(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6784661
(24)【登録日】2020年10月27日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】菌晶粒子、熱伝導部材及び菌晶粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07G 99/00 20090101AFI20201102BHJP
C01B 13/00 20060101ALI20201102BHJP
C01B 17/20 20060101ALI20201102BHJP
C01B 19/00 20060101ALI20201102BHJP
C01G 41/00 20060101ALI20201102BHJP
C12P 1/04 20060101ALI20201102BHJP
C12N 1/20 20060101ALI20201102BHJP
【FI】
C07G99/00 C
C01B13/00
C01B17/20
C01B19/00 A
C01G41/00
C12P1/04 Z
C12N1/20 A
【請求項の数】40
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-230129(P2017-230129)
(22)【出願日】2017年11月30日
(65)【公開番号】特開2018-90582(P2018-90582A)
(43)【公開日】2018年6月14日
【審査請求日】2017年11月30日
(31)【優先権主張番号】105139567
(32)【優先日】2016年11月30日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】500468168
【氏名又は名称】連展科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】林保宏
【審査官】
坂崎 恵美子
(56)【参考文献】
【文献】
特表2013−532050(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第105112453(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第104911214(CN,A)
【文献】
特開2006−326557(JP,A)
【文献】
国際公開第2006/126595(WO,A1)
【文献】
Advanced Powder Technology,2013年,Vol.24,p.1013-1016
【文献】
Environmental Sceince and Technology,2010年,Vol.44,p.5210-5215
【文献】
ECS Journal of Solid State Science and Technology,2017年,Vol.6, No.3,p.N3113-N3116
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07G 99/00
C01B 13/00
C01B 17/00
C01B 19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/WPIDS/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合シェル層を備える菌晶粒子であって、
前記複合シェル層は、中空状であり、かつ、所定の厚さを有し、
前記複合シェル層は、
グラム陰性の細菌の細胞壁または細胞膜を含む有機物質である生物材料と、
遷移金属の、酸化物、硫化物、セレン化物、酸塩化合物、または、それらのいずれかの組み合わせである金属材料と、を含み、
前記複合シェル層は、培地中で培養された前記細菌に由来し、
前記培地は、0.01〜0.2Mの濃度を有する金属原料と、炭素源とを含むことを特徴とする、菌晶粒子。
【請求項2】
前記生物材料が前記複合シェル層に占める重量%は、5%〜80%であることを特徴とする、請求項1に記載の菌晶粒子。
【請求項3】
前記生物材料が前記複合シェル層に占める重量パーセントは、前記金属材料が前記複合シェル層の重量パーセントより高いことを特徴とする、請求項1に記載の菌晶粒子。
【請求項4】
前記細菌は、シェワネラ菌、パントエア菌、緑膿菌、枯草菌のうち少なくとも一種であることを特徴とする、請求項1に記載の菌晶粒子。
【請求項5】
前記菌晶粒子が焼結処理された後、前記金属材料が前記複合シェル層に占める重量パーセントは、前記生物材料が前記複合シェル層に占める重量パーセントより高いことを特徴とする、請求項1に記載の菌晶粒子。
【請求項6】
前記生物材料が前記複合シェル層に占める重量パーセントは、1%〜5%であることを特徴とする、請求項5に記載の菌晶粒子。
【請求項7】
