠位端1106のところで第1のレッグ1115又は第2のレッグ1120のうちの一方に接合された第1の大血管リム1125を更に有する。
【0164】
図11A及び
図11Bに示された好ましい一実施形態では、第1の大血管リム1125は、シーム1131を介して第1のレッグ1115又は第2のレッグ1120のうちの一方に接合されている。この実施形態では、第1の大血管リム1125は、好ましくは、近位端1126のところに約14mmから約16mmまでの範囲にある直径を有し、種々の実施形態では、第1の大血管リム1125の近位端1126のところの直径は、約14〜16mm、14〜15mm、又は約14mmであるのが良い。さらにこの実施形態では、第1の大血管リム1125は、好ましくは、約30mmの長さを有する。また、この実施形態では、第1の大血管リム1125は、第3のレッグ1135及び第4のレッグ1140を定める分岐部1130を有するのが良く、分岐部1130は、好ましくは、ほぼシーム1131のところで起こる。この場合、第3のレッグ1135及び第4のレッグ1140の各々は、好ましくは、約7mmから約12mmまでの範囲にある直径を有する。
【0165】
別の好ましい実施形態では、
図12に示されているように、第1の大血管リム1225は、この場合も又、シーム1231を介して第1のレッグ1215又は第2のレッグ1220のうちの一方に接合されている。この実施形態では、本体ステントグラフト1205は、近位端1207のところに約20mmから約28mmまでの範囲にある直径を有し、この場合、第1の分岐部1210は、本体ステントグラフト1205の近位端1207から約25mmから約45mmまでの範囲で起こり、第3のレッグ1235及び第4のレッグ1240の各々は、約8mmから約12mmまでの範囲にある直径を有する。種々の実施形態では、本体ステントグラフト1205の近位端1207のところの直径は、約22〜26mm、24〜26mm、又は約26mmであるのが良い。種々の実施形態では、近位端1207までの第1の分岐部1210の距離は、約20〜45mm、25〜40mm、30〜35mm、又は約30mmであるのが良い。種々の実施形態では、第3のレッグ1235及び第4のレッグ1240の各々の直径は、約8〜11mm、9〜11mm、9〜12mm、又は約10mmであるのが良い。種々の実施形態では、第2のレッグ1220の直径は、約12〜18mm、14〜16mm、又は約14mmであるのが良い。種々の実施形態では、本体ステントグラフト1205の近位端1207から第2のレッグ1220の遠位端までの長さは、約55〜80mm、60〜80mm、65〜80mm、70〜80mm、75〜80mm、若しくは約60mm、又は約80mmであるのが良い。
【0166】
一実施形態では、本発明の第13の観点は、本体ステントグラフト1205の近位端のところで2つの隣り合うステントに取り付けられた複数個の両方向アンカーフック1245を更に有する。
【0167】
さらに別の実施形態では、本発明の第13の観点は、第1のレッグ1215、第3のレッグ1235、及び第4のレッグ1240の各々の遠位端のところに設けられた放射線不透過性バンド1250を更に有する。
【0168】
別の実施形態では、本体ステントグラフト1205は、本体ステントグラフト1205に任意の形態、例えば“S”字形で設けられた方向性マーカ1255を更に有するのが良い。
【0169】
別の好ましい実施形態では、
図13A及び
図13Bに示されているように、第1の大血管リム1325は、受動式固定具を介して第1のレッグ1115又は第2のレッグ1120のうちの一方に接合されている。この実施形態では、第1の大血管リム1325は、好ましくは、近位端1326のところに約15mmから約17mmまでの範囲までの直径を有し、種々の実施形態では、約15〜16mm、16〜17mm、又は約16mmであるのが良い。大血管リム1325の近位端1326のところの直径は、リムを受け入れるレッグの直径よりも少なくとも約1mm大きいことが必要であり、レッグとリムのオーバーラップの長さは、受動式固定が有効であるようにするために少なくとも30mmであるべきである。さらにこの実施形態では、第1の大血管リム1325は好ましくは、約60mmから約100mmまでの範囲にある長さを有し、種々の実施形態では、約60〜75mm、60〜70mm、60〜65mm、又は約60mmであるのが良い。1つの受動式固定具実施形態では、第1の大血管リム1325は、第3のレッグ1335及び第4のレッグ1340を定めた分岐部1330を有し、第3のレッグ1335及び第4のレッグ1340は各々、好ましくは、約30mmの長さを有する。この受動式固定具実施形態では、第3のレッグ1335及び第4のレッグ1340の各々は、好ましくは、約7mmから約12mmまでの範囲にある直径を有する。種々の実施形態では、第3のレッグ1335の長さは、約8〜11mm、9〜11mm、9〜10mm、又は約10mmであるのが良い。種々の実施形態では、第4のレッグ1340の長さは、約7〜11mm、7〜10mm、7〜9mm、7〜8mm、又は約7mmであるのが良い。
【0170】
さらに別の実施形態では、本発明の第13の観点は、第1のレッグ1115又は第2のレッグ1120のうちの他方に取り付けられた第2の大血管リムを更に有する。第2の大血管リムは、第1の大血管リム1325の任意の実施形態の形態をしているのが良い。別の実施形態では、第2の大血管リムは、延長ステントグラフトを有する。
【0171】
一実施形態では、第2のレッグ1120は、少なくとも1つの開窓部を備える。
【0172】
第14の観点では、本発明は、本発明の第13の観点によるデブランチング用ステントグラフト1100,1200の配置方法であって、(a)ガイドワイヤを動脈接近部経由で大動脈中に導入するステップと、(b)本発明の第13の観点によるデブランチング用ステントグラフト1100を収容したデリバリカテーテルをガイドワイヤ上に装填するステップと、(c)デリバリカテーテルをガイドワイヤに沿って動かしてデリバリカテーテルを動脈接近部経由で大動脈中に導入するステップと、(d)デブランチング用ステントグラフト1100を大動脈又は大動脈内の先に配置されたステントグラフト、例えば本発明の第6の観点によるステントグラフト400のルーメンのうちの一方中に配備するステップとを含むことを特徴とする方法を提供する。
