(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
細長形状の金属板をU字形状に湾曲した折り返し部が長手方向になるように先端側が開いたアームを収納する三角形状のクリップ収納領域を形成し、該長手方向に沿って延び、該長手方向に対して傾斜する矢尻形状の傾斜部を形成した一対の突出部を有するクリップケースと、
該クリップケースから突出する一対の突出部を長手方向に沿って案内して挿入させ、該一対の突出部の間に円筒状の円筒リングを収納する収納領域が開口され、該一対の突出部の傾斜部と当接することにより先端を閉じる逆矢印形状の傾斜部を有するカムユニット及び前記円筒リングに操作ワイヤの先端に取り付けた筒状のジョイントを挿入するためのシース挿入孔を有するリングケースとを備え、前記アーム及び折り返し部を覆う円筒リングを含むクリップユニットを収納し、前記ジョイントをアームに取り付けるクリップユニット用カートリッジであって、
前記リングケースに仮固定した前記円筒リングとクリップケースに収納した前記折り返し部の長手方向の中心線を一致させ、前記円筒リング内のジョイントをリングケースの端面からクリップケース側に突出させた状態とし、
前記クリップケース及びリングケースを第1の所定位置まで接近させたとき、クリップケースの一対の突出部の傾斜部がカムユニットの逆矢印形状傾斜部と当接してカムユニットの先端を閉じ、この閉じたカムユニットの先端が前記リングケースの端面からクリップユニット側に突出させた状態のジョイントに接続された操作ワイヤを挟み込んでジョイントの後端をカムの端面に突き当て固定し、該固定したジョイントの内筒内に前記折り返し部を挿入係合し、
前記クリップケース及びリングケースとを更に第2の所定位置まで接近させたとき、前記クリップケースの突出部の矢尻形状の傾斜部がカムユニットの傾斜部を乗り越えてカムユニットの先端を開く、
ことを特徴とするクリップユニット用カートリッジ。
前記リングケースのシース挿入孔に、前記クリップユニットをリングケースから引き出す際にアームを引っ掛けるための抜け防止凹部を幅広に開口していることを特徴とする請求項2から5何れかに記載のクリップユニット用カートリッジ。
細長形状の金属板をU字形状に湾曲した折り返し部が長手方向になるように先端側が開いたアームを収納する三角形状のクリップ収納領域を形成し、該長手方向に沿って延び、該長手方向に対して傾斜する矢尻形状の傾斜部を形成した一対の突出部を有し、前記アーム及び折り返し部を覆う円筒リングとを含むクリップユニットを収納するクリップケースと、
該クリップケースから突出する一対の突出部を長手方向に沿って案内して挿入させ、該一対の突出部の間に前記円筒リングを収納する収納領域が開口され、該一対の突出部の傾斜部と当接することにより先端を閉じる逆矢印形状の傾斜部を有するカムユニット及び前記円筒リングに操作ワイヤの先端に取り付けた筒状のジョイントを挿入するためのシース挿入孔を有するリングケースとを備えるクリップユニット用カートリッジを用いて前記ジョイントをアームに取り付けるクリップユニット係合方法であって、
前記リングケースに仮固定した前記円筒リングとクリップケースに収納した前記折り返し部の長手方向の中心線を一致させ、前記円筒リング内のジョイントをリングケースの端面からクリップケース側に突出させた状態とする第1工程と、
前記クリップケース及びリングケースを第1の所定位置まで接近させたとき、クリップケースの一対の突出部の傾斜部がカムユニットの逆矢印形状傾斜部と当接してカムユニットの先端を閉じ、この閉じたカムユニットの先端が前記リングケースの端面からクリップユニット側に突出させた状態のジョイントに接続された操作ワイヤを挟み込んでジョイントの後端をカムの端面に突き当て固定し、該固定したジョイントの内筒内に前記折り返し部を挿入係合し、
前記クリップケース及びリングケースとを更に第2の所定位置まで接近させたとき、前記クリップケースの突出部の矢尻形状の傾斜部がカムユニットの傾斜部を乗り越えてカムユニットの先端を開く、
