(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0014】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.システム構成
2.露出制御に関する検討
3.機能構成
4.処理
5.変形例
6.適用例
7.ハードウェア構成
8.まとめ
【0015】
<1.システム構成>
まず、
図1を参照して、本実施形態に係る医療用観察装置を適用したシステムの構成の一例について説明する。
図1は、本実施形態に係る医療用観察装置を適用したシステムの概略的な構成の一例について説明するための説明図である。
【0016】
例えば、
図1は、医療現場において従来の開腹手術に代わって行われる、腹部の内視鏡外科手術において用いられる内視鏡手術システムの一例を示している。
図1に示すように、腹部の内視鏡外科手術では、従来のように腹壁を切って開腹する代わりに、トロッカ25a、25bと称される開孔器具が腹壁に数か所取り付けられ、トロッカ25a、25bに設けられている孔から腹腔鏡(以下、内視鏡とも称する)11、エネルギ処置具22や鉗子23等が体内に挿入される。そして、内視鏡11によってビデオ撮像された患部(腫瘍等)Uの画像をリアルタイムに見ながら、エネルギ処置具22等によって患部Uを切除するなどの処置が行われる。なお、内視鏡11、エネルギ処置具22や鉗子23は、術者、助手、スコピスト、またはロボット等により保持される。
【0017】
このような内視鏡下手術を行う手術室内には、内視鏡下手術のための装置類を搭載するカート31、患者が横たわる患者ベッド33、フットスイッチ35等が配置される。また、カート31には、医療機器として、例えば、カメラコントロールユニット(CCU)13、光源装置17、処置具用装置21、気腹装置24、表示装置15、レコーダ26及びプリンタ27等の装置類が載置される。
【0018】
内視鏡11の観察光学系を通じて撮像された患部Uの画像信号は、カメラケーブルを介してCCU13に伝送される。なお、CCU13は、カメラケーブルを介して内視鏡11に接続される他、無線の通信経路を介して内視鏡11に接続されてもよい。CCU13は、内視鏡11から出力される画像信号に対して信号処理を施し、信号処理後の当該画像信号を表示装置15に出力する。このような構成により、患部Uの内視鏡画像が表示装置15に表示される。
【0019】
なお、CCU13は、信号処理後の画像信号をレコーダ26に出力することで、当該レコーダ26に、患部Uの内視鏡画像を画像データ(例えば、動画像のデータ)として記録させてもよい。また、CCU13は、信号処理後の画像信号をプリンタ27に出力することで、当該プリンタ27に、患部Uの内視鏡画像を印刷させてもよい。
【0020】
光源装置17は、ライトガイドケーブルを介して内視鏡11に接続され、患部Uに対してさまざまな波長の光を切り替えて照射することが可能である。なお、光源装置17から照射される光は、例えば、補助光として用いられる場合もある。
【0021】
処置具用装置21は、例えば、電気熱を用いて患部Uを切断するエネルギ処置具22に対して高周波電流を出力する高周波出力装置に相当する。
【0022】
また、気腹装置24は、送気、吸気手段を備え、患者体内の例えば腹部領域に空気を送気するものである。
【0023】
フットスイッチ35は、術者や助手等のフット操作をトリガ信号として、CCU13や処置具用装置21等を制御するようになっている。
【0024】
以上、
図1を参照して、本開示の一実施形態に係る医療用観察装置を適用したシステム構成として、所謂、内視鏡手術システム1の概略的なシステム構成の一例について説明した。
【0025】
<2.露出制御に関する検討>
次に、本開示の一実施形態に係る医療用観察装置の特徴をよりわかりやすくするために、内視鏡11等に含まれる撮像部の露出制御について概要を説明し、次いで、本実施形態に係る医療用観察装置の課題について整理する。
【0026】
撮像部は、被写体像の明るさ、または、撮像された被写体の画像の明るさの検知結果に応じて、露出が制御されるように構成されている(換言すると、撮像される被写体の画像の明るさが制御されるように構成されている)場合がある。なお、本説明では、便宜上、撮像部の露出を制御する主体がCCUであるものとして説明する。
【0027】
例えば、CCUは、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサやCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等のような撮像素子(例えば、撮像部に設けられた撮像素子)により撮像された画像信号に基づき、当該画像中に撮像された被写体の明るさ(像面照度)を検知する(検波する)。また、他の一例として、CCUは、撮像部に設けられた測光センサ等の検知部から、被写体像の明るさ(輝度)の検知結果を取得してもよい。なお、以降の説明では、被写体像の明るさ、または、撮像された被写体の画像の明るさの検知結果を、単に「検波値」と称する場合がある。そして、CCUは、取得された検波値に基づき、撮像部により撮像される被写体の画像の明るさ(即ち、像面照度)がより好適な態様となるように(例えば、適正露出となるように)、当該撮像部のシャッタースピードや、撮像された画像信号に対して適用されるゲインを制御する(即ち、撮像部の露出を制御する)。なお、以降の説明では、「ゲイン」と記載した場合には、特に説明が無い限りは、撮像された画像信号に対して適用されるゲインを示すものとする。
【0028】
例えば、
図2は、露出制御の一例について説明するための説明図である。
図2において、参照符号L1は、撮像される被写体の画像の明るさが適正となる場合の検波値(即ち、適正な露出となる場合の検波値)を示している。なお、以降では、参照符号L1で示された検波値を、「基準値」と称する場合がある。
【0029】
これに対して、参照符号L2は、基準値L1よりも大きい検波値を示している。即ち、検波値L2が取得された場合には、被写体の画像の明るさが、適正露出の場合よりもより明るくなる。そのため、この場合には、CCUは、露光量がより少なくなるように、撮像部の露出を制御する。具体的には、CCUは、例えば、撮像部の電子シャッターのシャッタースピードを、現状の値よりもより高速になるように制御する。また、CCUは、ゲインを、現状の値よりもより低くなるように制御してもよい。このような制御により、撮像される被写体の画像がより暗くなるように、即ち、当該画像の明るさが、基準値L1に対応する画像の明るさにより近づくように制御される。
【0030】
