(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
液化ガス容器内に収容された液相部を気化して気相部に相転移させるとともに、前記気相部を昇圧してガス状の液化ガスを外部に向けて供給する液化ガス供給装置であって、
前記液化ガス容器に一端側が接続され、前記液化ガスを外部に向けて供給する液化ガス供給ラインと、
前記液化ガス供給ラインの経路中に設けられ、前記液化ガスの圧力を減圧する減圧弁と、
前記液化ガス供給ラインにおける、前記液化ガス容器と前記減圧弁との間の経路の少なくとも一部に設けられ、前記液化ガス供給ラインを流通する前記液化ガスを加熱するヒータと、
前記液化ガス供給ラインの経路中における前記液化ガス容器の出口側近傍に設けられ、前記液化ガス容器の内部圧力を検出する圧力検出部と、
前記液化ガス供給ラインの経路中における前記減圧弁の一次側近傍に設けられ、前記液化ガス供給ラインを流通する前記液化ガス、あるいは、前記液化ガス供給ラインの表面の少なくとも何れかの温度を検出する温度検出部と、
前記圧力検出部で検出された前記液化ガス容器の内部圧力、及び、前記温度検出部で検出された前記液化ガス、あるいは、前記液化ガス供給ラインの表面の少なくとも何れかの温度に基づいて、前記液化ガス供給ラインを流通する前記液化ガスの温度を、前記液化ガス容器の内部圧力下における前記液化ガスの再液化温度よりも高い温度に保持するように、前記ヒータによる加熱温度を設定するヒータ制御部と、
を備えることを特徴とする液化ガス供給装置。
前記液化ガス容器を加温することで、前記液化ガス容器内に収容された液相部を気化して気相部に相転移させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液化ガス供給装置。
液化ガス容器内に収容された液相部を気化して気相部に相転移させるとともに、前記気相部を昇圧してガス状の液化ガスを外部に向けて供給する液化ガス供給方法であって、
前記液化ガス容器においてガス状とされた前記液化ガスを、前記液化ガス容器に一端側が接続された液化ガス供給ラインによって外部に向けて供給するとともに、前記液化ガス容器の内部圧力、及び、前記液化ガス供給ラインにおける前記液化ガス、あるいは、前記液化ガス供給ラインの表面の少なくとも何れかの温度を検出し、
前記液化ガス容器の内部圧力、及び、前記液化ガス、あるいは、前記液化ガス供給ラインの表面の少なくとも何れかの温度に基づいて加熱温度を設定しながら、前記液化ガス供給ラインを流通する前記液化ガスを加熱することにより、該液化ガスの温度を、前記液化ガス容器の内部圧力下における前記液化ガスの再液化温度よりも高い温度に保持することを特徴とする液化ガス供給方法。
前記液化ガス容器を加温することで、前記液化ガス容器内に収容された液相部を気化して気相部に相転移させることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の液化ガス供給方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1,2に示されたような従来の液化ガス供給装置では、上記のように、液化ガスを加熱する際の設定温度が、最も再液化し易い条件を考慮して設定されているため、如何なる条件においても、常時、高温で加熱するような一定温度に設定されている。このため、実際の条件が、高温設定が不要な条件である場合でも、常時、比較的高めの一定温度で液化ガスを加熱することから、ヒータにおける放熱量も大きくなり、無駄な電力を消費する等の問題が生じていた。特に、大規模工場等に液化ガス供給装置を設置する場合には、その設置台数も多くなることから、省エネルギーや製造コストの低減等の観点から、改善が望まれていた。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、外部に供給する液化ガスの加熱に過剰なエネルギーを消費することなく、且つ、液化ガスが供給過程で再液化するのを確実に防止することが可能な液化ガス供給装置及び液化ガス供給方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、液化ガス容器内に収容された液相部を気化して気相部に相転移させるとともに、前記気相部を昇圧してガス状の液化ガスを外部に向けて供給する液化ガス供給装置であって、前記液化ガス容器に一端側が接続され、前記液化ガスを外部に向けて供給する
液化ガス供給ラインと、前記
液化ガス供給ラインの経路中に設けられ、前記液化ガスの圧力を減圧する減圧弁と、前記
液化ガス供給ラインにおける、前記液化ガス容器と前記減圧弁との間の経路の少なくとも一部に設けられ、前記
液化ガス供給ラインを流通する前記液化ガスを加熱するヒータと、前記
液化ガス供給ラインの経路中における前記液化ガス容器の出口側近傍に設けられ、前記液化ガス容器の内部圧力を検出する圧力検出部と、前記
