特許第6784554号(P6784554)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6784554
(24)【登録日】2020年10月27日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】車両のサスペンション機構
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/38 20060101AFI20201102BHJP
   F16J 3/04 20060101ALI20201102BHJP
   F16J 15/52 20060101ALI20201102BHJP
   B29C 49/04 20060101ALI20201102BHJP
【FI】
   F16F9/38
   F16J3/04 B
   F16J15/52 Z
   B29C49/04
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-185173(P2016-185173)
(22)【出願日】2016年9月23日
(65)【公開番号】特開2018-48707(P2018-48707A)
(43)【公開日】2018年3月29日
【審査請求日】2019年7月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】392022606
【氏名又は名称】株式会社千代田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100107906
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 克彦
(72)【発明者】
【氏名】荻野 晴彦
【審査官】 鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−220024(JP,A)
【文献】 実開平05−061569(JP,U)
【文献】 特開2016−084890(JP,A)
【文献】 特開平11−264433(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00888910(EP,A1)
【文献】 特開2013−155776(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 9/00− 9/58,
1/00− 6/00,
15/00− 15/36
F16J 3/04, 15/52
B29C 49/00− 49/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストンロッドと、
ピストンロッドに外挿装着されたバウンドストッパーと、
蛇腹筒部と、蛇腹筒部の軸方向一端側に設けられピストンロッドを挿通してガイドするガイド筒部と、を備え、ピストンロッド,シリンダー及びバウンドストッパーを覆うダストカバーと、を備える車両のサスペンション機構において、
前記ダストカバーは、前記ガイド筒部の上端面に形成され軸方向外側に突出してなる凸部と、凸部に隣接し、前記ガイド筒部の上端面に形成され軸方向内側に窪んだ凹部と、を備え、
凹部の裏面は平坦であり、前記ダストカバーを二分割する位置に形成されるブロー成形のパーティングラインが凸部を通り、凸部の裏面に部分的に厚くなった余肉部が形成され、前記バウンドストッパーの当接面が余肉部の形成されていない凹部の裏面となるように、凹部の裏面を余肉部よりもガイド筒部の軸方向内側に位置させることを特徴とする車両のサスペンション機構。
【請求項2】
前記ガイド筒部は上端面にピストンロッドを挿通するための挿通穴を有し、前記凸部は、前記挿通穴から上端面の周端に向けて延びていることを特徴とする請求項1に記載の車両のサスペンション機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピストンロッド,シリンダー及びバウンドストッパーを覆うダストカバーを備えた車両のサスペンション機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両のサスペンション機構を構成するショックアブソーバーにおいて、ピストンロッドの摺動部等へのダスト侵入を防止するために、ピストンロッド、シリンダー等を覆うダストカバーが採用されている。
【0003】
図6は、従来のダストカバー50を示す図である。ダストカバー50は、山部と谷部を連設してなる蛇腹筒部51と、蛇腹筒部51の軸方向一端側に設けられピストンロッド52を挿通してガイドするガイド筒部53と、を備えて構成される。この場合、ガイド筒部53は上端面中央部に挿通穴53aを有し、この挿通穴53aにピストンロッド52が挿通されるようになっている。
【0004】
また、バウンドストッパー54はゴム弾性体等からなる緩衝材であって、ピストンロッド52に外挿装着されている。この場合、バウンドストッパー54の上端部は、ガイド筒部53の上端面53bの裏面に当接している。そして、ダストカバー50は、ピストンロッド52,シリンダー55及びバウンドストッパー54を覆うようにして外挿装着されている。
【0005】
