特許第6784564号(P6784564)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6784564投射用ズームレンズおよび投射型画像表示装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6784564
(24)【登録日】2020年10月27日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】投射用ズームレンズおよび投射型画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 15/20 20060101AFI20201102BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20201102BHJP
【FI】
   G02B15/20
   G03B21/00 D
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-200396(P2016-200396)
(22)【出願日】2016年10月11日
(65)【公開番号】特開2018-63308(P2018-63308A)
(43)【公開日】2018年4月19日
【審査請求日】2019年8月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】514274487
【氏名又は名称】リコーインダストリアルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100090103
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 章悟
(72)【発明者】
【氏名】宮 健二
【審査官】 森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−134567(JP,A)
【文献】 特開2011−28123(JP,A)
【文献】 特開2008−275713(JP,A)
【文献】 特開2014−32358(JP,A)
【文献】 特開2015−127750(JP,A)
【文献】 特開2016−45224(JP,A)
【文献】 特開2016−99411(JP,A)
【文献】 特開2017−219632(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/194775(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0241669(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 − 17/08
G02B 21/02 − 21/04
G02B 25/00 − 25/04
G03B 21/00 − 21/10
G03B 21/12 − 21/13
G03B 21/134 − 21/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面画像を倍率可変で拡大して投射する投射用ズームレンズであって、拡大側から縮小側ヘ向かって順に、負の屈折力を有する第1レンズ群、正の屈折力を有する第2レンズ群、負の屈折力を有する第3レンズ群、正の屈折力を有する第4レンズ群、正の屈折力を有する第5レンズ群、負又は正の屈折力を有する第6レンズ群、正の屈折力を有する第7レンズ群を配し、且つ、前記第4レンズ群と前記第5レンズ群との間に開口絞りを配して構成され、
ズーミングに際して第2レンズ群から第6レンズ群までが光軸上を移動することにより前記第1レンズ群ないし第7レンズ群の群間隔が変化し、
広角端における全系の焦点距離:fw、望遠端における全系の焦点距離:ft、広角端から望遠端へのズーミングの際の前記第3レンズ群の拡大側への最大移動量:ΔWT3が、条件:
(1) 1.5 <ft/fw< 3.0
(2) 1.0 <1/(ΔWT3/fw)< 11.0
を満足する投射用ズームレンズ。
【請求項2】
請求項1記載の投射用ズームレンズであって、