前記遷移金属は、バナジューム、ニオビューム、タングステン、モリブデン、コバルト、ニッケルまたはジルコニウムであることを特徴とする、請求項1に記載の菌晶粒子。
【請求項8】
前記酸塩化合物は、バナジン酸塩化合物、ニオビューム酸塩化合物、タングステン酸塩化合物またはモリブデン酸塩化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の菌晶粒子。
【請求項9】
前記生物材料がシェワネラ菌の細胞壁または細胞膜であり、かつ、前記金属材料はタングステン酸塩化合物またはモリブデン酸塩化合物によって構成されることを特徴とする、請求項1に記載の菌晶粒子。
【請求項10】
前記生物材料がパントエア菌を含む細胞壁または細胞膜、前記金属材料はタングステン酸塩化合物、モリブデン酸塩化合物またはバナジン酸塩化合物によって構成することを特徴とする、請求項1に記載の菌晶粒子。
【請求項11】
前記複合シェル層は2つのハーフシェル層を含み、かつ、前記2つのハーフシェル層はドーム状を形成することを特徴とする、請求項1に記載の菌晶粒子。
【請求項12】
前記複合シェル層は、球状であることを特徴とする、請求項1に記載の菌晶粒子。
【請求項13】
前記複合シェル層の直径は、0.2〜2ナノメートルであることを特徴とする、請求項12に記載の菌晶粒子。
【請求項14】
前記複合シェル層はロッド状であり、かつ、幅と長さを有しており、
中段部と、
すべてドーム状を形成し、かつ、それぞれ前記中段部の両端につなぐ2つの端部と、を含む、
前記端部の厚さは、前記複合シェル層の幅の1/73を下回らず、前記中段部の厚さは、前記複合シェル層の幅の1/37を下回らないことを特徴とする、請求項1に記載の菌晶粒子。
【請求項15】
前記複合シェル層の幅は、0.2〜2ミクロンであることを特徴とする、請求項14に記載の菌晶粒子。
【請求項16】
前記複合シェル層の長さは1〜10ミクロンであることを特徴とする、請求項14に記載の菌晶粒子。
【請求項17】
前記複合シェル層の厚さは、5〜50ナノメートルであることを特徴とする、請求項1に記載の菌晶粒子。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれかに記載の菌晶粒子を含むことを特徴とする、熱伝導材料。
【請求項19】
前記菌晶粒子の熱伝導係数は、0.027〜0.15ワット/メートル・温度であることを特徴とする、請求項18に記載の熱伝導部材。
【請求項20】
菌晶粒子の製造方法であって、
細菌を炭素源と、金属原料を含む培地にて、所定の時間を培養し、前記細菌によって前記金属原料を誘発して、酸化還元反応するステップと、
前記培地から湿式粉体を分離するステップと、
前記湿式粉体を乾燥して、粉体を獲得するステップと、を含み、
前記粉体は、少なくとも一つの菌晶粒子を含み、
前記細菌は、グラム陰性菌、シェワネラ菌、パントエア菌、緑膿菌、枯草菌、またはこれらのいずれかの組み合わせであり、
前記金属原料は、バナジン酸、ニオブ酸、タングステン酸、モリブデン酸、コバルト酸、ニッケル酸、ジルコニウム酸、またはこれらの組み合わせであり、
前記培地中の前記金属原料の濃度は、0.01〜0.2Mであることを特徴とする、菌晶粒子の製造方法。
【請求項21】
前記培養ステップの後は、
前記培地の上層に泡沫の形成ステップと、
前記泡沫から浮遊物を分離して湿式粉体を獲得するステップと、を含むことを特徴とする、請求項20に記載の菌晶粒子の製造方法。
【請求項22】
前記金属原料は、遷移金属の酸塩化合物であることを特徴とする、請求項20に記載の菌晶粒子の製造方法。
【請求項23】
前記細菌は前記シェワネラ菌であり、前記金属原料はタングステン酸塩化合物またはモリブデン酸塩化合物であることを特徴とする、請求項20に記載の菌晶粒子の製造方法。
【請求項24】
前記細菌は、前記パントエア菌であり、前記金属原料はモリブデン酸塩化合物、タングステン酸塩化合物またはバナジン酸塩化合物であることを特徴とする、請求項20に記載の菌晶粒子の製造方法。
【請求項25】
前記培養ステップにおいて、前記細菌のストレス反応(stress response)によって、前記細菌の細胞壁または細胞膜に2つのドーム状部分を形成した、前記菌晶粒子の前記複合シェル層が球状または2つのドーム状を有するハーフシェル層のロッド状を形成することを特徴とする、請求項20に記載の菌晶粒子の製造方法。
【請求項26】
前記粉体の密度は、420キログラム/立方メートルであることを特徴とする、請求項20に記載の菌晶粒子の製造方法。
【請求項27】
前記培養ステップは、前記細菌を前記培地に入れて、37℃の酸素環境で、所定の時間を培養することを特徴とする、請求項20に記載の菌晶粒子の製造方法。
【請求項28】
前記培地は、LB培地またはM9培地であることを特徴とする、請求項20に記載の菌晶粒子の製造方法。
【請求項29】
前記培養ステップの前記培養時間は、3〜5日であることを特徴とする、請求項20に記載の菌晶粒子の製造方法。
【請求項30】
