特許第6784695号(P6784695)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6784695
(24)【登録日】2020年10月27日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】缶の吹き付け塗装
(51)【国際特許分類】
   B05B 13/06 20060101AFI20201102BHJP
   B05B 13/02 20060101ALI20201102BHJP
   B05D 1/02 20060101ALI20201102BHJP
   B05D 1/40 20060101ALI20201102BHJP
   B05D 7/22 20060101ALI20201102BHJP
【FI】
   B05B13/06
   B05B13/02
   B05D1/02 Z
   B05D1/40 Z
   B05D7/22 R
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-554437(P2017-554437)
(86)(22)【出願日】2016年5月16日
(65)【公表番号】特表2018-516741(P2018-516741A)
(43)【公表日】2018年6月28日
(86)【国際出願番号】GB2016051401
(87)【国際公開番号】WO2016193663
(87)【国際公開日】20161208
【審査請求日】2019年3月4日
(31)【優先権主張番号】1509260.4
(32)【優先日】2015年5月29日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】506026106
【氏名又は名称】クラウン・パッケージング・テクノロジー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ウィルキンソン,アンドリュー ジョン
【審査官】 塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−536572(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/143134(WO,A1)
【文献】 特表2005−525236(JP,A)
【文献】 特開平03−188976(JP,A)
【文献】 特開平05−309296(JP,A)
【文献】 実開平05−080554(JP,U)
【文献】 中国実用新案第203253594(CN,U)
【文献】 特開2008−298683(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0235864(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B12/00−12/14
13/00−13/06
B05D 1/00−7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶体吹き付け機であって、該缶体吹き付け機が:
缶体回転装置;
缶体回転装置に設置された缶体の内部へコーティングを吹き付けるための吹き付け器;
缶体回転装置が正確な吹き付け位置にあるときに、吹き付け器をスイッチオンするように構成された制御装置;および
缶体回転装置に連結されたセンサであって、缶体回転装置が吹き付け開始後にあらかじめ規定された回転を受ける時間を決定し、その決定に応じて、吹き付け器の総吹き付け時間は、缶体回転装置がセンサによって決定される所望の回転数を達成するのに必要な時間に相当するように、吹き付け器をスイッチオフする、センサ、
を含むことを特徴とする、缶体吹き付け機。
【請求項2】
センサが、缶体回転装置へ機械的に、光学的にまたは電磁的に連結される、請求項1に記載の缶体吹き付け機。
【請求項3】
センサが、缶体回転装置へ光学的に連結され、光源と検出器とを含み、缶体回転装置の回転が、光源に向かう光の変調を引き起こす、請求項2に記載の缶体吹き付け機。
【請求項4】
前記光源および検出器が、実質的に同じ位置に配置され、検出器が、缶体回転装置から反射された光を検出する、請求項3に記載の缶体吹き付け機。
【請求項5】
前記光源がレーザを含む、請求項3または4に記載の缶体吹き付け機。
【請求項6】
缶体回転装置が、光源に向かって戻る光を変調するように構成された複数のインデックスホールを規定する、請求項3または4に記載の缶体吹き付け機。
【請求項7】
センサが、近接センサ、例えば電磁センサである、請求項1または2に記載の缶体吹き付け機。
【請求項8】
缶体回転装置が、缶体を設置するための真空チャックまたは電磁チャックを含む、請求項1から7のいずれかに記載の缶体吹き付け機。