また、参照符号L3は、参照符号L3は、基準値L1よりも小さい検波値を示している。即ち、検波値L3が取得された場合には、被写体の画像の明るさが、適正露出の場合よりもより暗くなる。そのため、この場合には、CCUは、露光量がより多くなるように、撮像部の露出を制御する。具体的には、CCUは、例えば、撮像部の電子シャッターのシャッタースピードを、現状の値よりもより低速になるように制御する。また、CCUは、ゲインを、現状の値よりもより高くなるように制御してもよい。このような制御により、撮像される被写体の画像がより明るくなるように、即ち、当該画像の明るさが、基準値L1に対応する画像の明るさにより近づくように制御される。
【0031】
一方で、
図1を参照して前述したように、腹部の内視鏡外科手術等のように医療用観察装置が使用される状況下では、当該医療用観察装置の観察範囲(即ち、撮像部の画角内)に、鉗子やガーゼ等のような、観察対象(被検体)とは異なる物体が差し込まれるといった場合が想定され得る。特に、観察対象よりも比較的明るい物体(即ち、高輝度の被写体)が撮像部の画角内に進入した状況下では、例えば、CCUは、画角内の明るさが明るくなったものとみなし、撮像される被写体の画像がより暗くなるように、撮像部の露出を制御する(例えば、シャッタースピードをより高速に制御したり、ゲインを小さくする)場合がある。このような場合には、例えば、出力される観察対象の画像(例えば、生体内の患部の画像)が一時的に暗くなる等のように、被写体の画像の明るさが急激に変化するといった現象が顕在化する場合がある。このような外乱による画像(特に、患部等のような観察対象の画像)の明るさの変化は、当該画像を観察しながら施術を施す術者の作業を阻害する場合が想定され得る。
【0032】
そこで、本実施形態に係る医療用観察装置は、鉗子やガーゼ等のような高輝度の被写体が観察範囲内に進入する等の外乱が発生し得る状況下においても、撮像される画像の明るさの急激な変化を抑止することが可能な仕組みを提供する。なお、以降では、本実施形態に係る医療用観察装置についてさらに詳しく説明する。
【0033】
<3.機能構成>
まず、
図3を参照して、本実施形態に係る医療用観察装置の機能構成の一例について、特に、撮像される被写体の画像の明るさの制御(換言すると、露出の制御)に係る動作に着目して説明する。
図3は、本実施形態に係る医療用観察装置の機能構成の一例について示したブロック図であり、特に、観察対象(被検体)の画像を撮像し、当該画像を表示する処理に着目した機能構成の一例を示している。
【0034】
図3に示すように、本実施形態に係る医療用観察装置100は、撮像部110(例えば、カメラヘッド)と、制御部130と、表示部150とを含む。なお、
図3に示した医療用観察装置100は、例えば、
図1に示した内視鏡システム1として構成され得る。即ち、
図3に示した、撮像部110、制御部130、及び表示部150は、例えば、
図1に示した内視鏡手術システム1における、内視鏡11、CCU13、表示装置15にそれぞれ対応している。
【0035】
撮像部110は、所謂カメラ等のような動画像や静止画像等の画像を撮像する構成に相当し、例えば、撮像光学系(例えば、一連のレンズ群)111と、撮像素子113とを含む。撮像光学系111は、被写体の光学像を撮像素子113の撮像面に結像させる。撮像素子113としては、例えば、CMOSイメージセンサやCCDイメージセンサ等が適用され得る。撮像素子113は、撮像面に結像した光学像を光電変換によって電気信号に変換する。なお、このとき撮像素子113の動作(例えば、シャッタースピードやゲイン)は、後述する制御部130により制御される(即ち、制御部130により露出が制御される)。そして、撮像素子113は、光電変換によって生成した電気信号を制御部130に出力する。
【0036】
制御部130は、撮像信号処理部131と、画像処理部133と、露出制御部135とを含む。
【0037】
撮像信号処理部131は、撮像素子113において光電変換によって生成された電気信号に対して、例えば、リニアマトリクス処理、ホワイトバランス処理、γ補正処理等の各種処理を実行することで画像信号を生成する。撮像信号処理部131により生成された画像信号は、画像処理部133に入力される。画像処理部133は、取得した画像信号に対して、色調補正、輝度補正等の各種補正処理、ビデオ信号の生成、あるいはエンコード処理等、目的に応じた画像処理を施し、当該画像処理の結果に基づく画像を、例えば表示部150に出力する。
【0038】
また、撮像信号処理部131は、撮像素子113の露出制御に必要な情報を露出制御部135に出力する。より具体的には、撮像信号処理部131は、撮像素子113において光電変換によって生成された電気信号に対して検波処理を施し、当該検波処理の結果(即ち、検波値)を、露出制御部135に出力する。
【0039】
露出制御部135は、撮像信号処理部131から検波処理の結果として検波値を取得し、取得した検波値に基づき、撮像素子113のシャッタースピードやゲインを制御する(即ち、撮像部110の露出を制御する)。例えば、露出制御部135は、
図2を参照して前述したように、基準値に対して取得した検波値が乖離している場合には、当該基準値を目標値として、取得される検波値が当該目標値により近づくように撮像部110の露出を制御してもよい。
【0040】
より具体的な一例として、露出制御部135は、検波値に基づき被写体の画像の明るさが基準値に対応する適正露出の場合よりも明るいと認識した場合には、露光量がより少なくなるように、撮像部110の露出を制御する。この場合には、例えば、露出制御部135は、撮像素子113における電子シャッターのシャッタースピードをより高速に制御したり、ゲインがより低くなるように制御する。
【0041】
また、他の一例として、露出制御部135は、検波値に基づき被写体の画像の明るさが基準値に対応する適正露出の場合よりも暗いと認識した場合には、露光量がより多くなるように、撮像部110の露出を制御する。この場合には、例えば、露出制御部135は、撮像素子113における電子シャッターのシャッタースピードをより低速に制御したり、ゲインがより高くなるように制御する。
【0042】
また、露出制御部135は、検波値が所定の範囲内の値を示す場合には、観察範囲内に高輝度の被写体が進入する等のような外乱を受けた露出制御により、被写体の画像の明るさが急激に変化するといった事態の発生を抑止するために、露出の急激な変化を抑止する。
【0043】
具体的には、露出制御部135は、検波値が所定の範囲内の値を示すことを認識した場合には、検波値が当該範囲内の値を示す第1の期間を計測し、当該第1の期間の計測結果に基づき、外乱に伴う露出の急激な変化を抑止する第2の期間を決定する。なお、当該所定の範囲(即ち、検波値の範囲)は、例えば、適正露出に対応する検波値を基準として、許容される露出(換言すると、対象の観察により好適な被写体の画像の明るさ)の範囲に基づき、あらかじめ決定されている。
