特許第6784505号(P6784505)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6784505
(24)【登録日】2020年10月27日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】コンデンサ実装構造
(51)【国際特許分類】
   H01G 2/06 20060101AFI20201102BHJP
   H01G 4/38 20060101ALI20201102BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20201102BHJP
【FI】
   H01G2/06 500
   H01G4/38 A
   H05K1/18 F
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-80850(P2016-80850)
(22)【出願日】2016年4月14日
(65)【公開番号】特開2017-191866(P2017-191866A)
(43)【公開日】2017年10月19日
【審査請求日】2018年2月9日
【審判番号】不服2019-5071(P2019-5071/J1)
【審判請求日】2019年4月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 賢二
【合議体】
【審判長】 井上 信一
【審判官】 石川 亮
【審判官】 山田 正文
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−207531(JP,A)
【文献】 特開平8−55752(JP,A)
【文献】 実開昭59−191723(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 2/06
H01G 4/38
H05K 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の積層コンデンサを直列接続下で回路基板に実装したコンデンサ実装構造であって、
前記積層コンデンサは、相対する端部それぞれに設けられた外部電極の一方に複数の内部電極層の一部が接続され他方に当該複数の内部電極層の残部が接続された構造にあり、
前記複数個の積層コンデンサは、(1)前記回路基板の一面に設けられた直列接続用配線に、(2)積層コンデンサそれぞれが間隔をおいて平行となる位置関係で、(3)積層コンデンサそれぞれの内部電極層が前記回路基板の一面と略直角となる向きで、(4)隣接する積層コンデンサそれぞれの内部電極層が向き合うように、(5)隣接する積層コンデンサそれぞれに流れる信号の方向が逆向きになるように、直列接続され、
前記複数個の積層コンデンサの数は3個であり、前記直列接続用配線を含む当該3個の積層コンデンサの直列接続経路は前記回路基板の一面において略S字状である、
コンデンサ実装構造。
【請求項2】
前記複数個の積層コンデンサには、仕様が同じ積層コンデンサと、仕様が異なる積層コンデンサの一方が用いられている、
請求項1に記載のコンデンサ実装構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数個の積層コンデンサを直列接続下で回路基板に実装したコンデンサ実装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
積層コンデンサを回路基板に実装する場合に、負荷低減等を目的として、複数個の積層コンデンサを直列接続することがある(例えば特許文献1を参照)。
【0003】
図1は、同一仕様の2個の積層コンデンサ111及び112を直列接続下で回路基板121に実装した従前のコンデンサ実装構造100を示す。
【0004】
第1積層コンデンサ111は相対する端部それぞれに外部電極111a及び111bを有しており、コンデンサ本体(符号省略)に内蔵された複数の内部電極層111cの一部を一方の外部電極111aに接続され、且つ、残部を他方の外部電極111bに接続されている。また、第2積層コンデンサ112は相対する端部それぞれに外部電極112a及び112bを有しており、コンデンサ本体(符号省略)に内蔵された複数の内部電極層112cの一部を一方の外部電極112aに接続され、且つ、残部を他方の外部電極112bに接続されている。回路基板121の一面には直列接続用の配線122が直線状に設けられており、この配線122は4個のパッド122a〜122dを有している。