ことを特徴とするクリップユニット係合方法。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施例に適用するクリップユニットを含む結紮装置を説明するための図。
【
図2】本実施形態に適用する板バネ構造アームのクリップユニットを説明するための図。
【
図3】本実施形態に適用する板バネ構造アームを開いた状態及び断面を示す図。
【
図4】本実施形態に適用する板バネ構造アームのクリップユニットの斜視図。
【
図5】本実施形態に適用するクリップユニットのアーム開状態を示す図。
【
図6】本実施形態に適用するクリップユニットの開いた状態の斜視図。
【
図7】本実施形態に適用するクリップユニットのジョイント取り外し状態を示す図。
【
図8】本実施形態に適用するクリップユニットとジョイントの結合構造を説明するための図。
【
図9A】本実施形態によるクリップユニットとジョイントの結合段階を説明するための図。
【
図9B】本実施形態によるクリップユニットとジョイントの結合段階を説明するための図。
【
図9C】本実施形態によるクリップユニットとジョイントの結合段階を説明するための図。
【
図9D】本実施形態によるクリップユニットとジョイントの結合段階を説明するための図。
【
図9E】本実施形態によるクリップユニットとジョイントの結合段階を説明するための図。
【
図9F】本実施形態によるクリップユニットとジョイントの結合段階を説明するための図。
【
図10】本発明の実施例によるカートリッジの全体構造を示す図。
【
図11】本実施例によるカートリッジのシース未装着状態を示す図。
【
図12】本実施例によるカートリッジのシース挿入の初期状態を示す図。
【
図13】本実施例によるカートリッジのシース先端からジョイント突出状態を示す図。
【
図14A】本実施例によるカートリッジのジョイント固定状態を示す図。
【
図15】本実施例によるカートリッジのリングにクリップユニット挿入状態を示す図。
【
図16】本実施例によるカートリッジのシース引き込み状態を示す図。
【
図17】本実施例によるカートリッジのシース引き出し後の状態を示す図。
【
図18】本実施例によるジョイントとアームとの係合原理を説明するための図。
【
図19】本実施形態によるリングとアームの係合機構を説明するための図。
【
図20】本実施形態によるジョイントとアームの係合状態を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明による結紮装置に用いられるクリップユニット用カートリッジ及びクリップユニット係合方法の実施例を説明するが、まず、本実施例に適用するクリップユニット構造及び結紮装置について説明する。
【0011】
[結紮装置構造]
本実施例に適用される結紮装置用のクリップユニットは、内視鏡の処置具案内管内に通され、消化器官内の任意の患部を挟み込んで止血等を行う結紮装置の先端に取り付けられる。この内視鏡に挿入される結紮装置は、
図1に示す如く、医師等がクリップユニット100の開閉を操作するための操作部300と、該操作部300と結合部210を介して連結され、可撓性をもつ筒状のシース200と、操作部300のスライダ320から延びてシース200内を貫通する操作ワイヤ340と連結され、該操作部300の医師による操作によって、先端のアームが開閉するクリップユニット100とから構成される。
【0012】
この操作部300は、医師の手に把持される円筒状の軸状部310と、該軸状部310の外周に嵌め込まれて軸方向にスライドするスライダ320と、前記軸状部310の後端に取り付けられる指掛リング330とから構成され、軸状部310に対してスライダ320を長手方向に移動させることにより操作ワイヤ340を牽引又は押し出し操作することによって、先端のアームを開閉操作する。例えば、医師が、シース200を消化器官内の患部にクリップユニット100を位置させた状態で先端部のアームを開閉して患部を挟み込み、この患部を挟み込んだ状態でクリップユニット100を操作ワイヤから取り外すことによって患部の止血等を行うように構成されている。
【0013】
[クリップユニット100の構造]