【0173】
一実施形態では、第14の観点は、(e)第2のガイドワイヤを動脈接近部経由で大動脈中に導入するステップと、(f)本発明の第13の観点による大血管リム1325を収容した第2のデリバリカテーテルを第2のガイドワイヤ上に装填するステップと、(g)第2のデリバリカテーテルを第2のガイドワイヤに沿って動かして第2のデリバリカテーテルを動脈接近部経由でデブランチング用ステントグラフト1100の選択したレッグ中に導入するステップと、(h)大血管リム1325の近位端1326をデブランチング用ステントグラフト1100,1200の選択したレッグ中に配備するステップとを更に含む。
【0174】
一実施形態では、第14の観点は、(i)第3のガイドワイヤを動脈接近部経由で大動脈中に導入し、そして本発明の第13の観点によるデブランチング用ステントグラフトの選択したルーメン中に導入するステップと、(j)延長ステントグラフトを収容した第3のデリバリカテーテルを第3のガイドワイヤ上に装填するステップと、(k)第3のデリバリカテーテルを第3のガイドワイヤに沿って動かして第3のデリバリカテーテルを動脈接近部経由でデブランチング用ステントグラフト1100,1200の選択したルーメン中に導入するステップと、(l)延長ステントグラフトの近位端をデブランチング用ステントグラフト1100,1200の選択したルーメン中に配備する一方で、延長ステントグラフトの遠位端が血管中に延びるようにするステップとを更に含む。
【0175】
第15の観点では、本発明は、本発明の第13の観点によるデブランチング用ステントグラフト1100,1200の配置方法であって、(a)ガイドワイヤを動脈接近部経由で大動脈弓中に導入するステップと、(b)本発明の第13の観点によるデブランチング用ステントグラフト1100,1200を収容したデリバリカテーテルをガイドワイヤ上に装填するステップと、(c)デリバリカテーテルをガイドワイヤに沿って動かしてデリバリカテーテルを動脈接近部経由で大動脈弓中に導入するステップと、(d)デブランチング用ステントグラフト1100,1200を近位下行大動脈又は近位下行大動脈内の先に配置されたステントグラフト、例えば本発明の第6の観点によるステントグラフト400のルーメンのうちの一方中に配備するステップとを含むことを特徴とする方法を提供する。
【0176】
第16の観点では、
図6に示されているように、本発明は、本発明の第13の観点によるデブランチング用ステントグラフト1100,1200の配置方法であって、(a)ガイドワイヤを動脈接近部経由で上行大動脈中に導入するステップと、(b)本発明の第13の観点によるデブランチング用ステントグラフト1100,1200を収容したデリバリカテーテルをガイドワイヤ上に装填するステップと、(c)デリバリカテーテルをガイドワイヤに沿って動かしてデリバリカテーテルを動脈接近部経由で上行大動脈中に導入するステップと、(d)デブランチング用ステントグラフト1100,1200を上行大動脈又は上行大動脈内の先に配置されたステントグラフト、例えば本発明の第6の観点によるステントグラフト400のルーメンのうちの一方中に配備するステップとを含むことを特徴とする方法を提供する。
【0177】
一実施形態では、本発明の第16の観点は、(e)第2のガイドワイヤを動脈接近部経由で上行大動脈中に導入し、デブランチング用ステントグラフト1100,1200の選択したレッグ中に導入するステップと、(f)本発明の第13の観点による大血管リム1325を収容した第2のデリバリカテーテルを第2のガイドワイヤ上に装填するステップと、(g)第2のデリバリカテーテルを第2のガイドワイヤに沿って動かして第2のデリバリカテーテルを動脈接近部経由でデブランチング用ステントグラフトの選択したレッグ中に導入するステップと、(h)大血管リム1325の近位端1326をデブランチング用ステントグラフト1100,1200の選択したレッグ中に配備するステップとを更に含む。
【0178】
一実施形態では、第16の観点は、(i)第3のガイドワイヤを動脈接近部経由で上行大動脈中に導入し、そしてデブランチング用ステントグラフト1100,1200の選択したレッグ中に導入するステップと、(j)本発明の第13の観点による延長ステントグラフトを収容した第3のデリバリカテーテルを第3のガイドワイヤ上に装填するステップと、(k)第3のデリバリカテーテルを第3のガイドワイヤに沿って動かして第3のデリバリカテーテルを動脈接近部経由でデブランチング用ステントグラフトの選択したレッグ中に導入するステップと、(l)延長ステントグラフトの近位端をデブランチング用ステントグラフト1100,1200の選択したレッグ中に配備する一方で、延長ステントグラフトの遠位端が大血管中に延びるようにするステップとを更に含む。
【0179】
デブランチング用ステントグラフトリム及び使用方法
【0180】
デブランチング用ステントグラフトリムを用いると、分岐した動脈構成を含む1つ又は複数の疾患のある動脈を排除することができ、かかる分岐した動脈構成としては、任意の解剖学的変形若しくは他形式の疾患のある大動脈又は外傷が挙げられる。本発明のデブランチング用ステントグラフトリムは、ほぼ任意の解剖学的構造に連結可能であり、かくして、種々の患者に使用しやすくすることができる。これらデブランチング用ステントグラフトリムの運搬は、順行性か逆行性かのいずれであっても良く、かくして、ほぼ任意の疾患のある動脈への接近が可能である。このデブランチング用ステントグラフトリムを既存の大動脈ステントグラフトプラットホームと組み合わせて使用する場合、非限定的な一実施形態は、総腸骨動脈瘤の治療であるのが良く、かかる治療では、ステントグラフトを総腸骨動脈内に差し向け、第1及び第2の拡張可能な人工器官を外及び内腸骨動脈中にそれぞれ延ばして骨盤の血液の流れを維持する。
【0181】
第17の観点では、
図14A及び