【0044】
そして、露出制御部135は、決定した第2の期間中においては、外乱等により検波値が急激に変化した場合においても、所定の範囲内の検波値に対応する露出(例えば、基準値に対応する適正露出)に維持されるように、撮像素子113の動作を制御する。なお、本動作の詳細については、医療用観察装置の一連の処理の流れの一例とあわせて、別途後述する。
【0045】
以上、
図3を参照して、本実施形態に係る医療用観察装置の機能構成の一例について、特に、被写体の画像の明るさの制御(換言すると、露出の制御)に係る動作に着目して説明した。
【0046】
<4.処理>
次に、
図4を参照して、本実施形態に係る医療用観察装置の一連の処理の流れの一例について、特に、医療用観察装置による露出制御の動作に着目して説明する。
図4は、本実施形態に係る医療用観察装置の一連の処理の流れの一例を示したフローチャートである。
【0047】
(ステップS101)
まず、撮像信号処理部131は、撮像素子113における光電変換によって生成された電気信号に対して検波処理を施し、当該検波処理の結果(即ち、検波値)を、露出制御部135に出力する。
【0048】
(ステップS105)
露出制御部135は、撮像信号処理部131から取得した検波値が所定の範囲内の値を示す場合には、外乱等により検波値が急激に変化した場合においても露出を維持する期間(以降では、「安定時間Ts」と称する)を加算する。なお、本説明では、安定時間Tsは、1フレームを1カウントとしたカウンタ値に基づき管理されるものとして説明する。即ち、この場合には、露出制御部135は、安定時間Tsのカウンタ値をインクリメントする。
【0049】
(ステップS107)
また、露出制御部135は、取得した検波値が所定の範囲外の値を示す場合には、安定時間Tsのカウンタ値をデクリメントする。即ち、この場合には、安定時間Tsが減算されることとなる。
【0050】
(ステップS109、S111)
なお、安定時間Tsには上限値が設けられていてもよい。このような場合においては、安定時間Tsのカウンタ値が上限値より大きい場合には(S109、YES)、露出制御部135は、安定時間Tsのカウンタ値を当該上限値に設定してもよい(S111)。このような制御により、安定時間Tsが上限値を超えて加算されるといった事態が抑止されることとなる。なお、安定時間Tsのカウンタ値が上限値以下の場合には(S109、NO)、参照符号S111で示された処理は実行されずに次処理に遷移する。
【0051】
(ステップS113、S115)
また、露出制御部135は、安定時間Tsのカウンタ値が負の値を示す場合には(S113、YES)、安定時間Tsのカウンタ値を0に設定する。このような制御により、安定時間Tsが0より小さくなるように減算されるといった事態が抑止されることとなる。なお、安定時間Tsのカウンタ値が0以上の場合には(S113、NO)、参照符号S115で示された処理は実行されずに次処理に遷移する。
【0052】
(ステップS117、S119)
そして、安定時間Tsのカウンタ値が0よりも大きい場合には(S117、YES)、露出制御部135は、前述した所定の範囲(即ち、検波値の範囲)内の検波値を目標値として、撮像部110の露出が、当該目標値に対応する露出に維持されるように、当該撮像部110の動作を制御する。より具体的な一例として、このとき露出制御部135は、撮像部110の露出が、基準値に対応する適正露出に維持されるように、撮像素子113における電子シャッターのシャッタースピードや、ゲインを固定する(S119)。なお、安定時間Tsのカウンタ値が0より大きくない場合(即ち、0の場合)には(S117、NO)、露出制御部135は、参照符号S119で示された露出の維持に係る制御を実行しない。この場合には、例えば、露出制御部135は、取得される検波値に応じて、当該検波値が目標値(基準値)により近づくように撮像部110の露出を制御することとなる。
【0053】
本実施形態に係る医療用観察装置100は、上記に説明したような一連の動作を、例えば、所定のタイミングごとに逐次実行する。そこで、次に、
図5を参照して、本実施形態に係る医療用観察装置による、上述した一連の動作に基づく露出制御の一例について説明する。
図5は、本実施形態に係る医療用観察装置による露出制御の一例について説明するための説明図であり、検波値と、露出制御と、安定時間を管理するためのカウンタ値との間の関係の一例を示している。
図5における、上側に示したグラフと、下側に示したグラフとにおいて、横軸は時間を示している。また、上側に示したグラフにおいて、縦軸は検波値を示している。また、下側に示したグラフにおいて、縦軸は安定時間のカウンタ値を示している。
【0054】
また、
図5において、参照符号g11で示されたグラフは、撮像信号処理部131が検波処理に基づき取得した検波値の時系列に沿った変化を示している。また、参照符号g13で示されたグラフは、露出制御部135による制御に基づく時系列に沿った露出の変化を、当該露出に対応する検波値の時系列に沿った変化として模式的に示している。また、参照符号g15で示されたグラフは、安定時間のカウンタ値の時系列に沿った変化を示している。
【0055】
また、参照符号R1は、前述した所定の範囲(即ち、検波値の範囲)を示している。なお、
図5に示す例では、基準値L11を中心として±TH1の範囲を、当該所定の範囲R1として設定されている。ここで、参照符号TH1_maxは、当該所定の範囲R1の+側の閾値(即ち、上限値)を示しており、参照符号TH1_minは、当該所定の範囲R1の−側の閾値(即ち、下限値)を示している。このような場合には、取得された検波値と、基準値L11との間の差分の絶対値が閾値TH1以下のときに、当該検波値が所定の範囲R1内の値を示しているものと認識することが可能である。なお、上記に説明した所定の範囲R1(即ち、検波値の範囲)の設定方法は、あくまで一例であり、必ずしも基準値を中心として設定する必要はない。
【0056】
図5に示す例では、グラフg11に示すように、取得された検波値は、タイミングT1からT3までの期間において、所定の範囲R1内の値を示しており、タイミングT3以降は当該範囲R1外の値を示している。
【0057】
ここで、グラフg15として示した、安定時間のカウンタ値の時系列に沿った変化に着目する。安定時間のカウンタ値は、タイミングT1からT2までの期間においては、検波値が範囲R1内の値を示しているため、時系列に沿って増加し、タイミングT2において当該カウンタ値の上限c_maxに達する。また、タイミングT2からT3までの期間においては、検波値が範囲R1内の値を示しているが、安定時間のカウンタ値は上限c_maxに達しているため、当該上限c_maxを超えないように維持される。また、タイミングT3以降は検波値が範囲R1外の値を示しているため、安定時間のカウンタ値は、タイミングT1からT2の期間において増加した分が時系列に沿って減少し、タイミングT4において0となる。即ち、