前記第3レンズ群が、負の屈折力を有する1枚以上のレンズで構成されている投射用ズームレンズ。
【請求項3】
請求項1または2記載の投射用ズームレンズであって、
前記第3レンズ群を構成するレンズの、d線における屈折率の平均値:Nd3が、条件:
(3) Nd3 <1.65
を満足する投射用ズームレンズ。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか1項に記載の投射用ズームレンズであって、
広角端における全系の焦点距離:fw、望遠端における全系の焦点距離:ft、広角端から望遠端へのズーミングの際の前記第4レンズ群の最大移動量:ΔWT4が、条件:
(4) 0.3 <1/(ΔWT4/fw)< 1.0
を満足する投射用ズームレンズ。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか1項に記載の投射用ズームレンズであって、
前記第4レンズ群が、正の屈折力を有する1枚以上のレンズで構成されている投射用ズームレンズ。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか1項に記載の投射用ズームレンズであって、
前記第4レンズ群を構成するレンズの、d線における屈折率の平均値:Nd4が、条件:
(5) 1.75 <Nd4
を満足する投射用ズームレンズ。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか1項に記載の投射用ズームレンズであって、
前記第4レンズ群を構成するレンズのd線におけるアッベ数の平均値:νd4が条件:
(6) 40.0 <νd4
を満足する投射用ズームレンズ。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れか1項に記載の投射用ズームレンズであって、
フォーカシングに際して、前記第1レンズ群全系若しくは前記第1レンズ群に含まれる1枚以上のレンズが光軸方向へ移動する投射用ズームレンズ。
【請求項9】
請求項1ないし8の何れか1項に記載の投射用ズームレンズであって、
前記第7レンズ群が、正の屈折力を持つ1枚のレンズのみで構成されている投射用ズームレンズ。
【請求項10】
画像表示素子に表示される前記平面画像を、倍率可変で拡大して投射表示する投射型画像表示装置であって、
平面画像を倍率可変で拡大して投射する投射用ズームレンズとして、請求項1ないし9の何れか1項に記載の前記投射用ズームレンズを用いる投射型画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、投射用ズームレンズおよび投射型画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
平面画像を拡大して投射画像として画像表示する「投射型画像表示装置」は、会議でのプレゼンテーションやホームシアター等に用いられるプロジェクタ等として、近年広く普及している。
投射型画像表示装置において、投射画像として表示するべき平面画像を倍率可変で拡大して投射する「投射用ズームレンズ」も従来から種々のものが知られている。
昨今、プロジェクタは「投射距離」即ち、プロジェクタ本体と投射画像を表示される表示面との距離の短縮化が進み、投射用ズームレンズにも広い画角が求められている。
【0003】
画角の広いレンズ系としては、所謂ネガティブリード型、即ち「最も拡大側のレンズ群の屈折力を負としたもの」が知られており、7レンズ群構成という比較的少ないレンズ群で構成されたネガティブリード型の投射用ズームレンズとして、例えば、特許文献1、2に開示されたものが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、7レンズ群構成の新規な投射用ズームレンズの実現を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の投射用ズームレンズは、平面画像を倍率可変で拡大して投射する投射用ズームレンズであって、拡大側から縮小側ヘ向かって順に、負の屈折力を有する第1レンズ群、正の屈折力を有する第2レンズ群、負の屈折力を有する第3レンズ群、正の屈折力を有する第4レンズ群、正の屈折力を有する第5レンズ群、負又は正の屈折力を有する第6レンズ群、正の屈折力を有する第7レンズ群を配し、且つ、前記第4レンズ群と前記第5レンズ群との間に開口絞りを配して構成され、ズーミングに際して第2レンズ群から第6レンズ群までが光軸上を移動することにより前記第1レンズ群ないし第7レンズ群の群間隔が変化し、広角端における全系の焦点距離:fw、望遠端における全系の焦点距離:ft、広角端から望遠端へのズーミングの際の前記第3レンズ群の拡大側への最大移動量:ΔWT3が、条件:
(1) 1.5 <ft/fw< 3.0
(2) 1.0 <1/(ΔWT3/fw)< 11.0
を満足する。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、7レンズ群構成の新規な投射用ズームレンズを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】投射用ズームレンズの実施例1を説明するための図である。
図2】投射用ズームレンズの実施例2を説明するための図である。
図3】投射用ズームレンズの実施例3を説明するための図である。
図4】投射用ズームレンズの実施例4を説明するための図である。
図5】投射用ズームレンズの実施例5を説明するための図である。
図6】実施例1の投射用ズームレンズのデータを示す図である。
図7】実施例1の投射用ズームレンズの各種のパラメータを示す図である。
図8】実施例2の投射用ズームレンズのデータを示す図である。
図9】実施例2の投射用ズームレンズの各種のパラメータを示す図である。
図10】実施例3の投射用ズームレンズのデータを示す図である。
図11】実施例3の投射用ズームレンズの各種のパラメータを示す図である。
図12】実施例4の投射用ズームレンズのデータを示す図である。
図13】実施例4の投射用ズームレンズの各種のパラメータを示す図である。
図14】実施例5の投射用ズームレンズのデータを示す図である。
図15】実施例5の投射用ズームレンズの各種のパラメータを示す図である。
図16】実施例1の投射用ズームレンズの広角端における収差図である。
図17】実施例1の投射用ズームレンズの望遠端における収差図である。
図18】実施例2の投射用ズームレンズの広角端における収差図である。
図19】実施例2の投射用ズームレンズの望遠端における収差図である。
図20】実施例3の投射用ズームレンズの広角端における収差図である。
図21】実施例3の投射用ズームレンズの望遠端における収差図である。
図22】実施例4の投射用ズームレンズの広角端における収差図である。
図23】実施例4の投射用ズームレンズの望遠端における収差図である。
図24】実施例5の投射用ズームレンズの広角端における収差図である。
図25】実施例5の投射用ズームレンズの望遠端における収差図である。
図26】投射用画像表示装置の実施の形態を2例示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態を説明する。
図1ないし図5に、投射用ズームレンズの実施の形態を5例示す。これら5例の実施の形態は、図示の順序で、後述する実施例1ないし5に対応する。
図1ないし図5において、上図は「広角端」におけるレンズ配置、下図は「望遠端」におけるレンズ配置をそれぞれ示す。
これらの図において、図の左方は「拡大側」即ち、投射画像が投射される側であり、図の右方は縮小側、即ち「平面画像が表示される側」である。
繁雑を避けるため、これらの図において符号を共通化する。
図1ないし図5において、「1G」は第1レンズ群、「2G」は第2レンズ群、「3G」は第3レンズ群、「4G」は第4レンズ群、「5G」は第5レンズ群、「6G」は第6レンズ群、「7G」は第7レンズ群を示す。
図1ないし図5に示す実施の形態では「3原色の画像を表示する3枚の液晶パネルを用いる3板式プロジェクタに用いられる投射用ズームレンズ」が想定され、図中の符号「PR」は色合成用プリズムを示す。また、「S」は開口絞りを示し、「OI」は画像表示面、即ち、液晶パネルのパネル面を示し、以下において「平面画像OI」とも言う。
【0009】
第1レンズ群1Gは「負の屈折力」、第2レンズ群2Gは「正の屈折力」、第3レンズ群3Gは「負の屈折力」を有する。
