(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
燃料電池と、前記燃料電池の出力電圧を検出する電圧センサと、前記燃料電池の出力電流を検出する電流センサと、前記出力電圧が最小制御電圧未満にならないように前記燃料電池を制御するパワーコンディショナと、を備える発電装置を制御する制御装置であって、
前記最小制御電圧の情報を前記パワーコンディショナに提供し、
前記最小制御電圧は、前記出力電流が増加するに従って減少する関数として表され、
前記燃料電池の内部抵抗の推定値に応じて、前記パワーコンディショナに提供する前記最小制御電圧を表す関数を切り替える、制御装置。
燃料電池と、前記燃料電池の出力電圧を検出する電圧センサと、前記燃料電池の出力電流を検出する電流センサと、前記出力電圧が最小制御電圧未満にならないように前記燃料電池を制御するパワーコンディショナと、を備える発電装置を制御する制御装置に、
前記最小制御電圧の情報を前記パワーコンディショナに提供するステップと、
前記燃料電池の内部抵抗の推定値に応じて、前記パワーコンディショナに提供する前記最小制御電圧を表す関数を切り替えるステップと、を実行させ、
前記最小制御電圧は、前記出力電流が増加するに従って減少する関数として表される、制御プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。まず、本開示の実施形態に係る発電装置の構成を説明する。
【0014】
図1は、本開示の実施形態に係る発電装置1の構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【0015】
図1に示すように、本開示の実施形態に係る発電装置1は、貯湯タンク60と、負荷100と、商用電源(grid)200に接続される。また、
図1に示すように、発電装置1は、外部からガス及び空気が供給されることにより発電し、発電した電力を負荷100等に供給する。
【0016】
図1に示すように、発電装置1は、制御部10と、記憶部12と、燃料電池モジュール20と、供給部30と、パワーコンディショナ40と、排熱回収処理部50と、循環水処理部52と、電流センサ70と、電圧センサ80とを備える。
【0017】
発電装置1は、以下にさらに詳細に述べられるように、種々の機能を実行するための制御及び処理能力を提供するために、制御部10として少なくとも1つのプロセッサを含む。種々の実施形態によれば、少なくとも1つのプロセッサは、単一の集積回路(IC)として、又は複数の通信可能に接続された集積回路IC及び/又はディスクリート回路(discrete circuits)として実現されてもよい。少なくとも1つのプロセッサは、種々の既知の技術に従って実現されることが可能である。
【0018】
ある実施形態において、プロセッサは、1以上のデータ計算手続又は処理を実行するために構成された、1以上の回路又はユニットを含む。例えば、プロセッサは、1以上のプロセッサ、コントローラ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号処理装置、プログラマブルロジックデバイス、フィールドプログラマブルゲートアレイ、又はこれらのデバイス若しくは構成の任意の組み合わせ、又は他の既知のデバイス若しくは構成の組み合わせを含むことにより、以下に説明する機能を実行してもよい。
【0019】
制御部10は、記憶部12と、燃料電池モジュール20と、供給部30と、パワーコンディショナ40とに接続され、これらの各機能部をはじめとして発電装置1の全体を制御及び管理する。制御部10は、記憶部12に記憶されているプログラムを取得して、このプログラムを実行することにより、発電装置1の各部に係る種々の機能を実現する。制御部10から他の機能部に制御信号又は各種の情報などを送信する場合、制御部10と他の機能部とは、有線又は無線により接続されていればよい。制御部10が行う本実施形態に特徴的な制御については、さらに後述する。
【0020】
記憶部12は、制御部10から取得した情報を記憶する。また記憶部12は、制御部10によって実行されるプログラム等を記憶する。その他、記憶部12は、例えば制御部10による演算結果などの各種データも記憶する。さらに、記憶部12は、制御部10が動作する際のワークメモリ等も含むことができるものとして、以下説明する。記憶部12は、例えば半導体メモリ又は磁気ディスク等により構成することができるが、これらに限定されず、任意の記憶装置とすることができる。例えば、記憶部12は、光ディスクのような光学記憶装置としてもよいし、光磁気ディスクなどとしてもよい。
