(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0018】
[第1実施形態]
図1は、本発明の実施形態に係る車両の乗員保護装置10を適用可能な自動車1の説明図である。
図1には、上から見た自動車1が図示されている。自動車1は、車両の一例である。
図1の自動車1は、車体2を有する。車体2の乗員室3内には、乗員が着座する複数のシート4が配置される。右前のシート4の前には、ハンドル5、図示外のアクセルペダル、ブレーキペダルが配置される。シート4に着座した乗員がハンドル5などを操作することにより、自動車1は前進、停止、後退、右折、左折をする。
【0019】
ところで、自動車1では、近年、自動運転の研究が開始されている。自動運転には、単に乗員の操作を警告したり補間したりする運転支援タイプのものもあるが、将来的にはたとえば目的地を設定することによりその目的地まで自動的に走行する完全自動タイプものが実現されると予想される。
また、自動運転では、乗員などの保護のために併せて、たとえば、乗員室3に前向きに配置された前撮像センサ31、乗員室3に後向きに配置された後撮像センサ31、車体2の左右両側に配置された右撮像センサ31および左撮像センサ31を用い、これらのセンサの撮像画像に基づいて、走行する自動車1の周囲環境を観測し、他の自動車1などが接近する場合には衝突を回避する乗員保護制御を実施することが重要である。
【0020】
図2は、
図1の自動車1における通常の乗員保護装置の説明図である。
図2には、シート4に着座した乗員の上体の前に展開するフロントエアバッグ15と、上体の外側で展開するサイドエアバッグと、上体を着座位置に拘束するように作動する三点式シートベルト18と、が図示されている。
【0021】
そして、
図2(A)に示すように、衝突前の乗員の上体がたとえばシートベルト18により拘束されることによりシート4に背をつけた着座位置に位置する場合、上体から離れた状態でフロントエアバッグ15が展開できる。その後、自動車1の前に他の自動車1などが衝突すると、上体が着座位置から前へ移動するが、前へ移動する上体を、展開したフロントエアバッグ15により支持することができる。これにより、好適に乗員を保護することができる。
しかしながら、たとえば自動運転中の自動車1では、運転手といった乗員の意思と無関係に自動車1の走行状態が制御される。この場合、たとえば衝突を自動的に回避する場合などにおいて、運転手が自動車1を操作する場合と比べて、車両の限界性能の近くで走行するように制御が実施される可能性がある。たとえば衝突直前に、衝突を回避するために、限界性能ぎりぎりの操舵制御を実施して、衝突を回避しようとする可能性がある。
【0022】
そして、たとえばこのように車両の限界性能の近くで走行が制御されている状況下で、実際には衝突を回避できず衝突した場合、一般的なドライバの操舵で衝突を回避している最中に衝突した場合とは異なる状況下で衝突が生じてしまう可能性がある。
たとえば
図2(B)に示すように、自動運転で急減速している状況下では、シート4に着座した乗員の上体の肩部は、シート4の着座位置より前へ大きく移動してしまう可能性がある。そして、通常想定される範囲より前へ上体の肩部が移動している状態でフロントエアバッグ15が展開されると、展開し切っていないフロントエアバッグ15に上体が当たってしまう。この場合、フロントエアバッグ15により、上体を好適に支持できなくなる可能性がある。
この他にもたとえば
図2(C)に示すように、上体の一方の肩が衝突前に三点式のシートベルト18により支持されていたとしても、シートベルト18により支えられていない他方の肩(図では車幅方向中央側の内側の肩)が、大きく前へ移動してしまう可能性がある。この場合でも、展開し切っていないフロントエアバッグ15に上体の肩部が当たってしまい、フロントエアバッグ15により上体を好適に支持できなくなる可能性がある。