本実施例によるクリップユニット100は、シースに取り付けられた状態から少し突出した状態を示す
図2(a)及びクリップを拡開した状態を示す
図3及びシースから離脱した状態を示す
図4に示す如く、シース200先端のシースキャップ210に嵌めあわされた円筒状のリング101と、該リング101から端部が突出し、外力が加わっていない状態の時に一対のアーム腕が前方(先端方向)に向かって拡開した形状にバネ性を有する材料によりU字形に折り返し形成され、操作ワイヤの先端と連結し且つ折り畳み込まれた根元部分がジョイント128(
図8他)と係合するアーム120とを備える。このアーム120は、長尺状の長板部材を中央で折り返して形成され、外力が加わっていない状態のとき2本のアーム腕の先端側が開くバネ性を有する板バネ材により構成される。
なお、本実施例によるクリップユニット100は、アーム120のU字形に折り返し形成された折り返し部に収納する後述のボビン106を含むものであっても良い。
【0014】
なお、本出願においてはU字形に折り返し形成されたアーム120を用いる例を説明するが、U字形状に限定されるものではなく、特許文献1に例示された如く、先端に向かって開くように付勢された2本のアーム腕を有するものであれば良く、例えば、折り返し部から交差した一対のアーム腕を有するものや、その他構造であっても良い。また、リング101は、先端側に後述する凹部101zが外周面に沿って刻設されている。
【0015】
本実施例に適用するシースキャップ210は、円筒長手方向に延び、略中央部分に鉤状溝部が設けられた溝211が開口され、この溝211は、ジョイント128とクリップユニット100との結合を解除する際に所定範囲内で円周方向に開くように構成されている。
【0016】
前記鉤状溝部を有する溝211は、
図2(b)に示す如く、シース200側から直線上に延びた直線部211aと、リング101側に幅広に開口された幅広部211bと、該直線部211a及び幅広部211bとの間に鉤状に開口された鉤状部211cとが、シースキャップ210の長手方向の隙間Lの溝(空間)を形成するように開口されている。この溝211によって、本実施例によるシースキャップ210は、長手方向に平行に延びる2つの折部210aを向かい合い且つ逆方向に突出するように形成し、この折部210a間の隙間Lにおいてシースキャップ210を円周方向に縮径を可変に構成している。
【0017】
本実施例によるクリップユニット100は、係合状態を示す
図6及び係合解除状態を示す
図7に示すように、シース200及びシースキャップ210を貫通する操作ワイヤの先端に連結部107を介して連結する円筒形状のジョイント128と、該ジョイント128の円筒内部に根元部分(アーム折り返し部122)が挿入されて係合するアーム120とを備え、ジョイント128とアーム120とが容易に着脱可能に構成されている。
【0018】
このクリップユニット100は、操作ワイヤの操作によりジョイント128を押圧し、アーム120をリング101の円筒から押し出すことによって、アーム120の2本のアーム腕の先端が自己の弾性復元力により開き、
図5に示す如く、且つアーム120を折り返すアーム折り返し部122の湾曲内に糸巻形状のボビン106を収納するように構成している。
本実施例においては、アーム120とボビン106によりクリップを構成(アーム120+ボビン106=クリップ)し、該クリップとリング101とによりクリップユニット100を構成[クリップ(アーム120+ボビン106)+リング101=クリップユニット]するものであるが、ボビン106は必ずしも必須のものではない。
【0019】
このボビン106は、後述するシース200から延びる連結部107の先端に設けた円筒状のジョイント128との着脱の際にアーム折り返し部122が変形することを防止するためにアーム折り返し部122の湾曲内周面に溶接又はカシメ等の手段によって取り付けられている。このボビン106は、アーム折り返し部122の変形を防止するためであり、糸巻状のボビン形状に限られるものではなく、例えば円柱状・多角形柱形状等の外力抗部材であっても良い。
【0020】
このアーム120は、