図14Bに示されているように、本発明は、デブランチング用ステントグラフトリム1400であって、(a)第1のレッグ1415及び第2のレッグ1420を形成する分岐部1410を備えた本体としてのステントグラフトリム1405を含み、本体ステントグラフトリム1405は、遠位端1406及び近位端1407を有し、(b)本体ステントグラフトリム1405は、近位端1407のところに、約14mmから約18mmまでの範囲にある直径を有し、(c)第1のレッグ1415は、約8mmから約12mmまでの範囲にある直径を有し、(d)第2のレッグ1420は、約6mmから約10mmまでの範囲にある直径を有し、(e)本体ステントグラフト1405の近位端1407から第1のレッグ1415及び第2のレッグ1420の遠位端1416までの距離は、約70mm〜約90mmの範囲にあり、第1のレッグ1415の直径は、第2のレッグ1420の直径よりも約2mm大きいことを特徴とするデブランチング用ステントグラフトリム1400を提供する。
【0182】
好ましい一実施形態では、第1のレッグ1415の直径は、約10mmであり、第2のレッグ1420の直径は、約8mmである。種々の実施形態では、第1のレッグ1415の直径は、約8〜12mm、8〜11mm、8〜10mm、9〜10mm、9〜11mm、又は9〜12mmであるのが良い。種々の実施形態では、第2のレッグ1420の直径は、約6〜10mm、7〜9mm、7〜8mm、又は約7mmであるのが良い。
【0183】
別の好ましい実施形態では、近位端1407のところの本体ステントグラフトリム1405の直径は、約16mmであり、種々の実施形態では、14〜18mm、15〜17mm、又は約16mmであるのが良い。
【0184】
別の好ましい実施形態では、本体ステントグラフト1405の近位端1407から第1のレッグ1415及び第2のレッグ1420の遠位端1416までの距離は、80mmであり、種々の実施形態では、約70〜90mm、70〜85mm、75〜85mm、又は75〜90mmであるのが良い。
【0185】
別の好ましい実施形態では、本体ステントグラフト1405の近位端1407から分岐部1410までの距離は約40mm〜60mmである。
【0186】
さらに別の実施形態では、第17の観点は、第1のレッグ1415に受動式固定具を介して結合された状態で第1のレッグ1415内で拡張する第1のリムと、第2のレッグ1420に受動式固定具を介して結合された状態で第2のレッグ1420内で拡張する第2のリムとを更に有する。
【0187】
第18の観点では、
図15に示されているように、本発明は、本発明の第17の観点によるデブランチング用ステントグラフトリム1400の配置方法であって、(a)ガイドワイヤを動脈接近部経由で任意適当に寸法決めされている分岐した動脈構成1500中に導入するステップと、(b)本発明の第17の観点によるデブランチング用ステントグラフトリム1400を収容したデリバリカテーテルをガイドワイヤ上に装填するステップと、(c)デリバリカテーテルをガイドワイヤに沿って動かしてデリバリカテーテルを動脈接近部経由で適当に寸法決めされている分岐した動脈構成1500中に導入するステップと、(d)デブランチング用ステントグラフトリム1400を適当に寸法決めされている分岐した動脈構成1500及び/又は先に配置されたステントグラフト、例えば本発明の第10、第11又は第13の観点によるステントグラフトのルーメン中に配備するステップとを含む。
【0188】
図15に示されている一実施例では、本体ステントグラフト1510を大動脈1505の非疾患組織内に固定又は保持する。次に、分岐状態のステントグラフト1515を、一方のルーメン1516が左総腸骨動脈1520内に延び、他方のルーメン1517が動脈瘤嚢1506内に延びた状態で、本体ステントグラフト1510のルーメン内に配備する。延長ステントグラフト1525が動脈瘤嚢1506内のルーメン1517内に配備された状態で示されている。デブランチング用ステントグラフトリム1400は、動脈瘤嚢1506をまたぐと共に外腸骨動脈1501をステント配置するよう延長ステントグラフト1525内に配備された状態で示されている。次に、実際には、追加の延長ステントグラフト(図示せず)を以下に説明するように右内腸骨動脈1502中に配備する。
【0189】
一実施形態では、
図15に示されているように、本発明の第18の観点は、(e)第1のリムを収容した第2のデリバリカテーテルをガイドワイヤの近位端上に装填するステップと、(f)第2のデリバリカテーテルをガイドワイヤに沿って動かして第2のデリバリカテーテルを動脈接近部経由でデブランチング用ステントグラフトリム1400の第1のレッグ1415中に導入するステップと、(g)第1のリムの近位端をデブランチング用ステントグラフトリム1400の第1のレッグ1415中に配備するステップとを更に含む。
【0190】
別の実施形態では、
図15に示されているように、本発明の第18の観点は、(h)第2のガイドワイヤを動脈接近部経由で適当に寸法決めされている分岐した動脈構成中に本発明の第17の観点によるデブランチング用ステントグラフトリム1400の第2のレッグ1420を通して導入するステップと、(i)本発明の第17の観点による第2のリムを収容した第3のデリバリカテーテルを第2のガイドワイヤ上に装填するステップと、(j)第3のデリバリカテーテルを第2のガイドワイヤに沿って動かして第3のデリバリカテーテルを動脈接近部経由でデブランチング用ステントグラフトリム1400の第2のレッグ1420中に導入するステップと、(k)第2のリムの近位端を適当に寸法決めされている分岐した動脈構成内のデブランチング用ステントグラフトリム1400の第2のレッグ1420中に配備するステップとを更に含む。
【0191】
一実施形態では、適当に寸法決めされている分岐した動脈構成は、総腸骨動脈を含む。
【0192】
別の実施形態では、本発明は、腋窩導管を腕内の露出状態の動脈内に配置するステップを更に含む。腋窩導管は、ガイドワイヤ及びカテーテル導入のための動脈の露出状態の接近箇所を安定化するのに役立つ。腋窩導管を本明細書において説明する方法のうちの任意の方法において、露出状態の動脈接近箇所に利用するのが良い。
【0193】