前記炭素源の前記培地における濃度は、0.01M〜0.2Mであることを特徴とする、請求項20に記載の菌晶粒子の製造方法。
【請求項31】
前記分離ステップは、
前記培地を遠心分離し、沈殿物を形成するステップと、
前記遠心分離した培地から前記沈殿物を分離し、湿式粉体を獲得するステップと、を含むことを特徴とする、請求項20に記載の菌晶粒子の製造方法。
【請求項32】
前記遠心分離ステップの後は、前記湿式粉体を粉砕して、予備粉体を形成するステップを含むことを特徴とする、請求項31に記載の菌晶粒子の製造方法。
【請求項33】
前記前記粉砕ステップは、前記湿式粉体に超音波振動をかけるステップを含むことを特徴とする、請求項32に記載の菌晶粒子の製造方法。
【請求項34】
前記粉砕ステップの後は、溶剤を用いて前記予備粉体を少なくとも一回を洗浄するステップを含むことを特徴とする、請求項32に記載の菌晶粒子の製造方法。
【請求項35】
前記乾燥ステップは、前記予備粉体を乾燥して、前記粉体を獲得するステップを含むことを特徴とする、請求項34に記載の菌晶粒子の製造方法。
【請求項36】
前記菌晶粒子は前記複合シェル層を含み、前記複合シェル層が中空状、かつ、厚さを有することを特徴とする、請求項20ないし35のいずれかの項に記載の菌晶粒子の製造方法。
【請求項37】
前記複合シェル層の材質は、
細菌の細胞壁または細胞膜の有機物質によって構成する生物材料と、
遷移金属の酸化物、硫化物、セレン化物または酸塩化合物のうち、少なくとも一種を含む、金属原料と、を含むことを特徴とする、請求項36に記載の菌晶粒子の製造方法。
【請求項38】
酸素環境において、前記粉体を加熱し、前記菌晶粒子の前記複合シェル層に酸化反応を引き起こさせて、前記遷移金属の酸化物を含む前記金属原料をさらに含むことを特徴とする、請求項36に記載の菌晶粒子の製造方法。
【請求項39】
硫黄蒸気において、前記粉体を加熱して、前記菌晶粒子の前記複合シェル層に硫化反応を引き起こさせて、前記遷移金属の硫化物を含む前記金属原料をさらに含むことを特徴とする、請求項36に記載の菌晶粒子の製造方法。
【請求項40】
セレン蒸気において、前記粉体を加熱し、前記菌晶粒子の前記複合シェル層にセレニド反応を引き起こさせ、前記遷移金属のセレン化物を含有する前記金属原料をさらに含むことを特徴とする、請求項36に記載の菌晶粒子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はナノ材料の製造技術に関し、特に菌晶粒子、熱伝導部材及び菌晶粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微生物、植物及び動物などの生物体のすべては、自然界において鉱物に形成することができる。生物体から無機鉱物に形成する現象は、バイオミネラル化という。バイオミネラル化のステップは、生物体の細胞が関与することによって、環境中の無機元素は選択により、特定の有機物質に沈殿して鉱物を形成される。バイオミネラル化から言えば、生物誘導型鉱物化作用(biologically induced mineralization)と、生物制御型鉱物化作用(biologically controlled mineralization)と、2種の鉱物化機制に分けることができる。
【0003】
微生物の生物誘導型鉱物化作用は、さらに受動型または主動型に分けることができる。受動型生物誘導型鉱物化作用と、自然界のプラスマイナスイオンとの非特定結合によって、鉱物表面の核生成(surface nucleation growth)を引き起こすに関連する。主動形の生物誘導型鉱物化作用は、表面に結合した金属イオンが直接に酸化還元作用を引き起こして鉱物に転化するか、または細胞の代謝活動による副産物と、自然界のイオン作用によって細胞表面に鉱物を形成する。
【0004】
鉱物が細胞の有機基質(organic matrix)、または小嚢(vesicle)の表面もしくは内部に沈積することによって、生物体が鉱物の核生成、成長から組み合わせ、大きさ、細胞内部の位置などは、一定程度の制御または制約がある。この過程は、すなわち、生物制御型鉱物化作用である。生物制御型鉱物化作用から形成する鉱物粒子は、一般として規則な構造を有し、大きさ分布が狭いと、特定しかも一致した種類、晶癖(crystal habit)などを有する。この他、生物誘導型鉱物化作用のステップにおいて、外部環境条件の許すかぎり、鉱物の形成が誘発される。一方、生物制御型鉱物化作用のステップにおいて、細胞内部の環境条件(例えば、pH値、酸化還元電位(Eh)など)とも細胞そのもの制御を受けるため、鉱物の形成は簡単に誘発されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