第4レンズ群4Gと第5レンズ群5Gとは共に「正の屈折力」を有し、第6レンズ群6Gは「負または正の屈折力」を有し、第7レンズ群7Gは「正の屈折力」を有する。
即ち、図1ないし図5に示す実施の各形態の投射用ズームレンズは、平面画像OIを倍率可変で拡大して投射する投射用ズームレンズである。
投射用ズームレンズは、拡大側から縮小側ヘ向かって順に、負の屈折力を有する第1レンズ群1G、正の屈折力を有する第2レンズ群2G、負の屈折力を有する第3レンズ群3G、正の屈折力を有する第4レンズ群4G、正の屈折力を有する第5レンズ群5G、負又は正の屈折力を有する第6レンズ群6Gおよび正の屈折力を有する第7レンズ群7Gを有し、第4レンズ群4Gと第5レンズ群5Gとの間に開口絞りSを有してなる。
【0010】
ズーミングに際しては、第2レンズ群2Gから第6レンズ群6Gまでが光軸上を移動することにより第1レンズ群1Gないし第7レンズ群7Gの隣接する群間隔が変化する。
【0011】
第1レンズ群1Gと第7レンズ群7Gは、ズーミングに関して固定群であり、ズーミング中固定される。
【0012】
この発明の投射用ズームレンズは、広角端における全系の焦点距離:fw、望遠端における全系の焦点距離:ft、広角端から望遠端へのズーミングの際の前記第3レンズ群の拡大側への最大移動量:ΔWT3が、条件:
(1) 1.5 <ft/fw< 3.0
(2) 1.0 <1/(ΔWT3/fw)< 11.0
を満足する。
【0013】
図1ないし図5を参照して説明中の実施の各形態では、上述の如く、最も縮小側のレンズ面と平面画像OIの間の光路上に色合成用プリズムPRを有する。
条件(1)は、広角端と望遠端における焦点距離の比:ft/fw、即ち「所謂ズーム比」の適正な範囲を定める条件である。即ち、この発明の投射用ズームレンズの上記構成において、条件(2)を満足することにより、条件(1)の「ズーム比の範囲」において、良好な光学性能を実現できる。
条件(2)のパラメータ:1/(ΔWT3/fw)が大きくなると、ズーミングに伴う第3レンズ群の変位量が小さくなる。第1レンズ群1Gと第7レンズ群7Gは、ズーミングに関して固定群であるので、条件(2)のパラメータの値が大きいほど、投射用ズームレンズのコンパクト化には有利である。しかし、条件(2)の上限値を超えると、望遠側において球面収差が過補正となり易く、良好な光学性能の達成が困難となり易い。
【0014】
また、条件(2)のパラメータの値が小さくなると、球面収差やコマ収差をズーム全域で良好に補正することが容易になるが、条件(2)の下限値を超えると、投射用ズームレンズのコンパクト化が困難となり易い。
【0015】
この発明の投射用ズームレンズの第3レンズ群は、1枚以上の「負の屈折力を有するレンズ」により構成することが出来る。以下、「負の屈折力を有するレンズ」を「負レンズ」と呼び、「正の屈折力を有するレンズ」を「正レンズ」と呼ぶ。
【0016】
第3レンズ群は「1枚の負レンズ」で構成することもできる。図1ないし図5に示す実施の各形態では、第3レンズ群3Gは1枚の負レンズで構成されている。
第4レンズ群は「1枚以上の正レンズ」で構成することができる。即ち、第4レンズ群は正レンズ1枚で構成することもできる。図1ないし図5に示す実施の各形態では、第4レンズ群4Gは1枚の正レンズで構成されている。
【0017】
この発明の投射用ズームレンズは、上記条件(1)、(2)と共に、以下の条件:
(3) Nd3 <1.65
(4) 0.3 <1/(ΔWT4/fw)< 1.0
(5) 1.75 <Nd4
(6) 40.0 <νd4
の任意の1以上を満足することが好ましい。
【0018】
条件(3)ないし(6)において、「Nd3」は第3レンズ群を構成するレンズの「d線における屈折率の平均値」、「fw」は広角端における全系の焦点距離、「ft」は望遠端における全系の焦点距離、「ΔWT4」は広角端から望遠端へのズーミングの際の第4レンズ群の最大移動量、「Nd4」は第4レンズ群を構成するレンズの「d線における屈折率の平均値」である。「νd4」は、第4レンズ群を構成するレンズの「アッベ数の平均値」である。
【0019】