図4及び
図5に示す如く、リング101がアーム120の根元部を覆うことによってアーム120の先端を閉じ、リング101が外された状態においては
図5の如くアーム120の先端が開くように構成されている。また、本実施例によるアーム120は、2本のアーム腕(符号なし)と該2本のアーム腕の根元部分に相当するアーム折り返し部122とから構成される。
【0021】
また、アーム120の2本アーム腕は、例えば
図2(a)に示すようにアーム折り返し部122から先端方向に向って開口された2本のスリット120aと、一対の突起125が設けられている。この2本のスリット120aは、後述するアーム折り返し部122を円筒状のジョイント128に着脱する際にアーム幅が縮小して着脱を容易にするために設けられる。なお、本実施例においては2本のスリット120aがアームの長手方向に細長く開口する例を説明するが、この細長い2本のスリットに限られるものではなく、例えば、幅広の1本のスリットや多数の円形孔その他形状のスリットを開口しても良い。
【0022】
前記アーム120に設けた一対の突起125は、
図19に示す如く、リング101の内径の溝101cと嵌合して両者を係合するために設けられ、アーム後端方向から徐々に幅外方向に傾斜する傾斜面125bと、傾斜面125bの終点である頂点125aと、該頂点125aから徐々に幅内方向に傾斜する傾斜面125cとから構成される。また、本実施例によるアーム120は、この突起125のからアーム長手方向に延びて幅外方向に幅広になる当接面120dを構成している。
【0023】
前記クリップユニット100は、
図8(a)に示す如く、前記ジョイント128の円筒内壁に円周方向に沿い且つ中心に向かって突出する突出部128aを設けると共に、アーム120の円弧状に曲折したアーム折り返し部122に対して段差となる引っ掛かり部129を設け、両者をはめ合わせた際に、
図8(b)に示す如く、ジョイント128の突出部128aがアーム折り返し部122の引っ掛かり部129に係合することによって軽程度且つ着脱自在に合体される。
【0024】
本実施例によるクリップユニット100は、アーム120のアーム折り返し部122の引っ掛かり部129をジョイント128の円筒内壁の4箇所に突出部128aに係合(引っ掛ける)して両者を着脱自在とするものであり、この着脱構造を次に説明する。
【0025】
この着脱構造は、
図18(b)に示す如く、円筒状のジョンイト128の内壁の半径をr2、突出部128a部分の半径をr1、アーム折り返し部122の外径半径をaとしたとき、アーム折り返し部122と突出部128aの四分割断面を示す
図18(a)のように、4分割面においてはジョイント128の円筒断面と引っ掛かり部129との当接箇所は、符号Cにて示す黒塗りした概略三角形の当接箇所のみである。
【0026】
このアーム折り返し部122(アーム120)及びジョイント128は、弾性を有するステンレス又はコバルト又はニッケル等の医療機器に使用される金属材料であり、アーム折り返し部122(アーム120)の硬度に対してジョイント128の硬度が1.5倍〜5倍の範囲に設定されている。この硬度比は、ジョイント128が1回の施術で10回程度使用されるのに対してアーム折り返し部122(アーム120)は原則的には体内に残される為に1度の使用であることを考慮し、ジョイント128側の変形を防止し且つアーム折り返し部122(アーム120)側を変形させるため、アーム折り返し部122に対してジョイント128を高硬度に設定している。
【0027】
このアーム折り返し部122とジョイント128との着脱構造は、
図18(a)に示す5角形面積Aに対して黒三角形で示す当接箇所の面積Cを約0.3%〜1.5%の面積比に設定している。この面積比は、硬度や径厚を変化させて実験を試行錯誤した結果、ジョイント128にアーム120のアーム折り返し部122を取り付けたときの必要な強度が得られ、且つ後述の動作によって取り外し可能な強度が得られることを発見したことに基づいて設定したものである。
【0028】