次に、ダストカバー50のブロー成形による製造方法を図7に基づいて説明する。先ず、図7(a)に示すように、一対の半割金型56,56を水平方向両側に型開きすると共に、ダイ57を通じて樹脂材からなる円筒形状のパリソン58を一対の半割金型56,56の型合わせ面間に垂下させる。
【0006】
次に、図7(b)に示すように、一対の半割金型56,56の型締め状態下で、不図示のブロー管から、パリソン58内に圧縮空気を注入することにより、パリソン58を半割金型56,56のキャビティ形成面59に密着させ、キャビティ形成面59の形状を転写させて、ダストカバー50に対応した形状のブロー成形体を形成する。その後、半割金型56,56を型開きし、ブロー成形体を取り出す。
【0007】
半割金型56,56を型締めする際、パリソン58は半割金型56,56の間に形成されたキャビティ60内ではフリーであるが、半割金型56,56の分割面であるパーティング面61,61の間に挟まれ、押し潰されることになる。このため、ブロー成形されたダストカバー50には、パーティング面61,61に対応していわゆるパーティングライン62が現れることになる。
【0008】
図8は、ブロー成形により形成されたダストカバー50を示す図である。図8(a)は平面図、図8(b)は図8(a)のA−A線における断面図(ダストカバー50の上端部)である。図示のように、ダストカバー50を二分割する位置にパーティングライン62が現れるが、ガイド筒部53の上端面53bにおけるパーティングライン62に沿って、上端面53bの裏面に部分的に厚くなった余肉部63が突起となって形成される。
【0009】
これはガイド筒部53bの上端面53bは半割金型56,56のパーティング面61,61の近くに位置するため、押し潰されて流動するパリソン8がパーティングライン62の周辺に溜まるためである。したがって、バウンドストッパー54の上端部は、この余肉部63に当接して位置決めされることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002−130359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、ダストカバー50におけるバウンドストッパー54の当接面は、端面53bの裏面に突起して形成された余肉部63になっており、余肉部63の厚さにばらつきがあることから、バウンドストッパー54の位置が正規の位置に安定しないという問題があった。
【0012】
また、バウンドストッパー54は、突起した余肉部63と面接触ではなく点接触するため、サスペンション機構が伸縮する時に接触位置が変化し、車両の乗り心地性能に悪影響を及ぼすという問題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題に鑑み、本発明の車両のサスペンション機構は、ピストンロッドと、ピストンロッドに外挿装着されたバウンドストッパーと、蛇腹筒部と、蛇腹筒部の軸方向一端側に設けられピストンロッドを挿通してガイドするガイド筒部と、を備え、ピストンロッド,シリンダー及びバウンドストッパーを覆うダストカバーと、を備える車両のサスペンション機構において、前記ダストカバーは、前記ガイド筒部の上端面に形成され軸方向外側に突出してなる凸部と、凸部に隣接し、前記ガイド筒部の上端面に形成され軸方向内側に窪んだ凹部と、を備え、凹部の裏面は平坦になっており、前記ダストカバーを二分割する位置に形成されるブロー成形のパーティングラインが凸部を通り、凸部の裏面に部分的に厚くなった余肉部が形成され、前記バウンドストッパーの当接面が余肉部の形成されていない凹部の裏面となるように、凹部の裏面を余肉部よりもガイド筒部の軸方向内側に位置させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、バウンドストッパーの当接面が余肉部の形成されていない凹部の裏面となっているので、バウンドストッパーを正規の位置に安定させることができることに加え、バウンドストッパーは面接触するため、サスペンション機構が伸縮する時に接触位置が常に一定であり、車両の乗り心地性能を向上させることができる。
【0016】
また、ガイド筒部の上端面に凹凸部が形成されているため、ダストカバーの剛性を高めることができるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の実施形態におけるダストカバーの平面図及び断面図である。
図2】本発明の第1の実施形態におけるダストカバーの上端部の斜視図である。
図3】本発明の第2の実施形態におけるダストカバーの平面図である。
図4】本発明の第3の実施形態におけるダストカバーの平面図である。
図5】本発明のダストカバーの製造に用いる一対の半割金型の断面図である。
図6】サスペンション機構を示す図である。
図7】ブロー成形工程を説明する図である。
図8】従来例におけるダストカバーの平面図及び断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の第1の実施形態におけるダストカバー1を図1及び図2に基づいて説明する。図1(a)はダストカバー1の平面図、図1(b)は図1(a)のA−A線における断面図、図1(c)は図1(a)のB−B線における断面図である。図2は、ダストカバー1の上端部の斜視図である。なお、図1はピストンロッド3が挿通された状態のダストカバー1を示し、図2はピストンロッド3が挿通されていない状態のダストカバー1を示している。