条件(3)は、第3レンズ群の負の屈折力を好適に実現できる条件である。パラメータ:Nd3が大きいほど、第3レンズ群の負の屈折力を強くすることが可能で、広角化に対しては有利となるが、条件(3)の上限値を超えると、ペッツバール和が大きくなり良好な光学性能の達成が難しくなる。
【0020】
条件(4)のパラメータ:1/(ΔWT4/fw)が大きくなると、ズーミングに伴う第4レンズ群の変位量が小さくなる。第1レンズ群1Gと第7レンズ群7Gは、ズーミングに関して固定群であるので、条件(4)のパラメータの値が大きいほど、投射用ズームレンズのコンパクト化には有利であるが、条件(4)の上限値を超えるとズーミングに伴う第4レンズ群の変位量が小さく、ズーミングに際して、第4レンズ群の精密な変位が困難となる。
【0021】
また、条件(4)の下限値を超えると、コンパクト化に不利となり易い。
条件(5)は、第4レンズ群の正の屈折力を好適に実現できる条件であり、パラメータ:Ndが大きいほど、第4レンズ群の正の屈折力を強くすることが可能であり、投射用ズームレンズのコンパクト化とズーム比の増大が可能となる。
【0022】
しかし、条件(5)の下限値を超えると、第4レンズ群の正の屈折力が弱くなって、広角端と望遠端で発生する「コマ収差、球面収差」の量が大きく異なり易く、補正が困難となり易い。
【0023】
条件(6)の下限値を超えると、広角側、望遠側で発生する軸上色収差、倍率色収差等の諸収差の差が大きくなり易く、諸収差の良好な補正が困難となり易い。
【0024】
条件(3)、(5)、(6)について若干付言する。
上記の如く「Nd3」は第3レンズ群を構成するレンズの「d線における屈折率の平均値」であり、「Nd4」は第4レンズ群を構成するレンズの「d線における屈折率の平均値」、「νd4」は、第4レンズ群を構成するレンズの「アッベ数の平均値」である。
【0025】
上述の如く、第3レンズ群は「1枚の負レンズ」により構成することが出来、第4レンズ群は「1枚の正レンズ」により構成することができる。
【0026】
從って、上の説明に謂う「平均値」は、第3レンズ群、第4レンズ群を構成するレンズがそれぞれ1枚である場合には「この1枚のレンズの屈折率、アッベ数」である。
【0027】
この発明の投射用ズームレンズは、前記条件(2)とともに、条件(3)ないし(6)の任意の1以上を満足することにより、条件(1)で特定されるズーム比の範囲における「良好な光学性能の実現が」容易となる。
条件(1)、(2)とともに、条件(3)ないし(6)の任意の1以上を満足することにより、これら条件の持つ効果を得ることができるが、条件(1)、(2)と共に、条件(3)ないし(6)を全て満足することが最も好ましいことは言うまでもない。
合焦、即ち「フォーカシング」を行うには種々の方法が可能であるが、フォーカシングに際して「第1レンズ群全系若しくは第1レンズ群に含まれる1枚以上のレンズ」が光軸方向へ移動するようにすることにより、フォーカシングの機構を簡単化できる。
さらに、正の屈折力を有する第7レンズ群は「正レンズ1枚」で、構成することができる。図1ないし図5に示す実施の各形態においても、第7レンズ群7Gは「1枚の正レンズのみ」で構成されており、第7レンズ群を1枚の正レンズで構成することにより、投射用ズームレンズの構成を簡単化できる。
【0028】
この発明の投射用ズームレンズは、画像表示素子に表示される平面画像を、倍率可変で拡大して投射表示する投射型画像表示装置に用いることができる。
以下に、投射用ズームレンズの具体的な実施例を挙げる。
「実施例1」
実施例1は、図1にレンズ構成を示したものである。
実施例1の投射用ズームレンズのデータを図6に示す。
図6において最も上の欄における「i」は、拡大側から数えた面(レンズ面および開口絞りSの面、色合成用プリズムPRの面)を表すパラメータであり、「IMG」は平面画像が表示される面である。
また、「R」は曲率半径、「D」は面間隔、「j」は、拡大側から数えたレンズを表すパラメータ、「PR」は色合成用プリズムを示す。「N」はd線の屈折率、「ν」はアッベ数である。これらは、実施例2ないし実施例5においても同様である。
【0029】
図7には、実施例1の投射用ズームレンズの各種のパラメータを示す。