【請求項9】
回転するインデックスタレットに設置された複数の前記缶体回転装置を含み、缶体回転装置を吹き付け器と順に整列してインデックスするように構成される、請求項1から8のいずれかに記載の缶体吹き付け機。
【請求項10】
前記制御装置が、機械的なタイミング機構を含む、請求項1から9のいずれかに記載の缶体吹き付け機。
【請求項11】
缶体の内部にコーティングを吹き付ける方法であって、該方法が:
缶体回転装置に缶体を設置する工程;
缶体回転装置および設置された缶体を、吹き付け器と整列させる工程;
吹き付け器を使用して吹き付けを開始する工程;
缶体回転装置が、吹き付け開始後にあらかじめ規定された回転を受ける時間を決定するために、缶体回転装置に連結されたセンサを使用する工程;および
そのような決定に応じて、吹き付け器の総吹き付け時間は、缶体回転装置がセンサによって決定される所望の回転数を達成するのに必要な時間に相当するように、吹き付け器をスイッチオフする工程、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項12】
センサが缶体回転装置へ機械的に、光学的に、または電磁的に連結される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
センサが缶体回転装置へ光学的に連結され、方法が、センサから缶体回転装置上に光を向ける工程、および缶体回転装置により引き起こされた光の変調を検出する工程を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
センサが缶体回転装置へ電磁的に連結され、方法が、缶体回転装置の回転により引き起こされた電磁場の変調を検出するためにセンサを使用する工程を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記変調が、缶体回転装置の上に、または周囲に設けられた複数のインデックスホール、開口部、または他の特徴により引き起こされる、請求項13または14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶の吹き付け塗装に関する。より具体的には、必ずではないが、本発明は缶体内部の吹き付け塗装に関する。
【背景技術】
【0002】
缶体が、一般的に「ラッカー」と称される内部保護コーティングを受けることは、良く知られている。このコーティングは、缶が充填されると、缶内容物と直接接触し、内容物と缶内部との間の相互作用を最小限にする。コーティングは、その貯蔵寿命の期間中、缶製造プロセスおよび缶のその後の使用の両方に耐えることが可能でなければならない。飲料缶および食缶のコーティングに関しては、非中毒性および非汚染性でなければならない。コーティングの最小の重量/厚さが通常、特定の法律に従うように、塗布されなければならない。
【0003】
典型的には、吹き付け塗装機は、缶生産ラインの一部を形成し、分当たり300−400缶を処理し得る。典型的には、缶は、2ピース缶または3ピース缶である。前者は、単一の金属円盤から打ち抜かれた缶体を含み、一体式の側壁および底部を有する。充填後、蓋が開口端部に継ぎ合わされる。3ピース缶は、金属板を円筒状に巻き、継ぎ目を溶接することにより形成される缶体を含む。底端部は、充填前に缶へ継ぎ合わされ、頂端部は、充填後に缶体へ継ぎ合わされる。3ピース缶は、底端部が缶体に取り付けられる前に、または後に、吹き付けされてもよい。以下の説明において、「缶体」への言及は、頂端部が取り付けられていない2ピース缶か、底端部が取り付けられているか、またはいない、頂端部が取り付けられていない3ピース缶体のいずれかを指す。
【0004】
吹き付けされていない缶体は、吹き付け機に供給され、吹き付けされていない缶体は、中央回転するインデックスタレット(central rotary indexing turret)の周囲に配置された、真空チャックとしても知られる多数の回転パッド(spinner pads)上に、真空吸引により保持される。吹き付けされている缶体がスチールである場合、それらは、回転パッド上の所定の位置へ、磁気的に保持されてもよい。内部カムを含むインデックスボックス(indexing box)は、インデックスタレットおよび随伴する回転パッドと、取り付けられた缶体とを、適切な時間で回転する吹き付けするための位置へ移動(インデックス(indexes))させる。回転パッドが、一旦所定の位置に位置すると、典型的にはモータ付き駆動ベルトを介して回転駆動が提供され、回転パッドが、缶体が1つ以上の吹き付け器によりラッカーで内部的に吹き付け塗装される間に、2000−2750rpm(毎分回転数)で取り付けられた缶体を順に回転させる。