液化ガス供給ラインの経路中における前記減圧弁の一次側近傍に設けられ、前記
液化ガス供給ラインを流通する前記液化ガス、あるいは、前記
液化ガス供給ラインの表面の少なくとも何れかの温度を検出する温度検出部と、前記圧力検出部で検出された前記液化ガス容器の内部圧力、及び、前記温度検出部で検出された前記液化ガス、あるいは、前記
液化ガス供給ラインの表面の少なくとも何れかの温度に基づいて、前記
液化ガス供給ラインを流通する前記液化ガスの温度を、前記液化ガス容器の内部圧力下における前記液化ガスの再液化温度よりも高い温度に保持するように、前記ヒータによる加熱温度を設定するヒータ制御部と、を備えることを特徴とする液化ガス供給装置である。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、前記ヒータ制御部が、前記液化ガス容器の内部圧力、及び/又は、前記液化ガスあるいは前記
液化ガス供給ラインの表面の少なくとも何れかの温度の変化に応じて、常時、前記ヒータによる加熱温度を変化させながら、該加熱温度を設定することを特徴とする請求項1に記載の液化ガス供給装置である。
【0009】
また、請求項3に係る発明は、前記液化ガス容器を加温することで、前記液化ガス容器内に収容された液相部を気化して気相部に相転移させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液化ガス供給装置である。
【0010】
また、請求項4に係る発明は、液化ガス容器内に収容された液相部を気化して気相部に相転移させるとともに、前記気相部を昇圧してガス状の液化ガスを外部に向けて供給する液化ガス供給方法であって、前記液化ガス容器においてガス状とされた前記液化ガスを、前記液化ガス容器に一端側が接続された液化ガス供給ラインによって外部に向けて供給するとともに、前記液化ガス容器の内部圧力、及び、前記液化ガス供給ラインにおける前記液化ガス、あるいは、前記
液化ガス供給ラインの表面の少なくとも何れかの温度を検出し、前記液化ガス容器の内部圧力、及び、前記液化ガス、あるいは、前記
液化ガス供給ラインの表面の少なくとも何れかの温度に基づいて加熱温度を設定しながら、前記
液化ガス供給ラインを流通する前記液化ガスを加熱することにより、該液化ガスの温度を、前記液化ガス容器の内部圧力下における前記液化ガスの再液化温度よりも高い温度に保持することを特徴とする液化ガス供給方法である。
【0011】
また、請求項5に係る発明は、前記液化ガス容器の内部圧力、及び/又は、前記液化ガスあるいは前記
液化ガス供給ラインの表面の少なくとも何れかの温度の変化に応じて、常時、前記
液化ガス供給ラインを流通する前記液化ガスの加熱温度を変化させながら、該加熱温度を設定することを特徴とする請求項4に記載の液化ガス供給方法である。
【0012】
また、請求項6に係る発明は、前記液化ガス容器を加温することで、前記液化ガス容器内に収容された液相部を気化して気相部に相転移させることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の液化ガス供給方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る液化ガス供給装置によれば、圧力検出部で検出された液化ガス容器の内部圧力、及び、温度検出部で検出された液化ガスあるいはガス供給ラインの表面の少なくとも何れかの温度に基づいて、ヒータに印加する電流を制御することにより、ガス供給ラインを流通する液化ガスの温度を、液化ガス容器の内部圧力下における液化ガスの再液化温度よりも高い温度に保持するように、ヒータによる加熱温度を設定するヒータ制御部を備えた構成を採用している。
即ち、ヒータに印加する電流を、液化ガス容器の内部圧力に応じて、液化ガスを、再液化することの無い温度に加熱できるように制御することで、液化ガスの加熱温度を、空調設備の有無や季節毎の温度変動等に左右されることなく、適切な温度に自動設定することが可能になる。
従って、外部に供給する液化ガスの加熱に過剰なエネルギーを消費することなく、且つ、液化ガスが供給過程で再液化するのを確実に防止することが可能になる。
【0014】
また、本発明に係る液化ガス供給方法によれば、上記のように、液化ガス容器の内部圧力、及び、液化ガス供給ラインにおける液化ガスあるいはガス供給ラインの表面の少なくとも何れかの温度を検出し、これら内部圧力及び液化ガスの温度に基づいて加熱温度を設定しながら、ガス供給ラインを流通する液化ガスを加熱することにより、この液化ガスの温度を、液化ガス容器の内部圧力下における液化ガスの再液化温度よりも高い温度に保持する方法を採用している。
これにより、上記同様、液化ガス容器の内部圧力に応じて、液化ガスの加熱温度を、再液化することの無い適切な温度で自動設定することが可能になる。
