(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フェーズコントローラは、前記第1同期整流トランジスタおよび前記第2同期整流トランジスタのターンオフに対応する前記パルス信号のエッジに応じて、前記第1状態と前記第2状態を切りかえることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の同期整流コントローラ。
前記フェーズコントローラは、クロック端子に前記パルス信号の反転信号を受け、入力端子に自身の反転出力を受けるフリップフロップを含み、前記フリップフロップの状態に応じて、前記第1状態と前記第2状態を切りかえることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の同期整流コントローラ。
前記第1状態において前記第1しきい値および前記第2しきい値は前記第1同期整流トランジスタのソース電圧を基準に生成され、前記第2状態において前記第1しきい値および前記第2しきい値は前記第2同期整流トランジスタのソース電圧を基準に生成されることを特徴とする請求項3に記載の同期整流コントローラ。
前記フェーズコントローラは、前記第1同期整流トランジスタおよび前記第2同期整流トランジスタのターンオフに対応する前記パルス信号のエッジに応じて、前記第1状態と前記第2状態を切りかえることを特徴とする請求項9から11のいずれかに記載の絶縁同期整流型DC/DCコンバータ。
前記フェーズコントローラは、クロック端子に前記パルス信号の反転信号を受け、入力端子に自身の反転出力を受けるフリップフロップを含み、前記フリップフロップの状態に応じて、前記第1状態と前記第2状態を切りかえることを特徴とする請求項9から12のいずれかに記載の絶縁同期整流型DC/DCコンバータ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
LLC共振コンバータのさらなる高効率化のためには、二次側の整流ダイオードD
21,D
22をMOSFETに置換した同期整流型が有力である。同期整流型の場合、二次側の同期整流トランジスタのスイッチングを制御する同期整流コントローラが必要となるため、実装面積(回路面積)が増加する。
【0009】
本発明はかかる状況においてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、小型の同期整流コントローラの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のある態様は、絶縁同期整流型のDC/DCコンバータの同期整流コントローラに関する。同期整流コントローラは、第1同期整流トランジスタのゲートと接続されるべき第1ゲートピンと、第1同期整流トランジスタのドレインと接続されるべき第1ドレインピンと、第2同期整流トランジスタのゲートと接続されるべき第2ゲートピンと、第2同期整流トランジスタのドレインと接続されるべき第2ドレインピンと、接地と接続されるべきソースピンと、第1状態において第1ドレインピンの電圧を選択し、第2状態において第2ドレインピンの電圧を選択するマルチプレクサと、マルチプレクサの出力電圧にもとづいてパルス信号を生成するパルス発生器と、第1状態においてパルス信号に応じて第1同期整流トランジスタをスイッチングし、第2状態においてパルス信号に応じて第2同期整流トランジスタをスイッチングする駆動回路と、第1状態と第2状態を切りかえるフェーズコントローラと、を備える。
【0011】
この態様によると、第1同期整流トランジスタと第2同期整流トランジスタの2つの駆動系統において、パルス発生器を共通化することにより、同期整流コントローラの回路面積を小さくでき、ひいてはDC/DCコンバータの回路面積を小さくできる。
【0012】
パルス発生器は、マルチプレクサの出力電圧を第1しきい値と比較し、セット信号を生成するセットコンパレータと、マルチプレクサの出力電圧を第2しきい値と比較し、リセット信号を生成するリセットコンパレータと、セット信号に応じてオンレベルに遷移し、リセット信号に応じてオフレベルに遷移するパルス信号を生成するロジック回路と、を含んでもよい。これにより2個のコンパレータと1個のロジック回路に相当する面積を小さくできる。
【0013】
