(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
取り込まれた画像で表示の更新を実行するよりも低い頻度で、取り込まれた画像に対して光学式文字認識を実行するように構成される、請求項1または請求項2に記載のデバイス。
用量送達の前に、注射デバイスにダイヤル設定された用量が閾値時間の間に変わっていないことの検知に応答して、注射デバイスにダイヤル設定された用量を記録するように構成される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のデバイス。
実行された光学式文字認識によってゼロ用量が識別されたときに、薬剤投薬量の投与が完了したことを検知するように構成される、請求項1〜5のいずれか1項に記載のデバイス。
薬剤投薬デバイスが示す薬剤投薬量の画像を取り込み、薬剤投薬量の画像を定期的または連続的に表示するように構成される、請求項1〜6のいずれか1項に記載のデバイス。
デバイスに対する第1の使用者入力の後に第1の表示をもたらし、デバイスに対する第2の入力の後に第2の表示をもたらすように構成される、請求項1〜8のいずれか1項に記載のデバイス。
薬剤注射デバイスに着脱可能に取り付けられるように構成された補助デバイスを動作させる方法であって、補助デバイスは、ディスプレイと、プロセッサ装置と、少なくとも1つのメモリと、画像取り込み用構成要素とを含み、補助デバイスが:
画像取り込み用構成要素を用いて、薬剤投薬デバイスが示す薬剤投薬量の連続する画像を取り込む工程と;
取り込まれた画像をディスプレイに連続的に表示する工程と;
取り込まれた画像に対して光学式文字認識を実行し、それによって、画像が取り込まれたときに薬剤投薬デバイスが示していた投薬量を識別する工程と;
少なくとも一部には識別された薬剤投薬量に基づき、送達された投薬量情報の非一時的な記録を少なくとも1つのメモリに作成する工程と
を含む、前記方法。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様は、薬剤注射デバイスに着脱可能に取り付けられるように構成された補助デバイスを提供し、この補助デバイスは、ディスプレイと、プロセッサ装置と、少なくとも1つのメモリと、画像取り込み用構成要素とを含み、プロセッサ装置は、補助デバイスに:
画像取り込み用構成要素を用いて、薬剤投薬デバイスが示す薬剤投薬量の連続する画像を取り込ませ;
取り込まれた画像をディスプレイに連続的に表示させ;
取り込まれた画像に対して光学式文字認識を実行し、それによって、画像が取り込まれたときに薬剤投薬デバイスが示していた薬剤投薬量を識別させ;
少なくとも一部には識別された薬剤投薬量に基づき、送達された投薬量情報の非一時的な記録を少なくとも1つのメモリに作成させる
ように構成される。
【0005】
これによって、OCR動作の補正を行わずにダイヤル設定された用量の表示を提供することが可能になるが、きわめて信頼性の高いまたは高速動作の光学式文字認識能力は不要である。これを、外部のデバイスまたは処理を必要とせずに補助デバイスが送達された用量を識別および記録することを可能にしながら実現することができる。
【0006】
デバイスは、画像が取り込まれるのと実質的に同じ速度で、取り込まれた画像で表示を更新するように構成することができる。これによって、表示される用量の画像の比較的迅速な更新を可能にすることができるが、より頻繁な画像の取り込みは不要である。
【0007】
デバイスは、取り込まれた画像で表示の更新を実行するよりも低い頻度で、取り込まれた画像に対して光学式文字認識を実行するように構成することができる。これによって、OCR動作の補正を行わずにダイヤル設定された用量の表示を提供することが可能になるが、光学式文字認識を頻繁に実行する必要はない。
【0008】
デバイスは、用量送達の前に、使用者入力に応答して、注射デバイスにダイヤル設定された用量を記録するように構成することができる。
【0009】
デバイスは、用量送達の前に、注射デバイスにダイヤル設定された用量が閾値時間の間に変わっていないことの検知に応答して、注射デバイスにダイヤル設定された用量を記録するように構成することができる。
【0010】
デバイスは、実行された光学式文字認識によってゼロ用量が識別されたときに、薬剤投薬量の投与が完了したことを検知するように構成することができる。
【0011】
デバイスは、薬剤投薬デバイスが示す薬剤投薬量の画像を取り込み、薬剤投薬量の画像を定期的または連続的に表示するように構成することができる。
【0012】
デバイスは、薬剤投薬デバイスが示す薬剤投薬量の画像を取り込み、薬剤投薬量の画像を1秒に複数回表示するように構成することができる。
【0013】
デバイスは、デバイスに対する第1の使用者入力の後に第1の表示をもたらし、デバイスに対する第2の入力の後に第2の表示をもたらすように構成することができる。
【0014】
投薬量情報の非一時的な記録は、デバイスの時計から得られた時間および/または日付の情報を含むことができる。
【0015】
本発明の第2の態様は、上述のような薬剤投与デバイスに着脱可能に取り付けられるデバイスを含むシステムを提供する。
【0016】
本発明の第3の態様は、薬剤注射デバイスに着脱可能に取り付けられるように構成された補助デバイスを動作させる方法を提供し、補助デバイスは、ディスプレイと、プロセッサ装置と、少なくとも1つのメモリと、画像取り込み用構成要素とを含み、補助デバイスが:
画像取り込み用構成要素を用いて、薬剤投薬デバイスが示す薬剤投薬量の連続する画像を取り込む工程と;
取り込まれた画像をディスプレイに連続的に表示する工程と;