図7において(a)は広角端、中間焦点距離(中間と表示)、望遠端における焦点距離を示す。(b)は、図6に示すデータ中の面間隔「可変」の部分の、広角端、中間、望遠端における面間隔、(c)は、条件(1)ないし(6)のパラメータの値(条件式(1)ないし条件式(6)の値と表示)を示す。
【0030】
(d)は、広角端(WIDE)、中間焦点距離(MEAN)、望遠端(TELE)における第1レンズ群1Gないし第7レンズ群7Gの隣接レンズ群間の面間隔(上表)と、第2レンズ群2Gないし第7レンズ群7Gの、ズーミングに伴う変位量(下表)を示す。(e)は条件(1)ないし(6)の各パラメータにかかる量の値である。
【0031】
以下の実施例2以下においても同様である。
【0032】
「実施例2」
実施例2は、図2にレンズ構成を示したものである。
実施例2の投射用ズームレンズのデータを図10に示す。
図11には、実施例2の投射用ズームレンズの各種のパラメータを図9に倣って示す。
【0033】
「実施例3」
実施例3は、図3にレンズ構成を示したものである。
実施例3の投射用ズームレンズのデータを図12に示す。
図13には、実施例3の投射用ズームレンズの各種のパラメータを図9に倣って示す。
【0034】
「実施例4」
実施例4は、図4にレンズ構成を示したものである。
実施例4の投射用ズームレンズのデータを図14に示す。
図15には、実施例4の投射用ズームレンズの各種のパラメータを図9に倣って示す。
【0035】
「実施例5」
実施例5は、図5にレンズ構成を示したものである。
実施例5の投射用ズームレンズのデータを図16に示す。
図17には、実施例5の投射用ズームレンズの各種のパラメータを図9に倣って示す。
【0036】
ズーミングに伴う半画角の変動範囲は、以下の通りである。
実施例1 36.1度〜20.0度
実施例2 36.1度〜20.0度
実施例3 40.1度〜26.4度
実施例4 36.1度〜20.0度
実施例5 41.5度〜26.0度
なお、実施例1ないし5のうち、実施例1、3、4、5においては、第6レンズ群6Gが負の屈折力を有し、実施例2では第6レンズ群6Gは正の屈折力を有する。
また、実施例1ないし5の投射用ズームレンズでは、無限遠から有限距離へのフォーカシングを行うのに、第1レンズ群1Gの全系(実施例1、3、5)、若しくは、第1レンズ群1Gに含まれる1枚以上のレンズ(実施例2、4)を光軸方向へ移動させている。
【0037】
図16に、実施例1の投射用ズームレンズの広角端における収差図を示す。
図17に、実施例1の投射用ズームレンズの望遠端における収差図を示す。
図18に、実施例2の投射用ズームレンズの広角端における収差図を示す。
図19に、実施例2の投射用ズームレンズの望遠端における収差図を示す。
図20に、実施例3の投射用ズームレンズの広角端における収差図を示す。
図21に、実施例3の投射用ズームレンズの望遠端における収差図を示す。
図22に、実施例4の投射用ズームレンズの広角端における収差図を示す。
図23に、実施例4の投射用ズームレンズの望遠端における収差図を示す。
図24に、実施例5の投射用ズームレンズの広角端における収差図を示す。
図25に、実施例5の投射用ズームレンズの望遠端における収差図を示す。
これら各収差図は、前述の如く「拡大側に表示された投射画像を物体面」とし、縮小側の「平面画像」の位置を像面として算出したものである。
収差図における「Y」は最大像高で「平面画像OIの対角線長の1/2」であり、実施例1ないし5を通じて「14.6mm」である。コマ収差の図における0Hないし1Hは、この14.6mmを1H、0mmを0Hとして規格化した値である。
【0038】
各収差図において、左側図は球面収差、非点収差、歪曲収差を示し、右側図はコマ収差を示す。球面収差及びコマ収差の図における「R」は波長:620nmの赤色光、「G」は波長:540nmの緑色光、「B」は波長:460nmの青色光に関するものであることを示す。また、非点収差および歪曲収差に関しては、上記緑色光に関するものを示している。非点収差における「T」はタンジェンシアル、「S」はサジタルを示す。
各収差図から明らかなように、各実施例とも、広角端・望遠端ともに良好な性能が実現されている。
【0039】
以下、図26を参照して投射型画像表示装置の実施の形態を2例示す。