図5に示す例では、タイミングT1からT2までの長さの時間Tsをかけて増加したカウンタ値は、当該時間Tsをかけて減少し0に達する。
【0058】
次に、グラフg13を参照しながら、露出制御部135による撮像部110の露出制御について説明する。
図5に示す例では、安定時間のカウンタ値は0よりも大きい値を示している場合に、露出制御部135は、基準値L11(即ち、範囲R1内の検波値)を目標値として、撮像部110の露出が、当該目標値に対応する露出(即ち、基準値L11に対応する適正露出)に維持されるように、当該撮像部110の動作を制御している。
【0059】
より具体的には、
図5に示す例では、タイミングT1からT4までの期間において安定時間のカウンタ値が0よりも大きい値を示している。そのため、露出制御部135は、この期間において、撮像部110の露出が、基準値L11に対応する適正露出に維持されるように、当該撮像部110の動作を制御している。
【0060】
ここで、タイミングT3以降の期間に着目する。前述したように、タイミングT3以降は、例えば、観察範囲内に高輝度の被写体が進入する等のような外乱により検波値が上昇し、当該検波値が範囲R1外の値を示している。一方で、露出制御部135は、タイミングT3以降も、安定時間のカウンタ値が減少し0に達するタイミングT4までの期間においては、撮像部110の露出を、基準値L11に対応する適正露出に維持し、タイミングT4以降は、検波値に追随する露出制御に切り替えている。
【0061】
このような制御により、医療用観察装置100は、観察範囲内に鉗子やガーゼなどの高輝度の被写体が進入する等の外乱により、検波値が急激に変化した場合においても、撮像部110の露出を維持し、被写体の画像(観察対象の画像)の明るさの急激な変化を抑止する。即ち、本実施形態に係る医療用観察装置100に依れば、観察範囲内に鉗子やガーゼなどの高輝度の物体が一時的に進入する等の外乱が発生した場合においても、撮像された観察対象の画像が暗くなるといった事態の発生を抑止することが可能となる。
【0062】
また、検波値が範囲R1外の値を示した場合においても、医療用観察装置100が撮像部110の露出を適正露出に維持する期間(第2の期間)は、取得された検波値が所定の範囲R1内の値を示す期間(第1の期間)に応じて決定される。より具体的には、医療用観察装置100は、検波値が所定の範囲R1内の値を示す期間(第1の期間)がより長いほど、検波値が範囲R1外の値を示したとしても、撮像部110の露出を適正露出に維持する期間(第2の期間)がより長くなるように制御する。
【0063】
例えば、
図5に示す例では、タイミングT1からT3までの期間が、検波値が所定の範囲R1内の値を示す期間(第1の期間)に相当する。また、タイミングT1からT4までの期間が、撮像部110の露出を適正露出に維持する期間(第2の期間)に相当する。即ち、本実施形態に係る医療用観察装置100は、観察範囲内の明るさの変化に応じて、撮像部110の露出が適正露出に維持される期間を動的に制御する。そのため、本実施形態に係る医療用観察装置100に依れば、前述したように被写体の画像の明るさの急激な変化の抑止と、観察範囲内の明るさの変化に対する当該画像の明るさの追従性とを、より好適な態様で両立させることが可能となる。
【0064】
以上、
図4及び
図5を参照して、本実施形態に係る医療用観察装置の一連の処理の流れの一例について、特に、医療用観察装置による露出制御の動作に着目して説明した。
【0065】
<5.変形例>
次に、本実施形態に係る医療用観察装置の変形例として、当該医療用観察装置による露出制御の他の一例について説明する。前述したように、本実施形態に係る医療用観察装置は、検波値が所定の範囲R1内の値を示す第1の期間に基づき、外乱に伴う露出の急激な変化を抑止する第2の期間を算出する。一方で、医療用観察装置は、当該第2の期間において、撮像部110の露出を、当該範囲R1内の検波値に基づく露出に維持できれば、その制御の態様は特に限定されない。
【0066】
例えば、
図5を参照して前述した例では、医療用観察装置100は、取得された検波値が所定の範囲R1内の値を示したタイミングT1を基点として、撮像部110の露出が適正露出となるように、当該撮像部110の制御を開始していた。一方で、タイミングT1からT4の期間において、撮像部110の露出が、所定の範囲R1内の検波値に基づく露出に維持されれば、必ずしも、医療用観察装置100が撮像部110の動作の制御を開始するタイミングは、
図5におけるタイミングT1には限定されない。
【0067】
例えば、
図6は、本実施形態の変形例に係る医療用観察装置による露出制御の一例について説明するための説明図である。また、
図6における上側及び下側それぞれに示したグラフそれぞれの縦軸及び横軸は、
図5における上側及び下側それぞれに示したグラフの縦軸及び横軸に対応している。なお、
図6に示す例では、参照符号g11及びg15で示したグラフは、
図5に示す例におけるグラフg11及びg15と同様のため詳細な説明は省略する。また、参照符号g23で示されたグラフは、
図5におけるグラフg13に対応し、医療用観察装置100による制御に基づく時系列に沿った露出の変化を、当該露出に対応する検波値の時系列に沿った変化として模式的に示している。
【0068】
図6に示す例では、医療用観察装置100が、タイミングT1において安定時間のカウンタ値の計測を開始する点では、
図5に示す例と同様である。一方で、
図6に示す例では、グラフg23に着目するとわかるように、医療用観察装置100は、検波値が所定の範囲R1内の値を示す期間において撮像部110の露出制御は行わず、その後、検波値が当該範囲R1外の値を示したタイミングT3を基点として当該撮像部110の露出制御を開始している点で、
図5に示す例と異なる。
【0069】
なお、タイミングT3以降の期間については、
図5に示す例と同様に、医療用観察装置100は、安定時間のカウンタ値が減少し0に達するタイミングT4までの期間においては、撮像部110の露出を、基準値L11に対応する適正露出に維持する。そして、タイミングT4以降については、医療用観察装置100は、撮像部110の露出制御を、検波値に追随する制御に切り替えている。このような制御により、
図6に示す例では、医療用観察装置100は、外乱に伴う露出の急激な変化を抑止する第2の期間(タイミングT1からT4で示される期間)において、撮像部110の露出を、所定の範囲R1内の検波値に基づく露出に維持している。