生物誘導型鉱物化作用と、生物制御型鉱物化作用は、すでに学者らが数十年間研究してきた。しかしながら、この種の研究のほとんどは、環境保護分野に応用されている。今のところは、微生物と、遷移金属との間に前述2種の鉱物化作用反応を発生し、かつ、このような反応を利用して、一歩進んだ斬新な材料開発に関わる文献は見当たらない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題について、本発明より菌晶粒子、熱伝導部材及び菌晶粒子の製造方法を提供する。
【0007】
一実施例において、菌晶粒子が複合シェル層を含む。複合シェル層は中空状であり、かつ、所定厚さを有する。複合シェル層が生物材料と、金属材料とを含む。そのうち、生物材料は例えば、細菌の細胞壁または細胞膜の有機物質である。金属材料はたとえば、遷移金属酸化物、硫化物、セレン化物または酸塩化合物、その他代替え使用可能な遷移金属化合物あるいはその任意の組み合わせである。
【0008】
一実施例において、菌晶粒子の製造方法は、細菌を培地に静置し、所定時間を培養する、細菌によって、金属原料の酸化還元反応を誘発し、培地から湿式粉体を分離するステップと、湿式粉体を乾燥して、粉体を得るステップと、を含む。そのうち、培地は炭素源(carbon source)と、金属原料とを含む。金属原料は遷移金属化合物から構成される。取得した粉体は、前述した菌晶粒子を含む。
【0009】
一実施例において、熱伝導材料であって、係る熱伝導材料は、前述した菌晶粒子を含む。
【0010】
総じて言えば、本発明の実施例における菌晶粒子、熱伝導材料と、菌晶粒子の製造方法を斬新な材料の製造に適用すれば、獲得された材料は優れた低熱伝導性を有する。この他、本発明の実施例において、菌晶粒子の生産ステップは簡単、コスト低い、直接工業生産に応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施例にいて、菌晶粒子の断面図である。
【
図2】本発明の一実施例にいて、菌晶粒子の外観を示す図である。
【
図3】本発明の菌晶粒子もう一つの実施例の外観を示す図である。
【
図4】本発明の菌晶粒子の製造方法について、一実施例のステップを示す図である。
【
図5】本発明の菌晶粒子の製造方法もう一つの実施例のステップを示す図である。
【
図6】本発明の一実施例にいて、菌晶粒子のSEM分析結果を示す図である。
【
図7】本発明の一実施例にいて、菌晶粒子のEDC分析結果を示す図である。
【
図8】本発明の一実施例にいて、菌晶粒子のラマン分析図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0012】
この明細書において、用語「重量パーセント」は、炭素源のうち、炭素のモル数を基準に算出した重量パーセントを言う。
【0013】
図1を参照する。いくつかの実施例において、菌晶粒子10は例えば、複合シェル層100を含む。複合シェル層100の内部が中空状を形成し、その材質は生物材料と、金属材料とを含む。生物材料は例えば、細菌の細胞壁または細胞膜の有機物質から構成される。一例として、有機物質は例えば、細菌の細胞壁または細胞膜と、少量のその他炭素のみを含めた有機物である。生物材料が複合シェル層に占める重量パーセントは5%〜80%、かつ、生物材料が複合シェル層に占める重量パーセントは金属材料の複合シェル層に占める重量パーセントより高い。金属材料は遷移金属の酸化物、硫化物、セレン化物、酸塩化合物またはその組み合わせから構成される。いくつかの実施例において、金属材料は例えば、遷移金属の酸化物、硫化物またはセレン化物である。かつ、金属材料の遷移金属元素が複合シェル層に占める重量パーセントは3%〜75%である。
【0014】
いくつかの実施例において、生物材料は、グラム陰性菌(Gram−negative bacteria)の細胞壁または細胞膜を含む有機物質によって構成される。一例として、生物材料は、シェワネラ菌(Shewanella sp.)、パントエア菌(Pantoea sp.)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)または枯草菌(Bacillus subtilis)など、細菌の細胞壁または細胞膜を含む有機物質によって構成される、ただし、この限りではない。いくつかの実施例において、金属材料は例えば、バナジューム(vanadium)、ニオビューム(niobium)、タングステン(tungsten)、モリブデン(molybdenum)、コバルト(cobalt)またはジルコニウムなど遷移金属の酸化物、硫化物、セレン化物または酸塩化合物、またはその他代替え可能な遷移金属化合物、またはその任意組み合わせによって構成される、ただし、銅(copper)と亜鉛(zinc)の化合物を含まない。一例として、金属材料はバナジン酸(vanadic acid)の塩化合物、ニオビューム酸(niobic acid)の塩化合物、タングステン酸(tungstic acid)の塩化合物またはモリブデン酸(molybdic acid)の塩化合物である。
【0015】