駆動回路は、第1同期整流トランジスタを駆動する第1ドライバと、第2同期整流トランジスタを駆動する第2ドライバと、第1状態においてパルス信号を第1ドライバに供給し、第2ドライバにオフレベルの信号を供給し、第2状態においてパルス信号を第2ドライバに供給し、第1ドライバにオフレベルの信号を供給するデマルチプレクサと、を含んでもよい。
【0014】
フェーズコントローラは、第1同期整流トランジスタおよび第2同期整流トランジスタのターンオフに対応するパルス信号のエッジに応じて、第1状態と第2状態を切りかえてもよい。これにより第1同期整流トランジスタと第2同期整流トランジスタの同時オンを防止できる。
【0015】
フェーズコントローラは、クロック端子にパルス信号の反転信号を受け、入力端子に自身の反転出力を受けるフリップフロップを含み、フリップフロップの状態に応じて、第1状態と第2状態を切りかえてもよい。
【0016】
同期整流コントローラは、ひとつの半導体基板に一体集積化されてもよい。「一体集積化」とは、回路の構成要素のすべてが半導体基板上に形成される場合や、回路の主要構成要素が一体集積化される場合が含まれ、回路定数の調節用に一部の抵抗やキャパシタなどが半導体基板の外部に設けられていてもよい。回路を1つのチップ上に集積化することにより、回路面積を削減することができるとともに、回路素子の特性を均一に保つことができる。
【0017】
本発明の別の態様は絶縁同期整流型DC/DCコンバータに関する。絶縁同期整流型DC/DCコンバータは、上述の同期整流コントローラを備えてもよい。
【0018】
本発明の別の態様は、絶縁同期整流型DC/DCコンバータである。この絶縁同期整流型DC/DCコンバータは、一次巻線および二次巻線を有するトランスと、一次巻線と直列に接続される共振キャパシタと、一次巻線と共振キャパシタの直列接続に交流電圧を印加するインバータと、二次巻線と接続される第1同期整流トランジスタおよび第2同期整流トランジスタと、第1状態において第1同期整流トランジスタのドレイン電圧を選択し、第2状態において第2同期整流トランジスタのドレイン電圧を選択するマルチプレクサと、マルチプレクサの出力電圧にもとづいてパルス信号を生成するパルス発生器と、第1状態においてパルス信号に応じて第1同期整流トランジスタをスイッチングし、第2状態においてパルス信号に応じて第2同期整流トランジスタをスイッチングする駆動回路と、第1状態と第2状態を切りかえるフェーズコントローラと、を備える。
【0019】
パルス発生器は、マルチプレクサの出力電圧を第1しきい値と比較し、セット信号を生成するセットコンパレータと、マルチプレクサの出力電圧を第2しきい値と比較し、リセット信号を生成するリセットコンパレータと、セット信号に応じてオンレベルに遷移し、リセット信号に応じてオフレベルに遷移するパルス信号を生成するロジック回路と、を含んでもよい。
【0020】
駆動回路は、第1同期整流トランジスタを駆動する第1ドライバと、第2同期整流トランジスタを駆動する第2ドライバと、第1状態においてパルス信号を第1ドライバに供給し、第2ドライバにオフレベルの信号を供給し、第2状態においてパルス信号を第2ドライバに供給し、第1ドライバにオフレベルの信号を供給するデマルチプレクサと、を含んでもよい。
【0021】
フェーズコントローラは、第1同期整流トランジスタおよび第2同期整流トランジスタのターンオフに対応するパルス信号のエッジに応じて、第1状態と第2状態を切りかえてもよい。これにより第1同期整流トランジスタと第2同期整流トランジスタの同時オンを防止できる。
【0022】
フェーズコントローラは、クロック端子にパルス信号の反転信号を受け、入力端子に自身の反転出力を受けるフリップフロップを含み、フリップフロップの状態に応じて、第1状態と第2状態を切りかえてもよい。
【0023】
本発明の別の態様は電子機器に関する。電子機器は、負荷と、商用交流電圧を全波整流するダイオード整流回路と、ダイオード整流回路の出力電圧を平滑化し、直流入力電圧を生成する平滑キャパシタと、直流入力電圧を降圧して負荷に供給する上述の絶縁同期整流型DC/DCコンバータと、を備えてもよい。
【0024】
本発明の別の態様は電源アダプタに関する。電源アダプタは、商用交流電圧を全波整流するダイオード整流回路と、ダイオード整流回路の出力電圧を平滑化し、直流入力電圧を生成する平滑キャパシタと、直流入力電圧を降圧して負荷に供給する上述の絶縁同期整流型DC/DCコンバータと、を備えてもよい。