取り込まれた画像に対して光学式文字認識を実行し、それによって、画像が取り込まれたときに薬剤投薬デバイスが示していた投薬量を識別する工程と;
少なくとも一部には識別された薬剤投薬量に基づき、送達された投薬量情報の非一時的な記録を少なくとも1つのメモリに作成する工程と
を含む。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態は、既存の使い捨てまたは非使い捨ての薬剤注射ペンと共に使用することができる再利用可能な補助デバイスに関する。補助デバイスの主要な機能は、使用者が使い捨てまたは非使い捨ての薬剤注射ペンから排出された薬剤投薬量の実績を取るのを助けること、および現在の投薬量を使用者に表示することである。補助デバイスは、使い捨てまたは非使い捨ての注射ペンに表示された投薬量を取り込むために、撮像デバイスおよび光学式文字認識OCRデバイスを含む。取り込まれた画像が使用者に対して補助デバイスに表示されると同時に、OCRプロセスから得られた投薬量の示度が排出された投薬量の判定に用いられ、投与の時間および日付などの他の関連情報と共に補助デバイスのメモリに恒久的に記録される。その場合、これが使用者による薬剤摂取の日誌記録を形成する。
【0019】
使用者によって注射ペンから排出された薬剤投薬量に関する情報の自動的な取り込みおよび恒久的な記録によって、使用者がこのタスクを手動で実行する必要がなくなり、人的エラーの危険性が排除される。また排出された各薬剤投薬量の情報の記録は、電子的に記憶され、将来参照する場合に簡単に取り出すことができる。
【0020】
補助デバイスは、使用者に対して様々な情報を表示するために用いられるディスプレイを含む。補助デバイスは、注射ペンの表示窓の背後の情報を取り込み、この情報をディスプレイに表示する。補助デバイスはまた、ディスプレイに他の情報を表示することにより、デバイス上のボタンの押下によって使用者から受けた命令に応答する。
【0021】
補助デバイスの利点は、それが再利用できることであり、したがって、注射ペン内の薬剤が完全に排出されたとき、補助デバイスを新しい注射ペンに再び取り付け、その機能を継続することができる。注射ペンが使い捨てでない場合、使用者は、ペンを新しい薬剤で再充填し、注射ペンを補助デバイスと共に引き続き使用することができる。
【0022】
有利には、補助デバイスは、無線で他のデバイスへ情報を伝送し、かつ/または他のデバイスから情報を受けるように構成された無線ユニットも含む。この機能によって、補助デバイスに恒久的に記録された各薬剤投薬量の情報を、好都合には安全な保管および将来の参照のために他のデバイスへ伝達することが可能になる。
【0023】
必要とされる薬剤投薬量がダイヤル設定されると、補助デバイスは、ボタン押下によって使用者から通知を受ける。この通知を受けたとき、補助デバイスは、最後の(または最後に有効な)OCRからの結果をメインメモリに記憶することによって、注射ペンにダイヤル設定された投薬量を記録する。
【0024】
代替的実施形態では、通知のための押下によって、画像の取り込みが行われ、OCRが実行され、所定の用量についてメインメモリに記憶される。画像の取り込みおよびOCRをトリガする通知の機能によって、OCRにかけられる画像が取り込まれる間、注射ペンの表示窓の背後に表示された情報が変化しないことが保証される。これによって、少なくとも動きぶれ(motion blur)による画像のゆがみが低減され、画像の品質が改善され、したがって、OCRの信頼性が改善され、場合によりOCRによるダイヤル設定された用量の判定に必要な処理が低減される。
【0025】
さらなる実施形態は、プロセッサが2つの(少なくとも)連続するまたはほぼ連続する画像が実質的に同じであると判定したとき(たとえば、画像が高い相関関係にあるため)、OCR工程がトリガされる。いずれの場合も、トリガされる画像の取り込みおよびOCR工程によって、ピクチャが静止する対象物から取得され、動く対象物からは取得されないことが保証される。これによって、少なくとも動きぶれによる画像のゆがみが低減され、画像の品質が改善され、したがって、OCRの信頼性が改善される。
【0026】
以下では、本発明の実施形態をインスリン注射デバイスに関連して説明する。しかしながら、本発明はそうした用途に限定されず、他の薬剤を放出する注射デバイス、または他のタイプの薬剤投与デバイスと共に、同様に適切に配置することが可能である。
【0027】
図1は注射デバイス1の分解図であり、注射デバイス1は、たとえばSanofiのSolostar(登録商標)インスリン注射ペンとすることができる。
【0028】
図1の注射デバイス1は、ハウジング10を含み、針15を取り付けることが可能なインスリン容器14を含む充填済みの使い捨て注射ペンである。針は、内側ニードルキャップ16および外側ニードルキャップ17によって保護され、外側ニードルキャップ17は、キャップ18によって覆うことができる。注射デバイス1から放出予定のインスリン用量は、投薬量ダイヤル12を回すことによって選択することができ、次いで選択された用量が、投薬量窓13を介して、たとえばいわゆる国際単位(IU:International Unit)の倍数で表示されるが、ここで、1IUは約45.5マイクログラムの純粋な結晶インスリン(1/22ミリグラム)の生物学的等価量である。投薬量窓13に表示される選択された用量の一例は、たとえば
図1に示すように30IUである。選択された用量は、異なる形でも同様に適切に表示すること可能であることに留意されたい。ハウジング10の上にラベル(図示せず)が提供される。ラベルは、薬剤を識別する情報を含めた、注射デバイス1内に含まれる薬剤に関する情報を含む。