【0021】
燃料電池モジュール20は、改質器22と、セルスタック24とを備えている。燃料電池モジュール20のセルスタック24は、供給部30から供給されるガス(燃料ガス)などを用いて発電し、発電した直流電力をパワーコンディショナ40に出力する。燃料電池モジュール20は、ホットモジュールとも呼ばれる。燃料電池モジュール20において、セルスタック24は、発電に伴い発熱する。本開示において、実際に発電を行うセルスタック24を、適宜、「燃料電池」と記す。また、本開示において、セルスタック24を含めた任意の機能部も、適宜、「燃料電池」と総称することがある。例えば、「燃料電池」としては、他に、単体のセル、又は燃料電池モジュールなどが挙げられる。
【0022】
燃料電池モジュール20の出力部の内部抵抗は、燃料電池モジュール20の起動時は大きく、燃料電池モジュール20の温度が上昇するとともに小さくなる。また、燃料電池モジュール20の出力部の内部抵抗は、セルスタック24の経年劣化により大きくなる。
【0023】
改質器22は、供給部30から供給されるガス及び改質水を用いて、水素及び/又は一酸化炭素を生成する。セルスタック24は、改質器22で生成された水素及び/又は一酸化炭素と、空気中の酸素とを反応させることにより、発電する。すなわち、本実施形態において、燃料電池のセルスタック24は、電気化学反応により発電する。なお、改質器22としては、前述の水蒸気改質を行う改質器を例示しているが、他の改質器として、酸素を含む空気等を用いて水素を生成する部分酸化改質(Partial Oxidation(POX))を行う改質器等であってもよい。
【0024】
以下、セルスタック24は、SOFC(固体酸化物型燃料電池)であるとして説明する。しかしながら、本実施形態に係るセルスタック24はSOFCに限定されない。本実施形態に係るセルスタック24は、例えば固体高分子形燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell(PEFC))、りん酸形燃料電池(Phosphoric Acid Fuel Cell(PAFC))、及び溶融炭酸塩形燃料電池(Molten Carbonate Fuel Cell(MCFC))などのような燃料電池で構成してもよい。また、本実施形態において、セルスタック24は、例えば単体で700W程度の発電ができるものを4つ備えてもよい。この場合、燃料電池モジュール20は、全体として3kW程度の電力を出力することができる。しかしながら、本実施形態に係るセルスタック24及び燃料電池モジュール20は、このような構成に限定されるものではなく、種々の構成を採用することができる。例えば、本実施形態に係る燃料電池モジュール20は、セルスタック24を1つのみ備えるようにしてもよい。本実施形態において、発電装置1は、ガスを利用して発電を行う燃料電池を備えていればよい。したがって、例えば、発電装置1は、燃料電池として、セルスタック24ではなく、単に燃料電池セル1つのみを備えるものも想定できる。また、本実施形態に係る燃料電池は、例えばPEFCのように、モジュールのない燃料電池としてもよい。
【0025】
供給部30は、ガス供給部32と、空気供給部34と、改質水供給部36とを備える。すなわち、供給部30は、セルスタック24にガス、空気、及び改質水を供給する。
【0026】
ガス供給部32は、燃料電池モジュール20にガスを供給する。このとき、ガス供給部32は、制御部10からの制御信号に基づいて、燃料電池モジュール20に供給するガスの量を制御する。本実施形態において、ガス供給部32は、例えばガスラインによって構成することができる。またガス供給部32は、ガスの脱硫処理を行ってもよいし、ガスを予備的に加熱してもよい。ガスを加熱する熱源として、セルスタック24の排熱が利用されてもよい。ガスは、例えば、都市ガス、又はLPG等であるが、これらに限定されない。例えば、ガスは、燃料電池に応じて、天然ガス又は石炭ガスなどとしてもよい。本実施形態において、ガス供給部32は、セルスタック24が発電する際の電気化学反応に用いられる燃料ガスを供給する。
【0027】