【0025】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。さらに、この課題を解決するための手段の記載は、すべての欠くべからざる特徴を説明するものではなく、したがって、記載されるこれらの特徴のサブコンビネーションも、本発明たり得る。
【発明の効果】
【0026】
本発明のある態様によれば、同期整流コントローラ、ひいてはDC/DCコンバータを小型化できる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0029】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合や、部材Aと部材Bが、電気的な接続状態に影響を及ぼさず、あるいは機能を阻害しない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0030】
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、電気的な接続状態に影響を及ぼさず、あるいは機能を阻害しない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0031】
図2は、実施の形態に係る絶縁型のDC/DCコンバータ200の回路図である。DC/DCコンバータ200は、たとえばLLC共振コンバータであり、その入力端子P
1に入力電圧V
INを受け、所定の目標電圧に安定化された直流の出力電圧V
OUTを生成し、その出力端子P
2に接続される負荷(不図示)に供給する。
【0032】
DC/DCコンバータ200は同期整流型であり、インバータ202、フィードバック回路204、共振キャパシタC
r、トランスT
1、同期整流トランジスタM
21,M
22、出力キャパシタC
1、一次側コントローラ300、同期整流コントローラ(二次側コントローラ)400を備える。
【0033】
トランスT
1は、一次巻線W
1および二次巻線W
21,W
22を有する。DC/DCコンバータ200の一次側において、共振キャパシタC
r、トランスT
1の漏れインダクタンスL
rおよびトランスT
1の一次巻線W
1はLLC型の直列共振回路206を形成する。インバータ202は、ハイサイドトランジスタM
11、ローサイドトランジスタM
12を含むハーフブリッジ回路であり、その出力203は直列共振回路206と接続され、直列共振回路206の両端間に、交流の駆動電圧V
DRVを印加する。
【0034】
第1同期整流トランジスタM
21のソースは接地され、そのドレインは二次巻線W
21の一端と接続される。同様に第2同期整流トランジスタM
22のソースは接地され、そのドレインは二次巻線W
22の一端と接続される。2つの二次巻線W
21、二次巻線W
22の接続ノードは出力端子P
2と接続されており、出力キャパシタC
1は出力端子P
2と接地の間に設けられる。
【0035】
同期整流コントローラ400は、ひとつの半導体基板に集積化されたIC(Integrated Circuit)であり、第1同期整流トランジスタM
21および第2同期整流トランジスタM
22を駆動する。
【0036】
フィードバック回路204は、DC/DCコンバータ200の出力電圧V
OUTに応じたフィードバック電圧V
FBを生成する。一次側コントローラ300は、フィードバック電圧V
FBを受け、出力電圧V
OUTがその目標電圧V
OUT(REF)と一致するように、インバータ202を制御する。フィードバック回路204および一次側コントローラ300は、公知技術を用いればよく、その構成や制御方法は特に限定されない。
【0037】
たとえばフィードバック回路204は、シャントレギュレータとフォトカプラの組み合わせで構成できる。シャントレギュレータは、出力電圧V
OUTと基準電圧の誤差に応じたカソード電流を生成する。フォトカプラは、シャントレギュレータが生成するカソード電流が順電流として流れるように接続され、フォトカプラの受光素子に流れるコレクタ電流に応じたフィードバック電圧V
FBを発生してもよい。一次側コントローラ300は、フィードバック電圧V
FBに応じたスイッチング周波数でインバータ202を駆動してもよい。
【0038】