従って、上記同様、液化ガスの加熱に過剰なエネルギーを消費することなく、且つ、液化ガスが供給過程で再液化するのを確実に防止することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を適用した一実施形態である液化ガス供給装置及び液化ガス供給方法について、図面を適宜参照しながら説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0017】
[液化ガス供給装置]
以下、本発明を適用した実施形態である液化ガス供給装置について、
図1及び
図2を参照しながら詳述する。
図1は、本実施形態で用いられる液化ガス供給装置10の全体構成を示す概略図であり、
図2は、
図1に示した液化ガス供給装置10を用いた液化ガス供給方法における、ヒータ7による液化ガスGの加熱温度を設定する一例を説明する図で、液化ガス容器1の内部圧力Pと液化ガスGの再液化温度Tとの関係を表す飽和蒸気圧力曲線、及び、液化ガス容器1の内部圧力Pと液化ガスGの加熱温度HTとの関係を表す加熱温度曲線(加熱温度HT曲線)を示したグラフである。
【0018】
図1に示すように、本実施形態で用いられる液化ガス供給装置10は、液化ガス容器1と、容器弁2と、液化ガス供給ライン3と、ヒータ制御部4と、温度計(温度検出部)5と、圧力計(圧力検出部)6と、容器加熱部7と、ヒータ8と、減圧弁9と、を備えて概略構成される。
液化ガス供給装置10は、例えば、液化ガス容器1の表面を容器加熱部6で加熱することで、液化ガス容器1内に収容された液相部を気化して気相部に相転移させるとともに、気相部を昇圧して、ガス状の液化ガスGを、液化ガス供給ライン3を通じて外部に向けて供給するための装置である。
【0019】
より具体的には、液化ガス供給装置10は、液化ガス容器1に一端3a側が接続され、液化ガスGを外部に向けて供給する液化ガス供給ライン3を備え、この液化ガス供給ライン3の経路中に、液化ガスGの圧力を減圧する減圧弁9が設けられている。また、液化ガス供給ライン3には、液化ガス容器1と減圧弁9との間の経路の少なくとも一部に、液化ガス供給ライン3を流通する液化ガスGを加熱するヒータ8が設けられている。さらに、液化ガス供給ライン3の経路中には、液化ガス容器1の出口1a側近傍に設けられ、液化ガス容器1の内部圧力Pを検出する圧力計6と、減圧弁9の一次側9a近傍に設けられ、液化ガス供給ライン3を流通する液化ガスG、あるいは、液化ガス供給ライン3の表面の少なくとも何れかの温度を検出することが可能な温度計5とが備えられている。
【0020】
そして、本実施形態の液化ガス供給装置10は、圧力計6で検出された液化ガス容器1の内部圧力P、及び、温度計5で検出された液化ガスGの温度Tに基づいて、ヒータ8に印加する電流Aを制御することにより、液化ガス供給ライン3を流通する液化ガスGの温度Tを、液化ガス容器1の内部圧力P下における液化ガスGの再液化温度RTよりも高い温度に保持するように、ヒータ8による加熱温度HTを設定するヒータ制御部4を備える。
【0021】
液化ガス供給装置10においては、
図1中では図示を省略するが、液化ガス容器1内には、液化ガスの供給開始時から供給停止時まで常に液相(液相部)が存在する常時液相の範囲と、液化ガスの供給開始時から供給停止時まで常に気相部を含んだ領域である範囲と、液化ガスの供給が進むにつれて、少なくとも一部が液相から気相に相転移する範囲とが存在する。そして、液化ガス供給装置10においては、液化ガス容器1内における液相の範囲が一定以下となったとき、液化ガス容器1が交換時期に到達したと判断され、内部が液相部で満たされた新たな液化ガス容器1と交換して使用することができる。
【0022】
液化ガス容器1は、液化ガスを充填するための容器である。液化ガス容器1の材質としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、ステンレス鋼(SUS)、マンガン鋼等が挙げられる。
液化ガス容器1に充填される液化ガスとしても、特に限定されないが、具体的には、例えば、アンモニア、塩化水素、塩素、亜酸化窒素などが挙げられる。
【0023】
容器弁2は、液化ガス容器1の出口1aに取り付けられた弁であり、弁の開閉により、外部への液化ガスの供給を制御することができる。
容器弁2としては、特に限定されないが、一般的に玉形弁が用いられる。
【0024】
なお、
図1においては図示を省略するが、容器弁2は、液化ガス容器1における、常に気相部を含んだ範囲に連通するように設けられる。なお、このような、液化ガス容器1において常に気相部を含んだ範囲の部分は、40℃以下の温度となるように法律で定められている。
【0025】
液化ガス供給ライン3は、上記のように、液化ガス容器1に一端3a側が接続され、液化ガスGを外部に向けて供給する配管であり、図示例においては、一端3aが、容器弁2を介して液化ガス容器1の出口1aに接続されている。図示例の液化ガス供給ライン3には、その経路中に、圧力計6、温度計5、減圧弁9が順次設けられ、他端3bから液化ガスGを外部に向けて供給できるように構成されている。また、液化ガス供給ライン3における液化ガス容器1と減圧弁9との間の経路の少なくとも一部には、詳細を後述するヒータ8が取り付けられており、図示例においては、経路中における圧力計6から減圧弁9にかけてヒータ8が設けられている。