空気供給部34は、燃料電池モジュール20に空気を供給する。このとき、空気供給部34は、制御部10からの制御信号に基づいて、燃料電池モジュール20に供給する空気の量を制御する。本実施形態において、空気供給部34は、例えば空気ラインによって構成することができる。また空気供給部34は、外部から取り込んだ空気を予備的に加熱して、燃料電池モジュール20に供給してもよい。空気を加熱する熱源として、セルスタック24の排熱が利用されてもよい。本実施形態において、空気供給部34は、セルスタック24が発電する際の電気化学反応に用いられる空気を供給する。
【0028】
改質水供給部36は、水蒸気を生成して燃料電池モジュール20に供給する。このとき、改質水供給部36は、制御部10からの制御信号に基づいて、燃料電池モジュール20に供給する水蒸気の量を制御する。本実施形態において、改質水供給部36は、例えば改質水ラインによって構成することができる。改質水供給部36は、セルスタック24の排気から回収された水を原料として水蒸気を生成してもよい。水蒸気を生成する熱源として、セルスタック24の排熱が利用されてもよい。
【0029】
パワーコンディショナ40は、燃料電池モジュール20に接続される。パワーコンディショナ40は、セルスタック24が発電した直流電力を、交流電力に変換する。パワーコンディショナ40から出力される交流電力は、分電盤などを介して、負荷100に供給される。負荷100は、分電盤などを介して、パワーコンディショナ40から出力された電力を受電する。
図1において、負荷100は、1つのみの部材として図示してあるが、負荷を構成する任意の個数の各種電気機器とすることができる。また、負荷100は、分電盤などを介して、商用電源200から受電することもできる。
【0030】
パワーコンディショナ40は、制御部10からの制御信号に基づいて、燃料電池モジュール20の出力電圧が最小制御電圧未満にならないように、燃料電池モジュール20を制御する。ここで、「最小制御電圧」は、セルスタック24が電圧低下によって劣化することを抑制するために設定されている電圧値である。最小制御電圧の情報は、制御部10によってパワーコンディショナ40に提供される。
【0031】
排熱回収処理部50は、セルスタック24の発電により生じる排気から排熱を回収する。排熱回収処理部50は、例えば熱交換器等で構成することができる。排熱回収処理部50は、循環水処理部52及び貯湯タンク60に接続される。
【0032】
循環水処理部52は、貯湯タンク60から排熱回収処理部50へ水を循環させる。排熱回収処理部50に供給された水は、排熱回収処理部50で回収された排熱によって加熱され、貯湯タンク60に戻る。排熱回収処理部50は、排熱を回収した排気を外部に排出する。また、上述のように、排熱回収処理部50で回収された熱は、ガス、空気、又は改質水の加熱などに用いることができる。
【0033】
貯湯タンク60は、排熱回収処理部50及び循環水処理部52に接続される。貯湯タンク60は、燃料電池モジュール20のセルスタック24などから回収された排熱を利用して生成された湯を、貯えることができる。
【0034】
電流センサ70は、セルスタック24がパワーコンディショナ40に出力する電流を検出する。電流センサ70は、例えばCT(Current Transformer)などにより構成することができる。しかしながら、電流センサ70は、CTに限定されず、電流を測定できる部材であれば、任意のものを採用することができる。例えば、電流センサ70は、ホール素子方式、ロゴスキー方式、又はゼロフラックス方式など原理に基づくものとしてもよい。電流センサ70は、制御部10に接続される。電流センサ70は、検出した電流に基づく信号を制御部10に送信する。この信号を受信することで、制御部10は、セルスタック24の出力電流を把握することができる。電流センサ70は、パワーコンディショナ40の内部に設けられていてもよい。
【0035】
電圧センサ80は、セルスタック24がパワーコンディショナ40に出力する電圧を検出する。電圧センサ80は、制御部10に接続される。電圧センサ80は、検出した電圧に基づく信号を制御部10に送信する。この信号を受信することで、制御部10は、セルスタック24の出力電圧を把握することができる。電圧センサ80は、パワーコンディショナ40の内部に設けられていてもよい。
【0036】
次に、制御部10の動作について説明する。
【0037】