以上がDC/DCコンバータ200の全体の構成である。続いて同期整流コントローラ400の構成を説明する。同期整流コントローラ400は、第1ゲートピンG1、第2ゲートピンG2、第1ドレインピンD1、第2ドレインピンD2、第1ソースピンS1、第2ソースピンS2を備える。
【0039】
第1ゲートピンG1、第2ゲートピンG2はそれぞれ、第1同期整流トランジスタM
21、第2同期整流トランジスタM
22のゲートと接続される。また第1ソースピンS1、第2ソースピンS2はそれぞれ、第1同期整流トランジスタM
21、第2同期整流トランジスタM
22のソースと接続される。第1ソースピンS1、第2ソースピンS2は、等価回路上は同じ電位であるが、配線のインピーダンスが無視できない場合、それぞれの電位は異なっていると把握される。以下、それぞれの電位をV
GND1,V
GND2と記す。
【0040】
第1同期整流トランジスタM
21のソースと第2同期整流トランジスタM
22のソースの間の配線インピーダンスが十分に小さく、その影響が無視できる場合、同期整流コントローラ400には、ひとつのソースピンを設け、ひとつのソースピンを接地すればよい。
【0041】
同期整流コントローラ400は、マルチプレクサ410、パルス発生器420、駆動回路430、フェーズコントローラ440を備える。同期整流コントローラ400は、第1状態φ
1と第2状態φ
2を交互に遷移する。
【0042】
マルチプレクサ410は、第1ドレインピンD1および第2ドレインピンD2と接続される2入力を有するセレクタである。マルチプレクサ410は、第1状態φ
1において第1ドレインピンD1の電圧、すなわち第1同期整流トランジスタM
21のドレイン電圧V
D21を選択し、第2状態φ
2において第2ドレインピンD2の電圧、すなわち第2同期整流トランジスタM
22のドレイン電圧V
D22を選択する。
【0043】
パルス発生器420は、マルチプレクサ410の出力電圧V
Dにもとづいて、パルス信号S
Pを生成する。
【0044】
駆動回路430は、第1状態φ
1において、パルス信号S
Pに応じて第1同期整流トランジスタM
21をスイッチングし、第2状態φ
2において、パルス信号S
Pに応じて第2同期整流トランジスタM
22を駆動する。
【0045】
フェーズコントローラ440は、第1状態φ
1と第2状態φ
2を切りかえる。たとえばフェーズコントローラ440は、パルス信号S
Pに応じて、第1状態φ
1と第2状態φ
2を示す制御信号S
CNTを生成する。本実施の形態では、制御信号S
CNTのハイレベルが第1状態φ
1に、ローレベルが第2状態φ
2に割り当てられる。
【0046】
図3は、同期整流コントローラ400の具体的な構成例を示す回路図である。
図3には、DC/DCコンバータ200の二次側のみを示す。
【0047】
ドレインピンD1,D2には、同期整流コントローラ400の耐圧を超えるような高電圧が発生する。そこで同期整流コントローラ400の内部のドレインピンD1,D2からマルチプレクサ410に至る経路にはクランプ回路402が設けられる。クランプ回路402はドレインピンD1,D2に入力されるドレイン電圧V
D1,V
D2を同期整流コントローラ400の耐圧より低く定められた上限レベルを超えないようにクランプする。
【0048】
駆動回路430は、第1ドライバ432、第2ドライバ434、デマルチプレクサ436を備える。第1ドライバ432は第1同期整流トランジスタM
21を駆動する。第2ドライバ434は、第2同期整流トランジスタM
22を駆動する。デマルチプレクサ436は、第1状態φ
1において、パルス発生器420が生成したパルス信号S
Pを第1ドライバ432に供給し、第2ドライバ434にオフレベルの信号を供給する。またデマルチプレクサ436は第2状態φ
2においてパルス信号S
Pを第2ドライバ434に供給し、第1ドライバ432にオフレベルの信号を供給する。
【0049】
パルス発生器420は、セットコンパレータ422、リセットコンパレータ424、ロジック回路426を備える。セットコンパレータ422は、マルチプレクサ410の出力電圧(単にドレイン電圧ともいう)V
Dを第1しきい値V
TH1と比較し、セット信号S
SETを生成する。第1しきい値V
TH1は負電圧であり、たとえば−150mV程度に設定してもよい。セット信号S
SETは、ドレイン電圧V
Dが第1しきい値V
TH1を上から下にクロスすると、つまりV
