(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記レセプタクル端子の前記弾性接触片の少なくとも一部は、前記嵌合凹部の一方の内壁から露出し、前記固定接触片の少なくとも一部は、前記一方の内壁と対向する他方の内壁から露出したこと
を特徴とする請求項1に記載のコネクタ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の従来例のように、基板間を接続するコネクタ装置は、単に、基板側コネクタの端子の凸状の接点が、ケーブル側コネクタの端子の表面に弾性接触することで、嵌合状態を維持しているため、振動等により生じる力が基板側コネクタ、ケーブル側コネクタ及びケーブル等に加わることで、嵌合状態が解除されて当該コネクタが抜けてしまうおそれがある。例えば、工作機械やロボットアーム等に用いられるサーボ機構の内部基板では、緩急のある動作や振動等により生じる力が基板側コネクタ、ケーブル側コネクタ及びケーブル等に頻繁に加わるため、基板側コネクタの端子とケーブル側コネクタの端子の嵌合状態を維持する弾性力が弱まることで、最終的に互いの端子が接触していない状態になるという問題が生じ得る。
【0006】
そこで、ケーブル側コネクタ(第一コネクタ)の柱状の端子の表面に、凸状又は凹状の嵌合部を設け、基板側コネクタ(第二コネクタ)のU字状の端子の固定接触片に、凹状又は凸状の被嵌合部を設けて、コネクタ同士を接続した際に、ケーブル側コネクタの端子の表面に設けた嵌合部が、基板側コネクタの端子の固定接触片に設けた被嵌合部に嵌り合うことで、当該コネクタが抜けることを防止する力(抜去力)を強化した構造を有するコネクタ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの実施形態に係るコネクタ装置は、プラグ端子及び該プラグ端子を支持するプラグハウジングを少なくとも備え、ケーブルと接続される第一コネクタと、
レセプタクル端子及び該レセプタクル端子を支持するレセプタクルハウジングを少なくとも備え、基板に実装される第二コネクタと
を含み、
前記プラグ端子は、一方の側に接触面と、他方の側に嵌合部を備え、
前記レセプタクル端子は、一方の側に接点部を設けた弾性接触片と、他方の側に被嵌合部を設けた固定接触片を備え、
前記第一コネクタと前記第二コネクタとが接続された際に、前記プラグ端子の一部が前記レセプタクル端子の前記弾性接触片と前記固定接触片との間に配置されるとともに、前記レセプタクル端子の前記弾性接触片により生じる弾性力によって、前記プラグ端子の前記接触面が、前記レセプタクル端子の前記接点部で押され、
前記プラグ端子の前記嵌合部が、前記レセプタクル端子の前記被嵌合部に嵌め込まれるように構成されたことを特徴とする。
【0008】
本発明に係るコネクタ装置の好ましい実施形態として、
前記固定接触片は、前記レセプタクルハウジングの内壁に当接して外側に拡がらないように構成されたことを特徴とする。
【0009】
本発明に係るコネクタ装置の好ましい実施形態として、
前記プラグハウジングは、一方の側から前記プラグ端子の前記接触面を露出し、他方の側から前記プラグ端子の前記嵌合部を露出した嵌合凸部を備え、
前記レセプタクルハウジングは、前記嵌合凸部を受け入れて嵌合するように構成された嵌合凹部を備え、
前記レセプタクル端子の前記弾性接触片の少なくとも一部は、前記嵌合凹部の一方の内壁から露出し、前記固定接触片の少なくとも一部は、前記一方の内壁と対向する他方の内壁から露出したことを特徴とする。
【0010】
本発明に係るコネクタ装置の好ましい実施形態として、
前記プラグハウジングは、前記プラグ端子を2つ以上含み、
前記嵌合部は、前記2つ以上のプラグ端子のうち少なくとも1つに備え、
前記レセプタクルハウジングは、前記プラグ端子と同じ数の前記レセプタクル端子を含み、
前記被嵌合部は、前記嵌合部を備えた前記プラグ端子と接続される前記レセプタクル端子に備えられたことを特徴とする。
【0011】
本発明に係るコネクタ装置の好ましい実施形態として、
前記嵌合部は凹状に形成され、前記被嵌合部は凸状に形成されたことを特徴とする。
【0012】
本発明に係るコネクタ装置の好ましい実施形態として、
前記嵌合部は凸状に形成され、前記被嵌合部は凹状に形成されたことを特徴とする。
【0013】