吹き付け中の回転は、缶体の内部表面全体に渡る均一なコーティングを確実にするために必要である。2400rpmで回転する缶体に対して、ラッカーの正確な量が均等に塗付されることを確実にするためには、缶体が完全に3回転することが適切であると考えられる。これは、缶体当たりの吹き付け時間が、約100ms(ミリ秒)であることを意味し、その時間は、インデックスボックスが回転するインデックスタレットの静止(「ドエル時間(dwell time)」として知られている)を維持する時間である。吹き付けが完了すると、インデクサ(indexer)は、吹き付けされた缶体を所定の位置から移動させ、そして次の吹き付けされていない缶体を、吹き付け器(単数または複数)の前の所定の位置に移動させる。それから、吹き付けされた缶体は、生産ラインの次の段階へと供給される。
【0005】
吹き付け塗装機は、並行して動作する1、2またはそれより多い吹き付け器を使用してもよい。例えば、2つの吹き付け器を利用する機械は、同時にインデックスタレット上の2つの連続する缶を吹き付けてもよい。タレットの各々のインデックスは、次の2つの缶を吹き付け器と整列させるためにタレットを回転させる。
【0006】
WO2014/147163で述べられたCarnaud Metalbox(登録商標)「3200」 spray machineなどの吹き付け機において、吹き付け窓は、インデックスボックスのインプットシャフトに設置された2つのタイミングフラグ(timing flags)およびセンサにより監視される。吹き付け器が回転する缶体に対してスイッチオンまたはスイッチオフするとき、センサは、ラッカー吹き付けシステムおよび制御装置につながれる。吹き付け窓は、インデックスボックスの動作プロファイルにより制御される。毎分350缶体の生産速度において、ドエル時間は100msである。これは、吹き付け器がスイッチオンするための8msと、缶を吹き付けするための84msと、吹き付け器がスイッチオフするための8msとに分けられ得る。正確な重量のラッカーが塗布されることを確実にするために、大きな許容範囲が、この時間が設定された吹き付け窓に組み込まれる。この結果、過剰な量のラッカーが吹き付けられることとなる。
【発明の概要】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、缶体吹き付け機であって、該缶体吹き付け機が、缶体回転装置と、缶体回転装置に設置された缶体の内部へコーティングを吹き付けするための吹き付け器と、缶体回転装置が正確な吹き付け位置にあるときに、吹き付け器をスイッチオンするように構成された制御装置とを含む、缶体吹き付け機が提供される。缶体回転装置に連結されたセンサは、缶体回転装置が吹き付け開始後にあらかじめ規定された回転を受ける時間を決定し、吹き付け器の総吹き付け時間は、缶体回転装置がセンサによって決定される所望の回転数を達成するのに必要な時間に相当するように、その決定に応じて吹き付け器をスイッチオフする。
【0008】
選択肢として、センサは缶体回転装置へ機械的に、光学的にまたは電磁的に連結されてもよい。
【0009】
センサが缶体回転装置へ光学的に連結される場合には、光源と検出器とを含んでもよく、缶体回転装置の回転は、光源に向かう光の変調を生じさせる。
【0010】
光源および検出器は、実質的に同じ位置に配置されてもよく、検出器は、缶体回転装置から反射された光を検出し得る。
【0011】
光源は、レーザを含んでもよい。
【0012】
缶体回転装置は、光源に向かって戻る光を変調するように構成された複数のインデックスホール(indexing holes)を規定してもよい。
【0013】
センサは、近接センサ、例えば電磁センサを含んでもよい。
【0014】
缶体回転装置は、缶体を設置するための、真空チャックまたは電磁チャックを含んでもよい。
【0015】
缶体吹き付け機は、回転するインデックスタレットに取り付けられた複数の缶体回転装置を含んでもよく、缶体回転装置を吹き付け器と順に整列してインデックスするように構成されてもよい。
【0016】
制御装置は、機械的なタイミング機構を含んでもよい。
【0017】
本発明の第2の態様によれば、缶体の内部にコーティングを吹き付けするための方法が提供され、該方法は:缶体回転装置に缶体を設置する工程;缶体回転装置および設置された缶体を、吹き付け器と整列させる工程;吹き付け器を使用して吹き付けを開始する工程;缶体回転装置が、吹き付け開始後にあらかじめ規定された回転を受ける時間を決定するために、缶体回転装置に連結されたセンサを使用する工程;および、そのような決定に応じて、吹き付け器の総吹き付け時間は、缶体回転装置がセンサによって決定される所望の回転数を達成するのに必要な時間に相当するように、吹き付け器をスイッチオフする工程、を含む。
【0018】
