【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の方法は、a)ターゲット本体上の粘着付着物を回避する保護ラップを提供することと、b)(特に、ターゲット本体の誘電率及び透磁率又はバッキング支持体の性質により直接誘導加熱が困難である場合に)誘導加熱器と共に使用するための導電性ラップ(例えば、導電層又はブランケット)を提供することと、c)1つ以上のターゲット本体をバッキング支持体にボンディングするための誘導加熱プロセスに関して内部保護ラップ及び外部導電性ラップの両方を提供することを伴う組み合わせとを含む。
【0016】
従って、本発明は、誘導加熱を使用してターゲットアセンブリを組み立てる方法を提供し、スパッタリング装置での使用によく適し、ターゲットアセンブリの製造及び使用に関連する上記の1つ以上の難点などの難点を回避又は軽減することを対象とするターゲットアセンブリをもたらす。
【0017】
物体の誘導加熱の速度は、誘導電流の周波数、誘導電流の強度、材料の比熱、材料の透磁率、及び電流の流れに対する材料の抵抗を含むいくつかの要因に依存する。これは、多様な円筒状セラミック材料を含み得るターゲットボンディング製造現場(target bonding shops)において、直接誘導加熱に対して概して非感受性の物理特性を有する材料もあるなかで、誘導加熱の使用に著しい制限を生じさせると通常認識されるであろう。LiMO
2の形態(例えば、LiCoO
2の形態)は、このような非感受性のセラミックの代表例である。
【0018】
換言すると、誘導加熱器の1つの制限は、加熱される材料が誘電係数と透磁率との適切な組み合せを有するという要件である。これは、比較的高い比抵抗値を有するものもある多様な円筒状ターゲット(例えば、セラミック)材がボンディング対象となるターゲットボンディング製造現場での使用には著しい制限となる。しかしながら、本発明は、このような制限を取り除く汎用的な方法論を提供する。例えば、本発明の実施形態の下では、ターゲット本体(例えば、セラミックターゲット本体)を直接誘導加熱する(含まれる材料が適切な場合には本発明の下で実行することができる)代わりに、ターゲットを、加熱された誘導感受性材で巻装し、巻装されたターゲット本体の温度を上昇させるために従来の熱伝達を使用する。金属材及び非金属材を含む多数のラップ及びスリーブが適用可能であると考えられるが、炭素埋め込み織布(例えば、繊維ガラス又は他のセラミック繊維で構成される)製のラップは、支持体にボンディングされている巻装された円筒状ターゲットセグメント(例えば、チタンの1種などの金属バッキングチューブにボンディングされたLiCoO
2などのLiMO
2の円筒状ターゲット本体)の効率的な加熱を提供する。また、このラップは、その下側材に関して非接触領域(及び潜在的な絶縁エアポケット)を回避するように、その巻装されている下側材に対して十分な可撓性があるという望ましい品質を満たす。
【0019】
有利には、誘導加熱器制御の電力及び周波数を適切に調整することによって、巻装された中空円筒状ターゲット本体を誘導加熱ユニットの付属コイルで取り囲むことを可能にする寸法を有する環状誘導加熱ユニットが、効率的な加熱を提供する。加えて、ターゲット本体(例えば、LiMO
2製の焼結セラミックシリンダ)の内部(又は内)径(ID)より小さい外径(OD)のバッキングチューブを中空シリンダ内に配置することができ、この組み合わせは同時に効果的に加熱される。例えば、本発明は、冷間等方圧加圧(CIP)緻密化されかつ焼結されたLiCoO
2セラミック円筒状ターゲット本体から形成されたターゲット本体である巻装されたLiMO
2材料円筒状ターゲット本体を特徴とするボンディング技術を含む。
【0020】
誘導加熱技術の使用を通じて1つ以上の円筒状ターゲット本体又は円筒状ターゲットセグメントからなる回転円筒状スパッタリングターゲットアセンブリを形成するための本発明の方法は、例えば、ガリウムアルミニウム亜鉛酸化物(GAZO)、ガリウムインジウムスズ酸化物(GITO)、インジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、ドープSnO
2、アンチモンスズ酸化物(ATO)、LiMO
2、Li
3PO
4、ドープされたLi
3PO
4、ITO、AZO、シリコン、及びBドープシリコン製の中空円筒状ターゲット本体などのターゲット本体の高品質なボンディングを提供する。更に、本発明の下でのスパッタリングターゲットアセンブリの誘導熱によるボンディング形成は、いくつかの例として、ステンレス鋼、チタン、モリブデン、アルミニウム又はアルミニウム合金、及び銅又は銅合金製のチューブなど多様なバッキング支持体上での使用に適している。
【0021】
一般に、本発明は、多様なスパッタリングターゲットアセンブリの形成、特に、ターゲット本体とバッキング構造とが異なる熱膨張係数を有するアセンブリの形成におけるボンディング技術としてよく適している。例えば、本発明は、CIPによる緻密化及び焼結ターゲット本体形成プロセスにより形成されるターゲット本体を接合するのに適している。例えば、本発明は、CIP緻密化し、LiMO
2(例えば、LiCoO
2)焼結中空シリンダなどを材料とする成形された中空セラミックシリンダを焼結して生じるような中空円筒状ターゲットをボンディングするための技術を特徴とする。すなわち、本発明は、形成及びボンディングするのに困難な材料を代表する1つ以上のセラミックLiMO
2(例えば、LiCoO
2)中空円筒状ターゲット本体から構成される回転円筒状ターゲットを形成するための方法を特徴とする(例えば、薄膜電池などの薄膜製品の生成の場合のように薄膜の(パルスDC電源、又はDC電源、MF−AC電源、RF電源などの他の電源を用いた)スパッタリングにおける使用に適した複数のLiMO
2(例えば、LiCoO
2)中空円筒ターゲット本体を含むスパッタリングターゲットアセンブリを提供する)。
【0022】
また、本発明は、上記されたものなど様々な異なる種類の円筒状ターゲット本体のボンディングにおける使用に適用可能であるが、様々な異なる方式で形成されたターゲット本体(例えば、熱間加圧成形(HP)、冷間軸方向加圧成形(CAP)、熱間等方加圧成形(HIP)、その成形体の焼結を含むスリップキャストを特徴とする形成技術を含む、前述のCIPプロセスの直接使用以外の形成プロセスで形成されたターゲット本体)をボンディングする際の使用にも利用可能である。
【0023】
本発明は、更に、1つ以上の中空円筒状ターゲット本体から構成される回転スパッタリングターゲットアセンブリを組み立てるための効率的かつ費用効果の高い製造方法を更に含み、中空円筒状ターゲット本体はドープ又はノンドープ材料から形成される、例えば、金属管状支持体などの管状バッキング支持体にボンディングされた、ガリウムアルミニウム亜鉛酸化物(GAZO)、ガリウムインジウムスズ酸化物(GITO)、インジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、ドープSnO
2、アンチモンスズ酸化物(ATO)、LiMO
2、Li
3PO
4、ドープLi
3PO
4、ITO、AZO、シリコン、及びBドープシリコンなどの円筒状焼結ターゲット本体である。本発明の一実施形態は、内部(又は内側)円筒管状支持体(好ましくはチタンで形成されるような金属チューブ)にボンディングされた、予め形成された円筒形状の焼結されたLiMO
2(例えば、LiCoO
2)ターゲット本体から組み立てられたLiMO
2(例えば、LiCoO
2)スパッタリングターゲットアセンブリを更に含む。好ましいボンディング材料の一例は、In若しくはIn合金、Sn若しくはSn合金、又はAg合金のうちの1つなどの金属はんだである。このような合金は、濡れ性及びボンディング強度を改善するために若しくは融点を低下させるために、又は有益な汚染成分として、特定の量の他の金属成分を含み得る。このような成分としては、Ti、Zn、Cu、Ni、Ga、Ce、Bi、Sb、Si、Pbがあり得る。また、このような合金は、バッキング基板をターゲット本体に接合するために最終的な間隙充填ボンディング材料が提供される前に、表面湿潤プロセスと併せて利用することもできる。
【0024】
また、本発明の実施形態は、バインダ材料の制御加熱を含むスパッタリングターゲットアセンブリの形成ための方法を含み、このバインダ材料は、互いに対向してボンディングを施されるチューブ支持体又は構成要素ターゲット本体表面のいずれか一方又は両方の表面の湿潤のために使用されるようなバインダ材料である。すなわち、本発明における誘導による加熱は、(設けられている場合には)湿潤材料を加熱すること、及び1つ以上のスパッタリングターゲット本体と内部に配置されるバッキング支持体との間の周方向の間隙に供給されるバインダ材料のために適切な温度を維持することの両方に適している。本発明のボンディング技術は、他のバインダ適用加熱技術(例えば、前述の輻射による加熱技術)に関連する問題の回避を容易にする。例えば、本発明の下では、誘導加熱器は、ボンディング中の回転ターゲットアセンブリ内の温度の制御に関して輻射加熱器に対して顕著な利点を提供する。電気周波数及びエネルギーレベルは、軸方向及び半径方向の平衡加熱を促進するように制御することができる。例えば、適度な導電性のセラミックターゲット材料の、高導電性又は少なくとも当該材料よりも高い導電性のバッキングチューブ(例えば、金属バッキングチューブ)の存在下での加熱を効果的に制御するように、周波数を選択することができる。本発明の実施形態の下で誘導加熱システムと共に提供される電力制御を用いて勾配を最小化しながら加熱及び冷却の速度を最大化することができる。例えば、ボンディングプロセスの下で材料が冷却し始め、誘導加熱器の焦点が支持バッキング手段によって支持された1つ以上のターゲット本体に関して軸方向にシフトされるときに、ボンディング間隙内で所望の軸方向温度勾配を達成するように、間隙の底部から頂部の方向において相対的熱レベル差を正確に制御することができる。これにより、ボンディング材料凝固プロセスに関して高度な温度制御が存在するので、ボンディングプロセス中の熱衝撃又は制御されない離層領域を回避することが容易になる。従って、本発明の実施形態は、組み立て時間の短縮を提供するだけでなく、組み立てプロセスの間の望ましくない事象に起因する、欠陥ターゲットセグメント又は欠陥ターゲットアセンブリの廃棄を回避するのに適している。また、誘導加熱装置は、加熱されるアセンブリへの良好なアクセス(例えば、物理的及び視覚的)を提供するように小さく作製することもできる。
【0025】
本発明の方法は、円筒状ターゲットのバッキングチューブへのボンディングにおける誘導加熱のための導電性ラップを利用することを含み、低アルミナAZO円筒状ターゲット、ドープ又はアンドープLi
3PO
4、アンドープ(ノンドープ)シリコン円筒状ターゲット、ITO、及びLiMO
2(例えば、LiCoO
2)を含む多種多様な異なる誘電率のセラミック及び金属材料をボンディングすることを含む。本発明の導電性ラップ及び保護ラップの特徴の各々は、別個の実施形態として、又は誘導ラップ及び保護ラップの両方を特徴とする組み合わせからなる構成要素として使用することができる(保護ラップは、好ましくは、ターゲット本体と導電性ラップとの間にあり、また各々は、各ラップの下にエアポケットが形成されるのを回避するようにして、例えば、外側の2つの積層ラップは各々、最も近接する下側材表面の全域に対して実質的に100%直接接触するようにしてラップする)。多くの場合、内部保護ラップとその周りに配置された外側誘導加熱導電性ラップとの組み合わせが好ましく、これは、この組み合わせが、別の方法ではターゲット本体を汚す恐れのある導電性ラップを選択するときに、より大きな自由度を提供するからである(例えば、この組み合わせにより、炭素系導電性ラップからターゲット本体への炭素汚れの可能性が回避される)。この種の汚れは、望ましくない粉塵発生機械加工の場合と同様に、追加の除去処理を必要とすることがある。
【0026】