第19の観点では、本発明は、本発明の第17の観点によるデブランチング用ステントグラフトリム1400の配置方法であって、(a)ガイドワイヤを動脈接近部経由で総腸骨動脈中に導入するステップと、(b)本発明の第17の観点によるデブランチング用ステントグラフトリム1400を収容したデリバリカテーテルをガイドワイヤ上に装填するステップと、(c)デリバリカテーテルをガイドワイヤに沿って動かしてデリバリカテーテルを動脈接近部経由で総腸骨動脈中に導入するステップと、(d)デブランチング用ステントグラフトリム1400を総腸骨動脈及び/又は先に配置されたステントグラフト、例えば本発明の第10、第11又は第13の観点によるステントグラフトのルーメン中に配備するステップとを含むことを特徴とする方法を提供する。
【0194】
組み合わせ型双筒式ステントグラフトとデブランチング用ステントグラフト及び使用方法
【0195】
組み合わせ型双筒式大血管本体ステントグラフトデブランチング用大血管本体ステントグラフトを用いると、任意の解剖学的変化又は他形式の疾患状態の大動脈の動脈瘤又は外傷を治療することができる。この組み合わせ型ステントグラフトを通常の血液の流れ方向において上行大動脈内において順行性配備状態で使用することができる。逆行性配備状態では、ステントグラフトの近位部分を大動脈弁冠動脈から1センチメートルの範囲内に配備するのが良い。この構成例では、組み合わせ型ステントグラフトの第1又は第2のルーメンのうちの一方は、無名動脈用専用であり、他方のルーメンは、左総頸動脈及び左鎖骨下動脈専用である。変形例として、ステントグラフトは、通常の血液の流れ方向に抗して大動脈弓内において逆行性配備状態で用いることができる。逆行性配備では、組み合わせ型ステントグラフトの近位部分を左鎖骨下動脈から約11cm遠位側に配置するのが良い。この構成例では、第1又は第2のルーメンのうちの一方は、大血管専用であり、他方のルーメンは、上行大動脈専用である。
【0196】
第20の観点では、
図16A及び
図16Bに示されているように、本発明は、ステントグラフト1600であって、(a)単一のルーメンを備えると共に遠位端1606及び近位端1607を有する本体としてのステントグラフト1605を有し、(b)本体ステントグラフト1605の近位端1607から約20mmから約30mmまでの範囲のところに位置していて、第1のルーメン1615及び第2のルーメン1620を形成する第1の分岐部1610を有し、本体ステントグラフト1605は、第1のルーメン1615及び第2のルーメン1620と連続して位置する管状壁1625を備え、本体ステントグラフト1605に流入した流体が第1のルーメン1615又は第2のルーメン1620のうちの一方に流入することによって流出しなければならないようになっており、本体ステントグラフト1605は、近位端1607のところに約40mmから約60mmまでの範囲にある直径を有し、第1のルーメン1615及び第2のルーメン1620は各々、約18mmから約30mmまでの範囲にある直径を有し、本体ステントグラフト1605の近位端1607から第2のルーメン1620の遠位端1621までの距離は、約70mmから約90mmまでの範囲にあり、(c)第2のルーメン1620の遠位端1621から約30mmのところで第2のルーメン1620内に位置していて、第1のレッグ1635及び第2のレッグ1640を形成する第2の分岐部1630を有し、第1のレッグ1635及び第2のレッグ1640は各々、約14mmから約16mmまでの範囲にある直径を有し、(d)第2の分岐部1630から約20mm〜約30mm遠位側で第2のレッグ1640内に位置していて、第3のレッグ1650及び第4のレッグ1655を形成する第3の分岐部1645を有し、第3のレッグ及び第4のレッグは各々、約7mmから約12mmまでの範囲にある直径を有し、第3のレッグ1650及び第4のレッグ1655は各々、約20mmから約30mmまでの範囲にある長さを有することを特徴とするステントグラフト1600を提供する。
【0197】
第20の観点及び第21の観点の一実施形態では、組み合わせ型双筒式・デブランチング用本体ステントグラフト1600,1700を作るには、デブランチング用本体ステントグラフトを既存の単一ルーメン本体ステントグラフトの遠位端の周囲全体に接合し、次にオプションとして、第1のルーメン1615と第2のルーメン1620を共有長さに沿って互いに接合するのが良い。本体ステントグラフトは、接着剤、縫いつけ、結合若しくは溶接又は例えば任意他の公知の機構体を用いてデブランチング用本体ステントグラフトに接合されるのが良い。同じ手段を用いて2つの単一ルーメンを共有長さ1660に沿って接合することができる。変形例として、本体ステントグラフトとデブランチング用本体ステントグラフトを単一の一体型ステントグラフトとして作ることができる。ステントグラフトコンポーネントを生体内配備に先立って互いに接合し、固定し、又は取り付けるこれら機構体を、本明細書に開示した双筒式ステントグラフト、デブランチング用ステントグラフト、又はデブランチング用ステントグラフトリムに関する観点のうちの任意のものと共に利用することができる。
【0198】
好ましい一実施形態では、本体ステントグラフト1605は、近位端1606のところに約40mmの直径を有し、種々の実施形態では、約40〜60mm、45〜55mm、約55mm、約60mm、又は約40mmであるのが良い。別の好ましい実施形態では、第1のルーメン1615は、約20mmの直径を有し、種々の実施形態では、18〜30mm、20〜28mm、22〜26mm、又は24mmであるのが良い。別の好ましい実施形態では、第2のルーメン1620は、約18mmから約20mmの範囲にある直径を有し、種々の実施形態では、約18〜30mm、20〜28mm、22〜26mm、又は約24mmであるのが良い。さらに別の好ましい実施形態では、本体ステントグラフト1605の近位端1607から第2のルーメン1620の遠位端1621までの長さは、約70mmであり、種々の実施形態では、約70〜90mm、70〜85mm、70〜80mm、70〜75mm、70mm、75〜90mm、80〜90mm、85〜90mm、又は約90mmであるのが良い。種々の実施形態では、第1のレッグ1635及び第2のレッグ1640の直径の各々は、約14〜16mm、14〜15mm、15〜16mm、又は約14mmであるのが良い。種々の実施形態では、第3のレッグ1650及び第4のレッグ1655は各々、約7mmから約12mmまでの範囲にある直径を有し、種々の実施形態では、約7〜12mm、8〜11mm、9〜10mm、又は約10mmであるのが良い。好ましい実施形態では、第3のレッグ1650及び第4のレッグ1655は各々、約30mmの長さを有する。