D<V
TH1となると、アサート(たとえばハイレベル)される。
【0050】
リセットコンパレータ424は、ドレイン電圧V
Dを第2しきい値V
TH2と比較し、リセット信号S
RESETを生成する。第2しきい値V
TH2は、第1しきい値V
TH1より高く定められたゼロ近傍の負電圧であり、たとえば−20mV程度に設定してもよい。リセット信号S
RESETは、ドレイン電圧V
Dが第2しきい値V
TH2を下から上にクロスすると、つまりV
D>V
TH2となると、アサート(たとえばハイレベル)される。
【0051】
ロジック回路426は、セット信号S
SETのアサートに応じてオンレベル(ハイレベル)に遷移し、リセット信号S
RESETのアサートに応じてオフレベル(ハイレベル)に遷移するパルス信号S
Pを生成する。たとえばロジック回路426は、SR(Set/Reset)フリップフロップで構成してもよい。
【0052】
フェーズコントローラ440は、パルス信号S
Pのネガエッジをトリガとして、言い換えれば、同期整流トランジスタM
21,M
22それぞれのターンオフを契機として、第1状態φ
1と第2状態φ
2を交互に切りかえる。
【0053】
フェーズコントローラ440は、フリップフロップ442、インバータ444,446を含む。インバータ444は、パルス信号S
Pを反転する。インバータ446は、フリップフロップ442の出力Qを反転する。フリップフロップ442は、クロック端子にパルス信号S
Pの反転信号#S
Pを受け、入力端子(D)に自身の反転出力#Qを受ける。これによりフリップフロップ442の出力Qは、パルス信号S
Pのネガエッジごとに反転する。フェーズコントローラ440は、フリップフロップ442の状態に応じて、第1状態φ
1と第2状態φ
2を切りかえる。
図3では、インバータ446の出力#Qを制御信号S
CNTとしているが、その限りではなく、フリップフロップ442の出力Qを制御信号S
CNTとしてもよい。
【0054】
以上が同期整流コントローラ400の構成である。続いてDC/DCコンバータ200の動作を説明する。
【0055】
図4は、
図3の同期整流コントローラ400の動作波形図である。時刻t
0より前は第2状態φ
2である。時刻t
0のパルス信号S
Pのネガエッジをトリガとして、つまり第2同期整流トランジスタM
22のターンオフをトリガとして第1状態φ
1にセットされる。第1状態φ
1ではマルチプレクサ410の出力電圧V
Dは、第1ドレインピンD1の電圧V
D1と等しい。時刻t
1にドレイン電圧V
D(つまりV
D1)が第1しきい値V
TH1より低くなると、セット信号S
SETがアサートされ、パルス信号S
Pがオンレベル(ハイレベル)に変化する。
【0056】
第1状態φ
1では、パルス信号S
Pは第1ゲートピンG1を介して第1同期整流トランジスタM
21のゲートに供給され、したがって第1同期整流トランジスタM
21がターンオンする。第1同期整流トランジスタM
21がターンオンすると、その両端間に電圧降下R
ON1×I
S1が発生する。R
ON1は第1同期整流トランジスタM
21のオン抵抗であり、電流I
S1は二次巻線W
21および第1同期整流トランジスタM
21に流れる二次電流である。
【0057】
二次電流I
S1が小さくなると、ドレイン電圧V
D1が0Vに近づいていく。そして時刻t
2に第2しきい値V
TH2を超えると(ゼロカレント状態)、リセット信号S
RESETがアサートされ、パルス信号S
Pがオフレベル(ローレベル)に変化する。これにより第1同期整流トランジスタM
21がターンオフする。
【0058】
そしてパルス信号S
Pがオフレベルに変化すると、第2状態φ
2に切りかえられる。第2状態φ
2ではマルチプレクサ410の出力電圧V
Dは、第2ドレインピンD2の電圧V
D2と等しい。時刻t
3にドレイン電圧V
D(つまりV
D2)が第1しきい値V
TH1より低くなると、セット信号S
SETがアサートされ、パルス信号S
Pがオンレベル(ハイレベル)に変化する。
【0059】
第2状態φ
2では、パルス信号S
Pは第2ゲートピンG2を介して第2同期整流トランジスタM
22のゲートに供給され、したがって第2同期整流トランジスタM
22がターンオンする。第2同期整流トランジスタM
22がターンオンすると、その両端間に電圧降下R
ON2×I
S2が発生する。R