保護ラップには、その加熱中に円筒状ターゲット本体と接触する恐れがあるように配置された接着剤はないが、これもまた、望ましくない汚れ及び追加の材料除去(及び潜在的に追加される粉塵発生)につながる可能性があるためである。従って、本発明の実施形態の下では、保護ラップ層は、誘導ラップ層よりも円筒状ターゲット表面の近くに配置される。例えば、好適な実施形態では、(少なくとも接着剤汚れを加える恐れがある面に比べて)接着剤のない保護ラップが、保護されるターゲット本体に直接接触して配置される(例えば、ターゲット本体の全外径の露出周囲の周りを周方向に完全に保護する)。更に、保護ラップはまた、好ましくは、保護ラップの非ターゲット本体側にのみ延びるようなテープ又は他の保持手段との相対位置において保持される。保護ラップ(例えば、ブランケットフィルム又は巻回された材料リボン)の内部接触面は、好ましくは、保護されるターゲット本体シリンダの外面と直接接触して適用される。保護ラップ層の外面の周りに配置された維持材又は保持材は、ボンディングプロセスの間保護されるターゲット本体の加熱に付随する熱レベルに適切に耐えるテープ(この状況では、接着剤の存在は保護フィルムラップの外部との接触のため許容される)などの任意の適切な保持材料とすることができる。また、利用される保護ラップは、一度の巻装でターゲット本体の軸方向全長を覆うラップ、又はターゲット本体の周りに複数回巻回されて軸方向全長を覆う、より短い軸方向長さを覆うラップ(例えば、巻装されたターゲット本体の軸方向全長よりも小さい幅を有する材料リボン)であってもよい。
【0027】
従って、本発明の方法は、円筒状ターゲット本体の周りに保護のために巻かれた保護ラップと併せて誘導加熱を使用して、円筒状ターゲット(例えば、セラミック製の)をバッキングチューブにボンディングすることを含む(円筒状ターゲットは、例えば、先行する段落に記載した材料のうちの1つであり、各ターゲットセグメントに対してそれぞれのラップが、個別になっていることが好ましい)。
【0028】
本発明の方法(及び本発明のターゲットアセンブリ製造を実施する際に使用される構造的ターゲットアセンブリ形成装置)は、構造的ターゲットアセンブリ形成装置ごとに、加熱対象ターゲット本体の外面の周囲に同心円状に配置された1つ以上の誘導加熱器を含む。各誘導加熱器は、好ましくは、ターゲット本体(別々のサイズがスパッタリングターゲットアセンブリ内に位置している場合には、軸方向の長さが最小のターゲット本体)の軸方向長さの200%以下である軸方向長さ(すなわち、垂直積み重ね配置におけるターゲット本体を加熱するために誘導加熱器が垂直に配向されたときの誘導加熱器の「高さ」)を有する。一層大きな軸方向温度制御のためには、誘導加熱器の軸方向の長さ(又は「高さ」)は、既述の個々のターゲット本体の軸方向長さに概ね相当する(約100%)か、又はそれらの軸方向の長さより小さい(例えば、40〜80%)。
【0029】
この制限された誘導加熱器の軸方向長さ関係は、大きなサイズの輻射加熱器など従来技術における輻射加熱装置に関連する難点を回避するのに役立ち、大きなサイズの輻射加熱器は、物理的及び視覚的の両方で、ボンディングされるターゲット本体にアクセスする際に難点となり、セグメント間隙の間又はひび割れたセラミック壁の間のはんだの漏れを十分に早期に検出して広範な再作業による無駄な時間及び材料を最小化するアセンブラの能力を制限し得る。更に、このような(スパッタリングターゲットアセンブリの全長に比べて)制限された軸方向長さを用いることにより、誘導加熱器又は部分的に完成したスパッタリングターゲットアセンブリのいずれか1つ又はその両方の位置を調整(振動を含む)してその2者間の軸方向相対関係を変更することを通じて、より正確な加熱及びより望ましい軸方向温度勾配制御を達成することができる。また、1つの誘導加熱器又は複数の垂直方向に直列に配置された誘導加熱器を利用することができ、この複数の誘導加熱器は、各誘導加熱器が、好ましくは、軸方向の間隙を間に挟んで既述の制限された軸方向の長さを有する状態で、各々が、独立した制御ユニット又は共通の(ただし好ましくは個別に調整可能な)制御ユニットの下にある。
【0030】
部分的に完成したスパッタリングターゲットアセンブリが、固定された誘導加熱器に対して調整される状況では、共通のバッキングチューブに固定された垂直方向に調整可能な装置のような適切な軸方向調整手段が設けられ、この手段は、互いにボンディングされる他の構成要素(及び誘導加熱器内部の円筒状開口部自体)との所望の同心度を保持する。代替的シナリオでは、本発明に用いられる誘導加熱システムは、好ましくは、調整可能な支持体を含み、この支持体は、十分な同心度を維持しながら、熱の適用を意図するスパッタリングターゲットアセンブリ内に配置された所望のターゲット又はターゲット本体と一致するように、誘導加熱器(又は複数の加熱器について、全体的に若しくは個別に)の軸方向の調整を提供する。追加の実施形態では、所定の場所に固定された複数の離間した誘導加熱器と、これも所定の場所に固定された、受容された部分的に完成したターゲットアセンブリと、誘導加熱器システム制御ユニットとが存在し、この誘導加熱器システム制御ユニットは、バッキングチューブの長さに沿って電源が投入され切断される誘導加熱器の順序付けられた運転を介して、バッキングチューブの長さに沿ってターゲット本体の順序付けられた加熱を提供する。追加の実施形態では、ターゲットアセンブリ(すなわち、バッキングチューブ又は円筒状ターゲット本体が取り付けられたバッキングチューブ)をバッキングチューブの中心軸と一直線上にある軸上で回転させ、それによってターゲットアセンブリ内の半径方向の勾配を最小化する。ターゲットアセンブリは、加熱及び冷却プロセス中には回転されるが、インジウムを添加する間又はバッキングチューブの周囲に円筒体を配置する間には回転されない。
【0031】
従って、本発明の誘導加熱器を使用することを通じて、上述の従来技術の輻射加熱器(マルチゾーン輻射加熱器にさえも)に付随するような問題を回避することができ、加熱されるターゲット本体の長さ及び周辺に沿った温度勾配をより良く制御し、またセラミック及びはんだ酸化物のひび割れの元になる局所的なホットスポットを回避する能力が得られる。
【0032】
また、誘導加熱器は、ボンディング中に回転ターゲットアセンブリ内の温度を制御する点において輻射加熱器よりも著しく優れている。電気周波数及びエネルギーレベルが、組み立てられるスパッタリングターゲットに含まれる材料に関して軸方向及び半径方向の平衡加熱を促進するように容易に制御される。例えば、高導電性金属バッキングチューブの存在下で、適度な導電性のセラミックターゲット材料(上述したものなど)の加熱を効果的に制御するように周波数を調整することができる。簡単な電力制御で所望の軸方向の勾配を維持しながら、加熱及び冷却の速度を最大化することができる。これによりアセンブリ時間が短縮される。誘導加熱素子は、比較的小さく作製することができ、加熱されるアセンブリに関する改善されたアクセス(視覚的及び物理的な)及び集中加熱ゾーンを提供するように、ターゲット本体サイズを考慮して寸法設定することができる。
【0033】
前述したように、誘導加熱器の1つの制限は、概して、加熱される材料が導電率と透磁率との適切な組み合わせを有するという要件である。この制限は、本発明によるターゲット本体(例えば、セラミックシリンダ)に導電性「ブランケット」ラップを使用することによって、本発明の下でより低導電率のターゲット本体について克服することができる。このようなラップの1つに、長手方向に炭素繊維、ガラス/ポリエステル繊維織物、及び固定された自己エッジング(self−edging)を有する、市販材料の炭素系布がある。こうした布は、Suter Kunststoffe AG又はSuter Swiss(Switzerland)から入手可能である。
【0034】
本発明の下では、誘導加熱器環境において電気を伝導するのに適した材料を用いて様々な導電性織物を利用することができる。例えば、導電性織物は、織物の構造に織られた金属撚り線で作製することができる。また、通常の織物に炭素又は金属系の粉末を含浸させることによって作製された半導体織物も取り上げられる。本発明の導電層又は導電性ラップの実施形態は、非導電性又は低導電性の基板を含む導電性布を含み、この基板は、その後、炭素、ニッケル、銅、金、銀又はチタンであることが多い電気伝導性成分で被覆されるか又はこれらを埋め込まれるかのいずれかである。
【0035】
金属及び非金属材料を含む多数のラップ及びスリーブが特徴とされるが、炭素埋め込み織布製の(すなわち、繊維ガラス又は他のセラミック繊維で構成される)ラップは、セラミックLiMO
2の1種(例えば、LiCoO
2)など、巻装された円筒状ターゲット本体の効率的な加熱を提供する。有利には、誘導加熱器制御の適切な電力の調整及び周波数の調整により、巻装された中空LiCoO
2シリンダを誘導加熱ユニットの付属コイルで取り囲むことを可能にする寸法を有する環状誘導加熱ユニットが、別の方法では誘電加熱が困難であるこの材料の効率的な加熱を提供する。加えて、本発明の下では、シリンダターゲットの内径(ID)より小さい外径(OD)のバッキングチューブを中空シリンダターゲット内に配置することができ、この組み合わせは同時に加熱される。
【0036】
例えば、湿潤した外径(OD)の金属バッキングチューブの周囲にプレウェッティングした内径(ID)を有するターゲット本体(例えば、セラミック)シリンダを配置した後、上記材料で構成された導電性スリーブ又はこうした布のラップを、セラミックシリンダの外側表面にテープで固定するか又は別の方法で所定の位置に保持することができる。次に、このアセンブリを加熱リングの誘導コイル内に配置する。導電性ラップの誘導加熱は、熱(放射)がシリンダ(及びバッキングチューブの内部)に半径方向に伝達される状態で、軸方向において容易に制御される。電力及び周波数の適切な選択により、バッキングチューブ及び巻装されたターゲット本体(例えば、セラミック)シリンダ(及び任意の湿潤又は熱係数架橋添加材料)の平衡かつ同時誘導加熱が達成される。
【0037】
本発明による誘導加熱は、別々の比誘電率値を有する(ドーピング程度(例えば、シリコン及びホウ素ドープシリコンなどのドープシリコン)やAZOターゲット本体内のAl含有量が低から高になるなど、共通の種類の材料内での変化に起因する)様々な円筒状セラミック若しくは金属(例えば、シリコンのような低導電性金属)スパッタリングターゲット材料、又はITO、AZO、LiMO
2など、ある種のターゲット本体材料から別種のターゲット本体材料まで、様々な円筒状セラミック若しくは金属スパッタリングターゲット材料に適している。
【0038】
通常誘導加熱することが困難なターゲット本体の例としては、1%未満のアルミナでドープされたAZO及びLiMO
2(例えば、LiCoO
2)セラミックシリンダが言及され、導電性ラップは、いくつかの種類のスパッタリングターゲットボンディングについて、別の方法では成功した加熱とは見なされないであろう加熱を可能にする。低又は半導電性円筒状金属ターゲット材料(例えば、アンドープシリコン)を扱う場合などの別の状況では、誘導によるターゲット本体の加熱をより成功裡に達成するために使用できる点で、導電性ラップは有益であり得る。換言すると、ホウ素ドープシリコンターゲット本体は、いくつかの状況では追加の導電性ラップなしで直接誘導加熱することができるが、アンドープシリコンターゲット本体では、ボンディングを成功裡に達成するために導電性ラップを追加する必要があり得る。ラップが必要(又は有益)であるか否かは、本発明の下で取り上げられる潜在的に多様なターゲット本体及びバッキング支持体材料に関する試行錯誤によって決定することができる。
【0039】
更に、LiCoO
2セラミックシリンダなどのターゲット本体のボンディングでは、本発明の実施形態の下では、導電性ラップとターゲット本体との間で望ましくない化学反応が、ターゲット表面の望ましくない変色の生成につながることがある。しかし、これは、本発明の保護層又は保護ラップによって回避される。例えば、耐熱性ポリマーフィルム(Kapton(商標)ラップ)を用いたLiCoO
2シリンダの薄い事前巻装は、アセンブリのために得られた優れたボンディング品質を備え、LiCoO
2材料を反応から保護することができる。
【0040】
Bドープシリコンシリンダのボンディングでは、このような保護ラップをターゲット本体のエッチングされたOD面上で利用することにより、ODをインジウム小滴及び他のデブリがない状態を保つことが可能になり、迅速な最終クリーニングが容易になるが、重要なことは、後にセグメント間隙内に堆積し得る、又は表面に残ってスパッタリングチャンバに入り込み得る粉塵の形成を引き起こし得る表面研磨が回避されるということである。
【0041】
本発明の下では、ボンディング中のひび割れによる材料損失、ひび割れたタイルを置き換えるための付随する再作業を最小化することによって、またボンディングされたアセンブリの表面の最終クリーニングに要する時間の短縮によって製造コストを低減することができる。