【0070】
また、他の一例として、
図5や
図6に示す例では、医療用観察装置100は、基準値L11を目標値として、撮像部110の露出が、当該目標値に対応する露出に維持されるように、当該撮像部110の動作を制御していた。一方で、撮像部110の露出を制御するための目標値は、必ずしも所定の基準値L11には限られない。
【0071】
例えば、
図7は、本実施形態の変形例に係る医療用観察装置による露出制御の他の一例について説明するための説明図である。また、
図7における上側及び下側それぞれに示したグラフそれぞれの縦軸及び横軸は、例えば、
図6における上側及び下側それぞれに示したグラフの縦軸及び横軸に対応している。なお、
図7に示す例では、参照符号g11及びg15で示したグラフは、
図6に示す例におけるグラフg11及びg15と同様のため詳細な説明は省略する。また、参照符号g33で示されたグラフは、
図6におけるグラフg23に対応し、医療用観察装置100による制御に基づく時系列に沿った露出の変化を、当該露出に対応する検波値の時系列に沿った変化として模式的に示している。
【0072】
図7に示す例では、グラフg15に示すように、医療用観察装置100による安定時間のカウンタ値の計測に係る動作は、
図5及び
図6に示す例と同様である。一方で、
図7に示す例では、医療用観察装置100は、グラフg33に示すように、基準値L11とは異なる目標値L12を、露出制御の目標値として設定している点で、
図5及び
図6に示す例と異なる。
【0073】
具体的な一例として、医療用観察装置100は、取得した検波値が範囲R1内の値を示す期間における、当該検波値の統計(例えば、タイミングT1からT2における検波値の平均や、所定の時間幅に基づく検波値の移動平均等)に基づき目標値L12を算出している。そして、医療用観察装置100は、取得した検波値が範囲R1外の値を示すタイミングT3以降において、撮像部110の露出が、算出した目標値L12に対応する露出に維持されるように、当該撮像部110の動作を制御している。このような制御により、
図7に示す例では、医療用観察装置100は、外乱に伴う露出の急激な変化を抑止する第2の期間(タイミングT1からT4で示される期間)において、撮像部110の露出を、所定の範囲R1内の検波値に基づく露出に維持している。
【0074】
次に、
図8を参照して、本実施形態の変形例に係る医療用観察装置による露出制御の他の一例について説明する。
図8における上側及び下側それぞれに示したグラフそれぞれの縦軸及び横軸は、例えば、
図6における上側及び下側それぞれに示したグラフの縦軸及び横軸に対応している。また、
図8において、参照符号g41で示されたグラフは、医療用観察装置100(撮像信号処理部131)が検波処理に基づき取得した検波値の時系列に沿った変化を示している。また、参照符号g43で示されたグラフは、医療用観察装置100(露出制御部135)による制御に基づく時系列に沿った露出の変化を、当該露出に対応する検波値の時系列に沿った変化として模式的に示している。また、参照符号g45で示されたグラフは、安定時間のカウンタ値の時系列に沿った変化を示している。また、参照符号R1で示される範囲は、
図5〜
図7を参照して説明した例と同様である。
【0075】
図8に示す例では、グラフg41に示すように、取得された検波値は、タイミングT21からT23までの期間において範囲R1内の値を示しており、次いで、タイミングT23からT24までの期間において外乱等により一時的に範囲R1外の値を示している。また、取得された検波値は、タイミングT24からT26までの期間においては、範囲R1内の値を示しており、タイミングT26以降は範囲R1外の値を示している。
【0076】
ここで、グラフg45として示した、安定時間のカウンタ値の時系列に沿った変化に着目する。安定時間のカウンタ値は、タイミングT21からT22までの期間においては、検波値が範囲R1内の値を示しているため、時系列に沿って増加し、タイミングT22において上限c_maxに達する。また、タイミングT22からT23までの期間においては、検波値が範囲R1内の値を示しているが、安定時間のカウンタ値は上限c_maxに達しているため、当該上限c_maxを超えないように維持される。
【0077】
また、タイミングT23からT24までの期間においては、検波値が範囲R1外の値を示しているため、安定時間のカウンタ値は時系列に沿って減少している。なお、
図8に示す例では、タイミングT24において、安定時間のカウンタ値が0に達する前に、検波値が再度範囲R1内の値を示している。そのため、タイミングT24からT25までの期間において、安定時間のカウンタ値は、再度時系列に沿って増加し、タイミングT25において上限c_maxに達する。また、タイミングT25からT26までの期間においては、検波値が範囲R1内の値を示しているが、安定時間のカウンタ値は上限c_maxに達しているため、当該上限c_maxを超えないように維持される。
【0078】
そして、タイミングT26以降は検波値が範囲R1外の値を示しているため、安定時間のカウンタ値は、タイミングT26までに加算された分が時系列に沿って減少し、タイミングT27において0に達している。
【0079】
次に、グラフg43を参照しながら、医療用観察装置100(露出制御部135)による撮像部110の露出制御について説明する。
図8に示す例では、医療用観察装置100は、取得された検波値が範囲R1外の値を示し、かつ、安定時間のカウンタ値は0よりも大きい値を示す場合に、撮像部110の露出が、基準値L11に対応する露出に維持されるように、当該撮像部110の動作を制御している。
【0080】
例えば、
図8に示す例では、タイミングT23からT24までの期間において、取得された検波値が範囲R1外の値を示し、かつ、安定時間のカウンタ値は0よりも大きい値を示している。そのため、この期間において、医療用観察装置100は、撮像部110の露出が、基準値L11に対応する露出に維持されるように、当該撮像部110の動作を制御している。
【0081】
次いで、タイミングT24からT26までの期間に着目する。タイミングT24において、取得された検波値は、再度範囲R1内の値を示している。そのため、医療用観察装置100は、撮像部110の露出が取得された検波値に追随するように、撮像部110の動作を切り替えている。
【0082】
また、タイミングT26以降の期間においては、取得された検波値が範囲R1外の値を示している。また、安定時間のカウンタ値は、タイミングT26から時系列に沿って減少し、タイミングT27において0に達している。即ち、医療用観察装置100は、タイミングT26からT27の期間において、撮像部110の露出が、基準値L11に対応する露出に維持されるように、当該撮像部110の動作を制御している。そして、タイミングT27以降については、医療用観察装置100は、撮像部110の露出が取得された検波値に追随するように、撮像部110の動作を切り替えている。