【0199】
第20の観点及び第21の観点の別の好ましい実施形態では、第1のルーメン及び第2のルーメンは各々、実質的に円筒形の輪郭形状を保持する。一実施形態では、円筒形ステント構造体は、第1及び第2のルーメンが実質的に円筒形の輪郭形状を維持するのを助けるよう本体ステントグラフトの外部上に設けられる。
【0200】
一実施形態では、第1のルーメン1615は、約30mmの共有長さに沿って第2のルーメン1620に固定される。第20の観点及び第21の観点の別の実施形態では、第1のルーメン1625と第2のルーメン1620は、縫合、接着又は結合のうちの1つ又は2つ以上を介して共有長さ1660に沿って互いに固定される。2つのルーメンを、これらルーメンの円筒形状を実質的に変形させない仕方で互いに固定する。この実施形態は、特に所与のステントグラフトが保持用本体ステントグラフトとして用いることが意図されているとき、双筒式ステントグラフト及びデブランチング用ステントグラフトの任意の観点に同様に利用できる。
【0201】
別の実施形態では、
図17A及び
図17Bに示されているように、第20の観点及び第21の観点は、本体ステントグラフト1705の近位端1707に取り付けられた固定用ステント1765を更に有する。この実施形態は、特に所与のステントグラフトが保持用本体ステントグラフトとして用いることが意図されている場合、双筒式ステントグラフト及びデブランチング用ステントグラフトの任意の観点に同様に利用できる。
【0202】
第21の観点では、
図17A及び
図17Bに示されているように、本発明は、ステントグラフト1700であって、(a)単一のルーメンを備えると共に遠位端1706及び近位端1707を有する本体としてのステントグラフト1705を有し、(b)本体ステントグラフト1705の近位端1707から約20mmから約30mmまでの範囲のところに位置していて、第1のルーメン1715及び第2のルーメン1720を形成する第1の分岐部1710を有し、本体ステントグラフト1705は、近位端1707のところに約40mmから約60mmまでの範囲にある直径を有し、第1のルーメン1715は、第1の分岐部1710のところに約20mmから約30mmまでの範囲にある直径を有すると共に第1のルーメン1715の遠位端1716のところに約20mmから約40mmまでの範囲にある直径を有し、第1のルーメン1715は、第1の分岐部1710から第1のルーメン1715の遠位端1716まで約50mmから約150mmまでの範囲にある長さを有し、第2のルーメン1720は、第1の分岐部1710のところに約20mmから約30mmまでの範囲にある直径を有し、(c)第2のルーメン1720の遠位端1721から約30mmのところで第2のルーメン1720内に位置していて、第1のレッグ1735及び第2のレッグ1740を形成する第2の分岐部1730を有し、第1のレッグ1735及び第2のレッグ1740は各々、約14mmから約16mmまでの範囲にある直径を有し、本体ステントグラフト1705の近位端1707から第2のルーメンの第2のレッグ1740の遠位端1741までの距離は、約50mmから約70mmまでの範囲にあり、(d)第1のレッグ内1735に位置していて、第3のレッグ1750及び第4のレッグ1755を形成する第3の分岐部1745を有し、第3のレッグ1750及び第4のレッグ1755は各々、約7mmから約12mmまでの範囲にある直径を有し、第3のレッグ1750及び第4のレッグ1755は各々、約20mmから約30mmまでの範囲にある長さを有することを特徴とするステントグラフト1700を提供する。
【0203】
種々の実施形態では、本体ステントグラフト1705の近位端1706のところの直径は、約40〜60mm、40〜55mm、40〜50mm、40〜45mm、45〜55mm、45〜60mm、50〜60mm、55〜60mm、約50mm、約60mm、又は約40mmであるのが良い。種々の実施形態では、第1のルーメン1715の遠位端1716のところに、約20mmから40mmまでの範囲にある直径を有し、種々の実施形態では、約21〜45mm、22〜40mm、23〜35mm、24〜30mm、又は約24mmであるのが良い。種々の実施形態では、本体ステントグラフト1705の近位端1707から第2のルーメン1720の遠位端1721までの長さは、約50〜70mm、50〜65mm、50〜60mm、50〜55mm、50mm、55〜70mm、60〜70mm、65〜70mm、又は約70mmであるのが良い。種々の実施形態では、第1のレッグ1735及び第2のレッグ1740の直径の各々は、約14〜16mm、14〜15mm、15〜16mm、又は約14mmであるのが良い。種々の実施形態では、第3のレッグ1750及び第4のレッグ1755は各々、約7mmから約12mmまでの範囲にある直径を有し、種々の実施形態では、約7〜11mm、9〜10mm、又は約10mmであるのが良い。好ましい実施形態では、第3のレッグ1650及び第4のレッグ1655は各々、約30mmの長さを有する。
【0204】
好ましい一実施形態では、本体ステントグラフト1705は、第1のルーメン1715及び第2のルーメン1720と連続して位置する管状壁1725を備え、本体ステントグラフト1705に流入した流体は、第1のルーメン1715又は第2のルーメン1720のうちの一方に流入することによって流出しなければならないようになっている。この管状壁1725は、大動脈壁と完全な封止状態を形成する。
【0205】
一実施形態では、第1のルーメン1715は、第1の分岐部1710から第3の分岐部1745まで共有長さ1760に沿って第2のルーメン1720に固定されている。
【0206】