【0042】
また、本発明の誘導加熱システムは、好ましくは、加熱中にターゲット本体に関連付けられた半径方向及び軸方向の温度勾配の制御を容易にする、誘導加熱器に付随する制御ユニットも含む。典型的には、誘導加熱器は、中程度の周波数(MF−30〜300kHz)又は無線周波数(RF−MhZ)のいずれかの範囲で動作するような周波数電源(又は周波数発生器)、ワークヘッド(変圧器)、及びコイル(インダクタ)を含む。誘導加熱は、一般に、強い磁界(例えば、加熱中に接触することなくターゲット本体を取り囲む誘導加熱器のコイル及びコイルケーシング)を利用することによって導電体を加熱する非接触方式である。本発明の実施形態は、最大出力20kWで12kHzまで動作する能力を有する発熱体を特徴とする。この能力は、例えば、2〜3kWのより低出力で動作することを伴う本発明の典型的な用途の多くを上回っている。出力レベルは、誘導加熱器の制御を使用して設定することができ、周波数を、ターゲット本体アセンブリの関連材料(例えば、バッキングチューブ材料、湿潤/間隙ボンディング材料及びターゲット本体材料)の所望の加熱のタイミング及びレベルに最も望ましい周波数に調整することができる。
【0043】
従って、本発明の実施形態は、高品質のスパッタリングターゲットアセンブリを製造する方法(及びそのような製造から得られるスパッタリングターゲットアセンブリ)を含み、誘導加熱を用いた(スパッタリングターゲットのボンディングの助けとなる場合に導電性ラップの使用を含む)、LiMO
2(例えば、LiCoO
2)(CIPのLiMO
2成形体など)などの扱いの難しい材料製のターゲット本体を含むスパッタリングターゲットアセンブリを含み、スパッタリングターゲットアセンブリは、バッキングチューブに対して周方向に配置された中空ターゲット本体(例えば、セラミックの、一体構造又はスペーサあり及びなしでの積み重なり)を含む。また、本発明の実施形態は、本明細書に記載の誘導加熱技術を用いて、CIPによるLiMO
2(例えば、LiCoO
2)ターゲット本体がターゲットアセンブリ形成プロセスにおいて組み合わされる有利な構成も含む。
【0044】
本発明の例は、以下のボンディング方法を含む。
【0045】
a)円筒形状の焼結されたターゲット本体(例えば、ID及び/又はOD機械加工によって改良された、内径(ID)及び外径(OD)を有する)を、以下を含むボンディング技術を用いて管状支持体などの適切なバッキング支持体にボンディングする。
i.インジウム又はインジウム合金などの湿潤材料でシリンダ(例えば、LiCoO
2シリンダ)のターゲット本体IDを湿潤させる(例えば、直接湿潤させる)。
ii.管状バッキング支持体のODを湿潤させる(例えば、直接湿潤させる)(例えば、インジウム又はインジウム合金などの湿潤材料を用いる)。
iii.管状バッキング支持体をターゲット本体内で、それらの間に間隙を画定するように周方向内部に配置する。
iv.湿潤した表面の間に追加のインジウム又はインジウム合金などの中間間隙充填ボンディング材料を提供して、ターゲット本体を対応するバッキング支持体にボンディングする。
v.ボンディングプロセスと併せて誘導発熱体を利用する。
【0046】
本発明の実施形態は以下を含む。
【0047】
A)以下を含む方法を伴う、スパッタリングターゲットアセンブリの形成。
スパッタリングターゲット本体が内径面を有し、バッキング支持体及びスパッタリングターゲット本体が、各々、外径面を有する状態で、バッキング支持体がスパッタリングターゲット本体の内径内に配置されるように、スパッタリングターゲット本体とバッキング支持体とを相対的に配置すること、
バッキング支持体の外径とスパッタリングターゲット本体の内径との間のボンディング材料(例えば、湿潤材料及び/又はボンディング間隙充填材)が加熱されるように、スパッタリングターゲット本体の外径を誘導加熱器で加熱すること(例えば、誘導加熱/ボンディング領域全体にわたって改善された半径方向熱勾配が形成されるように、バッキングチューブの加熱も併せる)、
ボンディング材料を冷却してスパッタリングターゲット本体とバッキング支持体との間のボンディング関係を確立するように、誘導加熱器を用いた加熱を停止すること。
【0048】
B)Aに記載のスパッタリングターゲットアセンブリの形成において、導電性材料を、スパッタリングターゲット本体の外径面に沿って延びるようにして、誘導加熱器が導電性材料(例えば、誘導加熱器から独立し、かつ半径方向内側に離間している導電性材料、又は誘導加熱器から独立し、かつ導電性ラップの非導電性半径方向外側領域又は絶縁ラミネート層などを用いて、誘導加熱器と接触している導電性材料)を加熱する位置に配置する。
【0049】
C)Bに記載のスパッタリングターゲットアセンブリの形成において、導電性材料として(例えば、可撓性の)導電性ラップを利用し、この導電ラップはスパッタリングターゲット本体の外径面の周りに延びる。
【0050】
D)Cに記載のスパッタリングターゲットアセンブリの形成において、導電性ラップは、炭素材料を含む。
【0051】
E)Cに記載のスパッタリングターゲットアセンブリの形成において、導電性ラップは、炭素材料及び可撓性布構成要素を含む布である。
【0052】
F)Bに記載のスパッタリングターゲットアセンブリの形成において、導電性材料は、炭素材料を含む。
【0053】
G)Bに記載のスパッタリングターゲットアセンブリの形成において、スパッタリングターゲット本体は、低アルミナAZO(例えば、1重量%未満のアルミナ)、ドープ又はアンドープLi
3PO
4、アンドープシリコン、ZnO、及びLiMO
2からなる群から選択された材料で形成された円筒体である。
【0054】
H)Aに記載のスパッタリングターゲットアセンブリの形成において、スパッタリングターゲット本体は、LiMO
2材料製である(遷移金属酸化物材料の一部として材料Mを特徴とする実施形態を用いる(例えば、Mは、Ni、Co及びMnなどの主要な対象金属又はそれらの組み合わせと、Ti、Al、V、Cr、Y、Sr、Ca、Zr、Zn、Si、Mg、Ga、W、Fe、Cu、La、又はそれらの組み合わせを含む他のドーパント又は改質剤を含む)。また、本発明の実施形態は、化学量論的及び非化学量論的形態の両方において、LiMO
2材料を特徴とする(本スパッタリング装置に適合するLi/M(例えば、Li/Co)比は、Li/M比0.90〜1.25であり、実例としては0.98〜1.05である)。
【0055】
I)Hに記載のスパッタリングターゲットアセンブリの形成において、スパッタリングターゲット本体は、LiCoO
2材料製である。
【0056】
J)Aに記載のスパッタリングターゲットアセンブリの形成において、相対的配置は、以下のi)又はii)のうちの一方又は両方を含む。
i)ボンディング材料の加熱及び/又は冷却段階の間、バッキング支持材を回転させること。
ii)加熱及び/又は冷却段階の間、バッキング支持体の振動させること。
【0057】
K)Jに記載のスパッタリングターゲットアセンブリの形成において、スパッタリングターゲット本体は、LiMO
2を含む。
【0058】
L)Bに記載のスパッタリングターゲットアセンブリの形成において、スパッタリングターゲット本体の外面と導電性材料との間に保護フィルムを更に設ける。
従って、本発明の一実施形態において結果として得られるスパッタリングターゲットアセンブリは、半径方向において内側から外側の順序で、支持チューブ、バインダ、本明細書に記載のスパッタリングターゲット、保護ラップ、及び導電性ラップを含む。その周りには、誘導加熱器が、スパッタリングターゲットアセンブリ形成装置に対して配置される。
【0059】
M)Lに記載のスパッタリングターゲットアセンブリの形成において、保護フィルムのスパッタリングターゲット本体の外径面に対向する側には、接着剤がない。
【0060】
N)Aに記載のスパッタリングターゲットアセンブリの形成において、スパッタリングターゲット本体及びバッキング支持体の少なくとも一方は、誘導加熱器によって加熱されるボンディング材料として湿潤材料を有する。
【0061】
O)Nに記載のスパッタリングターゲットアセンブリの形成において、スパッタリングターゲット本体及びバッキング支持体の各々は、誘導加熱器によって加熱されるボンディング材料として提供された湿潤材料を有する。
【0062】
P)Nに記載のスパッタリングターゲットアセンブリの形成において、その湿潤材料は、インジウムを含む金属はんだである。
【0063】
Q)Nに記載のスパッタリングターゲットアセンブリの形成において、加熱対象のボンディング材料として、スパッタリングターゲット本体の内径とバッキング支持体の外径との間に形成される間隙に提供される間隙充填金属はんだが更に提供される。
【0064】
R)Aに記載のスパッタリングターゲットアセンブリの形成において、加熱対象のボンディング材料として、スパッタリングターゲット本体の内径とバッキング支持体の外径との間に形成される間隙を充填するように配置された導電性取り付け材料が更に提供される。
【0065】
S)Aに記載のスパッタリングターゲットアセンブリの形成において、スパッタリングターゲット本体は、セラミック中空円筒体である。
【0066】
T)Aに記載のスパッタリングターゲットアセンブリの形成において、スパッタリングターゲット本体は、ガリウムアルミニウム亜鉛酸化物(GAZO)、ガリウムインジウムスズ酸化物(GITO)、インジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、ドープSnO
2、アンチモンスズ酸化物(ATO)、LiMO
2、Li
3PO
4、ドープLi
3PO
4、ITO、AZO、シリコン、及びBドープシリコンからなる群から選択された材料製である。
【0067】
U)Tに記載のスパッタリングターゲットアセンブリの形成において、スパッタリングターゲット本体は、LiMO
2製である。
【0068】
V)Uに記載のスパッタリングターゲットアセンブリの形成において、スパッタリングターゲット本体は、LiCoO
2製である。
【0069】
W)Aに記載のスパッタリングターゲットアセンブリの形成において、導電性材料を、スパッタリングターゲット本体の外径面に沿って延びるようにして、誘導加熱器が導電性材料層を加熱する位置に配置することを更に含み、バッキング支持体は、金属を含む中空円筒状チューブの形態である。
【0070】
X)Wに記載のスパッタリングターゲットアセンブリの形成において、バッキング支持体は、チタンを含む。
【0071】
Y)Aに記載のスパッタリングターゲットアセンブリの形成において、ターゲット本体上に保護ラップを提供することを更に含む。
【0072】
Z)Yに記載のスパッタリングターゲットアセンブリの形成において、保護ラップは、ターゲット本体外径面にテープ材を用いて固定される。
【0073】
AA)Bに記載のスパッタリングターゲットアセンブリの形成において、導電性材料は、所定の位置にテープを用いて固定される。
【0074】
BB)Aに記載のスパッタリングターゲットアセンブリの形成において、組み立て方法は、導電性ラップを、スパッタリングターゲット本体の外径面に沿って延びるようにして、誘導加熱器が導電性ラップを加熱する位置に配置するステップを更に含み、導電性ラップは、スパッタリングターゲット本体の外径の周囲に延びるように配置されている。
【0075】
CC)BBに記載のスパッタリングターゲットアセンブリの形成において、導電性ラップは、スパッタリングターゲット本体の外径の周囲に、重なりを有して渦巻き状に巻回される(例えば、ボンディング作業中にスパッタリングターゲット本体に沿って軸方向の熱勾配を変更するために重なり度は異なる)。
【0076】
DD)BBに記載のスパッタリングターゲットアセンブリの形成において、この導電性ラップは、スパッタリングターゲット本体の周りに巻回された複数の導電性ラップのうちの1つである(又は、複数のラップラミネート層を提供するように、ラッピング繰り返し構成(1つの下側ラップ部又は層がターゲットの軸方向全長を完全に覆い隠し、そして導電性ラップの追加のラップ層が、導電性ラップのその下側層を覆い隠す構成など)がある)。
【0077】
EE)BBに記載のスパッタリングターゲットアセンブリの形成において、誘導加熱器とスパッタリングターゲット本体とのうちの少なくとも一方が他方に対して互いに調整される。
【0078】