【0083】
なお、
図8に示す例においては、取得された検波値が範囲R1内の値を示す、タイミングT21からT23までの期間と、タイミングT24からT26までの期間とが、第1の期間に相当する。また、タイミングT21からT27までの期間が、外乱に伴う露出の急激な変化を抑止する第2の期間に相当する。
【0084】
以上、
図8に示す例では、医療用観察装置100は、取得された検波値が範囲R1外の値を示し、かつ、安定時間のカウンタ値は0よりも大きい値を示す場合に、撮像部110の露出が、基準値L11に対応する露出に維持されるように、当該撮像部110の動作を制御している。このような制御により、
図8に示す例では、医療用観察装置100は、決定した第2の期間中における、取得された検波値が範囲R1外の値を示す期間において、撮像部110の露出が、基準値L11に対応する露出に維持されるように、当該撮像部110の動作を制御することが可能となる。
【0085】
なお、上記に説明した医療用観察装置100による露出制御は、あくまで一例であり、算出された第2の期間において、撮像部110の露出を、所定の範囲R1内の検波値に基づく露出に維持できれば、その制御の態様は特に限定されない。例えば、
図8に示す例において、医療用観察装置100は、
図5を参照して説明した例と同様に、タイミングT21からT27までの期間において、撮像部110の露出が、基準値L11に対応する露出に維持されるように、当該撮像部110の動作を制御してもよい。また、他の一例として、医療用観察装置100は、タイミングT23において、撮像部110の露出制御を開始し、当該露出制御をタイミングT27まで維持してもよい。換言すると、医療用観察装置100は、タイミングT23からT27の期間において、撮像部110の露出が、基準値L11に対応する露出に維持されるように、当該撮像部110の動作を制御してもよい。また、
図8に示す例において、医療用観察装置100は、
図7に示す例と同様に、基準値L11とは異なる目標値L12を別途算出し、当該目標値L12に基づき、撮像部110の露出を制御してもよい。
【0086】
以上、本実施形態に係る医療用観察装置の変形例として、
図6〜
図8を参照して、当該医療用観察装置による露出制御の他の一例について説明した。
【0087】
<6.適用例>
次に、
図9を参照して、本実施形態に係る医療用観察装置の他の適用例として、アームを備えた手術用ビデオ顕微鏡装置が用いられる場合の一例について説明する。
図9は、本実施形態に係る医療用観察装置の一適用例について説明するための説明図である。
【0088】
図9は、手術用ビデオ顕微鏡装置を用いた施術の様子を模式的に表している。具体的には、
図9を参照すると、施術者(ユーザ)520である医師が、例えばメス、鑷子、鉗子等の手術用の器具521を使用して、施術台530上の施術対象(患者)540に対して手術を行っている様子が図示されている。なお、以下の説明においては、施術とは、手術や検査等、ユーザ520である医師が施術対象540である患者に対して行う各種の医療的な処置の総称であるものとする。また、
図9に示す例では、施術の一例として手術の様子を図示しているが、手術用ビデオ顕微鏡装置510が用いられる施術は手術に限定されず、他の各種の施術であってもよい。
【0089】
施術台530の脇には本実施形態に係る手術用ビデオ顕微鏡装置510が設けられる。手術用ビデオ顕微鏡装置510は、基台であるベース部511と、ベース部511から延伸するアーム部512と、アーム部512の先端に先端ユニットとして接続される撮像ユニット515とを備える。アーム部512は、複数の関節部513a、513b、513cと、関節部513a、513bによって連結される複数のリンク514a、514bと、アーム部512の先端に設けられる撮像ユニット515を有する。
図9に示す例では、簡単のため、アーム部512は3つの関節部513a〜513c及び2つのリンク514a、514bを有しているが、実際には、アーム部512及び撮像ユニット515の位置及び姿勢の自由度を考慮して、所望の自由度を実現するように関節部513a〜513c及びリンク514a、514bの数や形状、関節部513a〜513cの駆動軸の方向等が適宜設定されてもよい。
【0090】
関節部513a〜513cは、リンク514a、514bを互いに回動可能に連結する機能を有し、関節部513a〜513cの回転が駆動されることにより、アーム部512の駆動が制御される。
【0091】
アーム部512の先端には、先端ユニットとして撮像ユニット515が接続されている。撮像ユニット515は、撮像対象の画像を取得するユニットであり、例えば動画や静止画を撮像できるカメラ等である。
図9に示すように、アーム部512の先端に設けられた撮像ユニット515が施術対象540の施術部位の様子を撮像するように、手術用ビデオ顕微鏡装置510によってアーム部512及び撮像ユニット515の姿勢や位置が制御される。なお、アーム部512の先端に先端ユニットとして接続される撮像ユニット515の構成は特に限定されず、例えば、撮像ユニット515は、内視鏡や顕微鏡として構成されていてもよい。また、撮像ユニット515は、当該アーム部512に対して着脱可能に構成されていてもよい。このような構成により、例えば、利用用途に応じた撮像ユニット515が、アーム部512の先端に先端ユニットとして適宜接続されてもよい。なお、本説明では、先端ユニットとして撮像ユニット515が適用されている場合に着目して説明するが、アーム部512の先端に接続される先端ユニットは、必ずしも撮像ユニット515に限定されないことは言うまでもない。
【0092】
また、ユーザ520と対向する位置には、モニタやディスプレイ等の表示装置550が設置される。撮像ユニット515により取得された施術部位の画像は、例えば、手術用ビデオ顕微鏡装置510に内蔵または外付けされた画像処理装置により、各種画像処理が施されたうえで、表示装置550の表示画面に電子画像として表示される。このような構成により、ユーザ520は、表示装置550の表示画面に表示される施術部位の電子画像を見ながら各種の処置(例えば、手術等)を行うことが可能となる。
【0093】
なお、
図9に示す例では、撮像ユニット515が、例えば、
図3を参照して前述した撮像部110を含む。また、撮像ユニット515により取得された施術部位の画像に対して、各種画像処理を施す画像処理装置が、
図3を参照して前述した制御部130の一例に相当する。同様に、表示装置550が、