【0005】
図1から分かるように、第1積層コンデンサ111と第2積層コンデンサ112は一方を図1の左右方向に平行移動させた位置関係となっており、第1積層コンデンサ111と第2積層コンデンサ112の間には間隔IN100が存在する。第1積層コンデンサ111は、内部電極層111cが回路基板121の一面と略平行となる向きで、一方の外部電極111aをパッド122aに接続され、且つ、他方の外部電極111bをパッド122bに接続されている。また、第2積層コンデンサ112は、内部電極層112cが回路基板121の一面と略平行となる向きで、一方の外部電極112aをパッド122cに接続され、且つ、他方の外部電極112bをパッド122dに接続されている。なお、前記接続にはハンダ等の接合材が用いられているが図示を省略してある。また、図1中の太線矢印は信号が流れる方向を示している。
【0006】
即ち、直列接続された第1積層コンデンサ111と第2積層コンデンサ112は、各々に流れる信号の方向が同じ向きになるように配置されている。依って、これら積層コンデンサ111及び112を含む直列接続長(第1積層コンデンサ111の外部電極111aの端面から第2積層コンデンサ112の外部電極112bの端面までの実配線長を指す)が長く伸びると、この直列接続長の長さに応じて全体としてのESL値が増加し、高周波特性が悪化する懸念がある。
【0007】
なお、図2は、図1に示したコンデンサ実装構造100に関する前記ESL値の測定結果を示す。この図2は後記の効果検証において使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2013−251495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、積層コンデンサを直列接続する場合でも全体としてのESL値の増加を抑制できるコンデンサ実装構造を提供することある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明に係るコンデンサ実装構造は、複数個の積層コンデンサを直列接続下で回路基板に実装したコンデンサ実装構造であって、前記積層コンデンサは、相対する端部それぞれに設けられた外部電極の一方に複数の内部電極層の一部が接続され他方に当該複数の内部電極層の残部が接続された構造にあり、前記複数個の積層コンデンサは、(1)前記回路基板の一面に設けられた直列接続用配線に、(2)積層コンデンサそれぞれが間隔をおいて平行となる位置関係で、(3)積層コンデンサそれぞれの内部電極層が前記回路基板の一面と略直角となる向きで、(4)隣接する積層コンデンサそれぞれの内部電極層が向き合うように、(5)隣接する積層コンデンサそれぞれに流れる信号の方向が逆向きになるように、直列接続され、前記複数個の積層コンデンサの数は3個であり、前記直列接続用配線を含む当該3個の積層コンデンサの直列接続経路は前記回路基板の一面において略S字状とされている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るコンデンサ実装構造によれば、積層コンデンサを直列接続する場合でも全体としてのESL値の増加を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は従前のコンデンサ実装構造を示す図である。
図2図2図1に示したコンデンサ実装構造に関するESL値の測定結果を示す図である。
図3図3は本発明の第1実施形態に係るコンデンサ実装構造を示す図である。
図4図4図3に示したコンデンサ実装構造に関するESL値の測定結果を示す図である。
図5図5は本発明の第2実施形態に係るコンデンサ実装構造を示す図である。
図6図6図5に示したコンデンサ実装構造に関するESL値の測定結果を示す図である。
図7図7図3に示したコンデンサ実装構造の変形例を示す図である。
図8図8(A)と図8(B)は図5に示したコンデンサ実装構造の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図3は、本発明の第1実施形態に係るコンデンサ実装構造200、具体的には、同一仕様の2個の積層コンデンサ211及び212を直列接続下で回路基板221に実装したコンデンサ実装構造200を示す。
【0014】