本発明に係るコネクタ装置の好ましい実施形態として、
前記プラグハウジング及び前記レセプタクルハウジングは、前記プラグ端子及び前記レセプタクル端子をそれぞれ4つ含み、
前記プラグ端子のすべてに前記嵌合部を備え、前記レセプタクル端子のすべてに前記被嵌合部を備えられたことを特徴とする。
【0014】
本発明に係るコネクタ装置の好ましい実施形態として、
前記プラグハウジングは、前記嵌合凸部にプラグ係合部を備え、
前記レセプタクルハウジングは、前記嵌合凹部の内壁にレセプタクル係合部を備え、
前記嵌合凸部が前記嵌合凹部に挿入された際に、前記プラグ係合部が前記レセプタクル係合部と係り合うように構成されたことを特徴とする。
【0015】
本発明に係るコネクタ装置の好ましい実施形態として、
前記プラグ係合部は、前記嵌合凸部から前記プラグ端子の前記接触面及び前記嵌合部を露出した部分を間に挟んだ両側側部にそれぞれ備えられ、
前記レセプタクル係合部は、前記嵌合凹部から前記レセプタクル端子の前記弾性接触片を露出した内壁及び前記固定接触片を露出した内壁を間に挟んで対向する内壁にそれぞれ備えられたことを特徴とする。
【0016】
本発明に係るコネクタ装置の好ましい実施形態として、
前記レセプタクル端子は、基部を介してU字状に、前記弾性接触片と前記固定接触片を備え、
前記弾性接触片は、前記基板から遠い上側にあり、前記固定接触片は前記基板から近い下側にあることを特徴とする。
【0017】
本発明に係るコネクタ装置の好ましい実施形態として、
前記レセプタクル端子は、基部を介してU字状に、前記弾性接触片と前記固定接触片を備え、
前記弾性接触片は、前記基板から近い下側にあり、前記固定接触片は前記基板から遠い上側にあることを特徴とする。
【0018】
本発明に係るコネクタ装置の好ましい実施形態として、
前記第二コネクタは、前記第一コネクタとの嵌合方向が基板に対して垂直となる向きで、前記基板に実装されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
ケーブル側コネクタ(第一コネクタ)のプラグ端子の一方の側に接触面を設け、他方の側に嵌合部を設け、基板側コネクタ(第二コネクタ)のレセプタクル端子の一方の側の弾性接触片に接点部を設け、他方の側の固定接触片に被係合部を設けたことで、コネクタ同士を接続した際に、レセプタクル端子の弾性接触片により生じる弾性力によって、弾性接触片に設けられた接点部がプラグ端子の接触面を押し込み、プラグ端子の嵌合部が、レセプタクル端子の固定接触片に設けられた被嵌合部に強く嵌め込まれるため、振動等により生じる力が、基板側コネクタ、ケーブル側コネクタ及びケーブル等に加わっても、コネクタ同士の嵌合状態を維持でき、当該コネクタが抜けることを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。なお、実施の形態を説明するための全ての図において、同一部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係るコネクタ装置を示す。コネクタ装置1は、基板側コネクタ(第二コネクタ)20とケーブル側コネクタ(第一コネクタ)40を含む。基板側コネクタ20は、レセプタクルハウジング21と、レセプタクル端子30と、補強金具25から構成される。レセプタクルハウジング21は、基板10に対して、基板側コネクタ20とケーブル側コネクタ40との嵌合方向が実質的に平行となる向きで、基板10に実装される。レセプタクルハウジング21は、絶縁性の樹脂から成型され、ケーブル側コネクタ40の嵌合凸部42を受け入れて、嵌合するように構成された嵌合凹部22を備える。嵌合凹部22は、矩形状に成型されて4つの内壁を有するが、当該形状に限定されるものではなく、嵌合凸部42と嵌合できる形状であればどのような形状でもよい。
【0023】
嵌合凹部22の内壁は、一方の側の内壁からレセプタクル端子30の弾性接触片31(
図3参照)の少なくとも一部を露出し、他方の側の内壁からレセプタクル端子30の固定接触片32(
図3参照)の少なくとも一部を露出するように形成される。
図1(及び
図3)に示す実施形態では、基板10から遠い側(上側)の内壁から弾性接触片31を露出し、基板10から近い側(下側)の内壁から固定接触片32を露出する。
【0024】
嵌合凹部22からレセプタクル端子30の弾性接触片31(