【0026】
液化ガス供給ライン3を構成する配管の材質としては、特に限定されず、内部を流通させる液化ガスに対する耐性等を考慮しながら、適宜選択することができる。
【0027】
ヒータ制御部4は、上記のように、液化ガス供給ライン3を流通する液化ガスGの温度Tを、圧力計6で検出された内部圧力P下における、液化ガスGの再液化温度RTよりも高い温度に保持するように、ヒータ8による加熱温度HTを設定する。
【0028】
具体的には、ヒータ制御部4には、詳細を後述する温度計5で検出された液化ガスGの温度Tの測定値信号が信号線C1を介して入力されるとともに、圧力計6で検出された液化ガス容器1の内部圧力Pの測定値信号が信号線C2を介して入力される。また、ヒータ制御部4は、信号線C3を介してヒータ8と接続されている。
【0029】
そして、ヒータ制御部4は、詳細については後述するが、液化ガスGの温度T、及び、液化ガス容器1の内部圧力Pに基づき、信号線C3を介してヒータ8に印加する電流Aを制御するか、あるいは、電圧パルスを制御する。これにより、ヒータ制御部4は、液化ガス供給ライン3を流通する液化ガスGの温度Tを、圧力計6で検出された内部圧力P下における、液化ガスGの再液化温度RTよりも高い温度に保持するように、ヒータ8による加熱温度HTを設定する。
【0030】
ヒータ制御部4としては、特に限定されるものではないが、例えば、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)等を用いることができる。
【0031】
温度計5は、上記のように、液化ガス供給ライン3の経路中において、減圧弁9の一次側9a近傍に設けられる。本実施形態において、温度計5は、例えば、液化ガス容器1から送出され、液化ガス供給ライン3を流通する液化ガスGの温度Tを検出する。本実施形態における温度計5は、減圧によって断熱膨張する前の液化ガスGの温度Tを検出する必要があることから、液化ガス供給ライン3の経路中における減圧弁9の一次側9a近傍に設けられている。
【0032】
温度計5で検出された液化ガスGの温度Tの測定値信号は、上記のように、信号線C1を介してヒータ制御部4に送信される。そして、ヒータ制御部4は、上記のように、温度計5及び後述の圧力計6から送信される測定値信号に基づいた処理を行い、液化ガスGの加熱温度HTを設定する。
【0033】
なお、温度計5としては、特に限定されないが、例えば、T型熱電対等を用いることができる。
また、
図1中に示す温度計5の設置位置は、液化ガス供給ライン3の経路中における減圧弁9の一次側9a近傍とされているが、これには限定されない。温度計5の設置位置は、例えば、液化ガス供給ライン3の経路中における圧力計6と減圧弁9との間で、適宜変更することが可能である。
また、温度計5は、液化ガス供給ライン3の経路中における圧力計6と減圧弁9との間で、複数で設けられていてもよい。この場合には、複数の温度計5における検出値の平均値を測定値信号として、ヒータ制御部4に送信してもよい。
【0034】
圧力計6は、上記のように、液化ガス供給ライン3の経路中において、液化ガス容器1の出口1a側近傍に設けられる。また、圧力計6は、液化ガス容器1の内部圧力Pを検出するものであることから、
図1に示す例のように、液化ガス容器1の出口1aに出来るだけ近い位置で設けられる。
【0035】
圧力計6で検出された液化ガス容器1の内部圧力Pの測定値信号は、上記のように、信号線C2を介してヒータ制御部4に送信される。ヒータ制御部4は、温度計5及び圧力計6から送信される測定値信号に基づいた処理を行い、液化ガスGの加熱温度HTを設定する。
【0036】
圧力計6としては、従来からガスボンベ等の内部圧力の検出に用いられている圧力センサ等を何ら制限無く用いることができる。
【0037】
容器加熱部7は、図示略の容器温度制御部による温度制御により、液化ガス容器1の内部に収容された液相状態の液化ガスを加熱することで、液相の液化ガスを、順次、気相の液化ガスGに相転移させる。図示例の容器加熱部7は、液化ガス容器1の縦軸方向で概略中心から下側における領域の表面を覆うように設けられている。
【0038】
容器加熱部7としては、液化ガス容器1の表面を加熱することができるものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、液化ガス容器1の表面に巻かれた熱交換媒体を流通するための配管であってもよい。熱交換媒体としては、具体的には、例えば、温風、熱風等の気体媒体、又は、温水、熱水、熱油等の液体媒体等が挙げられる。