図3を参照して前述した表示部150の一例に相当する。
【0094】
以上、
図9を参照して、本実施形態に係る医療用観察装置の他の適用例として、アームを備えた手術用ビデオ顕微鏡装置が用いられる場合の一例について説明した。
【0095】
<7.ハードウェア構成>
次に、
図10を参照しながら、本実施形態に係る医療用観察装置として構成される情報処理装置900のハードウェア構成の一例について、詳細に説明する。
図10は、本開示の一実施形態に係る医療用観察装置として構成される情報処理装置900のハードウェア構成の一構成例を示す機能ブロック図である。
【0096】
図10に示すように、情報処理装置900は、主に、CPU901と、ROM903と、RAM905と、を備える。また、情報処理装置900は、更に、ホストバス907と、ブリッジ909と、外部バス911と、インターフェース913と、入力装置915と、出力装置917と、ストレージ装置919とを備える。また、情報処理装置900は、ドライブ921と、接続ポート923と、通信装置925とを備えてもよい。
【0097】
CPU901は、演算処理装置及び制御装置として機能し、ROM903、RAM905、ストレージ装置919又はリムーバブル記録媒体927に記録された各種プログラムに従って、情報処理装置900内の動作全般又はその一部を制御する。ROM903は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM905は、CPU901が使用するプログラムや、プログラムの実行において適宜変化するパラメータ等を一次記憶する。これらはCPUバス等の内部バスにより構成されるホストバス907により相互に接続されている。なお、
図3を参照して前述した、制御部130の各構成は、例えば、CPU901により実現され得る。
【0098】
ホストバス907は、ブリッジ909を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス911に接続されている。また、外部バス911には、インターフェース913を介して、入力装置915、出力装置917、ストレージ装置919、ドライブ921、接続ポート923及び通信装置925が接続される。
【0099】
入力装置915は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチ、レバー及びペダル等、ユーザが操作する操作手段である。また、入力装置915は、例えば、赤外線やその他の電波を利用したリモートコントロール手段(いわゆる、リモコン)であってもよいし、情報処理装置900の操作に対応した携帯電話やPDA等の外部接続機器929であってもよい。さらに、入力装置915は、例えば、上記の操作手段を用いてユーザにより入力された情報に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路などから構成されている。情報処理装置900のユーザは、この入力装置915を操作することにより、情報処理装置900に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0100】
出力装置917は、取得した情報をユーザに対して視覚的又は聴覚的に通知することが可能な装置で構成される。このような装置として、CRTディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、ELディスプレイ装置及びランプ等の表示装置や、スピーカ及びヘッドホン等の音声出力装置や、プリンタ装置等がある。出力装置917は、例えば、情報処理装置900が行った各種処理により得られた結果を出力する。具体的には、表示装置は、情報処理装置900が行った各種処理により得られた結果を、テキスト又はイメージで表示する。他方、音声出力装置は、再生された音声データや音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して出力する。なお、
図3を参照して前述した表示部150は、例えば、出力装置917により実現され得る。
【0101】
ストレージ装置919は、情報処理装置900の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置919は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気記憶部デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス又は光磁気記憶デバイス等により構成される。このストレージ装置919は、CPU901が実行するプログラムや各種データ等を格納する。
【0102】
ドライブ921は、記録媒体用リーダライタであり、情報処理装置900に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ921は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク又は半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体927に記録されている情報を読み出して、RAM905に出力する。また、ドライブ921は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク又は半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体927に記録を書き込むことも可能である。リムーバブル記録媒体927は、例えば、DVDメディア、HD−DVDメディア又はBlu−ray(登録商標)メディア等である。また、リムーバブル記録媒体927は、コンパクトフラッシュ(登録商標)(CF:CompactFlash)、フラッシュメモリ又はSDメモリカード(Secure Digital memory card)等であってもよい。また、リムーバブル記録媒体927は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード(Integrated Circuit card)又は電子機器等であってもよい。
【0103】
接続ポート923は、情報処理装置900に直接接続するためのポートである。接続ポート923の一例として、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)ポート等がある。接続ポート923の別の例として、RS−232Cポート、光オーディオ端子、HDMI(登録商標)(High−Definition Multimedia Interface)ポート等がある。この接続ポート923に外部接続機器929を接続することで、情報処理装置900は、外部接続機器929から直接各種のデータを取得したり、外部接続機器929に各種のデータを提供したりする。
