(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係るグリッパは、掌部と、前記掌部の周囲に突出して設けられ、前記掌部を厚さ方向に変形させることにより前記掌部に向かって倒れる複数の指部と、前記指部が形成された側と反対側の、前記掌部の外縁を囲む位置に形成され、ケースに接続される接続部と、前記掌部と前記接続部の間に設けられ、前記掌部の外縁から当該掌部の厚さ方向に所定の長さを有し、前記掌部より変形しにくい高強度部とが一体に形成されている。
【0012】
高強度部が掌部より変形しにくいので、掌部の内面側を減圧した場合、掌部は、外周が収縮せず厚さ方向に変形する。したがってグリッパは、指部が掌部に向かって倒れるように弾性変形するので、粉粒体を用いず、より確実にワークを把持することができる。
【0013】
高強度部は、接続部と掌部の間の一定の領域である。高強度部は、掌部に比べ、機械的強度が高くなるように形成されている。高強度部は、掌部の周囲において一様に設けられている場合と、部分的に設けられている場合とを含む。具体的には、高強度部は、掌部に比べて厚肉としてもよい。この場合、高強度部の厚さは、一様である場合に限らず、部分的に厚肉としてもよい。部分的に厚肉である場合とは、掌部の周方向に部分的である場合と、掌部の厚さ方向に平行な方向に部分的である場合を含む。高強度部は、掌部に比べて機械的強度の高い材料で形成してもよい。機械的強度の高い材料は、掌部と同質であるが硬度が高い材料の場合、掌部と異種材料の場合、フィラーなどの添加物を含む場合、それらの複合材の場合を含む。
【0014】
高強度部は、基端においてケースの一部と接触する。高強度部は、基端においてケースと面接触する場合、及び線接触する場合を含む。基端は、ケースと接触する接触面を有するのが好ましい。ケースは、上ケースと下ケースとを備える場合、上ケースが接触面と接触してもよく、下ケースが接触面と接触してもよい。
【0015】
高強度部は、基端から、掌部と接続される先端までの一定の領域である。先端は、高強度部と掌部の境界であるが、明確に視認できる場合に限られない。先端は、掌部が厚さ方向へ変形する場合の支点になるのが好ましい。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0016】
(全体構成)
図1に、本実施形態に係る把持装置10を適用した産業用ロボット12の構成を示す。産業用ロボット12は、直交ロボットであって、レール14と、レール14に沿って移動する移動体16と、移動体16に固定されたエアシリンダー18とを備える。レール14は、図中Y軸方向に移動可能に設けられている。
【0017】
エアシリンダー18は、シリンダーチューブ19と、シリンダーチューブ19に対し進退可能に設けられたピストンロッド20とを有する。シリンダーチューブ19には、配管21,22が設けられている。当該配管21,22を通じて、気体が給排気されることにより、ピストンロッド20がシリンダーチューブ19に対し進退可能となっている。ピストンロッド20の先端には、把持装置10が設けられている。
【0018】
産業用ロボット12は、水平な基台26上に置かれたワークWを、把持装置10で把持すると共に、X軸、Y軸、及びZ軸方向に移動することができる。
【0019】
把持装置10は、ピストンロッド20に連結されたケース36Aと、当該ケース36Aに固定されたグリッパ28Aとを備える。ケース36Aには、配管24が連結されている。グリッパ28Aは、気密性と弾性とを有する材料、例えば、天然ゴムや、合成ゴムなどで形成することができる。グリッパ28AのJIS K6253のデュロメータ硬さ試験(タイプA)に準じて測定した硬度は、60〜90程度であるのが好ましい。
【0020】
図2に示すようにグリッパ28Aは、掌部30と、掌部30の周囲に突出して設けられた複数の指部32とを有する。掌部30は略円盤状をなしている。指部32は、掌部30と一体に形成されており、掌部30を囲むように放射状に5個設けられている。指部32同士の間には、所定の間隔が形成されている。指部32は、内面が掌部30と一体に形成されている。指部32の外形形状は、適宜選択することができ、例えば、円柱、円錐、円錐台、三角柱、四角柱、三角錐、四角錐、四角錐台、直方体などでもよい。本実施形態の場合、指部32は、同一形状で構成されている。なお複数の指部32は、全て同一形状である必要はなく、形状が異なっていてもよい。指部32は、四角錐台形状を有し、内面が、掌部30に接合している基端から先端に向かって外側に傾斜するように形成されている。