図3参照)を露出した内壁及び固定接触片32(
図3参照)を露出した内壁を間に挟んで対向する内壁に、コネクタの嵌合方向に沿って溝状に形成され、嵌合凸部42のプラグ係合部43と係合するように構成されたレセプタクル係合部23が設けられる。
図1に示す実施形態では、上側の内壁と下側の内壁を間に挟んで向き合う左右両側の内壁に、レセプタクル係合部23が設けられる。
【0025】
レセプタクル係合部23は、溝状の形状に限定されるものではなく、プラグ係合部43の形状に合わせて構成することができる。例えば、レセプタクル係合部23をコネクタの嵌合方向に沿って畝状に形成することもできる。
【0026】
ガイド部24は、嵌合凹部22の内壁に、コネクタの嵌合方向に沿って溝状に形成され、嵌合凸部42の位置合わせ部44を受け入れるように構成される。ガイド部24の形状は、溝状に限定されるものではなく畝状であってもよい。また、ガイド部24は、嵌合凹部22の上側の内壁に設けられるが、この位置に限定されるものではなく、嵌合凸部42の位置に対応して、嵌合凹部22の内壁に設けることができる。
【0027】
図1に示す実施形態では、4つのレセプタクル端子30が、コネクタの嵌合方向に対して直交し、基板10に対して水平な方向に沿って並べられるが、4つに限定されるものではなく、2つ以上の端子を備えることができる。
【0028】
レセプタクルハウジング21の側部には、基板側コネクタ20の基板10への実装を補強するための補強金具25が設けられる。補強金具25は、コネクタの嵌合方向に対して直交する方向にある両側側部にそれぞれ設けられ、基板10上の実装用パッド26に実装される。基板側コネクタ20の基板への実装の強度が十分であれば、補強金具25を設けなくてもよい。
【0029】
ケーブル側コネクタ40は、プラグハウジング41とプラグ端子50から構成され、ケーブル12と接続される。プラグハウジング41は、絶縁性の樹脂から成型され、基板側コネクタ20の嵌合凹部22に挿入して、嵌合するように構成された嵌合凸部42を、ケーブル12の延出方向の先端側に備える。嵌合凸部42は、矩形状に成型されて4つの外壁を有するが、当該形状に限定されるものではなく、嵌合凹部22と嵌合できる形状であればどのような形状でもよい。
【0030】
嵌合凸部42の外壁は、一方の側の外壁からプラグ端子50の接触面51(
図3参照)を露出し、他方の側の外壁からプラグ端子50の嵌合部53(
図3参照)を露出するように形成される。
図1(及び
図3)に示す実施形態では、上側の外壁から接触面51を露出し、下側の外壁から嵌合部53を露出する。
【0031】
嵌合凸部42の両側の側壁に、コネクタの嵌合方向に沿って畝状に形成され、嵌合凹部22のレセプタクル係合部23と係合するように構成されたプラグ係合部43が設けられる。
図1に示す実施形態では、プラグ端子50の接触面51(
図3参照)を露出した外壁及び嵌合部53(
図3参照)を露出した外壁ではなく、コネクタの嵌合方向に対して直交して並べられた4つのプラグ端子50の配列方向にある両側の外壁(側壁)に、それぞれプラグ係合部43が設けられる。
【0032】
プラグ係合部43は、畝状の形状に限定されるものではなく、レセプタクル係合部23の形状に合わせて構成することができる。例えば、プラグ係合部43をコネクタの嵌合方向に沿って溝状に形成することもできる。
【0033】
位置合わせ部44は、嵌合凸部42の外壁に、コネクタの嵌合方向に沿ったリブのように畝状に形成され、嵌合凹部22のガイド部24に受け入れられるように構成される。位置合わせ部44の形状は、畝状に限定されるものではなく溝状であってもよい。また、位置合わせ部24は、嵌合凸部42の上側の外壁に設けられるが、この位置に限定されるものではなく、嵌合凹部22の位置に対応して、嵌合凸部42の外壁に設けることができる。ガイド部24を受け入れる位置合わせ部44を設けたことにより、基板側コネクタ20とケーブル側コネクタ40の接続時に、コネクタ同士のズレをなくして位置を合せて、嵌合凹部22に嵌合凸部42をスムーズに差し込むことができる。
【0034】
図1に示す実施形態では、4つのプラグ端子50が、コネクタの嵌合方向に対して直交する方向に沿って並べられるが、4つに限定されるものではなく、2つ以上の端子を備えることができる。また、基板側コネクタ20は、ケーブル側コネクタ40との嵌合方向が基板10に対して平行となる向きで、基板10に実装されているが、これに限定されるものではなく、後述する