【0104】
通信装置925は、例えば、通信網(ネットワーク)931に接続するための通信デバイス等で構成された通信インターフェースである。通信装置925は、例えば、有線若しくは無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)又はWUSB(Wireless USB)用の通信カード等である。また、通信装置925は、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ又は各種通信用のモデム等であってもよい。この通信装置925は、例えば、インターネットや他の通信機器との間で、例えばTCP/IP等の所定のプロトコルに則して信号等を送受信することができる。また、通信装置925に接続される通信網931は、有線又は無線によって接続されたネットワーク等により構成され、例えば、インターネット、家庭内LAN、赤外線通信、ラジオ波通信又は衛星通信等であってもよい。
【0105】
以上、本開示の実施形態に係る医療用立体観察システムを構成する情報処理装置900の機能を実現可能なハードウェア構成の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用するハードウェア構成を変更することが可能である。なお、
図10では図示しないが、例えば、前述した医療用観察装置に対応する各種の構成を当然備える。
【0106】
なお、上述のような本実施形態に係る医療用立体観察システムを構成する情報処理装置900の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
【0107】
<8.まとめ>
以上、説明したように、本実施形態に係る医療用観察装置は、検波値が所定の範囲内の値を示すことを認識した場合には、検波値が当該範囲内の値を示す第1の期間を計測し、当該第1の期間の計測結果に基づき、外乱に伴う露出の急激な変化を抑止する第2の期間を決定する。そして、医療用観察装置は、決定した第2の期間中においては、外乱等により検波値が急激に変化した場合においても、撮像部の露出が、当該範囲内の検波値に対応する露出(例えば、基準値に対応する適正露出)に維持されるように、当該撮像部の動作を制御する。
【0108】
このような制御により、本実施形態に係る医療用観察装置は、観察範囲内に鉗子やガーゼなどの高輝度の被写体が進入する等の外乱により、検波値が急激に変化した場合においても、撮像部の露出を維持し、患部等の被写体の画像(観察対象の画像)の明るさの急激な変化を抑止する。即ち、本実施形態に係る医療用観察装置に依れば、観察範囲内に鉗子やガーゼなどの高輝度の物体が一時的に進入した場合においても、撮像された観察対象の画像が暗くなるといった事態の発生を抑止することが可能となる。
【0109】
また、前述したように、本実施形態に係る医療用観察装置が、外乱に伴う露出の急激な変化を抑止する第2の期間は、検波値が所定の範囲内の値を示す第1の期間に基づき決定される。即ち、当該医療用観察装置は、第1の期間がより長いほど、第2の期間がより長くなるように制御する。換言すると、本実施形態に係る医療用観察装置は、観察範囲内の明るさの変化に応じて、撮像部の露出が、所定の範囲内の検波値に対応する露出(例えば、適正露出)に維持される期間を動的に制御する。そのため、本実施形態に係る医療用観察装置に依れば、前述したように被写体の画像の明るさの急激な変化の抑止と、観察範囲内の明るさの変化に対する当該画像の明るさの追従性とを、より好適な態様で両立させることが可能となる。
【0110】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0111】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0112】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
生体内における被写体の像の明るさの検知結果を取得する取得部と、
前記明るさの検知結果が所定の範囲内の値を示す第1の期間に応じて、撮像部の露出を、前記範囲内に含まれる値に対応する露出に維持する第2の期間を決定する制御部と、
を備える、医療用観察装置。
(2)
前記制御部は、前記検知結果として、前記範囲内の値が検知されたタイミングを基点とした前記第1の期間に応じて、当該タイミングを基点とした前記第2の期間を決定する、前記(1)に記載の医療用観察装置。
(3)
前記制御部は、前記タイミングを基点として、前記撮像部の露出の制御を開始する、前記(2)に記載の医療用観察装置。
(4)
前記制御部は、前記第2の期間中における前記タイミングよりも後の他のタイミングを基点として、前記撮像部の露出の制御を開始する、前記(2)に記載の医療用観察装置。
(5)
前記他のタイミングは、前記検知結果として、前記範囲外の値が検知されたタイミングである、前記(4)に記載の医療用観察装置。
(6)
前記制御部は、前記第2の期間中における、前記検知結果が前記範囲外の値を示す期間において、前記撮像部の露出の制御する、前記(2)に記載の医療用観察装置。
(7)
前記制御部は、前記撮像部の露出が、前記範囲内に含まれる所定の目標値に対応する露出に維持されるように、当該撮像部を制御する、前記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の医療用観察装置。
(8)
前記制御部は、前記検知結果に基づき、前記撮像部の露出を制御するための目標値を算出する、前記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の医療用観察装置。
(9)
前記制御部は、前記第1の期間に応じた前記第2の期間の増加分を、所定の閾値を超えない範囲で設定する、前記(1)〜(8)のいずれか一項に記載の医療用観察装置。
(10)
前記撮像部を備える、前記(1)〜(9)のいずれか一項に記載の医療用観察装置。
(11)
前記撮像部は、患者の体腔内に挿入される内視鏡である、
前記(10)に記載の医療用観察装置。
(12)
前記撮像部は、前記被写体の光学像を取得する光学系を含む顕微鏡部であって、
前記顕微鏡部を支持する支持部、
をさらに備える、
前記(10)に記載の医療用観察装置。
(13)
プロセッサが、
生体内における被写体の像の明るさの検知結果を取得することと、
前記明るさの検知結果が所定の範囲内の値を示す第1の期間に応じて、撮像部の露出を、前記範囲内に含まれる値に対応する露出に維持する第2の期間を決定することと、
を含む、医療用観察方法。