制御部10は、最小制御電圧の情報を制御信号によってパワーコンディショナ40に提供(出力)する。パワーコンディショナ40は、制御部10から最小制御電圧の情報を受け取ると、燃料電池モジュール20の出力電圧が最小制御電圧未満にならないように、燃料電池モジュール20を制御する。
【0038】
制御部10は、電流センサ70から取得した燃料電池モジュール20の出力電流の情報をパワーコンディショナ40に提供する。制御部10は、電圧センサ80から取得した燃料電池モジュール20の出力電圧の情報をパワーコンディショナ40に提供する。パワーコンディショナ40は、燃料電池モジュール20の出力電流の情報を、電流センサ70から直接取得してもよい。パワーコンディショナ40は、燃料電池モジュール20の出力電圧の情報を、電圧センサ80から直接取得してもよい。
【0039】
図2に、最小制御電圧の一例を示す。
図2に示すグラフは、横軸が燃料電池モジュール20の出力電流であり、縦軸が最小制御電圧である。
図2に示すように、最小制御電圧は、燃料電池モジュール20の出力電流に依存して値が変わる。
図2に示すように、最小制御電圧は、燃料電池モジュール20の出力電流が増加するに従って減少する関数として表すことができる。また、前記関数は、燃料電池モジュール20の出力電流が増加するに従って単調に減少するようにしてもよい。
【0040】
また、
図2に示すように、最小制御電圧は、出力電流が所定の閾値であるIt未満のときは、出力電流に対する二次関数として減少し、出力電流が所定の閾値であるIt以上のときは、出力電流に対する一次関数として減少するようにしてもよい。
【0041】
図3に、発電装置1の発電開始時において、パワーコンディショナ40が、制御部10から取得した最小制御電圧に従って、燃料電池モジュール20の出力電圧を制御する様子の一例を示す。
【0042】
図3において、符号110は、最小制御電圧を示す。符号121は、発電装置1の発電開始から時間t1が経過した時点における燃料電池モジュール20の出力の電流・電圧特性を示す。符号122は、発電装置1の発電開始から時間t2が経過した時点における燃料電池モジュール20の出力の電流・電圧特性を示す。符号123は、発電装置1の発電開始から時間t3が経過した時点における燃料電池モジュール20の出力の電流・電圧特性を示す。時間t1、t2、t3の関係は、t1<t2<t3であるとする。
【0043】
燃料電池モジュール20は、発電を開始すると徐々に温度が上昇するため、
図3に示すように、時間がt1、t2、t3と経過するに従って、内部抵抗が小さくなっていく。すなわち、電流・電圧特性の傾きが小さくなっていく。
【0044】
パワーコンディショナ40は、発電装置1が発電を開始すると、例えば定格電力のようなターゲットとなる発電電力まで発電装置1の出力電力を増加させるため、燃料電池モジュール20の出力電流を徐々に増加させる。
【0045】
発電開始から時間t1が経過した時点での燃料電池モジュール20の電流・電圧特性は、
図3に示す電流・電圧特性121であるため、出力電流を電流I1まで増加させた時点で、燃料電池モジュール20の出力電圧は最小制御電圧と等しくなる。そのため、パワーコンディショナ40は、それ以上出力電流を増やさないように、燃料電池モジュール20を制御する。
【0046】
その後、発電開始から時間t2が経過すると、燃料電池モジュール20の内部抵抗の減少に伴って、燃料電池モジュール20の電流・電圧特性が、
図3に示す電流・電圧特性122になる。この時点で、パワーコンディショナ40は、燃料電池モジュール20の出力電流をI2まで増やすように、燃料電池モジュール20を制御する。
【0047】
また、その後、発電開始から時間t3が経過すると、燃料電池モジュール20の内部抵抗の更なる減少に伴って、燃料電池モジュール20の電流・電圧特性が、
図3に示す電流・電圧特性123になる。この時点で、パワーコンディショナ40は、燃料電池モジュール20の出力電流をI3まで増やすように、燃料電池モジュール20を制御する。
【0048】
このように、パワーコンディショナ40は、燃料電池モジュール20の出力電圧が最小制御電圧未満にならないように、燃料電池モジュール20を制御する。これにより、電圧低下に起因するセルスタック24の劣化を抑制することができる。また、最小制御電圧は、一定値ではなく、燃料電池モジュール20の出力電流が増加するに従って減少する関数として表すことができる。これにより、パワーコンディショナ40は、燃料電池モジュール20の内部抵抗が減少し、燃料電池モジュール20の出力電流が増加するとともに、発電電力を迅速に増加させることができる。したがって、本実施形態によれば、発電装置1は、セルスタック24の劣化を抑制しつつ、発電開始後に定格電力に到達するまでの時間を低減することができる。