【0021】
図3に示すようにグリッパ28Aは、指部32が形成された側と反対側の、掌部30の外縁を囲む位置に接続部38が一体に形成されている。接続部38は筒状であって、本図の場合、上端に円形の開口を有する。指部32は、中実である。指部32の材質は、その他の部分(掌部30や接続部38)と同じ材質、または異なる材質でもよく、さらに均一である必要はなく、異種材料を組み合わせた複合材、フィラーなどの添加物を含んでもよい。グリッパ28Aの開口は、ケース36Aによって密閉されている。
【0022】
図4に示すように、ケース36Aは、ステンレスなどの金属製、又はプラスチックなどの硬質の樹脂製であるのが好ましく、下ケース51と、上ケース54とを有する。下ケース51は、中央に貫通穴56を有する底部57と、当該底部57の外縁に一体に形成された筒状部52とを有する。下ケース51の先端面である底面55の外縁Rは、面取り加工が施されている。面取り加工は、底面55の外縁を削り、角面や丸面とする加工が適用できる。面取り加工の大きさは、接続部38が局所的に厚さ方向に変形するのを防ぐうえで、小さいほうが好ましい。
【0023】
上ケース54は、円盤状の部材であり、厚さ方向に貫通して設けられた継手58を有する。当該継手58には、配管24の一端が接続される(
図3)。配管24の他端は、図示しないが、例えば三方弁を介して真空ポンプに接続されている。三方弁は、真空ポート、給排気ポート、大気解放ポートを有し、真空ポートが真空ポンプに、給排気ポートが把持装置10に、大気解放ポートが外部にそれぞれ接続される。当該配管24を通じて、気体が、グリッパ28Aの内から外へ、及びグリッパ28Aの外から内へ、流通する。
【0024】
下ケース51と上ケース54は、筒状部52の上端において、シール材としてのOリング53を介して、一体化されている。下ケース51の底面と、掌部30の内面の間には、厚さ方向に変形した掌部30を受け入れるガイド空間40が形成されている。
【0025】
グリッパ28Aは、接続部38と掌部30の間に、掌部30より厚さ方向に変形しにくい高強度部42を備える。高強度部42は、掌部30や接続部38と一体に形成されている。高強度部42は、下ケース51と接触する基端44、及び、基端44から前記指部32側に離れており前記掌部30に接続される先端43を有する。高強度部42は、掌部30に比べ変形しにくいが、完全な剛体ではなく、掌部30の中心へ向かって基端44を支点にして微視的に変形する。
【0026】
基端44は、掌部30の外縁から掌部30の厚さ方向に離れた位置、すなわち掌部30から接続部38の上部開口側へ離れた位置に設けられている。本実施形態の場合、基端44は、ケース36Aの底面55の外周部に接触する接触面45を有する。高強度部42は、接触面45に連続した掌部30の中心側に、ガイド空間40に接する内周面46を有する。掌部30の内側は、略平坦な内面48と、当該内面48の周囲に設けられた外側に凸となる曲面50とを有する。内周面46と、掌部30の内面48は、曲面50で接続されている。
【0027】
高強度部42の先端43は、内周面46と曲面50の間に配置されている。先端43は、掌部30が厚さ方向へ変形する場合の支点となる。
【0028】
高強度部42は、
図5に示すように、掌部30の周囲を囲むように接続部38の形状に合わせて形成されており、本図の場合、環状である。接触面45は、高強度部42の上面である。ケース36Aの底面55の外周部の全周が、高強度部42の接触面45に接触する。ここで全周とは、完全な外周部の全周である場合に必ずしも限定されず、わずかに接触していない部分がある場合を含む。
【0029】
(動作及び効果)
上記のように構成された把持装置10が設けられた産業用ロボット12の動作及び効果について説明する。産業用ロボット12は、ピストンロッド20がシリンダーチューブ19内に退避し、エアシリンダー18が収縮した状態を原点とする。また把持装置10は、初期状態においてグリッパ28A内の圧力が大気圧である。すなわち三方弁は、真空ポートが遮断され、給排気ポートが大気解放ポートと繋がっている状態である。