【0029】
投薬量ダイヤル12を回すと、機械的なクリッカが使用者に触覚および音によるフィードバックを与える。投薬量窓13に表示される数字は、印刷によってスリーブ上に存在するものであり、スリーブはハウジング10に含まれ、インスリン容器14内のピストンと機械的に相互作用する。針15が患者の皮膚部分に刺し込まれ、次いで注射ボタン11が押されると、表示窓13に表示されたインスリン用量が注射デバイス1から放出される。注射ボタン11が押された後、注射デバイス1の針15がある特定の時間にわたって皮膚部分に留まると、高い割合の用量が患者の体内に実際に注射される。またインスリン用量の放出によって機械的なクリック音が生じるが、それは投薬量ダイヤル12を使用するときに生じる音とは異なる。
【0030】
注射デバイス1は、インスリン容器14が空になるまで、または注射デバイス1の使用期限(たとえば、最初の使用後28日)に達するまで、複数の注射プロセスに使用することができる。
【0031】
さらに、注射デバイス1を初めて使用する前に、たとえば2単位のインスリンを選択し、注射デバイス1を針15を上向きにした状態に保持しながら注射ボタン11を押すことによって、いわゆる「プライムショット」を実行し、インスリン容器14および針15から空気を除去することが必要になる場合がある。
【0032】
説明を簡単にするために、以下では例示的に、放出される用量が注射される用量と実質的に一致する、したがって、たとえば次に注射予定の用量を計画するとき、この用量は注射デバイス1が放出しなければならない用量に等しいと仮定する。しかしながら、もちろん放出される用量と注射される用量との間の差(たとえば損失)を考慮することもできる。
【0033】
図1bは、注射デバイス1の端部の詳細図である。この図は、投薬量窓13と投薬量ダイヤル12の間に位置する位置決めリブ(locating rib)70を示している。
【0034】
図2aは、
図1の注射デバイス1に解放可能に取り付けられる補助デバイス2の一実施形態を示している。補助デバイス2は、
図1の注射デバイス1のハウジング10を囲むように構成された嵌合ユニットを有するハウジング20を含み、したがって、補助デバイス2は、注射デバイス1のハウジング10にしっかり嵌まるが、たとえば注射デバイス1が空になり交換が必要になると、注射デバイス1から取り外すことができる。
図2aは概略的であり、以下では
図2bおよび2cを参照して物理的配置の詳細について説明する。
【0035】
補助デバイス2は、注射デバイス1から情報を集めるための光学的センサを含む。以下に記載するように、選択された用量(ダイヤル設定された用量とも理解される)が、補助デバイス2のLCDディスプレイ21を介して表示される。注射デバイス1の投薬量窓13は、補助デバイス2が注射デバイス1に取り付けられると、補助デバイス2によって遮られる。
【0036】
補助デバイス2は、ボタン型スイッチとして概略的に示す、少なくとも1つの使用者入力トランスデューサまたはスイッチ22をさらに含む。こうした入力トランスデューサ22によって、使用者が補助デバイス2をオン/オフにすること、動作をトリガすること(たとえば、他のデバイスへの接続もしくは他のデバイスとのペアリングを確立させること、および/もしくは補助デバイス2から他のデバイスへの情報の伝送をトリガすること)、または何かを確認することが可能になる。
【0037】
図2bは、
図1の注射デバイス1に解放可能に取り付けられる補助デバイス2の第2の実施形態の概略図である。補助デバイス2は、
図1の注射デバイス1のハウジング10を囲むように構成された嵌合ユニットを有するハウジング20を含み、したがって、補助デバイス2は、注射デバイス1のハウジング10にしっかり嵌まるが、注射デバイス1から取り外すこともできる。
【0038】
補助デバイス2のLCDディスプレイ21を介して情報が表示される。注射デバイス1の投薬量窓13は、補助デバイス2が注射デバイス1に取り付けられると、補助デバイス2によって遮られる。
【0039】
補助デバイス2は、3つの使用者入力トランスデューサ、ボタンまたはスイッチをさらに含む。第1のボタン22は電源オン/オフボタンであり、それを介して、たとえば補助デバイス2をオンおよびオフにすることができる。第2のボタン33は通信ボタンである。第3のボタン34は、確認またはOKボタンである。ボタン22、33、34は、任意の適切な形をとることができる。こうした入力ボタン22、33、34によって、使用者が補助デバイス2をオン/オフにすること、動作をトリガすること(たとえば、他のデバイスへの接続もしくは他のデバイスとのペアリングを確立させること、補助デバイス2から他のデバイスへの情報の伝送をトリガすること)、何かことを確認すること、および/または情報をLCDディスプレイ21に表示することが可能になる。
【0040】
図2cは、
図1の注射デバイス1に解放可能に取り付けられる補助デバイス2の第3の実施形態の概略図である。補助デバイス2は、
図1の注射デバイス1のハウジング10を囲むように構成された嵌合ユニットを有するハウジング20を含み、したがって、補助デバイス2は、注射デバイス1のハウジング10にしっかり嵌まるが、注射デバイス1から取り外すこともできる。
【0041】
補助デバイス2のLCDディスプレイ21を介して情報が表示される。注射デバイス1の投薬量窓13は、補助デバイス2が注射デバイス1に取り付けられると、補助デバイス2によって遮られる。
【0042】