FF)EEに記載のスパッタリングターゲットアセンブリの形成において、スパッタリングターゲット本体は、位置が固定された誘導加熱器に対して調整される。
【0079】
GG)Aに記載のスパッタリングターゲットアセンブリの形成において、複数のスパッタリングターゲット本体がバッキング支持体に沿って直列配置で設けられ、各スパッタリングターゲット本体は、ボンディングプロセスの間に誘導加熱を施される。
【0080】
HH)GGに記載のスパッタリングターゲットアセンブリの形成において、バッキング支持体の周りに延び、かつ隣接するスパッタリングターゲット本体を誘導加熱するように1つ以上のスパッタリングターゲット本体の周りに周方向に延びる、1つ以上の誘導加熱器が存在する。
【0081】
II)HHに記載のスパッタリングターゲットアセンブリの形成において、バッキング支持体に沿って直列に配置された複数の誘導加熱器が存在する。
【0082】
JJ)GGに記載のスパッタリングターゲットアセンブリの形成において、複数のスパッタリングターゲット本体は、その1つ以上が周りに導電性ラップが延在する状態で存在し、誘導加熱器は、その1つ以上の導電性ラップを誘導加熱するように配置されている。
【0083】
KK)JJに記載のスパッタリングターゲットアセンブリの形成において、複数のスパッタリングターゲット本体の各々は、導電性ラップを有する。
【0084】
LL)JJに記載のスパッタリングターゲットアセンブリの形成において、バッキング支持体に沿って配置された少なくとも2つの異なるスパッタリングターゲット本体に設けられた導電性ラップ導電性材料の量に差がある(例えば、ラップごとの導電性材料の差、ラップごとの数又は長さの差、変化する重なり率で螺旋状に巻回されたラップなど、重なり率の相対量の差など)。
【0085】
MM)スパッタリングターゲットアセンブリの形成は、以下を含む方法を伴う。
バッキングチューブ、スパッタリングターゲット本体、及び誘導加熱器を、バッキングチューブが内部であり、スパッタリングターゲット本体が中間であり、誘導加熱器が外部である周方向配置になるように配置すること、
スパッタリングターゲット本体を加熱するように誘導加熱器を操作すること、
バッキングチューブと誘導加熱を施されるスパッタリングターゲット本体との間に形成された間隙にボンディング材料を提供すること。
【0086】
NN)請求MMに記載されたスパッタリングターゲットアセンブリの形成は、スパッタリングターゲット本体と誘導加熱器との間で周方向に導電性巻装を提供することを更に含む。
【0087】
OO)請求NNに記載されたスパッタリングターゲットアセンブリの形成において、導電性巻装は、スパッタリングターゲット本体上の所定の位置に巻き付けられ固定される可撓性導電性布である。
【0088】
PP)請求NNに記載されたスパッタリングターゲットアセンブリの形成において、導電性巻装は、炭素材料導電性巻装である。
【0089】
QQ)請求NNに記載されたスパッタリングターゲットアセンブリの形成において、スパッタリングターゲット本体と導電性巻装との間に、保護巻装が配置される。
【0090】
RR)請求MMに記載されたスパッタリングターゲットアセンブリの形成において、スパッタリングターゲット本体は、ガリウムアルミニウム亜鉛酸化物(GAZO)、ガリウムインジウムスズ酸化物(GITO)、インジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、ドープSnO
2、アンチモンスズ酸化物(ATO)、LiMO
2、Li
3PO
4、ドープLi
3PO
4、ITO、AZO、シリコン、及びBドープシリコンからなる群から選択された材料製の中空円筒体である。
【0091】
SS)請求MMに記載されたスパッタリングターゲットアセンブリの形成において、バッキング支持体は、モリブデン、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム又はアルミニウム合金、及び銅又は銅合金製の材料で形成されたバッキングチューブである。
【0092】
TT)MMに記載されたスパッタリングターゲットアセンブリの形成において、複数のスパッタリングターゲット本体がバッキング支持体に沿って直列配置で設けられ、各スパッタリングターゲット本体は、ボンディング目的でボンディングプロセス中に誘導加熱される。
【0093】
UU)TTに記載されたスパッタリングターゲットアセンブリの形成において、1つ以上のスパッタリングターゲット本体のために、スパッタリングターゲット本体と誘導加熱器との間で周方向に導電性巻装を提供することを更に含む。
【0094】
VV)UUに記載されたスパッタリングターゲットアセンブリの形成において、複数のターゲット本体上に設けられた導電性巻装が提供され、誘導加熱中に異なる軸方向熱勾配形成を提供するように、少なくとも2つのスパッタリングターゲットの間で、導電性巻装において異なる量の導電性材料が存在する。
【0095】
WW)TTに記載のスパッタリングターゲットアセンブリの形成において、複数のスパッタリングターゲットのうちの少なくとも1つは、誘導加熱器に対して所定の位置で軸方向に調整される。
【0096】
XX)
外側面(又は外径面)を備えるバッキング支持体と、
外側面(又は外径面)及び内面を備えるスパッタリングターゲット本体であって、バッキング支持体がこの内面を通じて軸方向に延びる、スパッタリングターゲット本体と、
スパッタリングターゲット本体と熱連通関係にある誘導加熱器と、を含むアセンブリ。
【0097】
YY)XXのアセンブリにおいて、誘導加熱器は、ターゲット本体の周りに周方向に延び、ターゲット本体と共通の水平面断面を有するように配置される。
【0098】
ZZ)請求XXのアセンブリにおいて、ターゲット本体の周りに延び、誘導加熱器による誘導加熱のために配置された導電層が更に含まれる。
【0099】
AAA)請求ZZのアセンブリにおいて、ターゲット本体の周りかつ導電層の内側に延びている保護ラップが更に含まれる。
【0100】
BBB)請求ZZのアセンブリにおいて、導電層は導電性ラップであり、これはターゲット本体上に渦巻き状に配置されている。
【0101】
CCC)請求XXのアセンブリにおいて、バッキング支持体とターゲット本体との間に配置され、誘導加熱器との熱連通のために配置されたボンディング材料が更に含まれる。
【0102】
DDD)XXのアセンブリにおいて、複数のターゲット本体と、これらのターゲット本体との熱連通のために構成された1つ以上の誘導加熱器とが存在する。
【0103】
EEE)DDDのアセンブリにおいて、各ターゲット本体は、導電性材料巻装の形態の導電層を有する。
【0104】
上記の例示的な本発明の実施形態では、ある文字例からそれより前の文字例への参照は、変更及び拡張することができる。例えば、例「H」の「A」に対する参照は、「A」だけではなく、「A」〜「G」のそれぞれに対する参照に拡張することができ、互いに可能性のある矛盾のない組み合わせが、上記に提供された例「A」〜「EEE」に関する本発明の特徴である。
【0105】
第1の態様から見て、本発明は、以下の第1のプロセス(又は方法)の実施形態を更に提供することができる。
【0106】
実施形態1:以下のステップを含む、回転スパッタリングターゲットを形成する第1のプロセス。
− 熱伝導性(かつ好ましくは電気伝導性)材料ベースのバッキングチューブを提供するステップであって、バッキングチューブは、外径と、バッキングチューブの(中心)長手方向軸の周囲に画定された外径面とを有する、ステップ。
− 第1の中空円筒状ターゲット本体を提供するステップであって、第1の中空円筒状ターゲット本体は、第1の本体の互いに対向する2つの縁部(下縁部及び上縁部)の間に画定された(中心)長手方向軸と、内径と、内径面と、外径と、外径面とを有し、内径面及び外径面は、第1の中空円筒状ターゲット本体の長手方向軸の周囲に画定され、第1の中空円筒状ターゲット本体は、電気伝導性材料からなるか又は電気伝導性材料を含み、それによって電気伝導体である、ステップ。
− 内径を有する(少なくとも)1つの誘導加熱器を提供するステップ。
− 第1の中空円筒状ターゲット本体の湿潤した内径面を形成するように、第1の中空円筒状ターゲット本体の内径面を、インジウム系材料などのはんだ材料で、少なくとも部分的に、好ましくは完全に被覆するステップ。
− バッキングチューブの湿潤した外径面を形成するように、バッキングチューブの外径面を、インジウム系材料などのはんだ材料で、少なくとも部分的に、好ましくは完全に被覆するステップ。
− 第1の円筒状ターゲット本体の長手方向軸がバッキングチューブの長手方向軸に(実質的に)平行になるように、バッキングチューブを第1の中空円筒状ターゲット本体の内径内に垂直かつ同軸に配置するステップと、それによって外径面が(はんだ材料によって)湿潤した状態のバッキングチューブの第1の部分と、(はんだ材料によって)湿潤された内径面を有する第1の中空円筒状ターゲット本体とで構成される第1のアセンブリを形成するステップであって、この第1のアセンブリは、(中心)長手方向軸を有し、バッキングチューブの第1の部分の湿潤した外径面と第1の中空円筒状ターゲット本体の湿潤した内径面との間に形成された第1の間隙を呈し、この第1の間隙は第1のアセンブリの長手方向軸の周囲に画定され、この第1のアセンブリは、第1のアセンブリの第1の端部と第2の端部とにそれぞれ配置された、その第1の中間間隙への頂部開放端部アクセスと底部(任意で開放)端部アクセスとを有し、第1のアセンブリの第1の端部及び第2の端部は互いに対向している、ステップ。任意選択で、バッキングチューブは、その長手方向軸が水平面に垂直な基準軸から、0°〜+/−5°の間、好ましくは0°〜+/−2°の間の角度だけずれるように配置される。
− (少なくとも)1つの誘導加熱器の内径の内側(internally within the inner diameter)に第1のアセンブリを配置するステップ。
− (少なくとも1つの)誘導加熱器を用いて、第1のアセンブリの第1の中空円筒状ターゲット本体、又は第1の中空円筒状ターゲット本体及びバッキングチューブの少なくとも第1の部分を、第1の温度で予熱するステップであって、第1の温度は、第1の間隙を充填するように頂部開放端部アクセスを通じて第1の間隙に注入されるはんだ材料を溶融相下に維持するのに十分に保たれており、第1の温度は、好ましくは180℃以上、より好ましくは190℃以上、最も好ましくは180℃〜190℃、任意選択で180℃〜200℃である、ステップ。このようにして、第1の間隙は、溶融はんだが頂端部アクセスから底端部アクセスに流れることを可能にするように十分高い温度に上昇される。
− 第1のアセンブリの頂部開放端部アクセスを通じて、第1の中空円筒状ターゲット本体の湿潤した内径面とバッキングチューブの第1の部分の湿潤した外径面との間の第1の間隙を、溶融したインジウム系材料など溶融相下にあるはんだ材料で充填するステップ。
− (少なくとも1つの)誘導加熱器を用いて、第1の軸方向温度勾配が、第1のアセンブリ(又は本体)の底部開放端部から頂部開放端部まで生成されるように、第1のアセンブリの第1の中空円筒状ターゲット本体、又は第1の中空円筒状ターゲット本体及びバッキングチューブの第1の部分を、第1のアセンブリの長手方向軸に沿って加熱するステップであって、第1の軸方向温度勾配は正の勾配であり、この軸方向勾配は長手方向に配向され、第1のアセンブリの長手方向軸に(実質的に)平行な方向に沿って変位し、それにより第1の間隙内のはんだ材料の冷却を底部開放端部アクセスから頂部開放端部アクセスに誘導し、それにより、回転スパッタリングターゲットを形成するように、第1の中空円筒状ターゲット本体の内径面とバッキングチューブの第1の部分の外径面との間に、底部開放端部アクセスから頂部開放端部アクセスまで接着を生成する、ステップ。
【0107】
第1の軸方向温度勾配は正であり、これは、第1のアセンブリ又は第1の本体の温度値が、第1の本体及びバッキングチューブの第1の部分を含む第1のアセンブリの底部開放アクセス(又は底部高さ)から頂部開放端部アクセス(又は頂部高さ)へ増加することを意味する。
【0108】
第1の正の軸方向勾配は長手方向に配向されており、これは、温度値が、第1のアセンブリの長手方向軸に平行な方向において、底部開放アクセスから頂部開放端部アクセスへ増加することを意味する。
【0109】