このように衝突前にシート4の着座位置より前へ上体が移動していた状況下で衝突が生じると、衝突によりフロントエアバッグ15が展開し始めたとしても、衝突前から上体の肩部がシート4の着座位置より前へ移動していることに起因して、衝突の衝撃により更に前へ倒れてゆく上体を好適に支えることができない可能性がある。通常の着座位置に上体の肩部が位置していることを前提として展開するフロントエアバッグ15の場合、フロントエアバッグ15が適切に展開し終わる前に上体がフロントエアバッグ15にめり込んでしまう。
なお、この他にもたとえば、衝突以外のことに気を取られていて衝突に備えていない乗員にあっては、衝突時に、その上体が通常想定される移動範囲を超えて大きく前へ移動してしまう可能性もある。
このように自動車1といった車両では、たとえば自動運転中において現在の自動車1とは異なる乗員保護機能を持たせる必要性があると予想される。
【0023】
図3は、本発明の第1実施形態に係る車両の乗員保護装置10の説明図である。
【0024】
また、
図3には、乗員保護装置10とともに、自動運転制御装置30が図示されている。自動運転制御装置30は、上述した各種の車外撮像センサ31、自動運転制御部32、操舵アクチュエータ33、ブレーキアクチュエータ34、動力源35、を有する。
操舵アクチュエータ33は、ハンドル5の替わりに、自動車1を操舵する。ブレーキアクチュエータ34は、ブレーキペダルの替わりに、自動車1を制動する。動力源35は、たとえばガソリンエンジン、電気モータである。自動運転制御部32は、たとえば目的地までの走行経路に従って、操舵アクチュエータ33、ブレーキアクチュエータ34、および動力源35を制御する。また、車外撮像センサ31の画像に基づいて接近物を特定し、接近物との衝突が予想される場合には、それを回避するように操舵アクチュエータ33、ブレーキアクチュエータ34、および動力源35を制御する。
【0025】
図3の乗員保護装置10は、乗員位置センサ11、Gセンサ12、乗員保護制御部13、フロントエアバッグ装置14、三点式シートベルト装置17、を有する。
【0026】
乗員位置センサ11は、シート4に着座した乗員の頭部の位置または上体の位置を検出する。シート4に背を付けた着座位置を基準とし、前方への移動量または車幅方向左右両側への移動量を検出する。乗員位置センサ11は、たとえば検出する方向に配列された複数の近接センサで構成してよい。
【0027】
Gセンサ12は、自動車1に作用する加速度を検出する。検出する加速度の方向は、前後方向、左右方向、上下方向でよい。
【0028】
フロントエアバッグ装置14は、シート4に着座した乗員の上体の前に展開するフロントエアバッグ15、フロントエアバッグ15内へガスを放出するインフレータ16、を有する。
【0029】
三点式シートベルト装置17は、シート4に着座した乗員の腰部の両側および一方の肩部の前に掛け渡されるシートベルト18、シートベルト18を巻き取る図示外のアクチュエータ、を有する。
【0030】
乗員保護制御部13には、車外撮像センサ31、自動運転制御部32、Gセンサ12、乗員位置センサ11、フロントエアバッグ装置14、三点式シートベルト装置17、が接続される。
【0031】
そして、乗員保護制御部13は、たとえば自動車1の走行状態に応じて、乗員保護装置10の動作を制御する。具体的には、フロントエアバッグ装置14および三点式シートベルト装置17の作動を制御する。
【0032】
図4は、
図3のフロントエアバッグ装置14のフロントエアバッグ15が展開した作動状態の説明図である。
【0033】
乗員保護制御部13は、自動車1に乗員が乗車している場合、自動車1の走行状態を判断する。乗員保護制御部13は、たとえば自動運転制御部32からの自動運転中信号に基づいて、自動運転中であるか否かを判断する。
また、乗員保護制御部13は、車外撮像センサ31の画像に基づいて、接近物の有無を判断し、さらに接近物との衝突可能性を判断する。
また、乗員保護制御部13は、Gセンサ12の検出加速度に基づいて、自動車1が急減速しているか否かを判断する。
また、乗員保護制御部13は、乗員位置センサ11の検出値、または自動運転制御部32からの自動運転制御状況の情報に基づいて、乗員の上体が着座位置から前へ大きく移動しているか否かを判断、又は推定する。なお、乗員保護制御部13は、