【0030】
産業用ロボット12は、移動体16がレール14に沿って移動することで、基台26上に置かれたワークWの鉛直線上に把持装置10を位置決めする(
図1)。次いで、産業用ロボット12は、ピストンロッド20がシリンダーチューブ19から進出することにより、指部32がワークWの側面に到達するまで、エアシリンダー18を伸長させる。
【0031】
次いで三方弁は、大気解放ポートが遮断され、給排気ポートが真空ポートと繋がった状態に切り替えられる。これにより把持装置10は、配管24を通じて、グリッパ28A内の気体を吸引し、グリッパ28A内の圧力を−0.03MPa以下に減圧する。
【0032】
グリッパ28Aは、高強度部42において形状が保持された状態を維持する。そうすると掌部30が、ガイド空間40に吸い込まれるようにして厚さ方向に変形する(
図6)。掌部30が厚さ方向へ変形するのに伴い、指部32の内面が掌部30の中心へ引っ張られる。そうすると指部32は、掌部30へ向かって倒れるように弾性変形する。これにより指部32は、主に内面31がワークW表面に接触する。高強度部42は、掌部30の変形に合わせて基端44を支点にして微視的に弾性変形している。
【0033】
本図に示す立方体のワークWの場合、指部32はワークWの側面に接触する。上記のように把持装置10は、グリッパ28A内を減圧することにより、ワークWを把持する。把持装置10は、グリッパ28A内の圧力に応じた把持力を発揮する。すなわち、把持装置10の把持力は、グリッパ28A内の圧力が低い程、大きくなる。
【0034】
次いで産業用ロボット12は、ピストンロッド20をシリンダーチューブ19内に退避させてエアシリンダー18を収縮することにより、ワークWを基台26から持ち上げることができる。さらに産業用ロボット12は、移動体16がレール14に沿って移動したり、レール14がY軸方向に移動したりすることにより、水平方向へワークWを自在に移動することができる。
【0035】
所望の場所へ移動した後、産業用ロボット12は、ピストンロッド20がシリンダーチューブ19から進出することにより、ワークWが基台26に接触するまでエアシリンダー18を伸長させる。次いで、三方弁は、真空ポートが遮断され、給排気ポートが大気解放ポートと繋がっている状態に切り替えられる。そうするとグリッパ28A内へ大気解放ポートから配管24を通じて気体が流入する。グリッパ28A内の圧力が大気圧に戻るのに伴い、掌部30がガイド穴から押し出され元の状態に戻る。掌部30が元の状態に戻るのに伴い、指部32が開き、ワークWを手放す。
【0036】
次いで、産業用ロボット12は、ピストンロッド20をシリンダーチューブ19内に退避させてエアシリンダー18を収縮することにより、把持装置10をワークWから切り離す。以上のようにして産業用ロボット12は、基台26上に置かれたワークWを、把持装置10で把持することにより、所望の位置へ移動することができる。
【0037】
高強度部42が、掌部30の外周が収縮するのを防ぐことで、掌部30が厚さ方向に変形することにより、指部32が掌部30に向かって変形する。したがって把持装置10は、粉体を用いず、より確実にワークWを把持することができる。把持装置10は、粉粒体を用いていないので、万一、グリッパ28Aが破裂しても、ワークWを汚染することがない。
【0038】
グリッパ28Aは、粉粒体を用いていないので、指部32の先端が下向きの状態だけでなく、横向きや上向きの状態であっても、同様にワークWを把持することができる。したがって、把持装置10は、基台26上のワークWを持ち上げるだけでなく、垂直な壁面や、天井に吊り下げられたワークWを把持することができる。指部32は、Jamming転移後の粉体に比べ剛性が高いので、より確実にワークWを把持することができる。
【0039】
把持装置10は、グリッパ28Aを減圧して掌部30を確実に厚さ方向に変形させることにより、ワークWを把持することができるので、グリッパ28AをワークWに押し付ける必要がない。したがって把持装置10は、食品などの柔らかいワークWを押し潰さずに把持できるので、ワークWの損傷を防止することができる。