第1積層コンデンサ211は相対する端部それぞれに外部電極211a及び211bを有しており、コンデンサ本体(符号省略)に内蔵された複数の内部電極層211cの一部を一方の外部電極211aに接続され、且つ、残部を他方の外部電極211bに接続されている。また、第2積層コンデンサ212は相対する端部それぞれに外部電極212a及び212bを有しており、コンデンサ本体(符号省略)に内蔵された複数の内部電極層212cの一部を一方の外部電極212aに接続され、且つ、残部を他方の外部電極212bに接続されている。回路基板221の一面には直列接続用の配線222が略U字状に設けられており、この配線222は4個のパッド222a〜222dを有している。
【0015】
図3から分かるように、第1積層コンデンサ211と第2積層コンデンサ212は一方を図3の上下方向に平行移動させた位置関係となっており、第1積層コンデンサ211と第2積層コンデンサ212の間には間隔IN200が存在する。第1積層コンデンサ211は、内部電極層211cが回路基板221の一面と略直角となる向きで、一方の外部電極211aをパッド222aに接続され、且つ、他方の外部電極211bをパッド222bに接続されている。また、第2積層コンデンサ212は、内部電極層212cが回路基板221の一面と略直角となる向きで、一方の外部電極212aをパッド222cに接続され、且つ、他方の外部電極212bをパッド222dに接続されている。なお、前記接続にはハンダ等の接合材が用いられているが図示を省略してある。また、図3中の太線矢印は信号が流れる方向を示している。
【0016】
即ち、直列接続された第1積層コンデンサ211と第2積層コンデンサ212は、各々に流れる信号の方向が逆向きになるように配置されている。加えて、直列接続された第1積層コンデンサ211と第2積層コンデンサ212は、各々の内部電極層211c及び212cが向き合うように配置されている。依って、これら積層コンデンサ211及び212を含む直列接続長(第1積層コンデンサ211の外部電極211aの端面から第2積層コンデンサ212の外部電極212bの端面までの実配線長を指す)が長く伸びても、相互インダクタンスを効果的に低減して、全体としてのESL値の増加を抑制できる。
【0017】
なお、図4は、図3に示したコンデンサ実装構造200に関する前記ESL値の測定結果を示す。この図4は後記の効果検証において使用する。
【0018】
図5は、本発明の第2実施形態に係るコンデンサ実装構造300、具体的には、同一仕様の2個の積層コンデンサ311及び312を直列接続下で回路基板321に実装したコンデンサ実装構造300を示す。
【0019】
第1積層コンデンサ311は相対する端部それぞれに外部電極311a及び311bを有しており、コンデンサ本体(符号省略)に内蔵された複数の内部電極層311cの一部を一方の外部電極311aに接続され、且つ、残部を他方の外部電極311bに接続されている。また、第2積層コンデンサ312は相対する端部それぞれに外部電極312a及び312bを有しており、コンデンサ本体(符号省略)に内蔵された複数の内部電極層312cの一部を一方の外部電極312aに接続され、且つ、残部を他方の外部電極312bに接続されている。回路基板321の一面及び他面には直列接続用の配線322が回路基板24を挟んで略U字状に設けられている。この配線322は、一面側の2個のパッド322a及び322bと、他面側の2個のパッド322c及び322dと、一面側のパッド322bと他面側のパッド322cとを接続するビア導体322eを有している。
【0020】
図5から分かるように、第1積層コンデンサ311と第2積層コンデンサ312は一方を図5の上下方向に平行移動させた位置関係となっており、第1積層コンデンサ311と第2積層コンデンサ312との間には回路基板321を挟んで間隔IN300が存在する。第1積層コンデンサ311は、内部電極層311cが回路基板321の一面と略平行となる向きで、一方の外部電極311aをパッド322aに接続され、且つ、他方の外部電極311bをパッド322bに接続されている。また、第2積層コンデンサ312は、内部電極層312cが回路基板321の他面と略平行となる向きで、一方の外部電極312aをパッド322cに接続され、且つ、他方の外部電極312bをパッド322dに接続されている。なお、前記接続にはハンダ等の接合材が用いられているが図示を省略してある。また、図5中の太線矢印は信号が流れる方向を示している。
【0021】