補助デバイス2は、タッチ感知式入力トランスデューサ35をさらに含む。補助デバイス2は、ただ1つの使用者入力ボタンまたはスイッチ22も含む。ボタン22は電源オン/オフボタンであり、それを介して、たとえば補助デバイス2をオン/オフにすることができる。タッチ感知式入力トランスデューサ35を用いて、動作をトリガすること(たとえば、他のデバイスへの接続もしくは他のデバイスとのペアリングを確立させること、および/もしくは補助デバイス2から携帯デバイス502への画像データ情報の伝送をトリガすること)ができる。この多機能のタッチ感知式入力トランスデューサ35によって、通信ボタン33または確認ボタン34が不要になり、補助デバイス2の構成が簡単になる。そうした多機能のトランスデューサ35は、タッチ感知式ではなく機械式にすることもできる。
【0043】
図3は、
図1の注射デバイス1に取り付けられた状態における
図2bまたは2cの補助デバイス2の概略図を示している。
【0044】
補助デバイス2のハウジング20によって、複数の構成要素が収容される。それらはプロセッサ24によって制御され、プロセッサ24は、たとえばマイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などとすることができる。プロセッサ24は、プログラムメモリ240に記憶されたプログラムコード(たとえば、ソフトウェアまたはファームウェア)を実行し、たとえば中間結果を記憶するためにメインメモリ241を用いる。プログラムメモリ240は、たとえば読み出し専用メモリ(ROM)またはフラッシュメモリとすることができ、メインメモリは、たとえばランダムアクセスメモリ(RAM)とすることができる。
【0045】
図2bに示すもののような実施形態では、プロセッサ24は第1のボタン22と相互作用し、それを介して、たとえば補助デバイス2をオンおよびオフにすることができる。第2のボタン33を用いて、他のデバイスへの接続の確立をトリガすること、または他のデバイスへの情報の伝送をトリガすることができる。第3のボタン34を用いて、補助デバイス2の使用者に示された情報に応答することができる。
【0046】
図2cに示すもののような実施形態では、ボタンのうち2つ33、34を省くことができる。その代わりに、1つもしくは複数の静電容量センサまたは他のタッチセンサが提供される。
【0047】
プロセッサ24はディスプレイ21を制御するが、ディスプレイ21は、ここでは液晶ディスプレイ(LCD)として具体化されている。LCDディスプレイ21は、たとえば注射デバイス1の現在の設定、または与えられる予定の次の注射に関する情報を補助デバイス2の使用者に表示するために用いられる。たとえば使用者入力を受けるために、LCDディスプレイ21をタッチスクリーンディスプレイとして具体化することもできる。
【0048】
プロセッサ24は、投薬量窓13の画像を取り込むように構成された画像取り込みデバイス25も制御し、投薬量窓13には、現在選択されている(ダイヤル設定されている)用量が表示される(注射デバイス1に含まれるスリーブ19上にある数字、文字、符号または記号として表示され、その数字は投薬量窓13を通して見ることができる)。画像取り込みデバイス25は、任意の適切なタイプのカメラとすることができる。取得されたカメラ画像は、タイムスタンプおよび薬物のタイプに関する情報と共に補助デバイス2のメモリ241に記憶される。
【0049】
プロセッサ24は、現在選択されている用量を表示する投薬量窓13を通して見えるシーンを照明するように、発光ダイオード(LED)29など1つまたはそれ以上の光源も制御する。光源の前に、たとえば一片のアクリルガラスまたはポリカーボネートから作られたディフューザなど、ディフューザを用いることができる。さらに光学式センサは、たとえば2つの非球面レンズを含むレンズ系を備えることができる。倍率(画像サイズと物体サイズの比)は、1より小さくすることができる。倍率は、0.05〜0.5の範囲とすることができる。
【0050】
プロセッサ24は、無線で他のデバイスへ情報を伝送し、かつ/または他のデバイスから情報を受けるように構成された無線ユニット28を制御する。そうした伝送は、たとえば無線伝送または光伝送に基づくことができる。いくつかの実施形態において、無線ユニット28は、ブルートゥース(登録商標)またはブルートゥース(登録商標)ローエナジーのトランシーバである。あるいは、無線ユニット28は、たとえばケーブルもしくはファイバの接続による結線式で他のデバイスへ情報を伝送し、かつ/または他のデバイスから情報を受けるように構成された有線ユニットによって代替または補完することができる。
【0051】
したがって、
図3の補助デバイス2は、注射デバイス1の状態および/または使用に関する情報を取り込むことができる。この情報は、デバイスの使用者が使用するようにディスプレイ21に表示され、情報の一部は、無線で他のデバイスへ伝送される。たとえば以下にさらに詳しく記載するように、情報を携帯電話へ伝送することができる。
【0052】
使用の際、補助デバイス2は、注射デバイス1の表示窓13のカメラ画像をピックアップし、注射デバイス1に現在どのくらいの用量がダイヤル設定されているかを使用者が知ることができるように、その画像をディスプレイ21に表示する。それによって、使用者は、使用者が注射デバイスを単独で使用するときと同じように、取り付けられた補助デバイス2と共に注射デバイス1を使用することが可能になる。カメラ画像がディスプレイに直接示されるため、ダイヤル設定された薬物用量の正確な量を示すことに関して、システムの信頼性が改善される。さらに、使用者に対する表示画像を生成するために必要な計算能力が低くなるため、実際の用量選択とその用量のディスプレイ21での表示との間の時間のずれをより適切に制御できるようになる。