図2(A)の通常想定される範囲を超えているか否かに基づいて、この移動を判断すればよい。
そして、自動走行制御中に衝突する可能性がある場合、または急減速中に衝突する可能性がある場合、さらに衝突前に上体が前へ大きく移動している時には、乗員保護制御部13は、
図4(A)に示すように、フロントエアバッグ15を展開させる。
この場合、フロントエアバッグ15は、上体に当たる接触面についての車幅方向中央側に、肩受凹部15Dを形成する。
また、残りの接触面には、肩受凹部15Dから連続する傾斜面15Sが形成される。傾斜面15Sは、車幅方向の外方へ向けて、他方側より一方側が後となるように傾斜している。傾斜面Sは、着座位置より前へ移動している上体の両肩部を結ぶ線と略平行な面となる。
【0034】
これに対し、上述したいずれの場合でもなくて衝突前の上体が着座位置にある場合、乗員保護制御部13は、
図4(B)に示すように、略長方形にフロントエアバッグ15を展開させる。この場合、フロントエアバッグ15は、肩受凹部15Dを形成しないように大きく展開する。
【0035】
図5は、
図4(A)のように展開した場合の乗員保護状態の一例の説明図である。
ここでは、三点式のシートベルト18により上体の一方の肩が支持されているので、衝突前の上体は、
図5(A)に示すように、車幅方向中央側の他方の肩が前となる傾いた姿勢で、着座位置より大きく前へ移動している。
また、フロントエアバッグ15は、車幅方向中央側に肩受凹部15Dを形成するように展開する。
そして、実際に車体2の前部に前後方向に沿って接近物が衝突すると、展開したフロントエアバッグ15は、
図5(B)に示すように、衝突前にシート4の着座位置より前へ移動していた上体の肩部を受けて支える。着座位置より前へ移動していた上体の他方の肩は、更に前へ移動することにより、肩受凹部15Dに入り込む。上体は、他方の肩において支持され、衝撃が吸収される。
【0036】
図6は、
図4(A)のように展開した場合の乗員保護状態の他例の説明図である。この場合、接近物は、斜め前方向から車体2に当たる。これに対して、
図5では、正面から方向から車体2に当たる。
ここでは、衝突前の上体は、
図6(A)に示すように、車幅方向中央側の他方の肩が前となる傾いた姿勢で、着座位置より大きく前へ移動している。
そして、実際に車体2の前部に斜め方向から接近物が衝突すると、展開したフロントエアバッグ15は、
図6(B)に示すように、衝突前にシート4の着座位置より前へ移動していた上体を受けて支える。着座位置より前へ移動していた上体は、更に斜め前へ移動することにより、両肩部と略平行な面である傾斜面15Sに全体的に当たる。上体は、傾斜面15Sにより全体的に支持され、衝撃が吸収される。
【0037】
以上のように、本実施形態では、シート4に着座した乗員の上体の前に展開するフロントエアバッグ15は、シート4の着座位置より前へ移動していた上体を受けるように展開し、展開した状態で、着座位置より前へ移動していた上体の肩が当接する部位において肩が入り込むことができる肩受凹部15Dを形成する。よって、たとえば車両の自動運転中においてシート4に着座した乗員の上体が衝突前にシート4の着座位置より前へ移動していたとしても、この上体の肩を肩受凹部15Dにおいて支持し、乗員を保護することができる。
【0038】
本実施形態では、シート4に着座した乗員の上体は、三点式シートベルト装置17により一方の肩が抑えられた状態で上体を着座位置に拘束され得る。このため、たとえば車両の自動運転中においてシート4に着座した乗員の上体が衝突前にシート4の着座位置より前へ移動するとしても、上位の上体全体が前へ大きく移動するのではなく、他方の肩の側のみが前へ大きく移動し、上体全体としては他方の肩の側のみが前へ大きく移動し易くなる。その結果、フロントエアバッグ15には、乗員の他方の肩のみに対応するように1つの肩受凹部15Dを形成すればよくなる。そして、本実施形態のように、肩受凹部15Dから車幅方向の一方へ向けて、他方側より一方側が後となる傾斜面15Sを形成することができる。