任意選択で、第1の軸方向温度勾配は、例えば、第1のアセンブリの底部高さで測定された温度が、25℃〜150℃、好ましくは25℃〜100℃、より好ましくは25℃〜75℃、最も好ましくは25℃〜50℃に含まれるように設計される。任意選択で、第1のアセンブリの底部高さの温度は、例えば、ターゲット本体の外径面の第1の画定領域において測定される。別の代替案では、第1のアセンブリの底部高さにおける温度は、第1の本体の底縁部で測定される。
【0110】
第1のアセンブリの頂部高さで測定される温度は、180℃〜250℃、好ましくは190℃〜200℃に含まれる。同様に、第1のアセンブリの頂部高さでの温度は、ターゲット本体の外径面の第2の画定領域において任意選択で測定される。別の代替案では、第1のアセンブリの頂部高さにおける温度は、第1の本体の頂縁部で測定される。
【0111】
加熱ステップ中に1つ(又はそれ以上)の誘導加熱器の動作周波数及び電力を適切に変調することによって、長手方向に配向された第1の軸方向温度勾配が第1のアセンブリの底部開放端部から頂部開放端部まで生成されるように、底部開放端部アクセスと頂部開放端部アクセスとの間の温度プロファイルを調整することができ、1つ(又はそれ以上)の誘導加熱器を更に適切に操作することによって、第1の軸方向温度勾配は、底部開放アクセス端部から頂部開放アクセス端部に(漸進的に)シフト又は変位され、それによって、構成要素、すなわち、ターゲット本体+バッキングチューブの第1の部分の(漸進的な)冷却を誘導する。
【0112】
例えば、適切な電力及び周波数で誘導加熱器を使用することによって、また誘導加熱器を第1のアセンブリの長手方向軸に沿って底端部から頂端部へ画定された方向に適切な速度で変位させることによって、第1の軸方向の正の温度勾配の変位又はシフトを確実にすることができ、それによって、構成要素、すなわち、ターゲット本体+バッキングチューブの第1の部分の(漸進的な)冷却を誘導するようにする。
【0113】
あるいは、連続した数個の誘導加熱器を使用して、少なくとも2つの誘導加熱器で構成される構造体を形成することができ、この誘導加熱器構造体の内径内に第1のアセンブリを完全に取り囲むようにし、各誘導加熱器を独立して変調することによって、第1の軸方向温度勾配のシフト又は変位を得て、それによって、構成要素、すなわち、ターゲット本体+バッキングチューブの第1の部分の(漸進的な)冷却を誘導するようにする。
【0114】
この具体的実施形態では、第1の軸方向勾配が、第1の加熱器(垂直構造体の底部加熱器)から数個の加熱器で構成される構造体を横切って何個目かの加熱器(又はこの垂直構造体の頂部加熱器)まで進むように構造体の各加熱器を変調することによって、第1の軸方向勾配のシフト/変位を確実にする。
【0115】
第1の軸方向温度勾配に、第1の半径方向温度勾配を関連付けることができる。この第1の半径方向温度勾配は、円筒状中空ターゲット本体の外径面からバッキングチューブ又は第1のアセンブリの(好ましくは中心にある)長手方向軸に(すなわちバッキングチューブの内径面に)配向された負の勾配である。
【0116】
負の勾配は、本発明の構成では、第1の本体の外径面からバッキングチューブの外側面に向かって温度が低下することを意味する。
【0117】
第1の軸方向及び半径方向の勾配の組み合わせにより、第1のアセンブリの長手方向軸に沿って第1のアセンブリを横切る第1の長手方向勾配部分が生成されることになり、この第1の長手方向勾配部分は、1つ(又はそれ以上)の誘導加熱器の所定の長さ以上の長さを有する。第1の長手方向勾配部分の幅は、第1のアセンブリにおける第1の半径方向勾配の所定の(貫通)深さの長さに対応する。
【0118】
第1の半径方向勾配が第1の軸方向勾配と同時に存在する場合、加熱ステップ中、第1のアセンブリの底端部アクセスから頂端部アクセスまでシフト/変位されるのは第1の長手方向勾配部分であり、第1の間隙内のはんだ材料の冷却を、底部開放端部アクセスから頂部開放端部アクセスまで、かつバッキングチューブの第1の部分の外径面から第1の中空円筒状ターゲット本体の内径面まで誘導するようにし、それによって第1の中空円筒状ターゲット本体の内径面とバッキングチューブの第1の部分の外径面との間に底部開放端部アクセスから頂部開放端部アクセスまでの接着を生成して、回転スパッタリングターゲットを形成するようにする。
【0119】
実施形態2:以下の追加ステップを含む、回転スパッタリングターゲットを形成する第1のプロセス。
− 第1の中空円筒状ターゲット本体の外径面を、第1の中空円筒状ターゲット本体の外径面に取り外し可能に(すなわち非永久的な方法に基づいて)結合された第1の保護材料で、少なくとも部分的に、好ましくは完全に覆うステップであって、第1の中空円筒状ターゲットの外径面を少なくとも部分的に覆うステップは、第1の間隙をはんだ材料で充填するステップの前に行われ、好ましくは、第1の中空円筒状ターゲット本体の外径面を第1の保護材料で少なくとも部分的に覆うステップは、第1の中空円筒状ターゲット本体の内径面をはんだ材料で被覆するステップの前に行われる、ステップ。
【0120】
任意選択で、実施形態2において、第1の保護材料は、保護フィルム又は保護ラップである。
【0121】
実施形態2において、第1の保護材料は、保持手段によって第1の中空円筒状ターゲット本体の外径面に結合され保持されることができる。
【0122】
好ましくは、実施形態2において、第1の保護材料は、取り外し可能かつ非粘着性のフィルム又はラップである。
【0123】
より好ましくは、実施形態2において、第1の保護材料は、ポリイミド系フィルム又はポリイミド系ラップである。
【0124】
特に、第1の保護材料は、好ましくは、自己粘着性である。
【0125】
第1の保護材料は、好ましくは、第1の間隙をはんだ材料で充填するステップの後で取り外される。
【0126】
あるいは、第1の保護材料は、加熱ステップの後で取り外すことができる。
【0127】
優先的には、保護材料は、数個(少なくとも2つ)の中空円筒状ターゲットがバッキングチューブ上に結合される複数のボンディングステップの最後に取り外される。
【0128】
実施形態3:予熱ステップ中及び/又は加熱ステップ中、バッキングチューブはその長手方向軸に沿って回転及び/又は振動される、回転スパッタリングターゲットを形成する第1のプロセス。
【0129】
実施形態4:第1の間隙をはんだ材料で充填するステップの間に溶融はんだ材料が底部開放端部アクセスを通って流れるのを防止するように、第1の間隙を溶融したはんだ材料で充填するステップの前に、第1のアセンブリの底部開放端部アクセスを、シール、好ましくはゴムシールなどのカバー手段で覆うステップを含む、回転スパッタリングターゲットを形成する第1のプロセス。
【0130】
実施形態5:加熱ステップの後で、第1のアセンブリの底部開放端部からカバー手段を取り外すステップを含む、回転スパッタリングターゲットを形成する第1のプロセス。
【0131】
実施形態6:以下のステップを含む、回転スパッタリングターゲットを形成する第1のプロセス。
− 少なくとも第2の電気伝導性中空円筒状ターゲット本体を提供するステップであって、第2の電気伝導性中空円筒状ターゲット本体は、内径と、外径と、内径面及び外径面が周囲に画定された(中心)長手方向軸とを有し、第2の中空円筒状ターゲット本体は、電気伝導性材料からなるか又は電気伝導性材料を含む、ステップ。
− 第2の中空円筒状ターゲット本体の湿潤した内径面を形成するように、第2の中空円筒状ターゲット本体の内径面を、インジウム系材料などのはんだ材料で、少なくとも部分的に、好ましくは完全に被覆するステップ。
− 第2の円筒状ターゲット本体の長手方向軸がバッキングチューブの長手方向軸に(実質的に)平行になるように、第1の中空円筒状ターゲットがボンディングされたバッキングチューブを、第2の中空円筒状ターゲット本体の内径内に垂直かつ同軸に配置し続ける又は配置するステップであって、それによって内径面が(はんだ材料によって)湿潤した第2の中空円筒状ターゲット本体と、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、はんだ材料で被覆された湿潤した外径面を有するバッキングチューブの第2の部分とで構成される第2のアセンブリを形成し、第2の部分は第1の部分から所定離間距離だけ離間し、第2のアセンブリは、(中心)長手方向軸と、バッキングチューブの第2の部分の湿潤した外径面と第2の中空円筒状ターゲット本体の湿潤した内径面との間に形成された第2の間隙とを有し、第2の間隙は、第2のアセンブリの長手方向中心軸の周囲に画定され、第2のアセンブリは、第2のアセンブリの第1の端部と第2の端部とにそれぞれ配置されたその第2の間隙への頂部開放端部アクセスと底部開放端部アクセスとを有し、第2のアセンブリの第1の端部及び第2の端部は、互いに対向している、ステップ。
【0132】
任意選択で、バッキングチューブは、その長手方向軸が水平面に垂直な基準軸から、0°〜+/−5°の間、好ましくは0°〜+/−2°の間の角度だけずれるように配置される。
− 1つ(又はそれ以上)の誘導加熱器の内径の内側に第2のアセンブリを配置するステップ。
− 1つ(又はそれ以上)の誘導加熱器を用いて、第2のアセンブリの第2の中空円筒状ターゲット本体、又は第2の中空円筒状ターゲット本体及びバッキングチューブの少なくとも第2の部分を、第2の温度で予熱するステップであって、第2の温度は、第2の間隙を充填するように、頂部開放端部アクセスを通じて第2の間隙に注入されるはんだ材料を溶融相下に維持するのに十分に保たれており、第2の温度は、好ましくは180℃以上かつ任意選択で250℃未満、より好ましくは190℃以上かつ任意選択で200℃未満である。
− 第2のアセンブリの頂部開放端部アクセスを通じて、第2の中空円筒状ターゲット本体の湿潤した内径面とバッキングチューブの第2の部分の湿潤した外径面との間の第2の間隙を、溶融したインジウム系材料など溶融相下にあるはんだ材料で充填するステップ。
− 1つ(又はそれ以上の)誘導加熱器を用いて、第2の軸方向温度勾配が、第2のアセンブリの底部開放端部から頂部開放端部まで生成されるように、第2の中空円筒状ターゲット本体、又は第2の中空円筒状ターゲット本体及びバッキングチューブの第2の部分を、第2のアセンブリの長手方向軸に沿って加熱するステップであって、第2の軸方向温度勾配は正の勾配であり、この第2の軸方向温度勾配は、長手方向に配向され、第2のアセンブリの底部端部アクセスから頂部端部アクセスまで画定された方向に沿って変位し、それによって第2の間隙内のはんだ材料の冷却を底部開放端部アクセスから頂部開放端部アクセスに誘導し、バッキングチューブにボンディングされた少なくとも2つの円筒状中空ターゲット本体を有する回転スパッタリングターゲットを形成するように、第2の中空円筒状ターゲット本体の内径面とバッキングチューブの第2の部分の外径面との間に、底部開放端部アクセスから頂部開放端部アクセスまで接着を生成する、ステップ。
【0133】
第2の軸方向温度勾配は正であり、これは、温度値が、底部開放アクセス(底部高さ)から頂部開放端部アクセス(頂部高さ)へ増加することを意味する。
【0134】
第2の正の軸方向勾配は長手方向に配向されており、これは、温度値が、第2のアセンブリの長手方向軸に平行な方向において、底部開放アクセスから頂部開放端部アクセスへ増加することを意味する。
【0135】
任意選択で、第2の軸方向温度勾配は、例えば、第2のアセンブリの底部高さで(又は第2の本体の底縁部で)測定された温度が、25℃〜150℃、好ましくは25℃〜100℃、より好ましくは25℃〜75℃、最も好ましくは25℃〜50℃に含まれるように設計される。
【0136】
あるいは、第2のアセンブリの底部高さの温度は、例えば、ターゲット本体の外径面の第1の画定領域内で、又は第2の本体の底縁部で測定される。
【0137】
第2のアセンブリの頂部高さで測定される温度は、180℃〜250℃、好ましくは190℃〜200℃に含まれる。同様に、第2のアセンブリの頂部高さ(又は第2の本体の頂縁部)での温度は、任意選択で、ターゲット本体の外径面の第2の画定領域内で、又は第2の本体の頂縁部で測定される。
【0138】
この実施形態において、第2のターゲット本体をバッキングチューブの第2の部分とボンディングする機構は、本発明による第1のプロセスに関して実施形態1で説明したものと、類推上、類似しており、以下に更に説明される。
【0139】