即ち、直列接続された第1積層コンデンサ311と第2積層コンデンサ312は、各々に流れる信号の方向が逆向きになるように配置されている。加えて、直列接続された第1積層コンデンサ311と第2積層コンデンサ312は、各々の内部電極層311c及び312cが基板321を介して向き合うように配置されている。依って、これら積層コンデンサ311及び312を含む直列接続長(第1積層コンデンサ311の外部電極311aの端面から第2積層コンデンサ312の外部電極312bの端面までの実配線長を指す)が長く伸びても、相互インダクタンスを効果的に低減して、全体としてのESL値の増加を抑制できる。
【0022】
なお、図6は、図5に示したコンデンサ実装構造20に関する前記ESL値の測定結果を示す。この図6は後記の効果検証において使用する。
【0023】
以下に、図2図4及び図6を用いて、前記効果(ESL値の増加抑制)の検証結果について説明する。
【0024】
〈積層コンデンサのサイズ〉図2図4及び図6それぞれに記した「0603」は基準長さが0.6mmで基準幅が0.3mmで基準高さが0.3mmの積層コンデンサを示し、「1015」は基準長さが1.0mmで基準幅が0.5mmで基準高さが0.5mmの積層コンデンサを示し、「1608」は基準長さが1.6mmで基準幅が0.8mmで基準高さが0.8mmの積層コンデンサを示し、「2012」は基準長さが2.0mmで基準幅が1.25mmで基準高さが1.25mmの積層コンデンサを示し、「3216」は基準長さが3.2mmで基準幅が1.6mmで基準高さが1.6mmの積層コンデンサを示し、「3225」は基準長さが3.2mmで基準幅が2.5mmで基準高さが2.5mmの積層コンデンサを示し、「4532」は基準長さが4.5mmで基準幅が3.2mmで基準高さが2.5mmの積層コンデンサを示す。
【0025】
〈ESL値の測定〉測定に際しては、先に述べたサイズ毎に容量値を1μFとした同一仕様の積層コンデンサを用意する他、図1対応の銅製の配線を有するガラスエポキシ樹脂製の基板と、図3対応の銅製の配線を有するガラスエポキシ樹脂製の基板と、図3対応の銅製の配線を有する厚さが異なるガラスエポキシ樹脂製の基板を用意した。そして、これらを適宜用いて、図1対応のコンデンサ実装構造で間隔IN100が異なるものと、図3対応のコンデンサ実装構造で間隔IN200が異なるものと、図5対応のコンデンサ実装構造300に対応した実装構造で間隔IN300が異なるものをそれぞれ作製した。そして、作製した実装構造それぞれに対し、アジレントテクノロジー社製のインピーダンスアナライザE4991を用いて、前記直列接続長に対応する部分に電圧1.0V及び電流1〜100mAを供給してその時に生じたESL値を測定した。サイズ毎の測定結果は図2図4及び図6それぞれの「ESL(nH)」に記したとおりである。
【0026】
〈検証結果〉図4図6それぞれに塗りつぶしで示したように、サイズが0603と1005と1608の積層コンデンサを用いた図3対応のコンデンサ実装構造と図5対応のコンデンサ実装構造では、間隔IN200と間隔IN300それぞれが3.0mm以下であれば、図1対応のコンデンサ実装構造に比べてESL値の増加が抑制されていることが確認できた。また、サイズが2012と3216と3225の積層コンデンサを用いた図3対応のコンデンサ実装構造と図5対応のコンデンサ実装構造では、間隔IN200と間隔IN300それぞれが5.0mm以下であれば、図1対応のコンデンサ実装構造に比べてESL値の増加が抑制されていることが確認できた。さらに、サイズが4532の積層コンデンサを用いた図3対応のコンデンサ実装構造と図5対応のコンデンサ実装構造では、間隔IN200と間隔IN300それぞれが6.0mm以下であれば、図1対応のコンデンサ実装構造に比べてESL値の増加が抑制されていることが確認できた。
【0027】
ちなみに、積層コンデンサを回路基板に搭載するときに用いられている現存のマウンターの搭載精度が±0.05mm程度であることを考慮すると、図3対応のコンデンサ実装構造で間隔IN200を0.1mm以下とすることは難しい。また、回路基板への高密度実装の観点からすると、図3対応のコンデンサ実装構造で間隔IN200を3.0mm以上とすることは考え難い。依って、図3対応のコンデンサ実装構造における間隔IN200は、実用面からすると0.2〜2.0mmが好ましい範囲となる。
【0028】