また、このように肩受凹部15Dから車幅方向の一方へ向けて他方側より一方側が後となる傾斜面15Sを形成することにより、他方の肩を前にして斜めの姿勢で前へ移動する上体全体を、フロントエアバッグ15の傾斜面15Sにより受けて支えることができる。他方の肩を前にして斜めの姿勢で前へ移動する上体全体を安定した状態に支え、その状態で衝撃を吸収することができる。
また、肩受凹部15Dが他方の肩を受けつつ、衝撃入力方向が左右いずれかの斜め前方の場合、他方側斜め前方からの衝撃入力であれば、前へ移動する場合と同じく、乗員上体の中でも強度のある肩部を肩受凹部15Dが受けて支えることで傷害値を低減させることができる。
これに対し、一方側斜め前方からの衝撃入力の場合、入力が乗員上体前方側からになるが、この場合は傾斜面15Sが、乗員上体前面を全体的に支えることになり、傷害値を低減させることができる。
【0039】
本実施形態では、車両の走行状態に応じてエアバッグ装置の作動を制御する制御部は、車両についての運転支援を含む自動走行制御中の衝突または急減速中の衝突の場合には、肩受凹部15Dを形成するようにフロントエアバッグ15を展開させ、それ以外の場合には、肩受凹部15Dが形成されないようにフロントエアバッグ15を展開させて衝突前に着座位置にいた上体を全体的に支持する。よって、フロントエアバッグ15は、衝突前の乗員の上体がシート4の着座位置にある場合でも、着座位置より前へ移動している場合でも、それぞれの状態に応じて適切に展開することができる。
【0040】
本実施形態では、検出部により、シート4に着座した乗員の上体の位置を検出する。よって、衝突前の乗員の上体の位置を実際に検出し、それぞれの位置に応じてフロントエアバッグ15を適切に展開させることができる。
【0041】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る車両の乗員保護装置10について説明する。以下、同様の構成については第1実施形態と同一の符号を使用し、主に第1実施形態との相違点について説明する。
【0042】
図7は、本発明の第2実施形態に係るフロントエアバッグ装置14の説明図である。
【0043】
フロントエアバッグ装置14のフロントエアバッグ15は、第一袋体41、第二袋体42、を有する。
第一袋体41は、車幅方向外側において展開される袋体である。展開した第一袋体41は、車幅方向内側より外側が後方へ突出するように傾斜した後面(接触面)を形成する。
第二袋体42は、第一袋体41についての車幅方向中央側に並べて設けられる袋体である。展開した第二袋体42は、第一袋体41についての車幅方向中央側の端部より後方へ突出する。また、展開した第二袋体42の後端面は、肩受凹部15Dにより凹曲面形状に形成される。
このように本実施形態のフロントエアバッグ15は、第一袋体41および第二袋体42による2つの気室を有する。
そして、第一袋体41および第二袋体42は、車幅方向に並べて設けられる。
【0044】
インフレータ16は、乗員保護制御部13からの起動信号により、第一袋体41および第二袋体42へガスを供給する。特に、自動走行制御中に衝突する可能性がある場合、または急減速中に衝突する可能性がある場合、さらに衝突前に上体が前へ大きく移動している時には、第二袋体42の内圧が第一袋体41の内圧より高くなるようにガスを供給する。
【0045】
これにより、展開したフロントエアバッグ15において、肩受凹部15Dが形成される第二袋体42は、その残りの部分である第一袋体41より硬くなる。よって、肩受凹部15Dに集中的に荷重が作用した状態でも肩受凹部15Dの位置や形状を維持でき、衝撃を吸収することができる。
【0046】
なお、上述した走行状態以外の衝突の場合、インフレータ16は、第二袋体42および第一袋体41を同じ内圧となるようにガスを放出すればよい。これにより、第二袋体42および第一袋体41の全体は、全体的に略均一の圧力で展開し、
図4(B)と同様に展開することができる。