すなわち、本着脱構造は、引っ掛かり部129の4点の当接部が、ジョイント128の内壁の突出部128aに引っ掛かって結合し、アーム折り返し部122とジョイント128の引掛り面積Cをアーム折り返し部122の投影面積に対して0.3%〜1.5%に設定することにより、突出部128aを変形させてジョイント128にダメージを与えることなく分離することができる。また、クリップの長手方向にスリット120aを設けたことにより、バネ性が付加され安定した結合力が得られ、クリップとジョイントの硬度差を1.5倍から5倍に設定することで、クリップ側にダメージを与え、適切な操作力で分離することができる。また、アーム折り返し部122の湾曲部分(U字部分)にボビン106を内装したことにより、アーム折り返し部122の変形を防止して安定性を高めることができる。
【0029】
[着脱状態の説明]
このように構成された結紮装置は、
図9Aに示す如く、クリップユニット100のアーム120のアーム折り返し部122を操作ワイヤ340と連結されたジョイント128の内筒に挿入することによって
図9Bに示す如く両者を結合し、この結合した状態から操作ワイヤ340を基端側に引き寄せることによって
図9Cに示す如くアーム120のアーム折り返し部122を結合されたシースキャツプ210及びリング101の内筒内に引き込んだ状態で医師等が内視鏡を用いて患部にアーム120の先端を位置させ、
図9Dの如くアーム120を押し出してアーム先端を開き、次いでアームを引き込むことによって
図9Eに示す如くアーム120の先端部が患部90を挟み、更に操作ワイヤ340を基端側に引き寄せることによって
図9Fに示す如くクリップユニット100が患部90を挟持した状態で体内に残すように操作される。この結紮装置の詳細動作は、先に出願済みの特願2016−78714号の明細書を参照されたい。
【0030】
このように本実施例に適用するクリップユニット100は、シースキャップ210及びリング101を貫通する操作ワイヤ340の先端に設けた円筒状のジョイント128に、開閉するアーム120の湾曲したアーム折り返し部122を段差により着脱自在に構成したものであり、次に、このクリップユニット100を操作ワイヤ340先端のジョイント128に容易に装着することができるカートリッジの本発明の特徴である実施例を説明する。
【0031】
[クリップユニット用カートリッジの説明]
本実施例によるカートリッジ900は、
図10に示す如く、嵌め合わせにより一体化した上クリップケース90a及び下クリップケース91aが開いた状態のアーム120を挟み込んで保持するクリップケースを構成し、嵌め合わせにより一体化した上リングケース90b及び下リングケース91bが前記クリップケースに嵌め合わされるリングケースを構成する。また、前記上クリップケース90a及び上リングケース90bが上部ケース90を形成し、下クリップケース91a及び下リングケース91bが下部ケース91を形成する。
【0032】
本実施例によるクリップケース(上クリップケース90a及び下クリップケース91a)は、
図10に示す如く、アーム折り返し部122が図中の左右長手方向になるように先端が開いたアーム120を収納する概略三角形状のクリップ収納領域を形成し、該長手方向に沿って延び、該長手方向に対して傾斜する矢尻(直角三角形)形状の傾斜部90sを形成した一対の突出部90aa及び突出部90abと、後述のリングケースと当接した際にリング101を押し出す押し子92とを備える。また、下クリップケース91aのアーム収納領域にはアーム120を収納した際又はアーム120を収納した際にアーム120の図中左方向への移動を阻止するための三角形状のストッパ99が設けられている。このストッパ99の形状は図示の例に限られるものではなく、前記した移動阻止の強度が保たれる範囲内且つアーム120の適切な閉じ動作の障害とならない形状、例えば、細長形状その他形状であっても良い。
【0033】