図18に示されている一実施形態では、第20の観点及び/又は第21の観点は、本体ステントグラフト1705の近位端1707に取り付けられたステント弁1800を更に有し、この場合、ステント弁1800の自由端1801は、覆われ、自由端1801と本体ステントグラフト1705の近位端1707との間に延びるステント弁1802の部分は、覆われていない。この実施形態では、ステント弁1800の覆われた自由端1801は、大動脈流出路1805内に位置し、ステント弁1800の覆われていない部分1802は、冠動脈1810を横切って位置し、それにより血流が通常の仕方で続行することができる。
【0207】
第22の観点では、本発明は、本発明の第20又は第21の観点のうちの一方のステントグラフト1600,1700の配置方法であって、(a)ガイドワイヤを動脈接近部経由で胸部大動脈中に導入するステップと、(b)本発明の第20又は第21の観点のうちの一方のステントグラフト1600,1700を収容したデリバリカテーテルをガイドワイヤ上に装填するステップと、(c)デリバリカテーテルをガイドワイヤに沿って動かしてデリバリカテーテルを動脈接近部経由で胸部大動脈中に導入するステップと、(d)ステントグラフト1600,1700を胸部大動脈中に配備するステップとを含むことを特徴とする方法を提供する。
【0208】
第23の観点では、本発明は、第20又は第21の観点のうちの一方のステントグラフト1600,1700の配置方法であって、(a)ガイドワイヤを動脈接近部経由で大動脈弓中に導入するステップと、(b)本発明の第20又は第21の観点のうちの一方のステントグラフト1600,1700を収容したデリバリカテーテルをガイドワイヤ上に装填するステップと、(c)デリバリカテーテルをガイドワイヤに沿って動かしてデリバリカテーテルを動脈接近部経由で大動脈弓中に導入するステップと、(d)ステントグラフト1600,1700を近位下行大動脈中に配備するステップとを含むことを特徴とする方法を提供する。
【0209】
第24の観点では、
図18に示されているように、本発明は、第20又は第21の観点のうちの一方のステントグラフト1600,1700の配置方法であって、(a)ガイドワイヤを動脈接近部経由で上行大動脈1800中に導入するステップと、(b)本発明の第20又は第21の観点のうちの一方のステントグラフト1600,1700を収容したデリバリカテーテルをガイドワイヤ上に装填するステップと、(c)デリバリカテーテルをガイドワイヤに沿って動かしてデリバリカテーテルを動脈接近部経由で上行大動脈1800中に導入するステップと、(d)ステントグラフト1600,1700を上行大動脈1800中に配備するステップとを含むことを特徴とする方法を提供する。
【0210】
特定の実施形態を図示すると共に本明細書において説明したが、当業者であれば理解されるように、同一の目的を達成するよう計算された任意の構成を図示の特定の実施形態に代えて使用できる。本願は、本発明の実施形態の任意の改造例又は変形例に及ぶようになっている。理解されるべきこととして、上述の説明は、例示であって本発明を限定するものではなく、本明細書において採用されている語句又は用語は、説明の目的であって本発明を制限するものではない。上述の実施形態及び他の実施形態は、当業者には明らかなように、別段の指定がなければ、上述の説明を読むと組み合わせ可能である。例えば、双筒式ステントグラフトについて説明された観点の各々をデブランチング用ステントグラフトのうちの任意のもののうちに配備することができる。同様に、デブランチング用ステントグラフトリムの任意のものをデブランチング用ステントグラフトの任意のものうちに配備することができる。本発明の範囲は、上述の構造及び配備方法の実施形態が用いられる任意他の用途を含む。本発明の実施形態の範囲は、特許請求の範囲に記載された発明の全均等範囲と一緒にこれら実施形態と関連した特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきである。
【0211】
原文明細書に用いられている単数形“a”、“an”、及び“the”は、明示の別段の指定がなければ、複数形を含む。原文明細書で用いられている“and”(翻訳文では「及び」としている場合が多い)は、別段の明示の指定がなければ、“or”(翻訳文では「又は」としている場合が多い)と区別なく用いられる。
【0212】
本発明の互いに異なる観点の範囲内の全ての実施形態及び互いに異なる観点相互間の全ての実施形態を別段の明示の指定がなければ、組み合わせることができる。
【0213】
実施例1:胸腹部動脈瘤の血管内デブランチング
【0214】
最終的な血管手技は、胸腹部動脈瘤(TAA)の開放修復である。かかる手技を行うことは、外科医、外科チーム、これら手技を実施する病院にとっての難題であるが、これは、患者及びその患者の家族がかかる侵襲的手技から回復するのに堪え忍ぶ課題とは比較にならない。
【0215】
この手技には幾つかの外科的方式が存在していた。受け入れることができる合併症発生率で開放TAA修復を行うことができる数個の場所しか本国には存在していない。新たな外科的方式は、同時ステント配置又は遅延ステント配置かのいずれかを伴うデブランチングである。この方式は、主要な合併症発生率のうちの多くを減少させるが、それ自体の他の主要な合併症を有する。この手術を行う外科医は、これが極めて難しい手術であり、患者の回復が極めて困難であることを理解している。有窓ステントグラフティングがTAAの修復にとって新しくて侵襲性の低い方法である。これら特注のグラフトは、手術室内の後ろに置いたテーブル上で構成されるか特別注文で構成されるかのいずれかである。これらは、選択された数のセンターで実施される技術的に極めて困難な場合である。
【0216】
両側の大腿及び一方の腋窩動脈露出を介するTAAの低侵襲デブランチングを近年実施した。
【0217】
臓側双筒式本体ステントグラフトを構成し、一方の筒は、もっぱら臓側セグメントをステント配置するためだけのものであり、他方の筒は、腎臓下大動脈の血管再生専用であった。
【0218】
臓側グラフトを構成するのに標準型分岐ステントグラフトを改造した。改造は、ステントグラフトの同側及び対側リムについて行われた。2つの6mm自己拡張型被覆ステントを同側リムに縫い付け、2つの7mm自己拡張型被覆ステントを対側リムに縫い付けた。新たに構成したデブランチング用臓側ステントグラフトを再び外装するのにワイヤをステントグラフトの外部に螺旋に巻き付けてデブランチング用臓側ステントグラフトを拘束した。