【0049】
[内部抵抗の推定]
制御部10は、燃料電池モジュール20の内部抵抗を推定し、内部抵抗の推定値に応じて、パワーコンディショナ40に提供する最小制御電圧を切り替えてもよい。これは、経年劣化などに起因して燃料電池モジュール20の内部抵抗が大きくなっていくことに対応するための動作である。
【0050】
図4に、燃料電池モジュール20の内部抵抗の推定値に応じた最小制御電圧の例を示す。
図4においては、内部抵抗の推定値が6.8オーム、7.9オーム、9オーム、10.1オーム、及び11.2オームの場合の、最小制御電圧の例を示している。
図4に示すように、同一の出力電流の値に対しては、内部抵抗の推定値が大きくなるに従って、最小制御電圧は小さくなる。
図4に示すような燃料電池モジュール20の内部抵抗の推定値に応じた最小制御電圧は、記憶部12が記憶している。
【0051】
なお、
図4に示している内部抵抗の推定値は、発電装置1の発電開始から十分な時間が経過し、発電が安定して燃料電池モジュール20の内部抵抗が十分下がった状態における内部抵抗の推定値である。
【0052】
内部抵抗の推定値に応じた最小制御電圧が選択されていると、燃料電池モジュール20の実際の内部抵抗が内部抵抗の推定値に等しい場合、発電開始から十分な時間が経過し、発電が安定している状態では、燃料電池モジュール20の出力電力は、最小制御電圧を下回らない。
【0053】
図5に、燃料電池モジュール20の内部抵抗の推定値が6.8オームのときの最小制御電圧131と、燃料電池モジュール20の内部抵抗が6.8オームのときの電流・電圧特性132とを示す。
【0054】
図5に示すように、発電開始から十分な時間が経過し、発電が安定している状態において、燃料電池モジュール20の実際の内部抵抗が6.8オームである場合、電流・電圧特性132は、燃料電池モジュール20の内部抵抗の推定値が6.8オームのときの最小制御電圧131を下回らない。
【0055】
制御部10は、発電開始から十分な時間が経過し、発電が安定している状態において、燃料電池モジュール20の出力電圧と、そのときの燃料電池モジュール20の出力電流における最小制御電圧とを比較する。制御部10は、出力電圧と最小制御電圧との関係が、
出力電圧―最小制御電圧<第1電圧閾値
との関係を満たす状態が、所定の時間以上継続した場合、内部抵抗は、現状の推定値より大きいと判定する。制御部10は、内部抵抗が現状の推定値より大きいと判定すると、現状の推定値よりも所定の値だけ大きい推定値の内部抵抗に応じた最小制御電圧を、パワーコンディショナ40に提供する。パワーコンディショナ40は、制御部10から新たに取得した最小制御電圧未満にならないように、燃料電池モジュール20の出力電圧を制御する。
【0056】
このように、制御部10は、燃料電池モジュール20の出力電圧から最小制御電圧を減算した値が第1電圧閾値未満の状態が所定の時間以上継続した場合は、内部抵抗の推定値を大きくする。これにより、発電装置1は、経年劣化によって燃料電池モジュール20の内部抵抗が大きくなった場合に、最小制御電圧の条件を緩和することで、発電装置1が発電開始後に定格電力に到達するまでの時間を低減することができる。
【0057】
制御部10は、発電開始から十分な時間が経過し、発電が安定している状態において、燃料電池モジュール20の出力電圧と、そのときの燃料電池モジュール20の出力電流における最小制御電圧とを比較する。制御部10は、出力電圧と最小制御電圧との関係が、
出力電圧―最小制御電圧>第2電圧閾値
との関係を満たす状態が、所定の時間以上継続した場合、内部抵抗は、現状の推定値より小さいと判定する。制御部10は、内部抵抗が現状の推定値より小さいと判定すると、現状の推定値よりも所定の値だけ小さい推定値の内部抵抗に応じた最小制御電圧を、パワーコンディショナ40に提供する。パワーコンディショナ40は、制御部10から新たに取得した最小制御電圧未満にならないように、燃料電池モジュール20の出力電圧を制御する。
【0058】
続いて、本実施形態に係る発電装置1が内部抵抗を推定する動作について
図6のフローチャートを参照して説明する。発電装置1は、最初の起動時には、内部抵抗の推定値の初期値を有しているものとする。