【0019】
ダストカバー1は、山部と谷部を連設してなる蛇腹筒部2と、蛇腹筒部2の軸方向一端側に設けられピストンロッド3を挿通してガイドするガイド筒部4と、を備えて構成される。この場合、ガイド筒部4は上端面4bの中央部に円形の挿通穴4aを有し、この挿通穴4aにピストンロッド3が挿通されるようになっている。
【0020】
そして、ガイド筒部4のリング状の上端面4bには、凸部5及び凹部6が形成されている。凸部5はガイド筒部4の軸方向外側に突出しており、凹部6は反対に軸方向内側に窪んでいる。
【0021】
図1(a)の平面図で見ると、凸部5及び凹部6は、ガイド筒部4の上端面4bの周方向に交互に形成されている。詳しくは、凸部5は挿通穴4aの回りでリング状に連なり、挿通穴4aから上端面4bの周端に向けて4本が放射状に延びている。隣接する4本の中心線の角度は90°になっている。これにより、凹部6は4つの扇型状の領域に均等に区画されている。凹部6の裏面(ガイド筒部4の内側面)はバウンドストッパー9を面接触させるために平坦になっている。
【0022】
また、ダストカバー1を二分割する位置に形成されるブロー成形のパーティングライン7は、挿通穴4aを間に挟んで挿通穴4aから互いに反対方向に延びる凸部5を通っている。凸部5の裏面には、ブロー成形により部分的に厚くなった余肉部8が形成されている。そして、図1(c)に示すように、バウンドストッパー9の当接面は、余肉部8が形成されていない凹部6の平坦な裏面となるように、当該凹部6の裏面を余肉部8よりもガイド筒部4の軸方向内側に位置させている。
【0023】
このように、ブロー成形で形成されたダストカバー1によれば、バウンドストッパー9の当接面が、余肉部8が形成されていない凹部6の裏面となっているので、バウンドストッパー9の位置を正規の位置に安定させることができる。しかも、バウンドストッパー9の上端面を平坦面とすれば凹部6の平坦な裏面に面接触するため、サスペンション機構が伸縮する時に接触位置が常に一定であり、車両の乗り心地性能を向上させることができる。
【0024】
また、ガイド筒部4の上端面4aに凹凸部(凸部5及び凹部6)が形成されているため、ダストカバー1の剛性を高めることができる。
【0025】
次に、本発明の第2の実施形態におけるダストカバー1Aを図3に基づいて説明する。このダストカバー1Aは、挿通穴4aから上端面4bの周端に向けて延びる凸部5の本数を4から8に増やし、それらにより区分される凹部6の数を8に増やしたものである。パーティングライン7は、挿通穴4aを間に挟んで互いに反対方向に延びた凸部5を通っている。これにより、ダストカバー1Aの剛性をさらに高めることができる。その他の構成は第1の実施形態と同様になっている。なお、凸部5の本数は適宜増減してもよい。
【0026】
次に、本発明の第3の実施形態におけるダストカバー1Bを図4に基づいて説明する。このダストカバー1Bは挿通穴4aから上端面4bの周端に向けて延びる凸部5の本数を最低限の2本にしたものである。この場合も、パーティングライン7は凸部5を通っている。
【0027】
次に、ダストカバー1,1A,1Bのブロー成形による製造方法を説明する。図5は、半割金型10,10の断面図であり、図5(a)は図1(a)等のA−A線における断面図、図5(b)は、図1(a),等のB−B線における断面図に対応している。
図示のように、半割金型10,10は、キャビティ形成面の形状が転写されるダストカバー1,1A,1Bの形状に合わせて変更されている。すなわち、半割金型10,10は、平坦なパーティング面11と、パーティング面11に連なるキャビティ形成面12を有している。
【0028】
キャビティ形成面12は、ガイド筒部4に対応したガイド筒部形成面13と、ガイド筒部4の凸部5に対応する凸部形成面14と、ガイド筒部4の凹部6に対応する凹部形成面15と、蛇腹筒部2に対応する山部と谷部を連設してなる蛇腹筒部形成面16を有している。凹部成面11は、凸部形成面11より下方に突出して設定されている。図5においては、半割金型10,10の上端部のみを示しているが、その他の構成は、図7の半割金型56,56と同様である。
【0029】
ダストカバー1,1A,1Bのブロー成形による製造方法は、図7に示したものと同様であり、半割金型10,10を水平方向両側に型開きすると共に、パリソンを半割金型10,10の型合わせ面間に垂下させる。
【0030】
そして、半割金型10,10の型締め状態下で、不図示のブロー管から、パリソン内に圧縮空気を注入することにより、パリソンを半割金型10,10のキャビティ形成面12に密着させ、キャビティ形成面12の形状を転写させて、ダストカバー1,1A,1Bに対応した形状のブロー成形体を形成する。その後、半割金型10,10を型開きし、ブロー成形体を取り出す。
【符号の説明】
【0031】
1,1A,1B ダストカバー
2 蛇腹筒部
3 ピストンロッド
4 ガイド筒部
5 凸部
6 凹部
7 パーティングライン
8 余肉部
9 バウンドストッパー
10 半割金型
11 パーティング面
12 キャビティ形成面
13 ガイド筒部形成面
14 凸部成面
15 凹部成面
16 蛇腹筒部形成面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8