センサは缶体回転装置へ機械的に、光学的にまたは電磁的に連結されてもよい。
【0019】
センサが缶体回転装置へ光学的に連結される場合、この方法は、センサから缶体回転装置上へと光を向ける工程と、缶体回転装置により生じる光の変調を検出する工程とを含んでもよい。
【0020】
センサが缶体回転装置へ電磁的に連結される場合、この方法は、缶体回転装置の回転により生じる電磁場の変調を検出するためにセンサを使用する工程を含んでもよい。
【0021】
変調は、缶体回転装置の上に、または周囲に設けられた、複数のインデックスホール、開口部、または他の特徴により引き起こされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】従来の缶体吹き付け機の線図である。
図2】缶体吹き付けアセンブリの部分の斜視図である。
図3図2のアセンブリで使用するためのチャックプーリの斜視図である。
図4図2のアセンブリの断面図である。
図5a】既知の吹き付けアセンブリにおける、缶体ラップ(can body wraps)数の線図である。
図5b図2のアセンブリにおける、缶体ラップ数の線図である。
図6】吹き付け機を動作させる方法を例証するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、既知の缶体吹き付け機の線図である。この構成において、吹き付けされていない缶体(32)は、トラックウェイ(trackway)(30)を介して吹き付け器に入り、そこで、真空チャック(36)およびチャックプーリ(38)を含むポケット(52)に受けられる。多数のポケット(52)が、円形の回転するインデックスタレット(34)の周囲に配置される。タレット(34)は、インデックスボックス(図示せず)によって、タレット中心(40)の周囲にインデックスされ、その結果、2つの連続する缶体(32)が吹き付けするための位置へと順にインデックスされる。
【0024】
缶体(32)の各対がそれぞれの吹き付け器(48)の前の位置へと移動されると、真空チャック(36)と缶体(32)が設置されたチャックプーリ(38)は、駆動モータ(44)と、駆動ベルト(46)と、アイドラプーリ(50)とを含む、モータ付き駆動ベルトと係合する。この係合がチャックプーリ(48)および真空チャック(36)を回転させ、それゆえ缶体(32)も回転する。
【0025】
インデックスインプットシャフト(ここでは図示せず)上に、2つのタイミング「フラグ」が設置され、それぞれが、物理的なタイミングフラグとして作用する。フラグは、吹き付け窓を規定するために、異なる角度の形状を有する。プロキシ(近接)センサは、フラグの位置を確認するために、ならびにラッカー制御システムに信号を送るために、吹き付け器をスイッチオンおよびスイッチオフするように使用される。吹き付け窓は、インデックスボックスの動作プロファイルにより制御されるように、タイミングにのみ基づく。吹き付けが完了すると、吹き付けされた缶体(32)の対はインデックスされ、排出タレット(42)とトラックウェイ(30)を介して吹き付け機を出る。
【0026】
図2は、缶体吹き付け器で使用するための改良された装置(10)の一部の斜視断面図である。アセンブリは、缶体(2)が設置された真空チャック(4)を含む。真空チャック(4)は、モータ付き駆動ベルト(12)により順に駆動されるチャックプーリ(6)と係合する。この実施例において、チャックプーリ(6)には、多数の円筒状のインデックスホール(14)が設けられ、チャックプーリ(6)はレーザセンサ(8)の監視線内にある。チャックプーリ(6)がモータ付き駆動ベルト(12)に係合すると、真空チャック(4)は、中心軸の周囲を回転する。チャック(4)が回転すると、設置された缶体(2)も回転する。これにより、以下に記載されるように、缶体(2)の内部が、1つ以上の吹き付け器から、ラッカーの均一なコーティングを受けることを可能にする。装置(10)は、制御装置(15)も含み、制御装置は、チャックプーリ(6)が吹き付けのための正確な位置にあるときに、吹き付け器をスイッチオンするように配置されている。
【0027】
図3は、図2のアセンブリで使用するためのチャックプーリ(6)の斜視図である。プーリ(6)は、実質的に円筒状であり、外周の回りに駆動ベルト溝(16)が設けられている。ベルト溝(16)は、プーリ(6)がモータ付き駆動ベルト(12)(図3には示されていない)により駆動されることを可能にし、プーリ(6)を中心軸の周囲で回転させる。図から分かり得るように、プーリ(6)は、プーリ(6)の周囲に均一に配置された15のインデックスホール(14)を有する。図4は、缶体吹き付け機で使用するための装置(10)のさらなる断面図であり、缶体(2)の全体と、吹き付け器(20)を例証している。典型的には、缶体(2)は、約2000rpmから2750rpmで回転する。