【0053】
図4は、補助デバイス2の動作を示す流れ図である。流れ図は、注射デバイス1の利用時に、補助デバイス2がどのように動作するかを示している。
図4の各工程は、プログラムメモリ240に記憶されたソフトウェア242の制御下で、補助デバイス2のプロセッサ24によって実行される。
【0054】
図4では、たとえば401で補助デバイス2がオンにされるか、または他の方法で起動されると、動作400が始まる。工程402において、プロセッサ24は、「画像取り込み」ルーチンを開始する。このルーチンにおいて、プロセッサ24は、注射デバイス1の投薬量窓13を通して見える、注射デバイス1の数字スリーブに表示された現在の投薬量の画像を定期的に(たとえば100ミリ秒間隔で)取り込むようにカメラ25を制御する。
【0055】
工程403において、プロセッサ24は、「画像表示」ルーチンを開始する。このルーチンでは、次いで画像を補助デバイス2のLCDディスプレイ21に定期的に(たとえば100ミリ秒間隔で)表示させる。
【0056】
画像は、表示前にある程度まで処理することができる。特に画像は、LCDディスプレイ21に合うようにサイズ変更することができる。LCDディスプレイ21よりピクセル数が多いカメラの場合、サイズ変更は画像の縮小を伴う。縮小は、たとえば表示のために取り込まれた画像の一部のピクセルのみを選択する(他は表示しない)こと、またはピクセルの群を平均することを含むことができる。
【0057】
有利には、画像はグレースケールで表示される。これにより、補助デバイス2が画像処理を実行して文字などの境界を検知する必要がなくなる。またそれによって、表示された画像がカメラ25の前のシーンと著しく異なる可能性が低減される。あるいは、画像は(グレースケールを用いず)黒と白で表示すること、またはカラーで表示することができる。
【0058】
工程402および403でプロセッサ24によって「画像取り込み」ルーチンおよび「画像表示」ルーチンが開始されたとき、補助デバイスによって、たとえば100ミリ秒ごとに画像が取り込まれ表示される。間隔は、投薬量が使用者によって注射ペン1にダイヤル設定されるとき、注射ペン1の窓の背後に表示される投薬量の示度と補助デバイス2に表示される画像との間の遅延が使用者に対して目立たないように、またはほとんど目立たないように選択される。
【0059】
この条件では、補助デバイス2は動作のダイヤル設定モードである。
【0060】
工程404において、プロセッサ24は、「OCR実行」ルーチンを開始する。このルーチンにおいて、プロセッサ24は、「画像取り込み」ルーチンによって取り込まれた画像に対して光学式文字認識処理を実行する。これは、任意の適切な方法で実行することができる。補助デバイス2にダイヤル設定された用量を識別するために、光学式文字認識(OCR)は、補助デバイス2のカメラ25の前のシーンに存在する数字スリーブの画像を処理することを含む。結果は、たとえばIU(国際単位)単位のダイヤル設定された用量を表す数である。その数は、光学式文字認識プロセスによって整数として提供することができる。光学式文字認識プロセスが適切に構成される場合には、その数を整数の間の数とすることができる。工程404において、プロセッサ24によって「OCR実行」ルーチンが開始されたとき、たとえば500ミリ秒ごとに画像に対して光学式文字認識が実行される。ここで、「画像取り込み」ルーチンが100ミリ秒ごとに画像を取り込み、一方、「OCR実行」ルーチンが500ミリ秒ごとに画像に対して光学式認識を実行することに留意されたい。換言すれば、「画像取り込み」の間隔は、「OCR実行」の間隔より著しく小さい。この例において、光学式文字認識プロセスは、カメラが取得する画像の5つ目ごとにプロセッサによって実行される。この条件では、補助デバイス2は依然として動作のダイヤル設定モードである。使用者が所望の投薬量に達したとき、動作のダイヤル設定モードは止まる。この時点では、注射ペンの窓の背後の投薬量の示度は変化しない。OCRは、誤りが起こりにくい結果が得られる動かないターゲットに対して実行され続ける。
【0061】
工程405において、プロセッサ24は、たとえば補助デバイス2上のボタンの押下によって、必要な投薬量が設定されたことを示す使用者入力が与えられたかどうか調べる。
【0062】
ボタンの押下が検知されない場合、動作は工程418へ進み、そこで電源ボタン22が押されたかどうか判定される。否定の判定に基づき、動作は工程420へ進み、そこでタイムアウト条件であるかどうか判定される。タイムアウト条件は、補助デバイス2の電源がオンになるとき、または電源ボタン22が押されたことが検知されたときにリセットされ始動されたタイマーが時間切れになったときに発生する。タイマーに対する適切な値は、たとえば60または120秒とすることができる。工程420からの否定の判定に基づき、動作は工程405へ戻る。
【0063】
タイムアウト条件が発生したこと、または使用者が電源ボタン22を押したことを示す工程418または420からの肯定の判定に基づき、工程419では補助デバイス2の電源がオフになり、動作が終了する。これは、補助デバイスの電力消費を最小限に抑える助けになるが、使用者が補助デバイス2または注射デバイス1と対話するときの動作には影響を及ぼさない。
【0064】
工程405から工程418、工程420、次いで工程405までのシーケンスの間、電源ボタン22が押されるか、もしくはタイムアウト条件が発生するまで、または工程405で確認またはOKボタン34が押されたと判定されるまで、補助デバイス2は依然として画像を取り込み、それらを表示し、それらに対する光学式文字認識を実行する。このループにより、使用者は、注射デバイス1上の投薬量ダイヤル12を回し、LCDディスプレイ21に表示された現在の投薬量情報を含む画像を読み取ることによって、必要な投薬量を設定することが可能になる。