図10から
図12に示す別の実施形態のように、基板10に対して垂直となる向きで実装することができる。
【0035】
図2は、コネクタ装置の接続前の状態を示す上面図である。基板10には、基板側コネクタ20の補強金具25を実装する実装用パッド26の他に、レセプタクル端子30の実装部36(
図3参照)を実装して、電気的に接続するための実装用パッド27が設けられる。直線A−Aでコネクタ装置1を基板10に対して垂直に切断した断面図を
図3に示し、直線B−Bでコネクタ装置1を基板10に対して垂直に切断した断面図を
図4に示す。
【0036】
図3に示されるように、レセプタクル端子30の弾性接触片31は、レセプタクルハウジング21の一方の側(
図3では上側)の内壁に当接しておらず、弾性を有することができる。固定接触片32は、外側に拡がらないように、レセプタクルハウジング21の他方の側(
図3では下側)の内壁に当接して支持される。レセプタクルハウジング21の下側の内壁であって、固定接触片32を当接していない部分の内壁には、プラグハウジング41のランス部45を受け入れるように、平面状のランス受部28が設けられる。ランス受部28の端部にはテーパーを設けることもできる。
【0037】
また、
図3に加えて、
図8に示されるレセプタクル端子の斜視図を参照すると、レセプタクル端子30は、基部37を介して弾性接触片31と固定接触片32を備え、U字状に形成される。弾性接触片31は、基板10から遠い側(上側)にあり、固定接触片32は基板10から近い側(下側)にあるように構成される。
図3及び
図8に示される実施形態の他に、弾性接触片31は、基板10から近い側(下側)にあり、固定接触片32は基板10から遠い側(上側)にあるように、上下逆に構成することもできる。レセプタクル端子の上下逆の構成に伴い、当然のことながらレセプタクルハウジング21の内壁の構成も上下逆の構成とすることができる。
【0038】
レセプタクル端子30は、導電性の金属から打ち抜いて形成することができる。弾性接触片31の先端部分には、接点部33が設けられる。
図3及び
図8に示される実施形態では、接点部33は、U字状のレセプタクル端子30の内側方向(嵌合方向と端子配列方向との両方向に対して直交した方向)に突出した形状であるが、当該形状に限定されるものではなく、プラグ端子50の接触面51に強く当接して電気的接続を維持できる形状であればどのような形状でもよい。また、レセプタクル端子30は、圧入部35によってレセプタクルハウジング21内の樹脂部分に圧入されて、抜けないように固定することができる。そして、レセプタクル端子30は、基部37から基板10に向かって延出した実装部36によって、実装用パッド27に半田付け等で実装することができる。
【0039】
固定接触片32には、弾性接触片31と対向する縁部分(U字状のレセプタクル端子30の内側の縁部分)であって、被嵌合部34が接点部33と実質的に向き合った(斜めに向き合った)先端側の位置に設けられ、圧入部35が後端側の位置に設けられる。
図3及び
図8に示される実施形態では、被嵌合部34は、U字状のレセプタクル端子30の内側方向に突出した凸部のような形状であるが、当該形状に限定されるものではなく、プラグ端子50の嵌合部53と嵌り合ってコネクタ同士の嵌合状態を維持できる形状であれば、凹部のような形状などどのような形状でもよい。
【0040】
他方、プラグ端子50は、
図3に示されるように、接触面51を嵌合凸部42の一方の側(
図3では上側)から露出する。接触面51は、レセプタクル端子30の弾性接触片31に設けられた接点部33と接触するように構成された比較的強直な(弾性を有さない)面である。もう一方の接触面である弾性面52は、嵌合凸部42の他方の側(
図3では下側)から露出し、露出した面には嵌合部53が設けられた弾性を有する面である。嵌合部53は、レセプタクル端子30の固定接触片32に設けられた被嵌合部34と嵌り合って接触するように構成される。
【0041】
図3に示す実施形態では、被嵌合部34が凸部として形成され、嵌合部53が凹部として形成されているが、これらの形状に限定されるものではなく、被嵌合部34が凹部として形成され、嵌合部53が凸部として形成されてもよく、その他、被嵌合部34と嵌合部53とが嵌り合うことによって抜去方向(嵌合方向に沿った方向であって、ケーブル側コネクタ40を基板側コネクタ20から抜き去る方向。