【0219】
臓側双筒式ステントグラフト及びデブランチング用臓側ステントグラフトを再び外装した。次に、臓側双筒式ステントグラフトを胸大動脈内に位置決めすると共にこの中に配備した。次に、デブランチング用臓側ステントグラフトを臓側双筒式本体ステントグラフトのルーメン内に位置決めして配備し、デブランチング用臓側ステントグラフトの遠位箇所が腹腔動脈のオステオルよりも約4cm上方に位置させた。
【0220】
腕接近(導管による腋窩動脈)から、各腎動脈の個別的な選択が、2つの6mm被覆ステントのうちの一方から可能であった。被覆延長ステントグラフトをデブランチング用臓側ステントグラフトから各腎動脈に配備した。デブランチング用臓側ステントグラフトの短いレッグから7mmステントグラフトを通して同じ技術を上腸間膜動脈(“SMA”)及び腹腔動脈について用いた。臓側セグメントをデブランチした状態で、臓側双筒式本体ステントグラフトの開放筒を腎臓下位置まで延長させ、そして手術の残りの部分は、腎臓下血管内大動脈修復(“EVAR”)であった。
【0221】
かかる方式の利点としては、極めて難題である外科的プログラムに対して侵襲性の度合いの低い方式が可能である。本発明は、カスタマイズされたグラフト構成なしでほぼ無制限の解剖学的構造を取り扱うことができる極めて汎用性のある方式を提供している。
【0222】
実施例2:胸腹部動脈瘤の血管内デブランチング
【0223】
腎臓下腹部動脈瘤の血管内修復は、伝統的な開放手術修復の受け入れられている代替手段になっている。この技術は、侵襲性の低い手技に続いて入院期間を短くすることができ、患者の罹患率及び死亡率の初期減少を可能にしている。しかしながら、ステントグラフトを用いた血管内修復は、解剖学的制約及び個々の動脈瘤のケース受け入れるのに特注のステントグラフトの高いコストに起因して胸腹部大動脈瘤(TAA)のための標準治療としては開放手術修復に追いつくには遅かった。ここで提供されているケースは、TAAの管腔内修復方法を表している。
【0224】
患者が全身麻酔下にある状態で、標準の鼠径部及び右腋窩切開部を作り、血管を露出させた。これにより、右/左総大腿動脈に5フレンチシース及び測定用ピッグテイルカテーテルを用いて接近することができ、それにより血管造影を実施して患者の特定の解剖学的構造を特定した。この時点において、2つのグラフトを構成した。一方は、臓側双筒式本体ステントグラフトであり、他方は、デブランチング用臓側ステントグラフトであった。シームを70mmについてグラフトの上方に垂直方向に縫い付けることによって臓側双筒式本体ステントグラフトを100mm胸部ステントグラフトから構成し、かくして、双筒式形態を作った。デブランチング用臓側ステントグラフトを2つの自己拡張型被覆ステントグラフトが各リムに縫い付けられた状態で標準型本体分岐グラフトから作り、これにより2つの同側及び対側リムに対して2つの近位側と2つの遠位側の両方が互い違いになった全部で4つのステントが作られた。いったん縫い付けられると、デブランチング用臓側ステントグラフトを20ゲージ外科用ワイヤを用いて再び拘束し、そして再び外装した。このプロセス中、方位マーカを維持するために注意を払った。
【0225】
臓側双筒式ステントグラフトを腹腔動脈よりも約11cm上方に配置した。次に、約4〜5cmのオーバーラップを施した状態でデブランチング用臓側ステントグラフトを臓側双筒式ステントグラフトの筒のうちの一方のルーメン中に挿入した。遠位臓側リムを腹腔動脈よりも4cm上方に配置して臓側セグメント血管のカニューレ挿入に適したスペースを作ることができた。
【0226】
10mmダクロン(Dacron)グラフトを導管として右腋窩動脈に縫いつけ、シース(外装)を通る下行大動脈への接近を可能にした。臓側双筒式本体ステントグラフトの開放筒をピッグテイルカテーテル配置のために選択し、最終的には腎臓下セグメントのために選択した。長さ8mmフレンチのシースを腋窩導管から引き入れた。デブランチング用臓側ステントグラフトの個々のリムを通って、腹腔動脈、SMA及び腎動脈をステント配置した。4本の臓側動脈のステント配置時、臓側双筒式本体ステントグラフトの開放筒を真っ直ぐな胸部ステントグラフトを用いて腎臓下位置まで延長させた。この時点で、標準型腎臓下管腔内腹部大動脈動脈瘤修復を行った。
【0227】
手技全体を通じて、ヘパリン化し、ステント‐グラフト接触箇所を血管形成した。血管造影全体を実施し、右腋窩動脈を過剰に縫い付けた。患者を髄液圧力及び平均動脈血圧の制御により適当な脊髄灌流に対して特別な注意を払って通常の仕方で腰部ドレーンで保護した。
【0228】
手技に続き、患者を脊髄ドレーンが定位置にある状態で厳密なモニタのためにICUに移送した。脊髄ドレーンは、48〜72時間にわたって定位置のままであり、その取り外し時、患者を通常の行動に促した。入院期間のうちの4日目まで、患者は、術後の経過が良好であり、神経学的に無傷のままであり、いつでも退院できる状態にあった。1ヶ月のフォローアップの結果として患者が病後の経過が良好であることが判明した。
【0229】
胸腹部動脈瘤を取り扱う従来型開放胸腹部方式は、外科スタッフ、手術後看護スタッフ及び特に患者を含む全ての人にとって課題である。開放方式の有意な合併症としては、対麻痺、腎不全及び死亡が含まれる。これにより、他の技術の模索及び受け入れが行われた。
【0230】
開放デブランチングに続き、同時又は遅延ステント‐グラフティングを実施し、成功を収めたことが示されており、合併症発生率が幾分か減少した。しかしながら、これらは、相当な合併症を伴うのでスタッフ及び患者にとっては難儀な手術のままである。開窓グラフトを用いた新たな技術が訪れつつある。残念ながら、これら新たな方法は、腎近接動脈瘤に照準が合わせられている。中間胸部から遠位側に延びる旧式の胸腹部動脈瘤は、現在の技術によっては血管内的には依然として滅多に試みられることはない。
【0231】
上述の場合、完全なエンドデブランチングが実施され、このことは、患者に対する損傷を最小限に抑えた状態で臓側及び腎臓下血流を保つ有用な代替手段の利用であることが実証されている。この方式の利点は、解剖学的変化に関するその融通性及び手術手技による課題との取り組みに関するその固有の冗長度である。