加熱ステップ中に1つ(又はそれ以上)の誘導加熱器の動作周波数及び電力を適切に変調することによって、長手方向に配向された第2の軸方向温度勾配が第2のアセンブリの底部開放端部から頂部開放端部まで生成されるように、底部開放端部アクセスと頂部開放端部アクセスとの間の温度プロファイルを調整することができ、1つ(又はそれ以上)の誘導加熱器を更に適切に操作することによって、第2の軸方向温度勾配は、底部開放アクセス端部から頂部開放アクセス端部に(漸進的に)シフト又は変位され、それによって、構成要素、すなわち、ターゲット本体+バッキングチューブの第2の部分の(漸進的な)冷却を誘導する。
【0140】
例えば、適切な電力及び周波数で1つの誘導加熱器を使用することによって、また誘導加熱器を第2のアセンブリの長手方向軸に沿って底端部から頂端部まで画定された方向に適切な速度で変位させることによって、第2の軸方向の正の温度勾配の変位又はシフトを確実にすることができ、それによって、構成要素、すなわち、第2のターゲット本体+バッキングチューブの第2の部分の(漸進的な)冷却を誘導するようにする。
【0141】
あるいは、連続した数個の誘導加熱器を使用して、少なくとも2つの誘導加熱器で構成される構造体を形成することができ、この誘導加熱器構造体の内径内に第2のアセンブリを完全に取り囲むようにし、各誘導加熱器を独立して変調することによって、第2の軸方向温度勾配のシフト又は変位を得て、それによって、構成要素、すなわち、第2のターゲット本体+バッキングチューブの第2の部分の(漸進的な)冷却を誘導するようにする。
【0142】
第2の軸方向温度勾配に第2の半径方向温度勾配を関連付けることができる。この第2の半径方向温度勾配は、円筒状中空ターゲット本体の外径面からバッキングチューブの好ましくは中心にある長手方向軸に(バッキングチューブの内径面に)配向された負の勾配である。
【0143】
第2の軸方向及び半径方向の勾配の組み合わせにより、第2のアセンブリの長手方向軸に沿って第2のアセンブリを横切る第2の長手方向勾配部分が生成されることになり、この第2の長手方向勾配部分は、1つ(又はそれ以上)の誘導加熱器の所定の長さ以上の長さを有し、第2の長手方向勾配部分の幅は、第2の半径方向勾配の所定の貫通深さの長さに対応する。
【0144】
第2の半径方向勾配が第2の軸方向勾配と同時に存在する場合、加熱ステップ中、第2のアセンブリの底端部から頂端部までシフト/変位されるのは第2の長手方向勾配部分であり、第2の間隙内のはんだ材料の冷却を、底部開放端部アクセスから頂部開放端部アクセスまで、かつバッキングチューブの第2の部分の外径面から第2の中空円筒状ターゲット本体の内径面まで誘導するようにし、それによって第2の中空円筒状ターゲット本体の内径面とバッキングチューブの第2の部分の外径面との間に底部開放端部アクセスから頂部開放端部アクセスまでの接着を生成して、回転スパッタリングターゲットを形成するようにする。
【0145】
実施形態7:以下の追加ステップを含む、回転スパッタリングターゲットを形成する第1のプロセス。
− 保護フィルム又はラップなどの第2の保護材料を用いて、好ましくは、取り外し可能かつ非粘着性のフィルム又はラップを用いて、より好ましくは、ポリイミド系フィルム又はポリイミド系ラップを用いて、第2の中空円筒状ターゲット本体の外径面を、少なくとも部分的に、好ましくは完全に覆うステップであって、第2の保護材料は、好ましくは自己粘着性であり、第2の中空円筒状ターゲットの外径面に、好ましくは保持手段によって、取り外し可能に結合され、第2の中空円筒状ターゲットの外径面を少なくとも部分的に覆うステップは、第2の間隙をはんだ材料で充填するステップの前に行われ、好ましくは、第2の中空円筒状ターゲット本体の外径面を少なくとも部分的に覆うステップは、第2の中空円筒状ターゲット本体の内径面をはんだ材料で被覆するステップの前に行われる、ステップ。
【0146】
実施形態8:予熱ステップ中及び/又は加熱ステップ中、バッキングチューブはその長手方向軸に沿って回転及び/又は振動される、実施形態6又は7による回転スパッタリングターゲットを形成する第1のプロセス。
【0147】
実施形態9:第2の間隙をはんだ材料で充填するステップの前に、第2のアセンブリの底部開放端部アクセスを、シール、好ましくはゴムシールなどのカバー手段で覆うステップを含む、回転スパッタリングターゲットを形成する第1のプロセス。
【0148】
実施形態10:加熱ステップの後で、第2のアセンブリの底部開放端部からカバー手段を取り外すステップを含む、実施形態9による回転スパッタリングターゲットを形成する第1のプロセス。
【0149】
実施形態11:バッキングチューブにボンディングされた少なくとも3個のターゲット本体、好ましくはバッキングチューブにボンディングされた3〜5個のターゲット本体を呈する回転スパッタリングターゲットを形成するように、実施形態6〜10のステップのいずれかを繰り返す、回転ターゲットを形成する第1のプロセス。
【0150】
実施形態12:ガリウムアルミニウム亜鉛酸化物(GAZO)、ガリウムインジウムスズ酸化物(GITO)、インジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、ドープSnO
2、アンチモンスズ酸化物(ATO)、ITO、AZO、シリコン、及びBドープシリコンからなる群から選択された導電性材料を含む第1及び/又は第2の円筒状中空ターゲット本体を選択するステップを含む、回転ターゲットを形成する第1のプロセス。
【0151】
実施形態13:モリブデン、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、及び銅、又はこれらの材料の任意の合金からなる群から選択された電気伝導性材料を含むか、好ましくはその材料で構成されるバッキングチューブを選択するステップを含む、回転ターゲットを形成する第1のプロセス。
【0152】
実施形態14:チタン又は任意のチタン合金で構成されるバッキングチューブを選択するステップを含む、回転ターゲットを形成する第1のプロセス。
【0153】
実施形態15:以下のステップを含む、回転ターゲットを形成する第1のプロセス。
− 第1の(及び好ましくは少なくとも第2の)湿潤した中空円筒状ターゲット本体を提供するステップであって、これらの中空円筒状ターゲット本体は、内径と、内径面と、外径と、外径面とを有し、第1及び第2の中空円筒状ターゲット本体は、電気伝導性材料を含むか又は電気伝導性材料からなり、それによって電気伝導体であり、湿潤した中空円筒状ターゲット本体は、インジウム系材料などのはんだ材料で、少なくとも部分的に、好ましくは完全に被覆された内径面を有する、ステップ。
− 熱伝導性(かつ好ましくは電気伝導性)材料ベースの湿潤バッキングチューブを提供するステップであって、バッキングチューブは、外径と、インジウム系材料などのはんだ材料で、少なくとも部分的に、好ましくは完全に被覆された外径面とを呈する、ステップであって
第1の(及び好ましくは第2の)円筒状中空ターゲット本体の湿潤した内径面を形成するステップ及びバッキングチューブの湿潤した外径面を形成するステップは省略される。
【0154】
第2の態様から見て、本発明は、以下の第2のプロセス(又は方法)の実施形態を更に提供することができる。
【0155】
実施形態16:以下のステップを含む、回転スパッタリングターゲットを形成する第2のプロセス。
− 熱伝導性(かつ好ましくは電気伝導性)材料ベースのバッキングチューブを提供するステップであって、バッキングチューブは、外径と、バッキングチューブの(中心)長手方向軸の周囲に画定された外径面とを呈する、ステップ。
− 第1の中空円筒状ターゲット本体を提供するステップであって、第1の中空円筒状ターゲット本体は、内径と、外径と、内径面及び外径面が周囲に画定された(中心)長手方向軸とを有し、第1の中空円筒状ターゲット本体は、低電気伝導性材料を含み、それによって低電気伝導体である、ステップ。
− 内径及び内径面を有する1つ(又はそれ以上)の誘導加熱器を提供するステップ。
− 第1の円筒状中空ターゲット本体の湿潤した内径面を形成するように、第1の中空円筒状ターゲット本体の内径面を、インジウム系材料などのはんだ材料で、少なくとも部分的に、好ましくは完全に被覆するステップ。
− バッキングチューブの湿潤した外径面を形成するように、バッキングチューブの外径面を、インジウム系材料などのはんだ材料で、少なくとも部分的に、好ましくは完全に被覆するステップ。
− 第1の円筒状ターゲット本体の長手方向軸がバッキングチューブの長手方向軸に(実質的に)平行になるように、バッキングチューブを第1の中空円筒状ターゲット本体の内径内に垂直かつ同軸に配置するステップと、それによって外径面が(はんだ材料によって)湿潤した状態のバッキングチューブの第1の部分と、(はんだ材料によって)湿潤された内径面を有する第1の中空円筒状ターゲット本体とで構成される第1のアセンブリを形成するステップであって、この第1のアセンブリは、(中心)長手方向軸を有し、バッキングチューブの第1の部分の湿潤した外径面と第1の中空円筒状ターゲット本体の湿潤した内径面との間に形成された第1の間隙を呈し、この第1の間隙は、長手方向軸の周囲に画定され、この第1のアセンブリは、第1のアセンブリの第1の端部と第2の端部とにそれぞれ配置された、その第1の中間間隙への頂部開放端部アクセスと底部開放端部アクセスとを有し、第1のアセンブリの第1の端部及び第2の端部は、互いに対向している、ステップ。任意選択で、バッキングチューブは、その長手方向軸が水平面に垂直な基準軸から、0°〜+/−5°の間、好ましくは0℃〜+/−2°の間の角度だけずれるように配置される。
− 電気伝導性フィルム又は電気伝導性ラップなどの第1の電気伝導性材料を用いて、好ましくは、取り外し可能かつ非粘着性の導電性フィルム又はラップを用いて、より好ましくは、炭素系電気伝導性フィルム又は炭素系電気伝導性ラップを用いて、第1の中空円筒状ターゲット本体の外径面を、少なくとも部分的に、好ましくは完全に覆うステップであって、第1の電気伝導性材料は、保持手段によって第1の中空円筒状ターゲット本体の外径面に取り外し可能に結合されているか、又は第1の電気伝導性材料は、第1の中空円筒状ターゲット本体の外径面に対して自己粘着性である、ステップ。
− 第1の電気伝導性材料が第1の中空円筒状ターゲット本体の外径面と誘導加熱器の内径面との間に配置されるように、誘導加熱器の内径の内側に第1のアセンブリを配置するステップ。
− 1つ(又はそれ以上の)誘導加熱器を用いて、第1の電気伝導性材料の存在を介して、第1の中空円筒状ターゲット本体、又は第1の中空円筒状ターゲット本体及びバッキングチューブの第1の部分を、第1の温度で予熱するステップであって、第1の温度は、第1の間隙を充填するように第1の間隙に注入されるはんだ材料を溶融相下に維持するのに十分に保たれており、第1の温度は、好ましくは180℃以上、より好ましくは190℃以上である、ステップ。
− 第1のアセンブリの頂部開放端部アクセスを通じて、第1の中空円筒状ターゲット本体の湿潤した内径面とバッキングチューブの第1の部分の湿潤した外径面との間の第1の間隙を、溶融したインジウム系材料など溶融相下にあるはんだ材料で充填するステップ。
− 1つ(又はそれ以上)の誘導加熱器を用いて、第1の電気伝導性材料の存在を介して、第1の軸方向温度勾配が第1のアセンブリの底部開放端部から頂部開放端部まで生成されるように、第1の中空円筒状ターゲット本体、又は第1の中空円筒状ターゲット本体及びバッキングチューブの第1の部分を、第1のアセンブリの長手方向軸に沿って加熱するステップであって、第1の軸方向温度勾配は長手方向に配向された正の勾配であり、第1のアセンブリの底端部アクセスと頂端部アクセスの間に画定された方向に変位/シフトし、それによって第1の間隙内のはんだ材料の冷却を底部開放端部アクセスから頂部開放端部アクセスに誘導し、回転スパッタリングターゲットを形成するように、第1の中空円筒状ターゲット本体の内径面とバッキングチューブの第1の部分の外径面との間に、底部開放端部アクセスから頂部開放端部アクセスまで接着を生成する、ステップ。
【0156】
この実施形態において、第1のターゲット本体をバッキングチューブの第1の部分とボンディングする機構は、本発明による第1のプロセスに関して実施形態1で説明したものと、類推上、類似しており、以下に詳述される。
【0157】
第1の軸方向温度勾配は正であり、これは、温度値が、第1のアセンブリの底部開放アクセス(底部高さ)から頂部開放端部アクセス(頂部高さ)へ増加することを意味する。
【0158】