【0047】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る車両の乗員保護装置10について説明する。以下、同様の構成については第2実施形態と同一の符号を使用し、主に第2実施形態との相違点について説明する。
【0048】
図8は、本発明の第3実施形態に係るフロントエアバッグ装置14の説明図である。
【0049】
フロントエアバッグ装置14のフロントエアバッグ15は、第一袋体41、第二袋体42、を有する。
また、第一袋体41および第二袋体42は、各々と外気とを連通するベントホール51と、第一袋体41と第二袋体42とを連通するベントホール51とを有する。
ベントホール51は、所定の設定圧力が作用するまでは閉じており、該設定圧力以上の圧力が作用し始めると開く。
本実施形態において、第二袋体42と外気とを連通するベントホール51は、第1袋体と外気とを連通するベントホール51より高い設定圧力とされる。
【0050】
インフレータ16は、乗員保護制御部13からの起動信号により、第一袋体41および第二袋体42へガスを供給する。自動走行制御中に衝突する可能性がある場合、または急減速中に衝突する可能性がある場合、さらに衝突前に上体が前へ大きく移動している時には、インフレータ16は、第一袋体41より第二袋体42を優先してガスを供給してもよい。
これにより、肩受凹部15Dが形成される第二袋体42は、その残りの部分である第一袋体41より硬くなり、肩受凹部15Dに集中的に荷重が作用した状態でも肩受凹部15Dの位置や形状を維持でき、衝撃を吸収することができる。
【0051】
また、第一袋体41と第二袋体42とを連通するベントホール51は、たとえば第二袋体42と外気とを連通するベントホール51の設定圧力より低く、第1袋体と外気とを連通するベントホール51の設定圧力より高くすればよい。
これにより、第二袋体42が第一袋体41より高い圧力で展開した状態になった後、第二袋体42の高い内圧を維持しながら、第二袋体42より大容量の第一袋体41を効率よく展開させることができる。
【0052】
なお、上述した走行状態以外の衝突の場合、インフレータ16は、第二袋体42および第一袋体41を同じ内圧となるようにガスを放出すればよい。これにより、第二袋体42および第一袋体41の全体は、全体的に略均一の圧力で展開し、
図4(B)と同様に展開することができる。
【0053】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係る車両の乗員保護装置10について説明する。以下、同様の構成については第1実施形態と同一の符号を使用し、主に第1実施形態との相違点について説明する。
【0054】
図9は、本発明の第4実施形態に係るフロントエアバッグ装置14の説明図である。
【0055】
フロントエアバッグ装置14のフロントエアバッグ15は、単一袋体61、テザー62を有する。
テザー62は、肩受凹部15Dを形成するために、単一袋体61についての車幅方向中央側に寄せた位置で、単一袋体61の後面と前面との間に渡される。
【0056】
インフレータ16は、自動走行制御中に衝突する可能性がある場合、または急減速中に衝突する可能性がある場合、さらに衝突前に上体が前へ大きく移動している時には、乗員保護制御部13からの起動信号により、第一袋体41へガスを供給する。
これにより、テザー62は、展開したフロントエアバッグ15の他方側の側面に沿って延在する。よって、テザー62とフロントエアバッグ15の他方側の側面とによる構造体を形成でき、肩受凹部15Dに集中的に荷重が作用した状態でも肩受凹部15Dの位置や形状を維持でき、衝撃を吸収することができる。
【0057】
なお、上述した走行状態以外の衝突の場合、テザー62を切断すればよい。これにより、第二袋体42は、全体的に略均一の圧力で展開し、
図4(B)と同様に展開することができる。
【0058】
以上の実施形態は、本発明の好適な実施形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形または変更が可能である。