【0232】
実施例3:胸部動脈瘤の血管内デブランチング
【0233】
患者は、47歳の女性であり、この女性は、症候性胸部切開、大きな胸部動脈瘤タイプA切開、残念ながら彼女の腹腔動脈中への長さ全体にわたって不幸なことに相当な動脈瘤の変化があった。彼女の臓側セグメントは、真の管腔から外れた。
【0234】
患者を横臥位置に寝かせ、頸部、胸部、腕及び鼠径部を前処理して通常の滅菌方式でドレーピングした。左総頸動脈、内頸動脈及び外頸動脈を標準の仕方で長手方向切開創により切開し、円周方向に管理した。長手方向切開創を上腕動脈に入れ、そして円周方向管理により左上腕動脈まで切開した。垂直切開創を右鼠径部と左鼠径部の両方に入れ、そして周辺管理を行いながら総大腿動脈、深在性大腿動脈及び表在性大腿動脈まで切開した。次に、焦点を横方向鎖骨上切開創を入れた患者の右側部にシフトさせ、そして切開を近位側及び遠位側に露出した鎖骨下動脈まで実施した。
【0235】
この時点で、患者をヘパリン化した。10mm導管を端側方式で鎖骨下動脈に縫い付けた。導管が適当な止血をいったん行うと、ピッグテイルカテーテルを大動脈弓内に配置した状態で右総大腿動脈接近部から右総大腿動脈及び左総大腿動脈に接近した。ワイヤ及びカテーテルを左上腕動脈並びに左総頸動脈から配置した。左総頸動脈に切開部のある真の管腔を選択するよう注意した。これは、超音波誘導により行われ、ワイヤを接近箇所から上行大動脈内に配置した。
【0236】
ワイヤが定位置にある状態で、焦点が大動脈弓双筒式本体ステントグラフトにシフトし、この大動脈弓双筒式本体ステントグラフトは、導入に先立って後ろのテーブル上に置いた40mmバリアント(Valiant)ステントグラフトの改造によって作られた。この大動脈弓双筒式本体ステントグラフトを次に右鎖骨下動脈接近部から正しい向きで位置決めし、ガイドワイヤが双筒式ルーメンのうちの一方の中にある状態で配備した。配備を呼吸を保持すると共に迅速なペーシングで実施した。次に、右総大腿動脈を接近箇所として用いてステントグラフトの他方の双筒式ルーメンを選択した。
【0237】
ここから、再び、右鎖骨下動脈接近部に戻ってデブランチング用大血管ステントグラフトを位置決めすると共に配備した。このステントグラフトは、導入に先立って後ろのテーブル上で標準の本体20mmグラフトから改造したものであって。次に、デブランチング用大血管ステントグラフトの個々のレッグ/リムを左総頸動脈及び左鎖骨下動脈から逆行性的に選択した。
【0238】
血管内超音波(“IVUS”)を導入して正確な管腔選択を確認した。左鎖骨下接近は、不正確な管腔内であった。したがって、Omni Flushカテーテルを右鎖骨下動脈から用いてアップアンドオーバー技術で鎖骨下Viabahn枝部を逆行的に選択した。左鎖骨下から、このワイヤを次にスネア処置した。徹底的な仕方で、ワイヤをデブランチング用大血管ステントグラフトの専用10mmViabahnリム中に通した。次に、これをIVUSで確認した。次に、iCAST10mmステントを用いてデブランチング用大血管ステントグラフトから左側の鎖骨下動脈にステント挿入した。このステントグラフトを14×60自己拡張型ステントにより平滑にした。
【0239】
次に、18×150胸部ステントグラフト増量剤を右総大腿動脈から配置のために極めて急峻な大動脈弓上に運んだ。これにより、大動脈弓双筒式本体ステントグラフト(ステント弁は取り付けられていない)が冠動脈に向かって押し下げられた。患者は、このプロセス全体を通じて安定した状態を保った。バルーンを腕と鼠径部の両方から双筒式ルーメン及び本体内に配置した。大動脈弓双筒式本体ステントグラフトを正確な位置に再位置決めして戻した。この時点で、16×20×82無名ステントグラフトをデブランチング用大血管ステントグラフトの無名部分から無名動脈中に配置した。これは、23mmGoreカフを用いて延長され、そして良好な血流を確認した。次に、この位置をバルーンがこのステントグラフトの近位部分内に位置した状態で再びロックし、18×150胸部ステントグラフト増量剤を再び前進させて大動脈弓を通って大動脈弓双筒式本体ステントグラフトのルーメン内に位置決めした。追加の30×150ステントグラフト増量剤を胸部ステントグラフト増量剤内に配置し、接触箇所を血管形成した。
【0240】
ここから、左総頸動脈とデブランチング用大血管ステントグラフトとの間の連結を10mmiCASTステントグラフトを用いて完了させた。これらは、12及び14mm自己拡張型ステントで平滑化した。胸部大動脈弓を両方の左及び右の動脈線内の良好な流れ及び等しい圧力で完全にデブランチした。
【0241】
次に、血管造影を腎臓下大動脈に対して実施した。切開部を左総腸骨動脈中に入れた。次に、これは、遠位大動脈から内腸骨動脈の右側の総腸骨動脈中に両方向に延びる接触状態の16mmステントグラフトを用いて排除し、これら箇所を血管形成し、非常に良好な結果を得られると共にドップラー効果可能な信号が得られた。
【0242】
カテーテル、ワイヤ及びシースを抜去した。左側の上腕動脈を中断7‐0プロレン(Prolene)で閉鎖した。左総頸動脈シース部位を中断6‐0プロレンで閉鎖した。左鎖骨下導管をEndo GIAステープラーでステープル止めした。鼠径部動脈シースを抜去し、これらを中断4‐0プロレンで閉鎖した。適当な止血を全ての場所で行った状態で患者のヘパリン化を逆にした。
【0243】
切開創を灌注し、そして層の状態で標準的に閉鎖した。頸部切開創を連続Vicrylで再び近似し、ドレーンを両方の頸部切開創内に配置した。右側の鎖骨下切開創も又Vicrylで縫合し、他方、左側の腕切開創及び鼠径部切開創をステープルで閉鎖した。
【0244】
血管造影図による知見によれば、極めて大きな離断(又は切離)及び動脈瘤変化のある患者大動脈弓、患者大血管が実証された。上述したステントグラフティング後、右側無名動脈、右総頸動脈、左総頸動脈、左鎖骨下動脈並びに椎骨動脈への持続流れが存在した。また、下肢動脈、総腸骨動脈、内及び外腸骨動脈への持続流れを伴って下行大動脈及び遠位セグメントへの持続流れが存在した。これらは、離断の依然として僅かな充填が存在した。