いくつかの実施例において、適用の要求と、材料性質に基づいて配慮し、生物材料と、金属材料を適宜に組み合わせて使用できる。一例として、生物材料がシェワネラ菌の細胞壁または細胞膜を含む有機物質によって構成される場合、金属材料はタングステン酸塩化合物またはモリブデン酸塩化合物によって構成することができる。または、生物材料がパントエア菌を含む細胞壁または細胞膜によって構成される場合、金属材料はタングステン酸塩化合物、モリブデン酸塩化合物またはバナジン酸塩化合物によって構成することができる。
【0016】
いくつかの実施例において、複合シェル層100内部は中空状であり、特定の厚さを有する。ここでいう「厚さ」は、複合シェル層の内面いずれかの一点と、外面いずれか1点間のもっとも近い距離を指す。いくつかの実施例において、複合シェル層100の厚さは5ナノメートル(nm)〜50ナノメートルである。いくつかの実施例において、複合シェル層100の厚さは20ナノメートル〜40ナノメートルである。この他、複合シェル層は例えば、2つのハーフシェル層を含む、かつ、係る2つのハーフシェル層はドーム状(dome−shaped)を形成する。
【0017】
図1と、
図2を参照する。そのうち、
図1は
図2中のA−A断面図である。いくつかの実施例において、複合シェル層100は例えば、球状(sphere−shaped)を形成する。係る球状複合シェル層100に直径を有する。球状複合シェル層100の内面と外面との間の同心球について、ここで言う「直径」は球状複合シェル層100の内面と外面との間の同心球直径を言う。かつ、複合シェル層100内面いずれかの1点と、外面いずれかの1点から前述同心球面上いずれかの1点の最短距離が同じである。いくつかの実施例において、球状複合シェル層100の直径は、0.2〜2ミクロン(μm)である。いくつかの実施例において、球状複合シェル層100の直径は1ミクロンである。
【0018】
図1と、
図3を参照する。そのうち、
図1は
図3のB−B断面図である。いくつかの実施例において、複合シェル層100はロッド状であり、特定の幅と長さを有する。ロッド状の複合シェル層100は、中段部110と、それぞれ中段部の両端につなぐ2つの端部111とを含む。そのうち、端部はすべてドーム状を形成する。さらに具体的に言うと、係る2つの端部111の内周縁と、外周縁をそれぞれ中段部110両端の内周縁と、外周縁につなぐことができる。この2つのドーム状の端部111最大面積の接平面に対して、ここで言う「幅」は、この接平面の内周縁上いずれかの1点と、外周縁いずれかの1点との最小距離の中間点でつなげた線任意の2点間の距離最大距離(すなわち、中段部の幅)である。例えば、この2つの端部111は、最大面積の接平面が円形の場合、幅は内周縁と、外周縁の間にある同心円の直径である。かつ、端部111の内周縁上いずれかの1点と、外周縁上いずれかの1点からこの同心円の円周上いずれかの1点の最短距離が同じである。いくつかの実施例において、各端部111の厚さは、複合シェル層100の幅の1/73を下回らず、中段部110の厚さは、複合シェル層100の幅の1/37を下回らない。いくつかの実施例において、ロッド状の複合シェル層100の幅は、0.2ミクロン〜2ミクロンである。いくつかの実施例において、ロッド状の複合シェル層100の幅は1ミクロンである。この他、ロッド状の複合シェル層の「長さ」は、この2つのドーム状の端部がそれぞれその外面の頂点と、内面の頂点から形成する最小距離の中心点との間の最大距離である。いくつかの実施例において、ロッド状の複合シェル層100の長さは、1〜10ミクロンである。
【0019】
図4を参照する。いくつかの実施例において、菌晶粒子の製造方法は、次のステップを含む。まず、(ステップS10)細菌を培地に所定時間を入れる。そのうち、培地は炭素源と、金属材料を含む。培養の過程で、細菌によって、金属原料を誘発して、酸化還元反応する。引き続いて、(ステップS20)培地から湿式粉体を分離する。最後に、(ステップS30)この湿式粉体を乾燥して、粉体を取得する。得られた粉体は、ほぼ分散した粉末状または固体状に寄せ集められる。そのうち、粉体は例えば、前述の菌晶粒子10を含む。この他、ステップS20において、いくつかの実施例は培地の上層に泡沫を形成し、その泡沫から懸垂物を分離し、湿式粉体を獲得する。
【0020】
いくつかの実施例において、細菌はグラム陰性菌、例えば、シェワネラ菌、パントエア菌、緑膿菌、枯草菌、その他代替え使用可能なグラム陰性菌またはその任意組み合わせであっても良い。好ましくは、細菌はシェワネラ菌、パントエア菌、緑膿菌または枯草菌を使用する。培養ステップで使用する細菌は、菌晶粒子の複合シェル層の生物材料の成分源である。いくつかの実施例において、金属原料は、例えば、遷移金属酸塩化合物または遷移金属に酸素含有の化合物である。一例として、金属原料はバナジン酸の塩化合物、ニオビューム酸の塩化合物、タングステン酸の塩化合物、モリブデン酸の塩化合物、その他遷移金属の酸塩化合物、またはその任意組み合わせである。ただし、銅と、亜鉛の化合物を含まない。金属原料は、複合シェル層の金属材料の成分源に用いられる。一例として、複合シェル層の金属材料は例えば、金属原料または金属原料の酸化還元反応後に生成した生成物によって構成される。