【0065】
工程405において、プロセッサ24が使用者による確認またはOKボタン34の押下を検知し、必要な投薬量が設定されたことを確認すると、工程406では、ディスプレイ21に「用量設定」条件が示される。工程407において、プロセッサ24は、工程407で最後の(または最後に有効な)光学式文字認識からの結果をメインメモリ241に記憶することによって、使用者が注射デバイス1にダイヤル設定した投薬量を記録する。
【0066】
他の実施形態では、用量設定条件は、画像の取り込みおよびOCR工程をトリガし、ダイヤル設定された用量をログに記憶する。さらなる実施形態では、プロセッサが2つの(少なくとも)連続するまたはほぼ連続する画像が実質的に同じであると判定したとき(たとえば、画像が高い相関関係にあるため)、OCR工程がトリガされる。いずれの場合も、トリガされる画像の取り込みおよびOCR工程によって、ピクチャが静止する対象物から取得され、動く対象物からは取得されないことが保証される。これによって、少なくとも動きぶれよる画像のゆがみが低減され、画像の品質が改善され、したがって、OCRプロセスの能力が改善され、ダイヤル設定された用量が確実にかつ正確に判定される。
【0067】
工程407および工程406は、異なる順序で実行すること、または互いに並行して実行することができる。この条件では、補助デバイス2は動作の用量設定モードである。
【0068】
工程408において、プロセッサ24は、LCDディスプレイ21を制御して「Administrating(投与中)」と表示する。この段階では、工程405で用量設定に対する確認またはOKボタン34が押されたことが検知される前に、使用者が注射デバイス1にダイヤル設定された用量を投与している(送達している)可能性がある。この間、カメラの前の画像がディスプレイ21に100ミリ秒間隔で表示されることに留意されたい。また光学式文字認識は500ミリ秒間隔で実行される。一定時間の後、動作が工程407から408へ進むことがある。あるいは、ダイヤル設定された用量が変化していることの検知に応答して動作が進むこともある。ダイヤル設定された用量が変化していることの検知は、2つの連続するOCRの示度の比較(それらが異なる場合には、ダイヤル設定された用量が変化している)から、または2つの連続して取り込まれた画像の間で著しい変化があるかどうかを検知する(ただし、ダイヤル設定された用量を識別するOCRは実行しない)ことによって行うことができる。この条件では、補助デバイス2は動作の用量投与モードである。
【0069】
用量が投与されるにつれて、光学式文字認識プロセスによって整数または整数の間として提供される、現在の投薬量を表す数が減少する。工程409において、プロセッサ24は、ゼロ用量のままであるかどうかを判定することによって、薬剤の投与が完了したかどうか調べる。これは、光学式文字認識プロセスによって判定された現在の投薬量を、プログラムメモリ240に記憶された決まった値、すなわちゼロと比較することによって行われる。注射デバイス1にゼロ用量がダイヤル設定されている場合、プロセッサは、薬剤の投与が完了した(すなわち、工程407でダイヤル設定された用量が注射ペン1から完全に排出された)と推測する。工程421において、プロセッサ24は、工程407でダイヤル設定された投薬量を送達された投薬量として記録する。前の工程409でゼロ用量が検知されているため、ダイヤル設定された投薬量が使用者によって完全に投与されたと推定され、工程421で記録される。工程410において、プロセッサ24は、LCDディスプレイ21を制御して「Complete(完了)」と表示する。
【0070】
次に工程411では、電源ボタン22が押されたかどうか判定される。電源ボタン22が押されたことが検知された場合、プロセッサ24は、工程413で補助デバイス2をオフにする。そうでない場合には工程412へ進み、そこでプロセッサ24は、タイムアウト条件が満たされるかどうか調べる。タイムアウト条件が満たされるか、または電源ボタン22が押されるまで、連続する工程412および411が繰り返され、プロセッサ24は、工程413で補助デバイス2をオフにする。
【0071】
ディスプレイ上の現在の投薬量がゼロに達していないことを示す工程409での否定の判定に基づき、プロセッサ24は、工程416で電源ボタン22が押されたかどうか調べる。この条件は、使用者が工程405での薬剤投薬量のダイヤル設定の後に考えを変え、ダイヤル設定された投薬量が完全に排出される前に注射プロセスを終わらせることを決めた場合に生じる可能性がある。使用者は、ダイヤル設定された用量のすべてを送達せずに電源ボタン22を操作することによって、これを示すことができる。工程416での肯定の判定に基づき、プロセッサ24は、注射デバイス1に残存する現在の投薬量レベルを示す、光学式文字認識プロセスによって判定された最新の投薬量の示度を取得し、工程415でそれを記録されたダイヤル設定された投薬量から減じる。用量の差(差し引きの投薬量)は、使用者によってどのくらいの薬剤が注射されたかを表す。工程414では、プロセッサ24によって差し引きの投薬量がプログラムメモリ240に記録される。完了したとき、プロセッサ24は次いで工程413へ進み、補助デバイス2をオフにする。
【0072】