一方、実際に使用されている回路基板の厚さは0.15〜1.6mm程度、配線の最小厚さは0.02mm前後であることや、ハンダ等の接合材の存在を考慮すると、図5対応のコンデンサ実装構造で間隔IN300を0.1mm以下とすることは難しく、図5対応のコンデンサ実装構造で間隔IN300を3.0mm以上とすることは考え難い。依って、図5対応のコンデンサ実装構造における間隔IN300は、実用面からすると0.2〜2.0mmが好ましい範囲となる。
【0029】
図7は、図3に示したコンデンサ実装構造200の変形例、具体的には、同一仕様の3個の積層コンデンサ211〜213を直列接続下で回路基板221に実装したコンデンサ実装構造を示す。
【0030】
第1積層コンデンサ211及び第2積層コンデンサ212と同様に、第3積層コンデンサ213は相対する端部それぞれに外部電極213a及び213bを有しており、コンデンサ本体(符号省略)に内蔵された複数の内部電極層213cの一部を一方の外部電極213aに接続され、且つ、残部を他方の外部電極213bに接続されている。回路基板221の一面には直列接続用の配線222が略S字状に設けられており、この配線222は6個のパッド222a〜222fを有している。
【0031】
図7から分かるように、第1積層コンデンサ211と第2積層コンデンサ212と第3積層コンデンサ213は何れか図7の上下方向に平行移動させた位置関係となっており、第1積層コンデンサ211と第2積層コンデンサ212の間と、第2積層コンデンサ212と第3積層コンデンサ213の間のそれぞれには、前記間隔IN200に相当する間隔が存在する。
【0032】
第1積層コンデンサ211及び第2積層コンデンサ212と同様に、第3積層コンデンサ213は、内部電極層213cが回路基板221の一面と略直角となる向きで、一方の外部電極213aをパッド222eに接続され、且つ、他方の外部電極213bをパッド222fに接続されている。なお、前記接続にはハンダ等の接合材が用いられているが図示を省略してある。また、図7中の太線矢印は信号が流れる方向を示している。
【0033】
即ち、直列接続された第1積層コンデンサ211と第2積層コンデンサ212と第3積層コンデンサ213は、隣接する第1積層コンデンサ211と第2積層コンデンサ212それぞれに流れる信号の方向が逆向きになるように配置されており、隣接する第2積層コンデンサ212と第3積層コンデンサ213それぞれに流れる信号の方向が逆向きになるように配置されている。加えて、直列接続された第1積層コンデンサ211と第2積層コンデンサ212と第3積層コンデンサ213は、隣接する第1積層コンデンサ211と第2積層コンデンサ212それぞれの内部電極層211c及び212cが向き合うように配置され、隣接する第2積層コンデンサ212と第3積層コンデンサ213それぞれの内部電極層212c及び213cが向き合うように配置されている。依って、これら積層コンデンサ211〜213を含む直列接続長(第1積層コンデンサ211の外部電極211aの端面から第3積層コンデンサ213の外部電極213bの端面までの実配線長を指す)が長く伸びても、相互インダクタンスを効果的に低減して、全体としてのESL値の増加を抑制できる。
【0034】
図8は、図5に示したコンデンサ実装構造300の変形例、具体的には、同一仕様の4個の積層コンデンサ311〜314を直列接続下で回路基板321に実装したコンデンサ実装構造を示す。
【0035】
第1積層コンデンサ311及び第2積層コンデンサ312と同様に、第3積層コンデンサ313は相対する端部それぞれに外部電極313a及び313bを有しており、コンデンサ本体(符号省略)に内蔵された複数の内部電極層313cの一部を一方の外部電極313aに接続され、且つ、残部を他方の外部電極313bに接続されている。また、第4積層コンデンサ314は相対する端部それぞれに外部電極314a及び314bを有しており、コンデンサ本体(符号省略)に内蔵された複数の内部電極層314cの一部を一方の外部電極314aに接続され、且つ、残部を他方の外部電極314bに接続されている。回路基板321の一面には直列接続用の配線322の一部が略U字状に設けられ(図8(A)を参照)、他面には直列接続用の配線322の他部が略U字状に設けられている(図8(B)を参照)。この配線322は、一面側の4個のパッド322a〜322dと、他面側の4個のパッド322f〜322iと、一面側のパッド322dと他面側のパッド322fとを接続するビア導体322eを有している。
【0036】