また、本実施例によるリングケース(上リングケース90b及び下リングケース91b)は、前記クリップケースから突出する突出部90aa及び突出部90abを長手方向に沿って案内して挿入させ、該突出部90aa及び突出部90abの間にリング101を収納し、該突出部90aa及び突出部90abの傾斜部90sと当接することにより先端を閉じるように前記突出部90aa及び突出部90abと逆矢尻形状に形成した傾斜部93sを有するカムユニット93と、前記リング101に操作ワイヤ340の先端に取り付けた筒状のジョイント128を挿入するためのシース挿入孔96と、リング101を配置する位置に該リング101を仮固定するための図示しない溝とを備える。また、下リングケース9bのシース挿入口96の長手方向中間部には、アーム120をジョイント128に取り付けたクリップユニット100を図中右手方向に移動させる際にアーム120先端に設けた矩形の歯状部105の角部をやや引っ掛けるための抜け防止凹部95を幅広に開口されている。
【0034】
すなわち、本実施例によるカートリッジ900は、
図14Dに示す如く、クリップケース突出部の傾斜部90sと、リングケースの内部に設けたカムユニット93の逆矢尻形状に形成した傾斜部93sとを当接させることによって、クリップケースとリングケースとの接近距離に応じてカムユニット93を開閉自在に構成している。なお、本明細書においては前記突出部90aaと突出部90abと突出部91aaと突出部91abとをまとめて突出部と呼ぶ。
【0035】
このカートリッジ900の外径寸法は、例えば、
図10に示した横方向の寸法が約60mm、縦寸法が約33mm、厚さが約8mmであるが、この寸法に限られるものではなく、人の掌(手のひら)に収まる寸法であれば良く、外形状も人の片手における人差指及び薬指でリングケースを支持し、このクリップケースを親指の押圧によりリングケースに接近させることができる形状であれば良い。
【0036】
このカートリッジ900は、クリップケースに収納したアーム120とリングケースに収納したリング101とを同軸になるように配置し、これらクリップケース及びリングケースの間隔を開けた状態でシース挿入孔96からシースキャップ210を先端に取り付けたシース200を挿入し、両者が接触するように押しつけることによって、シース200のジョイント128にアーム120を取り付けることができ、次にこの取り付け動作を、上部ケース90を省略し、主に下部ケース91のみを図示して説明する。また、該リングケースに収納した円筒状のリング101とクリップユニットに収納したアーム120の折り返し部122の中心線とは一致させられている。
【0037】
(1)まず、初期状態のカートリッジ900は、
図11に示す如く、クリップケース(上クリップケース90a及び下クリップケース91a)にアーム120を収納し、リングケース(上リングケース90b及び下リングケース91b)にリング101を収納し、これらクリップケースとリングケースとの間を所定寸法(約5mm)開けた状態とする。この状態のリング101は、
図20(a)に示す如く、外周に巡回して設けた凹部101zにリングケースのシース挿入孔96から延びる円筒状案内部に設けた凸部90zが嵌め合わされることによって仮固定される。
【0038】
(2)次いで、
図12及び
図20(b)に示す如く、リングケース(上リングケース90b及び下リングケース91b)のシース挿入孔96から先端にシースキャップ210を取り付けたシース200を挿入し、シースキャップ210をリング101に当接して両者を結合させる。
【0039】
(3)次いで、
図13に示す如く、操作ワイヤ340を押してリング101の先端からジョイント128をリングケースの端面からクリップユニット側に突出させ、次いで、クリップケースとリングケースを接近させる。この接近は、例えば掌(手のひら)にカートリッジ900を載せてリングケース(上リングケース90b及び下リングケース91b)の肩部に人差し指と薬指を掛け、クリップケース(上クリップケース90a及び下クリップケース91a)を底掌(掌底)に引き寄せるように人差し指と薬指を把持することによって行われる。
【0040】
(4)次いで、本実施例によるカートリッジ900は、さらにクリップケースとリングケースを第1の所定位置まで接近させることによって、
図14A及び
図14Dに示す如く、下クリップケース91aから突出する突出部90aa及び90abの傾斜部93s(