工程416での否定の判定に基づき、動作は工程417へ進む。工程417において、プロセッサ24は、薬剤の投与が依然として進行中であるかどうか判定する。プロセッサ24は、光学式認識プロセスによって判定された最新の投薬量の示度と、「X」秒間にわたる前のサイクルからの投薬量の示度との間で、小さいかまたは等しいか(≦)の比較を定期的に実行する。ここでプロセッサ24は、カメラによって前に取り込まれた投薬量の画像に対して光学式文字認識プロセスを実行した前のサイクルから、投薬量の示度を得ている。プロセッサ24が上述の比較手法を用いて、X秒後、最新の投薬量の示度が前のサイクルからの投薬量の示度より小さいと判定した場合、動作は工程408へ戻る。この場合、プロセッサ24は、薬剤投与プロセスが依然として進行中であると推測する。OCRがダイヤル設定された用量を取り出すのに失敗した場合も、動作は工程408へ戻る。OCRの用量の示度の取り出しの失敗は、数字スリーブがカメラに対して動くときのぶれによって生じる可能性がある。X秒のうちに変化が生じたかどうかの検知は、変化が検知されるたびにタイマーをリセットして始動させること、および有効なOCRの読み取りが行われたときにタイマーが時間切れになっているかどうか判定することを含む場合がある。
【0073】
工程417において、プロセッサ24がX秒後に最新の投薬量の示度と前の投薬量の示度との間に変化がないと判定した場合、動作は工程415へ進む。この場合、プロセッサ24は、使用者が投薬を完了し、残りのダイヤル設定された用量を投薬するつもりはないと推測する。これまでに論じたように、工程415でプロセッサ24は、注射デバイス1に残存する現在の投薬量レベルを示す、光学式文字認識プロセスによって判定された最新の投薬量の示度を取得し、工程415でそれを記録されたダイヤル設定された投薬量から減じる。差し引きの投薬量は、使用者によってどのくらいの薬剤が注射されたかを表す。工程414では、プロセッサ24によって差し引きの投薬量がプログラムメモリ240に記録される。完了したとき、プロセッサ24は次いで工程413へ進み、補助デバイス2をオフにする。
【0074】
工程421および414における用量情報の記憶によって、薬剤投与の記録が構成される。記録は、補助デバイス2の内部時計から得られた投与の時間または時間と日付、および送達された用量を含む。これにより、使用者にダイヤル設定された用量、送達後の用量または送達された用量の入力を要求することなく、補助デバイス2によって使用者の薬剤摂取の完全な記録を記録することが可能になる。後で使用者は、この情報を、補助デバイス2によって提供される無線機能を用いて補助デバイス2から他のデバイスへ伝送することができる。
【0075】
次に、使用者の視点からシステムの動作について説明する。
【0076】
使用者は、補助デバイス2をオンにすることによって開始する(それには、電源ボタン22を1回押す必要がある)。オンになると、注射デバイス1における現在の投薬量が、使用者に対して補助デバイス2のLCDディスプレイ21に表示される。次に使用者は、LCDディスプレイ21上の現在の投薬量の示度を読み取りながら注射デバイス1上の投薬量ダイヤル12を回すことによって、必要な薬剤投薬量を設定することができる。
【0077】
必要な薬剤投薬量が設定されると、使用者は、補助デバイス2上の確認またはOKボタン34を押す。この時点で、補助デバイス2は、LCDディスプレイ21に薬剤用量を表示している。次いでしばらくしてから、補助デバイス2上のLCDディスプレイ21の表示が変化して、用量が設定されたことを示す。この表示の変化の前または後に、使用者は薬剤の注射を開始することができる。薬剤が投与されるとき、カメラの前の注射デバイス1の数字スリーブの部材上に示される用量が変化するにつれて、LCDディスプレイ21上の投薬量の示度が変化する。注射プロセスが完了すると、使用者は、再び確認もしくはOKボタン34を押すこと、またはタイマーを時間切れにさせることができる。次いで、補助デバイス2のLCDディスプレイ21が変化して、「Complete(完了)」と表示する。補助デバイス2はこの時点で、注射デバイス1に残存する投薬量をLCDディスプレイ21に表示する。残存する用量は、通常はゼロであるが、使用者が注射を完了しなかった場合にはそれより高い可能性がある。
【0078】
図5は、スマートフォンなどの携帯デバイス502と共に使用される補助デバイスおよび注射デバイス1を示している。携帯デバイス502は、たとえば適切なソフトウェアアプリケーション501を備えるなど、適切な方法でプログラムされる。
【0079】
要するに、補助デバイス2のシステムは、使用されるとき、注射デバイス1にダイヤル設定された薬剤を表示し、送達された用量を記録するように機能する。携帯デバイス502は、補助デバイス2によって提供された用量情報を用いて、送達された用量を記録するように機能する。補助デバイス2は、たとえばブルートゥース(登録商標)などの通信インターフェース28を用いて携帯デバイス502と通信する。使用者は、主に補助デバイス2と対話する。携帯デバイス502は、主に使用者に情報を提供し、薬剤投与監視アプリケーション501の使用によって使用者の注射履歴を記録する働きをする。システムがどのように構成され、機能するかに関するより詳細な説明を以下に記載する。
【0080】
図6は、
図5の携帯端末の概略図であり、携帯端末502の内部構成要素を示している。携帯デバイス502は、メモリ602、すなわちランダムアクセスメモリ(RAM)などのワーキングまたは揮発性メモリ、および不揮発性メモリを含む。不揮発性メモリは、有利には別個のアプリケーションであるオペレーティングシステムおよび薬剤投与監視アプリケーション501を記憶すると共に、データファイルおよび関連するメタデータも記憶する。薬剤投与監視アプリケーション501は、製造時に携帯デバイス502に提供すること、またはたとえばアプリケーションマーケットプレイスもしくはアプリケーションストアから携帯デバイス502にダウンロードすること、または携帯デバイス502にサイドローディングする(side load)ことが可能である。