また、容器加熱部7としては、ハロゲンヒータ等によって赤外線で熱を伝える方法や、電気ヒータ等などによって、熱を直接、容器表面に伝える構成であってもよい。
【0039】
ヒータ8は、上記のように、液化ガス供給ライン3における、液化ガス容器1と減圧弁9との間の経路の少なくとも一部に設けられ、
図1に示す例では、液化ガス容器1の出口1a近傍から減圧弁9にわたって設けられている。ヒータ8は、液化ガス供給ライン3を流通する液化ガスGを加熱するものであり、例えば、電熱ヒータ等からなり、液化ガス供給ライン3の周囲に巻回されるように構成することができる。
【0040】
なお、本実施形態においては、ヒータ8を電熱ヒータ等から構成し、ヒータ制御部4において、ヒータ8に印加する電流Aを制御する構成を説明しているが、これには限定されない。ヒータ8としては、例えば、ハロゲンヒータ等によって赤外線で熱を伝える方法を採用してもよい。
【0041】
さらに、ヒータ8としては、例えば、液化ガス供給ライン3の表面に巻回された、熱交換媒体を流通するための配管からなる構成であってもよい。この場合の熱交換媒体としては、例えば、温風、熱風等の気体媒体、又は、温水、熱水、熱油等の液体媒体等が挙げられる。このような場合には、ヒータ制御部4において、例えば、配管内を流通する熱交換媒体を加熱するための、図示略の媒体加熱手段の設定温度(加熱温度)を制御する。
【0042】
減圧弁9は、液化ガスGの圧力を減圧して断熱膨張させるものであり、液化ガス供給ライン3の経路中において、温度計5よりも下流側に設けられる。即ち、減圧弁9の一次側9aは、液化ガス供給ライン3の経路中において、温度計5に接続されるように配置されており、また、二次側9bが、減圧後の液化ガスGの出口3b側に配置されている。
このような減圧弁9としては、特に限定されず、従来から、液化ガス供給装置の分野で広く使用されているものを何ら制限無く採用することができる。
【0043】
以下に、本実施形態の液化ガス供給装置10において、ヒータ制御部4により、ヒータ8で気化ガスGを加熱する加熱温度HTを設定し、液化ガスGの温度Tを再液化温度RTよりも高い温度に保持する制御について、より具体的に説明する。
まず、圧力計6によって検出された、液化ガス容器1の内部圧力Pの測定値信号が、信号線C2を介してヒータ制御部4に入力される。
これとともに、温度計5によって検出された、液化ガス供給ライン3を流通する液化ガスGの温度Tの測定値信号が、信号線C1を介してヒータ制御部4に入力される。
【0044】
次いで、ヒータ制御部4は、液化ガス容器1の内部圧力P、及び、予め入力された再液化データに基づき、当該内部圧力P下における再液化温度RTを算出したうえで、液化ガスGの加熱温度HTを設定し、ヒータ8に印加する電流Aの制御を行う。この際に設定する加熱温度HTは、当該内部圧力P下における再液化温度RTよりも高い温度である。また、上記のような再液化データとしては、例えば、ガス種に応じた内部圧力Pと再液化温度RTの関係を示すデータであり、詳細については後述するが、例えば、
図2のグラフ中に示した飽和蒸気圧力曲線で表されるようなデータである。
【0045】
次いで、ヒータ制御部4は、上記で設定した加熱温度HTに基づき、温度計5で検出された液化ガスGの温度Tの測定値と比較のうえ、ヒータ8に印加する電流Aを制御する。
この結果、液化ガス供給ライン3を流通する液化ガスGの温度Tが、設定された加熱温度HT未満である場合、ヒータ制御部4は、ヒータ8による加熱温度HTが上記設定値となるように、ヒータ8に印加する電流Aを引き上げ、より高い温度で液化ガスGを加熱する。その後、液化ガスGの温度Tが、設定した加熱温度HTよりも高い温度まで昇温したとき、ヒータ制御部4は、ヒータ8に印加する電流Aを引き下げるか、あるいは停止することで、ヒータ8による加熱温度HTを低くするように制御する。
そして、液化ガスGの温度Tが、再び、上記で設定した加熱温度HT以下になったときは、再度、ヒータ8に印加する電流Aを引き上げ、上記で設定した加熱温度HTで液化ガスGを加熱するように制御する。
【0046】
一方、ヒータ制御部4は、液化ガス供給ライン3を流通する液化ガスGの温度Tが、設定された加熱温度HTよりも高い場合には、ヒータ8に印加する電流Aを引き下げるか、あるいは停止することにより、ヒータ8による加熱温度HTを低くするように制御する。その後、液化ガスGの温度Tが、設定された加熱温度HT以下まで降温したとき、ヒータ制御部4は、ヒータ8に印加する電流Aを引き上げ、加熱温度HTを高くするように制御する。
そして、液化ガスGの温度Tが、再び、上記で設定した加熱温度HTよりも高い温度になったとき、ヒータ制御部4は、再度、ヒータ8に印加する電流Aを引き下げるか、あるいは停止することで、加熱温度HTを低くするように制御する。
【0047】