【0059】
発電装置1の制御部10は、発電装置1の起動後、発電装置1の発電が安定した状態になったか否かを判定する(ステップS101)。例えば、制御部10は、発電装置1の起動から所定の時間以上が経過したか否かで発電が安定した状態になったか否かを判定してよい。また、例えば、制御部10は、燃料電池モジュール20の出力電力が定格電力に達したか否かで発電が安定した状態になったか否かを判定してよい。
【0060】
発電装置1の発電が安定した状態になっていない場合(ステップS101のNo)、制御部10は、ステップS101の判定を繰り返す。
【0061】
発電装置1の発電が安定した状態になっている場合(ステップS101のYes)、制御部10は、燃料電池モジュール20の出力電圧と、そのときの燃料電池モジュール20の出力電流における最小制御電圧とを比較する。制御部10は、出力電圧と最小制御電圧との関係が、
出力電圧―最小制御電圧<第1電圧閾値
との関係を満たす状態が、所定の時間以上継続しているか否かを判定する(ステップS102)。
【0062】
ステップS102においてYesと判定した場合、制御部10は、内部抵抗の推定値を大きくする。すなわち、制御部10は、現状の推定値よりも所定の値だけ大きい推定値の内部抵抗に応じた最小制御電圧を、パワーコンディショナ40に提供する(ステップS103)。
【0063】
ステップS102においてNoと判定した場合、制御部10は、燃料電池モジュール20の出力電圧と、そのときの燃料電池モジュール20の出力電流における最小制御電圧とを比較する。制御部10は、出力電圧と最小制御電圧との関係が、
出力電圧―最小制御電圧>第2電圧閾値
との関係を満たす状態が、所定の時間以上継続しているか否かを判定する(ステップS104)。
【0064】
ステップS104においてYesと判定した場合、制御部10は、内部抵抗の推定値を小さくする。すなわち、制御部10は、現状の推定値よりも所定の値だけ小さい推定値の内部抵抗に応じた最小制御電圧を、パワーコンディショナ40に提供する(ステップS105)。
【0065】
ステップS104においてNoと判定した場合、制御部10は、内部抵抗の推定値を変更しない。
【0066】
制御部10は、発電が安定している状態において、定期的に、ステップS102〜ステップS105の処理を実行してもよい。
【0067】
[制御装置を外部に有する構成]
本開示の実施形態は、
図1に示す発電装置1の制御部10及び記憶部12に相当する機能ブロックを、発電装置1の外部に有する構成として実現することもできる。このような実施形態の一例を
図7に示す。
図7に示す例においては、発電装置1を外部から制御する制御装置2は、制御部10と、記憶部12とを備える。
図7に示す制御装置2の制御部10及び記憶部12の機能は、
図1に示す発電装置1の制御部10及び記憶部12の機能とそれぞれ同等である。
【0068】
また、本開示の実施形態は、例えば、
図7に示す制御装置2に実行させる制御プログラムとして実現することもできる。
【0069】
本発明を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び修正を行うことが容易であることに注意されたい。したがって、これらの変形及び修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各機能部、各手段、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の機能部及びステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。また、上述した本発明の各実施形態は、それぞれ説明した各実施形態に忠実に実施することに限定されるものではなく、適宜、各特徴を組み合わせたり、一部を省略したりして実施することもできる。
【0070】
以上の開示においては、本実施形態として、SOFCとするセルスタック24を備える発電装置1について説明した。しかしながら、上述したように、本実施形態に係る発電装置1は、SOFCを備えるものに限定されず、例えばモジュールのないPEFCなど、各種の燃料電池を備えるものとすることができる。本開示において「燃料電池」とは、例えば発電システム、発電ユニット、燃料電池モジュール、ホットモジュール、セルスタック、又はセルなどを意味する。