図2から7における左手方向)への抜去力に抗する形状であればどのような形状でもよい。また、
図3に示す実施形態では、プラグハウジング41及びレセプタクルハウジング21は、プラグ端子50及びレセプタクル端子30をそれぞれ4つ含み、プラグ端子50のすべてに嵌合部53を備え、レセプタクル端子30のすべてに被嵌合部34を備えているが、この実施形態に限定されるものではない。嵌合部53は、全てのプラグ端子50に設ける必要はなく、2つ以上のプラグ端子50のうち少なくとも1つに設けられ、嵌合部53を設けたプラグ端子50と接続されるレセプタクル端子30に被嵌合部34を設けることができる。
【0042】
プラグ端子50はケーブル12と接続するための芯線カシメ部54、被覆カシメ部55(
図9参照)を備えており、芯線カシメ部54は、ケーブル12の芯線14とともにカシメることで、芯線14とプラグ端子50を圧着させて電気的に接続することができる。そして、プラグ端子50の後端部分にある被覆カシメ部55(
図9参照)は、ケーブル12の被覆とともにカシメることで、プラグ端子50からケーブル12が抜けないようにすることができる。
【0043】
プラグハウジング41は、プラグ端子50の弾性面52及び嵌合部53が露出した側(
図3では下側)に、後端部分から先端方向に延出したランス部45を備える。ランス部45の先端は、接触面51と弾性面52との間のプラグ端子50の内側に位置し、当該先端部分は弾性面52の後端側の縁部に近接する位置まで延出する。ランス部45は、プラグ端子50の数に応じて、1つ以上設けることができる。
【0044】
図3に加えて、
図9に示されるプラグ端子の斜視図を参照すると、一方の側(
図3では上側)に比較的強直な接触面51を備え、他方の側(
図3では下側)の弾性を有する弾性面52上に嵌合部53を備える。プラグ端子50は、導電性の金属から打ち抜いて、打ち抜かれた板状の金属を折り曲げて筒状(棒状)に形成することができる。弾性面52は、プラグ端子50の先端側の一方の側壁から延出した部分を折り曲げて形成した面であり、弾性を有する。また、弾性面52の先端側の縁部には、レセプタクル端子30に嵌め易くするためのテーパー部56を設けることができる。同様に、側壁の先端側の端部にも、テーパー部57を設けることができる。また、先端部58は、接触面51の先端側の端部から延出した部分を折り曲げて形成することができ、レセプタクル端子30の接点部33との接触をスムースにすることができる。
【0045】
図4に示されるように、レセプタクルハウジング21は、嵌合方向に沿って内壁を溝状に形成したレセプタクル係合部23を備える。レセプタクル係合部23は、嵌合凹部22内の内壁であって、弾性接触片31及び固定接触片32を露出していない2つの内壁(
図3では、基板10に対して垂直な2つの内壁)にそれぞれ嵌合方向に沿って溝状に形成することができる。また、プラグハウジング41は、嵌合方向に沿って側壁を畝状に形成したプラグ係合部43を備える。プラグ係合部43は、嵌合凸部42の側壁であって、接触面51及び弾性面52(嵌合部53)を露出していない2つの側壁にそれぞれに形成することができる。つまり、プラグ係合部43は、嵌合凸部42からプラグ端子50の接触面51及び嵌合部53を露出した部分を間に挟んだ両側側部にそれぞれ備えられる。
【0046】
レセプタクル係合部23は、プラグ係合部43と係り合うように、嵌合凹部22の開口部分の溝の幅を狭く形成される。プラグ係合部43は、レセプタクル係合部23と係り合うように、畝の中間部分の幅を広く形成される。
【0047】
図5は、コネクタ装置の接続後の状態を示す上面図である。プラグハウジング41の嵌合凸部42が、レセプタクルハウジング21の嵌合凹部22に嵌合された状態の断面図を、
図6及び
図7に示す。具体的には、直線A−Aでコネクタ装置1を基板10に対して垂直に切断した断面図を
図6に示し、直線B−Bでコネクタ装置1を基板10に対して垂直に切断した断面図を
図7に示す。
【0048】