ヒータ制御部4は、上記のような制御を繰り返すことにより、液化ガス供給ライン3を流通する液化ガスGの温度Tを、再液化温度RTよりも高い温度に維持する。即ち、液化ガス供給装置10における実際の条件が、高温設定が不要な条件である場合においてまで、常時、一定温度で液化ガスを加熱するのではなく、液化ガスGの温度Tを再液化温度RTよりも高い温度に維持できる程度に、ヒータ8による加熱温度HTを制御する。これにより、ヒータ8に印加する電流Aが過剰になって無駄な電力が消費されるのを防止できるので、液化ガスGの加熱に過剰なエネルギーを消費することなく、且つ、液化ガスGが供給過程で再液化するのを確実に防止することが可能になる。特に、大規模工場等に液化ガス供給装置10を設置する場合、その設置台数も多くなるので、省エネルギーや製造コストの低減等の観点から、さらに大きなエネルギー削減効果が得られる。
【0048】
なお、圧力計6によって検出された液化ガス容器1の内部圧力P、及び、温度計5によって検出された液化ガスGの温度Tに基づく制御方法は、上記方法に限定されるものではなく、例えば、目標温度に対するPID制御を行なってもよい。
【0049】
また、液化ガス供給装置10においては、ヒータ制御部4が、液化ガス容器1の内部圧力P、及び/又は、液化ガスGの温度Tの変化に応じて、常時、ヒータ8に印加する電流を制御することにより、ヒータ8による加熱温度HTを変化させながら、この加熱温度HTを設定する構成を採用することがより好ましい。これにより、上述したような、液化ガスGの温度Tを再液化温度RTよりも高い温度に維持する制御を、常時、安定して実施することができるので、より大きなエネルギー削減効果が得られる。
【0050】
上記構成を備える本実施形態の液化ガス供給装置10においては、液化ガスGの供給開始時、容器加熱部7によって加熱される、液化ガス容器1の内部は、液体状態の液化ガス(液相部)で満たされた状態である。
図1中においては、詳細な図示を省略するが、供給開始時の液相の液化ガスの液面は、容器加熱部7の上端よりも上方に位置している。そして、液化ガス容器1の内部に収容された液相の液化ガスは、容器加熱部7によって加熱されることで、順次、気相の液化ガスGに相転移した後、出口1a及び容器弁2を介して液化ガス供給ライン3に導入され、外部に供給される。
【0051】
その後、液化ガス容器1内の液化ガスが外部に向けて供給されるのに伴い、液化ガス容器1内の液相部(液化ガス)の液面が低下する。そして、液化ガス容器1内における液相部の液面が所定の位置まで低下したとき、例えば、図示略の重量計等によって液相部の残量を検出することで、内部に収容された液化ガスの残量が少なくなったと判断し、液化ガスの供給を停止する。その後、液相部の残量が所定以下となった液化ガス容器1を液化ガス供給装置10から取り外し、新たな液化ガス容器1と交換する。
【0052】
液化ガスの液相部の液面検出手段として図示略の重量計を採用する場合には、例えば、重量計としてロードセル等を用い、常時、液化ガス容器1全体の重量を測定して内部の液相部の重量を測定し、演算処理することで、液相部の液面の位置を検出することができる。
【0053】
なお、容器温度制御部としても、ヒータ制御部4と同様、特に限定されず例えば、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)等を用いることができる。
【0054】
[液化ガス供給方法]
次に、上述したような液化ガス供給装置10を用いた、本実施形態の液化ガス供給方法について、
図1及び
図2を参照しながら説明する。
本実施形態の液化ガス供給方法は、液化ガス容器1の表面を加熱することで、液化ガス容器1内に収容された液相部を気化して気相部に相転移させるとともに、気相部を昇圧してガス状の液化ガスを外部に向けて供給する方法である。
なお、以下の説明では、上記の液化ガス供給装置10の説明と重複する構成については、その詳細な説明を省略する。
【0055】
本実施形態の液化ガス供給方法においては、液化ガス容器1においてガス状とされた液化ガスGを、液化ガス容器1に一端3a側が接続された液化ガス供給ライン3によって外部に向けて供給するとともに、液化ガス容器1の内部圧力P、及び、液化ガス供給ライン3における液化ガスGの温度Tを検出する。
そして、本実施形態の液化ガス供給方法においては、液化ガス容器1の内部圧力P、及び、液化ガスGの温度Tに基づいて加熱温度HTを設定しながら、液化ガス供給ライン3を流通する液化ガスGを加熱することにより、この液化ガスGの温度Tを、液化ガス容器1の内部圧力P下における、液化ガスGの再液化温度RTよりも高い温度に保持する。
【0056】
本実施形態の液化ガス供給方法における、ヒータ8による液化ガスGの加熱温度HTを設定する一例について、
図2の、液化ガス容器1の内部圧力Pと液化ガスGの再液化温度RTとの関係を表す飽和蒸気圧力曲線、及び、液化ガス容器1の内部圧力Pと液化ガスGの加熱温度HTとの関係を表す加熱温度曲線(加熱温度HT曲線)を示したグラフを参照しながら説明する(
図1も参照)。
ここで、