ON2は第2同期整流トランジスタM
22のオン抵抗であり、電流I
S2は二次巻線W
22および第2同期整流トランジスタM
22に流れる二次電流である。
【0060】
二次電流I
S2が小さくなると、ドレイン電圧V
D2が0Vに近づいていく。そして時刻t
4に第2しきい値V
TH4を超えると、リセット信号S
RESETがアサートされ、パルス信号S
Pがオフレベル(ローレベル)に変化する。これにより第2同期整流トランジスタM
22がターンオフする。
【0061】
そしてパルス信号S
Pがオフレベルに変化すると、第1状態φ
1に切りかえられる。同期整流コントローラ400は、時刻t
0〜t
4の動作を繰り返す。
【0062】
以上が同期整流コントローラ400の動作である。続いてその利点を説明する。
同期整流コントローラ400の利点は、比較技術との対比によって明確となる。比較技術では、第1同期整流トランジスタM
21と、第2同期整流トランジスタM
22の駆動のために2系統のパルス発生器が設けられ、2系統のパルス発生器を交互に動作させることにより、
図4と同様の動作が実現できる。
【0063】
同期整流コントローラ400によれば、第1同期整流トランジスタM
21と第2同期整流トランジスタM
22の2つの駆動系統においてパルス発生器420を共通化することにより、比較技術に比べて回路面積を小さくできる。
【0064】
より詳しくは
図3の同期整流コントローラ400では、2個のコンパレータ422,424、ロジック回路426の1個のフリップフロップが2系統で共通化される。セットコンパレータ422、リセットコンパレータ424には高精度が要求されるため、それらの回路面積は非常に大きくなる。したがって、コンパレータを2個削減できることによる回路面積の削減の効果は非常に大きい。
【0065】
加えて、製品出荷前にセットコンパレータ422、リセットコンパレータ424の精度を高めるために、それらのオフセットを調節するトリミング処理が実行される場合がある。
図3の同期整流コントローラ400では、比較技術と比べてコンパレータの個数が経るため、トリミング処理の時間を短縮できる。
【0066】
また比較技術では、第1同期整流トランジスタM
21と第2同期整流トランジスタM
22が同時にオンするリスクがあるため、それを防止するためのタイミング制御や工夫画必要となる。これに対して同期整流コントローラ400によれば、パルス信号S
Pのネガエッジをトリガとして、第1状態φ
1と第2状態φ
2を切りかえることにより、第1同期整流トランジスタM
21と第2同期整流トランジスタM
22の同時オンの発生を防止できる。
【0067】
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0068】
(第1変形例)
図5は、同期整流コントローラ400のパルス発生器の変形例(420A)を示す回路図である。同期整流コントローラ400は、第1ソースピンS1と接続される第1グランドプレーン(グランド配線)450と、第2ソースピンS2と接続される第2グランドプレーン452を備える。
【0069】
基準電圧源428,429は、スイッチ427を介して、第1グランドプレーン450、第2グランドプレーン452が選択的に接続可能となっている。基準電圧源428,429は、第1状態φ
1において第1グランドプレーン450と接続され、第1同期整流トランジスタM
21のソース電圧V
S1(V
GND1)を基準として、第1しきい値V
TH1,第2しきい値V
TH2を生成する。また基準電圧源428,429は、第2状態φ
2において第2グランドプレーン452と接続され、第2同期整流トランジスタM
22のソース電圧V
S2(V
GND2)基準として、第1しきい値V
TH1,第2しきい値V
TH2を生成する。
【0070】
図3の等価回路上では、第1同期整流トランジスタM
21のソースと第2同期整流トランジスタM
22のソースは同電位V
S1=V
S2(V
GND1=V
GND2)であるが、実際のプリント基板上では、それらの間のインピーダンスが無視できず、電位差が生じる場合がある。
図5の変形例によれば、第1状態φ
1において、第1同期整流トランジスタM
21のドレインソース間電圧を、しきい値V
TH1,V
TH2と正確に比較することができ、同様に第2状態φ
2において、第2同期整流トランジスタM