図14D)がカムユニット93の傾斜部93s(
図14D)に乗り上げることによって、カムユニット93の先端が閉じ始め、この閉じたカムユニット93の先端側がジョイント12に接続された操作ワイヤ240を挟み込むと共にジョイント128の後端(操作部側面)を閉じた2つのカム先端の端面に突き当て、この閉じた状態の2つのカム先端の端面がジョイント12の後端側を押すことにより、ジョイント12が突出してストッパ99により移動が阻止されたアーム折り返し部122の内筒内に挿入係合するように動作する。
【0041】
(5)この状態から、さらにクリップケース及びリングケースとを更に第2の所定位置まで接近させたとき、本カートリッジ900は、
図15に示す如く、クリップケースの突出部の矢尻形状の傾斜部がカムユニットの傾斜部を乗り越えてカムユニットの先端が開いてクリップケース及びリングケースが当接するように動作する。すなわち、本カートリッジ900は、前記
図14Dに示した突出部90aa及び90abの矢尻形状(直角三角形形状)の傾斜部93sがカムユニット93の傾斜部93sを乗り越えてカムユニット93の先端が開き、ジョイント128後端がカム先端から開放され、且つジョイント128の内筒に挿入係合された状態とする。
【0042】
前記傾斜部93sが傾斜部93sを乗り越えるとき、本実施例によるカートリッジ900は、カムユニット92の先端が閉じようとする際に発生する弾性反発力が瞬間的に解除されるため、振動及び開放音が発生すると共に、ジョイント128の両端をリングケース左端面とクリップユニット100先端面との間に挟まれた状態で、操作ワイヤ340の先端に設けたジョイント128が固定されクリップユニット100のアーム折り返し部122がジョイント12の内筒内に挿入係合される。
【0043】
このように本実施例によるアーム折り返し部122のジョイント128の内筒内への挿入係合は、
図20(c)に示す如く、ジョイント128の後端側面が図面右側(操作部側)への移動を阻止された状態(固定した状態)でクリップケース内のアーム折り返し部122が矢印方向から突き当てられ、左側への移動を阻止されたアーム折り返し部122が押し込まれることによって、行われる、
【0044】
なお、このジョイント128をカム先端の端部により固定した状態でクリップケースを押し当ててアーム折り返し部122をジョイント128の内筒に挿入固定する理由は、固定された状態のアーム折り返し部122に操作ワイヤ340の先端に設けられたジョイント128を突き当てて両者を挿入係合させようとした場合、ジョイント128を押す操作部からの力が操作ワイヤ340により伝達され、湾曲可能に剛性が低く製造された操作ワイヤ340では前述の挿入固定を行えるだけの押圧力を伝えられないためである。すなわち、剛性が低い操作ワイヤ340を用いてジョイント128を押し出す構造とした場合、操作ワイヤ340が剛性の低さにより変形して操作部からの力をジョイント128に伝えられないため、本実施例においては、ジョイント128側をカム先端の端面により固定し、この固定した状態のジョイント128に操作者の操作力によりクリップユニット100のアーム折り返し部122を押し込んで両者を挿入係合する構造を採用している。
【0045】
(6)次に、本実施例によるカートリッジ900は、更にシース200を引き抜くことによって、
図17に示す如く、シース200の先端に取り付けられたシースキャップ210及びリング101内にアームを閉じたクリップユニット100を形成することができる。
【0046】