図2中の横軸は液化ガスGの再液化温度RT、及び、液化ガスGの加熱温度HTを示しており、縦軸は液化ガス容器1の内部圧力Pを示している。また、
図2のグラフ中に示す飽和蒸気圧力曲線は、液化ガスとして用いられる各種ガスの一般的な特性を表すものであり、
図2中において、曲線よりも下側の領域が気相領域であり、曲線及び曲線よりも上側の領域が液相領域である。
【0057】
図2のグラフ中に示す飽和蒸気圧力曲線では、液化ガスGの再液化温度RTは、液化ガス容器1の内部圧力PがP4(Pa)である場合にはRT4(℃)であり、内部圧力PがP4(Pa)よりも低いP3(Pa)である場合には、RT4(℃)よりも低いRT3(℃)となる。さらに、
図2においては、液化ガスGの再液化温度RTは、液化ガス容器1の内部圧力PがP3(Pa)よりも低いP2(Pa)である場合にはRT2(℃)であり、内部圧力PがP2(Pa)よりも低いP1(Pa)である場合には、RT2(℃)よりも低いRT1(℃)となる。
【0058】
即ち、
図2のグラフ中に示す飽和蒸気圧力曲線を基にした、液化ガス容器1の内部圧力P(Pa)、及び、設定する液化ガスGの加熱温度HT(℃)の各々の関係は、同様に
図2のグラフ中に示した加熱温度曲線(加熱温度HT曲線)で表され、また、以下の(1)式〜(4)式で表すことができる。
P<P1 : HT<HT1 ・・・・・(1)
P1≦P<P2 : HT1≦HT<HT2 ・・・・・(2)
P2≦P<P3 : HT2≦HT<HT3 ・・・・・(2)
P3≦P : HT3≦HT<HT4 ・・・・・(4)
なお、上記(1)〜(4)式において、P,P1,P2,P3:内部圧力(液化ガス容器の内部圧力)、HT,HT1,HT2,HT3,HT4:加熱温度(液化ガス供給ラインを流通する液化ガスを加熱する温度)である。
【0059】
本実施形態の液化ガス供給方法においては、液化ガス容器1の内部圧力Pに基づいて液化ガスGの再液化温度RTを算出したうえで、液化ガスGの加熱温度HTを設定し、ヒータ8に印加する電流Aの制御を行う。即ち、例えば、液化ガス容器1の内部圧力PがP3(Pa)以上である場合には、液化ガスGの加熱温度HT3を、RT3(℃)よりも高い温度で設定する。また、液化ガス容器1の内部圧力PがP1〜P2(Pa)の範囲である場合には、液化ガスGの加熱温度HT1を、RT1よりも高く、且つ、RT2(℃)以下の範囲で設定する。
【0060】
そして、本実施形態においては、上記で設定した加熱温度HTに基づき、温度計5で検出された液化ガスGの温度Tの測定値と比較のうえ、ヒータ8に印加する電流Aを制御する。
具体的には、液化ガス供給ライン3を流通する液化ガスGの温度Tが、設定された加熱温度HT未満、即ち、上記で算出された再液化温度RT以下である場合、ヒータ8による加熱温度HTが上記設定値となるように、ヒータ8に印加する電流Aを引き上げる。その後、液化ガスGの温度Tが、設定した加熱温度HTよりも高い温度まで昇温したとき、ヒータ8に印加する電流Aを引き下げるか、あるいは停止することで、ヒータ8による加熱温度HTを低くするように制御する。
そして、液化ガスGの温度Tが、再び、上記で設定した加熱温度HT以下になったときは、再度、ヒータ8に印加する電流Aを引き上げ、上記で設定した加熱温度HTで液化ガスGを加熱するように制御する。
【0061】
一方、液化ガス供給ライン3を流通する液化ガスGの温度Tが、設定された加熱温度HTよりも高い場合には、ヒータ8に印加する電流Aを引き下げるか、あるいは停止することにより、ヒータ8による加熱温度HTを低くするように制御する。その後、液化ガスGの温度Tが、設定された加熱温度HT以下まで降温したとき、ヒータ8に印加する電流Aを引き上げ、加熱温度HTを高くするように制御する。
そして、液化ガスGの温度Tが、再び、上記で設定した加熱温度HTよりも高い温度になったときは、再度、ヒータ8に印加する電流Aを引き下げるか、あるいは停止することで、加熱温度HTを低くするように制御する。
【0062】
本実施形態の液化ガス供給方法においては、上記のような制御を繰り返すことにより、液化ガス供給ライン3を流通する液化ガスGの温度Tを、再液化温度RTよりも高い温度に維持する。これにより、上述したように、ヒータ8に印加する電流Aが過剰になって無駄な電力が消費されるのを防止でき、液化ガスGの加熱に過剰なエネルギーを消費することなく、且つ、液化ガスGが供給過程で再液化するのを確実に防止することが可能になる。
【0063】
なお、液化ガス容器1の取扱性や安全性等の観点から、通常の実使用においては、例えば、
図2のグラフ中に表す飽和蒸気圧力曲線に示した、液化ガス容器1の内部圧力PがP3(Pa)以下の領域が常用領域とされる。
【0064】
本実施形態の液化ガス供給方法においては、液化ガス容器1の内部圧力P、及び/又は、液化ガスGの温度Tの変化に応じて、常時、液化ガス供給ライン3を流通する液化ガスGの加熱温度HTを変化させながら設定することがより好ましい。これにより、上述したような、液化ガスGの温度Tを再液化温度RTよりも高い温度に維持する制御を、常時、安定して実施することができるので、より大きなエネルギー削減効果が得られる。