【0021】
いくつかの実施例において、生産の需要に応じて、適切な細菌と、金属原料を選択して、所要な粉体を製造する。一例として、培地に入れる細菌はシェワネラ菌であり、金属原料はタングステン酸塩化合物またはモリブデン酸塩化合物を用いる。または、培地に入れる細菌はパントエア菌、且金属原料はタングステン酸塩化合物、モリブデン酸塩化合物またはバナジン酸塩化合物である。この他、いくつかの実施例において、金属原料と、炭素源が培地における濃度はそれぞれ0.01〜0.2モル濃度(M)である。好ましくは、金属原料が培地における濃度は0.1〜0.2モル濃度である。
【0022】
いくつかの実施例において、「炭素源」は、炭水化物を主要成分とした物質が培で細菌の成長に必要なエネルギー源を提供する及び、菌体合成に必要な炭素成分源を言う。無機または有機の炭素化合物を含有するものは、すべての微生物が利用できる炭素源に用いられる。例えば、二酸化炭素、炭酸塩、糖と、糖の派生物、アルコール類、有機酸、脂質、炭化水素、芳香族化合物などがある。一例として、ブドウ糖、ショ糖、デンプン、果糖、乳糖、乳酸塩、ギ酸塩、アセトン酸および/またはアミノ酸などを炭素源として利用できる。いくつかの実施例において、炭素源の培地における濃度は、0.01〜0.2モル濃度である。この他、いくつかの実施例において、培地はいずれか市販の処方によって製造したものを使用しても良い。例えば、Luria Broth(LB)培地、M9培地、その他代替え使用可能な培地、またはその任意組み合わせもの。
【0023】
温度は細菌の成長に重要な影響を与えるため、細菌が成長にふさわしい温度を選択して、細菌培養することができる。ステップS10の一実施例において、細菌を培地に入れて、37℃の酸素環境で培養する。培養時間は細菌の成長に影響を与える。培養時間が短すぎると、細菌の成長量が不足し、菌晶粒子の収率も良くない。ステップS10の一実施例において、細菌を培地に少なくとも3日を培養する。さらに、3〜5日が好ましいである。
【0024】
いくつかの実施例において、ステップS20は例えば、培地に遠心またはその他代替え可能な手段を用いて、培地から沈殿物を分離するステプをさらに含めても良い。いくつかの実施例において、培地から沈殿物を分離した後、その沈殿物に高周波振動を実施する。例えば、超音波振動することによって、沈殿物を粉砕する。この他、いくつかの実施例において、溶剤を使用して、沈殿物に1回または繰り返して2回以上洗浄することができる。例えば、水、エタノール、その他代替え可能な溶剤、またはその任意組み合わせものなど、よく見かける溶剤を選択して沈殿物洗浄できる。沈殿物の洗浄は、一例として、逆浸透水(RO water)、脱イオン水(deionized water)またはエタノールを用いることができる。
図5を参照する。いくつかの実施例において、ステップS10の後、培地を遠心処理して、沈殿物を形成する(すなわち、湿式粉体)(S200)。引き続いて、沈殿物を粉砕して、予備粉体を形成する(S300)、かつ溶剤を用いて予備粉体を少なくとも1回を洗浄する(S400)。最後に、適切な温度環境で換気乾燥または加熱方式によって、沈殿物を乾燥し(S500)、沈殿物中の溶剤を取り除いて、粉体を獲得する。この他、いくつかの実施例において、粉体の密度が420キログラム/立方メートル(kg/m
3)である。
【0025】
いくつかの実施例において、本発明すべての実施例において、菌晶粒子をそれぞれ優れる物理特性および/または化学性質の材料、例えば、熱伝導部材に適用できる。いくつかの実施例において、熱伝導部材は例えば、前述の菌晶粒子を含む。または、熱伝導部材は実質上、前述菌晶粒子より組み合わせても良い。いくつかの実施例において、菌晶粒子の熱伝導係数(thermal conductivity coefficient,K)は0.027ワット/メートル・温度は0.15ワット/メートル・温度(W/mK)である。いくつかの実施例において、菌晶粒子の熱伝導係数は0.058ワット/メートル・温度である。
【0026】
いくつかの実施例において、培養ステップの培地または金属原料の使用量を調節することによって、菌晶粒子の複合シェル層にドーム状の2つのハーフシェル層を形成することができる。一例として、一般の細菌培養ステップに比べて、培地に添加する糖(すなわち、炭素源)または金属原料の濃度を調節し、細菌にストレス反応(stress response)を引き起こして外観を改変することができる。いくつかの実施例において、高濃度の金属原料(例えば、モル濃度0.1〜0.2)を使用すれば、ストレス反応の発生が促進され、培地の細菌の外観変更を引き起こされる。いくつかの実施例において、細菌の外観変化は、細胞壁に2つのドーム状部分を形成される。例えば、球状、または2つのドーム状部分を持ったロッド状を形成する。これにより、獲得した複合シェル層にドーム状の2つのハーフシェル層が形成される。いくつかの実施例において、得られた複合シェル層は、球状または2つのドーム状を形成するハーフシェル層のロッド状を形成する。