このように本実施例は、U字形状に湾曲した折り返し部が長手方向になるように先端側が開いたアーム120を収納し、アーム120の長手方向に沿って延びて該長手方向に対して傾斜する矢尻形状の傾斜部を形成した一対の突出部を有するクリップケースと、該クリップケースから突出する一対の突出部を長手方向に沿って案内して挿入させ、該一対の突出部の間にリング101を収納する収納領域が開口され、該一対の突出部の傾斜部と当接することにより先端を閉じる逆矢印形状の傾斜部を有するカムユニット93及び前記リング101に操作ワイヤ340の先端に取り付けた筒状のジョイント128を挿入するためのシース挿入孔96を有するリングケースとからクリップユニット用カートリッジ900を構成し、該リングケースに仮固定した円筒状のリング101とクリップユニットに収納したアーム120のU字形状折り返し部122の長手方向の中心線を一致させ、リング101内のジョイント128をリングケースの端面からクリップユニット側に突出させた状態において、前記クリップケース及びリングケースを第1の所定位置まで接近させたとき、クリップケースの一対の突出部の傾斜部がカムユニット93の逆矢印形状傾斜部と当接してカムユニット93の先端を閉じ、この閉じたカムユニット93の先端が前記リングケースの端面からクリップユニット側に突出させた状態のジョイントに接続された操作ワイヤを挟み込んでジョイント128の後端をカム先端の端面に突き当て固定した状態で、クリップユニット100のアーム折り返し部122がジョイント128の内筒内に挿入係合した後、前記クリップケース及びリングケースとを更に第2の所定位置まで接近させたとき、前記クリップケースの突出部の矢尻形状の傾斜部がカムユニットの傾斜部を乗り越えてカムユニット93の先端が開くことによって、結紮装置用クリップユニットを結紮装置の操作ワイヤに容易に取り付けることができる。
【0047】
また、本実施例によるカートリッジ900は、従来のカートリッジが操作ワイヤに加える操作力によってクリップユニットを操作ワイヤに取り付けるために剛性の高い(太い)操作ワイヤが必要であったのに対し、クリップケースとリングケースを人手による押しつけ力によりクリップユニットを操作ワイヤに取り付けるため、剛性の低い、細い操作ワイヤを使用することができる。
【0048】
なお、本実施例においては、クリップユニットの後端部をU字形の折り返し部を円筒状のジョイントの内筒内に挿入係合する構造を前提とし、該ジョイントの後端部を開閉するカムユニット機構により固定した状態で折り返し部をジョイントに挿入係合する機構例を説明したが、本発明によるクリップユニット用カートリッジ及びクリップユニット係合方法は、実施例に示した構造に限られるものではなく、操作ワイヤ先端に設けた基端側連結部材とクリップユニットのクリップ根元側連結部材を着脱自在に連結する内視鏡用の処置具を操作ワイヤの先端に着脱自在とする構造において、基端側連結部材を固定した状態で人手によりクリップ根元側連結部材を基端側連結部材に連結させるものにも適用することができる。
【0049】
例えば本実施例によるU字形の折り返し部とジョイントとの連結機構を他の連結構造に変更することや、本実施例によるクリップケース側突出部とカムユニット側傾斜部の傾斜方向を逆方向に形成することや、クリップケース側及びリングケース側の傾斜部を用いた機構ではなく、他の機構により基端側連結部材(ジョイント)をリングケースに固定し、この固定された基端側連結部材(ジョイント)にクリップ根元側連結部材を人手により押圧して連結させる機構にも適用することができる。
【0050】
この改良例は、例えば、先端が開閉する一対のアーム腕を有し、該一対のアーム腕の根元部を含むクリップ根元側連結部材が長手方向になるように先端側が開いたアームをアーム先端方向への移動を阻止した状態で収納する三角形状のクリップ収納領域を有するクリップケースと、基端側から延びる操作ワイヤの先端に設けられ、円筒状のリングを貫通して前記クリップ根元側連結部材と連結する基端側連結部材を挿入するためのシース挿入孔と、前記リングを仮固定する構造を有するリングケースとを備え、前記基端側連結部材とクリップ根元側連結部材とを連結するクリップユニット用カートリッジであって、前記リングケースに仮固定したリングとクリップケースに収納したアームのクリップ根元側連結部材の長手方向の中心線を一致させ、前記アーム先端方向への移動を阻止した状態のアームを収納したクリップケースと、前記リングから突出した基端側連結部材を基端側への移動を阻止した状態のリングケースとを接近させることによって、前記クリップ根元側連結部材と基端側連結部材とを連結するように構成されている、と表すことができる。