【0065】
<作用効果>
以上説明したように、本実施形態の液化ガス供給装置10によれば、圧力計6で検出された液化ガス容器1の内部圧力P、及び、温度計5で検出された液化ガスGの温度Tに基づいて、ヒータ8に印加する電流Aを制御することにより、液化ガス供給ライン3を流通する液化ガスGの温度Tを、液化ガス容器1の内部圧力P下における液化ガスGの再液化温度RTよりも高い温度に保持するように、ヒータ8による加熱温度HTを設定するヒータ制御部4を備えた構成を採用している。即ち、ヒータ8に印加する電流を、液化ガス容器1の内部圧力Pに応じて、液化ガスGを、再液化することの無い温度に加熱できるように制御することで、液化ガスGの加熱温度HTを、空調設備の有無や季節毎の温度変動等に左右されることなく、適切な温度に自動設定することが可能になる。従って、外部に供給する液化ガスGの加熱に過剰なエネルギーを消費することなく、且つ、液化ガスGが供給過程で再液化するのを確実に防止することが可能になる。
【0066】
また、本実施形態の液化ガス供給方法によれば、上記のように、液化ガス容器1の内部圧力P、及び、液化ガス供給ライン3における液化ガスGの温度Tを検出し、これら内部圧力P及び液化ガスGの温度Tに基づいて加熱温度HTを設定しながら、液化ガス供給ライン3を流通する液化ガスGを加熱することにより、この液化ガスGの温度Tを、液化ガス容器1の内部圧力P下における液化ガスGの再液化温度RTよりも高い温度に保持する方法を採用している。これにより、上記同様、液化ガス容器1の内部圧力Pに応じて、液化ガスGの加熱温度HTを、再液化することの無い適切な温度で自動設定することが可能になる。従って、上記同様、液化ガスGの加熱に過剰なエネルギーを消費することなく、且つ、液化ガスGが供給過程で再液化するのを確実に防止することが可能になる。
【0067】
<本発明の変形例>
本発明の実施の形態について、図面を参照して上記のように説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更を施すことが可能である。
例えば、本実施形態においては、さらに、液化ガス供給ライン3を長さ方向で複数の加熱領域に区分し、それぞれの加熱領域に対応して複数のヒータを設けることで、液化ガス供給ライン3の長さ方向の部位毎に、それぞれ最適化された温度制御を行う構成を採用してもよい。
【0068】
また、本実施形態で説明する例においては、ヒータ8による加熱温度制御を、ヒータ8に印加する電流Aを引き上げるか、あるいは引き下げることで行っているが、これには限定されず、例えば、ヒータ8に印加するパルス電圧を制御することで行ってもよい。
【0069】
また、本実施形態では、温度計5によって検出する温度を、液化ガス供給ライン3を流通する液化ガスGの温度Tとしているが、これには限定されない。例えば、温度計5によって、液化ガス供給ライン3の表面、即ち、配管の表面の温度を検出し、この値をヒータ制御部4に送信して、ヒータ8による液化ガスGの加熱温度HTの制御を行う構成としてもよい。このように、温度計5で測定する温度を、液化ガス供給ライン3の配管表面の温度とすることで、温度計5をシンプルな構造とすることができる。
【0070】
例えば、液化ガス供給ライン3の配管表面の温度が、圧力計6で検出された圧力下における再液化温度RTよりも高ければ、液化ガスGからの外部への放熱が無くなるので、液化ガスGが再液化することは無い。このため、液化ガス供給ライン3の配管表面の温度を温度計5で検出してヒータ制御部4に送信し、ヒータ8による液化ガスGの加熱温度HTの制御を行う場合であっても、液化ガスGの温度Tを直接検出する場合と同様、液化ガスGの再液化を確実に防止できる。
【0071】
また、本実施形態では、液化ガス容器1を容器加熱部7によって加温することで、この液化ガス容器1内に収容された液相部を気化して気相部に相転移させて液化ガスGとし、液化ガス供給ライン3に送出する例を説明しているが、これには限定されない。本実施形態の液化ガス供給装置10は、例えば、液化ガスの種類や液化ガス容器1内の圧力に応じて、液化ガス容器1を加温しない場合にも適用可能なものである。即ち、例えば、本実施形態の液化ガス供給装置10を用いて非加熱タイプのガスを取り扱うことも可能である。また、上記のような加熱タイプの液化ガスGを用いる場合であっても、液化ガス容器1の内部圧力Pや流量が、需要(必要量)に対して十分な場合には、必ずしも液化ガス容器1を加熱する必要は無い。従って、液化ガス容器1を加熱するか否かは、液化ガスの種類や液化ガス容器1の内部圧力Pに応じて適宜判断すればよい。
【0072】
なお、上記のような非加熱タイプのガスとしては、例えば、NH
3、N
2O、Cl
2、SF
6等を挙げることができる。