第1の正の軸方向勾配は長手方向に配向されており、これは、温度値が、第1のアセンブリの長手方向軸に平行な方向において、底部開放アクセスから頂部開放端部アクセスへ増加することを意味する。
【0159】
任意選択で、第1の軸方向温度勾配は、例えば、第1のアセンブリの底部高さで測定された温度が、25℃〜150℃、好ましくは25℃〜100℃、より好ましくは25℃〜75℃、最も好ましくは25℃〜50℃に含まれるように設計される。任意選択で、第1のアセンブリの底部高さの温度は、例えば、ターゲット本体の外径面の第1の画定領域、又はターゲット本体の底縁部において測定される。
【0160】
第1のアセンブリの頂部高さで測定される温度は、180℃〜250℃、好ましくは190℃〜200℃に含まれる。同様に、第1のアセンブリの頂部高さの温度は、任意選択で、ターゲット本体の外径面の第2の画定領域、又はターゲット本体の頂縁部において測定される。
【0161】
加熱ステップ中に1つ(又はそれ以上)の誘導加熱器の動作周波数及び電力を適切に変調することによって、長手方向に配向された第1の軸方向温度勾配が第1のアセンブリの底部開放端部から頂部開放端部まで生成されるように、底部開放端部アクセスと頂部開放端部アクセスとの間の温度プロファイルを調整することができ、1つ(又はそれ以上)の誘導加熱器を更に適切に操作することによって、第1の軸方向温度勾配は、底部開放アクセス端部から頂部開放アクセス端部に(漸進的に)シフト又は変位され、それによって、構成要素、すなわち、ターゲット本体+バッキングチューブの第1の部分の(漸進的な)冷却を誘導する。
【0162】
例えば、適切な電力及び周波数で1つの誘導加熱器を使用することによって、また誘導加熱器を第1のアセンブリの長手方向軸に沿って底端部から頂端部まで画定された方向に適切な速度で変位させることによって、第1の軸方向の正の温度勾配の変位又はシフトを確実にすることができ、それによって、構成要素、すなわち、ターゲット本体+バッキングチューブの第1の部分の(漸進的な)冷却を誘導するようにする。
【0163】
あるいは、連続した数個の誘導加熱器を使用して、少なくとも2つの誘導加熱器で構成される構造体を形成することができ、この誘導加熱器構造体の内径内に第1のアセンブリを完全に取り囲むようにし、各誘導加熱器を独立して変調することによって、第1の軸方向温度勾配のシフト又は変位を得て、それによって、構成要素、すなわち、ターゲット本体+バッキングチューブの第1の部分の(漸進的な)冷却を誘導するようにする。
【0164】
第1の軸方向温度勾配に第1の半径方向温度勾配を関連付けることができる。この第1の半径方向温度勾配は、円筒状中空ターゲット本体の外径面からバッキングチューブの好ましくは中心にある長手方向軸に(バッキングチューブの内径面に)配向された負の勾配である。
【0165】
第1の軸方向及び半径方向の勾配の組み合わせにより、第1のアセンブリの長手方向軸に沿って第1のアセンブリを横切る第1の長手方向勾配部分が生成されることになり、この第1の長手方向勾配部分は、1つ(又はそれ以上)の誘導加熱器の所定の長さ以上の長さを有し、第1の長手方向勾配部分の幅は、第1の半径方向勾配の所定の貫通深さの長さに対応する。
【0166】
第1の半径方向勾配が第1の軸方向勾配と同時に存在する場合、加熱ステップ中、第1のアセンブリの底端部から頂端部までシフト/変位されるのは第1の長手方向勾配部分であり、第1の間隙内のはんだ材料の冷却を、底部開放端部アクセスから頂部開放端部アクセスまで、かつバッキングチューブの第1の部分の外径面から第1の中空円筒状ターゲット本体の内径面まで誘導するようにし、それによって第1の中空円筒状ターゲット本体の内径面とバッキングチューブの第1の部分の外径面との間に底部開放端部アクセスから頂部開放端部アクセスまでの接着を生成して、回転スパッタリングターゲットを形成するようにする。
【0167】
この実施形態の構成では、軸方向及び半径方向の第1の勾配は、1つ(又はそれ以上)の誘導加熱器の適切な周波数/電力の適用及び1つ(又はそれ以上)の誘導加熱器によって放出された放射を熱に変換する第1の電気伝導性材料の存在によって規定される。
【0168】
実施形態17:第1の中空円筒状ターゲット本体の外径面を第1の電気伝導性材料で覆うステップの前に、以下の追加のステップを含む、回転スパッタリングターゲットを形成する第2のプロセス方法。
− 保護フィルム又は保護ラップなどの第1の保護材料を用いて、好ましくは、取り外し可能かつ非粘着性のフィルム又はラップを用いて、より好ましくは、ポリイミド系フィルム又はポリイミド系ラップを用いて、第1の中空円筒状ターゲット本体の外径面を、少なくとも部分的に、好ましくは完全に覆うステップであって、第1の保護材料は、第1の中空円筒状ターゲット本体の外径面に保持手段によって取り外し可能に結合されるか、又は、第1の保護材料は、第1の中空円筒状ターゲット本体の外径面に対して自己粘着性であり、第1の中空円筒状ターゲットの外径面を少なくとも部分的に覆うステップは、第1の間隙をはんだ材料で充填するステップの前に行われ、好ましくは、第1の中空円筒状ターゲット本体の外径面を少なくとも部分的に覆うステップは、第1の中空円筒状ターゲット本体の内径面をはんだ材料で被覆するステップの前に行われる、ステップ。
【0169】
実施形態18:予熱ステップ中及び/又は加熱ステップ中、バッキングチューブはその長手方向軸に沿って回転及び/又は振動される、実施形態16又は17による回転スパッタリングターゲットを形成する第2のプロセス。
【0170】
実施形態19:第1の間隙を溶融はんだ材料で充填するステップの前に、第1のアセンブリの底部開放端部アクセスを、シール、好ましくはゴムシールなどのカバー手段で覆うステップを含む、実施形態16〜18のいずれかによる回転スパッタリングターゲットを形成する第2のプロセス。
【0171】
実施形態20:加熱ステップの後で、第1のアセンブリの底部開放端部からカバー手段を取り外すステップを含む、実施形態19による、回転スパッタリングターゲットを形成する第2のプロセス。
【0172】
実施形態21:加熱ステップの後で、第1の導電性材料を取り外すステップに続いて、好ましくは、第1の保護材料を取り外すステップを含む、実施形態16〜20のいずれかによる回転スパッタリングターゲットを形成する第2のプロセス。
【0173】
実施形態22:以下のステップを含む、実施形態16〜21のいずれかによる回転スパッタリングターゲットを形成する第2のプロセス。
− 少なくとも第2の中空円筒状ターゲット本体を提供するステップであって、第2の中空円筒状ターゲット本体は、(中心)長手方向軸と、内径と、内径面と、外径と、外径面とを有し、内径面及び外径面は、第2の中空円筒状ターゲット本体の長手方向軸の周りに画定され、第2の中空円筒状ターゲット本体は、低電気伝導性材料からなるか又は低電気伝導性材料を含むステップ。
− 第2の中空円筒状ターゲット本体の湿潤した内径面を形成するように、第2の中空円筒状ターゲット本体の内径面を、インジウム系材料などのはんだ材料で、少なくとも部分的に、好ましくは完全に被覆するステップ。
− 第2の円筒状ターゲット本体の長手方向軸がバッキングチューブの長手方向軸に(実質的に)平行になるように、第1の中空円筒状ターゲットがボンディングされたバッキングチューブを、第2の中空円筒状ターゲット本体の内径内に垂直かつ同軸に配置し続ける又は配置するステップであって、それによって内径面が(はんだ材料によって)湿潤した第2の中空円筒状ターゲット本体と、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、はんだ材料で被覆された湿潤した外径面を有するバッキングチューブの第2の部分とで構成される第2のアセンブリを形成し、第2の部分は第1の部分から所定離間距離だけ離間し、第2のアセンブリは、(中心)長手方向軸と、バッキングチューブの第2の部分の湿潤した外径面と第2の中空円筒状ターゲット本体の湿潤した内径面との間に形成された第2の間隙とを有し、第2の間隙は、長手方向(中心)軸の周囲に画定され、第2のアセンブリは、第2のアセンブリの第1の端部と第2の端部とにそれぞれ配置されたその第2の間隙への頂部開放端部アクセスと底部開放端部アクセスとを有し、第2のアセンブリの第1の端部及び第2の端部は、互いに対向している、ステップ。任意選択で、バッキングチューブは、その長手方向軸が水平面に垂直な基準軸から、0°〜+/−5°の間、好ましくは0℃〜+/−2°の間の角度だけずれるように配置される。
− 電気伝導性フィルム又は電気伝導性ラップなどの第2の電気伝導性材料を用いて、好ましくは、取り外し可能かつ非粘着性の導電性フィルム又はラップを用いて、より好ましくは、炭素系電気伝導性フィルム又は炭素系電気伝導性ラップを用いて、第2の中空円筒状ターゲット本体の外径面を、少なくとも部分的に、好ましくは完全に覆うステップであって、第2の電気伝導性材料は、保持手段によって外径面に取り外し可能に結合されているか、又は第2の電気伝導性材料は、第2の中空円筒状ターゲット本体の外径面に対して自己粘着性である、ステップ。
− 第2の電気伝導性材料が第2の中空円筒状ターゲット本体の外径面と誘導加熱器の内径面との間に配置されるように、誘導加熱器の内径の内側に第2のアセンブリを配置するステップ。
− 誘導加熱器を用いて、第2の電気伝導性材料の存在を介して、第2の中空円筒状ターゲット本体、又は第2の中空円筒状ターゲット本体及びバッキングチューブの第2の部分を、第2の温度で予熱するステップであって、第2の温度は、第2の間隙を充填するように第2の間隙に注入されるはんだ材料を溶融相下に維持するのに十分に保たれており、第2の温度は、好ましくは180℃以上、より好ましくは190℃以上である、ステップ。
− 第2のアセンブリの頂部開放端部アクセスを通じて、第2の中空円筒状ターゲット本体の湿潤した内径面とバッキングチューブの第2の部分の湿潤した外径面との間の第2の間隙を、溶融したインジウム系材料など溶融相下にあるはんだ材料で充填するステップ。
− 誘導加熱器を用いて、第2の電気伝導性材料の存在を介して、第2の軸方向温度勾配が第2のアセンブリの底部開放端部から頂部開放端部まで生成されるように、第2のアセンブリの第2の中空円筒状ターゲット本体、又は第2の中空円筒状ターゲット本体及びバッキングチューブの第2の部分を、第2のアセンブリの長手方向軸に沿って加熱するステップであって、第2の軸方向温度勾配は、第2のアセンブリの長手方向に配向され、底部端部アクセスから頂部端部アクセスに向けられた正の勾配であり、第2の軸方向勾配は、第2の間隙内のはんだ材料の冷却を、底部開放端部アクセスから頂部開放端部アクセスに誘導するように、底部開放端部アクセスから頂部開放端部アクセスまで長手方向に変位/シフトし、バッキングチューブにボンディングされた少なくとも2つの円筒状中空ターゲット本体を有する回転スパッタリングターゲットを形成するように、第2の中空円筒状ターゲット本体の内径面とバッキングチューブの第2の部分の外径面との間に、底部開放端部アクセスから頂部開放端部アクセスまで接着を生成する、ステップ。
【0174】
この実施形態において、第2のターゲット本体をバッキングチューブの第2の部分とボンディングする機構は、本発明による第1のプロセスに関して実施形態1で説明したものと、類推上、類似しており、以下に更に説明される。
【0175】
第2の軸方向温度勾配は正であり、これは、温度値が、底部開放アクセスから頂部開放端部アクセスへ増加することを意味する。
【0176】
第2の正の軸方向勾配は長手方向に配向されており、これは、温度値が、第2のアセンブリの長手方向軸に平行な方向において、底部開放アクセス(底部高さ)から頂部開放端部アクセス(頂部高さ)へ増加することを意味する。
【0177】
任意選択で、第2の軸方向温度勾配は、例えば、第2のアセンブリの底部高さで測定された温度が、25℃〜150℃、好ましくは25℃〜100℃、より好ましくは25℃〜75℃、最も好ましくは25℃〜50℃に含まれるように設計される。あるいは、第2のアセンブリの底部高さの温度は、例えば、ターゲット本体の外径面の第1の画定領域内で、又は第2のアセンブリ/第2の本体の底縁部で測定される。
【0178】
第2のアセンブリの頂部高さで測定される温度は、180℃〜250℃、好ましくは190℃〜200℃に含まれる。同様に、第2のアセンブリの頂部高さの温度は、任意選択で、ターゲット本体の外径面の第2の画定領域、又は第2のアセンブリ/第2の本体の頂縁部で測定される。
【0179】