22のドレインソース間電圧を、しきい値V
TH1,V
TH2と比較することができる。これにより、2次側のゼロカレント状態を正確に検出できる。
【0071】
(第2変形例)
図6は、駆動回路430の構成例(430A)を示す回路図である。デマルチプレクサ436は、ANDゲート460,462、インバータ464を含む。インバータ464は、制御信号S
CNTを反転する。第1ANDゲート460はパルス信号S
Pと制御信号S
CNTの論理積を生成し、第1ドライバ432に出力する。第2ANDゲート462はパルス信号S
Pと制御信号S
CNTの反転信号#S
CNTの論理積を生成し、第2ドライバ434に出力する。
【0072】
(第3変形例)
一次側コントローラ300は、DC/DCコンバータ200の二次側に配置されてもよい。一次側コントローラ300は、出力電圧V
OUTが目標電圧と一致するように周波数が調節されるパルス信号を生成するパルス変調器を含んでもよい。一次側コントローラ300は、パルストランスを介してインバータ202のハイサイドトランジスタM
11、ローサイドトランジスタM
12のゲートと接続され、パルス信号に応じたゲート駆動信号を、ハイサイドトランジスタM
11、ローサイドトランジスタM
12のゲートに供給してもよい。この場合、一次側コントローラ300と同期整流コントローラ400は、同一ICに集積化されてもよい。
【0073】
(第4変形例)
インバータ202と直列共振回路206の接続トポロジーは
図2のそれに限定されない。たとえば直列共振回路206は、入力端子P
1とインバータ202の出力端子203の間に設けられてもよい。またインバータ202は、フルブリッジインバータであってもよい。
【0074】
(第5変形例)
第1同期整流トランジスタM
21、第2同期整流トランジスタM
22は、同期整流コントローラ400と同一パッケージに内蔵されてもよい。
【0075】
(用途)
続いて、実施の形態で説明したDC/DCコンバータ200の用途を説明する。DC/DCコンバータ200は、AC/DCコンバータ100に用いることができる。
図7は、DC/DCコンバータ200を備えるAC/DCコンバータ100の回路図である。
【0076】
AC/DCコンバータ100は、フィルタ102、整流回路104、平滑キャパシタ106およびDC/DCコンバータ200を備える。フィルタ102は、交流電圧V
ACのノイズを除去する。整流回路104は、交流電圧V
ACを全波整流するダイオードブリッジ回路である。平滑キャパシタ106は、全波整流された電圧を平滑化し、直流電圧V
INを生成する。DC/DCコンバータ200は直流電圧V
INを受け、出力電圧V
OUTを生成する。整流回路104とDC/DCコンバータ200の間には、力率改善(Power Factor Correction)回路が挿入されてもよい。
【0077】
図8は、AC/DCコンバータ100を備えるACアダプタ800を示す図である。ACアダプタ800は、プラグ802、筐体804、コネクタ806を備える。プラグ802は、図示しないコンセントから商用交流電圧V
ACを受ける。AC/DCコンバータ100は、筐体804内に実装される。AC/DCコンバータ100により生成された直流出力電圧V
OUTは、コネクタ806から電子機器810に供給される。電子機器810は、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話、携帯オーディオプレイヤなどが例示される。
【0078】
図9(a)、(b)は、AC/DCコンバータ100を備える電子機器900を示す図である。
図9(a)、(b)の電子機器900はディスプレイ装置であるが、電子機器900の種類は特に限定されず、オーディオ機器、冷蔵庫、洗濯機、掃除機など、電源装置を内蔵する機器であればよい。
プラグ902は、図示しないコンセントから商用交流電圧V
ACを受ける。AC/DCコンバータ100は、筐体904内に実装される。AC/DCコンバータ100により生成された直流出力電圧V
OUTは、同じ筐体904内に搭載される、マイコン、DSP(Digital Signal Processor)、電源回路、照明機器、アナログ回路、デジタル回路などの負荷に供給される。
【0079】
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。