【0028】
図4から明らかとなるように、レーザセンサ(8)は、真空チャック(4)から見てプーリ(6)の反対側に取り付けられ、プーリ(6)内のインデックスホール(14)(図4には示されていない)と対面する。
【0029】
センサ(8)は、吹き付け器(20)と信号通信し、スイッチオフするように吹き付け器(20)へ信号を送ることができる。真空チャック(4)が吹き付け器(20)の前の位置へとインデックスされると、チャックプーリ(6)は駆動ベルト(12)と係合し、プーリ(6)、真空チャック(4)および缶体(2)が回転し始める。このとき、吹き付け器(20)がスイッチオンし、缶体(2)の内部をラッカーで吹き付けし始める。吹き付けされると同時に缶体(2)を回転することによって、吹き付け器(20)からのラッカーの均一なコーティングを確実にする。
【0030】
カウントを、吹き付け器がスイッチオンされたときに、あるいは吹き付け器のスイッチオン後のあらかじめ規定されたある期間(吹き付け器のための望ましい吹き出し量に達するのに十分な)の後に開始し、その監視線(18)を通過するインデックスホールの数をカウントすることにより、センサ(8)は、チャックプーリ(6)の総回転数を監視する。インデックスホールがセンサ(8)により生成されたレーザビームを横切ると、センサへ戻る反射された光が変調されることが理解されるであろう(例えば、銀をホールに塗布することにより、インデックスホールの内側表面が十分に反射することが当然想定される)。センサで適切な検出器を利用することにより、この変調は、必要なカウントを生成するために検出および解読され得る。
【0031】
センサは、インデックスホールの必要数をカウントすると、吹き付け器(20)をスイッチオフして吹き付けを停止させるように、吹き付け器(20)に信号を送る。この例証された実施例では、合計で15のインデックスホール(14)が存在するため、15のインデックスホールがセンサ(8)の監視線(18)を通過すると、チャックプーリ(6)の1回の完全な回転が引き起こされるだろう。缶体が3回転することが適切なコーティングを確実にするために必要とされる場合、カウントが45(またはオーバーラップを確実にするために46)に達するときに、センサは、スイッチオフするように吹き付け器に信号を送るだろう。
【0032】
図5aおよび図5bは、それぞれ、従来の缶体吹き付けアセンブリ、および図2から図4のアセンブリにおける缶ラップ(缶体の完全な回転)数の線図である、これらの図において、缶体(2)の吹き付けは、点(22)で始まり、点(24)で終わる。図5aに示される従来のアセンブリにおいて、吹き付け窓、すなわち缶体(2)が吹き付け器(20)により吹き付けされる吹き付け時間は、タイマーにより制御される。言い換えれば、吹き付け器(20)は、缶体(2)の実際の位置には関係なく、所定の時間において、22でスイッチオン、24でスイッチオフされる。典型的に吹き付け窓は、100msで固定されている。この窓は、缶体(2)が正確な吹き付け位置に到着したこと、および塗布されるラッカーの量が少なくとも必要とされる最小量であることを確実にするために、一定の許容範囲を含む。吹き付け窓におけるこの許容範囲は、ラッカーの正確な量が缶体(2)の内部に塗布されることを確実とするために実際に必要とされる、3回の缶体ラップよりもむしろ、3.5回の缶ラップ(3.5回の缶体の完全な回転)を必要とし得る。この許容範囲は、結果として缶体当り約0.5回のラッカーの「コート」のラッカー浪費をもたらす。吹き付けプロセスで利用される新鮮な水もまた、浪費される。
【0033】
本明細書に記載される改良されたアセンブリにおいて、吹き付けプロファイルが図5bに表され、その吹き付け窓の期間はタイマー制御されない。むしろ、吹き付け窓は、プーリ(6)上にインデックスホール(14)の直進の監視線(18)を有するセンサ(8)により制御される。タイミングフラグのような機械的なタイミング機構により制御される本機械の動作シーケンスにおける所与の時間で吹き付け窓が始まるとすぐに、吹き付け器(20)がラッカーのコーティングで回転缶体(2)の内部を吹き付け開始する。センサ(8)が、上記したような吹き付け開始後に、チャックプーリ(6)と、ゆえに缶体(2)とが必要なあらかじめ規定された回転数を受けることを決定すると、センサ(8)は、吹き付け器(20)と通信し、吹き付け器(20)がスイッチオフされる。センサ(8)は、チャックプーリ(6)が完全に1回転した回数を追跡することにより、缶体(2)の角度位置を監視する。これは、適切なラッカーの重量が缶体(2)の内部に塗布されることを確実にするのに必要とされる、総吹き付け時間に相当する。
【0034】