この実施形態において、第2のターゲット本体をバッキングチューブの第2の部分とボンディングする機構は、本発明による第1のプロセスに関して実施形態1で説明したものと、類推上、類似しており、以下に更に説明される。
【0180】
加熱ステップ中に1つ(又はそれ以上)の誘導加熱器の動作周波数及び電力を適切に変調することによって、長手方向に配向された第2の軸方向温度勾配が第2のアセンブリの底部開放端部から頂部開放端部まで生成されるように、底部開放端部アクセスと頂部開放端部アクセスとの間の温度プロファイルを調整することができ、1つ(又はそれ以上)の誘導加熱器を更に適切に操作することによって、第1の軸方向温度勾配は、底部開放アクセス端部から頂部開放アクセス端部に(漸進的に)シフト又は変位され、それによって、構成要素、すなわち、ターゲット本体+バッキングチューブの第2の部分の(漸進的な)冷却を誘導する。
【0181】
例えば、適切な電力及び周波数で1つの誘導加熱器を使用することによって、また誘導加熱器を第2のアセンブリの長手方向軸に沿って底端部から頂端部まで画定された方向に適切な速度で変位させることによって、第2の軸方向の正の温度勾配の変位又はシフトを確実にすることができ、それによって、構成要素、すなわち、ターゲット本体+バッキングチューブの第2の部分の(漸進的な)冷却を誘導するようにする。
【0182】
あるいは、連続した数個の誘導加熱器を使用して、少なくとも2つの誘導加熱器で構成される構造体を形成することができ、この誘導加熱器構造体の内径内に第2のアセンブリを完全に取り囲むようにし、各誘導加熱器を独立して変調することによって、第2の軸方向温度勾配のシフト又は変位を得て、それによって、構成要素、すなわち、ターゲット本体+バッキングチューブの第2の部分の(漸進的な)冷却を誘導するようにする。
【0183】
第2の軸方向温度勾配に第2の半径方向温度勾配を関連付けることができる。この第2の半径方向温度勾配は、円筒状中空ターゲット本体の外径面からバッキングチューブの好ましくは中心にある長手方向軸に(バッキングチューブの内径面に)配向された負の勾配である。
【0184】
第2の軸方向及び半径方向の勾配の組み合わせにより、第2のアセンブリの長手方向軸に沿って第2のアセンブリを横切る第2の長手方向勾配部分が生成されることになり、この第2の長手方向勾配部分は、1つ(又はそれ以上)の誘導加熱器の所定の長さ以上の長さを有し、第2の長手方向勾配部分の幅は、第2の半径方向勾配の所定の貫通深さの長さに対応する。
【0185】
第2の半径方向勾配が第2の軸方向勾配と同時に存在する場合、加熱ステップ中、第2のアセンブリの底端部アクセスから頂端部アクセスまでシフト/変位されるのは第2の長手方向勾配部分であり、第2の間隙内のはんだ材料の冷却を、底部開放端部アクセスから頂部開放端部アクセスまで、かつバッキングチューブの第2の部分の外径面から第2の中空円筒状ターゲット本体の内径面まで誘導するようにし、それによって第2の中空円筒状ターゲット本体の内径面とバッキングチューブの第2の部分の外径面との間に底部開放端部アクセスから頂部開放端部アクセスまでの接着を生成して、回転スパッタリングターゲットを形成するようにする。
【0186】
この実施形態の構成では、軸方向及び半径方向の第1の勾配は、1つ(又はそれ以上)の誘導加熱器の適切な周波数/電力の適用及び1つ(又はそれ以上)の誘導加熱器によって放出された放射を熱に変換する第1の電気伝導性材料の存在によって規定される。
【0187】
実施形態23:第2の中空円筒状ターゲット本体の外径面を第2の電気伝導性材料で覆うステップの前に、以下の追加のステップを含む、実施形態22による回転スパッタリングターゲットを形成する第2のプロセス。
− 保護フィルム又はラップなどの第2の保護材料を用いて、好ましくは、取り外し可能かつ非粘着性のフィルム又はラップを用いて、より好ましくは、ポリイミド系フィルム又はポリイミド系ラップを用いて、第2の中空円筒状ターゲット本体の外径面を、少なくとも部分的に、好ましくは完全に覆うステップであって、第2の保護材料は、外径面に保持手段によって取り外し可能に結合されるか、又は、第2の保護材料は、第2の中空円筒状ターゲット本体の外径面に対して自己粘着性であり、第2の中空円筒状ターゲットの外径面を少なくとも部分的に覆うステップは、第2の間隙をはんだ材料で充填するステップの前に行われ、好ましくは、第2の中空円筒状ターゲット本体の外径面を少なくとも部分的に覆うステップは、第2の中空円筒状ターゲット本体の内径面をはんだ材料で被覆するステップの前に行われる、ステップ。
【0188】
実施形態24:予熱ステップ中及び/又は加熱ステップ中、バッキングチューブはその長手方向軸に沿って回転及び/又は振動される、実施形態22又は23による回転スパッタリングターゲットを形成する第2のプロセス。
【0189】
実施形態25:第2の間隙をはんだ材料で充填するステップの前に、第2のアセンブリの底部開放端部アクセスを、シール、好ましくはゴムシールなどのカバー手段で覆うステップを含む、実施形態22〜24のいずれかによる回転スパッタリングターゲットを形成する第2のプロセス。
好ましくは、この実施形態では、加熱ステップの後で、第2のアセンブリの底部開放端部アクセスからカバー手段を取り外すステップを含む。
【0190】
実施形態26:加熱ステップの後で、第2の導電性材料を取り外すステップに続いて、好ましくは、第2の保護材料を取り外すステップを含む、回転スパッタリングターゲットを形成する第2のプロセス。
【0191】
実施形態27:バッキングチューブにボンディングされた少なくとも3個のターゲット本体、好ましくはバッキングチューブにボンディングされた3〜5個のターゲット本体を呈する回転スパッタリングターゲットを形成するように、実施形態22〜26のステップのいずれかを繰り返す、実施形態22〜26のいずれかによる回転ターゲットを形成する第2のプロセス。
【0192】
実施形態28:低アルミナAZO、ドープ又はアンドープLi
3PO
4、アンドープシリコン、ZnO、及びリチウム含有遷移金属酸化物からなる群から選択される低導電性材料を含む第1及び/又は第2の円筒状中空ターゲット本体を選択するステップを含む、回転ターゲットを形成する第2のプロセス。
【0193】
実施形態29:リチウム含有遷移金属酸化物は、一般式LiMO
2又はLiMM’O
2を有するように選択され、Mは、Ni、Co、Mn、Ti、Al、V、Cr、Y、Sr、Ca、Zr、Zn、Si、Mg、Ga、W、Fe、Cu、La、又は少なくとも1つのこれらの組み合わせからなる群から選択される遷移金属であり、M’は、Ti、Al、V、Cr、Y、Sr、Ca、Zr、Zn、Si、Mg、Ga、W、Fe、Cu、La、又は少なくとも1つのこれらの組み合わせからなる群から選択されるドーパントである、回転ターゲットを形成する第2のプロセス。
【0194】
実施形態30:LiMO
2又はLiMM’O
2リチウム含有遷移金属酸化物は、Li/M又はLi/(M+M’)原子比が、0.90以上かつ1.25以下、好ましくは0.98以上かつ1.05以下を有するように選択される、回転ターゲットを形成する第2のプロセス。
【0195】
実施形態31:LiMM’O
2リチウム含有遷移金属酸化物は、M’/M原子比が、0.001以上かつ0.05以下を有するように選択される、回転ターゲットを形成する第2のプロセス。
【0196】
実施形態32:LiMO
2リチウム含有遷移金属酸化物は、一般式LiCoO
2を有するように選択される、回転ターゲットを形成する第2のプロセス。
【0197】
実施形態33:LiCoO
2の式は、Li/Co比が、1.0+/−0.50に等しくなるように選択される、回転ターゲットを形成する第2のプロセス。
【0198】
実施形態34:モリブデン、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、及び銅又はこれらの材料の任意の合金からなる群から選択された電気伝導性材料を含むか、好ましくはその材料で構成されるバッキングチューブを選択するステップを含む、回転ターゲットを形成する第2のプロセス。
【0199】
実施形態35:以下のステップを含む、回転ターゲットを形成する第2のプロセス。
− 第1の(及び任意選択で少なくとも第2の)湿潤した中空円筒状ターゲット本体を提供するステップであって、これらの中空円筒状ターゲット本体は、内径と、内径面と、外径と、外径面とを有し、第1及び第2の中空円筒状ターゲット本体は、低電気伝導性材料を含むか又は低電気伝導性材料からなり、それによって低電気伝導体であり、湿潤した中空円筒状ターゲット本体は、インジウムベース材料などのはんだ材料で、少なくとも部分的に、好ましくは完全に被覆された内径面を有する、ステップ。
− 熱伝導性(かつ電気伝導性)材料ベースの湿潤バッキングチューブを提供するステップであって、バッキングチューブは、外径と、インジウム系材料などのはんだ材料で少なくとも部分的に、好ましくは完全に被覆された外径面とを呈する、ステップであって、第1の(及び場合により第2の)円筒状中空ターゲット本体の湿潤した内径面を形成するステップ及びバッキングチューブの湿潤した外径面を形成するステップは省略される。
【0200】
実施形態36:バッキングチューブの長手方向軸と第1及び/又は第2のターゲット本体の長手方向軸は、平行であり、任意選択で、長手方向軸は、割線であり、角度α(0<α<5°、好ましくはα=0°)を形成する、本発明による第2及び/又は第1のプロセス。
【0201】
実施形態37:第1及び/又は第2のアセンブリの長手方向軸が中心に位置するように、バッキングチューブの長手方向軸と第1及び/又は第2のターゲット本体の長手方向線は中心に位置し、一致する、本発明による第2及び/又は第1のプロセス。
【0202】
実施形態38:予熱ステップは、第1及び/又は第2のターゲット本体、又は第1及び/又は第2のアセンブリを、十分な所定の温度(好ましくは180℃〜190℃)で予熱するように行われ、それによって、予熱された第1及び/又は第2のターゲット本体及び/又は予熱されたバッキングチューブ(バッキングチューブの第1及び/又は第2の部分)によって生成される放射熱に起因して、溶融はんだ材料が第1及び/又は第2の間隙にそれぞれ注がれるときに溶融相に留まることが可能になる、本発明による第2及び/又は第1のプロセス。
【0203】
この実施形態の構成では、第2及び/又は第1のプロセスについて、「取り外し可能に結合された」という用語は、可逆性接合によって接続されたと理解されなければならない。
【0204】
実施形態39:予熱ステップは、150℃以上かつ250℃以下、好ましくは、180℃以上かつ200℃以下である第1及び/又は第2の予熱温度に達するように行われる、本発明による第2及び/又は第1のプロセス。
【0205】
実施形態40:バッキングチューブの第1(第2)の部分と第1(第2)の円筒状中空体ターゲットとの間に形成された第1及び/又は第2の間隙を充填するステップは、この間隙を、はんだ材料、好ましくはインジウム又はインジウム合金で過充填するステップにあり、溶融相下にあるはんだ材料体積は、間隙容積を最小で3%超過する、本発明による第2及び/又は第1のプロセス。
特に、間隙内に超過して注がれる溶融はんだ材料の体積V
mは0.03×V
Gに等しく、V
Gは間隙の容積である。
好ましくは、V
m=0.10×V
Gである。
より好ましくは、V
m=0.15×V
Gである。
任意選択で、好ましくは、V
m=ξ×V
Gであり、容積超過係数ξは0.03〜0.20、より好ましくは0.03〜0.15、最も好ましくは0.03〜0.10であり、最小値及び最大値をそれぞれ含む。
【0206】
実施形態41:加熱ステップは、1〜100kHz、好ましくは1〜20kHz(これらの値を含む)に含まれる動作可能周波数で行われる、本発明による第2及び/又は第1のプロセス。
【0207】
より好ましくは、周波数範囲は、6〜12kHz(これらの値を含む)である。
【0208】
任意選択で、誘導ボンディング法において使用される誘導発熱体は、1〜20kW、好ましくは1〜10kW(これらの値を含む)の出力レベルで動作するように配置される。
【0209】
より好ましくは、出力範囲は、1〜3kW若しくは2〜4kW、又は1〜4kW(これらの値を含む)である。
【0210】
本発明は、上記実施形態の態様に限定されるものではなく、多数の変更が、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、なされ得ることが理解される。