図6の断面図に示されるように、プラグ端子50の一部がレセプタクル端子30の弾性接触片31と固定接触片32との間に配置され、弾性接触片31に設けられた接点部33が、弾性力によってプラグ端子50の一方の側の接触面51を固定接触片32側に向けて押し込むことで、他方の側の嵌合部53が、固定接触片32に設けられた被嵌合部34に押し込まれる。このような構成によって、嵌合部53が、被嵌合部34に強く嵌め込まれるため、振動等により生じる力が、基板側コネクタ、ケーブル側コネクタ及びケーブル等に加わっても、コネクタ同士の嵌合状態を維持でき、当該コネクタが抜けることを防止することができる。
【0049】
特に、本実施形態のように、複数のレセプタクル端子30及びプラグ端子50を備えたコネクタ装置1においては、当該端子30、50の数だけ抜去力を向上させることができるとともに、端子の配列方向において端子30、50が配置されている複数の位置でそれぞれ抜去力を高めることができる。したがって、例えば、ケーブル側コネクタ20に対して嵌合方向に沿った抜去力が加わった場合には複数の端子30、50で均等にその抜去力に抗することができ、嵌合方向に対して斜めの抜去力が加わった場合にはある位置の特定の端子30、50のみに過大な力が加わることなく抜去力に対しても抗うことができる。
【0050】
プラグハウジング41のランス部45は、弾性を有しているので、レセプタクルハウジング21のランス受部28に当接した際に変形し、コネクタ装置1の接続前に接触面51と弾性面52との間のプラグ端子50の内側に位置していたランス部45の先端は、よりプラグ端子50の内側(接触面51側)に移動する。つまり、
図6に示す実施形態では、ランス部45の変形により、その先端は、弾性面52よりも、より上方に移動する。これにより、コネクタ装置1の接続後に、例えば、ケーブル12が強く引っ張られて、芯線カシメ部54及び被覆カシメ部55によってケーブル12と圧着接続されたプラグ端子50自体が後端方向にずらそうとする力が生じたとしても、プラグ端子50の接触面51の後端側縁部が、プラグハウジング41のランス部45の先端部分に当たるため、プラグ端子50自体が、プラグハウジング41から抜けることも防止することができる。
【0051】
図7の断面図に示されるように、プラグ端子50の一部がコネクタ装置1の接続時に、プラグ係合部43の畝の幅の広い部分が、レセプタクル係合部23の溝の幅の狭い部分を通り過ぎて、プラグ係合部43とレセプタクル係合部23が互いに係り合うことで、プラグハウジング41がレセプタクルハウジング21から抜けることも防止することができる。
【0052】
本実施形態では、上述したレセプタクル端子30及びプラグ端子50による抜去力の向上に加え、レセプタクルハウジング21及びプラグハウジング41による抜去力の向上によってより一層、抜去力を高めることができる。特に、金属製の端子によるものと樹脂製のハウジングによるもののように、その性質、構造を異にするものを1つのコネクタ装置に含めることで、様々な条件において抜去力を高めることができる。
【0053】
図10は、本発明の別の実施形態に係るコネクタ装置の接続前の状態を示す図である。コネクタ装置2は、レセプタクルハウジング21の嵌合凹部22を、基板10に対して上方に向けて構成した基板側コネクタ20’と、ケーブル側コネクタ40を含む。直線A−Aでコネクタ装置2を基板10に対して垂直に切断した断面図を
図11に示し、直線B−Bでコネクタ装置2を基板10に対して垂直に切断した断面図を
図12に示す。
【0054】
ケーブル側コネクタ40の構成は、
図11及び
図12に示されるように、先の実施形態(
図1から7等参照)と同様である。基板側コネクタ20’は、
図11に示されるように、レセプタクル端子30’の実装部38の形状が、先の実施形態(
図3、
図6及び
図8等参照)のレセプタクル端子30の実装部36の形状と異なる。基板側コネクタ20’のレセプタクル端子30’は、弾性接触片31と固定接触片32が基板10に対して垂直方向を向くように構成された実装部38を含む。レセプタクル端子30’は、固定接触片32から基板10に向かって延出し、基板10に沿って水平に広がった実装部38によって、実装用パッド(図示せず)に半田付け等で実装することができる。基板側コネクタ20’のその他の構成は、先の実施形態(
図1から7等参照)と同様である。
【0055】
本発明の個々の実施形態は、独立した実施形態ではなく、それぞれ組み合わせて適宜実施することができる。