上記したような図5bの構成は、タイマー制御された吹き付け窓に組み込まれた許容範囲がもはや必要ではないため、結果としてより短い吹き付け窓をもたらす。これにより、吹き付けされた缶体をより迅速にインデックスするために、インデックスボックスのタイミングが、縮小された吹き付け窓を収容するように構成され得るので、ラッカー吹き付け機の全体的な毎分当たりの缶体生産量が増大される。この例における総缶体ラップ数は、図5bに示すように、約3.5から3.05に減少する。ラッカーの3回の完全なコートが保証されるが、オーバーラップ(overlap)は約0.05ラップ(18度)まで減少する。これが、缶体当たり約0.45ラップ(162度)のラッカーの節約につながる。付加的に、ラッカー吹き付けプロセス中に、缶体の回転速度が監視され得る。
【0035】
図6は、缶体の内部にコーティングを吹き付けするために吹き付け機を動作させる方法を例証するフロー図である。方法は、以下の工程を含む。
【0036】
S1:缶体を缶体回転装置に取り付ける工程
【0037】
S2:缶体回転装置および取り付けられた缶体を吹き付け器と整列させる工程
【0038】
S3:吹き付け器を使用して吹き付けを開始する工程
【0039】
S4:缶体回転装置が吹き付け開始後にあらかじめ規定された回転を受ける時間を決定するために、缶体回転装置に連結されたセンサを使用する工程
【0040】
S5:そのような決定に応じて、吹き付け器をスイッチオフする工程
【0041】
当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、上記された実施形態に様々な修正を加えてもよいことが理解されよう。
【0042】
例えば、駆動は、チャックプーリとモータ付き駆動ベルトの構成よりもむしろ、歯車機構または他の手段により、真空チャックまたは電磁チャック、および缶に供給されてもよい。
【0043】
チャックプーリのインデックスホールの総数、サイズ、形状、および分布は、変化されてもよい。例えば、図3に示される15の円形状の穴よりもむしろ、20から60のような、より多くの数のインデックスホールであってもよく、随意に40であってもよく、または10のような、より小さな数であってもよい。いくつかの実施形態では、単一のインデックスホールまたは他の特徴が十分であり得る。他の特徴は、スロットまたは開口部を含んでもよい。
【0044】
チャックプーリの総回転数を監視する代替的な方法が利用されてもよい。センサは缶体回転装置へ機械的に、光学的にまたは電磁的に連結されてもよい。例えば、複数のミラー付き表面が、上記したインデックスホールと置き換わってもよい。代替的に、チャックプーリは、磁気ベースのセンサがその角度位置を監視することを可能にする、1つ以上の磁石を設けられてもよい。
【0045】
上記したような光学的に連結されたセンサは、チャックプーリの表面からレーザビームを反射するように構成され、各インデックスホールがセンサの監視線を通過すると同時に深さの変化を検出する、レーザセンサを含んでもよい。随伴する光源および検出器は、同じ場所に配置されてもよい。代替的に、検出器は、光源から見てプーリの反対側に配置されてもよい。
【0046】
上記したインデックスホールの代替品と共に動作するように構成されてもよいセンサの代替的な形態が、利用されてもよい。電磁センサのようなプロキシセンサまたは近接センサが、使用されてもよい。センサは、缶体回転装置の回転により引き起こされた電磁場の変調を検出してもよい。センサは、チャックプーリへ機械的に、光学的にまたは電磁的に連結されてもよい。
【0047】
制御装置は、タイミングフラグのような機械的なタイミング機構を含んでもよい。
【0048】
1より多い吹き付け器がアセンブリに供給されてもよく、缶体が1より多い場所で吹き付けされてもよい。例えば、缶体は、4つまでの多数の場所で吹き付けされてもよい。
【0049】
1より多いセンサが、缶体位置の検出で利用されてもよい。付加的なセンサは、チャックプーリを監視するために適したアセンブリ内の任意の位置に配置され得る。
【0050】
センサ(単数または複数)と、吹き付け器(単数または複数)との間の通信は、適した手段、例えば、有線または無線、もしくは手段の組み合わせによるものであり得る。
【0051】
特定の用途において必要とされるラッカーの重量または厚さは、吹き付けされている缶体のサイズと形状に基づくことが理解されよう。ラッカーの3回の缶体ラップは、本明細書に記載されるように、1つの塗布の一例である。
【0052】
上記されたアセンブリは、缶体の、例えば2ピースの、食缶体および飲料缶体の範囲の吹き付け塗装において、利用されてもよい。このアセンブリは、スチール缶体およびアルミニウム缶体の両方に使用されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6