図26に示す投射型画像表示装置は、何れもプロジェクタであり、以下、プロジェクタPR1、PR2と称する。繁雑を避けるため投射型ズームレンズは「符号4」で示す。
図26(a)に示すプロジェクタPR1は、液晶パネルを用いる3板式プロジェクタであり、図示のように、3枚の液晶パネルPR、PG、PBが用いられる。液晶パネルPRには「投射画像の赤色成分画像」が表示され、この画像は照明装置LRから放射される波長:620nmの赤色照明光により照明される。赤色照明光は、液晶パネルLRに表示された赤色成分画像により強度変調されて色合成用プリズムPRに入射する。
【0040】
液晶パネルPGには「投射画像の緑色成分画像」が表示され、この画像は照明装置LGから放射される波長:540nmの緑色照明光により照明される。緑色照明光は、液晶パネルLGに表示された緑色成分画像により強度変調されて色合成用プリズムPRに入射する。
【0041】
液晶パネルPBには「投射画像の青色成分画像」が表示され、この画像は照明装置LBから放射される波長:460nmの青色照明光により照明される。青色照明光は、液晶パネルLBに表示された青色成分画像により強度変調されて色合成用プリズムPRに入射する。液晶パネルPR、PG、PBや、照明装置LR、LG、LB等は、制御部CTにより制御される。
【0042】
このようにして、色合成用プリズムに入射した各色光は色合成用プリズムで合成され、投射用ズームレンズ4に入射し、スクリーンS上にカラー画像として拡大投射される。
【0043】
投射用ズームレンズ4としては、請求項1ないし9に記載の任意のものを用いることができ、具体的には、色合成用プリズムPRと組み合わせて上述の実施例1ないし5の何れかのものを好適に用いることができる。
【0044】
図26(b)に示すプロジェクタPR2は、平面画像を表示する画像表示素子としてDMD3を採用した例である。
プロジェクタPR2は、照明系2と、画像表示素子であるDMD3と、投射用ズームレンズ4を有する。
【0045】
投射用ズームレンズ4としては、請求項1ないし9の任意の1に記載されたもの、具体的には実施例1ないし5の何れかのものを用いることができる。プロジェクタPR2では色合成プリズムPRを用いないので、バックフォーカス:Bfは「最も縮小側のレンズ面とDMD3上の平面画像との間の光路長」に等しい。
【0046】
照明系2から前記「R・G・Bの3色の光」を時間的に分離してDMD3の表示面に照射し、各色光が照射されるタイミングで「個々の画素に対応する微小ミラー(マイクロミラー)の傾斜」を制御する。
【0047】
このようにしてDMD3の表示面に「投射されるべき平面画像」が表示され、該平面画像により強度変調された光が、投射用ズームレンズ4によりスクリーンS上に結像され、上記平面画像は拡大投射される。
【0048】
照明系2は、光源21、コンデンサーレンズCL、RGBカラーホイールCW、ミラーMを備えており、これを配置するスペースを「ある程度大きく確保」する必要がある。
【0049】
このため、照明系2からDMD3に入射させる照明光の入射角をある程度大きくする必要がある。投射用ズームレンズ4と照明系2とのスペースの上記の如き関係上、投射用ズームレンズ4のバックフォーカスをある程度確保する必要があり、ミラーMを用いて、照明光の入射角を確保し、投射用ズームレンズ4により必要なバックフォーカスを確保している。
コンデンサーレンズCL、RGBカラーホイールCWとミラーMとは「照明光学系」を構成する。照明光学系や光源21等を制御する「制御部」は、図36(b)において図示を省略されている。
【0050】
以上の如く、この発明によれば以下の如き投射用ズームレンズおよび投射型画像表示装置を実現できる。
[1]
平面画像(OI)を倍率可変で拡大して投射する投射用ズームレンズであって、拡大側から縮小側ヘ向かって順に、負の屈折力を有する第1レンズ群(1G)、正の屈折力を有する第2レンズ群(2G)、負の屈折力を有する第3レンズ群(3G)、正の屈折力を有する第4レンズ群(4G)、正の屈折力を有する第5レンズ群(5G)、負又は正の屈折力を有する第6レンズ群(6G)、正の屈折力を有する第7レンズ群(7G)を配し、且つ、前記第4レンズ群(4G)と前記第5レンズ群(5G)との間に開口絞り(S)を配して構成され、ズーミングに際して第2レンズ群(2G)から第6レンズ群(6G)までが光軸上を移動することにより前記第1レンズ群(1G)ないし第7レンズ群(7G)の群間隔が変化し、広角端における全系の焦点距離:fw、望遠端における全系の焦点距離:ft、広角端から望遠端へのズーミングの際の前記第3レンズ群の拡大側への最大移動量:ΔWT3が、条件:
(1) 1.5 <ft/fw< 3.0
(2) 1.0 <1/(ΔWT3/fw)< 11.0
を満足する投射用ズームレンズ(実施例1ないし5)。
【0051】
[2]
[1]記載の投射用ズームレンズであって、前記第3レンズ群(3G)が、負の屈折力を有する1枚以上のレンズで構成されている投射用ズームレンズ(実施例1ないし5)。
【0052】
[3]
[1]または[2]記載の投射用ズームレンズであって、前記第3レンズ群(3G)を構成するレンズの、d線における屈折率の平均値:Nd3が、条件:
(3) Nd3 <1.65
を満足する投射用ズームレンズ(実施例1ないし5)。
【0053】
[4]
[1]ないし[3]の何れか1に記載の投射用ズームレンズであって、広角端における全系の焦点距離:fw、望遠端における全系の焦点距離:ft、広角端から望遠端へのズーミングの際の前記第4レンズ群(4G)の最大移動量:ΔWT4が、条件:
(4) 0.3 <1/(ΔWT4/fw)< 1.0
を満足する投射用ズームレンズ(実施例1ないし5)。
【0054】
[5]
[1]ないし[4]の何れか1に記載の投射用ズームレンズであって、前記第4レンズ群(4G)が、正の屈折力を有する1枚以上のレンズで構成されている投射用ズームレンズ(実施例1ないし5)。
【0055】
[6]
[1]ないし[5]の何れか1に記載の投射用ズームレンズであって、前記第4レンズ群(4G)を構成するレンズの、d線における屈折率の平均値:Nd4が、条件:
(5) 1.75 <Nd4
を満足する投射用ズームレンズ(実施例1ないし5)。
【0056】
[7]
[1]ないし[6]の何れか1に記載の投射用ズームレンズであって、前記第4レンズ群(4G)を構成するレンズのd線におけるアッベ数の平均値:νd4が条件:
(6) 40.0 <νd4
を満足する投射用ズームレンズ(実施例1ないし5)。
【0057】
[8]
[1]ないし[7]の何れか1に記載の投射用ズームレンズであって、フォーカシングに際して、前記第1レンズ群(1G)全系若しくは前記第1レンズ群(1G)に含まれる1枚以上のレンズが光軸方向へ移動する投射用ズームレンズ(実施例1ないし5)。
[9]
[1]ないし[8]の何れか1に記載の投射用ズームレンズであって、前記第7レンズ群(7G)が、正の屈折力を持つ1枚のレンズのみで構成されている投射用ズームレンズ(実施例1ないし5)。
【0058】
[10]
画像表示素子(PR、PG、PB、3)に表示される平面画像を、倍率可変で拡大して投射表示する投射型画像表示装置(PR1、PR2)であって、平面画像を倍率可変で拡大して投射する投射用ズームレンズ(4)として、[1]ないし[9]の何れか1に記載の投射用ズームレンズを用いる投射型画像表示装置(図26)。
【0059】
以上、発明の好ましい実施の形態について説明したが、この発明は上述した特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
この発明の実施の形態に記載された効果は、発明から生じる好適な効果を列挙したに過ぎず、発明による効果は「実施の形態に記載されたもの」に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0060】
1G 第1レンズ群
2G 第2レンズ群
3G 第3レンズ群
4G 第4レンズ群
S 開口絞り
5G 第5レンズ群
6G 第6レンズ群
7G 第7レンズ群
PR 色合成凹プリズム
OI 平面画像
【先行技術文献】
【特許文献】
【0061】
【特許文献1】特開2011− 28123号公報
【特許文献2】特開2008−275713号公報
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