【0027】
一部の実施例において、菌晶粒子の複合シェル層をさらに酸化、硫化またはセレニドなどの処理に移すことができる。一例として、金属材料は高温(例えば、300℃〜1000℃)及び/または酸素をたくさん含まれ環境において、環境の酸素が反応して、遷移金属の酸化物となり、一方、複合シェル層の大部分は遷移金属酸化物を形成する金属材料によって構成される。遷移金属酸化物とは、通常に遷移金属元素と、酸素原子から組み合わせた遷移金属酸化物であり、遷移金属のうち酸素原子を含めた酸性イオンまたは化合物を含まない。または、一例として、酸化処理された複合シェル層を機械剥離法または化学気相蒸着法を用いて硫化し、金属材料の遷移金属酸化物に含める酸素原子が置換反応によって、硫黄原子によって取り変わる。ここにおいて、複合シェル層の大部分は、遷移金属硫化物を形成する金属材料によって構成される。同じく、金属材料の酸素原子は、機械剥離法または化学気相蒸着法により、セレニド処理した後、金属材料のうち遷移金属酸化物の酸素原子の置き換え反応した上、セレン原子によって取り替えられ、複合シェル層の大部分は、遷移金属セレン化物を形成する金属材料によって構成される。ここの他、一般のラマン分光、発光スペクトル、電子顕微鏡などの測定方法を用いて、複合シェル層が前述の酸化、硫化、セレニドなど処理後の特性変化を観察できる。例えば、発光スペクトルにより、複合シェル層を測定すれば、その金属材料のエネルギーギャップが1.2eV〜1.8eVであることが分かる。
【0028】
一部の実施例において、製造した粉体を反応釜に入れて、反応釜にそれぞれ酸素、硫黄蒸気(例えば、硫化水素)またはセレン蒸気(例えば、セレン化水素)雰囲気で300℃〜1000℃または適切な温度により、粉体に所定時間を加熱する(すなわち、焼結)。これにより、粉体中の菌晶粒子の複合シェル層を酸化、硫化またはセレニド反応させ、複合シェル層の金属材料の大部分を遷移金属の酸化物、硫化物またはセレン化物に形成する。一部の実施例において、複合シェル層が酸化、硫化またはセレニド処理した後、生物材料が複合シェル層に占める重量パーセントは1%〜5%であり、かつ、金属材料が複合シェル層に占める重量パーセントは、生物材料が複合シェル層に占める重量パーセントより高い。
【0029】
一例として、菌晶粒子は次のステップより取得できる。まず、バナメイエビ(white shrimp、学名litopenaeus vannamei)から、シェワネラ菌を取り出す。引き続いて、37℃の環境において、シェワネラ菌を培地(例えば、LB培地またはM9培地)で16時間を培養する。その後に、培地に約0.01〜0.2モル濃度の炭素源と、約0.01〜0.2モル濃度のタングステン酸塩を添加して、同じ環境でシェワネラ菌を引き続き3〜5日を培養する。培養ステップ終了後、培地を遠心した上、上清液を取り除いて、沈殿物を獲得する。沈殿物に超音波振動をかけて、沈殿物を粉砕する。脱イオン水を用いて、粉砕後の沈殿物を繰り返して数回洗浄(すなわち、予備粉体)し、粘性を有しない粉末状の生産物を取得し、引き続きエタノールを用いて、粉体を再びその中に浮遊させた上、再び40℃の環境において乾燥し、菌晶粒子を含めた粉体を獲得する。
【0030】
10メガパスカル(MPa)の圧力により、前述粉体をタブレット状(tablet)に圧縮して、タブレット状の粉体は、この後の性質測定が実施される。まず、タブレット状の粉体の体積と、重量を測定し、その密度は420キログラム/立方メートル(kg/m
3)であることが分かった。大気圧環境において、型番JEOL JSM−6500Fの電界放射型走査電子顕微鏡(field emission scanning electron microscope, FESEM)を使用し、タブレット状の粉体について、SEM映像分析と、エネルギー分散型X線分析(energy−dispersive X−ray spectroscopy, EDS)で分析した。かつ、修飾された遷移面光源(modified transition plane source, MTPS)のTCi 熱伝導分析器(TCi Thermal Conductivity Analyzer)(C−Therm Technologies Ltd.製品)を用いて、タブレット状粉体の熱伝導性を分析する。この他、ラマン分光計を使用し、タブレット状粉体の主要成分を詳細分析する。
【0031】
図6を参照する。このSEM分析結果の画像写真より、粉体に顆粒状の複合シェル層の菌晶粒子を観察される。各複合シェル層とも球状、かつ、なめらかな壁面を有する。各複合シェル層の直径およそ1ミクロン、かつ、厚さ約20ナノメートル〜40ナノメートル。よって、複合シェル層内部の空気が大部分の空間を占めていることが分かる。この他、たとえ粉体が10MPaの圧力を受けたためタブレット状に圧縮されても、複合シェル層はすべてこの圧力を堪えることができ、破裂、切断など構造的な損傷は見られない。引き続き、タブレット状の粉体を試験サンプルとして採集し、計測器を用いて熱伝導性質分析を行った結果、菌晶粒子の熱伝導係数0.058ワット/メートル・温度、熱浸透率(effusivity)124.22ワット・秒