【0081】
携帯デバイス502は、たとえば、LCD、TFT(薄膜トランジスタ)、OLED(有機発光ダイオード)または電子ペーパーディスプレイなどのディスプレイ608を含む。ディスプレイは、表示部材608および触覚によるインターフェース部材607を有するタッチ感知式ディスプレイとすることができる。携帯デバイス502は、ブルートゥース(登録商標)インターフェース606などの通信インターフェース606も含む。携帯デバイス502は、電源604によって携帯デバイス502に電力を供給するためにバッテリ605も収容する。
【0082】
プロセッサ601は、他の構成要素の動作を制御するために、他の構成要素へ信号を送り、かつ他の構成要素から信号を受けるように構成される。たとえばプロセッサ601は、ディスプレイ608上のコンテンツの表示を制御し、使用者入力の結果として触覚によるインターフェース607から信号を受ける。ディスプレイ608は、任意の種類の抵抗式タッチスクリーンまたは静電容量式タッチスクリーンとすることができる。あるいは、ディスプレイはタッチスクリーンでなくてもよい。たとえば、ディスプレイは液晶ディスプレイ(LCD)とすることができる。
【0083】
患者に関する疾病および/またはその治療の詳細な分析を行うために、携帯デバイス502は、アプリケーション501で、判定された薬剤投薬量、ラベルの内容、時間および日付の情報、ならびに/または位置情報を、血糖値、身体的ストレスおよび栄養のような他の重要なデータと組み合わせることができる。組み合わされたデータは、さらに治療の進捗および/または患者の服薬率に関する情報も提供することができる。
【0084】
本発明の範囲は前述の実施形態に限定されず、当業者には様々な代替形態が考えられるであろう。次にさらなる代替形態について記載する。
【0085】
工程406では、使用者入力への応答以外で、ダイヤル設定モードから用量設定モードへの移行のトリガを行うことができる。いくつかの実施形態では、プロセッサ24は、閾値時間より長い間、たとえば1、2、3または5秒間、ダイヤル設定されている用量がゼロ以外の量のままであることを検知し、ダイヤル設定モードから用量設定モードへ移行することによってそうした検知に応答するように構成される。その場合、この時点でダイヤル設定されている用量が、用量送達前にダイヤル設定された用量として用いられる。
【0086】
他の実施形態では、用量設定モードが省かれ、代わりに補助デバイス2が用量のダイヤル設定モードから投与モードへ直接移行することができる。これは、ボタン34に対する使用者入力に応答して行うことができる。あるいは、閾値時間より長い間、ダイヤル設定された用量がゼロ以外の量のままであることの検知に応答して行うことができる。あるいは、経時的なOCRの示度を分析し、それからいつ用量が送達されているかを判定することによって、移行をトリガすることができる。補助デバイスは、ダイヤル設定で減らされる用量と任意の適切な方法で送達される用量とを区別することができる。この場合、移行は遡及的に、すなわち事象後に検知される。また補助デバイス2は、移行の時点でダイヤル設定されていた用量を判定し、これを用量送達前にダイヤル設定された用量として用いるように構成される。
【0087】
図2bにおいて、補助デバイスから通信ボタン33を省くことができる。電源ボタン22が押されると、補助デバイス2をオンし、携帯デバイス502との接続を自動的に確立することができる。これによって補助デバイス2の機能が簡単になり、ハードウェアボタンを減らすことが可能になる。
【0088】
補助デバイス2に対する使用者入力のみに応答して用量データを伝送するのではなく、動作が異なってもよい。たとえば、画像データを連続的にまたは頻繁に携帯デバイス502へ伝送することができ、次いで携帯デバイスは、ダイヤル設定が行われるとき、および/または注射が行われるときに、ダイヤル設定された用量を表示することができる。この場合、用量が設定されたことを示す使用者入力は、補助デバイス2ではなく携帯デバイス502上で行うことができる。この場合、使用者は、(光学式文字認識にかけられた)携帯デバイス502に示されるダイヤル設定された用量を、補助デバイス2のLCDディスプレイ21に表示された画像と照合することができる。同様に、注射が完了したことを示す使用者入力は、補助デバイス2ではなく携帯デバイス502上で行うことができる。あるいは、補助デバイス2と携帯デバイス502の両方を、用量設定の使用者入力および/または注射完了の使用者入力を受けるように構成することができ、それによって、使用者にシステムの使用に関するより多くの選択肢が与えられる。
【0089】
補助デバイス2は、注射デバイス1に含まれる薬剤を検知するための手段を含むことができる。これは、注射ペン上のラベルの色、すなわち含まれる薬剤のタイプを示すラベルの色を検知するように構成された色センサの形をとることができる。
【0090】
補助デバイス2は、使用者が記録された投薬量に間違いがないかどうか調べることを可能にする手段を含むことができる。これは、注射プロセスが終了したときに、記録された最後の投薬量をLCDディスプレイ21に定期的に表示する形をとることができる。次いで使用者は、投薬量に間違いがないかを調べ、間違いがない場合には、確認またはOKボタンを押すことによって確認することができる。