図8から分かるように、第1積層コンデンサ311と第2積層コンデンサ312は一方を図8(A)の上下方向に平行移動させた位置関係となっており、第3積層コンデンサ313と第4積層コンデンサ314は一方を図8(B)の上下方向に平行移動させた位置関係となっている。また、第1積層コンデンサ311と第4積層コンデンサ314は一方を回路基板321の厚さ方向に平行移動させた位置関係となっており、第2積層コンデンサ312と第3積層コンデンサ313は一方を回路基板321の厚さ方向に平行移動させた位置関係となっており、第1積層コンデンサ311と第4積層コンデンサ314との間と、第2積層コンデンサ312と第3積層コンデンサ313との間それぞれには、前記間隔IN300に相当する間隔が存在する。
【0037】
第1積層コンデンサ311は、内部電極層311cが回路基板321の一面と略平行となる向きで、一方の外部電極311aをパッド322aに接続され、且つ、他方の外部電極311bをパッド322bに接続されている。第2積層コンデンサ312は、内部電極層312cが回路基板321の一面と略平行となる向きで、一方の外部電極312aをパッド322cに接続され、且つ、他方の外部電極312bをパッド322dに接続されている。第3積層コンデンサ313は、内部電極層313cが回路基板321の他面と略平行となる向きで、一方の外部電極313aをパッド322fに接続され、且つ、他方の外部電極313bをパッド322gに接続されている。第4積層コンデンサ314は、内部電極層314cが回路基板321の他面と略平行となる向きで、一方の外部電極314aをパッド322hに接続され、且つ、他方の外部電極314bをパッド322iに接続されている。なお、前記接続にはハンダ等の接合材が用いられているが図示を省略してある。また、図8中の太線矢印は信号が流れる方向を示している。
【0038】
即ち、直列接続された第1積層コンデンサ311と第2積層コンデンサ312と第3積層コンデンサ313と第4積層コンデンサ314は、隣接する第1積層コンデンサ311と第2積層コンデンサ312それぞれに流れる信号の方向が逆向きになるように配置されており、隣接する第2積層コンデンサ312と第3積層コンデンサ313それぞれに流れる信号の方向が逆向きになるように配置されており、隣接する第3積層コンデンサ313と第4積層コンデンサ314それぞれに流れる信号の方向が逆向きになるように配置されている。加えて、直列接続された第1積層コンデンサ311と第2積層コンデンサ312と第3積層コンデンサ313と第4積層コンデンサ314のうち、隣接する第2積層コンデンサ312と第3積層コンデンサ313それぞれの内部電極層312c及び313cが基板321を介して向き合うように配置され、第1積層コンデンサ311と第4積層コンデンサ314も各々の内部電極層311c及び314cが基板321を介して向き合うように配置されている。依って、これら積層コンデンサ311〜314を含む直列接続長(第1積層コンデンサ311の外部電極311aの端面から第4積層コンデンサ314の外部電極314bの端面までの実配線長を指す)が長く伸びても、相互インダクタンスを効果的に低減して、全体としてのESL値の増加を抑制できる。
【0039】
以上、実施形態として、同一仕様の2個〜4個の積層コンデンサを直列接続下で回路基板に実装したコンデンサ実装構造を例示したが、仕様が異なる複数個の積層コンデンサを直列接続下で回路基板に実装したコンデンサ実装構造であっても、前記同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0040】
200…コンデンサ実装構造、211…第1積層コンデンサ、211a,211b…外部電極、211c…内部電極層、212…第2積層コンデンサ、212a,212b…外部電極、212c…内部電極層、213…第3積層コンデンサ、213a,213b…外部電極、213c…内部電極層、221…回路基板、222…配線、222a〜222e…パッド、300…コンデンサ実装構造、311…第1積層コンデンサ、311a,311b…外部電極、311c…内部電極層、312…第2積層コンデンサ、312a,312b…外部電極、312c…内部電極層、313…第3積層コンデンサ、313a,313b…外部電極、313c…内部電極層、314…第4積層コンデンサ、314a,314b…外部電極、314c…内部電極層、321…回路基板、322…配線、322a〜322d,322f〜322i…パッド、322e…ビア導体。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8