1/2/平方メートル・温度(WS
1/2/m
2K)である一方、かつ、熱拡散率(diffusivity)2.54平方メートル/秒(m
2/s)であることが分かった。複合シェル層内部のほとんどの空間が空気のため、測定した菌晶粒子の熱伝導係数が極めて低い、静置気体(stationary air)の2倍しかない。
【0032】
図7を参照する。EDSの分析結果は、菌晶粒子の複合シェル層から、検出した元素は、炭素、酸素、タングステン及び、その他金属(例えば、ナトリウム)を含む。図から分かるように、複合シェル層の金属材料は、例えば、タングステン酸ナトリウムなどの化合物を含む。この他、三酸化タングステンまたは二酸化タングステンなどのタングステン酸化物の晶体は、三次元の立体構造が主に対し、一方タングステン酸塩の晶体は二次元の平面構造が主である。よって、係る金属材料の主要成分は例えば、タングステン酸ナトリウムなどタングステン酸塩を含む。引き続き、
図8を参照する。ラマン分光の分析結果から、2つの主なピーク(peak)がそれぞれ980cm
−1と、737 cm
−1に位置されていることが分かる。980cm
−1に位置されたピークは、主にタングステン酸マグネシウムであり、737 cm
−1で示されたピークは、主にタングステン酸ナトリウムである。
図4と、
図5から分かるように、金属材料は主にタングステン酸マグネシウムと、タングステン酸ナトリウムが含まれている。
【0033】
本発明の実施例において、菌晶粒子の複合シェル層の厚さはナノメートルクラスであり、幅もミクロンクラスである。よって、菌晶粒子の材料空間充填率(material occupation ratio)が低い方に分布されている。さらに、4179キログラム/立方メートル密度のタングステン酸ナトリウムに対して、菌晶粒子の密度がタングステン酸ナトリウムの1/10に近い。よって、金属材料が菌晶粒子の體積に占める比例がおよそ1/10を推論できる。一般として、材料の體積に占める比例が低いとき、その熱伝導性も比較的に低い。この他、菌晶粒子を2つの円頂部(またはドーム)構造(dome structure)が互いに繋いで構成されたものと見なされる。菌晶粒子の立体状態は球体、または球状に近い弧形立体、ラグビーボールに近い楕円体である。または菌晶粒子の両端ともドーム状のロッド状体を形成する。タングステン酸塩は石材原料に用いられることから、本発明の実施例の菌晶粒子は円頂構造の石材と見なされる。石材によってドーム状のきゅうこう(vault)のアーチ(arch)において、きゅうこうの厚さがアーチ壁面の厚さより小さい。かつ、きゅうこうの厚さはアーチ幅の1/73より大きいかまたは等しい、かつ、戸壁の厚さがアーチ幅の1/37より大きいかまたは等しい。戸壁の厚さが薄すぎると、アーチ構造が不安定となり、かつ、きゅうこうと、壁表面のつなぎ場所の折損が発生する。同じく、本発明の実施例によれば、菌晶粒子の複合シェル層をロッド状にして、中段部の厚さが複合シェル層の幅の1/37より小さいとき、中段部と端部のつなぎ場所の不安定により、折損してしまうのである。
【0034】
総じて言えば、本発明の実施例における菌晶粒子、熱伝導材料と、菌晶粒子の製造方法は、斬新な材料の製造に適用できる。微生物鉱物化作用の原理により、低い材料空間充填率、かつ、優れた熱伝導性の菌晶粒子が得られる。この菌晶粒子生産ステップが単純で、コスト低い、大量生産に適している。この他、係る菌晶粒子が10MPa圧力条件で圧縮を受けても、ドーム状構造の完全性が維持されている。よって、菌晶粒子を新型熱伝導部材の大量生産に適用して、製造された熱伝導部材は低い熱伝導性と、耐圧性を有し、製造コストが大幅に軽減できる。この他、本発明の実施例において、菌晶粒子はさらに各種の低い熱伝導性ナノ材料をベースとした関連製品の開発に適用できる。
【0035】
上述の説明は、単に本発明の最良の実施例を挙げたまでであり、本発明を限定しない。その他本発明の開示する要旨を逸脱することなく完成された同等効果の修飾または置換はいずれも後述の特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0036】
10 菌晶粒子
100 複合シェル層
110 中段部
111 端部
S10 細菌を培地に所定時間を取り付け、培地は炭素源と、金属材料を含む
S20 培地から、湿式粉体を分離する
S200 培地を遠心分離し、沈殿物を形成する
S30 湿式粉体を乾燥して、粉体を得る。粉体は、少なくとも1つの菌晶粒子を含む
S300 沈殿物を粉砕して、予備粉材を形成する
S400 溶剤を用いて、予備粉体を少なくとも1回洗浄する
S500 予備粉体を乾燥して、粉体を得る