【0040】
グリッパ28Aは、内部が減圧される程度によって指部32の変形量、及び把持力を変えることができる。したがって把持装置10は、ワークWの大きさや硬さに合わせて、把持力を変えることができるので、汎用性を向上することができる。掌部30がガイド空間40に吸い込まれるようにして厚さ方向に変形するので、指部32は掌部30へ向かってより鋭角に変形する。したがって把持装置10はより小さいワークWも把持することができる。
【0041】
高強度部42は、掌部30及び指部32と一体に形成されており、掌部30の厚さ方向の変形に合わせ微視的に変形する。これにより、指部32が、掌部30の変形によって連続的、かつ、ゆるやかに変形する。したがって把持装置10は、柔らかくワークWを把持することができる。因みに高強度部42を有しないグリッパ28Aでは、指部32は座屈するように変形する。
【0042】
グリッパ28Aは、掌部30、指部32、高強度部42、接続部38が一体で形成されていることにより、部品点数及び製造工数を削減することができる。減圧時により多くの負荷がかかる掌部30と高強度部42が一体に形成されていることにより、グリッパ28Aの破損を防止し、耐久性を向上することができる。
【0043】
(変形例)
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更することが可能である。
【0044】
例えば、
図7に示すグリッパ28Bは、高強度部60の接触面62と接続部38の内面の間に、外側に凸となる曲面が設けられている点が上記実施形態と異なる。このように接触面62と接続部38の内面の間に、外側に凸となる曲面を有することにより、ケース36A先端に対応する位置の接続部38の機械的強度が増すので、当該部分が局所的に厚さ方向へ変形することを防止することができる。接続部38の局所的な変形を防止することにより、指部32を一様に変形させることができるので、グリッパ28Bはより確実にワークWを把持することができる。ケース36A先端に対応する位置の接続部38が局所的に変形すると、減圧時にグリッパがケース36Aに対しずれてしまい、結果として指部32が一様に変形しにくくなる。
【0045】
図8及び
図9に示すグリッパ28Cの高強度部69は、複数の帯状体64が、指部32に対応した位置に設けられている。本図の場合、帯状体64は、指部32と同じ5個である。帯状体64は、掌部30の周囲であって指部32の基端にあたる位置に、均等に配置されている。帯状体64は、上面に接触面63、掌部30側の内面に内周面65を有する。高強度部69の先端49は、内周面65と曲面50の間に配置されている。先端49は、掌部30が厚さ方向へ変形する場合の支点となる。ケース36Aの底面55の外周部は、その一部が高強度部69の接触面63に接触する。本図に示すグリッパ28Cは、高強度部69を有することにより、上記実施形態と同様の効果が得られる。本変形例の高強度部69は、環状に形成する場合に比べ、帯状体64同士の間の材料を削減することができるので、その分、軽量化を図ることができる。
【0046】
図10A及び
図10Bに示すグリッパ28Dの高強度部66は、環状の凸部67を複数有する。環状の凸部67は、掌部30の厚さ方向に平行に、所定の間隔をあけて配置されている。掌部30から最も離れた位置にある凸部67の上面が接触面68である。凸部67の掌部30側の内面が内周面70である。内周面70と、掌部30の内面48の間は、平坦な面が形成されている。ケース36Aの底面55の外周部は、その全周が高強度部66の接触面68に接触する。本図に示すグリッパ28Dは、高強度部66を有することにより、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0047】
図11A及び
図11Bに示すグリッパ28Eの高強度部74は、掌部30の厚さ方向を長手方向とする複数の凸条79を有する。凸条79は、掌部30の周囲に、所定の間隔をあけて配置されている。凸条79の上面が接触面76であり、凸条79の掌部30側の内面が内周面78である。内周面78と、掌部30の内面48の間は、平坦な面が形成されている。ケース36Aの底面55の外周部は、その一部が高強度部74の接触面76に接触する。本図に示すグリッパ28Eは、高強度部74を有することにより、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0048】
図12に示すグリッパ28Fの高強度部82は、掌部30より機械的強度が高い材質で形成されている。本図の場合、高強度部82の基端は、ケース36Aの先端と接触している部分84である。掌部30との界面である高強度部82の先端86は、掌部30が厚さ方向へ変形する場合の支点となる。高強度部82の掌部30側の内周面87は、曲面50とゆるやかに連続している。本図に示すグリッパ28Fは、
図13に示すようにインサート成形により、製造することができる。グリッパ28Fの製造には、指部32の形状を有する凹部91を備えた下型88と、ガイド空間40の形状を有する凸部を備えた上型89とからなる金型を用いる。予め所定の材料、例えば掌部30及び指部32を形成する材質より硬度の高い樹脂材料で形成した高強度部82を所定の位置に配置して、下型88に上型89を装着する。上型89に設けられた注入穴90から、掌部30及び指部32を形成する樹脂材料を下型88と上型89で囲まれた空間内に充填する。当該樹脂が固化した段階で、金型を取り外すことにより、高強度部82と指部32及び掌部30が一体形成されたグリッパ28Fが得られる。本図に示すグリッパ28Fは、高強度部82を有することにより、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0049】
上記実施形態の場合、下ケース51は底部57を有する場合について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、
図14に示すケース36Bは、下ケース51が底部を有しない筒状である。下ケース51の先端部である下端61において高強度部42の基端に接触する。
【0050】
図15に示すケース36Cは、円盤状の上ケース93と、環状の下ケース95とを有する。グリッパ28Gは、開口の周縁に一体形成されたフランジ状の接続部94を有する。当該接続部94が上ケース93と下ケース95の間に挟まれて固定され、グリッパ28Gの開口が密閉されている。グリッパ28Gの高強度部92は、掌部30より厚みが大きく形成され、掌部30より厚さ方向に変形しにくくなっている。高強度部92の基端96は、上ケース93の下面に接触している。本図に示すグリッパ28Gは、高強度部92を有することにより、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0051】
上記実施形態の場合、掌部30は略円盤状、接続部38は筒状、グリッパ28Aの上部開口は円形である場合について説明したが、本発明はこれに限らない。掌部30、接続部38及び上部開口は平面視において、楕円形状、長円形状や、長方形状であってもよい。例えば長方形状の場合、指部32は、掌部30の長辺に沿って複数個(例えば2個)を一組として、掌部30を挟んで両側に合計二組設けてもよい。このようなグリッパを備えた把持装置は、円筒形状や角柱形状などの長尺部材を容易に把持することができる。
【0052】
上記実施形態では、産業用ロボット12として直交ロボットの例を示したが、本発明はこれに限らず、スカラロボット、垂直多関節ロボットなどに適用することができる。すなわち把持装置10は、産業用ロボット12によってX軸、Y軸、Z軸を中心に回転しても、ワークWを把持すると共に、把持した状態を維持することができる。
【0053】
グリッパ28Aは、1種の材料で形成してもよいし、複数の異なる材料で形成された膜を積層して形成してもよい。またグリッパ28Aは、部分的に異なる材料で形成してもよい。グリッパ28Aの厚さは、一定でなくてもよく、部分的に厚肉部又は薄肉部を設けてもよい。
【0054】
把持装置10は、指部32に爪部を設けることとしてもよい。爪部は、合成樹脂製の板状部材や、円錐状部材、サック状の部材を用いることができる。
【0055】
把持装置10は、ワークWを撮影するカメラ、把持したワークWの重量を測定する重量計、ワークWとグリッパ28Aとの距離を測定する近接センサなどを備えていてもよい。
【0056】
グリッパ28Aは、
図2に示した外観形状である場合に限られない。例えば、指部32の長さや数は適宜選択することができる。